JP2000079470A - アーク溶接方法 - Google Patents
アーク溶接方法Info
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Abstract
自在に制御できる溶接システムを提供し、アークの入熱
密度分布の制御を行うことによって、過大な溶接入熱と
なるのを抑制しながら母材溶融の確保を可能とする。 【解決手段】 ワイヤ消耗電極方式によるアーク溶接に
おいて、被溶接材の開先において、溶接トーチ(2)の
位置(l)を周期的にアーク軸方向に揺動させる。また
は、この位置変動とアーク電流特性の変更時との位相差
を制御して溶接する。
Description
接方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願
の発明は、開先アーク溶接施工において、溶接トーチ位
置をアーク軸方向へ上下揺動することによって溶接ワイ
ヤのアーク発生点(溶接ワイヤ先端)を上下方向へ揺動
させ、この上下揺動と溶接パルス電流間の位相差を制御
することによって母材開先面でのアーク熱密度分布を自
在に制御することを特徴とした高能率で高品質な溶接方
法に関するものである。
ては、V,K,レ型等および狭開先溶接継手の狹隘間隙
部(開先底部)での融合不良などの溶接欠陥を防ぐため
にその開先底部に十分なアーク入熱を投与することが必
要であることが知られている。だが、開先の底部を十分
に溶融するために大入熱アーク溶接法を用いると溶接時
の熱による溶接継手部での金属学的な特性劣化や溶接変
形が問題となる。これらの問題を解決するため、開先内
でアーク熱の分散化と集中化を適切に制御することが不
可欠である。
夫が試みられているものの、アーク熱分布を自在に制御
することは容易ではなく、この制御を可能として高能率
で高品質な溶接を行うことは依然としてアーク溶接法の
大きな課題になっていた。
記のとおりの課題を解決するために、第1の発明とし
て、ワイヤ消耗電極方式によるアーク溶接において、被
溶接材の開先において、溶接トーチの位置を周期的にア
ーク軸方向に揺動制御して溶接することを特徴とする消
耗電極式のアーク溶接方法を提供する。また、第2の発
明として、消耗電極方式によるアーク溶接において、被
溶接材の開先において溶接トーチの位置を周期的にアー
ク軸方向に揺動させ、この位置変動とアーク電流特性の
変更時との位相差を制御して溶接することを特徴とする
消耗電極式のアーク溶接方法を提供する。
は、第3の発明として、アーク電流特性として電気量を
変化させて直流アーク溶接を行う方法を、第4の発明と
して、アーク電流特性として溶接ワイヤの極性を変化さ
せて交流アーク溶接を行う方法を、第5の発明として、
アーク電流特性として電流波形を変化させてアーク溶接
を行う方法を、第6の発明として、溶接トーチのワイヤ
端位置の変動周期とアーク電流特性の変動周期を組み合
わせる溶接方法を提供する。
発明では、溶接トーチをアーク軸方向に揺動することを
最も本質的な特徴としている。なお、ここで「アーク軸
方向」とは、ワイヤの長さ方向と言い換えてもよい。ま
た、溶接トーチの前記の揺動は、原則的に溶接ワイヤの
送給速度が一定であることを前提として揺動することを
意味している。
は、溶接トーチの位置の揺動に溶接パルス電流を協調さ
せることにより、アーク入熱点(溶接ワイヤ先端)挙動
範囲と移動速度を制御し、適切に開先底部へ熱エネルギ
ーを投入しながら開先面のアーク熱密度分布を任意に形
成することのできる消耗電極式アーク溶接方法としてい
る。
内の熱密度分布を適切に制御できるので、過大入熱を回
避した母材の特性を損なわない組織保存型の溶接施工が
可能となる。また、従来では施工が困難な開先幅10m
m以下の超狭開先の消耗式電極溶接(MIG,MAG,
CO2 ,SAW)に有効である。また、溶接時の溶融領
域や熱影響部を最小化できるので変形、残留、応力の低
減にも効果が大きい。
特徴をもつものであるが、以下に、詳しくこの発明の実
施の形態について説明する。まず、図1は、この発明の
方法に用いることのできる溶接装置を例示したものであ
る。この図1の装置においては、溶接電源(1)に接続
されている溶接トーチ(2)と、この溶接トーチ(2)
を介して消耗電極としての溶接ワイヤ(3)を送給する
ワイヤ送給装置(7)とを備えており、しかも、溶接ト
ーチ(2)は、たとえば狭開先継手を形成する被溶接材
(4)の開先内において発生されるアーク(5)の軸方
向、つまり図1において、矢印で示した上下方向に揺動
可能とされている。
(3)の送給速度は原則として一定である。従来の溶接
方法においては、たとえば図1に示した被溶接材(4)
の表面からの溶接トーチ(2)までの距離(L)が一定
に保たれているが、この発明の溶接方法においては、溶
接トーチ(2)が上下揺動するものとしているため、こ
の距離(L)は一定でなしに変動することになる。
以下の説明においては、溶接条件(溶接入熱量:〜25
kJ/cmを想定)において、開先内を1溶接で開先底
部から高さ約10mmまで溶着金属で埋めることを想定
している。そこで、ワイヤ端の上下変動量は、少くとも
5mm以上、最大で10mm強を目標とし、この範囲で
入熱密度分布を与えることとしている。
用を、入力電圧が一定で、溶接電流が実質的に一定の場
合について例示した図であるが、溶接トーチの揺動によ
って、ワイヤ端位置が開先底部にあっても入熱量を大き
くすることができ、開先内の熱密度分布が制御されるこ
とがわかる。さらに位相差を制御するこの発明の方法を
従来法との比較として説明すると、たとえば、図3
(a)は溶接トーチ(2)位置が一定な従来法における
直流パルスアークを例示したものであるが、大電流時に
ワイヤ溶融量が大きくなりワイヤ端がA1からA2に上
昇する。A2に達した後にアーク電流を下げるとワイヤ
の溶融量が少なくなりワイヤ端がA3まで下がる。しか
しこの開先底部で、アーク電流が低下するため入熱量は
相対的に小さくなり、底部の溶融確保には不適当な状態
となる。
下)場合におけるこの発明の方法を例示した図3(b)
の溶接トーチ位置を上下揺動する直流パルス溶接では、
溶接トーチの位置を一定とせずに揺動可能としている。
そして、この溶接トーチの位置揺動時とパルス発生時の
位相差を制御することにより、ワイヤ端が開先底部にあ
る時に大電流となるようにすることができる。これによ
って、開先底部の溶融確保が容易となる。
は、ワイヤ端のアーク発生位置は、溶接電源特性、溶接
アーク電流・電圧波形、ワイヤ極性等の変化によって、
制御可能であるが、溶接トーチ位置の揺動に応じて、こ
れらの諸条件を協調させて変動するとき入熱分布を自在
かつ効果的に制御することができる。一方、高周波(約
10Hz以上)のパルス溶接では、パルス電流によるワ
イヤ溶融速度は平均化され、それによるアーク発生点の
変動がほとんど無くなる。これによって、アーク発生点
となるワイヤ溶融端の揺動は、溶接トーチの揺動とほぼ
同じになる。このため、溶接トーチの揺動に位相を合わ
せて、溶接電流波形(入熱)を設定することで母材開先
面への熱密度分布を自在に制御することができる。
0Hz以上)場合におけるこの発明の方法を例示したも
ので、溶接トーチ位置を上下揺動する直流パルス溶接
で、トーチ位置揺動との位相を任意に設定し、かつパル
ス波形を任意に設定して、開先底部の溶融を確保しなが
ら開先内に任意の熱分布を形成する。基本的にこのよう
な制御により、開先内のアーク熱密度分布を適正化で
き、かつ制御性が高まる。
流特性の変更時との位相差を制御するこの発明の方法を
より具体的に説明する。図3(a)に示したように、溶
接トーチ位置が一定でパルス電流を加えた状態ではパル
ス電流印加時にアーク発生端(ワイヤ端)は開先底部か
ら上面へ移動状態にあり、開先底部にワイヤ端が存在す
る時点でパルスが発生していない。そのため、開先底部
で充分なパルス入熱が投与されない。そこで、2.5H
zの溶接トーチ位置揺動を基準として、電流波形が一定
のパルス電流印加時の位相(θ)を変化した時のワイヤ
端挙動をみてみる。すると図4(a)に示した位相差
0、パルス周期0.4秒、溶接トーチ揺動周期0.4秒
では、開先底部においてパルス入熱が投与されない。図
4(b)は同一条件で位相差のみ−π/4とした場合
で、この場合もパルス入熱が効果的に開先底部に投与さ
れない。位相差を−π/2とした図4(c)の場合で
は、上記とは逆に開先底部のみに、全入熱が投与され、
板厚方向に熱密度分布を設定することができない。図5
(a)の位相差−3π/4の場合では、開先底部にパル
ス入熱が効果的に投与され、板厚方向に熱密度分布が設
定できる。さらに図5(b)の位相差−πの場合にも開
先底部にパルス入熱が効果的に投与される。しかし図5
(c)の位相差−3π/2(π/2)では、再びパルス
入熱が開先底部に効果的に投与できなくなることがわか
る。
適とされる(この例では、−3π/4および−π)こと
によって、パルス入熱が効果的に開先底部に投与される
ことがわかる。さらに、機械的に溶接トーチ位置を上下
揺動する場合には、極短周期(周波数で約10Hz以
上)においてもトーチ位置の上下振幅が確保できる。図
6は、パルス周波数およびトーチ揺動周波数を50Hz
とした場合である。高周波パルス電流によるワイヤ溶融
速度は平均化され、その変動がほとんど無くなり、アー
ク発生点となるワイヤ溶融端の揺動は、溶接トーチの揺
動とほぼ同じになる。このため、溶接トーチ揺動に位相
を図6のような設定(θ=π)とし、溶接電流波形(入
熱)を任意に設定することで母材開先面への熱密度分布
を自在に制御できる。
い領域にワイヤ端が位置した時にワイヤ極性が正あるい
は電流値を大に設定することで上記と同様の熱密度分布
を制御できる。また以上の制御においては、高周波揺動
により溶込み形状変動を抑制することが可能となる。な
お、交流アークの場合について例示すると、ワイヤ側が
正の極性となるときに被溶接材が効果的に溶融できる。
またワイヤ側が負の極性時には正の極性に比較してワイ
ヤの溶融速度が大きくなることから、トーチ位置の揺動
挙動とワイヤの溶融速度変動の相対関係によってワイヤ
端位置が複雑に変化する。図7では、位相差π/4
(a)、5π/8(b)、5π/4(c)の場合を示し
た。位相差3π/8が適正条件の場合で、ワイヤ端が開
先底部に達したときにワイヤ側が正の極性となり(溶接
電流が正のとき)、開先底部の溶融を確保できるように
なる。
の熱密度分布を自在に制御でき、通常V,レ,K型等開
先内および開先幅10mm以下の超狹開先内での開先底
部の溶融確保とビード表面形状平滑化が同時に制御可能
な溶接施工が行え、また、このことから過大な溶接入熱
とならず母材の特性を損なわない組織保存型の溶接施工
が可能となる。
発明によって、母材の開先面にアーク熱の分散化と集中
化を自在に制御できる溶接システムが提供される。アー
クの入熱密度分布の制御を行うことによって、過大な溶
接入熱となるのを抑制しながら母材溶融の確保を可能と
する。また同時に、溶接時の熱密度を低減できるので、
母材の特性を損なわない組織保存型の溶接施工が期待さ
れる。
とした場合についてワイヤ端の挙動変化として示した図
である。
流との位相制御(b,c)によるワイヤ端の挙動変化を
示した図である。
(b),および−π/2(c)の場合のワイヤ端の挙動
変化を示した図である。
π(b)および−3π/2,π/2(c)の場合のワイ
ヤ端の挙動を示した図である。
動を示した図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 ワイヤ消耗電極方式によるアーク溶接に
おいて、被溶接材の開先において、溶接トーチの位置を
周期的にアーク軸方向に揺動制御して溶接することを特
徴とする消耗電極式のアーク溶接方法。 - 【請求項2】 ワイヤ消耗電極方式によるアーク溶接に
おいて、被溶接材の開先において、溶接トーチの位置を
周期的にアーク軸方向に揺動させ、この位置変動とアー
ク電流特性の変更時との位相差を制御して溶接すること
を特徴とする消耗電極式のアーク溶接方法。 - 【請求項3】 アーク電流特性として電気量を変化させ
て直流アーク溶接を行う請求項2の溶接方法。 - 【請求項4】 アーク電流特性として溶接ワイヤの極性
を変化させて交流アーク溶接を行う請求項2の溶接方
法。 - 【請求項5】 アーク電流特性として電流波形を変化さ
せてアーク溶接を行う請求項2の溶接方法。 - 【請求項6】 溶接トーチのワイヤ端位置の変動周期と
アーク電流特性の変動周期を組み合わせる請求項2の溶
接方法。
Priority Applications (4)
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JP25114598A JP4538616B2 (ja) | 1998-09-04 | 1998-09-04 | アーク溶接方法 |
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EP99307039A EP0983816B1 (en) | 1998-09-04 | 1999-09-03 | Arc welding method |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008279476A (ja) * | 2007-05-10 | 2008-11-20 | Daihen Corp | アーク溶接の溶接方法及び溶接ロボットの制御装置 |
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- 1998-09-04 JP JP25114598A patent/JP4538616B2/ja not_active Expired - Fee Related
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