JPH11239878A - Tig溶接装置 - Google Patents

Tig溶接装置

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JPH11239878A
JPH11239878A JP4370498A JP4370498A JPH11239878A JP H11239878 A JPH11239878 A JP H11239878A JP 4370498 A JP4370498 A JP 4370498A JP 4370498 A JP4370498 A JP 4370498A JP H11239878 A JPH11239878 A JP H11239878A
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tungsten electrode
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tig welding
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勝義 堀
Nobuo Nakazawa
信雄 中澤
Toshiaki Takuwa
俊明 田桑
Toshiji Nagashima
利治 永島
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶接線に対して略直角方向に高い周波数でタ
ングステン電極が揺動する小型軽量で、安価なTIG溶
接用ヘッドを提供すること。 【解決手段】 タングステン電極35を先端に取り付け
たトーチ30,31,33の一部を支点としてタングス
テン電極を揺動させて溶接するTIG溶接装置であっ
て、トーチを電磁アクチュエータに結合するとともにバ
ネ38でトーチを拘束し、10Hz以上の周波数の共振
または共振に近い状態で、溶接線に対して略直角方向に
タングステン電極を揺動させること。また、タングステ
ン電極の揺動できる加振状態で、トーチの揺動振幅を片
側から機械的に制限39することにより揺動振幅を調整
すること。また、揺動するトーチの揺動中心位置を検出
するセンサを設け、センサから得られた揺動周期に基づ
いてトーチの揺動位相を求め、トーチの揺動位相と関連
付けてアーク電流を制御すること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばホットワイ
ヤTIGアーク溶接装置などのTIGアーク溶接装置に
係わり、特に多関節ロボットに搭載し隅肉溶接やあまり
厚くない板部材の突き合わせ溶接するに適したTIGア
ーク溶接装置に関する。
【0002】
【従来の技術】隅肉溶接またはあまり板厚が大きくない
板部材の突き合わせ溶接を高能率にTIG溶接する場
合、通常のTIGトーチでアークを発生し、横から添加
ワイヤに通常加熱しながら溶着金属を高能率に形成す
る、ホットワイヤTIG溶接がしばしば用いられる。し
かし、ホットワイヤ法にするとワイヤ電流を高めること
によって溶着速度は半ば無制限に高められるが、高溶接
速度で溶接するにはアークで母材を高速に溶融していく
ことが必要になる。
【0003】母材溶融能力を高めるためにはアーク電流
を高くすることが必要になるが、単にアーク電流を高く
して溶接速度を増すと、アーク力が強くなるので図5に
示すように母材1を局所的に深く掘り込み、その後を溶
融金属で埋めることができず、ビード2の下に長い連続
した空洞3を形成する、いわゆるトンネルビードになり
やすくなる。このトンネルビードの防止対策としては、
タングステン電極を溶接進行方向に対して直角方向に高
速に揺動することが有効であることが知られている。
【0004】その具体的な装置としては、例えば、図6
に示す本出願人による特開平7−276050号公報の
揺動式TIG溶接装置がある。タングステン電極4をト
ーチ5の軸に対して傾け、トーチ5を捻転しながら溶接
することにより狭開先溶接での開先両隅部の溶け込みを
安定させようとするもので、駆動モータ6にトーチ5を
直結することにより、従来1〜2Hzどまりであった揺
動周波数を10Hz〜30Hzに揺動できるようにして
いる。
【0005】一方、図7に示すような、トーチ軸芯7だ
けが図示されている真っ直ぐなトーチ先端にタングステ
ン電極8を取り付け、トーチをすりこ木状に回転して、
アーク9を高速に回転する方法も知られている(NKK
技報、No.152 pp70−75,1995)。図
7にて、10は回転モータでギア11を介してトーチの
後端を保持している偏芯リング12を回転し、自動調芯
ボールベアリング13を支点にして、トーチにすりこぎ
運動させている。そこでの回転周波数は30Hzも可能
としている。
【0006】また、MAG溶接など消耗電極式トーチで
同様な技術が開発されている。図8は、その一例とし
て、ワイヤ先端即ちアークを高速に振動する方法(特開
平8−132240号公報)を説明する図である。
【0007】トーチ基部14の先端に可動部材としての
スプリング15を介してワイヤ供給ノズル16が取り付
けられている。そのノズル先端にはワイヤ17を保持し
たチップ18が取り付けられている。このワイヤ供給ノ
ズル16の対抗側面にはノズル16に固定された一対の
永久磁石19a,19bと、前記永久磁石の外側に近接
し、中心軸線が互いに一致すると共に前記永久磁石の極
性面と垂直となるように対抗配置された一対の電磁コイ
ル20a,20bが配置されている。それらの電磁コイ
ル20a,20bに交番電圧を印加した時に各電磁コイ
ル20a,20bと前記ノルズ16に固定された各永久
磁石19a,19bとの間には一方は引力、他方は反力
が同時に発生し、それにより前記可動部材(スプリン
グ)15を中心に前記ワイヤ供給ノルズ16がオッシレ
イト(振動)し、したがってノズル先端のチップ18が
保持しているワイヤ17もオッシレイトし、オッシレイ
トアークを形成できるようにしている。
【0008】このトーチには、ノズルの対抗側面に近接
して弾性変形可能なヒンジ機構21a,21bを設けて
おり、各ヒンジ機構にはそれぞれ固定した一対の圧電素
子22a,22bとを具備してなり、この圧電素子22
a,22bに印加する電圧によってヒンジ機構21a,
21bを弾性変形させ、機械的に両側からワイヤ供給ノ
ズルの振幅を制限することにより、ワイヤ先端のオッシ
レイト幅を調整するようにしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ホットワイヤ法を用い
て任意の溶着速度を得ながら、1.5m/minなどの
高溶接速度を達成するためには、溶接線長さ1mm当た
り2回程度のアーク電極の揺動、換算すると50Hz以
上で揺動することが望まれる。一方、大きな脚長を要求
され溶接速度0.3m/min程度で溶接する場合には
10Hz以上で揺動することが望まれる。溶接速度に対
して電極揺動周波数が余り低いと、ジクザグ状に溶融が
進み、ビード側面が波打ちアンダカットを形成するなど
溶接欠陥を発生するためである。
【0010】図6の装置では、モータの駆動部分の慣性
が大きいために30Hz以上の揺動は望まれず、また、
もともと駆動部分が大きくて、多関節溶接ロボットに搭
載するには適していないという問題点があった。
【0011】図7の装置では30Hzで回転する例が示
されており、それ以上の回転数も可能ではあろうが、こ
の装置では駆動機構部が大きく、また電極が回転してい
るために、回転幅を増すと溶接進行方向に対して溶融池
が前後方向に長くなりすぎる傾向があり、また回転方向
と溶接進行方向との関係から、ビード形状及び母材溶融
形状が左右非対称になり易い問題もある。装置自体も機
構的に大掛かりとなっている。
【0012】図8の装置では、消耗電極アーク溶接を対
象にしており、ワイヤがトーチ中心から入ってくる構造
にしている。そうすると、ワイヤとノズル間に隙間が存
在しているために振動に対して不安定な慣性力と摩擦力
が作用し、安定した振動状態を得るには強い力で強制的
に振動させることが必要になる。また、安定した振幅を
得るために、ノズルの両側から機械的に振幅を制限する
ストッパ機構を必要としている。これらのために、強い
力で振動させることが必要となり、多関節溶接ロボット
に搭載するとロボットのアームが振動するので、より可
搬重量が大きい重いアームのロボットでないと搭載でき
ないという問題も推察される。
【0013】本発明の目的は、従来装置の有するこれら
の問題点を解決することにあり、具体的には、溶接線に
対して略直角方向に高い周波数でタングステン電極が静
かに揺動する小型軽量で、安価なTIG溶接用ヘッドを
提供するにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明は主として次のような構成を採用する。
【0015】タングステン電極を先端に取り付けたトー
チの一部を支点としてタングステン電極を揺動させて溶
接するTIG溶接装置であって、前記トーチを電磁アク
チュエータに結合するとともにバネで前記トーチを拘束
し、10Hz以上の周波数の共振または共振に近い状態
で、溶接線に対して略直角方向に前記タングステン電極
を揺動させるTIG溶接装置。
【0016】また、前記TIG溶接装置において、前記
タングステン電極の揺動できる加振状態で、前記トーチ
の揺動振幅を片側から機械的に制限することにより、前
記揺動振幅を調整するTIG溶接装置。
【0017】また、前記TIG溶接装置において、前記
揺動するトーチの揺動中心位置を検出するセンサを設
け、前記センサから得られた揺動周期に基づいてトーチ
の揺動位相を求め、前記トーチの揺動位相と関連付けて
アーク電流を制御するようにしたTIG溶接装置。
【0018】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施形態に係る溶
接ヘッド23の主要構成部示す平面図であり、図2はそ
の側面図である。ここにおいて、23は溶接ヘッド、2
4はヘッド基板、25はアクチュエータ、26は制御
器、27は駆動配線、28は回転軸、29は絶縁部材、
30はトーチ部材、31は脚部、32は管継手、33は
トーチ、34は電極保持部、35はタングステン電極、
36は止め捩子、37はバネ押え、38はバネ、39は
ストッパ、40は遮光板、41はホトインタラプタ、4
2は信号配線、43は電流ケーブル、44は冷却水入口
管、45は冷却水出口管、をそれぞれ表す。
【0019】図1および図2において、24はヘッド基
板で、図示していない多関節溶接ロボットのアームに結
合されており、また、前記溶接ヘッド23の図示してい
ない保護カバーが取り付けられるようになっている。基
板24には電磁アークチュエータであるロータリソレノ
イド25が図示していない捩子で固定されている。ロー
タリソレノイド25は制御器26からの駆動配線27を
介して交番電流で往復回転状に駆動され、その回転軸2
8には絶縁部材29を介してトーチ本体部30が一体に
なって動くように締結されている。トーチ本体部30の
脚部31の先端では管継手32でトーチ33が水漏れな
いように締結されている。トーチ先端部の電極保持部3
4にて、タングステン電極35が止め捩子36で固定さ
れている。
【0020】トーチ本体部30の脚部31と基板24と
の間に捩子構造のバネ押さえ37a,37bを介して2
個の強いバネ38a,38bが脚部31を挟むように設
置している。そしてその下方には振幅を調整するストッ
パ39が基板24に捩子構造で取り付けられている。
【0021】ロータリソレノイド25の回転軸28には
遮光板40が固定されていて、丁度、振動中心にトーチ
33があるときに遮光板40のエッジが基板24に半固
定状に取り付けられているホトインタラプタ41を通過
するように設定する。ホトインタラプタ41のオンオフ
信号は信号配線42を介して制御器26に入力される。
【0022】また、アーク電流はアーク電流ケーブル4
3からトーチ本体部30に供給され、その脚部31と管
継手32によって結合されたトーチ33、その先端にあ
る電極保持部材34を介してタングステン電極35に至
ってアークを発生し、母材1側に流れる。トーチ33は
外筒側が銅管からなる2重管構造になっていて冷却水入
り口管44から入ってきた冷却水はトーチ本体部の中で
先端が電極保持部34に至る図示していない細管からな
る内筒を通過し、電極保持部34で折り返してトーチ3
3を構成している外筒と内筒の間を通過して再びトーチ
本体部30に戻り、冷却水出口管45から排出される。
この様にして電極保持部34は水冷され、タングステン
電極35は間接的に冷却されている。
【0023】図3は本実施形態に用いているアークチュ
エータ25の動作原理を示す図である。回転子側には円
筒状の永久磁石46が回転軸28に固定されている。固
定側には電磁石を構成するための1対の磁極47a,4
7bが設けられていてそれぞれコイル48a,48bが
巻かれ、駆動電源49に接続されている。本実施形態に
おいては、磁極47a,47bが励磁されていないとき
に、バネ38a,38bの保持作用で永久磁石46が丁
度中立の状態になって磁極47a,47bの中間位置に
あるように、回転軸28とトーチ本体部30の締結状態
を設定する。
【0024】そして、制御器26内に置かれた駆動電源
49から十分高い周波数の交番電流をコイル48a,4
8bに流すと、アークチュエータ25の磁極47a,4
7bはそれに対応してそれぞれ交互にN極、S極とな
り、永久磁石46は交互に右左に吸引されて、回転的に
往復動、即ち揺動する。前記アークチュエータ25の回
転軸28にはトーチ本体部30が結合されているので、
その結果トーチ33が振り子状に揺動する。駆動電源4
9の出力電流の周波数を変化させていくと、あるところ
で共振を発生し、振動エネルギを蓄える作用を果たすバ
ネ38a,38bの効果により、少ない駆動電流で大き
な振幅を形成するようになる。
【0025】この共振周波数は、バネ38a,38b、
アークチュエータ25の回転子の慣性モーメントのほ
か、トーチ本体部30やトーチ33の質量、さらにはト
ーチ本体部30に繋がっているアーク電流ケーブル4
3、冷却水が入出する水冷管44、45、またしばしば
消耗して交換するタングステン電極35など、様々な因
子が影響する。中でも、バネ38a,38bの影響は大
きく、回転の中心軸から約25mm離れたところに、9
0N/mmなど大きいバネ定数のバネを挿入すると、共
振周波数を容易に50Hz以上にできた。
【0026】共振状態にある時は少しの駆動電流変化で
も大きく振幅が変化する。振幅安定のために、大振幅で
振動するように駆動電流を設定しておき、片側からスト
ッパ39で振幅を制限すると、駆動電流が多少変化して
も、また共振周波数が多少変化しても、常に、安定した
振幅が得られる。
【0027】図4はその原理を片持ち梁50の振動状態
から説明するものである。共振状態にある片持ち梁50
は1往復中に図示していない駆動源から僅かな駆動エネ
ルギーを得て、1往復中のエネルギー損失を賄う事でバ
ランスを保っている。このような状態のとき、細い実線
で示した共振状態にある片持ち梁の片側の振幅をストッ
パ51で太い実線のところまで制限すると、反対側の振
幅も細い波線の状態から太い波線の状態、すなわち振動
中心からほぼ左右対称の距離まで振幅が減少する。
【0028】ストッパ51に当たってから反対側に行き
着くまでに振幅を増やそうとしても、その間に与えられ
る駆動エネルギーが少ないので、ほんの少ししか振幅が
増えない。この原理により、共振ないしは共振に近い状
態におくとき、振幅は機械的に片側で制限するだけでほ
ぼ対称的に他の側の振幅も制限できる。ストッパ51と
片持ち梁50との衝突時にストッパ51に吸収されるエ
ネルギは、1往復中に印加されるエネルギ以上にはなり
得ず、微弱である。
【0029】この原理を用い、本実施形態の溶接ヘッド
23では、共振あるいは共振に近い周波数でトーチ33
を揺動させ、その振幅を一定値に安定して保つために1
個のストッパ39でトーチ本体部30の脚部31で振幅
を制限するようにしている。より具体的にはヘッド基板
24に雌ねじを設け、ストッパ39に雄ねじを設けて、
ねじ機構でストッパ39先端と脚部31間の距離を微調
整できるようにした。このストッパ39を手動あるいは
電動で調整することにより、溶接中でも振幅を調整する
ことができる。
【0030】このような手段による揺動及び振幅制御
は、周波数が高い程安定で、10Hz以下になるとバネ
定数30N/mm以下の弱いバネ38a,38bを使う
ことになるため電流ケーブル等の外部からの拘束状態の
影響を受けやすくなるなど不安定になる傾向があり、実
用環境も配慮すると十分安定させるには10Hz以上と
することが必要であった。バネ定数30N/mm以上の
バネを用いて、このバネを電磁アクチュエータの回転軸
芯から20mm以上離して設置して、トーチを拘束する
と揺動が安定することが分かった。
【0031】また、トーチ33が振動中心位置にあると
き、遮光板40のエッジが丁度ヘッド基板24上に取り
付けたホトインタラプタ41を横切るように、回転軸2
8に遮光板40を取り付けている。したがってホトイン
タラプタ41の出力変化とその周期から、揺動している
トーチ33の揺動の位相を時間的に求めることができ
る。詳しく説明すると、タングステン電極先端が揺動の
右端側から揺動中心位置を通過するときホトインタラプ
タがオフからオンするように、また、揺動の左端側から
揺動中心位置を通過するときホトインタラプタはオンか
らオフとなるようにホトインタラプタ位置を設定してい
る。共振状態にある揺動ではトーチが正弦波的にまた周
期的に動いているので、1ケのホトインタラプタで中心
位置通過時点と駆動方向および揺動周期が求まり、それ
らの信号からタングステン電極が左端に到達する時点や
右端に到達する時点など、即ちタングステン電極(およ
びトーチ)の揺動位相を容易に求めることができる。
【0032】このようにして、揺動位相と関連づけてア
ーク電流の制御ができるので、例えばトーチ33が両端
側にあるときにはアーク電流を低くし、中央近くにある
ときはアーク電流を高くすると、隅肉溶接での隅部の溶
け込みをより深くすることができる。
【0033】また、揺動の右端にあるときと左端にある
時のアーク電圧を区別してサンプリングできるので、そ
の値が等しくなるように、ヘッド23位置を溶接線に対
し横方向に移動することにより、隅肉溶接でのアーク電
圧を利用した開先倣いができる。詳しく説明すると、ア
ーク長即ちタングステン電極先端と母材間距離に対応し
てアーク電圧が変化することを利用して、アーク長を一
定に保つ制御が通常行われている。本発明の実施形態を
用いると、揺動位相と関連付けて、即ち揺動の右端にあ
る時のアーク電圧、左端にある時のアーク電圧、中央に
ある時のアーク電圧などを区別してサンプリングし検知
できるので、この電圧信号をもとにトーチ位置制御、即
ち開先倣いを行うことができる。例えば、V開先内でタ
ングステン電極を揺動しながら溶接するとき、揺動の中
心位置が開先の中央より右側にずれたときには、タング
ステン電極の先端が右端側の開先面により接近するので
右端側でサンプリングしたアーク電圧は低くなり、逆に
左端側ではタングステン電極の先端が左端側の開先面か
ら遠ざかるのでサンプリングしたアーク電圧は高くな
る。この検知したアーク電圧の差が無くなるように、こ
の場合はトーチを左側に移動するようにして、常にトー
チを開先中心に位置するように制御できる。
【0034】振幅を制限するストッパ39としては、図
1の実施形態ではねじ構造を採用したが、ねじ構造に限
られることはなく、ヒンジ構造の1個のストッパなどで
も代替できることは言うまでもない。
【0035】電磁アクチュエータとしては、図1の実施
形態ではロータリソレノイドを利用したが、通常の直流
モータに交流を通電して往復回転させることなどでも代
替できる。また、小さく構成できるなら、図8にあるよ
うなプランジャであっても良い。
【0036】以上説明したように、本発明の実施形態
は、次のような構成上の特徴、作用乃至機能を有するも
のである。
【0037】交番電圧を印加して往復回転動する電磁ア
クチュエータの回転軸に、タングステン電極を先端に取
り付けたトーチの一端を機械的に結合して、振り子状に
タングステン電極が揺動するようにしておき、そのトー
チの付け根近傍でトーチを両側からバネ定数30N/m
m以上の強いバネで拘束し、電磁アクチュエータに10
Hz以上の周波数の電流を通電して共振あるいは共振に
近い状態で揺動することによって達成される。共振状態
はバネ定数の変更によって選択し、最終的には駆動電源
周波数の手動調整あるいは自動調整によって探索し設定
する。
【0038】振幅の設定は、共振あるいは共振に近い状
態で振動しているトーチの片側からストッパ部材で機械
的に振幅を制限すると、ストッパがない他の側もほぼ同
じ振幅に制限される現象を利用する。
【0039】また、実際に振動中心からタングステン電
極がどの様な揺動位相状態にあるかは、電磁気アクチュ
エータの回転軸に遮光板を固定し、丁度、振動中心にト
ーチがあるときに遮光板のエッジがホトインタラプタを
通過するように設定しておいて、その通過時点からの時
間を基に知ることができる。これによって、揺動位相と
同期したアーク電圧のサンプリングも可能になり、上下
倣い、また隅肉溶接時の開先倣いなどにアーク電圧信号
を利用することができる。
【0040】
【発明の効果】本発明の装置では、共振状態を利用して
いることから、小さいエネルギーを用いて高い周波数で
安定した振幅が得られる。そして、揺動している周波数
が高いことから、溶接ヘッドの支持部の固有振動数とか
け離れているのでそれらと共振することが無く、また支
持部材を伝わって外部に逃げ去る振動エネルギーも少な
い。
【0041】したがって、ヘッドの支持部材が振動して
溶接を妨げたり、あるいは大がかりな支持部材にする必
要もない。このため3Kgなど、比較的小さな積載容量
の多関節ロボットに搭載して、容易に溶接できる。
【0042】また、強いバネでトーチを拘束しているの
で、横向きにするなどヘッドを種々の溶接姿勢にして
も、トーチが重力の影響を受けて振動中心がずれるよう
な問題は発生しない。
【0043】また、共振状態の性質を利用しているの
で、片側からの機械的な制限機構を設けて振幅を制限す
るだけで、多少周波数が変動しても、また駆動電流が変
動しても常に安定した振幅を保つことができる。
【0044】更に、フォトインタラプタなど簡単なセン
サを用いて揺動位相を検出できるので、揺動位相と関連
づけたアーク電流制御による溶け込み制御や、アーク電
圧を利用した開先倣いができる。
【0045】このようにしてTIG溶接でありながら高
溶着速度が得られるホットワイヤを援用することによ
り、高溶接速度で溶接できるようになり、従来、MAC
溶接していたラインを変更することがなく、本発明の装
置を用いたホットワイヤTIG溶接装置で代替できるよ
うになり、スパッタが少なく、フュームも少なく、そし
てビード形状がきれいな溶接が出来るようになり、ジグ
や母材にスパッタが付着することもなく、より安定した
良好な溶接が出来るようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るTIG溶接装置の溶接
ヘッドを示す図である。
【図2】図1の溶接ヘッドの要部の側面図である。
【図3】図1の溶接ヘッドのアクチュエータの原理を説
明する図である。
【図4】共振状態にある片持ち梁の性質の説明図であ
る。
【図5】TIG溶接での欠陥発生を説明する図である。
【図6】従来の揺動式TIG溶接装置の説明図である。
【図7】従来の回転式TIG溶接装置の説明図である。
【図8】従来の揺動式消耗電極用トーチの説明図であ
る。
【符号の説明】
23 溶接ヘッド 24 ヘッド基板 25 アクチュエータ 26 制御器 27 駆動配線 28 回転軸 29 絶縁部材 30 トーチ部材 31 脚部 32 管継手 33 トーチ 34 電極保持部 35 タングステン電極 36 止め捩子 37 バネ押え 38 バネ 39 ストッパ 40 遮光板 41 ホトインタラプタ 42 信号配線 43 電流ケーブル 44 冷却水入口管 45 冷却水出口管 46 永久磁石 47 磁極 48 コイル 49 駆動電源 50 片持ち梁 51 ストッパ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永島 利治 広島県呉市宝町6番9号 バブ日立工業株 式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タングステン電極を先端に取り付けたト
    ーチの一部を支点としてタングステン電極を揺動させて
    溶接するTIG溶接装置であって、 前記トーチを電磁アクチュエータに結合するとともにバ
    ネで前記トーチを拘束し、10Hz以上の周波数の共振
    または共振に近い状態で、溶接線に対して略直角方向に
    前記タングステン電極を揺動させることを特徴とするT
    IG溶接装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のTIG溶接装置におい
    て、 前記タングステン電極の揺動できる加振状態で、前記ト
    ーチの揺動振幅を片側から機械的に制限することによ
    り、前記揺動振幅を調整することを特徴とするTIG溶
    接装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のTIG溶接装
    置において、 前記揺動するトーチの揺動中心位置を検出するセンサを
    設け、前記センサから得られた揺動周期信号に基づいて
    トーチの揺動位相を求め、 前記トーチの揺動位相と関連付けてアーク電流を制御す
    るようにしたことを特徴とするTIG溶接装置。
  4. 【請求項4】 請求項1または2に記載のTIG溶接装
    置において、 前記揺動するトーチの揺動中心位置を検出するセンサを
    設け、前記センサから得られた揺動周期に基づいてトー
    チの揺動位相を求め、 前記トーチの揺動位相と関連付けてアーク電圧をサンプ
    リングして前記トーチの位置を制御するようにしたこと
    を特徴とするTIG溶接装置。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3または4に記載のTI
    G溶接装置において、 前記バネは、バネ定数30N/mm以上のバネを前記電
    磁アクチュエータの回転軸芯から20mm以上離して設
    置することにより、前記トーチを拘束することを特徴と
    するTIG溶接装置。
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