JP2001225168A - 消耗電極ガスシールドアーク溶接方法 - Google Patents

消耗電極ガスシールドアーク溶接方法

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JP2001225168A
JP2001225168A JP2000041399A JP2000041399A JP2001225168A JP 2001225168 A JP2001225168 A JP 2001225168A JP 2000041399 A JP2000041399 A JP 2000041399A JP 2000041399 A JP2000041399 A JP 2000041399A JP 2001225168 A JP2001225168 A JP 2001225168A
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consumable electrode
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Toshio Oonawa
登史男 大縄
Tomoyuki Kamiyama
智之 上山
Masao Ushio
誠夫 牛尾
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Daihen Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶接構造物における消耗電極ガスシールドア
ーク溶接方法に関し、特に2電極消耗電極ガスシールド
アーク溶接方法に関するものである。 【解決手段】 2本のワイヤを使用する消耗電極ガスシ
ールドアーク溶接方法において、先行ワイヤ及び後行ワ
イヤにパルス電流を通電して先行ワイヤ及び後行ワイヤ
のアーク長をパルス周波数を変化させて溶接電流の平均
値を増減させることによって制御を行う消耗電極ガスシ
ールドアーク溶接方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶接構造物におけ
る消耗電極ガスシールドアーク溶接方法に関し、特に2
電極消耗電極ガスシールドアーク溶接方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、各種溶接構造物の建造において、
高速溶接又は高溶着溶接によって作業能率の向上を図っ
ているが、さらに向上させるために、2本のトーチを使
用する消耗電極ガスシールドアーク溶接方法が採用され
ている。図1は一般的な2本のトーチから消耗電極ワイ
ヤ(以下、ワイヤという)を供給する消耗電極ガスシー
ルドアーク溶接方法を示す説明図である。同図におい
て、先行トーチ1及び後行トーチ2と被溶接物8との間
に図示しない溶接用電源から電力を供給し、先行トーチ
1及び後行トーチ2からそれぞれ供給される先行ワイヤ
3及び後行ワイヤ4の先端からアーク5及び6がそれぞ
れ発生している。先行ワイヤ3から発生しているアーク
5によって形成される溶融池7の溶融金属が表面張力に
よって後方へ流れていこうとするが、後行ワイヤ4から
発生しているアーク6のアーク力がこの後方へ流れよう
とする溶融金属を先行ワイヤ3から発生するアーク5の
直下へ押し戻して、各進行位置における溶融金属量を均
一にして、溶接ビード9が凸凹形状のいわゆるハンピン
グビードに成ることを防いでいる。
【0003】従来提案されている2本のトーチを使用す
る消耗電極ガスシールドアーク溶接方法は、次の通りで
ある。 (1)例えば特開平2−280968においては、先行電
極と後行電極とを用いた高速水平すみ肉ガスシールドア
ーク溶接方法において、少なくとも後行電極にルチール
系のフラックス入りワイヤを用い、先行電極と後行電極
とのアーク発生点の間隔を10〜40[mm]にして1
プールを形成せしめ、先行電極及び後行電極のワイヤ径
が1.2〜4.0[mm]の範囲でかつ先行電極のワイ
ヤ径は後行電極のワイヤ径以下とすると共に、溶接線方
向の傾斜角度が先行電極を0〜25[度]の後退角、後
行電極を0〜25[度]の前進角とし、かつ先行電極の
電流値(AL)と後行電極の電流値(AR)との比(A
L/AR)を1.0〜1.9で溶接することが開示され
ている。しかし、少なくとも後行電極にルチール系のフ
ラックス入りワイヤを用いていて、フラックス入りワイ
ヤは高価格であるために、溶接作業のコスト低減を図る
ことが難しい。
【0004】(2)また、特開平2ー92464において
は、ガスシールドアーク高速溶接方法において、2本の
ワイヤを使用し、先行電極の鉛直線に対する傾斜角度を
0〜30[度]の後退角とし、後行電極の鉛直線に対す
る傾斜角度を5〜50[度]の前進角とし、電極間距離
を100[mm]以下とし、先行電極のワイヤ径2[m
m]φ以上で溶接電流は600[A]以上とし、溶接速
度を5[m/分]以上で行い、先行電極に直流溶接電源
を電極プラス極性で用い、後行電極に再点弧用パルス発
生装置を備えた商用周波数の交流溶接電源またはトラン
ジスタインバータ等によるスイッチング特性の50[H
z]〜100[KHz]の振動電流を用い、後行電極の
ワイヤ径を先行電極より小さくし、後行電流は先行電流
の2分の1以下にすることが開示されている。しかし、
ワイヤ径が2[mm]φ以上の電極では、ワイヤに流れ
る電流密度が小さくなるため、同じ電流量で溶融するワ
イヤ量が減少し、溶着効率が低くなる。また、先行電極
に直流溶接電源を使用しているために、後行電極に50
[Hz]〜100[KHz]の振動電流を通電した場合
であっても、2本のワイヤに流れる電流の方向が同じに
なる期間には、電磁力による気吹きの現象が発生して、
アークの干渉が発生するために、スパッタの少ない美麗
な溶接ビードを得ることが困難な場合がある。
【0005】(3)また、特開昭64−87072におい
ては、消耗電極ワイヤを2本使用するガスシールドアー
ク溶接法において、先行電極と後行電極にそれぞれ再点
弧用パルス発生装置を備えた互いに別位相の交流溶接電
源を用い、電極先端距離を1〜50[mm]とし、入熱
Qおよび溶接速度vに関する特定値Q×v(kJ/分)
が300〜5000の範囲で行う方法が開示されてい
る。但し、Qは溶接入熱=60EI/(v×1000)
[kJ/cm]であり、Eはアーク電圧(V)、Iはア
ーク電流(A)、vは溶接速度[cm/分]である。し
かし、この発明においては、交流電源が用いられていて
直流電源と比較して磁気吹きの現象は弱くなるが、周波
数が商用周波数であるために、溶接速度に対応した溶滴
移行をさせようとしても、周波数が低過ぎて、安定した
溶接ビードを形成することができない。
【0006】(4)また、特開昭63−154266にお
いては、高速ガスシールドアーク仮付溶接方法におい
て、先行電極として3.2[mm]以上の径を有するメ
タル系フラックス入りワイヤを後退角0〜20[度]の
範囲で、後行電極として1.6[mm]以上の径を有す
るメタル系フラックス入りワイヤを前進角0〜20
[度]の範囲で、その先端間が10〜40[mm]の範
囲となるように配置して、前記先行電極および後行電極
に200〜2000[A]の全波整流の溶接電流を前記
各電極間に90度の位相差を持たせて供給し、そして、
CO2を50[%]以上含有するArーC02混合ガス
をシールドガスとして供給して、被溶接材を仮付溶接す
る方法が開示されている。しかし、この発明では、先行
電極のワイヤ径が3.2[mm]以上の電極で、かつ、
メタル系フラックス入りワイヤを使用しているために、
ワイヤに流れる電流密度が小さく、同じ電流量で溶融で
きるワイヤ量が減少して溶着効率が低くなり、また、フ
ラックス入りワイヤは高価格であるために、溶接作業の
コスト低減を図ることが困難である。また、溶接電流の
周波数が商用周波数であるために、溶接速度に対応した
溶滴移行をするには周波数が低く、安定した溶接ビード
を形成することができない。
【0007】(5)また、Welding Journalの1999年
5月号の31〜34頁に記載されている「Twin-Wire G
MAW:Process Characteristics and Applications」
に、2本のワイヤを用いたGMAW(ガスメタルアーク溶
接)において、2本のワイヤに図2に示すパルス電流を
供給し、この2本のワイヤに供給するそれぞれのパルス
電流のピーク期間が重ならないようにしている。同図に
おいて、(A)及び(B)は、先行ワイヤ及び後行ワイ
ヤに供給するパルス電流I1及びI2を時間の経過と共
にそれぞれ示している。Ip1及びIp2はピーク電流値で
あり、Ib1及びIb2はベース電流値であり、Tp1及びT
p2はピーク期間であり、Tb1及びTb2はベース期間であ
る。この場合、先行ワイヤに通電される電流がベース期
間中は、先行ワイヤのアークの電磁力が後行ワイヤのア
ークに強い影響を与えないために、溶融池は安定し、美
麗なビードが得られることが提案されている。しかし、
この発明は、2つのワイヤにパルス電流を交互に通電し
ているために、先行ワイヤに通電する電流のパルス電流
の周波数を高くすると共に、先行ワイヤに通電する電流
を大電流にすると、先行ワイヤに通電するパルス電流の
ベース期間が短くなり、2本のワイヤに供給するそれぞ
れのパルス電流のピーク期間が重ならないようにするた
めに、後行ワイヤに通電するパルス電流のピーク期間が
短くなって、後行ワイヤに1パルス1溶滴移行を確保で
きるパルス電流を通電することが困難になる。従って、
先行ワイヤに通電する電流を大電流にできる溶接条件の
範囲が制限される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来技術においては、
上述したように次の課題が残されている。 ワイヤとしてフラックス入りワイヤを用いる場合は、
フラックス入りワイヤが高価格であるために、溶接作業
のコスト低減を図ることができない。 ワイヤ直径が2[mm]以上のワイヤでは、ワイヤに
流れる電流密度が小さくなるために、同じ電流量で溶け
るワイヤ量が減少して、溶着効率が低くなる。 直流溶接電源を使用する場合、2本のワイヤに流れる
電流の方向が同じになる期間には、電磁力によるアーク
の磁気吹きが発生して、アークの干渉が発生するため
に、スパッタの少ない美麗な溶接ビードを得ることが困
難な場合がある。 溶接電流のパルス周波数が商用周波数となる交流電源
が用いられる場合、高速度の溶接速度に対応した溶滴移
行をさせようとしてもパルス周波数が低過ぎて、単一移
動距離内に移行する溶滴の数が少なく均一な安定した溶
接ビードを形成することができない。 2つのワイヤにピーク期間が重ならないようにパルス
電流を交互に通電する場合、先行ワイヤに通電するパル
ス電流の周波数を高くして、先行ワイヤに通電する電流
を大電流にすると、先行ワイヤに通電するパルス電流の
ベース期間が短くなるので、2本のワイヤに供給するそ
れぞれのパルス電流のピーク期間が重ならないようにす
るために、後行ワイヤに通電するパルス電流のピーク期
間が短くなり、後行ワイヤに1パルス1溶滴移行を確保
できるパルス電流を通電することが困難になる。従っ
て、先行ワイヤに通電する電流を大電流にできる溶接条
件の範囲が制限される。
【0009】
【課題を解決するための手段】出願時の請求項1に記載
の発明は、2本のワイヤを使用する消耗電極ガスシール
ドアーク溶接方法において、先行ワイヤ3及び後行ワイ
ヤ4にパルス電流を通電して先行ワイヤ3及び後行ワイ
ヤ4のアーク長をパルス周波数を変化させて溶接電流の
平均値を増減させることによって制御を行う消耗電極ガ
スシールドアーク溶接方法である。
【0010】出願時の請求項2に記載の発明は、先行ワ
イヤ3の鉛直線に対する傾斜角度を0[度]乃至15
[度]の後退角θ1とし、後行ワイヤ4の鉛直線に対す
る傾斜角度を5[度]乃至30[度]の前進角θ2とす
る出願時の請求項1に記載の消耗電極ガスシールドアー
ク溶接方法である。
【0011】出願時の請求項3記載の発明は、後行ワイ
ヤ4に供給する電流の平均値を先行ワイヤ3に供給する
電流の平均値の20[%]乃至80[%]とし、先行ワ
イヤ3の先端と後行ワイヤ4の先端とのワイヤ先端間距
離Lを10[mm]乃至20[mm]とする出願時の請
求項1又は請求項2に記載の消耗電極ガスシールドアー
ク溶接方法である。
【0012】出願時の請求項4記載の発明は、先行ワイ
ヤ3及び後行ワイヤ4のワイヤ直径を、1.0[mm]
以上で1.6[mm]以下とする出願時の請求項1又は
請求項2又は請求項3に記載の消耗電極ガスシールドア
ーク溶接方法である。
【0013】出願時の請求項5記載の発明は、先行ワイ
ヤ3及び後行ワイヤ4にパルス周波数が100[Hz]
以上で1[KHz]以下のパルス電流をそれぞれ供給す
る出願時の請求項1に記載の消耗電極ガスシールドアー
ク溶接方法である。
【0014】出願時の請求項6記載の発明は、先行ワイ
ヤ3及び後行ワイヤ4にそれぞれ独立した別々のパルス
電流を通電する出願時の請求項1又は請求項5に記載の
消耗電極ガスシールドアーク溶接方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】図3は本発明の2本のトーチから
ワイヤを供給する消耗電極ガスシールドアーク溶接方法
を説明する図である。同図において、先行トーチ1は鉛
直線10に対する傾斜角度を後退角θ1とし、後行トー
チ2は鉛直線10に対する傾斜角度を前進角θ2とし、
先行ワイヤ3の先端と後行ワイヤ4の先端との距離をワ
イヤ先端間距離Lとする。その他、図1に示した機能と
同じ機能に同符号を付して説明を省略する。先行ワイヤ
3及び後行ワイヤ4のワイヤ直径が2[mm]以上のワ
イヤでは、ワイヤに流れる電流密度が小さくなるため、
同じ電流量で溶けるワイヤ量が減少し、溶着効率が低く
なる。従って、ワイヤ直径1.6[mm]以下の細径ワ
イヤを使用して溶着効率を高める。他方、ワイヤ直径
1.0[mm]未満ではワイヤを高速度で送給しようと
すると座屈をしてしまう。
【0016】図4は本発明の先行ワイヤ3及び後行ワイ
ヤ4に通電する電流の波形を示す図である。同図におい
て、(A)は先行ワイヤに通電する先行ワイヤ通電電流
I1の波形であって、(B)は後行ワイヤに通電する後
行ワイヤ通電電流I2の波形である。先行ワイヤ通電電
流I1のピーク電流値Ip1、ピーク電流期間Tp1及びベ
ース電流値Ib1は一定であり、先行ワイヤのアーク長の
変化に対応して周波数を増減してベース電流期間Tb1を
変化させて溶接電流の平均値を増減させるパルス周波数
変調方式によってアーク5のアーク長を一定値に制御す
る。また、後行ワイヤ通電電流I2においても、ピーク
電流値Ip2、ピーク電流期間Tp2及びベース電流値Ib2
は一定であり、後行ワイヤのアーク長の変化に対応して
周波数を増減してベース電流期間Tb2を変化させて溶接
電流の平均値を増減させ、パルス周波数変調方式によっ
てアーク6のアーク長を一定にする制御を行う。先行ワ
イヤ通電電流I1と後行ワイヤ通電電流I2とはそれぞ
れ独立して別々に制御されている。先行ワイヤ1及び後
行ワイヤ2に通電する電流をパルス電流とすることによ
って、直流電流を通電した場合よりもアークの磁気吹き
の影響が弱く、また、溶滴のワイヤからの離脱力が強く
なるので、均一な安定した溶接ビード9を形成すること
ができる。上記のアーク長の変化とパルス周波数とを対
応させるには、アーク長が大になるとアーク電圧値が大
になり、逆に、ワイヤのアーク長が小になるとアーク電
圧値が小になるので、例えば、アーク電圧値を検出して
その検出値がアーク電圧設定値に対して大きければパル
ス周波数を減少させることにより、ワイヤ溶融速度を低
下させアーク長が短くなるようにし、逆にその検出値が
アーク電圧設定値より小さければ、パルス周波数を増加
させることにより、ワイヤ溶融速度を増加させアーク長
が長くなるようにする。
【0017】先行ワイヤ通電電流I1と後行ワイヤ通電
電流I2とのパルス周波数は、商用周波数のように低い
周波数では高速度の溶接速度に対応した溶滴移行をさせ
ようとしても、パルス周波数が低過ぎて、前述したよう
に、安定した溶接ビードを形成することができない。そ
こで100[Hz]以上のパルス周波数とする。逆に、
パルス周波数が1[KHz]以上になると、ワイヤから
移行する溶滴の離脱力が小さくなり、十分な溶け込みを
得ることができなくなる。
【0018】先行ワイヤ通電電流I1と後行ワイヤ通電
電流I2とは独立して制御されているので、先行ワイヤ
3と後行ワイヤ4とに同時にパルス電流が通電するとき
があるが、パルス周波数が100[Hz]以上であるの
でアークの磁気吹きの影響は少なく、溶滴移行の安定性
が損なわれることはなく、溶接ビード9の形成に悪影響
を及ぼすことはない。さらに、先行ワイヤ通電電流I1
と後行ワイヤ通電電流I2とはそれぞれ独立して制御さ
れているので、従来技術の2つのワイヤにパルス電流を
交互に通電している場合のように、先行ワイヤ3に通電
する電流が大電流になったとき、先行ワイヤ3に通電す
るパルス電流の周波数が高くなる。その結果、本発明で
は、従来技術のような先行ワイヤに通電するパルス電流
のベース期間が短くなり、2本のワイヤに供給するそれ
ぞれのパルス電流のピーク期間が重ならないようにする
ために、後行ワイヤに通電するパルス電流のピーク期間
が短くなり、後行ワイヤが1パルス1溶滴移行を確保で
きるパルス電流を通電することが困難になることはな
い。即ち、後行ワイヤ4に通電するパルス電流を、後行
ワイヤ4から指向性を有する溶滴移行ができるユニット
パルスを確保する電流とすることができる。従って、先
行ワイヤ3に通電する電流を大電流にできる溶接条件の
範囲が制限されることがない。なお、上記のユニットパ
ルスとは、ピーク電流値Ip及びピーク期間Tpが一定
値である一つのピーク電流をいう。
【0019】図5は先行ワイヤ3の後退角(横軸)と後
行ワイヤ4の前進角(縦軸)とを変化させたときの溶接
結果を示す図である。同図において、先行ワイヤ3の後
退角が15度以上になると先行ワイヤ3のアーク力の水
平成分が大きくなりすぎて、先行ワイヤ3のアーク力が
溶融金属を後ろへ押す力が後行ワイヤ4のアーク力で抑
える力よりも大きくなりすぎ、溶融池の状態が不安定に
なりスパッタが発生し易くなる。また、後行ワイヤ3の
前進角が5度以下の場合、後行ワイヤ4のアーク力の水
平成分が小さくなり、後方へ流れようとする溶融金属を
先行ワイヤ3のアークの直下へ十分押し返すことができ
ず溶接ビードが不整になり美麗な溶接ビードを得ること
ができない。また、後行ワイヤ4の前進角が30度以上
の場合、後行ワイヤ4のアーク力の水平成分が大きくな
るために、先行ワイヤ3のアーク力が溶融金属を後ろへ
押す力が後行ワイヤ4のアーク力で抑える力よりも小さ
くなりすぎ、溶融池の状態が不安定になりスパッタが発
生し易くなる。従って、先行ワイヤ3の後退角が0
[度]乃至15[度]の範囲で、かつ、後行ワイヤ4の
前進角が5[度]乃至30[度]の範囲で、溶融池から
スパッタが発生することのない美麗な溶接ビード9を形
成することができる。
【0020】図6は先行ワイヤ3の溶接電流平均値と後
行ワイヤ4の溶接電流平均値との比率[%](横軸)と
先行ワイヤ3の先端と後行ワイヤ4の先端とのワイヤ先
端間距離[mm](縦軸)とを変化させたときの溶接結
果を示す図である。同図において、先行ワイヤ3の溶接
電流平均値と後行ワイヤ4の溶接電流平均値との比率
(後行ワイヤ4の平均電流値/先行ワイヤ3の平均電流
値)が20[%]以下のときは、後行ワイヤ4のアーク
力の水平成分が小さくなり、先行ワイヤ3のアーク力に
より後方へ押された溶融金属を先行ワイヤ3のアークの
直下へ十分押し返すことができないために、溶接ビード
9がハンピングビードに成る場合がある。また、先行ワ
イヤ3の溶接電流平均値と後行ワイヤ4の溶接電流平均
値との比率が80[%]以上のときは、後行ワイヤ4の
アーク力の水平成分が大きくなり、先行ワイヤ3のアー
ク力が溶融金属を後ろへ押す力が後行ワイヤ4のアーク
力で抑える力よりも小さくなりすぎ、溶融池の状態が不
安定になり溶接ビード9が不整になる。
【0021】また、先行ワイヤ3の先端と後行ワイヤ4
の先端とのワイヤ先端間距離が10[mm]以下のとき
は、先行ワイヤ3の先端と後行ワイヤ4の先端とが近づ
き過ぎて先行ワイヤ3のアーク力と後行ワイヤ4のアー
ク力とが一箇所に集中して、ハンピングビードが形成さ
れる場合がある。また、先行ワイヤ3の先端と後行ワイ
ヤ4の先端とのワイヤ先端間距離が20[mm]以上の
ときは、被溶接物8の形状が曲線の場合には、先行ワイ
ヤ3及び後行ワイヤ4のアーク力の水平成分が溶接線と
ずれてしまう。さらに、トーチの取り付け箇所が大型化
し、例えば溶接用ロボットにトーチを把持させて自動溶
接を行わせる場合、トーチの形状によって加工に制約を
うける場合がある。従って、先行ワイヤ3の溶接電流平
均値と後行ワイヤ4の溶接電流平均値との比率が20
[%]乃至80[%]の範囲で、かつ、先行ワイヤ3の
先端と後行ワイヤ4の先端とのワイヤ先端間距離が10
[mm]乃至20[mm]の範囲の場合、ハンピングビ
ードが形成されることのない美麗な溶接ビード9を形成
することができる。
【0022】
【発明の効果】本発明は前述した構成を有することによ
って、先行ワイヤ3から発生しているアーク5によって
形成される溶融池7の溶融金属がアーク力によって後方
へ流れていこうとするが、後行ワイヤ4から発生してい
るアーク6がこの後方へ流れようとする溶融金属を先行
ワイヤ3から発生するアーク5の直下へ押し戻して、ア
ークの磁気吹きの影響が弱く、溶滴のワイヤからの離脱
力が強く、溶融池7の状態が不安定になることがないの
で、スパッタが発生することがなく、ハンピングビード
が形成されることのない美麗な溶接ビード9を形成する
ことができる。また、先行ワイヤ通電電流I1と後行ワ
イヤ通電電流I2とは独立して制御されているため、後
行ワイヤ4に通電するパルス電流を、後行ワイヤ4から
指向性を有する溶滴移行ができるユニットパルスを確保
する電流とすることができ、先行ワイヤ3に通電する電
流を大電流にできる溶接条件の範囲が制限されることが
ない。本発明の消耗電極ガスシールドアーク溶接方法に
よって、3[m/分]以上の高速溶接を行うことがで
き、また、10[mm]以上の脚長の隅肉溶接を1パス
で行うことができ、溶接作業の効率を著しく向上させる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な2本のトーチからワイヤを供給する消
耗電極ガスシールドアーク溶接方法を示す説明図であ
る。
【図2】従来技術の先行ワイヤ及び後行ワイヤにパルス
電流のピーク期間が重ならないように通電するそれぞれ
のパルス波形を示す図である。
【図3】本発明の2本のトーチからワイヤを供給する消
耗電極ガスシールドアーク溶接方法を説明する図であ
る。
【図4】本発明の先行ワイヤ3及び後行ワイヤ4に通電
する電流の波形を示す図である。
【図5】本発明の先行ワイヤ3の後退角(横軸)と後行
ワイヤ4の前進角(縦軸)とを変化させたときの溶接結
果を示す図である。
【図6】本発明の先行ワイヤ3の溶接電流平均値と後行
ワイヤ4の溶接電流平均値との比率[%](横軸)と先
行ワイヤ3の先端と後行ワイヤ4の先端とのワイヤ先端
間距離[mm](縦軸)とを変化させたときの溶接結果
を示す図である。
【符号の説明】
1 先行トーチ 2 後行トーチ 3 先行ワイヤ 4 後行ワイヤ 5、6 アーク 7 溶融池 8 被溶接物 9 溶接ビード 10 鉛直線 θ1 後退角 θ2 前進角 L ワイヤ先端間距離
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4E001 AA03 BB06 DE04 EA01 EA04 EA06

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2本のワイヤを使用する消耗電極ガスシ
    ールドアーク溶接方法において、先行ワイヤ及び後行ワ
    イヤにパルス電流を通電して先行ワイヤ及び後行ワイヤ
    のアーク長をパルス周波数を変化させて溶接電流の平均
    値を増減させることによって制御を行う消耗電極ガスシ
    ールドアーク溶接方法。
  2. 【請求項2】 先行ワイヤの鉛直線に対する傾斜角度を
    0[度]乃至15[度]の後退角とし、後行ワイヤの鉛
    直線に対する傾斜角度を5[度]乃至30[度]の前進
    角とする請求項1に記載の消耗電極ガスシールドアーク
    溶接方法。
  3. 【請求項3】 後行ワイヤに供給する電流の平均値を先
    行ワイヤに供給する電流の平均値の20[%]乃至80
    [%]とし、先行ワイヤの先端と後行ワイヤの先端との
    ワイヤ先端間距離を10[mm]乃至20[mm]とす
    る請求項1又は請求項2に記載の消耗電極ガスシールド
    アーク溶接方法。
  4. 【請求項4】 先行ワイヤ及び後行ワイヤのワイヤ直径
    を、1.0[mm]以上で1.6[mm]以下とする請
    求項1又は請求項2又は請求項3に記載の消耗電極ガス
    シールドアーク溶接方法。
  5. 【請求項5】 先行ワイヤ及び後行ワイヤにパルス周波
    数が100[Hz]以上で1[KHz]以下のパルス電
    流をそれぞれ供給する請求項1に記載の消耗電極ガスシ
    ールドアーク溶接方法。
  6. 【請求項6】 先行ワイヤ及び後行ワイヤにそれぞれ独
    立した別々のパルス電流を通電する請求項1又は請求項
    5に記載の消耗電極ガスシールドアーク溶接方法。
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