JP3364025B2 - 消耗電極式溶接トーチ - Google Patents
消耗電極式溶接トーチInfo
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はボイラー、船舶、橋梁、
鉄骨の溶接に適用されるアーク溶接における消耗電極式
溶接トーチに関する。 【0002】 【従来の技術】従来の消耗電極式溶接トーチに関して
は、実開平05−076669号に開示されており、こ
の内容を図5乃至図7により説明する。図5は従来の消
耗電極式溶接トーチの構成図、図6は従来溶接トーチに
よる水平隅肉溶接の構成図、図7は従来溶接トーチによ
る隅肉溶接ビードの断面図である。 【0003】図5,図6において、1は母材、2は溶接
電源、3は溶接トーチ、4はトーチ4先端の溶接チッ
プ、5はワイヤ、6は溶接の際の生じるアーク、7はパ
ワーケーブル、8は溶接電源2を供給する給電ノズル、
9はシールドガス供給ノズル、10はトーチ基部、11
はパワーケーブル7を保持し、取付ける取り付けボル
ト、12はそのボルト11が結合する支持アーム、13
はスプリング、14はスプリング13で溶接トーチ3内
に支持されるワイヤ供給ノズル、15a,15bはワイ
ヤ供給ノズル14に取付けられた永久磁石、16a,1
6bは電磁コイル、17は電磁コイル16a,16bの
鉄心、18はオシレート幅調整ネジ、19は電磁コイル
16a,16bを励磁する交番電圧発生装置である。 【0004】図7において、図(a)の20は母材1の
溶接部にギャップがないときの水平隅肉溶接ビード、図
(b)の21は母材1の溶接部にギャップ22があり、
健全な溶接が不可能なときの水平隅肉溶接ビードであ
る。 【0005】次に、このような構成の従来装置の作用を
説明する。図5に示す従来溶接トーチにおいて、交番電
圧発生装置19から交番電圧を電磁コイル16a,16
bに印加すると、電磁コイル16a,16bと永久磁石
の15a,15bの間には交番電圧の極性に応じて引力
と反力が同時に発生することになる。この力を駆動源に
して、スプリング13の取付部を中心にしてワイヤ供給
ノズル14が揺動し、その端部のワイヤ5の先端も揺動
することになる。 【0006】次に、この従来溶接トーチを水平隅肉溶接
に適用したときの作用を説明する。水平隅肉溶接では図
7に示す溶接ビード20の脚長を確保するために溶接線
方向にワイヤをオシレートする。図6において、まず、
溶接電源2を「ON」にするとワイヤ5の先端と母材1
の間にアーク6が発生し、所定の溶接電圧、電流になる
ように溶接電源2を調節する。溶接状況が安定すると、
次に交番電圧発生装置19により電磁コイル16a,1
6bを励磁して溶接ワイヤ5の先端を溶接線方向にオシ
レートする。さらに、溶接線方向支持アーム12とつな
がっている図示していないロボットあるいは台車によっ
て、溶接トーチ3を移動させることによって溶接ビード
20が得られる。 【0007】しかしながら、図7に示すように母材1の
溶接部は2枚の板で構成する隅部であり、溶接前の母材
切断精度あるいは、仮づけ溶接の寸法精度によって溶接
部に図7(b)に示すようにギャップ22が生じ、この
ギャップ22の大きさによっては健全な溶接ビードが得
られなくなり、アンダーカットや、のど厚が不足した不
良ビード21が発生する恐れがある。特に、溶接部のギ
ャップの大きさが変動するような場合には、ギャップの
大きさに合わせて、溶接を中止することなくワイヤ5の
先端のオシレート幅を調整可能にする必要がある。 【0008】従来の消耗電極式溶接トーチでは図5に示
すようにオシレート幅調整ネジ18でワイヤ5の先端の
オシレート幅を半固定式に調整することができるが、溶
接しながら溶接部のギャップ22の大きさに応じてワイ
ヤ先端のオシレート幅を調整することは不可能である。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】水平隅肉溶接におい
て、前述のように溶接部は2枚の板で構成される隅部で
あり、寸法精度によってギャップが生じ、しかもギャッ
プ幅が変動する場合に、健全な溶接ビードを得るために
はギャップの大きさに合わせて、溶接を中止することな
くワイヤ先端のオシレート幅を調整可能にする必要があ
る。 【0010】従来の消耗電極式溶接トーチではオシレー
ト幅調整ネジ18でワイヤ先端のオシレート幅を半固定
式に調整することができるが、溶接しながら溶接部のギ
ャップの大きさに応じてワイヤ先端のオシレート幅を調
整することは不可能である。そのため、ギャップの大き
さによっては不良ビードの発生を招く恐れがある。 【0011】さらに、不良ビードが発生した場合には、
その箇所を手直しする必要があり、さらに溶接作業を増
やし、溶接作業の能率低下を招くことになる。 【0012】 【課題を解決するための手段】そこで、本発明はこのよ
うな課題を解決するために、溶接ワイヤの先端をオシレ
ートする消耗電極式溶接トーチにおいて、トーチ基部に
可どう部材を介して取付けられ、揺動するワイヤ供給ノ
ズルの対向側面に近接して設けた変形可能な一対のヒン
ジ機構と、ヒンジ機構に固定した圧電素子とを設けた構
成とする。 【0013】即ち、本発明は、トーチ基部の先端に可ど
う部材を介して取り付けられると共に、その先端にはワ
イヤを保持したチップが取り付けられているワイヤ供給
ノズルと、同ワイヤ供給ノズルの対抗側面に固定された
一対の永久磁石と、同永久磁石の外側に近接し、中心軸
線が互に一致すると共に同永久磁石の極性面と垂直とな
るように対向配置された一対の電磁コイルと、同一対の
電磁コイルに交番電圧を印加したときに同各電磁コイル
と前記各永久磁石との間には一方は引力、他方は反力が
同時に発生し、それにより前記可どう部材を中心に前記
ワイヤ供給ノズルのチップが保持しているワイヤの先端
をオシレートする消耗電極式溶接トーチにおいて、前記
ワイヤ供給ノズルの対向側面に近接して一対配設され、
前記ワイヤのオシレートする方向に弾性変形可能なヒン
ジ機構と、同各ヒンジ機構にそれぞれ固定した一対の圧
電素子とを具備してなり、前記圧電素子に印加する電圧
によって前記ヒンジ機構を弾性変形させ、前記ワイヤ先
端のオシレート幅を調整するとを特徴とする消耗電極式
溶接トーチを提供する。 【0014】 【作用】本発明はこのような手段により、溶接電源を駆
動してワイヤと母材との間にアークを発生させ、電磁コ
イルに交番電圧を印加すると、電磁コイルと永久磁石と
の間に一方の間には引力が、他方の間には反力が、それ
ぞれ同時に発生し、その作用により可どう部材に取付け
られているワイヤ供給ノズルが揺動する。この揺動によ
りその先端のワイヤがオシレートして溶接を行うが、こ
の時に圧電素子に直流電圧を加えると圧電素子の変形に
よりヒンジ機構が弾性変形し、その一対のヒンジの端部
の間が変化する。ワイヤ供給ノズルの揺動は溶接トーチ
内で電磁コイルに近接した範囲で動くが、このヒンジ端
の間隙で揺動範囲が決められるので、圧電素子の電圧値
により、ワイヤ供給ノズルの先端にあるワイヤのオシレ
ート幅を制御することができる。 【0015】又、溶接部の母材間のギャップをセンサ等
で検知し、そのギャップに適したオシレート幅を得るよ
うに圧電素子の印加電圧を制御すれば、溶接ギャップが
変動する場合においても、溶接を停止することなくオシ
レート幅を適正に、制御することができる。 【0016】このようなオシレート幅の調整により、ギ
ャップ量が変動する場合でも良好な溶接ビードを得るこ
とができ、溶接欠陥が少くなり、そのための手直し作業
もなく溶接作業の大幅な合理化がなされるものである。 【0017】 【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体
的に説明する。図1は本発明の一実施例に係る消耗電極
式溶接トーチの構成図、図2は図1の一部拡大した詳細
な側面図、図3はワイヤ先端オシレート特性曲線、図4
は本実施例の消耗電極式溶接トーチを用いて水平隅肉溶
接をしたときの溶接部にギャップを有する場合のビード
断面図である。 【0018】図1,図2において、符号1乃至17及び
19は図5,図6で説明した従来装置と同じであるの
で、詳しい説明は省略し、そのまま引用して説明する
が、本発明の特徴となる部分は符号30から34の部分
であり、以下、これらの特徴につき詳しく説明する。 【0019】図において、30は直流電圧発生装置、3
1a,31bは溶接トーチ3に取付けられた一対のヒン
ジ機構、32a,32bで示す波線形状はヒンジ機構3
1a,31bが弾性変形し、移動した形状を示したヒン
ジ機構、33a,33bはヒンジ機構31a,31bに
取り付けられた圧電素子で、直流電圧発生装置30で直
流電圧が印加され、その変形でヒンジ機構31a,31
bを移動、変形させ、32a,32bに示すような形状
となるものである。そのため、このヒンジ機構31a,
31bは弾性力を有した材料で形成されている。その他
の構成については、ねじ18を除き、図5,図6に示す
従来のものと同じであるので説明は省略する。 【0020】次に、このような構成の消耗電極式溶接ト
ーチの作用について説明する。まず、従来と同じように
溶接電源を「ON」にし、ワイヤ5の先端と母材1との
間にアーク6を発生させ、所定の溶接電圧、電流となる
ように溶接電源を調節する。溶接状況が安定すると、次
に、交番電圧発生装置19により電磁コイル16a,1
6bを励磁してワイヤ供給ノズル14をスプリング13
を中心として揺動させ、溶接ワイヤ5の先端を溶接線方
向へオシレートさせる。さらに、図示省略のロボットや
台車、等により溶接トーチ3を移動し、溶接ビードを得
る。この状態までは従来の例と同じ作用となる。 【0021】更に、本発明においては、ワイヤ5の先端
をオシレートさせた後、直流発生装置30から所定の直
流電圧を圧電素子33a,33bに入力する。これによ
り、圧電素子33a,33bは変形し、その作用で、ヒ
ンジ機構は図2に示す波線32a,32bのように、弾
性範囲内で変形することになる。つまり、ワイヤ供給ノ
ズル14は先に説明したように、スプリング13を中心
に揺動されているため、ヒンジ機構31a,31bの変
形量により、ワイヤ供給ノズル14の揺動幅が制限され
ることになる。また、ヒンジ機構31a,31bの変形
量は直流発生装置30からの電圧により調整可能である
から、結果的に、直流発生装置30からの電圧値によ
り、ワイヤ供給ノズル14の先端にあるワイヤ5の先端
のオシレート幅Wを制御することが可能になる。 【0022】図3は直流発生装置30から圧電素子33
a,33bに入力する電圧とワイヤ5の先端のオシレー
ト幅の関係を示す特性曲線である。本発明の実施例では
図示の特性のようにワイヤ先端オシレート幅を10mm
から0まで直流発生装置30からの入力電圧により調整
することができる。 【0023】又、本発明の実施例の消耗電極式溶接トー
チを用いた水平隅肉溶接では、図示省略しているが溶接
部のギャップ量を予めセンサ、等で検出しておき、溶接
中にギャップが変動しても、その変動に応じて図3に示
す特性に基づいて制御装置で演算し、直流電圧発生装置
30からの直流電圧を調整するようにすれば、溶接作業
を停止することなくワイヤ5先端のオシレート幅を自動
的に、かつ適正に調整、設定ができるので、図4に示す
ような欠陥のない良好な溶接ビード34を得ることがで
きる。 【0024】 【発明の効果】以下、具体的に説明したように、本発明
においては、溶接ワイヤの先端をオシレートする消耗電
極式溶接トーチにおいて、トーチ基部に可どう部材を介
して取付けられ、揺動するワイヤ供給ノズルの対向側面
に近接して設けた変形可能な一対のヒンジ機構と、この
ヒンジ機構に固定した圧電素子とを設けた構成としたの
で、次のような効果が得られるものである。 (1)水平隅肉溶接に適用した場合、溶接部にギャップ
が発生し、しかもギャップ量が変動するような溶接箇所
においてもオシレート幅を適正に制御できるので、溶接
を停止することなく良好な溶接ビードを得ることができ
る。このため従来のように、溶接欠陥を発生することが
ないため、手直し作業が必要なく大幅な合理化が可能と
なる。 (2)さらに、従来はギャップをできるだけないよう
に、母材の切断精度あるいは溶接仮付け作業に精度を要
求され、溶接のオシレート幅を半固定式で調整が困難で
あったが本発明により、オシレート幅が容易に調整でき
るので、このような溶接前の作業も軽減されることにな
り、さらに作業能率向上につながる。
鉄骨の溶接に適用されるアーク溶接における消耗電極式
溶接トーチに関する。 【0002】 【従来の技術】従来の消耗電極式溶接トーチに関して
は、実開平05−076669号に開示されており、こ
の内容を図5乃至図7により説明する。図5は従来の消
耗電極式溶接トーチの構成図、図6は従来溶接トーチに
よる水平隅肉溶接の構成図、図7は従来溶接トーチによ
る隅肉溶接ビードの断面図である。 【0003】図5,図6において、1は母材、2は溶接
電源、3は溶接トーチ、4はトーチ4先端の溶接チッ
プ、5はワイヤ、6は溶接の際の生じるアーク、7はパ
ワーケーブル、8は溶接電源2を供給する給電ノズル、
9はシールドガス供給ノズル、10はトーチ基部、11
はパワーケーブル7を保持し、取付ける取り付けボル
ト、12はそのボルト11が結合する支持アーム、13
はスプリング、14はスプリング13で溶接トーチ3内
に支持されるワイヤ供給ノズル、15a,15bはワイ
ヤ供給ノズル14に取付けられた永久磁石、16a,1
6bは電磁コイル、17は電磁コイル16a,16bの
鉄心、18はオシレート幅調整ネジ、19は電磁コイル
16a,16bを励磁する交番電圧発生装置である。 【0004】図7において、図(a)の20は母材1の
溶接部にギャップがないときの水平隅肉溶接ビード、図
(b)の21は母材1の溶接部にギャップ22があり、
健全な溶接が不可能なときの水平隅肉溶接ビードであ
る。 【0005】次に、このような構成の従来装置の作用を
説明する。図5に示す従来溶接トーチにおいて、交番電
圧発生装置19から交番電圧を電磁コイル16a,16
bに印加すると、電磁コイル16a,16bと永久磁石
の15a,15bの間には交番電圧の極性に応じて引力
と反力が同時に発生することになる。この力を駆動源に
して、スプリング13の取付部を中心にしてワイヤ供給
ノズル14が揺動し、その端部のワイヤ5の先端も揺動
することになる。 【0006】次に、この従来溶接トーチを水平隅肉溶接
に適用したときの作用を説明する。水平隅肉溶接では図
7に示す溶接ビード20の脚長を確保するために溶接線
方向にワイヤをオシレートする。図6において、まず、
溶接電源2を「ON」にするとワイヤ5の先端と母材1
の間にアーク6が発生し、所定の溶接電圧、電流になる
ように溶接電源2を調節する。溶接状況が安定すると、
次に交番電圧発生装置19により電磁コイル16a,1
6bを励磁して溶接ワイヤ5の先端を溶接線方向にオシ
レートする。さらに、溶接線方向支持アーム12とつな
がっている図示していないロボットあるいは台車によっ
て、溶接トーチ3を移動させることによって溶接ビード
20が得られる。 【0007】しかしながら、図7に示すように母材1の
溶接部は2枚の板で構成する隅部であり、溶接前の母材
切断精度あるいは、仮づけ溶接の寸法精度によって溶接
部に図7(b)に示すようにギャップ22が生じ、この
ギャップ22の大きさによっては健全な溶接ビードが得
られなくなり、アンダーカットや、のど厚が不足した不
良ビード21が発生する恐れがある。特に、溶接部のギ
ャップの大きさが変動するような場合には、ギャップの
大きさに合わせて、溶接を中止することなくワイヤ5の
先端のオシレート幅を調整可能にする必要がある。 【0008】従来の消耗電極式溶接トーチでは図5に示
すようにオシレート幅調整ネジ18でワイヤ5の先端の
オシレート幅を半固定式に調整することができるが、溶
接しながら溶接部のギャップ22の大きさに応じてワイ
ヤ先端のオシレート幅を調整することは不可能である。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】水平隅肉溶接におい
て、前述のように溶接部は2枚の板で構成される隅部で
あり、寸法精度によってギャップが生じ、しかもギャッ
プ幅が変動する場合に、健全な溶接ビードを得るために
はギャップの大きさに合わせて、溶接を中止することな
くワイヤ先端のオシレート幅を調整可能にする必要があ
る。 【0010】従来の消耗電極式溶接トーチではオシレー
ト幅調整ネジ18でワイヤ先端のオシレート幅を半固定
式に調整することができるが、溶接しながら溶接部のギ
ャップの大きさに応じてワイヤ先端のオシレート幅を調
整することは不可能である。そのため、ギャップの大き
さによっては不良ビードの発生を招く恐れがある。 【0011】さらに、不良ビードが発生した場合には、
その箇所を手直しする必要があり、さらに溶接作業を増
やし、溶接作業の能率低下を招くことになる。 【0012】 【課題を解決するための手段】そこで、本発明はこのよ
うな課題を解決するために、溶接ワイヤの先端をオシレ
ートする消耗電極式溶接トーチにおいて、トーチ基部に
可どう部材を介して取付けられ、揺動するワイヤ供給ノ
ズルの対向側面に近接して設けた変形可能な一対のヒン
ジ機構と、ヒンジ機構に固定した圧電素子とを設けた構
成とする。 【0013】即ち、本発明は、トーチ基部の先端に可ど
う部材を介して取り付けられると共に、その先端にはワ
イヤを保持したチップが取り付けられているワイヤ供給
ノズルと、同ワイヤ供給ノズルの対抗側面に固定された
一対の永久磁石と、同永久磁石の外側に近接し、中心軸
線が互に一致すると共に同永久磁石の極性面と垂直とな
るように対向配置された一対の電磁コイルと、同一対の
電磁コイルに交番電圧を印加したときに同各電磁コイル
と前記各永久磁石との間には一方は引力、他方は反力が
同時に発生し、それにより前記可どう部材を中心に前記
ワイヤ供給ノズルのチップが保持しているワイヤの先端
をオシレートする消耗電極式溶接トーチにおいて、前記
ワイヤ供給ノズルの対向側面に近接して一対配設され、
前記ワイヤのオシレートする方向に弾性変形可能なヒン
ジ機構と、同各ヒンジ機構にそれぞれ固定した一対の圧
電素子とを具備してなり、前記圧電素子に印加する電圧
によって前記ヒンジ機構を弾性変形させ、前記ワイヤ先
端のオシレート幅を調整するとを特徴とする消耗電極式
溶接トーチを提供する。 【0014】 【作用】本発明はこのような手段により、溶接電源を駆
動してワイヤと母材との間にアークを発生させ、電磁コ
イルに交番電圧を印加すると、電磁コイルと永久磁石と
の間に一方の間には引力が、他方の間には反力が、それ
ぞれ同時に発生し、その作用により可どう部材に取付け
られているワイヤ供給ノズルが揺動する。この揺動によ
りその先端のワイヤがオシレートして溶接を行うが、こ
の時に圧電素子に直流電圧を加えると圧電素子の変形に
よりヒンジ機構が弾性変形し、その一対のヒンジの端部
の間が変化する。ワイヤ供給ノズルの揺動は溶接トーチ
内で電磁コイルに近接した範囲で動くが、このヒンジ端
の間隙で揺動範囲が決められるので、圧電素子の電圧値
により、ワイヤ供給ノズルの先端にあるワイヤのオシレ
ート幅を制御することができる。 【0015】又、溶接部の母材間のギャップをセンサ等
で検知し、そのギャップに適したオシレート幅を得るよ
うに圧電素子の印加電圧を制御すれば、溶接ギャップが
変動する場合においても、溶接を停止することなくオシ
レート幅を適正に、制御することができる。 【0016】このようなオシレート幅の調整により、ギ
ャップ量が変動する場合でも良好な溶接ビードを得るこ
とができ、溶接欠陥が少くなり、そのための手直し作業
もなく溶接作業の大幅な合理化がなされるものである。 【0017】 【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体
的に説明する。図1は本発明の一実施例に係る消耗電極
式溶接トーチの構成図、図2は図1の一部拡大した詳細
な側面図、図3はワイヤ先端オシレート特性曲線、図4
は本実施例の消耗電極式溶接トーチを用いて水平隅肉溶
接をしたときの溶接部にギャップを有する場合のビード
断面図である。 【0018】図1,図2において、符号1乃至17及び
19は図5,図6で説明した従来装置と同じであるの
で、詳しい説明は省略し、そのまま引用して説明する
が、本発明の特徴となる部分は符号30から34の部分
であり、以下、これらの特徴につき詳しく説明する。 【0019】図において、30は直流電圧発生装置、3
1a,31bは溶接トーチ3に取付けられた一対のヒン
ジ機構、32a,32bで示す波線形状はヒンジ機構3
1a,31bが弾性変形し、移動した形状を示したヒン
ジ機構、33a,33bはヒンジ機構31a,31bに
取り付けられた圧電素子で、直流電圧発生装置30で直
流電圧が印加され、その変形でヒンジ機構31a,31
bを移動、変形させ、32a,32bに示すような形状
となるものである。そのため、このヒンジ機構31a,
31bは弾性力を有した材料で形成されている。その他
の構成については、ねじ18を除き、図5,図6に示す
従来のものと同じであるので説明は省略する。 【0020】次に、このような構成の消耗電極式溶接ト
ーチの作用について説明する。まず、従来と同じように
溶接電源を「ON」にし、ワイヤ5の先端と母材1との
間にアーク6を発生させ、所定の溶接電圧、電流となる
ように溶接電源を調節する。溶接状況が安定すると、次
に、交番電圧発生装置19により電磁コイル16a,1
6bを励磁してワイヤ供給ノズル14をスプリング13
を中心として揺動させ、溶接ワイヤ5の先端を溶接線方
向へオシレートさせる。さらに、図示省略のロボットや
台車、等により溶接トーチ3を移動し、溶接ビードを得
る。この状態までは従来の例と同じ作用となる。 【0021】更に、本発明においては、ワイヤ5の先端
をオシレートさせた後、直流発生装置30から所定の直
流電圧を圧電素子33a,33bに入力する。これによ
り、圧電素子33a,33bは変形し、その作用で、ヒ
ンジ機構は図2に示す波線32a,32bのように、弾
性範囲内で変形することになる。つまり、ワイヤ供給ノ
ズル14は先に説明したように、スプリング13を中心
に揺動されているため、ヒンジ機構31a,31bの変
形量により、ワイヤ供給ノズル14の揺動幅が制限され
ることになる。また、ヒンジ機構31a,31bの変形
量は直流発生装置30からの電圧により調整可能である
から、結果的に、直流発生装置30からの電圧値によ
り、ワイヤ供給ノズル14の先端にあるワイヤ5の先端
のオシレート幅Wを制御することが可能になる。 【0022】図3は直流発生装置30から圧電素子33
a,33bに入力する電圧とワイヤ5の先端のオシレー
ト幅の関係を示す特性曲線である。本発明の実施例では
図示の特性のようにワイヤ先端オシレート幅を10mm
から0まで直流発生装置30からの入力電圧により調整
することができる。 【0023】又、本発明の実施例の消耗電極式溶接トー
チを用いた水平隅肉溶接では、図示省略しているが溶接
部のギャップ量を予めセンサ、等で検出しておき、溶接
中にギャップが変動しても、その変動に応じて図3に示
す特性に基づいて制御装置で演算し、直流電圧発生装置
30からの直流電圧を調整するようにすれば、溶接作業
を停止することなくワイヤ5先端のオシレート幅を自動
的に、かつ適正に調整、設定ができるので、図4に示す
ような欠陥のない良好な溶接ビード34を得ることがで
きる。 【0024】 【発明の効果】以下、具体的に説明したように、本発明
においては、溶接ワイヤの先端をオシレートする消耗電
極式溶接トーチにおいて、トーチ基部に可どう部材を介
して取付けられ、揺動するワイヤ供給ノズルの対向側面
に近接して設けた変形可能な一対のヒンジ機構と、この
ヒンジ機構に固定した圧電素子とを設けた構成としたの
で、次のような効果が得られるものである。 (1)水平隅肉溶接に適用した場合、溶接部にギャップ
が発生し、しかもギャップ量が変動するような溶接箇所
においてもオシレート幅を適正に制御できるので、溶接
を停止することなく良好な溶接ビードを得ることができ
る。このため従来のように、溶接欠陥を発生することが
ないため、手直し作業が必要なく大幅な合理化が可能と
なる。 (2)さらに、従来はギャップをできるだけないよう
に、母材の切断精度あるいは溶接仮付け作業に精度を要
求され、溶接のオシレート幅を半固定式で調整が困難で
あったが本発明により、オシレート幅が容易に調整でき
るので、このような溶接前の作業も軽減されることにな
り、さらに作業能率向上につながる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る消耗電極式溶接トーチ
の構成図である。 【図2】図1における溶接トーチの一部拡大図である。 【図3】本発明の一実施例に係る消耗電極式溶接トーチ
のワイヤ先端オシレート幅の特性曲線である。 【図4】本発明の一実施例の消耗電極式溶接トーチを水
平隅肉溶接に適用したときの、ギャップを有する場合の
ビード断面である。 【図5】従来の消耗電極式溶接トーチの構成図である。 【図6】従来の溶接トーチにより水平隅肉溶接の構成で
ある。 【図7】従来の溶接トーチによる隅肉溶接ビードの断面
図で、(a)は母材にギャップがない時の状態、(b)
は母材にギャップがある時の状態をそれぞれ示す。 【符号の説明】 3 溶接トーチ 4 チップ 5 ワイヤ 10 トーチ基部 13 スプリング 14 ワイヤ供給ノズル 15a,15b 永久磁石 16a,16b 電磁コイル 17 鉄心 19 交番電圧発生装置 30 直流発生装置 31a,31b ヒンジ機構 33a,33b 圧電素子 34 溶接ビード
の構成図である。 【図2】図1における溶接トーチの一部拡大図である。 【図3】本発明の一実施例に係る消耗電極式溶接トーチ
のワイヤ先端オシレート幅の特性曲線である。 【図4】本発明の一実施例の消耗電極式溶接トーチを水
平隅肉溶接に適用したときの、ギャップを有する場合の
ビード断面である。 【図5】従来の消耗電極式溶接トーチの構成図である。 【図6】従来の溶接トーチにより水平隅肉溶接の構成で
ある。 【図7】従来の溶接トーチによる隅肉溶接ビードの断面
図で、(a)は母材にギャップがない時の状態、(b)
は母材にギャップがある時の状態をそれぞれ示す。 【符号の説明】 3 溶接トーチ 4 チップ 5 ワイヤ 10 トーチ基部 13 スプリング 14 ワイヤ供給ノズル 15a,15b 永久磁石 16a,16b 電磁コイル 17 鉄心 19 交番電圧発生装置 30 直流発生装置 31a,31b ヒンジ機構 33a,33b 圧電素子 34 溶接ビード
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(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
B23K 9/30
B23K 9/022
B23K 9/12
B23K 9/29
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 トーチ基部の先端に可どう部材を介して
取り付けられると共に、その先端にはワイヤを保持した
チップが取り付けられているワイヤ供給ノズルと、同ワ
イヤ供給ノズルの対抗側面に固定された一対の永久磁石
と、同永久磁石の外側に近接し、中心軸線が互に一致す
ると共に同永久磁石の極性面と垂直となるように対向配
置された一対の電磁コイルと、同一対の電磁コイルに交
番電圧を印加したときに同各電磁コイルと前記各永久磁
石との間に一方は引力、他方は反力が同時に発生し、そ
れにより前記可どう部材を中心に前記ワイヤ供給ノズル
のチップが保持しているワイヤの先端をオシレートする
消耗電極式溶接トーチにおいて、前記ワイヤ供給ノズル
の対向側面に近接して一対配設され、前記ワイヤのオシ
レートする方向に弾性変形可能なヒンジ機構と、同各ヒ
ンジ機構にそれぞれ固定した一対の圧電素子とを具備し
てなり、前記圧電素子に印加する電圧によって前記ヒン
ジ機構を弾性変形させ、前記ワイヤ先端のオシレート幅
を調整することを特徴とする消耗電極式溶接トーチ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26944894A JP3364025B2 (ja) | 1994-11-02 | 1994-11-02 | 消耗電極式溶接トーチ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26944894A JP3364025B2 (ja) | 1994-11-02 | 1994-11-02 | 消耗電極式溶接トーチ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08132240A JPH08132240A (ja) | 1996-05-28 |
JP3364025B2 true JP3364025B2 (ja) | 2003-01-08 |
Family
ID=17472576
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26944894A Expired - Fee Related JP3364025B2 (ja) | 1994-11-02 | 1994-11-02 | 消耗電極式溶接トーチ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3364025B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100308542B1 (ko) * | 1999-07-09 | 2001-11-01 | 정기형 | 대전력 나선 아크 스위치 |
KR100732231B1 (ko) * | 2004-12-28 | 2007-06-25 | 주식회사 아이티웰 | 무빙 용접용 토치 |
JP2007007680A (ja) * | 2005-06-29 | 2007-01-18 | Yoshimoto High Tech Co Ltd | 溶接装置 |
JP2007190564A (ja) * | 2006-01-17 | 2007-08-02 | Kobe Steel Ltd | 消耗電極式溶接方法及び溶接装置 |
CN114700588B (zh) * | 2022-03-04 | 2023-07-18 | 湘潭大学 | 一种电场控制电弧旋转的焊缝识别方法 |
-
1994
- 1994-11-02 JP JP26944894A patent/JP3364025B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08132240A (ja) | 1996-05-28 |
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