JP3370524B2 - 横結合型弾性表面波フィルタ - Google Patents

横結合型弾性表面波フィルタ

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JP3370524B2 JP25959296A JP25959296A JP3370524B2 JP 3370524 B2 JP3370524 B2 JP 3370524B2 JP 25959296 A JP25959296 A JP 25959296A JP 25959296 A JP25959296 A JP 25959296A JP 3370524 B2 JP3370524 B2 JP 3370524B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、移動体通信機器
の小型・軽量・高性能化における弾性表面波デバイスの
技術に関するものであり、特にインターディジタルトラ
ンスデューサ(IDT:Inter Digital Transducer)を
利用した弾性表面波共振器を、弾性表面波の伝搬方向に
対して垂直な方向に配置した、横結合型の弾性表面波多
重モードフィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、移動体通信機器の開発が盛んに行
われており、これらに用いられるフィルタのひとつに弾
性表面波フィルタがある。機器の小型・軽量・低価格化
に伴いこれらに用いられるデバイスへの要求も多様化し
てきている。例えば、低消費電力化のために電力増幅器
のダイナミックレンジを大きくとるために信号入出力端
子部を平衡入出力型とした場合、接続されるフィルタ側
にも同様に平衡入出力型の端子構成が要求される。
【0003】従来の横結合型の弾性表面波多重モードフ
ィルタは、特開平2−182012号公報に示されてい
るように、弾性表面波共振器を弾性表面波の伝搬方向に
対して垂直な方向に2つ近接配置し、2つの弾性表面波
共振器を音響的に結合させる構造を持つ。そして両共振
器の近接側の電極を接地し、他方の電極を入出力端子と
して使用している。この近接側端子の接地には素子の小
型化のために弾性表面波の伝搬方向のどちらか一方から
取出されたり、共振器の反射器の電極を介して行われて
いる。
【0004】また、通常の設計条件では2つの弾性表面
波共振器の近接側の電極間距離が狭いため、近接側端子
を電気的に結合し共通バスバーとして、また、この共通
バスバーの抵抗を低減することによる特性改善の手法等
が、特開昭59−21115号公報、特開昭62−47
206号公報等により示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記したような携帯電
話等の移動端末機器の小型、低価格、低消費電力化を実
現するために、部品点数の削減や電源電圧の低下が行わ
れている。このため弾性表面波多重モードフィルタに対
しても、従来は不平衡入出力端子の使用がほとんどであ
ったが、平衡入出力端子の要求が増えつつある。これら
の要望に対して、横結合型の弾性表面波多重モードフィ
ルタを使用する際、従来行われてきた改良技術(例えば
近接配置した側の接地用端子の共通化)とは逆の設計技
術が必要となってくる。そこで、この発明は、弾性表面
波多重モードフィルタの近接配置した側の端子のパター
ン設計を改善することによって、平衡入出型又は不平衡
入出力型のどちらにも対応が可能な弾性表面波多重モー
ドフィルタを提供することを課題とする。
【0006】
【問題点を解決するための手段】この発明は、圧電基板
上に、弾性表面波を励振する励振部と電気信号を入力す
る信号端子部とからなるインターディジタルトランスデ
ューサと、弾性表面波の伝搬方向と平行であってインタ
ーディジタルトランスデューサの両側に近接して配置さ
れ、かつ励振部と信号端子部とを有する反射器とからな
る弾性表面波共振器を、弾性表面波の伝搬方向に対して
垂直な方向に2つ近接配置し、結合部によって2つの弾
性表面波共振器を音響的に結合させる第1及び第2の弾
性表面波多重モードフィルタから構成される横結合型弾
性表面波フィルタであって、第1及び第2の弾性表面波
多重モードフィルタが、それぞれ第1及び第2の弾性表
面波共振器,第3及び第4の弾性表面波共振器から構成
され、前記第2の弾性表面波共振器と第3の弾性表面波
共振器とを電気的に縦属接続し、かつ各弾性表面波共振
器の結合部が電気的に分離して形成され、前記第1弾性
表面波共振器に近接した第2の弾性表面波共振器の結合
部と、前記第4弾性表面波共振器に近接した第3の弾性
表面波共振器の結合部とを構成する電極を、前記圧電基
板上で共通接続しないでそれぞれ個別に外部接地電極に
接続したことを特徴とする横結合型弾性表面波フィルタ
を提供するものである。
【0007】さらに、前記第1及び第2の弾性表面波共
振器からなる第1の弾性表面波多重モードフィルタと、
前記第3及び第4の弾性表面波共振器からなる第2の弾
性表面波多重モードフィルタの少なくとも一方におい
て、各弾性表面波共振器の結合部を弾性表面波の伝搬方
向に対して平行な方向に延長し、それぞれの弾性表面波
共振器の2つの反射器を囲むように形成してもよい。ま
た、前記第1弾性表面波共振器の結合部と、前記第4弾
性表面波共振器の結合部の少なくとも一方を、さらにそ
れぞれのインターディジタルトランスデューサの信号端
子部をも囲むように形成して電気的に接続してもよい。
【0008】また、この発明は、前記第1弾性表面波共
振器と第2弾性表面波共振器、及び前記第3弾性表面波
共振器と第4弾性表面波共振器は、それぞれ少なくとも
一方の共振器における信号端子部,励振部及び結合部
が、次式 Vm>Vgap≧Vidt (Vm:信号端子部を伝搬する表面波速度, Vgap:結合部を伝搬する表面波速度, Vidt:励振部を伝搬する表面波速度) の関係が成立するようにパターン形成したことを特徴と
するものである。ここで、前記各弾性表面波共振器の結
合部の形状が、インターディジタルパターン,くし形パ
ターンまたは浮き電極状パターンのようにしてもよい。
【0009】図1に示すように、この発明の横結合形弾
性表面波フィルタ1は、縦属接続された2つの弾性表面
波多重モードフィルタ10,20からなる。ここで、縦
属接続とは、弾性表面波の伝搬方向に垂直な方向に並べ
て、電気的に接続することを意味する。電気的に接続す
る場合には、第1弾性表面波多重モードフィルタ10の
第2の弾性表面波共振器12と第2弾性表面波多重モー
ドフィルタ20の第3の弾性表面波共振器21のそれぞ
れのインターディジタルトランスデューサ(以下、ID
T101という)の信号端子部103の一部を接続すれ
ばよい。
【0010】弾性表面波多重モードフィルタ(10,2
0)は、それぞれ2つの弾性表面波共振器(11,1
2),(21,22)からなり、これらを弾性表面波の
伝搬方向に対して垂直な方向に電気的に分離して近接配
置したものである。弾性表面波共振器は、通常、圧電基
板上に接着された金属材料で作られるが、2つの弾性表
面波共振器の近接配置された部分で、一方の弾性表面波
共振器で生成された弾性表面波を音響的に結合させて他
方の弾性表面波共振器に伝達させる。この意味で、それ
ぞれの弾性表面波共振器の近接配置された部分を結合部
と呼ぶ。すなわち、2つの弾性表面波共振器(11と1
2),(21と22)の結合部105は、近接している
が互いに電気的には分離している。
【0011】弾性表面波共振器11,12,21,22
は、IDT101と、弾性表面波の伝搬方向と平行な方
向であってIDTの両側に近接配置された2つの反射器
102とからなる。IDT101及び反射器102は、
どちらも励振部104と信号端子部103とから構成さ
れ、通常中央部分に励振部104があり、その両側に信
号端子部103が存在する。前記したように2つの弾性
表面波共振器(11と12),(21と22)は近接配
置されるが、互いに近接させられる一方の信号端子部
が、前記した結合部105を形成する。IDT101と
反射器102は、この結合部105で電気的に接続され
る。
【0012】IDT及び反射器の励振部104及び信号
端子部103は、アルミニウムAl,金Au,銅Cu,
チタンTiなどの金属材料を用いることが多い。IDT
の励振部104は、通常用いられるIDTと同様に一定
間隔で配置された複数個の電極指から構成される。電極
指は、信号端子部103に電気的に接続されたすだれ状
の電極と、前記結合部105に電気的に接続されたすだ
れ状の電極であって、これらのすだれ状の電極が交互に
一定間隔で配置されることによって表面弾性波を励振す
る励振部104が構成される。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面に示す実施の形態に基
づいてこの発明を詳述する。なお、これによってこの発
明が限定されるものではない。第1実施例 図2に、この発明の横結合型の弾性表面波フィルタの第
1実施例のパターン構成図を示す。これは入出力端子が
「平衡型」となったフィルタである。ここで、第1弾性
表面波共振器11(以下、弾性表面波共振器を共振器と
いう)と、第2共振器12のそれぞれの結合部を近接配
置し、第3共振器21と第4共振器22のそれぞれの結
合部を近接配置する。そして、第2共振器12と第3共
振器21とは金属材料の電極によって縦属接続される。
【0014】外部回路と接続するために電極が設けられ
るが、それぞれの共振器の結合部105と電気的に接続
され、かつ反射器102の両側であって、外方向に延び
た信号電極b1,a2,b3,a4が独立して設けられ
る。ここで、各信号電極b1,a2,b3,a4は電気
的に分離され、信号電極a2とb3は、それぞれ独立し
て接地される。
【0015】各共振器のIDTの信号端子部には、信号
端子a1,b2,a3,b4が設けられる。信号端子b
2とa3とは電気的に接続され、前記した縦属接続のた
めの端子である。また、第1共振器の信号端子a1と電
極b1は入力端子を構成し、第4共振器の電極a4と信
号端子b4は出力端子を構成する。このように構成する
ことで、入力端子(a1,b1)及び出力端子(a4,
b4)をともに「平衡型」とすることができる。
【0016】IDT101は、図2に示すように、一定
間隔で配置された複数個のすだれ状電極からなる励振部
104と信号端子が接続された信号端子部103から構
成される。反射器102は、信号端子部103と、信号
端子部で電気的に接続され一定間隔で紙面の上下方向に
延びた等長の細長い電極からなる励振部104とから構
成される。
【0017】また、これらのIDT,反射器,信号端子
にはAl等の金属材料が用いられ、金属材料を水晶など
の圧電基板上に図2のように形成させることによって横
結合型弾性表面波フィルタが作られる。ここで、圧電基
板の大きさは、2mm×5mm程度である。第1共振器と第
2共振器の結合部の間隔、及び第3共振器と第4共振器
の結合部の間隔は、共に約1λ(λは共振器の周期)程
度である。信号端子b2,a3によって形成される縦属
接続部分の大きさは、紙面の上下方向の幅が0.4mm,
左右方向の幅が0.2mm程度である。入力信号端子a
1,出力信号端子b4は、0.2mm×0.2mm程度とす
ればよい。信号電極b1,a2,b3,a4は、図2に
示すようにフィルタ全体の形状を小型化するために、長
方形状とすることが好ましい。この長方形状は、たとえ
ば0.2mm×0.5mm程度で、反射器の端面と各信号電
極までの距離は0.1mm程度とすればよい。
【0018】第1実施例の具体例として、次のようなフ
ィルタを作成した。 圧電基板:水晶基板 IDTの電極周期λ:12.8μm IDTのすだれ電極の線幅:3.2μm IDTのすだれ電極の間隔:3.2μm IDTのすだれ電極の膜厚:0.33μm IDTの電極対数:220対 反射器の電極対数:75対 IDTの励振部の紙面の上下方向の幅:5λ 各共振器の信号端子部の紙面の上下方向の幅:200μ
m 各共振器の結合部の紙面の上下方向の幅:12μm 各共振器の結合部の間の間隔:1μm IDT,反射器,信号端子の材料:Al及びAl系(C
u,Siなど)合金
【0019】図3に、上記のような構成を有する図2に
示した「平衡型」のフィルタの周波数帯域特性図を示
す。ここで、中心周波数248MHz,通過帯域幅0.
25MHz、信号損失6dB程度の特性を持つフィルタ
が得られた。これは、移動体通信機器で用いられる横結
合型の弾性表面波多重モードフィルタとしては、十分要
求を満足するものである。なお、この第1実施例におい
て、信号電極b1,a2,b3,a4の形状は、図2に
限定するものではなく、他の形状としてもよい。
【0020】また、この第1実施例において、信号端子
a1を入力端子とし、信号端子b4を出力端子として、
さらに信号電極b1,a2,b3,a4をすべて独立し
て接地すれば、次に説明するような「不平衡型」のフィ
ルタを形成することができる。すなわち、第1実施例で
は、平衡型のフィルタとしての実施例を示したが、電極
及び信号端子の取扱いによって、この発明の横結合型弾
性表面波フィルタは平衡型又は不平衡型としても使用す
ることができる。
【0021】第2実施例 図4に、この発明の横結合型の弾性表面波フィルタの第
2実施例のパターン構成図を示す。これは、入出力端子
が「不平衡型」となったフィルタである。図4におい
て、IDT,反射器及び信号端子a1,b2,a3,b
4の部分は、図2に示したフィルタと同一構造で作るこ
とができる。
【0022】図2に示した第1実施例と異なる点は、信
号端子a1が入力端子であり、信号端子b4が出力端子
である点、信号電極b1,a2,b3,a4がそれぞれ
独立して接地される点である。信号端子b2,a3は、
第1実施例と同様に縦属接続部分を形成する。このよう
に、信号端子,電極を配置し、さらに接地することによ
って、不平衡入出力型のフィルタを実現することができ
る。
【0023】図4において、第1共振器の信号電極b
1,第3共振器の信号電極b3は、それぞれ結合部を左
方へ延長した長方形状のパターンとしている。また、第
2共振器の信号電極a2,第4共振器の信号電極a4
は、それぞれ結合部を右方へ延長した長方形状のパター
ンとしている。これらの長方形状のパターンは、いずれ
も反射器の端面から0.1mm程度離れた位置に、0.2
mm×0.5mm程度の大きさとすることができる。ただ
し、図2と同様に、各信号電極の形状は、このような長
方形状に限るものではない。
【0024】図5に、図4に示した「不平衡型」のフィ
ルタの帯域周波数特性図を示す。ここで、中心周波数2
48MHz,通過帯域幅0.25Hz,信号損失6dB
程度の特性を持ち、前記した図3の平衡型と同様に、実
用上十分満足のいくフィルタが得られた。
【0025】また、この第2実施例において、信号電極
b1と信号端子a1を入力端子、信号電極a4と信号端
子b4を出力端子とし、さらに信号電極a2とb3をそ
れぞれ独立して接地することによって、第1実施例と同
様の「平衡型」のフィルタを形成することができる。す
なわち、この第2実施例の構成でも、「平衡型」と「不
平衡型」の両方に対応したフィルタを構成することがで
きる。
【0026】第3実施例 第1実施例及び第2実施例において、どちらも、第1共
振器と第2共振器が近接している結合部、及び第3共振
器と第4共振器が近接している結合部の端面は、紙面の
左右方向に平行な一様なパターン(図6(d))として
いたが、図6(a),(b),(c)に示すようなパターンと
することもできる。図6(a)は、この結合部のパター
ンを「インターディジタルパターン」としたもの、図6
(b)は、一方の共振器の結合部から他方の結合部に延
長した「くし形のパターン」、図6(c)は、両結合部
のほぼ中央に電気的に分離された「浮き電極」を配置し
たパターンを示している。
【0027】このような図6に示した構成においても、
各共振器の結合部が、電気的に分離されているため、図
2のような「平衡型」、図4のような「不平衡型」のど
ちらのタイプのフィルタとしても構成することができ
る。図6(a)のように、結合部を「インターディジタ
ルパターン」とした場合、一様な電極パターンである信
号端子部を伝搬する弾性表面波の速度をVm,励振部を
伝搬する弾性表面波の速度をVidt,インターディジ
タルパターンの結合部を伝搬する弾性表面波の速度をV
gapとしたとき、Vm>Vgap≧Vidtとなる関
係が成立する。
【0028】このとき、伝搬する弾性表面波の音響結合
の状態が改善され、出力端子に取り出される弾性表面波
の帯域幅を拡大することができる。帯域幅が拡大される
ことによって、ディジタルシステムへの応用という点に
おいてすぐれたフィルタを得ることができる。
【0029】結合部の具体例として、インターディジタ
ルパターンのすだれ電極の幅を3.2μm,すだれ電極
の間隔を3.2μm,結合部の紙面の上下方向の幅を1
1μmとしたとき、 信号端子部の速度Vm=3149m/s 励振部の速度Vidt=3092m/s 結合部の速度Vgap=3109m/s となり、Vm>Vgap>Vidtとなる。
【0030】図7(a),(b)にフィルタの帯域周波
数特性の比較図を示す。図7(a)は、この発明の図2
のフィルタの帯域周波数特性であり、図7(b)は、結
合部を図6(b)に示した「インターディジタルパター
ン」とした場合のフィルタの帯域周波数特性である。図
7(a)の3dB帯域幅は、約230KHzであり、図
7(b)の3dB帯域幅は、約280KHzである。す
なわち、結合部をインターディジタルパターンとしたこ
とによって、帯域幅は約1.2倍となったことがわか
る。
【0031】なお、図6(b),図6(c)のようなパ
ターンとする場合にも、図6(a)と同様に、Vm>V
gap≧Vidtとすることができ、帯域幅の拡大とい
う効果が得られる。
【0032】第4実施例 図8に、この発明の横結合部の弾性表面波フィルタの第
4実施例のパターン構成図を示す。ここで、図2と比べ
て、信号電極b1,a2,b3,a4の形状が異なる。
第1共振器の結合部のパターンを左右に延長した信号電
極b1を第1共振器の2つの反射器を囲むように形成
し、信号端子a1と同じ側に信号電極b1を配置する。
【0033】同様に、信号電極a2,b3,a4も、そ
れぞれ第2共振器,第3共振器,第4共振器の反射器を
囲むように形成し、それぞれ信号端子b2,a3,b4
と同じ側に配置する。ただし、各反射器を完全に囲むよ
うに形成する必要はなく、信号電極b1,a2,b3,
a4の一部が、それぞれ信号端子a1,b2,a3,b
4と同じ側にあればよい。このようにパターンを形成す
れば、図2に比べてフィルタの面積を小型化することが
できる。
【0034】たとえば、図8において、反射器の左右に
ある信号電極b1,a2,b3,a4の幅も含み各共振
器の紙面の左右方向の幅を0.1mm,第2共振器と第3
共振器の信号端子部103の間隔dを0.4mm,信号端
子b1,a2,b3,a4の紙面の上下方向の幅wを
0.15mm程度とすることができる。このとき、図2の
フィルタが2mm×5mmであるのに対し、図8では、2mm
×4mmの圧電基板上にフィルタを形成できるので、約8
0%の面積とすることができる。なお、図8において、
各信号端子から出た結線eは、外部回路と接続するため
のワイヤを示している。
【0035】図10にこの第4実施例のフィルタの帯域
周波数特性を示す。この場合も、図2とほぼ同様の特性
を得ることができた。また、結合部105のパターンを
図6に示したどれかのパターンとすることによって、第
3実施例と同様に帯域幅を拡大することができる。
【0036】第5実施例 図9に、この発明の横結合型の弾性表面波フィルタの第
5実施例のパターン構成図を示す。ここで、図8の第4
実施例と比べて、信号電極b1,a4のパターンが、完
全に各共振器を囲んでいる点が異なる。すなわち、第1
共振器において、信号端子a1の側にまで延長した信号
電極b1を信号端子a1の外側で電気的に接続させるよ
うに配線する。同様に、信号電極a4を、第4共振器の
信号端子b4の外側で電気的に接続させるように配線す
る。
【0037】このようにすれば、図9に示すように、外
部回路接続用のワイヤボンディング数又はパット数を、
図8のワイヤボンディング数よりも少なくすることがで
きる。したがって、製造工数が減少し、且つ、平衡、不
平衡入出力端子構成も容易になるという効果が得られ
る。
【0038】図11に、この第5実施例のフィルタの帯
域周波数特性を示す。この場合も、図2とほぼ同様の特
性を得ることができた。図12に、平衡入出力端子構成
した場合に、信号電極a2,b3を独立して接地した場
合と、接地しない場合の特性差を示す。独立して接地す
ることで、阻止域減衰量を確保できることがわかる。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、近接配置した各弾性表
面波共振器を互いに電気的に分離して構成し、さらにこ
れらの共振器からなる弾性表面波多重モードフィルタを
縦属接続し、各端子の接続条件を最適化することで、フ
ィルタとして平衡、不平衡の入出力端子構成を容易に実
現することができる。さらに、近接配置した共振器の結
合部を伝搬する弾性表面波の速度を調整することで、帯
域幅の拡大を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の横結合型弾性表面波フィルタの基本
構成図である。
【図2】この発明の第1実施例のパターン構成図であ
る。
【図3】この発明の第1実施例の帯域周波数特性図であ
る。
【図4】この発明の第2実施例のパターン構成図であ
る。
【図5】この発明の第2実施例の帯域周波数特性図であ
る。
【図6】この発明の第3実施例における結合部のパター
ン構成図である。
【図7】この発明の第3実施例の帯域周波数特性図であ
る。
【図8】この発明の第4実施例のパターン構成図であ
る。
【図9】この発明の第5実施例のパターン構成図であ
る。
【図10】この発明の第4実施例の帯域周波数特性図で
ある。
【図11】この発明の第5実施例の帯域周波数特性図で
ある。
【図12】この発明において、信号電極a2,b3を独
立して接地/独立して接地しない場合の特性比較図であ
る。
【符号の説明】
1 横結合型弾性表面波フィルタ 10 第1弾性表面波多重モードフィルタ 11 第1弾性表面波共振器 12 第2弾性表面波共振器 20 第2弾性表面波多重モードフィルタ 21 第3弾性表面波共振器 22 第4弾性表面波共振器 101 IDT 102 反射器 103 信号端子部 104 励振部 105 結合部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上田 政則 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1 番1号 富士通株式会社内 (72)発明者 遠藤 剛 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1 番1号 富士通株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−160669(JP,A) 特開 平7−58584(JP,A) 特開 昭62−47206(JP,A) 特開 平2−81511(JP,A) 特開 平2−182012(JP,A) 特開 平3−258108(JP,A) 実開 平4−31826(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03H 9/64 H03H 9/145

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電基板上に、弾性表面波を励振する励
    振部と電気信号を入力する信号端子部とからなるインタ
    ーディジタルトランスデューサと、弾性表面波の伝搬方
    向と平行であってインターディジタルトランスデューサ
    の両側に近接して配置され、かつ励振部と信号端子部と
    を有する反射器とからなる弾性表面波共振器を、弾性表
    面波の伝搬方向に対して垂直な方向に2つ近接配置し、
    結合部によって2つの弾性表面波共振器を音響的に結合
    させる第1及び第2の弾性表面波多重モードフィルタか
    ら構成される横結合型弾性表面波フィルタであって、 第1及び第2の弾性表面波多重モードフィルタが、それ
    ぞれ第1及び第2の弾性表面波共振器,第3及び第4の
    弾性表面波共振器から構成され、前記第2の弾性表面波
    共振器と第3の弾性表面波共振器とを電気的に縦属接続
    し、かつ各弾性表面波共振器の結合部が電気的に分離し
    て形成され、 前記第1弾性表面波共振器に近接した第2の弾性表面波
    共振器の結合部と、前記第4弾性表面波共振器に近接し
    た第3の弾性表面波共振器の結合部とを構成する電極
    を、前記圧電基板上で共通接続しないでそれぞれ個別に
    外部接地電極に接続したことを特徴とする横結合型弾性
    表面波フィルタ。
  2. 【請求項2】 前記第1及び第2の弾性表面波共振器の
    それぞれの少なくとも一方の結合部、ならびに前記第3
    及び第4の弾性表面波共振器のそれぞれの少なくとも一
    方の結合部が、弾性表面波の伝搬方向に対して平行な方
    向に延長され、それぞれの弾性表面波共振器の2つの反
    射器を囲むように形成されたことを特徴とする請求項1
    記載の横結合型弾性表面波フィルタ。
  3. 【請求項3】 前記第1弾性表面波共振器の結合部と、
    前記第4弾性表面波共振器の結合部との少なくとも一方
    が、さらにそれぞれのインターディジタルトランスデュ
    ーサの信号端子部をも囲むように形成されて電気的に接
    続されたことを特徴とする請求項2記載の横結合型弾性
    表面波フィルタ。
  4. 【請求項4】 前記第1弾性表面波共振器と第2弾性表
    面波共振器、及び前記第3弾性表面波共振器と第4弾性
    表面波共振器は、それぞれ少なくとも一方の共振器にお
    ける信号端子部,励振部及び結合部が、次式 Vm>Vgap≧Vidt (式中、Vm:信号端子部を伝搬する表面波速度, Vgap:結合部を伝搬する表面波速度, Vidt:励振部を伝搬する表面波速度を意味する) の関係が成立するようにパターン形成されてなることを
    特徴とする請求項1から3のいずれかに記載した横結合
    型弾性表面波フィルタ。
  5. 【請求項5】 前記各弾性表面波共振器の結合部の形状
    が、インターディジタルパターン,くし形パターンまた
    は浮き電極状パターンであることを特徴とする請求項1
    〜4のいずれかに記載した横結合型弾性表面波フィル
    タ。
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