JP3364092B2 - 炭素−炭素二重結合を有する化合物の重合制御方法 - Google Patents
炭素−炭素二重結合を有する化合物の重合制御方法Info
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭素−炭素二重結
合を有する化合物(A)の重合制御方法に関し、さらに
詳細には、炭素−炭素二重結合を有する化合物(A)
を、ラジカル発生剤を重合開始剤として重合するに際
し、酸素を発生する化合物を化合物(A)および重合開
始剤を含む重合前駆液に添加する重合制御方法に関する
ものである。
合を有する化合物(A)の重合制御方法に関し、さらに
詳細には、炭素−炭素二重結合を有する化合物(A)
を、ラジカル発生剤を重合開始剤として重合するに際
し、酸素を発生する化合物を化合物(A)および重合開
始剤を含む重合前駆液に添加する重合制御方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】炭素−炭素二重結合を有する化合物
(A)の重合に際しては、「通常の作業環境温度下(0
〜50℃)での調製した液の保存安定性(以下、これを
《目的A》と略記)と重合させる際の重合速度の安定性
(以下、これを《目的B》と略記)」は重要である。
(A)の重合に際しては、「通常の作業環境温度下(0
〜50℃)での調製した液の保存安定性(以下、これを
《目的A》と略記)と重合させる際の重合速度の安定性
(以下、これを《目的B》と略記)」は重要である。
【0003】一般に《目的B》を含めて単量体として使
用する化合物(A)を重合させる際の反応速度の制御
は、該単量体の濃度と重合雰囲気の温度が一定の場合、
窒素置換や脱酸素剤の添加などで溶存酸素(DO)を可
能な限り除去し、開始剤濃度、還元剤、触媒の併用など
で調節するのが常套手段である。例えば、含硫黄系還元
剤と酸化剤とからなる重合開始によるアクリル酸塩の重
合に際して、ある程度重合が進行したのち、酸化剤処理
することにより重合または架橋反応を制御する方法(特
開昭62−240306号公報)、亜鉛、カドミウム、
または水銀のハロゲン化物を触媒として用い、重合開始
剤の存在下に原子団転移重合によるアクリレート類の重
合に際して、遊離ヨウ素を併用することにより分子量分
布の狭いアクリレートポリマーを得る方法(特開平7−
258310号公報)、反応押出法による非溶媒中のア
クリル系単量体の重合に際して、単量体中の溶存酸素濃
度を限定し、第三級ホスファイト化合物および重合開始
剤とともにスクリュー押出機に供給して加熱分解させ、
酸素阻害反応による重合転化率の低下およびオリゴマー
の生成を実質的に排除してアクリル系重合体を重合押出
する方法(特開平7−173206号公報)などが知ら
れている
用する化合物(A)を重合させる際の反応速度の制御
は、該単量体の濃度と重合雰囲気の温度が一定の場合、
窒素置換や脱酸素剤の添加などで溶存酸素(DO)を可
能な限り除去し、開始剤濃度、還元剤、触媒の併用など
で調節するのが常套手段である。例えば、含硫黄系還元
剤と酸化剤とからなる重合開始によるアクリル酸塩の重
合に際して、ある程度重合が進行したのち、酸化剤処理
することにより重合または架橋反応を制御する方法(特
開昭62−240306号公報)、亜鉛、カドミウム、
または水銀のハロゲン化物を触媒として用い、重合開始
剤の存在下に原子団転移重合によるアクリレート類の重
合に際して、遊離ヨウ素を併用することにより分子量分
布の狭いアクリレートポリマーを得る方法(特開平7−
258310号公報)、反応押出法による非溶媒中のア
クリル系単量体の重合に際して、単量体中の溶存酸素濃
度を限定し、第三級ホスファイト化合物および重合開始
剤とともにスクリュー押出機に供給して加熱分解させ、
酸素阻害反応による重合転化率の低下およびオリゴマー
の生成を実質的に排除してアクリル系重合体を重合押出
する方法(特開平7−173206号公報)などが知ら
れている
【0004】これらの手段は、重合反応の反応速度が次
式(1)により記述でき、容易に理論的取り扱いが可能
であり、重合反応の制御が可能なためである。 〔式中、Rp 、Kp 、Kt 、[M]はそれぞれ重合速
度、重合速度定数、停止速度定数、モノマー濃度を、K
d 、f、[I]はそれぞれ開始剤の分解速度定数、重合
反応に寄与するラジカルの発生効率、濃度を表す。〕
式(1)により記述でき、容易に理論的取り扱いが可能
であり、重合反応の制御が可能なためである。 〔式中、Rp 、Kp 、Kt 、[M]はそれぞれ重合速
度、重合速度定数、停止速度定数、モノマー濃度を、K
d 、f、[I]はそれぞれ開始剤の分解速度定数、重合
反応に寄与するラジカルの発生効率、濃度を表す。〕
【0005】式(1)において、酸素は各速度定数Kお
よび開始剤効率fにそれぞれ独立に影響を及ぼす。すな
わち、酸素は、重合反応の様々な素反応に独立に影響を
及ぼし、系全体ではその影響はより複雑なものとなる。
また、開始剤濃度で重合速度を制御する場合、あらゆる
温度条件下で同傾向の制御しかできない。すなわち、あ
る温度下での重合速度を増加(減少)させると、別のあ
らゆる温度下での重合速度も増加(減少)する。従っ
て、《目的A》と《目的B》の両立は困難であり、《目
的A》の代替手段として、「調製した液の保存は通常の
作業環境温度よりもかなり低い温度で行うこと」もしく
は「開始剤を重合させる直前に添加すること」で対応し
ているのが現状である。
よび開始剤効率fにそれぞれ独立に影響を及ぼす。すな
わち、酸素は、重合反応の様々な素反応に独立に影響を
及ぼし、系全体ではその影響はより複雑なものとなる。
また、開始剤濃度で重合速度を制御する場合、あらゆる
温度条件下で同傾向の制御しかできない。すなわち、あ
る温度下での重合速度を増加(減少)させると、別のあ
らゆる温度下での重合速度も増加(減少)する。従っ
て、《目的A》と《目的B》の両立は困難であり、《目
的A》の代替手段として、「調製した液の保存は通常の
作業環境温度よりもかなり低い温度で行うこと」もしく
は「開始剤を重合させる直前に添加すること」で対応し
ているのが現状である。
【0006】しかしながら、調製した液によって、ある
いは設備面から、これらの代替手段は対応困難な場合が
ある。例えば、水系の液では前者の手段は凝固するので
不可能であり、吸水布などの複合材料を製造する工程で
は重合前駆液を処理しようとする素材に適用した後では
重合前駆液の攪拌ができないので、後者の手段は不可能
である。
いは設備面から、これらの代替手段は対応困難な場合が
ある。例えば、水系の液では前者の手段は凝固するので
不可能であり、吸水布などの複合材料を製造する工程で
は重合前駆液を処理しようとする素材に適用した後では
重合前駆液の攪拌ができないので、後者の手段は不可能
である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な従来の技術的課題を背景になされたものであり、炭素
−炭素二重結合を有する化合物(A)を重合するに際
し、上記「通常の作業環境温度下(0〜50℃)での調
製した液の保存安定性《目的A》と重合させる際の重合
速度の安定性《目的B》」を両立させることを目的とす
る。
な従来の技術的課題を背景になされたものであり、炭素
−炭素二重結合を有する化合物(A)を重合するに際
し、上記「通常の作業環境温度下(0〜50℃)での調
製した液の保存安定性《目的A》と重合させる際の重合
速度の安定性《目的B》」を両立させることを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、炭素−炭素二
重結合を有する化合物(A)を、ラジカル発生剤を重合
開始剤として重合するに際し、化合物(A)および重合
開始剤を含む重合前駆液に、酸素を発生する化合物を、
該重合前駆液に含まれる重合開始剤から化学量論的に発
生しうる全ラジカル量の2〜15モル倍の範囲の酸素発
生量となる添加量だけ添加することを特徴とする重合制
御方法である。
重結合を有する化合物(A)を、ラジカル発生剤を重合
開始剤として重合するに際し、化合物(A)および重合
開始剤を含む重合前駆液に、酸素を発生する化合物を、
該重合前駆液に含まれる重合開始剤から化学量論的に発
生しうる全ラジカル量の2〜15モル倍の範囲の酸素発
生量となる添加量だけ添加することを特徴とする重合制
御方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明において使用される炭素−
炭素二重結合を有する化合物(A)としては、ラジカル
重合性の単量体であって、溶液重合法、懸濁重合法、乳
化重合法などの重合方法が適用できる化合物を挙げるこ
とができる。
炭素二重結合を有する化合物(A)としては、ラジカル
重合性の単量体であって、溶液重合法、懸濁重合法、乳
化重合法などの重合方法が適用できる化合物を挙げるこ
とができる。
【0010】分子内に炭素−炭素二重結合を有する化合
物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アク
リル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリルアミド、
酢酸ビニル、スチレン、ブタジエンなどが挙げられる。
このうち、アクリル系単量体を好適に用いることができ
る。
物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アク
リル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリルアミド、
酢酸ビニル、スチレン、ブタジエンなどが挙げられる。
このうち、アクリル系単量体を好適に用いることができ
る。
【0011】本発明において使用される重合開始剤とし
ては、一般的に使用されるラジカル発生剤が適用可能で
あって特に限定されるものではない。その例示として、
過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、t−ブチルヒド
ロキシパーオキサイド、クメンヒドロキシパーオキサシ
ド、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩
酸塩などの水溶性開始剤、過酸化ベンゾイル、アゾビス
イソブチロニトリルなどの油溶性開始剤が挙げられる。
その添加量は、工程中に重合させる際に都合のよい重合
速度、必要な重合後のポリマーの重合度によって、系中
に存在する重合性ビニル結合100モル当たり0.5〜
20モルのラジカルが発生できる量の範囲で設定する。
この範囲より少ないと、重合が開始しなかったり、開始
しても充分な速度で進行しなっかったり、反応が完結し
ないなどの不都合が生じ、多すぎると反応が暴走して、
制御不可能となる。
ては、一般的に使用されるラジカル発生剤が適用可能で
あって特に限定されるものではない。その例示として、
過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、t−ブチルヒド
ロキシパーオキサイド、クメンヒドロキシパーオキサシ
ド、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩
酸塩などの水溶性開始剤、過酸化ベンゾイル、アゾビス
イソブチロニトリルなどの油溶性開始剤が挙げられる。
その添加量は、工程中に重合させる際に都合のよい重合
速度、必要な重合後のポリマーの重合度によって、系中
に存在する重合性ビニル結合100モル当たり0.5〜
20モルのラジカルが発生できる量の範囲で設定する。
この範囲より少ないと、重合が開始しなかったり、開始
しても充分な速度で進行しなっかったり、反応が完結し
ないなどの不都合が生じ、多すぎると反応が暴走して、
制御不可能となる。
【0012】本発明において使用される酸素を発生する
化合物としては、無機過酸化物や酸素単体となる酸素錯
体(dioxygen complex)が使用可能であるが、水溶性で
あることが好ましい。その理由は、この化合物は、水溶
液中に均一に溶解し、分子レベルの各素反応の段階で酸
素分子を供給することができるからである。このことか
ら、例えば、特開平7−330307号公報に開示され
ているような、水中の溶存酸素量を飽和状態に調節する
ために使用される酸素発生固形剤のごとき非水溶性、難
溶性、あるいは水溶性でも均一に水溶液に拡散しにくい
化合物(特開平7−330307号公報)は好ましくな
い。
化合物としては、無機過酸化物や酸素単体となる酸素錯
体(dioxygen complex)が使用可能であるが、水溶性で
あることが好ましい。その理由は、この化合物は、水溶
液中に均一に溶解し、分子レベルの各素反応の段階で酸
素分子を供給することができるからである。このことか
ら、例えば、特開平7−330307号公報に開示され
ているような、水中の溶存酸素量を飽和状態に調節する
ために使用される酸素発生固形剤のごとき非水溶性、難
溶性、あるいは水溶性でも均一に水溶液に拡散しにくい
化合物(特開平7−330307号公報)は好ましくな
い。
【0013】酸素を発生する化合物の具体例は、過酸化
水素がそれ自体液体であることもあり、好ましい。さら
に、過酸化水素は、酸素発生時の副産物が水だけである
点からも好ましい。また、サラシ粉〔Ca(ClO)2
の水溶液〕も、好適に使用可能である。このほか、過酸
化水素化合物、炭酸ナトリウおよび過ホウ酸ナトリムな
どを挙げることができる。
水素がそれ自体液体であることもあり、好ましい。さら
に、過酸化水素は、酸素発生時の副産物が水だけである
点からも好ましい。また、サラシ粉〔Ca(ClO)2
の水溶液〕も、好適に使用可能である。このほか、過酸
化水素化合物、炭酸ナトリウおよび過ホウ酸ナトリムな
どを挙げることができる。
【0014】酸素分子は、活性ビニルラジカルを捉えて
その過酸化物となり、このものが反応系に準安定的に存
在し、重合させる際の比較的高温時のみ重合開始剤と同
様にラジカルを発生する。それゆえ、一定量の酸素分子
を経時供給することで、この作用を経時的に持続させて
本発明の効果が発現される。すなわち、前述の《目的
A》および《目的B》がともに達成できるのである。
その過酸化物となり、このものが反応系に準安定的に存
在し、重合させる際の比較的高温時のみ重合開始剤と同
様にラジカルを発生する。それゆえ、一定量の酸素分子
を経時供給することで、この作用を経時的に持続させて
本発明の効果が発現される。すなわち、前述の《目的
A》および《目的B》がともに達成できるのである。
【0015】本発明において、酸素を発生する化合物の
添加時期は、上記重合前駆液を調製する際でも、重合の
開始がなければ調製後であってもよい。また、添加する
回数も、1回であっても、2回以上に分けてもよい。作
業上の簡便さから、調液の際に1回で添加するのがより
好ましい。
添加時期は、上記重合前駆液を調製する際でも、重合の
開始がなければ調製後であってもよい。また、添加する
回数も、1回であっても、2回以上に分けてもよい。作
業上の簡便さから、調液の際に1回で添加するのがより
好ましい。
【0016】本発明において、酸素を発生する化合物の
添加量は、上記重合前駆液に含まれる重合開始剤から化
学量論的に発生しうるラジカル量の2〜15モル倍、好
ましくは3〜7モル倍の範囲の酸素発生量となることが
必要がある。例えば、重合開始剤が過硫酸塩の場合、過
硫酸イオン1モルが分解して発生するラジカルは2モル
であるから、過硫酸塩1モル(270.3g)を含む重
合前駆液の場合、合計4〜30モルの酸素分子を発生し
うる添加量が必要ということになる。
添加量は、上記重合前駆液に含まれる重合開始剤から化
学量論的に発生しうるラジカル量の2〜15モル倍、好
ましくは3〜7モル倍の範囲の酸素発生量となることが
必要がある。例えば、重合開始剤が過硫酸塩の場合、過
硫酸イオン1モルが分解して発生するラジカルは2モル
であるから、過硫酸塩1モル(270.3g)を含む重
合前駆液の場合、合計4〜30モルの酸素分子を発生し
うる添加量が必要ということになる。
【0017】本発明の炭素−炭素二重結合を有する化合
物(A)の重合としては、アクリル酸の水溶液重合が一
般的によく知られているので、以下にこの場合を例にし
て、さらに具体的に説明する。本発明方法の具体例とし
て、カルボキシル基の20モル%以上がアルカリ金属塩
またはアンモニウム塩の形に中和されてなるアクリル酸
およびアクリル酸塩を主成分とする水溶液に重合開始剤
および必要ならば架橋剤を加え、さらに酸素を発生する
化合物を添加する態様を挙げることができる。
物(A)の重合としては、アクリル酸の水溶液重合が一
般的によく知られているので、以下にこの場合を例にし
て、さらに具体的に説明する。本発明方法の具体例とし
て、カルボキシル基の20モル%以上がアルカリ金属塩
またはアンモニウム塩の形に中和されてなるアクリル酸
およびアクリル酸塩を主成分とする水溶液に重合開始剤
および必要ならば架橋剤を加え、さらに酸素を発生する
化合物を添加する態様を挙げることができる。
【0018】上記必要に応じて使用される架橋剤として
は、一般的に使用されるものが適用可能であって特に限
定されるものではない。その例示として、エチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリジ
(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)ア
クリレート、N,N′−メチレンビス(メタ)アクリル
アミド等の水溶性架橋剤、エチレングリコールジグリシ
ジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエ
ーテル、脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテ
ルなどの油溶性架橋剤が挙げられる。なお、使用に際し
ては、それぞれ単独で用いても2種以上を併用してもよ
い。その添加量は、重合前の水溶液の必要な特性、例え
ば、反応性、均一性など、さらに、重合後のポリマーに
必要な物性、例えば、吸水性、吸湿性、膨潤性、寸法安
定性、弾性、反発性などによって、系中に存在するアク
リル系単量体10重量部当たり0.1〜10重量部の範
囲で設定する。この範囲より少なくても多くても、重合
性が低下したり、重合後のポリマーに必要な物性が得ら
れないなどの不都合が生じる。
は、一般的に使用されるものが適用可能であって特に限
定されるものではない。その例示として、エチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリジ
(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)ア
クリレート、N,N′−メチレンビス(メタ)アクリル
アミド等の水溶性架橋剤、エチレングリコールジグリシ
ジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエ
ーテル、脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテ
ルなどの油溶性架橋剤が挙げられる。なお、使用に際し
ては、それぞれ単独で用いても2種以上を併用してもよ
い。その添加量は、重合前の水溶液の必要な特性、例え
ば、反応性、均一性など、さらに、重合後のポリマーに
必要な物性、例えば、吸水性、吸湿性、膨潤性、寸法安
定性、弾性、反発性などによって、系中に存在するアク
リル系単量体10重量部当たり0.1〜10重量部の範
囲で設定する。この範囲より少なくても多くても、重合
性が低下したり、重合後のポリマーに必要な物性が得ら
れないなどの不都合が生じる。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例により具
体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定
されるものではない。ここで、実施例および比較例にお
ける評価法は、次に示す《評価A》と《評価B》により
行い、ともに「合格」すれば《総合判定》で「合格」と
した。併せて、《評価A′》も行った。
体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定
されるものではない。ここで、実施例および比較例にお
ける評価法は、次に示す《評価A》と《評価B》により
行い、ともに「合格」すれば《総合判定》で「合格」と
した。併せて、《評価A′》も行った。
【0020】《評価A》水溶液を調液後、直ちにその1
0mlを30mlのガラス管内に封入し、40℃の雰囲
気下に静置して重合による固形分の生成、あるいは明ら
かな増粘が確認されるまでの時間を測定する。測定時間
が下記の〔基本処方〕の評価欄に示す測定時間の5倍以
上であれば「合格」とする。
0mlを30mlのガラス管内に封入し、40℃の雰囲
気下に静置して重合による固形分の生成、あるいは明ら
かな増粘が確認されるまでの時間を測定する。測定時間
が下記の〔基本処方〕の評価欄に示す測定時間の5倍以
上であれば「合格」とする。
【0021】《評価B》水溶液を調液後、直ちにその1
0mlを30mlのガラス管内に封入し、95℃の湯浴
中に該水溶液を攪拌しながら浸漬させ、重合による固形
分の生成、あるいは明らかな増粘が確認されるまでの時
間を測定する。測定時間が下記の〔基本処方〕の評価欄
に示す測定時間に対して±10%以内の差であれば「合
格」とする。
0mlを30mlのガラス管内に封入し、95℃の湯浴
中に該水溶液を攪拌しながら浸漬させ、重合による固形
分の生成、あるいは明らかな増粘が確認されるまでの時
間を測定する。測定時間が下記の〔基本処方〕の評価欄
に示す測定時間に対して±10%以内の差であれば「合
格」とする。
【0022】《評価A′》水溶液を調液後、直ちにその
150mlを容積200mlのビーカーに注ぎ、40℃
の雰囲気下に静置して、以下の4つの時間に溶存酸素
(DO)量を測定する。 [1] 静置直後 [2](基本処方の評価Aの測定時間)×0.9 [3](該処方の評価Aの測定時間)×0.5 [4](該処方の評価Aの測定時間)×0.9
150mlを容積200mlのビーカーに注ぎ、40℃
の雰囲気下に静置して、以下の4つの時間に溶存酸素
(DO)量を測定する。 [1] 静置直後 [2](基本処方の評価Aの測定時間)×0.9 [3](該処方の評価Aの測定時間)×0.5 [4](該処方の評価Aの測定時間)×0.9
【0023】〔基本処方〕
アクリル酸[15重量部](メトキノン200ppm含
有品;株式会社日本触媒製) 苛性ソーダ[7.5重量部](試薬1級;和光純薬工業
株式会社製) ブレンマーPDE−400[1重量部](PEG400
ジメタクリレート;日本油脂株式会社製) 過硫酸カリウム[0.5重量部](試薬1級;和光純薬
工業株式会社製) 水[76重量部] (合計100重量部)
有品;株式会社日本触媒製) 苛性ソーダ[7.5重量部](試薬1級;和光純薬工業
株式会社製) ブレンマーPDE−400[1重量部](PEG400
ジメタクリレート;日本油脂株式会社製) 過硫酸カリウム[0.5重量部](試薬1級;和光純薬
工業株式会社製) 水[76重量部] (合計100重量部)
【0024】〔基本処方の評価〕
《評価A》測定時間:6時間
《評価B》測定時間:64秒
《評価A′》測定濃度[1]8.2mg/l,[2]
2.6mg/l,[3]6.2mg/l,[4]2.6
mg/l
2.6mg/l,[3]6.2mg/l,[4]2.6
mg/l
【0025】実施例1
〔基本処方〕100重量部に過酸化水素35重量%水溶
液(試薬1級;キシダ化学株式会社製)を3重量部添加
した処方で評価した。 《評価A》測定時間:210時間 判定「合格」 《評価B》測定時間:67秒 判定「合格」 《総合判定》「合格」 《評価A′》測定濃度[1]8.1mg/l,[2]
7.7mg/l,[3]8.0mg/l,[4]4.8
mg/l
液(試薬1級;キシダ化学株式会社製)を3重量部添加
した処方で評価した。 《評価A》測定時間:210時間 判定「合格」 《評価B》測定時間:67秒 判定「合格」 《総合判定》「合格」 《評価A′》測定濃度[1]8.1mg/l,[2]
7.7mg/l,[3]8.0mg/l,[4]4.8
mg/l
【0026】比較例1
〔基本処方〕100重量部に過酸化水素35重量%水溶
液(試薬1級;キシダ化学株式会社製)を12重量部添
加した処方で評価した。 《評価A》測定時間:410時間 判定「合格」 《評価B》測定時間:82秒 判定「不合格」 《総合判定》「不合格」 《評価A′》測定濃度[1]8.2mg/l,[2]
7.9mg/l,[3]8.0mg/l,[4]5.5
mg/l
液(試薬1級;キシダ化学株式会社製)を12重量部添
加した処方で評価した。 《評価A》測定時間:410時間 判定「合格」 《評価B》測定時間:82秒 判定「不合格」 《総合判定》「不合格」 《評価A′》測定濃度[1]8.2mg/l,[2]
7.9mg/l,[3]8.0mg/l,[4]5.5
mg/l
【0027】実施例2
〔基本処方〕100重量部に過酸化水素35重量%水溶
液(試薬1級;キシダ化学株式会社製)を8重量部添加
した処方で評価した。 《評価A》測定時間:320時間 判定「合格」 《評価B》測定時間:69秒 判定「合格」 《総合判定》「合格」 《評価A′》測定濃度[1]8.0mg/l,[2]
7.8mg/l,[3]8.2mg/l,[4]5.3
mg/l
液(試薬1級;キシダ化学株式会社製)を8重量部添加
した処方で評価した。 《評価A》測定時間:320時間 判定「合格」 《評価B》測定時間:69秒 判定「合格」 《総合判定》「合格」 《評価A′》測定濃度[1]8.0mg/l,[2]
7.8mg/l,[3]8.2mg/l,[4]5.3
mg/l
【0028】比較例2
〔基本処方〕100重量部に過酸化水素35重量%水溶
液(試薬1級;キシダ化学株式会社製)を1重量部添加
した処方で評価した。 《評価A》測定時間:15時間 判定「不合格」 《評価B》測定時間:64秒 判定「合格」 《総合判定》「不合格」 《評価A′》測定濃度[1]8.0mg/l,[2]
6.7mg/l,[3]4.9mg/l,[4]3.9
mg/l
液(試薬1級;キシダ化学株式会社製)を1重量部添加
した処方で評価した。 《評価A》測定時間:15時間 判定「不合格」 《評価B》測定時間:64秒 判定「合格」 《総合判定》「不合格」 《評価A′》測定濃度[1]8.0mg/l,[2]
6.7mg/l,[3]4.9mg/l,[4]3.9
mg/l
【0029】
【発明の効果】本発明の重合制御方法によれば、炭素−
炭素二重結合を有する化合物(A)をラジカル発生剤を
重合開始剤として重合するに際し、酸素を発生する化合
物を該化合物(A)および重合開始剤を含む重合前駆液
に添加することによって、重合前駆液の溶存酸素(D
O)の濃度を通常の作業環境温度下(0〜50℃)での
調製液の保存期間にわたってラジカル重合の開抑制でき
る濃度に維持でき、かつ、該溶存酸素の分子は活性ビニ
ルラジカルを捉えて準安定化した過酸化物として反応系
に存在しているので、高温下(80℃以上)の重合時に
は重合開始剤と同様にラジカルを発生させ、重合の進行
を阻害することがない。このような作用機構によって、
炭素−炭素二重結合を有する化合物(A)の重合にあた
あり、「通常の作業温度環境下(0〜50℃)での調製
した液の保存安定性《目的A》と重合せしめる際の重合
速度の安定性《目的B》」を両立させることが可能とな
り、化合物(A)および重合開始剤を含む重合前駆液の
取り扱いが格段に容易になるため、工業的に極めて有用
である。
炭素二重結合を有する化合物(A)をラジカル発生剤を
重合開始剤として重合するに際し、酸素を発生する化合
物を該化合物(A)および重合開始剤を含む重合前駆液
に添加することによって、重合前駆液の溶存酸素(D
O)の濃度を通常の作業環境温度下(0〜50℃)での
調製液の保存期間にわたってラジカル重合の開抑制でき
る濃度に維持でき、かつ、該溶存酸素の分子は活性ビニ
ルラジカルを捉えて準安定化した過酸化物として反応系
に存在しているので、高温下(80℃以上)の重合時に
は重合開始剤と同様にラジカルを発生させ、重合の進行
を阻害することがない。このような作用機構によって、
炭素−炭素二重結合を有する化合物(A)の重合にあた
あり、「通常の作業温度環境下(0〜50℃)での調製
した液の保存安定性《目的A》と重合せしめる際の重合
速度の安定性《目的B》」を両立させることが可能とな
り、化合物(A)および重合開始剤を含む重合前駆液の
取り扱いが格段に容易になるため、工業的に極めて有用
である。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平9−59305(JP,A)
特開 平5−43609(JP,A)
特公 昭47−40310(JP,B1)
特表 平11−504981(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C08F 2/00 - 2/60
Claims (2)
- 【請求項1】 炭素−炭素二重結合を有する化合物
(A)を、ラジカル発生剤を重合開始剤として重合する
に際し、化合物(A)および重合開始剤を含む重合前駆
液に、酸素を発生する化合物を、該重合前駆液に含まれ
る重合開始剤から化学量論的に発生しうる全ラジカル量
の2〜15モル倍の範囲の酸素発生量となる添加量だけ
添加することを特徴とする重合制御方法。 - 【請求項2】 酸素を発生する化合物が過酸化水素で
ある請求項1記載の重合制御方法。
Priority Applications (7)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25224296A JP3364092B2 (ja) | 1996-09-04 | 1996-09-04 | 炭素−炭素二重結合を有する化合物の重合制御方法 |
PCT/JP1997/001689 WO1997045583A1 (fr) | 1996-05-24 | 1997-05-20 | Procede de remplissage d'une fibre creuse avec du gel |
KR1019980700277A KR19990028975A (ko) | 1996-05-24 | 1997-05-20 | 중공섬유로의 겔 충전방법 |
US08/983,484 US6021822A (en) | 1996-05-24 | 1997-05-20 | Method of filling hollow fiber with gel |
EP97922107A EP0846802A4 (en) | 1996-05-24 | 1997-05-20 | METHOD FOR FILLING HOLLOW FIBER WITH GEL |
CN97190944A CN1198196A (zh) | 1996-05-24 | 1997-05-20 | 用凝胶填充中空纤维中空部分的方法 |
TW086106964A TW346508B (en) | 1996-05-24 | 1997-05-23 | A method for filling gel to hollow fiber |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25224296A JP3364092B2 (ja) | 1996-09-04 | 1996-09-04 | 炭素−炭素二重結合を有する化合物の重合制御方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1081704A JPH1081704A (ja) | 1998-03-31 |
JP3364092B2 true JP3364092B2 (ja) | 2003-01-08 |
Family
ID=17234498
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25224296A Expired - Fee Related JP3364092B2 (ja) | 1996-05-24 | 1996-09-04 | 炭素−炭素二重結合を有する化合物の重合制御方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3364092B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4283274B2 (ja) * | 2003-03-31 | 2009-06-24 | 独立行政法人科学技術振興機構 | 分解性高分子およびその製造方法 |
EP1897898A4 (en) * | 2005-05-09 | 2010-04-14 | Japan Science & Tech Agency | DEGRADABLE POLYMER AND PROCESS FOR PRODUCING THE POLYMER |
-
1996
- 1996-09-04 JP JP25224296A patent/JP3364092B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH1081704A (ja) | 1998-03-31 |
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