JP3370869B2 - 銅又は銅合金管の抽伸加工用外面油 - Google Patents
銅又は銅合金管の抽伸加工用外面油Info
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Description
加工時における使用に好適である銅又は銅合金管の抽伸
加工用外面油に関し、特に、新油時においても潤滑不良
及び脱脂不良の発生を防止することができる銅又は銅合
金管の抽伸加工用外面油に関する。
来より、銅又は銅合金管の内外面に潤滑油を使用するこ
とにより、加工性の向上を図っている。そして、近時、
銅又は銅合金管の高速での加工性及び高加工率での加工
性を高めるために、ポリブテン又は鉱油等を基油とした
高粘度の潤滑油が使用されている。
油は、長期間の使用により潤滑油中に金属粉及び不純物
等が混入し、表面粗さ及び疵等の表面品質が低下する原
因となるので、所定期間毎に新しい油と交換する必要が
ある。
滑油を新しい油と交換する場合、外面の全ての旧油を新
油と交換すると、潤滑性が低下すると共に、適正なオイ
ルピット及び凹凸が発生しなくなるという問題点があ
る。これは、新油のみを使用した場合、潤滑油が銅管表
面に吸着されにくいので、抽伸加工時に工具と銅又は銅
合金管との間で両者が擦れあい、摩擦抵抗が増加するか
らである。従って、油の潤滑性の低下によって、工具の
焼付が発生すると共に、管表面が工具により擦れること
により管の表面光沢が増加するという現象が生じる。
管は、その表面に付着した油分を脱脂した後、コイル状
に巻回され、光輝焼鈍炉により所望の調質処理を施し
て、その後、コイル(LWC)のまま出荷される。この
とき、抽伸時の潤滑性が低下して、銅又は銅合金管の外
表面が金属光沢を帯びたものになると、焼鈍時に銅管同
士が拡散接合しやすくなり、過剰に接着することがあ
る。このコイルは長いものでは5000mの長さの銅又
は銅合金管を巻回したものがあり、銅管同士が接着して
いると、コイルを解く際に無理な力が印加されることに
より、その表面に毟れが発生して、アルミニウムフィン
への挿入が困難になったり、自動整直機にトラブルが発
生したりする。
に、潤滑油の粘度を高くして、単に、油膜の厚さを厚く
しようとすると、潤滑油の供給ラインに設置されたフィ
ルタにより、潤滑油中に含まれる金属粉等の不純物物質
を除去することが困難になる。また、高粘度の潤滑油を
循環させようとすると、極めて大きいポンプ容量のポン
プが必要となると共に、脱脂不足により管表面に汚れが
発生しやすくなる。
面側の旧油を新油と交換する場合、旧油を約半量残して
これと新油とを混合して使用しているが、この潤滑油中
には常に約半量の旧油が含まれているので、金属粉が混
在した状態となり、抽伸時に管表面に微細な疵が形成さ
れやすくなるという問題点もある。
のであって、銅又は銅合金管の抽伸時の摩擦係数を低下
させて、外面油の交換時において全量を新油と交換して
も、潤滑不良及び脱脂不良の発生を防止することができ
ると共に、継続的に潤滑油を使用した場合においても、
抽伸荷重の上昇を抑制することができる銅又は銅合金管
の抽伸加工用外面油を提供することを目的とする。
金管の抽伸加工用外面油は、鉱油及び炭化水素油からな
る群から選択された少なくとも1種の油を含有すると共
に、脂肪酸を0.5重量%以上、オレイン酸銅を0.5
重量%以上、前記脂肪酸及びオレイン酸銅を総量で10
重量%以下含有することを特徴とする。
脂肪酸はオレイン酸であることが好ましい。
るために鋭意実験研究を重ねた結果、脂肪酸を含有する
潤滑油に、所定量のオレイン酸銅を添加することによ
り、抽伸時の温度上昇による高温時に、管表面と工具と
の間の摩擦係数を低下させることができ、これにより、
管の抽伸荷重の上昇を抑制することができることを見い
出した。この潤滑油は、継続的に使用されることによ
り、脂肪酸が銅と反応して銅石鹸(オレイン酸銅)を補
充するので、長期間の使用においても優れた特性を維持
することができる。
伸加工用外面油に含有される化学成分及びその組成限定
理由について説明する。
れた少なくとも1種の油 炭化水素油及び鉱油は、従来の抽伸潤滑油に使用されて
いるものであり、低コストであると共に、入手が容易で
ある。また、鉱油は極圧的な加工において優れた潤滑性
を有する油である。従って、本発明における抽伸加工用
外面油は、炭化水素油及び鉱油からなる群から選択され
た少なくとも1種の油を含有するものとする。なお、炭
化水素油を添加する主目的は粘度を調整することである
が、炭化水素油としてポリブテンを使用すると、その添
加量を調整することにより容易に粘度を調整することが
できる。従って、炭化水素油としては、ポリブテンを使
用することが好ましい。
減する効果を有する。図1は縦軸に摩擦係数をとり、横
軸に温度をとって、オレイン酸銅の添加による摩擦係数
への影響を示すグラフ図である。但し、図1に示す摩擦
係数はピンディスク型の摩擦係数測定器によって測定
し、オレイン酸銅が添加されていない潤滑油1、オレイ
ン酸銅が1重量%添加されている潤滑油2、及びオレイ
ン酸銅が5重量%添加されている潤滑油3の摩擦係数を
比較している。
れた潤滑油2及び3は添加されていない潤滑油1と比較
して、約75乃至150℃の温度領域内において、摩擦
係数が低下している。実際に抽伸加工されるときの潤滑
油の温度は、約100乃至125℃であるので、この温
度領域内においては、特に、オレイン酸銅の添加効果を
得ることができる。外面油中のオレイン酸銅が全重量あ
たり0.5重量%未満であると、その効果を十分に得る
ことができない。従って、外面油中のオレイン酸銅の含
有量は0.5重量%以上とする。
して、銅又は銅合金管の表面への吸着量が極めて大きい
ので、外面油に脂肪酸を添加することにより、銅又は銅
合金管の抽伸加工時に優れた潤滑性を示し、加工性を向
上させることができる。外面油中の脂肪酸が全重量あた
り0.5重量%未満であると、その効果を十分に得るこ
とができない。従って、外面油中の脂肪酸の含有量は
0.5重量%以上とする。また、脂肪酸として、特にオ
レイン酸を使用すると、オレイン酸が銅と反応してオレ
イン酸銅を生成し、継続的な使用によって減少したオレ
イン酸銅を補充するので、オレイン酸が添加された外面
油は加工性を向上させる特性を維持することができる。
量%以下 前述の如く、脂肪酸及びオレイン酸銅は、外面油中に添
加されることにより、抽伸加工時の加工性を向上させる
ことができる。本発明においては、脂肪酸及びオレイン
酸銅の含有量を、夫々、0.5重量%以上と規定してい
る。従って、これらの含有量が総量で1.0重量%未満
であると、その効果を十分に得ることができない。一
方、脂肪酸及びオレイン酸銅の含有量が総量で10重量
%を超えると、これらの銅又は銅合金管表面への吸着量
が大きくなりすぎて、抽伸加工後に油分を脱脂した場合
に、脱脂不足となってしまう。管表面に吸着された脂肪
酸及びオレイン酸銅が残留した状態でコイルを焼鈍する
と、変色等が発生して、銅又は銅合金管の外観が劣化す
る。従って、外面油中の脂肪酸及びオレイン酸銅の含有
量は総量で10重量%以下とする。
工用外面油の実施例についてその比較例と比較して具体
的に説明する。
オレイン酸が含有されている潤滑油に、種々の添加量で
市販試薬であるオレイン酸銅を添加して、温度を約60
℃に加温しながらこれらを混合することにより、抽伸加
工用外面油を調製した。そして、この混合初期の外面油
を銅管の外面に塗布した後、下記表1に示す条件で抽伸
機によって抽伸加工し、このときの銅管の引抜き荷重を
ロードセルによって測定すると共に、管表面の表面光沢
及び脱脂性について評価した。
面油をサンプリングし、混合初期の外面油を評価した場
合と同様の下記表1に示す条件で抽伸機によって抽伸加
工し、ロードセルによって抽伸荷重を測定した。但し、
外面油のサンプリング時においては、内面油の混入を避
けた。本実施例においては、銅管の内面油としてナフテ
ン系潤滑油を使用したが、ナフテン系潤滑油は広範囲の
温度領域において摩擦係数の変化が小さいので、外面油
の特性を評価することが容易となる。
を下記表3及び4に示す。なお、表面光沢の発生有無の
欄においては、管表面に金属光沢が発生しなかったもの
を○(良好)とし、管表面が金属光沢を帯び、焼鈍後に
管表面に引付きが発生したものを×(不良)とした。ま
た、脱脂性の評価結果欄においては、脱脂性が良好であ
り、焼鈍後に汚点が残らないものを○(良好)とし、脱
脂性が不良で焼鈍後に汚点が発生したものを×(不良)
とした。
o.1乃至10は外面油中に適正量の脂肪酸(オレイン
酸)及びオレイン酸銅が含有されているので、比較例N
o.11及び13と比較して、抽伸荷重が低い値である
と共に、表面光沢が発生せず、脱脂性も良好であった。
含有しているが、その含有量が本発明範囲の下限未満で
あるので、初期の抽伸荷重が高い値を示した。比較例N
o.12、14及び16乃至19は外面油中にオレイン
酸銅が含有されているので、初期の抽伸荷重は他の比較
例と比較すると低い値を示しているが、脂肪酸を含有し
ていないので、継続して使用した場合に、実施例No.
1乃至10に示すようにオレイン酸銅が供給されず、抽
伸荷重が上昇して潤滑性が低下した。
イン酸)が含有されているので、継続使用時には優れた
潤滑性を示すが、オレイン酸銅が含有されていないの
で、初期の抽伸荷重が高くなり、管表面に金属光沢が発
生して、焼鈍後に管の表面同士が接着した。比較例N
o.15は脂肪酸及びオレイン酸銅の総量が本発明範囲
の上限を超えているので、外面油の管外面への吸着力が
増加し、脱脂性が低下した。
鉱油及び炭化水素油からなる群から選択された少なくと
も1種の油を含有する外面油中に、所定量の脂肪酸及び
オレイン酸銅を含有するので、銅又は銅合金管の抽伸時
の摩擦係数が低下し、外面油の交換時において全量を新
油と交換しても、潤滑不良及び脱脂不良の発生を防止す
ることができる。また、脂肪酸としてオレイン酸を使用
すると、継続的に潤滑油を使用した場合においても、抽
伸荷重の上昇を抑制することができる。
オレイン酸銅の添加による摩擦係数への影響を示すグラ
フ図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 鉱油及び炭化水素油からなる群から選択
された少なくとも1種の油を含有すると共に、脂肪酸を
0.5重量%以上、オレイン酸銅を0.5重量%以上、
前記脂肪酸及びオレイン酸銅を総量で10重量%以下含
有することを特徴とする銅又は銅合金管の抽伸加工用外
面油。 - 【請求項2】 前記炭化水素油はポリブテンであり、前
記脂肪酸はオレイン酸であることを特徴とする請求項1
に記載の銅又は銅合金管の抽伸加工用潤滑油。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29900396A JP3370869B2 (ja) | 1996-11-11 | 1996-11-11 | 銅又は銅合金管の抽伸加工用外面油 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29900396A JP3370869B2 (ja) | 1996-11-11 | 1996-11-11 | 銅又は銅合金管の抽伸加工用外面油 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10140172A JPH10140172A (ja) | 1998-05-26 |
JP3370869B2 true JP3370869B2 (ja) | 2003-01-27 |
Family
ID=17866987
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29900396A Expired - Lifetime JP3370869B2 (ja) | 1996-11-11 | 1996-11-11 | 銅又は銅合金管の抽伸加工用外面油 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3370869B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2797205B1 (fr) * | 1999-08-05 | 2001-10-26 | Norbert Montoya | Procede de fabrication de tubes en cuivre, tubes obtenus par ce procede, et unite de production dans laquelle est mis en oeuvre ce procede |
JP5010212B2 (ja) * | 2006-08-28 | 2012-08-29 | 住友軽金属工業株式会社 | アルミニウム管抽伸潤滑油及びそれを用いたアルミニウム管の抽伸方法。 |
EP3115443A1 (en) * | 2015-07-07 | 2017-01-11 | Ab Nanol Technologies Oy | Organometallic salt composition, a method for its preparation and a lubricant additive composition |
-
1996
- 1996-11-11 JP JP29900396A patent/JP3370869B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10140172A (ja) | 1998-05-26 |
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