JP3749784B2 - Tig溶接装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばホットワイヤTIGアーク溶接装置などのTIGアーク溶接装置に係わり、特に多関節ロボットに搭載し隅肉溶接やあまり厚くない板部材の突き合わせ溶接するに適したTIGアーク溶接装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
隅肉溶接またはあまり板厚が大きくない板部材の突き合わせ溶接を高能率にTIG溶接する場合、通常のTIGトーチでアークを発生し、横から添加ワイヤに通常加熱しながら溶着金属を高能率に形成する、ホットワイヤTIG溶接がしばしば用いられる。しかし、ホットワイヤ法にするとワイヤ電流を高めることによって溶着速度は半ば無制限に高められるが、高溶接速度で溶接するにはアークで母材を高速に溶融していくことが必要になる。
【0003】
母材溶融能力を高めるためにはアーク電流を高くすることが必要になるが、単にアーク電流を高くして溶接速度を増すと、アーク力が強くなるので図5に示すように母材1を局所的に深く掘り込み、その後を溶融金属で埋めることができず、ビード2の下に長い連続した空洞3を形成する、いわゆるトンネルビードになりやすくなる。このトンネルビードの防止対策としては、タングステン電極を溶接進行方向に対して直角方向に高速に揺動することが有効であることが知られている。
【0004】
その具体的な装置としては、例えば、図6に示す本出願人による特開平7−276050号公報の揺動式TIG溶接装置がある。タングステン電極4をトーチ5の軸に対して傾け、トーチ5を捻転しながら溶接することにより狭開先溶接での開先両隅部の溶け込みを安定させようとするもので、駆動モータ6にトーチ5を直結することにより、従来1〜2Hzどまりであった揺動周波数を10Hz〜30Hzに揺動できるようにしている。
【0005】
一方、図7に示すような、トーチ軸芯7だけが図示されている真っ直ぐなトーチ先端にタングステン電極8を取り付け、トーチをすりこ木状に回転して、アーク9を高速に回転する方法も知られている(NKK技報、No.152 pp70−75,1995)。図7にて、10は回転モータでギア11を介してトーチの後端を保持している偏芯リング12を回転し、自動調芯ボールベアリング13を支点にして、トーチにすりこぎ運動させている。そこでの回転周波数は30Hzも可能としている。
【0006】
また、MAG溶接など消耗電極式トーチで同様な技術が開発されている。図8は、その一例として、ワイヤ先端即ちアークを高速に振動する方法(特開平8−132240号公報)を説明する図である。
【0007】
トーチ基部14の先端に可動部材としてのスプリング15を介してワイヤ供給ノズル16が取り付けられている。そのノズル先端にはワイヤ17を保持したチップ18が取り付けられている。このワイヤ供給ノズル16の対抗側面にはノズル16に固定された一対の永久磁石19a,19bと、前記永久磁石の外側に近接し、中心軸線が互いに一致すると共に前記永久磁石の極性面と垂直となるように対抗配置された一対の電磁コイル20a,20bが配置されている。それらの電磁コイル20a,20bに交番電圧を印加した時に各電磁コイル20a,20bと前記ノルズ16に固定された各永久磁石19a,19bとの間には一方は引力、他方は反力が同時に発生し、それにより前記可動部材(スプリング)15を中心に前記ワイヤ供給ノルズ16がオッシレイト(振動)し、したがってノズル先端のチップ18が保持しているワイヤ17もオッシレイトし、オッシレイトアークを形成できるようにしている。
【0008】
このトーチには、ノズルの対抗側面に近接して弾性変形可能なヒンジ機構21a,21bを設けており、各ヒンジ機構にはそれぞれ固定した一対の圧電素子22a,22bとを具備してなり、この圧電素子22a,22bに印加する電圧によってヒンジ機構21a,21bを弾性変形させ、機械的に両側からワイヤ供給ノズルの振幅を制限することにより、ワイヤ先端のオッシレイト幅を調整するようにしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ホットワイヤ法を用いて任意の溶着速度を得ながら、1.5m/minなどの高溶接速度を達成するためには、溶接線長さ1mm当たり2回程度のアーク電極の揺動、換算すると50Hz以上で揺動することが望まれる。一方、大きな脚長を要求され溶接速度0.3m/min程度で溶接する場合には10Hz以上で揺動することが望まれる。溶接速度に対して電極揺動周波数が余り低いと、ジクザグ状に溶融が進み、ビード側面が波打ちアンダカットを形成するなど溶接欠陥を発生するためである。
【0010】
図6の装置では、モータの駆動部分の慣性が大きいために30Hz以上の揺動は望まれず、また、もともと駆動部分が大きくて、多関節溶接ロボットに搭載するには適していないという問題点があった。
【0011】
図7の装置では30Hzで回転する例が示されており、それ以上の回転数も可能ではあろうが、この装置では駆動機構部が大きく、また電極が回転しているために、回転幅を増すと溶接進行方向に対して溶融池が前後方向に長くなりすぎる傾向があり、また回転方向と溶接進行方向との関係から、ビード形状及び母材溶融形状が左右非対称になり易い問題もある。装置自体も機構的に大掛かりとなっている。
【0012】
図8の装置では、消耗電極アーク溶接を対象にしており、ワイヤがトーチ中心から入ってくる構造にしている。そうすると、ワイヤとノズル間に隙間が存在しているために振動に対して不安定な慣性力と摩擦力が作用し、安定した振動状態を得るには強い力で強制的に振動させることが必要になる。また、安定した振幅を得るために、ノズルの両側から機械的に振幅を制限するストッパ機構を必要としている。これらのために、強い力で振動させることが必要となり、多関節溶接ロボットに搭載するとロボットのアームが振動するので、より可搬重量が大きい重いアームのロボットでないと搭載できないという問題も推察される。
【0013】
本発明の目的は、従来装置の有するこれらの問題点を解決することにあり、具体的には、溶接線に対して略直角方向に高い周波数でタングステン電極が静かに揺動する小型軽量で、安価なTIG溶接用ヘッドを提供するにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は主として次のような構成を採用する。
【0015】
タングステン電極を先端に取り付けたトーチの一部を支点としてタングステン電極を揺動させて溶接するTIG溶接装置であって、
前記トーチを電磁アクチュエータに結合するとともにバネで前記トーチを拘束し、10Hz以上の周波数の共振状態で、溶接線に対して略直角方向に前記タングステン電極を揺動させるTIG溶接装置。
【0016】
また、前記TIG溶接装置において、
前記タングステン電極の揺動できる加振状態で、前記トーチの揺動振幅を片側から機械的に制限することにより、前記揺動振幅を調整するTIG溶接装置。
【0017】
また、前記TIG溶接装置において、
前記揺動するトーチの揺動中心位置を検出するセンサを設け、前記センサから得られた揺動周期に基づいてトーチの揺動位相を求め、
前記トーチの揺動位相と関連付けてアーク電流を制御するようにしたTIG溶接装置。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施形態に係る溶接ヘッド23の主要構成部示す平面図であり、図2はその側面図である。ここにおいて、23は溶接ヘッド、24はヘッド基板、25はアクチュエータ、26は制御器、27は駆動配線、28は回転軸、29は絶縁部材、30はトーチ部材、31は脚部、32は管継手、33はトーチ、34は電極保持部、35はタングステン電極、36は止め捩子、37はバネ押え、38はバネ、39はストッパ、40は遮光板、41はホトインタラプタ、42は信号配線、43は電流ケーブル、44は冷却水入口管、45は冷却水出口管、をそれぞれ表す。
【0019】
図1および図2において、24はヘッド基板で、図示していない多関節溶接ロボットのアームに結合されており、また、前記溶接ヘッド23の図示していない保護カバーが取り付けられるようになっている。基板24には電磁アークチュエータであるロータリソレノイド25が図示していない捩子で固定されている。ロータリソレノイド25は制御器26からの駆動配線27を介して交番電流で往復回転状に駆動され、その回転軸28には絶縁部材29を介してトーチ本体部30が一体になって動くように締結されている。トーチ本体部30の脚部31の先端では管継手32でトーチ33が水漏れないように締結されている。トーチ先端部の電極保持部34にて、タングステン電極35が止め捩子36で固定されている。
【0020】
トーチ本体部30の脚部31と基板24との間に捩子構造のバネ押さえ37a,37bを介して2個の強いバネ38a,38bが脚部31を挟むように設置している。そしてその下方には振幅を調整するストッパ39が基板24に捩子構造で取り付けられている。
【0021】
ロータリソレノイド25の回転軸28には遮光板40が固定されていて、丁度、振動中心にトーチ33があるときに遮光板40のエッジが基板24に半固定状に取り付けられているホトインタラプタ41を通過するように設定する。ホトインタラプタ41のオンオフ信号は信号配線42を介して制御器26に入力される。
【0022】
また、アーク電流はアーク電流ケーブル43からトーチ本体部30に供給され、その脚部31と管継手32によって結合されたトーチ33、その先端にある電極保持部材34を介してタングステン電極35に至ってアークを発生し、母材1側に流れる。トーチ33は外筒側が銅管からなる2重管構造になっていて冷却水入り口管44から入ってきた冷却水はトーチ本体部の中で先端が電極保持部34に至る図示していない細管からなる内筒を通過し、電極保持部34で折り返してトーチ33を構成している外筒と内筒の間を通過して再びトーチ本体部30に戻り、冷却水出口管45から排出される。この様にして電極保持部34は水冷され、タングステン電極35は間接的に冷却されている。
【0023】
図3は本実施形態に用いているアークチュエータ25の動作原理を示す図である。回転子側には円筒状の永久磁石46が回転軸28に固定されている。固定側には電磁石を構成するための1対の磁極47a,47bが設けられていてそれぞれコイル48a,48bが巻かれ、駆動電源49に接続されている。本実施形態においては、磁極47a,47bが励磁されていないときに、バネ38a,38bの保持作用で永久磁石46が丁度中立の状態になって磁極47a,47bの中間位置にあるように、回転軸28とトーチ本体部30の締結状態を設定する。
【0024】
そして、制御器26内に置かれた駆動電源49から十分高い周波数の交番電流をコイル48a,48bに流すと、アークチュエータ25の磁極47a,47bはそれに対応してそれぞれ交互にN極、S極となり、永久磁石46は交互に右左に吸引されて、回転的に往復動、即ち揺動する。前記アークチュエータ25の回転軸28にはトーチ本体部30が結合されているので、その結果トーチ33が振り子状に揺動する。駆動電源49の出力電流の周波数を変化させていくと、あるところで共振を発生し、振動エネルギを蓄える作用を果たすバネ38a,38bの効果により、少ない駆動電流で大きな振幅を形成するようになる。
【0025】
この共振周波数は、バネ38a,38b、アークチュエータ25の回転子の慣性モーメントのほか、トーチ本体部30やトーチ33の質量、さらにはトーチ本体部30に繋がっているアーク電流ケーブル43、冷却水が入出する水冷管44、45、またしばしば消耗して交換するタングステン電極35など、様々な因子が影響する。中でも、バネ38a,38bの影響は大きく、回転の中心軸から約25mm離れたところに、90N/mmなど大きいバネ定数のバネを挿入すると、共振周波数を容易に50Hz以上にできた。
【0026】
共振状態にある時は少しの駆動電流変化でも大きく振幅が変化する。振幅安定のために、大振幅で振動するように駆動電流を設定しておき、片側からストッパ39で振幅を制限すると、駆動電流が多少変化しても、また共振周波数が多少変化しても、常に、安定した振幅が得られる。なお、共振とは、物理系が外部からの刺激で固有振動を始めることで、特に刺激が固有振動数に近い振動数を持つ場合を指す。
【0027】
図4はその原理を片持ち梁50の振動状態から説明するものである。共振状態にある片持ち梁50は1往復中に図示していない駆動源から僅かな駆動エネルギーを得て、1往復中のエネルギー損失を賄う事でバランスを保っている。このような状態のとき、細い実線で示した共振状態にある片持ち梁の片側の振幅をストッパ51で太い実線のところまで制限すると、反対側の振幅も細い波線の状態から太い波線の状態、すなわち振動中心からほぼ左右対称の距離まで振幅が減少する。
【0028】
ストッパ51に当たってから反対側に行き着くまでに振幅を増やそうとしても、その間に与えられる駆動エネルギーが少ないので、ほんの少ししか振幅が増えない。この原理により、共振状態におくとき、振幅は機械的に片側で制限するだけでほぼ対称的に他の側の振幅も制限できる。ストッパ51と片持ち梁50との衝突時にストッパ51に吸収されるエネルギは、1往復中に印加されるエネルギ以上にはなり得ず、微弱である。
【0029】
この原理を用い、本実施形態の溶接ヘッド23では、共振周波数でトーチ33を揺動させ、その振幅を一定値に安定して保つために1個のストッパ39でトーチ本体部30の脚部31で振幅を制限するようにしている。より具体的にはヘッド基板24に雌ねじを設け、ストッパ39に雄ねじを設けて、ねじ機構でストッパ39先端と脚部31間の距離を微調整できるようにした。このストッパ39を手動あるいは電動で調整することにより、溶接中でも振幅を調整することができる。
【0030】
このような手段による揺動及び振幅制御は、周波数が高い程安定で、10Hz以下になるとバネ定数30N/mm以下の弱いバネ38a,38bを使うことになるため電流ケーブル等の外部からの拘束状態の影響を受けやすくなるなど不安定になる傾向があり、実用環境も配慮すると十分安定させるには10Hz以上とすることが必要であった。バネ定数30N/mm以上のバネを用いて、このバネを電磁アクチュエータの回転軸芯から20mm以上離して設置して、トーチを拘束すると揺動が安定することが分かった。
【0031】
また、トーチ33が振動中心位置にあるとき、遮光板40のエッジが丁度ヘッド基板24上に取り付けたホトインタラプタ41を横切るように、回転軸28に遮光板40を取り付けている。したがってホトインタラプタ41の出力変化とその周期から、揺動しているトーチ33の揺動の位相を時間的に求めることができる。詳しく説明すると、タングステン電極先端が揺動の右端側から揺動中心位置を通過するときホトインタラプタがオフからオンするように、また、揺動の左端側から揺動中心位置を通過するときホトインタラプタはオンからオフとなるようにホトインタラプタ位置を設定している。共振状態にある揺動ではトーチが正弦波的にまた周期的に動いているので、1ケのホトインタラプタで中心位置通過時点と駆動方向および揺動周期が求まり、それらの信号からタングステン電極が左端に到達する時点や右端に到達する時点など、即ちタングステン電極(およびトーチ)の揺動位相を容易に求めることができる。
【0032】
このようにして、揺動位相と関連づけてアーク電流の制御ができるので、例えばトーチ33が両端側にあるときにはアーク電流を低くし、中央近くにあるときはアーク電流を高くすると、隅肉溶接での隅部の溶け込みをより深くすることができる。
【0033】
また、揺動の右端にあるときと左端にある時のアーク電圧を区別してサンプリングできるので、その値が等しくなるように、ヘッド23位置を溶接線に対し横方向に移動することにより、隅肉溶接でのアーク電圧を利用した開先倣いができる。詳しく説明すると、アーク長即ちタングステン電極先端と母材間距離に対応してアーク電圧が変化することを利用して、アーク長を一定に保つ制御が通常行われている。本発明の実施形態を用いると、揺動位相と関連付けて、即ち揺動の右端にある時のアーク電圧、左端にある時のアーク電圧、中央にある時のアーク電圧などを区別してサンプリングし検知できるので、この電圧信号をもとにトーチ位置制御、即ち開先倣いを行うことができる。例えば、V開先内でタングステン電極を揺動しながら溶接するとき、揺動の中心位置が開先の中央より右側にずれたときには、タングステン電極の先端が右端側の開先面により接近するので右端側でサンプリングしたアーク電圧は低くなり、逆に左端側ではタングステン電極の先端が左端側の開先面から遠ざかるのでサンプリングしたアーク電圧は高くなる。この検知したアーク電圧の差が無くなるように、この場合はトーチを左側に移動するようにして、常にトーチを開先中心に位置するように制御できる。
【0034】
振幅を制限するストッパ39としては、図1の実施形態ではねじ構造を採用したが、ねじ構造に限られることはなく、ヒンジ構造の1個のストッパなどでも代替できることは言うまでもない。
【0035】
電磁アクチュエータとしては、図1の実施形態ではロータリソレノイドを利用したが、通常の直流モータに交流を通電して往復回転させることなどでも代替できる。また、小さく構成できるなら、図8にあるようなプランジャであっても良い。
【0036】
以上説明したように、本発明の実施形態は、次のような構成上の特徴、作用乃至機能を有するものである。
【0037】
交番電圧を印加して往復回転動する電磁アクチュエータの回転軸に、タングステン電極を先端に取り付けたトーチの一端を機械的に結合して、振り子状にタングステン電極が揺動するようにしておき、そのトーチの付け根近傍でトーチを両側からバネ定数30N/mm以上の強いバネで拘束し、電磁アクチュエータに10Hz以上の周波数の電流を通電して共振状態で揺動することによって達成される。共振状態はバネ定数の変更によって選択し、最終的には駆動電源周波数の手動調整あるいは自動調整によって探索し設定する。
【0038】
振幅の設定は、共振あるいは共振に近い状態で振動しているトーチの片側からストッパ部材で機械的に振幅を制限すると、ストッパがない他の側もほぼ同じ振幅に制限される現象を利用する。
【0039】
また、実際に振動中心からタングステン電極がどの様な揺動位相状態にあるかは、電磁気アクチュエータの回転軸に遮光板を固定し、丁度、振動中心にトーチがあるときに遮光板のエッジがホトインタラプタを通過するように設定しておいて、その通過時点からの時間を基に知ることができる。これによって、揺動位相と同期したアーク電圧のサンプリングも可能になり、上下倣い、また隅肉溶接時の開先倣いなどにアーク電圧信号を利用することができる。
【0040】
【発明の効果】
本発明の装置では、共振状態を利用していることから、小さいエネルギーを用いて高い周波数で安定した振幅が得られる。そして、揺動している周波数が高いことから、溶接ヘッドの支持部の固有振動数とかけ離れているのでそれらと共振することが無く、また支持部材を伝わって外部に逃げ去る振動エネルギーも少ない。
【0041】
したがって、ヘッドの支持部材が振動して溶接を妨げたり、あるいは大がかりな支持部材にする必要もない。このため3Kgなど、比較的小さな積載容量の多関節ロボットに搭載して、容易に溶接できる。
【0042】
また、強いバネでトーチを拘束しているので、横向きにするなどヘッドを種々の溶接姿勢にしても、トーチが重力の影響を受けて振動中心がずれるような問題は発生しない。
【0043】
また、共振状態の性質を利用しているので、片側からの機械的な制限機構を設けて振幅を制限するだけで、多少周波数が変動しても、また駆動電流が変動しても常に安定した振幅を保つことができる。
【0044】
更に、フォトインタラプタなど簡単なセンサを用いて揺動位相を検出できるので、揺動位相と関連づけたアーク電流制御による溶け込み制御や、アーク電圧を利用した開先倣いができる。
【0045】
このようにしてTIG溶接でありながら高溶着速度が得られるホットワイヤを援用することにより、高溶接速度で溶接できるようになり、従来、MAC溶接していたラインを変更することがなく、本発明の装置を用いたホットワイヤTIG溶接装置で代替できるようになり、スパッタが少なく、フュームも少なく、そしてビード形状がきれいな溶接が出来るようになり、ジグや母材にスパッタが付着することもなく、より安定した良好な溶接が出来るようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るTIG溶接装置の溶接ヘッドを示す図である。
【図2】図1の溶接ヘッドの要部の側面図である。
【図3】図1の溶接ヘッドのアクチュエータの原理を説明する図である。
【図4】共振状態にある片持ち梁の性質の説明図である。
【図5】TIG溶接での欠陥発生を説明する図である。
【図6】従来の揺動式TIG溶接装置の説明図である。
【図7】従来の回転式TIG溶接装置の説明図である。
【図8】従来の揺動式消耗電極用トーチの説明図である。
【符号の説明】
23 溶接ヘッド
24 ヘッド基板
25 アクチュエータ
26 制御器
27 駆動配線
28 回転軸
29 絶縁部材
30 トーチ部材
31 脚部
32 管継手
33 トーチ
34 電極保持部
35 タングステン電極
36 止め捩子
37 バネ押え
38 バネ
39 ストッパ
40 遮光板
41 ホトインタラプタ
42 信号配線
43 電流ケーブル
44 冷却水入口管
45 冷却水出口管
46 永久磁石
47 磁極
48 コイル
49 駆動電源
50 片持ち梁
51 ストッパ

Claims (5)

  1. タングステン電極を先端に取り付けたトーチの一部を支点としてタングステン電極を揺動させて溶接するTIG溶接装置であって、
    前記トーチを電磁アクチュエータに結合するとともにバネで前記トーチを拘束し、10Hz以上の周波数の共振状態で、溶接線に対して略直角方向に前記タングステン電極を揺動させる
    ことを特徴とするTIG溶接装置。
  2. 請求項1に記載のTIG溶接装置において、
    前記タングステン電極の揺動できる加振状態で、前記トーチの揺動振幅を片側から機械的に制限することにより、前記揺動振幅を調整する
    ことを特徴とするTIG溶接装置。
  3. 請求項1または2に記載のTIG溶接装置において、
    前記揺動するトーチの揺動中心位置を検出するセンサを設け、前記センサから得られた揺動周期信号に基づいてトーチの揺動位相を求め、
    前記トーチの揺動位相と関連付けてアーク電流を制御するようにした
    ことを特徴とするTIG溶接装置。
  4. 請求項1または2に記載のTIG溶接装置において、
    前記揺動するトーチの揺動中心位置を検出するセンサを設け、前記センサから得られた揺動周期に基づいてトーチの揺動位相を求め、
    前記トーチの揺動位相と関連付けてアーク電圧をサンプリングして前記トーチの位置を制御するようにした
    ことを特徴とするTIG溶接装置。
  5. 請求項1、2、3または4に記載のTIG溶接装置において、
    前記バネは、バネ定数30N/mm以上のバネを前記電磁アクチュエータの回転軸芯から20mm以上離して設置することにより、前記トーチを拘束することを特徴とするTIG溶接装置。
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