JP3368671B2 - Lc複合部品およびその製造方法 - Google Patents

Lc複合部品およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、誘電体セラミック部分
と磁性体セラミック部分とが一体焼成された、LC複合
部品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から集中定数型のパッシブフィルタ
ーとしては、一般的に、インダクタLとコンデンサCを
互いに組み合わせた積層型のLC複合部品が用いられて
いる。このLC複合部品は、磁性体グリ−ンシ−トおよ
び誘電体グリ−ンシ−トのそれぞれを積層した積層体、
すなわちインダクタとなる磁性体部とコンデンサとなる
誘電体部、を互いに重ね合わせたうえで一体焼成したセ
ラミックを備えている。
【0003】ところで、各種誘電体材料のうち、磁性体
材料と直接に一体焼成できる材料は限られている。しか
しながら、LC複合部品の需要者側では、あらゆる種類
の誘電体材料が、LC複合部品におけるセラミックの誘
電体部分を構成するために用いられることが望まれてい
る。誘電体セラミックの成形体と磁性体セラミックの成
形体とを一体焼成させる技術を採用しながらも、このよ
うな要望に応えるためには、誘電体セラミックの成形体
と磁性体セラミックの成形体との間に、適当な中間層を
介在させる手法が有効であると考えられている。
【0004】これに関連する技術として、以下のような
ものがある。例えば、特開昭59−90915号公報で
は、複合部品ではないが、コンデンサ単独またはインダ
クタ単独の積層部品に関し、誘電体、ガラス等の絶縁
体、磁性体およびこれらと金属粉末の混合物より選ばれ
た材料からなる中間層を、誘電体または磁性体と内部電
極金属との間に介在させることが開示されている。この
場合、中間層は、誘電体または磁性体と内部電極金属と
の熱膨張係数の差により生じる応力を緩和することを目
的としている。
【0005】また、特開昭58−172804号公報、
特公昭59−33247号公報においては、LC複合部
品における誘電体セラミック部分と磁性体セラミック部
分との界面に中間層を介在させることが記載されてい
る。この中間層には、前述した中間層とほぼ同様の材料
が用いられている。ここでも、中間層は、誘電体セラミ
ック部分と磁性体セラミック部分との熱膨張係数の差に
より生じる応力を緩和することをを目的としている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】一般に、LC複合部品
において、誘電体セラミックの成形体と磁性体セラミッ
クの成形体とを接合し、一体焼成する場合、両材料部分
の界面を通して相互拡散が生じ易く、誘電体および磁性
体の双方において特性が変化してしまうことが多い。ま
たLC複合部品における、誘電体セラミック部分と磁性
体セラミック部分との接合性は、これらセラミック成分
の拡散量や拡散距離に支配されることが多い。このた
め、これらセラミックの特性を劣化させず、良好な接合
性を得るためには、相互拡散の適切な制御が必要であ
る。
【0007】前述した従来技術において用いられる中間
層は、確かに応力緩和作用を示し、一体焼成された誘電
体セラミックと磁性体セラミックとの界面におけるクラ
ックを防止できる効果を有する。しかしながら、この中
間層の応力緩和に対する効果と相互拡散制御効果とは異
質である。従って、そのような中間層において、たとえ
応力緩和に対する効果が認められても、相互拡散の制御
に対しては必ずしも効果が認められるとは限らない。相
互拡散を制御するためには、接合する誘電体によって中
間層の組成も限定されるはずである。
【0008】ここで、従来技術のうち、中間層として金
属を用いると、拡散種が通過してしまい、また混合粉末
を用いると、相互拡散の制御に対する効果は少ないもの
と考えられる。また、ガラスを含む誘電体に、そのガラ
スと反応しにくい磁器組成物を中間層として使用して
も、ガラスは中間層を通過してしまい中間層の効果は得
られない。
【0009】そこで、本発明の目的は、ガラスを含む誘
電体セラミック部分と磁性体セラミック部分とが一体焼
成さたものからなり、ガラスを含む誘電体セラミック部
分と磁性体セラミック部分の接合強度が強く、かつ、誘
電体セラミック部分と磁性体セラミック部分の接合部で
生じる相互拡散を制御した、LC複合部品およびその製
造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のLC複合部品は、ガラスを含有する誘電体
セラミック部分と磁性体セラミック部分とが一体焼成さ
れたものからなり、ガラスを含有する誘電体セラミック
部分と、磁性体セラミック部分との間に、BaOが15
〜40モル%、TiO2 が60〜85モル%からなるセ
ラミックおよび前記誘電体セラミック部分に含有されて
いるガラスが存在することを特徴とする。また、本発明
のLC複合部品の製造方法は、ガラスを含有する誘電体
セラミック成形体と、磁性体セラミック成形体との間
に、BaOを15〜40モル%、TiO2 を60〜85
モル%含有する成形体を挟んで、一体焼成することを特
徴とする。
【0011】
【作用】本発明のLC複合部品は、ガラスを含む誘電体
セラミックの成形体と磁性体セラミックの成形体との間
に、誘電体セラミック中のガラスと良好に反応する成形
体を中間層として設けて一体焼成したものである。した
がって、焼成過程で、中間層は、誘電体側からフェライ
ト側に拡散してくるガラスと反応し、良好な接合性に必
要な一定量のガラスのみをフェライト側に拡散させる。
【0012】具体的には、中間層としてBaOを15〜
30モル%、TiO2 を70〜85モル%からなる組成
物を用いることにより、誘電体中のガラスの拡散および
これに伴うフェライト側からのフェライト成分の拡散を
制御できる。
【0013】また、中間層の厚みを変化させることによ
り、相互拡散の量を制御することができ、LC複合部品
の接合性と電気特性を最適に保つことが可能となる。
【0014】さらに、ガラスを含有する誘電体セラミッ
クは低温焼結に有利なだけでなく、ガラスの屈服点以上
では残留応力が無視できるため、ガラスが介在しない固
相反応による接合と比較して、接合面にかかる応力が著
しく低減する。
【0015】
【実施例】以下、本発明のLC複合部品およびその製造
方法について、その実施例を示す。まず、誘電体材料と
して、0.08BaO−0.07PbO−0.27Nd
23 −0.58Ti02 系材料にBaO−SiO2
ガラスを20wt%添加した材料系を用い、磁性体材料
として、Ni−Zn−Cuフェライトを用いた。また中
間層として0.15BaO−0.85TiO2 、0.2
5BaO−0.75TiO2 、0.40BaO−0.6
0TiO2 および0.50BaO−0.50TiO2
組成からなる表1に示す試料No.1〜4の4種類の材
料を用いた。そして、上記それぞれの材料について、適
当量のバインダ、可塑剤、溶剤を加え、混練してスラリ
−を得た。
【0016】
【表1】
【0017】次に、これらスラリ−を用い、ドクタ−ブ
レ−ド法により厚さ100μm以下のセラミックグリー
ンシートを得た。次に、得られたそれぞれのセラミック
グリ−ンシ−トを縦12mm、横12mmの寸法にカッ
トし、誘電体グリ−ンシ−トには静電容量取得のための
容量電極パタ−ンを、磁性体グリ−ンシ−トにはインダ
クタンス取得のためのコイル電極パタ−ンを、それぞれ
Agペ−ストで印刷した。
【0018】その後、誘電体グリ−ンシ−トと磁性体グ
リ−ンシ−トとの間に、試料No.1〜4の4種類の材
料からなる中間層グリーンシートをそれぞれ挟んで積み
重ね、3mmの厚さに圧着して4種類の積層体を得た。
このとき各中間層の厚みは30μmとし、誘電体部分の
厚みと磁性体部分の厚みは同等とした。また、電気特性
の比較を行うために、上記積層体で中間層を除いた積層
体を作製した。さらに、容量電極パターンを形成した誘
電体グリーンシートのみを上記積層体の誘電体部分と同
じ厚みに積み重ねて圧着した積層体、およびコイル電極
パターンを形成した磁性体グリーンシートのみを上記積
層体の磁性体部分と同じ厚みに積み重ねて圧着した積層
体も同時に作製した。
【0019】次に、得られた各積層体を900℃で2時
間焼成して焼成体を得た。そして各焼成体の容量電極あ
るいはコイル電極が露出している端部に、Agの粉末に
ガラスフリットと有機ビヒクルを加えて分散させた電極
ペ−ストを塗布し、800℃で30分焼き付けて外部電
極を形成した。このようにして、中間層を有する4種類
のLC複合部品および比較のための中間層を有しないL
C複合部品、C部品、L部品を完成させた。図1に中間
層を有するLC複合部品の斜視図を示す。同図におい
て、1は内部に容量電極を有する誘電体セラミック部
分、2は内部にコイル電極を有する磁性体セラミック部
分、3は中間層、4は外部電極を示す。
【0020】次に、中間層を有する4種類のLC複合部
品について、その中間層部分での接合性を確認した。即
ち、LC複合部品を中間層を含んだ状態で中間層に垂直
に2mm角にカットして得た50個のサンプルについ
て、中間層に垂直な方向での引っ張り試験を行なった。
その結果、4種類のLC複合部品をカットして得られた
サンプルすべてについて、引っ張り強度は5kgf以上
で、その破壊モードは磁性体部分の破壊を示し、誘電体
セラミック部分と磁性体セラミック部分の間の中間層で
良好な接合強度を示した。
【0021】さらに、誘電体セラミックと磁性体セラミ
ックの相互拡散の程度の確認を、EDX分析と誘電体、
磁性体の電磁気特性を測定して行なった。表2にその結
果を示す。なお、同表において、試料No1〜3が本発
明の範囲内のものであり、その他の*印を付したものは
範囲外のものである。また、EDX分析は中間層に垂直
な切断面について行ない、拡散距離は中間層から誘電
体、磁性体の各成分のカウント数が分析装置の精度の誤
差範囲に入る点までとし、各々複数の拡散成分のうち最
も拡散距離が大きいものについての値を表2に示した。
【0022】
【表2】
【0023】表2より明らかな通り、誘電体部分と磁性
体部分との間に、BaOが15〜40モル%、TiO2
が60〜85モル%からなる中間層を設けて焼成するこ
とにより、試料No.1〜3のように誘電体および磁性
体の各成分の拡散は、中間層を設けていない試料No.
5の場合の500〜800μmと比較して、10μm以
下と大幅に抑制されている。また電磁気特性も劣化する
ことなく、単体のC部品の試料No.6およびL部品の
試料No.7と同等の特性を示している。
【0024】なお、中間層の組成として、BaOが40
モル%を超えてTiO2 が60モル%未満になると、試
料No.4に示すように、誘電体および磁性体の各成分
の拡散距離が300〜500μmと、中間層を設けてい
ない試料No.5の場合に近づき、誘電体および磁性体
の各成分の拡散を防止する効果がほとんど得られない。
また、電磁気特性も劣化傾向を示し、特にインダクタン
ス特性の劣化が著しい。さらに、中間層の組成として、
BaOが15モル%未満でTiO2 が85モル%を超え
ると焼結不足となる。
【0025】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
LC複合部品およびその製造方法は、ガラスを含有する
誘電体セラミック部分と磁性体セラミック部分との間
に、セラミックと誘電体セラミックに含有しているガラ
スとで中間層を形成したものである。この中間層によ
り、ガラスを含む誘電体セラミック部分と磁性体セラミ
ック部分との接合強度が強く、かつ、誘電体セラミック
部分と磁性体セラミック部分の接合部で生じる相互拡散
を制御した一体焼成体からなるLC複合部品を得ること
ができる。
【0026】また、本発明の製造方法によれば、ガラス
を含有する種々の誘電体と磁性体とを接合させることが
でき,誘電体材料選択の幅が広がり、多くの種類のLC
複合部品を得ることがより容易となる。
【0027】また、本発明のLC複合部品は、誘電体セ
ラミック部分と磁性体セラミック部分が、電磁気特性が
劣化することなく強固に接合しているため、LC複合部
品としての信頼性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の中間層を有するLC複合部品の一実施
例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 誘電体セラミック部分 2 磁性体セラミック部分 3 中間層 4 外部電極

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラスを含有する誘電体セラミック部分
    と磁性体セラミック部分とが一体焼成されたものからな
    り、ガラスを含有する誘電体セラミック部分と、磁性体
    セラミック部分との間に、BaOが15〜40モル%、
    TiO2 が60〜85モル%からなるセラミックおよび
    前記誘電体セラミック部分に含有されているガラスが存
    在することを特徴とするLC複合部品。
  2. 【請求項2】 ガラスを含有する誘電体セラミック成形
    体と、磁性体セラミック成形体との間に、BaOを15
    〜40モル%、TiO2 を60〜85モル%含有する成
    形体を挟んで、一体焼成することを特徴とするLC複合
    部品の製造方法。
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