JPH11138265A - 交流パルスマグ溶接方法及び装置 - Google Patents

交流パルスマグ溶接方法及び装置

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JPH11138265A
JPH11138265A JP31618297A JP31618297A JPH11138265A JP H11138265 A JPH11138265 A JP H11138265A JP 31618297 A JP31618297 A JP 31618297A JP 31618297 A JP31618297 A JP 31618297A JP H11138265 A JPH11138265 A JP H11138265A
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Japan
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current
pulse
positive
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JP31618297A
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English (en)
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Tomoyuki Kamiyama
智之 上山
Takayuki Dewa
孝行 出羽
Kosaku Yamaguchi
耕作 山口
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Daihen Corp
Original Assignee
Daihen Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のパルスマグアーク溶接方法は、シー
ルドガス中の酸化性ガスの混合比を増加させると、溶滴
の離脱が困難となり、スプレー移行が得られにくくなる
ため短絡が生じやすく、スパッタが発生しやすくなる不
具合が生じる。又被溶接部材へのアークによる入熱と移
行した溶滴の保有熱量による入熱とによって、溶融池が
過度な温度上昇を起こして溶融池内の気泡の内圧が上が
り爆発現象が生じることがある。 【解決手段】 ワイヤ先端の発熱量が逆極性期間より
も小となる正極性期間を有する交流パルス電流ACPと
溶滴の移行回数を交流パルスよりも少なくしアーク長を
短くする直流電流DCSとを周期的に繰り返してスプレ
ー移行溶接するガスシールド消耗電極パルスアーク溶接
方法及び溶接装置

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被溶接材と消耗電
極(以下、ワイヤという)とに、直流電流とパルス電流
とを周期的に切り換えた交流パルス電流を通電し、不活
性ガスにスプレー移行が維持できる範囲の酸化性ガス又
は酸素を混合したシールドガスを供給して溶接する消耗
電極交流パルスアーク溶接方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】亜鉛メッキ鋼板やアルミメッキ鋼板に代
表される表面処理鋼板は、自動車部品をはじめとして耐
食性を要求される薄板の分野においても採用が拡大され
る傾向にあり、溶接への適用も近年増加している。一般
にこれらの鋼板の溶接は、自動化が容易で、生産性の向
上が期待できる消耗電極式ガスシールドアーク溶接法を
広く用いている。
【0004】図1は、従来の交流パルスマグアーク溶接
方法により溶融部にブローホールが発生した状態を示す
図である。図2は、従来の交流パルスマグアーク溶接方
法により溶融部が爆発現象を起こしたときの状態を示す
図である。表面処理鋼板の溶接では、例えば、亜鉛メッ
キ鋼板の溶接のように表面にメッキされている亜鉛の沸
点が906[℃]で低いために溶接時の熱によって溶融
した亜鉛が簡単に気化し、溶融池の中で気泡となって図
1に示すようなブローホールが形成されやすく又、図2
に示すような溶融池中の気泡の内圧が上昇して溶融池の
爆発現象を生じ溶け落ち、穴あき等の現象が生じる。
又、亜鉛が蒸発してアーク雰囲気を乱すためにアークが
不安定となり、短絡が生じてスパッタが発生する。
【0006】(従来技術1)従来技術1は、特開平2−
37975に開示されたアーク溶接方法であって、亜鉛
メッキ鋼板に対してアーク溶接を行う際に、アークを炭
酸ガスと酸素ガスとを含むシールドガスにより大気から
遮断することを特徴とするものである。この方法により
アーク溶接を行うと、シールドガス中に炭酸ガスと酸素
ガスとが存在するため、炭酸ガスも分解して酸素を発生
し、シールドガスは酸化性ガスとしての特性が大にな
る。酸化性ガスの特性が強まると、酸素濃度が高まるた
めに、溶接時に900[℃]を超えた範囲においてもメ
ッキ層中の亜鉛成分が酸化されてZnO(昇華点が約1
720℃)となる。ZnOの昇華点は1720[℃]で
亜鉛よりも高いので、亜鉛の蒸発が抑えられブローホー
ルの発生を防止することができる。
【0008】(従来技術2)従来技術2は、特開平6−
285643に開示されたアーク溶接方法であって、シ
ールドガスとして、アルゴンガス又はアルゴンガスに炭
酸ガスを25%以下の割合で混合したガスを用いて電流
波形のパターン又はワイヤ送給速度によって平均実効電
流を10[Hz]乃至50[Hz]の周波数で変動さ
せ、これによるアーク力の変動を利用して溶融池を振動
させ、気泡を溶融池から外部に放出させることによって
ブローホールの発生を防止しようとする技術である。図
3は、本発明者等が出願した従来技術(特開平4−33
368)の第1パルス電流群と第2パルス電流群とを周
期的に切り換えたパルスマグ溶接方法を実施する溶接電
流波形を示す図である。図3を用いて従来技術2を具体
的に説明する。図3に示すように、消耗電極を一定のワ
イヤ送給速度で送給し、第1パルス電流群PC1のピー
ク電流値Ip1、ピーク電流通電周期D1、ピーク電流通
電時間Tp1及びベース電流値Ib1の4つのパルス条件
を、1パルス1溶滴移行又は複数パルス1溶滴移行する
値に設定しておき、第2パルス電流群PC2のピーク電
流値Ip2、ピーク電流通電周期D2、ピーク電流通電時
間Tp2及びベース電流値Ib2の4つのパルス条件の1つ
以上を、1パルス1溶滴移行又は1パルス複数溶滴移行
する範囲に切り換えて、ワイヤ突き出し長を変化させ、
アーク長を周期的に切換えて溶接し、溶接中にワイヤ送
給速度と溶融速度とがアンバランスになってアーク長が
変動したときに、このアーク長の変動を検出して、4つ
のパルス条件のいずれか1つ以上を増減させてアーク長
を復帰させることによって、ブローホールの発生を防止
するものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】(従来技術1に対する
課題)従来技術1の溶接方法は、亜鉛メッキ鋼板に対し
てアーク溶接を行う際に、炭酸ガスと酸素ガスとを含む
シールドガスによって酸化性ガスとしての特性が大にな
る。酸化性ガスの特性が強まると、酸素濃度が高まるた
めに、溶接時に900[℃]を超えた範囲においてもメ
ッキ層中の亜鉛成分が酸化されてZnO(昇華点が約1
720[℃])となる。ZnOの昇華点は1720
[℃]で亜鉛よりも高いので亜鉛の蒸発が抑えられブロ
ーホールの発生を防止することができる。
【0012】従来技術1の方法では、ブローホールの発
生数を減少させることができる。しかし、シールドガス
の酸化性ガス混合比を機械的性質を劣化させる限度とな
る値までさらに増大してもブローホールを皆無にするこ
とはできない。又、シールドガス中の酸化性ガスの混合
比を増加させると、溶滴の離脱が困難となり、スプレー
移行が得られにくくなるため短絡が生じやすく、スパッ
タが発生しやすくなる不具合が生じる。
【0014】(従来技術2に対する課題)従来技術2の
溶接方法は、例えば、図3に示すように第1パルス電流
群PC1及び第2パルス電流群PC2の各ピーク電流に
同期して溶滴移行をさせながらアーク力を10[Hz]
乃至50[Hz]の周波数で変化させ、この変化による
アーク力の変動を利用して溶融池を振動させ、溶融池か
ら外部へ気泡の放出を促進させることによってブローホ
ールの発生を防止させることができる。
【0016】しかし、従来技術2の方法では、第1パル
ス電流群PC1及び第2パルス電流群PC2は、いずれ
も溶滴移行させるので、被溶接部材へのアークによる入
熱と移行した溶滴の保有熱量による入熱とによって、溶
融池が過度な温度上昇を起こして溶融池内の気泡の内圧
が上がり爆発現象が生じることがある。又、母材へ投入
される入熱のためにこの溶融池の過大な温度上昇によっ
て溶接継手近傍の亜鉛までも蒸発するために、耐食性が
低下する問題がある。
【0018】以上の従来技術の課題を基に、本発明が必
要とする要件は次の通りである。 (1)スパッタの発生を防止するために、短絡移行をさ
せないで、不活性ガスにスプレー移行が維持できる範囲
の酸化性ガス又は酸素を混合したシールドガスを供給
し、溶接電流を小にしてもアークの安定性を維持するこ
とができるパルスマグ溶接をする。 (2)板厚が薄い被溶接材であっても溶け落ちが生じな
いようにし、さらに、溶融池の過度な温度上昇を防止す
るために、被溶接材に加わる入熱を少なくする。この被
溶接材に加わる入熱を少なくするために、ワイヤ先端の
発熱量が逆極性期間よりも小となる正極性期間を有する
交流パルス電流を使用する。 (3)ブローホールの原因となる気泡を、溶融池を攪拌
することによって、溶融池から外部へ積極的に放出させ
るために、溶滴の移行回数を小にしてアーク長を小にす
る期間と、溶滴の移行回数を大にしてアーク長を大にす
る期間とを周期的に変化させる。 なお、上記(1)の不活性ガスとしては、アルゴンガ
ス、ヘリウムガス、アルゴンとヘリウムとの混合ガス等
があり、酸化性ガスとしては、炭酸ガス、酸素ガス、炭
酸ガスと酸素ガスとの混合ガス等がある。その代表的な
ガスとしてアルゴンに炭酸ガスを混合したシールドガス
が一般的である。アルゴンガスに混合するシールドガス
は、アークの集中を少なくするために炭酸ガスは多い程
良いが、他方、スプレー移行が維持できる範囲内にする
ためには上限値がある。この上限値は溶接電流値、ワイ
ヤの直径、ワイヤの成分その他の溶接状態によって異な
るが、通常25%位が限度である。市販の混合ガスは、
アルゴンガス80%で炭酸ガス20%である。
【0020】本発明が必要とする要件を満たすために、
ワイヤ先端の発熱量が逆極性期間よりも小となる正極性
期間を有する交流パルス電流ACPと溶滴の移行回数を
交流パルスよりも少なくしアーク長を短くする直流電流
DCとを周期的に繰り返してスプレー移行溶接するガス
シールド消耗電極パルスアーク溶接方法及び溶接装置を
提供する。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明の不活性ガスにス
プレー移行が維持できる範囲の酸化性ガス又は酸素を混
合したシールドガスを供給して溶接する交流パルス溶接
方法及び溶接装置は、従来技術のいずれの問題点をも解
決して、図6に示すように、ワイヤ先端の発熱量を逆極
性期間よりも小にする正極性期間を有する交流パルス電
流ACPと溶滴の移行回数を交流パルスよりも少なくし
アーク長を短くする直流電流DCSとを周期的に繰り返
してスプレー移行溶接する交流パルスマグ溶接方法及び
装置である。
【0024】請求項1に記載の溶接方法は、被溶接材と
消耗電極とに、直流電流とパルス電流とを周期的に切り
換えた溶接電流を通電し、不活性ガスにスプレー移行が
維持できる範囲の酸化性ガス又は酸素を混合したシール
ドガスを供給して溶接する交流パルスマグ溶接方法にお
いて、消耗電極を予め設定した一定のワイヤ送給速度で
送給し、溶滴を離脱させることができない値で且つ給電
チップに至るバーンバックが発生しない値の正極性直流
電流DCSと溶滴を離脱させることができる値の交流パ
ルス電流ACPとを周期的に切り換えてアーク長を変化
させ、スプレー移行溶接する交流パルスマグ溶接方法で
ある。
【0026】請求項2に記載の溶接方法は、被溶接材と
消耗電極とに、直流電流とパルス電流とを周期的に切り
換えた溶接電流を通電し、不活性ガスにスプレー移行が
維持できる範囲の酸化性ガス又は酸素を混合したシール
ドガスを供給して溶接する交流パルスマグ溶接方法にお
いて、消耗電極を予め設定した一定のワイヤ送給速度で
送給し、正極性直流電流DCSを溶滴が離脱することが
できない値で且つ給電チップに至るバーンバックが発生
しない範囲の電流値Ien に設定しておき、交流パルス
電流ACPの逆極性期間(D−Ten)中のピーク電流
値Ip、ピーク電流通電周期D、ピーク電流通電時間T
p及びベース電流値Ibと交流パルス電流の正極性期間
中の正極性電流Ipen 及び正極性電流通電時間Tpen と
を、正極性直流電流DCSによって形成された溶融球を
離脱させ、続いて複数パルス1溶滴移行又は1パルス1
溶滴移行となる値に設定して、給電チップ先端4aと消
耗電極先端1a及び1bとのワイヤ突き出し長Ln及び
Lmを変化させて、消耗電極先端と被溶接材表面とのア
ーク長Lr及びLtを周期的に切り換えて通電して、ス
プレー移行溶接する交流パルスマグ溶接方法である。
【0028】請求項3に記載の溶接装置は、請求項1又
は2の被溶接材が表面処理金属材又は不純物付着金属材
であって、見かけのアーク長を変化させて、溶融池を攪
拌することによって気泡を大気に放出させて、ブローホ
ールの発生を防止した、スプレー移行溶接する交流パル
スマグ溶接方法である。
【0030】請求項4に記載の溶接装置は、請求項3の
被溶接材が亜鉛メッキ鋼板であって、見かけのアーク長
を変化させて、溶融池を攪拌することによって気泡を大
気に放出させて、ブローホールの発生を防止するととも
に、酸化性ガス又は酸素の熱分解によって発生した酸素
と亜鉛との酸化亜鉛を形成して亜鉛の昇華を抑制して亜
鉛メッキの防錆作用の低下を小にした、スプレー移行溶
接する交流パルスマグ溶接方法である。
【0032】請求項5に記載の溶接装置は、被溶接材と
消耗電極とに、直流電流とパルス電流とを周期的に切り
換えた溶接電流を通電し、不活性ガスにスプレー移行が
維持できる範囲の酸化性ガス又は酸素を混合したシール
ドガスを供給して溶接する交流パルスマグ溶接方法にお
いて、後述する図16に示すように、消耗電極を予め設
定した一定のワイヤ送給速度で送給するワイヤ送給制御
回路WCと、正極性電流を設定する正極性電流設定信号
Ipen 及び正極性電流通電時間を設定する正極性電流通
電時間設定信号Tpen から定まる正極性パルス電流IP
Sとピーク電流を設定するピーク電流設定信号Ip及び
ピーク電流通電時間を設定するピーク電流幅設定信号T
p及びベース電流を設定するベース電流設定信号Ibか
ら定まる逆極性パルス電流IPRとを繰り返すピーク電
流通電周期Dを制御するパルス周波数制御信号Vfを出
力するパルス周波数制御回路VFと、正極性直流電流通
電期間T2と交流パルス電流通電期間T1とを切り換え
る通電期間切換信号Hlを出力する通電期間切換信号発
生回路HLと、正極性パルス電流IPSと逆極性パルス
電流IPRとをパルス周波数制御信号Vfで定まる周波
数で繰り返す交流パルス電流ACPと正極性直流電流設
定信号Ien で定まる正極性電流DCSとを通電期間切
換信号Hlによって周期的に切り換える直流電流・交流
パルス切換回路SW3とから成るスプレー移行用交流パ
ルスマグ溶接装置である。
【0034】請求項6に記載の溶接装置は、被溶接材と
消耗電極とに、直流電流とパルス電流とを周期的に切り
換えた溶接電流を通電し、不活性ガスにスプレー移行が
維持できる範囲の酸化性ガス又は酸素を混合したシール
ドガスを供給して溶接する交流パルスマグ溶接方法にお
いて、消耗電極を予め設定した一定のワイヤ送給速度で
送給するワイヤ送給制御回路WCと、正極性電流を設定
する正極性電流設定信号Ipen 及び正極性電流通電時間
を設定する正極性電流通電時間設定信号Tpen から定ま
る正極性パルス電流とピーク電流を設定するピーク電流
設定信号Ip及びピーク電流通電時間を制御するピーク
電流幅制御信号Vp及びベース電流を設定するベース電
流設定信号Ibから定まる逆極性パルス電流とを繰り返
すピーク電流通電周期Dを設定してパルス周波数設定信
号Fpを出力するパルス周波数設定回路FPと、正極性
直流電流通電期間T2と交流パルス電流通電期間T1と
を切り換える通電期間切換信号Hlを出力する通電期間
切換信号発生回路HLと、正極性パルス電流と逆極性パ
ルス電流とをパルス周波数設定信号Fpで設定した周波
数で繰り返す交流パルス電流ACPと正極性直流電流設
定信号Ien で定まる正極性直流電流DCSとを通電期
間切換信号Hlによって周期的に切り換える直流電流・
交流パルス切換回路SW3とから成るスプレー移行用交
流パルスマグ溶接装置である。
【0036】請求項7に記載の溶接装置は、被溶接材と
消耗電極とに、直流電流とパルス電流とを周期的に切り
換えた溶接電流を通電し、不活性ガスにスプレー移行が
維持できる範囲の酸化性ガス又は酸素を混合したシール
ドガスを供給して溶接する交流パルスマグ溶接方法にお
いて、後述する図16に示すように、消耗電極を予め設
定した一定のワイヤ送給速度で送給するワイヤ送給制御
回路WCと、アーク電圧を設定するアーク電圧設定信号
Vsを出力するアーク電圧設定回路VSと、アーク電圧
設定信号Vsとアーク電圧検出信号Vdとを入力してそ
の差のアーク電圧制御信号Cm2 を出力するアーク電圧
比較回路CM2と、ピーク電流通電時間を設定してピー
ク電流幅設定信号Tpを出力するピーク電流幅設定回路
TPと、正極性電流通電時間を設定する正極性電流通電
時間設定信号Tpen を出力する正極性電流通電時間設定
回路TPENと、正極性電流を設定する正極性電流設定
信号Ipen を出力する正極性電流設定回路IPENと、
ベース電流を設定するベース電流設定信号Ibを出力す
るベース電流設定回路IBと、ピーク電流を設定するピ
ーク電流設定信号Ipを出力するピーク電流設定回路I
Pと、アーク電圧制御信号Cm2 に対応して、正極性電
流設定信号Ipen 及び正極性電流通電時間設定信号Tpe
n から定まる正極性パルス電流とピーク電流設定信号I
p及びベース電流設定信号Ibから定まる逆極性パルス
電流とを繰り返すピーク電流通電周期Dを制御するパル
ス周波数制御信号Vfを出力するパルス周波数制御回路
VFと、正極性直流電流通電期間T2と交流パルス電流
通電期間T1とを切り換える通電期間切換信号Hlを出
力する通電期間切換信号発生回路HLと、正極性パルス
電流と逆極性パルス電流とをパルス周波数制御信号Vf
で定まる周波数で繰り返す交流パルス電流ACPと正極
性直流電流設定信号Ien で定まる正極性直流電流DC
Sとを通電期間切換信号Hlによって周期的に切り換え
る直流電流・交流パルス切換回路SW3とから成るスプ
レー移行用交流パルスマグ溶接装置である。
【0038】請求項8に記載の溶接装置は、被溶接材と
消耗電極とに、直流電流とパルス電流とを周期的に切り
換えた溶接電流を通電し、不活性ガスにスプレー移行が
維持できる範囲の酸化性ガス又は酸素を混合したシール
ドガスを供給して溶接する交流パルスマグ溶接方法にお
いて、消耗電極を予め設定した一定のワイヤ送給速度で
送給するワイヤ送給制御回路WCと、アーク電圧を設定
するアーク電圧設定信号Vsを出力するアーク電圧設定
回路VSと、アーク電圧設定信号Vsとアーク電圧検出
信号Vdとを入力してその差のアーク電圧制御信号Cm2
を出力するアーク電圧比較回路CM2と、アーク電圧
制御信号Cm2 に対応して、ピーク電流通電時間を制御
するピーク電流幅制御信号Vpを出力するピーク電流幅
制御回路VPと、正極性電流を設定する正極性電流設定
信号Ipen を出力する正極性電流設定回路IPENと、
ベース電流を設定するベース電流設定信号Ibを出力す
るベース電流設定回路IBと、ピーク電流を設定するピ
ーク電流設定信号Ipを出力するピーク電流設定回路I
Pと、正極性電流を設定する正極性電流設定信号Ipen
及び正極性電流通電時間を設定する正極性電流通電時間
設定信号Tpen から定まる正極性パルス電流とピーク電
流を設定するピーク電流設定信号Ip及びピーク電流幅
制御信号Vp及びベース電流を設定するベース電流設定
信号Ibから定まる逆極性パルス電流とを繰り返すピー
ク電流通電周期を設定してパルス周波数設定信号Fpを
出力するパルス周波数設定回路FPと、正極性直流電流
通電期間T2と交流パルス電流通電期間T1とを切り換
える通電期間切換信号Hlを出力する通電期間切換信号
発生回路HLと、正極性パルス電流と逆極性パルス電流
とをパルス周波数設定信号Fpで設定した周波数で繰り
返す交流パルス電流ACPと正極性直流電流設定信号I
en で定まる正極性直流電流とを通電期間切換信号Hl
によって周期的に切り換える直流電流・交流パルス切換
回路SW3とから成るスプレー移行用交流パルスマグ溶
接装置である。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、図4乃至図10を参照し
て、本発明の交流パルスマグ溶接方法についての作用を
説明する。
【0042】(図4の説明)図4は、本発明の溶接方法
において、見かけのアーク長Lr又はLtを変化させた
ときのアーク3の広がりの変化を示す説明図である。同
図において、アーク3は、給電チップ4の給電チップ先
端4aから送給される消耗電極1のワイヤ先端1a又は
1bと被溶接材2との間に広がっている。
【0044】実際のアーク長L11又はL12は、ワイ
ヤ先端1aと被溶接材2の表面との最短距離である見か
けのアーク長Lr又はLtよりも大になる。ワイヤの突
き出し長がLnのとき、見かけのアーク長はLrである
が、実際のアーク長は最大L21まで長くなり、次に、
ワイヤ突き出し長がLmになると、見かけのアーク長は
Ltであって、実際のアーク長はL11になる。このよ
うに、見かけのアーク長をLrとLtとの間で周期的に
変化させることによって、溶融池の大きさを直接的に変
化させて溶融池内を撹拌させることができる。なお、図
4において、第1の溶接条件設定値と第2の溶接条件設
定値とのワイヤ突き出し長の変化値又は見かけのアーク
長の変化値LeはLe=Lr−Lt=Lm−Lnとな
る。
【0046】(図5の説明)図5(A)乃至(D)は、
図4で説明したように見かけのアーク長を変化させて本
発明の溶接方法によってブローホールの発生を防止する
説明図である。同図(A)及び(B)は、見かけのアー
ク長がLrのとき、すなわち同図(C)及び(D)の見
かけのアーク長Ltよりも大のときの説明図である。
又、同図(A)及び(C)において、符号WLで示す方
向が溶接方向であり、同図(B)及び(D)において
は、紙面と直角方向が溶接方向WLとなる。同図(A)
乃至(D)において、1は消耗電極、1aは消耗電極先
端、1dは溶滴、2は被溶接材、2bは溶融池、2eは
溶接ビード、3はアーク、5はシールドガスノズル、7
が気泡、ZnがZn蒸気である。
【0048】同図(A)及び(B)に示すように、見か
けのアーク長Lrが大のときは、被溶接材2及び消耗電
極先端の溶融が促進されて溶融池2bが拡大する。この
2bには、気泡7が生成して溶融池2b内に広がる。次
に、同図(B)及び(C)に示すように、見かけのアー
ク長Ltが同図(A)及び(B)よりも小になると、被
溶接材2の新たな溶融が抑制され、消耗電極1の溶融速
度も低下するので新たな気泡7の生成が抑制されると共
に、溶融池2bが振動又は撹拌し、気泡7が溶融池表面
から亜鉛蒸気Znとして放出される。その結果、同図
(C)に示すように、溶融池表面からの亜鉛蒸気Znに
続いて溶接方向WLの後端の溶融池2bが凝固して溶融
金属となり溶接ビード2eを形成する。この溶接ビード
2eは、上述した理由によって、ブローホールを含んで
いない。
【0050】(図6の説明)図6(A)及び(B)は、
本発明の交流パルスマグ溶接方法に適用する正極性パル
ス電流IPSと逆極性パルス電流IPRとから成る交流
パルス電流ACPと正極性直流電流DCSとを切換周期
(T1+T2)で切り換えて通電する溶接電流の説明図
である。同図(A)及び(B)において、正極性直流電
流DCSを溶滴が離脱することができない電流値に設定
しておき、交流パルス電流ACPのベース電流値Ib、
ピーク電流値Ip、ピーク電流通電周期D及びピーク電
流通電時間Tpを各ピーク電流に同期してワイヤ先端か
ら溶滴が移行する値に設定する。
【0052】図6(A)は、交流パルス電流ACPと正
極性直流電流DCSとを、切換周期T1+T2で切換え
て通電する溶接電流である。交流パルス電流ACPは、
ピーク電流値Ipでピーク電流通電時間Tpのピーク電
流P、P、…Pを、ピーク電流通電周期Dで交流パルス
電流通電期間T1だけ繰り返す。正極性直流電流DCS
は、電流値Ien の正極性電流通電期間T2だけ通電す
る。上記の交流パルス通電期間T1及び正極性直流電流
通電期間T2は、図6(B)に示すように、切換周期T
1+T2,例えば1[Hz]から30[Hz]までの周
波数で切換える。このときの交流パルス電流ACPのピ
ーク電流値Ip及びピーク電流通電時間Tpは、いずれ
も後述する図7で示される範囲内で設定される。
【0054】(図7の説明)図7は、直径1.2[m
m]の軟鋼ワイヤ(JIS、YGW−12相当)及びア
ルゴンガス80%と炭酸ガス20%とを混合したシール
ドガスを用いて、溶接電流平均値150[A]でアーク
長を3[mm]にした交流マグアーク溶接において、正
極性電流値Ipen を50[A]とし、正極性期間の通電
時間Tpen を2[ms]としたときのピーク電流通電時
間Tp[ms](横軸)とピーク電流値Ip[A](縦
軸)との関係において、ピーク電流に同期して溶滴が移
行する範囲を示した図である。同図において、1パルス
1溶滴移行の範囲は、図面内の斜線で示した1P1Dで
示す範囲内である。
【0056】図7において、1パルス1溶滴移行の範囲
1P1Dよりもピーク電流値Ip又はピーク電流通電時
間Tp又はその両者を減少させると、複数のピーク電流
の内、1つのピーク電流と溶滴移行とが同期する複数パ
ルス1溶滴移行の状態が発生している。この複数パルス
1溶滴移行範囲nP1Dにおいては、スパッタの発生が
無いので1パルス1溶滴移行範囲1P1Dと同様に実用
範囲である。
【0058】上記に対して、ピーク電流値Ip又はピー
ク電流通電時間Tp又はその両者を複数パルス1溶滴移
行範囲nP1Dよりも減少させると、短絡が発生し始
め、ピーク電流値Ipと溶滴移行とが同期しなくなり、
短絡によってスパッタが発生する。したがって、この短
絡移行範囲DPRは、短絡からアークへ遷移した際に溶
融池内に巻き込まれた亜鉛蒸気の爆発を誘引しやすく実
用に適さない。
【0060】次に、図7において、ピーク電流値Ip及
びピーク電流通電時間Tpを、同図の斜線の1パルス1
溶滴移行1P1Dの範囲よりも増加させてアーク長を長
くすると、ある時点のピーク電流と次のピーク電流とを
繰り返すピーク電流通電周期Dの間に、複数の溶滴が移
行する。これらの溶滴移行は、ピーク電流に同期する1
パルス複数溶滴移行範囲1PnDとなる。
【0062】この範囲よりもさらに、ピーク電流値Ip
及びピーク電流通電時間Tpが大になると、ワイヤ先端
の溶融金属が糸状に細くのびて、溶滴移行がピーク電流
の通電時間と同期しないストリーミング移行範囲STR
となる。この範囲STRにおいては、ワイヤ突き出し長
の変動又はワイヤ送給速度の変動に対してアーク長が即
時に追従することができないために、短絡が発生してス
パッタが発生する。
【0064】(図8の説明)図8は、直径1.2[m
m]の軟鋼ワイヤ(JIS、YGW−12相当)及びア
ルゴンガス80%と炭酸ガス20%とを混合したシール
ドガスを用いて、溶接電流平均値150[A]でアーク
長を3[mm]にして交流マグアーク溶接をしたとき、
図7から得られた1P1D範囲内のピーク電流値Ip=
420[A]、ピーク電流通電時間Tp=1.2[m
s]としたとき、正極性電流通電時間Tpen [ms]
(横軸)と正極性電流値Ipen [A](縦軸)との関係
において、ピーク電流に同期して溶滴が移行する範囲を
示す図である。
【0066】同図において、ピーク電流値Ip=420
[A]、ピーク電流通電時間Tp=1.2[ms]とし
たとき、正極性電流値Ipen [A]が200[A]以下
で、正極性電流値Ipen [A]が10[ms]以下の範
囲内が、ピーク電流Ipに同期して溶滴が移行する。正
極性電流値Ipen [A]が200[A]を越えると、溶
滴移行がピーク電流に同期して移行しなくなり正極性電
流値Ipen が10[A]未満になるとアークが不安定に
なる。また正極性電流通電時間Tpen が10[ms]を
越えると、アークの発生点(陰極点)がワイヤ先端から
はい上がり、給電チップに近づく。この状態で逆極性の
ピーク電流Ipに切り換え、溶滴を離脱させると、アー
クが給電チップにさらに近づき、バーンバック(アーク
の燃え上がりによって給電チップが溶着する現象)が発
生しやすくなる。正極性電流通電時間Tpen が0.5
[ms]未満になると、ワイヤ先端の発熱量を減少させ
ることができなくなり被溶接材に加わる入熱を少なくす
る効果が得られなくなる。
【0068】(図9の説明)図9は、切換周波数Fが
0.5乃至30[Hz]の範囲でワイヤ送給速度とワイ
ヤ溶融速度とがバランスして、溶滴移行を伴わないでア
ークが安定する範囲を示した正極性直流電流適正範囲図
である。同図において、縦軸は正極性直流電流値Ien
を示し、横軸は切換周波数Fを示し、同図の適正範囲を
算出した溶接条件は、図6(A)に示す溶接電流波形の
交流パルスACPにおいてピーク電流値Ip=420
[A]、ピーク電流通電時間Tp=1.2[ms]、ベ
ース電流値Ib=30[A]、ピーク電流通電周期Dは
約100[Hz]、正極性電流値Ipen =50[A]、
正極性電流通電時間Tpen =2.0[ms]である。次
に、同図の適正範囲を定めた理由は次の通りである。 (1)切換周波数Fが0.5乃至20[Hz]のとき
は、F=0.5[Hz]で正極性直流電流値Ien=50
[A]の点Aと、F=10[Hz]で正極性直流電流値
Ien=100[A]の点Bと、F=20[Hz]で正極
性直流電流値Ien=200[A]の点Cとを結んだ線よ
りも上方になると、正極性直流電流通電期間T2の期間
で肥大した溶融球が自重によって落下したり、ワイヤか
ら離脱しないまま被溶接材短絡して良好な溶接結果が得
られない。 (2)切換周波数Fが20乃至30[Hz]のときは、
正極性直流電流値Ienが200[A]を越えると正極性
直流電流通電期間T2の間にアークがワイヤ先端から上
方にはい上がり、給電チップまで達するとバーンバック
が生じる。このバーンバックは、正極性直流電流値Ien
が大になるほど生じやすく、又切換周波数Fが小さくな
るほど生じやすくなる。 (3)切換周波数Fが30[Hz]を越えると、後述す
る図13に示すように、ブローホール数BN[個/m
m]が増大する。 (4)正極性直流電流値Ienが10[A]未満になる
と、正極性直流電流通電期間T2の期間にアークを安定
に維持することができなくなる。
【0070】(図10の説明)図10(A)及び(B)
は、それぞれ本発明の溶接方法の溶接電流波形を示す図
及び溶滴移行の時間的経過を示す図である。図10
(A)は図6(A)と同じ関係図であって、交流パルス
電流通電期間T1のピーク電流値Ip、ピーク電流通電
時間Tp、正極性電流値Ipen 、正極性電流通電時間T
pen 及びピーク電流通電周期D及び正極性直流電流値I
en 及び正極性直流電流通電期間T2を示す。図10
(B)は、交流パルス電流ACP及び正極性直流電流D
CSの時間経過の各位置t1乃至t10と消耗電極の先
端から被溶接材に移行する溶滴移行状態との関係を示
す。
【0072】同図(A)及び(B)のt1点からt5点
までに対応して、消耗電極の先端が溶融し溶融球が形成
され、溶滴が電極から離脱して被溶接材に移行すること
によって、交流パルス電流通電期間T1の各ピーク電流
ごとに溶滴移行が行われる。次に、正極性直流電流通電
期間T2は、ワイヤ送給速度とワイヤ溶融量とがバラン
スするが溶滴が移行しない電流値であるので、ワイヤ先
端の溶融球はt6乃至t8に示すように、時間の経過と
共に大きく成長し、ワイヤ先端から被溶接材との間の見
かけのアーク長に相当する距離は、交流パルス通電期間
T1の見かけのアーク長よりも短くなる。
【0074】さらに、正極性直流通電期間T2から交流
パルス電流通電期間T1に切り換わると、時間t9で示
したように、正極性直流電流通電期間T2に成長した溶
融球は、ピーク電流Pで発生した電磁ピンチ力によって
ワイヤ先端上方の溶融球の付け根である非溶融ワイヤ部
との境界でくびれを発生し、ワイヤ先端から離脱して時
間t10に示すように溶滴が移行する。この作用は、前
述した図8に示すように、溶滴移行前の溶融球の大きさ
とは無関係であって、ワイヤ径とワイヤ材質によって、
ピーク電流に同期した溶滴移行を形成するピーク電流値
Ipとピーク電流通電時間Tpとから定まる。
【0076】したがって、本発明の溶接方法において、
正極性直流電流通電期間T2は、溶滴移行をさせない
で、短いアーク長のアーク入熱によって被溶接材を溶融
し、アーク長が長くなる交流パルス電流通電期間T1
は、正極性電流Ipen によって形成される溶滴の保有熱
量を少なくして溶滴移行をさせ、被溶接材へ投入される
入熱を低くしながら周期的にアーク長及びワイヤ溶着量
を切換える。
【0078】
【実施例】(実施例1…図11の説明)図11は、前述
した図7(A)に示す交流パルス電流波形を通電して、
溶融池振幅PW[mm](横軸)と溶接長50[mm]
の間に発生したブローホール数BN[個/mm](縦
軸)との関係を示す図である。同図において、溶融池振
幅PWは0.5[mm]以下になると、ブローホール数
が急激に増加しているので、溶融池振幅PWは0.5
[mm]以上であることが必要である。この図11の関
係を測定したときの溶接条件は直径1.2[mm]の軟
鋼ワイヤ(JIS規格、YGW−12相当)を使用し、
アルゴンガス80%と炭酸ガス20%とを混合したガス
をシールドガス中で、本発明の溶接方法によって溶接し
ている。
【0080】このとき、図6(A)に示す溶接電流波形
ピーク電流値Ip=420[A]、ピーク電流通電時間
Tp=1.2[ms]、ベース電流値Ip=30
[A]、ピーク電流通電周期Dは約100[Hz]、正
極性電流のピーク電流値Ipen =50[A]、正極性電
流通電時間Ten =2.0[ms]の交流パルス電流A
CPと正極性直流電流の電流値Ipen =50[A]の正
極性直流電流DCSを切換周波数5[Hz]で周期的に
切り換えており、溶接電流の平均値Iaは120[A]
である。又、この溶接電流を通電したときの交流パルス
電流値Vac は20.5[V]で正極性直流電圧値Vdc
は15.0[V]であり、見かけのアーク長変化値Le
は2[mm]である。
【0082】(実施例2…図12の説明)図12は、図
6(A)に示す波形の溶接電流を通電して、切換周波数
F[Hz](横軸)と溶融池振幅PW[mm](縦軸)
との関係を示す図である。図11で示したように、ブロ
ーホール数BN[個/mm]が小となる0.5[mm]
以上の溶融池振幅PWを得るためには、同図に示すよう
に、切換周波数Fが30[Hz]以下であることが必要
である。
【0084】(実施例3…図13の説明)図13は、図
11と同一溶接条件で溶接したときの切換周波数F[H
z](横軸)と溶接長50[mm]の間に発生したブロ
ーホール数BN[個/mm](縦軸)との関係を示す図
である。同図に示すように、切換周波数0.5[Hz]
未満及び30[Hz]を超えると、ブローホール数が急
激に増加するので、切換周波数Fが0.5乃至30[H
z]であることが必要である。
【0086】この切換周波数が0.5[Hz]未満にな
ると溶融池を振動させることができなくなり、逆に切換
周波数Fが30[Hz]を超えると、消耗電極先端にお
ける突き出し長の溶融長さの変化が、切換周波数Fに追
従できなくなる。
【0088】(実施例4…図14の説明)図14は、板
厚1.6[mm]の亜鉛メッキ鋼板(亜鉛目付量:45
g/m2)の重ね継手溶接において、直径1.2[m
m]の軟鋼ワイヤ(JIS規格、YGW−12相当)を
使用し、アルゴンガス80%と炭酸ガス20%とを混合
したガスをシールドガス中で、溶接したとき、溶接長5
0[mm]の間に発生したブローホール数BN[個/5
0mm](縦軸)と見かけのアーク長の変化値Le[m
m](横軸)との関係を示す。このときの溶接電流の平
均値Iaは120[A]で、アーク電圧の平均値Vaは
18[V]で、切換周波数Fは0.5乃至3[Hz]で
ある。
【0090】同図から、見かけのアーク長の変化値Le
が5[mm]を超えると、ブローホール数が急激に増加
する。その理由は、市販の溶接用ガスシールドノズル5
を用いた場合、短絡が生じないように、見かけのアーク
長を短い3[mm]に設定したとき、見かけのアーク長
の変化値Leが5[mm]を超えるとアーク長が8[m
m]を超える。このとき、アークが発生している消耗電
極先端1aがガスシールドノズル5の付近まで達するた
めに、シールドガス雰囲気を乱すことになり、ブローホ
ールが発生する。したがって、見かけのアーク長の変化
値Leは5[mm]以下にすることが適正である。
【0092】(実施例4…図15の説明)図15は、溶
融池の振幅が0.5[mm]以上得られる切換周波数F
[Hz](横軸)と見かけのアーク長の変化値Le[m
m](縦軸)との関係を示す。
【0094】同図において、切換周波数F=0.5[H
z]のときは見かけのアーク長の変化値Le=0.5
[mm]以上が必要であり、F=10[Hz]のときL
e=1[mm]以上が必要であり、F=30[Hz]の
ときLe=2[mm]以上が必要である。すなわち、
0.5[mm]以上の溶融池振幅PWを得るためには、
曲線よりも上方の範囲内であることが必要である。した
がって、見かけのアーク長の変化値Leは少なくとも
0.5[mm]以上が必要であり、又、前述した図14
からLe=5[mm]以下であることが必要であるの
で、本発明のアーク溶接方法においては、切換周波数が
0.5乃至30[Hz]であって、この切換周波数の増
大に対応させて、見かけのアーク長の変化値Leを少な
くとも0.5乃至3[mm]以上とし、かつ5[mm]
以下の値とすることが必要である。
【0098】本発明の交流パルスマグ溶接方法は、被溶
接材が、亜鉛メッキ鋼板、防錆材表面処理鋼板等の表面
処理金属材又は表面に油、錆、粉塵、マーキング等の不
純物が付着した不純物付着金属材の場合に、見かけのア
ーク長を変化させて、溶融池を攪拌することによって気
泡を大気に放出させて、ブローホールの発生を防止する
効果が大である。
【0100】さらに、本発明の交流パルスマグ溶接方法
は、被溶接材が亜鉛メッキ鋼板である場合に、見かけの
アーク長を変化させて、溶融池を攪拌することによって
気泡を大気に放出させて、ブローホールの発生を防止す
るとともに、酸化性ガス又は酸素の熱分解によって発生
した酸素と亜鉛との酸化亜鉛を形成して亜鉛の昇華を抑
制して亜鉛メッキの防錆作用の低下を小にする効果が大
である。
【0102】(装置の実施例1…図16の説明)図16
は、図6に示す本発明の溶接方法を実施する溶接装置の
実施例のブロック図であって、アーク電圧を入力してパ
ルス周波数を制御するパルス周波数制御方式の溶接装置
の実施例のブロック図である。図16において、商用電
源ACを入力として、溶接出力制御回路PS1及び極性
切換回路PS2から消耗電極1の給電チップ4と被溶接
材2との間に出力を供給してアークを発生させる。消耗
電極1は、ワイヤ送給モータWMにより回転するワイヤ
送給ローラWRによって供給される。ワイヤ送給制御回
路WCは、溶接電流設定信号Imとワイヤ送給モータW
Mの回転速度を検出するワイヤ送給速度検出回路WDの
送給速度検出信号Wdとを比較するワイヤ送給速度比較
回路CM1のワイヤ送給速度制御信号Cm1 を入力とし
て、ワイヤ送給モータWMにワイヤ送給制御信号Wcを
出力する。
【0104】アーク電圧設定回路VSは、アーク電圧を
設定する回路であって、アーク電圧設定信号Vsを出力
する。アーク電圧比較回路Cm2 はアーク電圧設定信号
Vsとアーク電圧検出回路VDのアーク電圧検出信号V
dとを入力してその差のアーク電圧制御信号Cm2 を出
力する。通電期間切換周波数回路FTは、正極性直流電
流通電期間T2と交流パルス電流通電期間T1とを切換
える通電期間切換信号Hlの切換周波数を設定する回路
であって、通電期間切換周波数信号Ftを出力する。通
電比率設定回路DTは、正極性直流電流通電期間T2と
交流パルス電流通電期間T1との比率を設定する回路で
あって、通電比率設定信号Dtを出力する。通電期間切
換信号発生回路HLは、通電期間切換周波数信号Ftと
通電比率設定信号Dtとを入力して、正極性直流電流通
電期間T2と交流パルス電流通電期間T1とを周期的に
切り換えるための通電期間切換信号Hlを出力する。
【0106】パルス周波数発生回路VFは、アーク電圧
制御信号Cm2 に対応して、パルス周波数制御信号Vf
を出力する。ピーク電流幅周波数信号発生回路DF1
は、ピーク電流幅設定信号Tpとパルス周波数制御信号
Vfとからなるピーク電流幅周波数信号Df1 を出力す
る。正極性電流通電時間設定回路TPENは、正極性電
流通電時間を設定する正極性電流通電時間設定信号Tpe
n を出力する。正極性電流通電制御信号発生回路DF2
は、正極性電流通電時間設定信号Tpen とピーク電流幅
周波数制御信号Df1 とからなる正極性電流通電制御信
号Df2を出力する。
【0108】正極性電流設定回路IPENは、正極性電
流を設定する正極性電流設定信号Ipen を出力する。ベ
ース電流設定回路IBは、ベース電流を設定するベース
電流設定信号Ibを出力する。正極性ピーク・ベース切
換回路SW1は、正極性電流設定信号Ipen とベース電
流設定信号Ibとを正極性電流通電制御信号Df2 によ
って切り換えて正極性ピーク・ベース切換信号Sw1 を出
力する。ピーク電流設定回路IPは、ピーク電流を設定
するピーク電流設定信号Ipを出力する。
【0110】正逆極性ピーク切換回路SW2は、逆極性
のピーク電流設定信号Ipと正極性ピーク・ベース切換
信号Sw1 とをピーク電流幅周波数制御信号Df1 によっ
て切り換えて正逆極性ピーク切換信号Sw2 を出力する。
極性判別制御回路PJは、正極性電流通電制御信号Df2
を入力して、溶接電流の極性を切り換える極性制御信
号Pjを極性切換回路PS2に出力する。
【0112】直流電流・交流パルス切換回路SW3は正
極性直流電流通電期間T2に正極性直流電流設定信号I
en を入力して直流電流制御信号Pf1 を出力し、次に交
流パルス電流通電期間T1に正逆極性ピーク切換信号Sw
2 を入力して交流パルス制御信号Pf2 を溶接出力制御
回路PS1に出力する。
【0114】(装置の実施例2…図17の説明)図17
は、図6に示す本発明の溶接方法を実施する溶接装置の
実施例のブロック図であって、アーク電圧を入力してピ
ーク電流幅を制御するピーク電流幅制御方式の溶接装置
の実施例のブロック図である。
【0116】図17において、図16のブロック図と同
一機能の回路及び信号は、図16と同一の符号を付して
説明を省略する。図16の実施例では、パルス周波数制
御回路VFが、アーク電圧制御信号Cm2を入力して、パ
ルス周波数制御信号Vfを出力し、ピーク電流幅周波数
信号発生回路DF1が、ピーク電流幅設定信号Tpとパ
ルス周波数制御信号Vfとからなるピーク電流幅周波数
制御信号Df1を出力したが、図17のブロック図では、
ピーク電流幅制御回路VPがアーク電圧制御信号Cm2を
入力して、ピーク電流幅を制御するピーク電流幅制御信
号Vpを出力し、ピーク電流幅周波数信号発生回路DF
1が、ピーク電流幅制御信号Vpとパルス周波数を設定
する信号を出力するパルス周波数設定信号Fpとからな
るピーク電流幅周波数制御信号Df1を出力している。
【0118】
【発明の効果】本発明の交流パルスマグ溶接方法は、次
の効果を有する。 (1)短絡移行をさせないで、不活性ガスにスプレー移
行が維持できる範囲の酸化性ガス又は酸素を混合したシ
ールドガスを供給し、溶接電流を小にしてもアークの安
定性を維持することができるパルスマグ溶接をすること
によって、スパッタの発生を防止する。 (2)ワイヤ先端の発熱量が逆極性期間よりも小となる
正極性期間を有する交流パルス電流を使用して、被溶接
材に加わる入熱を少なくすることによって、板厚が薄い
被溶接物であっても溶け落ちが生じないようにし、さら
に、溶融池の過度な温度上昇を防止する。 (3)溶滴の移行回数を小にしてアーク長を小にする期
間と溶滴の移行回数を大にしてアーク長を大にする期間
とを周期的に変化させアーク長を大きく変化させて溶融
池を攪拌することによって、ブローホールの原因となる
気泡を溶融池から外部へ積極的に放出させる。
【0120】請求項4の交流パルスマグ溶接方法は、本
発明の交流パルスマグ溶接方法の効果に加えてさらに次
の効果を有する。 (1)溶滴の移行回数を小にしてアーク長を小にする期
間と溶滴の移行回数を大にしてアーク長を大にする期間
とを周期的に変化させることによって、亜鉛蒸気を溶融
池から外部へ積極的に放出させる。 (2)ワイヤ先端の発熱量が逆極性期間よりも小となる
正極性期間を有する交流パルス電流を使用することによ
って、溶融池の過度な温度上昇及び溶接継手近傍の亜鉛
の蒸発範囲拡大を防止する。 (3)不活性ガスにスプレー移行が維持できる範囲の酸
化性ガス又は酸素を混合したシールドガスを供給して見
かけのアーク長を変化させて、溶融池を攪拌することに
よって気泡を大気に放出させて、ブローホールの発生を
防止するとともに、酸化性ガス又は酸素の熱分解によっ
て発生した酸素と亜鉛との酸化亜鉛を形成して亜鉛の昇
華を抑制して亜鉛メッキ鋼板の防錆作用の喪失を小にす
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、従来の交流パルスマグアーク溶接方法
により溶融部にブローホールが発生した状態を示す図で
ある。
【図2】図2は、従来の交流パルスマグアーク溶接方法
により溶融部が爆発現象を起こしたときの状態を示す図
である。
【図3】図3は、本発明者等が出願した従来技術(特開
平4−33368)の第1パルス電流群と第2パルス電
流群とを周期的に切り換えたパルスマグアーク溶接方法
を実施する溶接電流波形を示す図である。
【図4】図4は、本発明の溶接方法において、アーク長
を変化させたときのアークの広がりの変化を示す説明図
である。
【図5】図5(A)乃至(D)は、見かけのアーク長を
変化させて本発明の溶接方法によってブローホールの発
生を防止する説明図である。
【図6】図6(A)及び(B)は、本発明の交流パルス
マグ溶接方法に適用する正極性パルス電流IPSと逆極
性パルス電流IPRとから成る交流パルス電流ACPと
正極性直流電流DCSとを、切換周期(T1+T2)で
切り換えて通電する溶接電流の説明図である。
【図7】図7は、直径1.2[mm]のアルミニウム合金
ワイヤを使用して、正極性直流電流DCSと交流パルス
電流ACPとを周期的に切り換えてマグ溶接したとき、
ピーク電流通電時間Tpとピーク電流値Ipとの関係に
対する溶滴移行形態を示す説明図である。
【図8】図8は、正極性直流電流DCSと交流パルス電
流ACPとを周期的に切り換えてマグ溶接したときの正
極性電流通電時間Tpen [ms](横軸)と正極性電流値
Ipen [A](縦軸)との関係において、ピーク電流に
同期して溶滴が移行する範囲を示す図である。
【図9】図9は、切換周波数Fが0.5乃至30[H
z]の範囲でワイヤ送給速度とワイヤ溶融速度とがバラ
ンスして、溶滴移行を伴わないでアークが安定する範囲
を示した正極性直流電流適正範囲図である。
【図10】図10(A)及び(B)は、それぞれ本発明
の溶接方法の溶接電流波形を示す図及び溶滴移行の時間
的経過を示す図である。
【図11】図11は、前述した図7(A)に示す交流パ
ルス電流波形を通電して、溶融池振幅PW[mm](横
軸)と溶接長50[mm]の間に発生したブローホール
数BN[個/mm](縦軸)との関係を示す図である。
【図12】図12は、図6(A)に示す波形の溶接電流
を通電して、切換周波数F[Hz](横軸)と溶融池振
幅PW[mm](縦軸)との関係を示す図である。
【図13】図13は、図11と同一溶接条件で溶接した
ときの切換周波数F[Hz](横軸)と溶接長50[m
m]の間に発生したブローホール数BN[個/mm]
(縦軸)との関係を示す図である。
【図14】図14は、アルゴンガス80%と炭酸ガス2
0%とを混合したガスをシールドガス中で、溶接したと
き、溶接長50[mm]の間に発生したブローホール数
BN[個/50mm](縦軸)と見かけのアーク長の変
化値Le[mm](横軸)との関係を示す図である。
【図15】図15は、溶融池の振幅が0.5[mm]以
上得られる切換周波数F[Hz](横軸)と見かけのア
ーク長の変化値Le[mm](縦軸)との関係を示す図
である。
【図16】図16は、図6に示す本発明の溶接方法を実
施する溶接装置の実施例のブロック図であって、アーク
電圧を入力してパルス周波数を制御するパルス周波数制
御方式の溶接装置の実施例のブロック図である。
【図17】図17は、図6に示す本発明の溶接方法を実
施する溶接装置の実施例のブロック図であって、アーク
電圧を入力してピーク電流幅を制御するピーク電流幅制
御方式の溶接装置の実施例のブロック図である。
【符号の説明】
1 消耗電極 1a (第1の)消耗電極先端 1b (第2の)消耗電極先端 1d 溶滴 2 被溶接材 2b 溶融池 2e 溶接ビード 3 アーク 4a 給電チップ先端 5 シールドガスノズル 7 気泡 Zn Zn蒸気 AC 商用電源 ACP 交流パルス電流 CM1 ワイヤ送給速度比較回路 Cm1 ワイヤ送給速度制御信号 CM2 アーク電圧比較回路 Cm2 アーク電圧制御信号 D ピーク電流通電周期 D1 第1パルス電流郡のピーク電流通電周期 D2 第2パルス電流郡のピーク電流通電周期 DCS 正極性直流電流 DF1 ピーク電流幅周波数信号発生回路 Df1 ピーク電流幅周波数制御信号 DF2 正極性電流通電制御信号発生回路 Df2 正極性電流通電制御信号 DT 通電比率設定回路 Dt 通電比率設定信号 FT 通電期間切換周波数回路 Ft 通電期間切換周波数信号 FP パルス周波数設定回路 Fp パルス周波数設定信号 HL 通電期間切換信号発生回路 Hl 通電期間切換信号 IB ベース電流設定回路 Ib ベース電流値/ベース電流設定信号 Ib1 第1パルス電流郡のベース電流値/ベース電流
設定信号 Ib2 第2パルス電流郡のベース電流値/ベース電流
設定信号 IPEN 正極性電流設定回路 Ipen 正極性電流値/正極性電流設定信号 Ien 正極性直流電流値/正極性直流電流設定信号 Im 溶接電流設定信号 IP ピーク電流設定回路 Ip (逆極性の)ピーク電流値/(逆極性の)ピー
ク電流設定信号 Ip1 (逆極性の)第1パルス電流郡のピーク電流値
/(逆極性の)ピーク電流設定信号 Ip2 (逆極性の)第2パルス電流郡のピーク電流値
/(逆極性の)ピーク電流設定信号 IPR 逆極性パルス電流 IPS 正極性パルス電流 Lm (第1の)ワイヤ突き出し長 Ln (第2の)ワイヤ突き出し長 Lr (第1の)最短距離のアーク長 Lt (第2の)最短距離のアーク長 P ピーク電流 PC1 第1パルス電流群 PC2 第2パルス電流群 Pf1 直流電流制御信号 Pf2 交流パルス制御信号 PJ 極性判別制御回路 Pj 極性制御信号 PS1 溶接出力制御回路 PS2 極性切換回路 SW1 正極性ピーク・ベース切換回路 Sw1 正極性ピーク・ベース切換信号 SW2 正逆極性ピーク切換回路 Sw2 正逆極性ピーク切換信号 SW3 直流電流・交流パルス切換回路 T1 交流パルス電流通電期間 T2 正極性直流電流通電期間 TPEN 正極性電流通電時間設定回路 Tpen 正極性電流通電時間/正極性電流通電時間設
定信号 TP ピーク電流幅設定回路 Tp ピーク電流通電時間/ピーク電流幅設定信号 Tp1 第1パルス電流郡のピーク電流通電時間/ピー
ク電流幅設定信号 Tp2 第2パルス電流郡のピーク電流通電時間/ピー
ク電流幅設定信号 VP ピーク電流幅制御回路 Vp ピーク電流幅制御信号 VD アーク電圧検出回路 Vd アーク電圧検出信号 VF パルス周波数制御回路 Vf パルス周波数制御信号 VS アーク電圧設定回路 Vs アーク電圧設定信号 WC ワイヤ送給制御回路 Wc ワイヤ送給制御信号 WD ワイヤ送給速度検出回路 Wd 送給速度検出信号 WM ワイヤ送給モータ WR 送給ローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B23K 9/16 B23K 9/16 J 9/23 9/23 Z H02M 9/00 H02M 9/00 B

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被溶接材と消耗電極とに、直流電流とパ
    ルス電流とを周期的に切り換えた溶接電流を通電し、不
    活性ガスにスプレー移行が維持できる範囲の酸化性ガス
    又は酸素を混合したシールドガスを供給して溶接する交
    流パルスマグ溶接方法において、消耗電極を予め設定し
    た一定のワイヤ送給速度で送給し、溶滴を離脱させるこ
    とができない値で且つ給電チップに至るバーンバックが
    発生しない値の正極性直流電流と溶滴を離脱させること
    ができる値の交流パルス電流とを周期的に切り換えてア
    ーク長を変化させ、スプレー移行溶接する交流パルスマ
    グ溶接方法。
  2. 【請求項2】 被溶接材と消耗電極とに、直流電流とパ
    ルス電流とを周期的に切り換えた溶接電流を通電し、不
    活性ガスにスプレー移行が維持できる範囲の酸化性ガス
    又は酸素を混合したシールドガスを供給して溶接する交
    流パルスマグ溶接方法において、消耗電極を予め設定し
    た一定のワイヤ送給速度で送給し、正極性直流電流を溶
    滴が離脱することができない値で且つ給電チップに至る
    バーンバックが発生しない範囲の電流値に設定してお
    き、交流パルス電流の逆極性期間中のピーク電流値、ピ
    ーク電流通電周期、ピーク電流通電時間及びベース電流
    値と交流パルス電流の正極性期間中の正極性電流及び正
    極性電流通電時間とを、正極性直流電流によって形成さ
    れた溶融球を離脱させ、続いて複数パルス1溶滴移行又
    は1パルス1溶滴移行となる値に設定して、給電チップ
    先端と消耗電極先端とのワイヤ突き出し長を変化させ
    て、消耗電極先端と被溶接材表面とのアーク長を周期的
    に切り換えて通電して、スプレー移行溶接する交流パル
    スマグ溶接方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2の被溶接材が表面処理金
    属材又は不純物付着金属材であって、見かけのアーク長
    を変化させて、溶融池を攪拌することによって気泡を大
    気に放出させて、ブローホールの発生を防止した、スプ
    レー移行溶接する交流パルスマグ溶接方法。
  4. 【請求項4】 請求項3の被溶接材が亜鉛メッキ鋼板で
    あって、見かけのアーク長を変化させて、溶融池を攪拌
    することによって気泡を大気に放出させて、ブローホー
    ルの発生を防止するとともに、酸化性ガス又は酸素の熱
    分解によって発生した酸素と亜鉛との酸化亜鉛を形成し
    て亜鉛の昇華を抑制して亜鉛メッキの防錆作用の低下を
    小にした、スプレー移行溶接する交流パルスマグ溶接方
    法。
  5. 【請求項5】 被溶接材と消耗電極とに、直流電流とパ
    ルス電流とを周期的に切り換えた溶接電流を通電し、不
    活性ガスにスプレー移行が維持できる範囲の酸化性ガス
    又は酸素を混合したシールドガスを供給して溶接する交
    流パルスマグ溶接方法において、消耗電極を予め設定し
    た一定のワイヤ送給速度で送給するワイヤ送給制御回路
    と、正極性電流を設定する正極性電流設定信号及び正極
    性電流通電時間を設定する正極性電流通電時間設定信号
    から定まる正極性パルス電流とピーク電流を設定するピ
    ーク電流設定信号及びピーク電流通電時間を設定するピ
    ーク電流幅設定信号及びベース電流を設定するベース電
    流設定信号から定まる逆極性パルス電流とを繰り返すピ
    ーク電流通電周期を制御するパルス周波数制御信号を出
    力するパルス周波数制御回路と、正極性直流電流通電期
    間と交流パルス電流通電期間とを切り換える通電期間切
    換信号を出力する通電期間切換信号発生回路と、正極性
    パルス電流と逆極性パルス電流とをパルス周波数制御信
    号で定まる周波数で繰り返す交流パルス電流と正極性直
    流電流設定信号で定まる正極性電流とを通電期間切換信
    号によって周期的に切り換える直流電流・交流パルス切
    換回路とから成るスプレー移行用交流パルスマグ溶接装
    置。
  6. 【請求項6】 被溶接材と消耗電極とに、直流電流とパ
    ルス電流とを周期的に切り換えた溶接電流を通電し、不
    活性ガスにスプレー移行が維持できる範囲の酸化性ガス
    又は酸素を混合したシールドガスを供給して溶接する交
    流パルスマグ溶接方法において、消耗電極を予め設定し
    た一定のワイヤ送給速度で送給するワイヤ送給制御回路
    と、正極性電流を設定する正極性電流設定信号及び正極
    性電流通電時間を設定する正極性電流通電時間設定信号
    から定まる正極性パルス電流とピーク電流を設定するピ
    ーク電流設定信号及びピーク電流通電時間を制御するピ
    ーク電流幅制御信号及びベース電流を設定するベース電
    流設定信号から定まる逆極性パルス電流とを繰り返すピ
    ーク電流通電周期を設定してパルス周波数設定信号を出
    力するパルス周波数設定回路と、正極性直流電流通電期
    間と交流パルス電流通電期間とを切り換える通電期間切
    換信号を出力する通電期間切換信号発生回路と、正極性
    パルス電流と逆極性パルス電流とをパルス周波数設定信
    号で設定した周波数で繰り返す交流パルス電流と正極性
    直流電流設定信号で定まる正極性直流電流とを通電期間
    切換信号によって周期的に切り換える直流電流・交流パ
    ルス切換回路とから成るスプレー移行用交流パルスマグ
    溶接装置。
  7. 【請求項7】 被溶接材と消耗電極とに、直流電流とパ
    ルス電流とを周期的に切り換えた溶接電流を通電し、不
    活性ガスにスプレー移行が維持できる範囲の酸化性ガス
    又は酸素を混合したシールドガスを供給して溶接する交
    流パルスマグ溶接方法において、消耗電極を予め設定し
    た一定のワイヤ送給速度で送給するワイヤ送給制御回路
    と、アーク電圧を設定するアーク電圧設定信号を出力す
    るアーク電圧設定回路と、アーク電圧設定信号とアーク
    電圧検出信号とを入力してその差のアーク電圧制御信号
    を出力するアーク電圧比較回路と、ピーク電流通電時間
    を設定してピーク電流幅設定信号を出力するピーク電流
    幅設定回路と、正極性電流通電時間を設定する正極性電
    流通電時間設定信号を出力する正極性電流通電時間設定
    回路と、正極性電流を設定する正極性電流設定信号を出
    力する正極性電流設定回路と、ベース電流を設定するベ
    ース電流設定信号を出力するベース電流設定回路と、ピ
    ーク電流を設定するピーク電流設定信号を出力するピー
    ク電流設定回路と、アーク電圧制御信号に対応して、正
    極性電流設定信号及び正極性電流通電時間設定信号から
    定まる正極性パルス電流とピーク電流設定信号及びベー
    ス電流設定信号から定まる逆極性パルス電流とを繰り返
    すピーク電流通電周期を制御するパルス周波数制御信号
    を出力するパルス周波数制御回路と、正極性直流電流通
    電期間と交流パルス電流通電期間とを切り換える通電期
    間切換信号を出力する通電期間切換信号発生回路と、正
    極性パルス電流と逆極性パルス電流とをパルス周波数制
    御信号で定まる周波数で繰り返す交流パルス電流と正極
    性直流電流設定信号で定まる正極性直流電流とを通電期
    間切換信号によって周期的に切り換える直流電流・交流
    パルス切換回路とから成るスプレー移行用交流パルスマ
    グ溶接装置。
  8. 【請求項8】 被溶接材と消耗電極とに、直流電流とパ
    ルス電流とを周期的に切り換えた溶接電流を通電し、不
    活性ガスにスプレー移行が維持できる範囲の酸化性ガス
    又は酸素を混合したシールドガスを供給して溶接する交
    流パルスマグ溶接方法において、消耗電極を予め設定し
    た一定のワイヤ送給速度で送給するワイヤ送給制御回路
    と、アーク電圧を設定するアーク電圧設定信号を出力す
    るアーク電圧設定回路と、アーク電圧設定信号とアーク
    電圧検出信号とを入力してその差のアーク電圧制御信号
    を出力するアーク電圧比較回路と、アーク電圧制御信号
    に対応して、ピーク電流通電時間を制御するピーク電流
    幅制御信号を出力するピーク電流幅制御回路と、正極性
    電流を設定する正極性電流設定信号を出力する正極性電
    流設定回路と、ベース電流を設定するベース電流設定信
    号を出力するベース電流設定回路と、ピーク電流を設定
    するピーク電流設定信号を出力するピーク電流設定回路
    と、正極性電流を設定する正極性電流設定信号及び正極
    性電流通電時間を設定する正極性電流通電時間設定信号
    から定まる正極性パルス電流とピーク電流を設定するピ
    ーク電流設定信号及びピーク電流幅制御信号及びベース
    電流を設定するベース電流設定信号から定まる逆極性パ
    ルス電流とを繰り返すピーク電流通電周期を設定してパ
    ルス周波数設定信号を出力するパルス周波数設定回路
    と、正極性直流電流通電期間と交流パルス電流通電期間
    とを切り換える通電期間切換信号を出力する通電期間切
    換信号発生回路と、正極性パルス電流と逆極性パルス電
    流とをパルス周波数設定信号で設定した周波数で繰り返
    す交流パルス電流と正極性直流電流設定信号で定まる正
    極性直流電流とを通電期間切換信号によって周期的に切
    り換える直流電流・交流パルス切換回路とから成るスプ
    レー移行用交流パルスマグ溶接装置。
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