JPH08267239A - 消耗電極式ガスシールドパルスアーク溶接用電源の出力制御方法 - Google Patents

消耗電極式ガスシールドパルスアーク溶接用電源の出力制御方法

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JPH08267239A
JPH08267239A JP7180695A JP7180695A JPH08267239A JP H08267239 A JPH08267239 A JP H08267239A JP 7180695 A JP7180695 A JP 7180695A JP 7180695 A JP7180695 A JP 7180695A JP H08267239 A JPH08267239 A JP H08267239A
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droplet
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JP7180695A
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Masaharu Sato
正晴 佐藤
Takaaki Ito
崇明 伊藤
Takeshi Koyama
小山  毅
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 溶接ワイヤと母材間にピーク電流とベース電
流とを交互に繰り返し供給する消耗電極式ガスシールド
パルスアーク溶接用電源の出力制御方法において、定電
圧特性の第1のピーク電流を供給する第1ピーク期間
と、この第1ピーク期間中に溶接ワイヤ先端から溶滴が
離脱したことを検出したら前記第1ピーク期間に続い
て、定電圧特性であって前記第1のピーク電流より低い
値の第2のピーク電流を供給する第2ピーク期間と、こ
れに続いて定電流特性のベース電流を供給するベース期
間と、を順に繰り返す制御を行う。 【効果】 炭酸ガスパルスアーク溶接を行うに際し、ワ
イヤ先端溶滴と溶融池との接触短絡によるスパッタの発
生の低減に加えて、溶滴離脱時の溶滴くびれ部分の吹き
飛びによるスパッタの発生や、溶滴離脱後の溶接ワイヤ
先端での溶滴形成時の溶滴吹き飛びによるスパッタの発
生、及び溶融池の振動による溶融池からのスパッタの発
生をも少なくすることができ、これによりスパッタ除去
の手間が少なくてすみ、また、溶着効率を高めることが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、溶接ワイヤ(消耗電
極)と母材間にピーク電流とベース電流とを交互に繰り
返し供給し、炭酸ガスまたは炭酸ガスを主成分として含
む混合ガスをシールドガスとして用いたアークを発生さ
せる消耗電極式ガスシールドパルスアーク溶接用電源の
出力制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように、シールドガスとして炭酸
ガス単体または炭酸ガスを主成分として含む混合ガスを
用い、溶接ワイヤとしてソリッドワイヤを用いた消耗電
極式ガスシールドアーク溶接では、最も普及した高能率
な溶接法でありながら、スパッタが多量に発生するとい
う欠点がある。このため、スパッタの発生低減を目的と
して、不活性ガスであるアルゴンガスを主成分として含
む混合ガスをシールドガスとして用い、溶接ワイヤと母
材間にピーク電流とベース電流とを交互に繰り返し通電
して溶接を行う、いわゆるマグパルスアーク溶接が提案
されている。マグパルスアーク溶接は、ピーク電流が通
電されるピーク期間(ピーク区間)中に溶接ワイヤ先端
に溶滴を形成し、ベース電流が通電されるベース期間
(ベース区間)中に前記溶滴を離脱し母材へ移行させ
て、スパッタ発生の原因のひとつであるワイヤ先端溶滴
と溶融池との接触短絡を防ぐようにしたものである。
【0003】しかし、このような溶滴移行現象をともな
うマグパルスアーク溶接は、溶接条件によってはスパッ
タの発生をきわめて少なくできるものの、炭酸ガスに比
べてアルゴンガスのコストが非常に高いことから、限ら
れた分野で採用されているのが実情である。
【0004】そこで、特公平2−31630号公報に示
されているように、炭酸ガスまたは炭酸ガスを主成分と
して含む混合ガスをシールドガスとして用いた消耗電極
式ガスシールドパルスアーク溶接方法(以下、単に炭酸
ガスパルスアーク溶接方法という)が提案されている。
【0005】この従来の炭酸ガスパルスアーク溶接方法
は、図7に示すように、溶接ワイヤWと母材間に、定電
流特性で一定値のピーク電流と定電流特性で一定値のベ
ース電流とを交互に繰り返し通電してアークを発生し、
前記ピーク電流を流すピーク期間の初期に溶接ワイヤ先
端の溶滴をピンチ力によって離脱させ、続いて溶接ワイ
ヤ先端を溶融して溶滴を形成し、前記ベース電流を流す
ベース期間で溶接ワイヤ先端の溶滴の整形を行うように
したものである。また、ピーク電流時の初期にさらに大
きい値のピーク電流を流すこと、溶滴離脱後のピーク電
流により溶接ワイヤ先端に溶滴を成長させる期間を設け
ること、溶滴離脱後、ピーク電流を漸減させて溶接ワイ
ヤ先端での溶滴の成長と整形を行うこと、等を特徴とす
るものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の炭酸ガスパルスアーク溶接方法は、ワイヤ先端溶滴
と溶融池との接触短絡によるスパッタの発生は少なくで
きるものの、溶滴離脱時の溶滴くびれ部分の吹き飛びに
よるスパッタや、溶滴離脱後の溶接ワイヤ先端での溶滴
形成時の溶滴吹き飛びによるスパッタ、及び溶融池の振
動による溶融池からのスパッタが発生するものであっ
た。以下、このことについて説明する。
【0007】本発明者らは、前記従来の炭酸ガスパルス
アーク溶接方法において依然として発生するスパッタの
発生メカニズムについて、調査した。図10は通常の炭
酸ガスアーク溶接と従来の炭酸ガスパルスアーク溶接方
法とにおけるスパッタ発生形態を示す図であり、アーク
現象を高速度カメラで撮影し、その結果からスパッタの
発生形態を分類して得たものである。スパッタの発生形
態は、同図に示すように、5つの形態に分けられる。こ
れらのうち、タイプ1及び2は溶滴と溶融池との接触短
絡により発生するスパッタであり、タイプ3、4及び5
は接触短絡を伴うことなく発生するスパッタである。
【0008】図11は通常の炭酸ガスアーク溶接と従来
の炭酸ガスパルスアーク溶接方法とにおけるタイプ別の
スパッタ発生頻度を示す図である。同図から、従来の炭
酸ガスパルスアーク溶接方法によると、炭酸ガスアーク
溶接で多く発生する、溶滴と溶融池との接触短絡による
スパッタ、すなわち前記タイプ1及び2のスパッタの発
生を低減できることがわかる。
【0009】しかしながら、従来の炭酸ガスパルスアー
ク溶接方法では、依然として、溶滴離脱時の溶滴くびれ
部分の吹き飛びによるスパッタ(タイプ3のスパッタ)
や、溶滴離脱後の溶接ワイヤ先端での溶滴形成時の溶滴
吹き飛びによるスパッタ(タイプ5のスパッタ)、及び
溶融池の振動による溶融池からのスパッタ(タイプ4の
スパッタ)が発生することがわかった。
【0010】前記従来の炭酸ガスパルスアーク溶接方法
では、ピーク電流として定電流特性の一定値の電流が採
用されており、またその電流値は、溶接ワイヤ先端に形
成された溶滴が通電による電磁的なピンチ力によって離
脱できる値とされている。そして、ピーク電流を流すピ
ーク期間の初期にて溶接ワイヤ先端の溶滴を離脱させる
際には、ピンチ力が大きい方が溶滴を離脱させやすくな
るが、ピーク電流が大きすぎると、図8に示すように、
溶滴離脱時に、溶滴Dが溶接ワイヤW先端から離脱しよ
うとして形成されるくびれ部分Kが、強いアーク力のた
めに吹き飛ばされることにより、スパッタSが発生す
る。これが前記タイプ3のスパッタである。
【0011】また、ピーク電流を高くしすぎると、ピー
ク電流とベース電流との差が大きくなり、アーク力によ
る溶融池の振動が激しく、これによって溶融池から溶融
金属が飛散してスパッタが発生する。これが前記タイプ
4のスパッタである。そして、大きなピーク電流による
強いアーク力のために、溶滴離脱前、あるいは溶滴離脱
後に溶接ワイヤ先端で形成されている溶滴が吹き飛ばさ
れることがある。これが発生頻度は少ないものの大粒で
その除去に手間がかかる前記タイプ5のスパッタであ
る。
【0012】タイプ5のスパッタのうちの大部分を占め
るものが、溶滴離脱後の溶接ワイヤ先端での溶滴形成時
の溶滴吹き飛びによるスパッタである。すなわち、ピー
ク電流が大きすぎると、溶滴離脱後に溶接ワイヤ先端で
溶滴が形成されている時にも、溶滴を離脱させるに十分
なピーク電流が供給されるので、図9に示すように、溶
接ワイヤW先端に形成されている溶滴が強いアーク力の
ために吹き飛ばされることにより、大粒のスパッタSが
発生することになる。
【0013】このように、従来の炭酸ガスパルスアーク
溶接方法では、ワイヤ先端溶滴と溶融池との接触短絡に
よるスパッタの発生は少なくできるものの、定電流特性
の一定値のピーク電流を流して溶滴の離脱と溶滴の形成
とを行うようにしたものであるから、溶滴離脱のための
電流値が優先されて、溶滴離脱の瞬間の電流値や溶滴形
成時の電流値が大きすぎるため、依然として前記タイプ
3、4及び5のスパッタが発生した。そして、このよう
なスパッタの発生を減らそうとして定電流特性のピーク
電流を低めに設定すると、溶滴を離脱・形成するための
ピーク期間を大幅に長くする必要があり、パルス周波数
が大幅に低下し、これによってアーク光がちらついて溶
接作業性が極めて悪くなるという不具合が生じた。パル
ス周波数fは、ピーク時間をtp、ベース時間をtbと
すると、f=1/(tp+tb)で表される。
【0014】なお、前記従来の炭酸ガスパルスアーク溶
接方法では、溶滴の離脱を促進させるために、通常のピ
ーク電流よりもさらに大きいピーク電流を流すようにし
た技術も提案されているが、この場合にも、前述したよ
うに、溶滴離脱時の電流値が大きすぎることによる溶滴
くびれ部分の吹き飛びが起こり、スパッタが発生する。
【0015】また、前記従来の炭酸ガスパルスアーク溶
接方法では、溶滴離脱後の電流を漸減させるようにした
例も示されてはいるが、その実施例にあるように溶滴離
脱のタイミングをピーク電流供給開始後の所定の一定時
間後としているため、次のようなことでスパッタが発生
する。すなわち、ピーク電流が減少する以前に溶滴離脱
のタイミングがきた場合には、溶滴離脱後の電流値が高
いので、ワイヤ先端に形成され始めた溶滴が強いアーク
力によって吹き飛ばされることにより、スパッタが発生
する。一方、ピーク電流が漸減し始めてから溶滴離脱の
タイミングがきた場合には、溶滴の離脱ができないこと
が多くなり、1パルス周期ごとに1個の溶滴を離脱させ
る1パルス1溶滴移行からはずれて溶滴移行現象が不安
定になって溶融池との接触短絡が生じ、大粒のスパッタ
が発生することになる。
【0016】この発明の目的は、炭酸ガスパルスアーク
溶接を行うに際し、ワイヤ先端溶滴と溶融池との接触短
絡によるスパッタの発生の低減に加えて、溶滴離脱時の
溶滴くびれ部分の吹き飛びによるスパッタの発生や、溶
滴離脱後の溶接ワイヤ先端での溶滴形成時の溶滴吹き飛
びによるスパッタの発生、及び溶融池の振動による溶融
池からのスパッタの発生をも少なくすることができ、こ
れにより母材や溶接トーチノズルに付着したスパッタを
除去する手間が少なくてすみ、また、溶着効率を高める
ことができるようにした、消耗電極式ガスシールドパル
スアーク溶接用電源の出力制御方法を提供することにあ
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
溶接ワイヤと母材間にピーク電流とベース電流とを交互
に繰り返し供給し、炭酸ガスまたは炭酸ガスを主成分と
して含む混合ガスをシールドガスとして用いたアークを
発生させる消耗電極式ガスシールドパルスアーク溶接用
電源の出力制御方法において、定電圧特性の第1のピー
ク電流を供給する第1ピーク期間と、この第1ピーク期
間中に溶接ワイヤ先端から溶滴が離脱したことを検出し
たら前記第1ピーク期間に続いて、定電圧特性であって
前記第1のピーク電流より低い値の第2のピーク電流を
供給する第2ピーク期間と、これに続いて定電流特性の
ベース電流を供給するベース期間と、を順に繰り返す制
御を行うことを特徴とするものである。
【0018】請求項2記載の発明は、請求項1記載の消
耗電極式ガスシールドパルスアーク溶接用電源の出力制
御方法において、前記第2ピーク期間では、溶接ワイヤ
と母材間に印加する電圧として、−0.8〜−0.1V
/msの範囲で定められた電圧傾斜dV/dtを有する設定
電圧を設定することを特徴とするものである。また、請
求項3記載の発明は、請求項1記載の消耗電極式ガスシ
ールドパルスアーク溶接用電源の出力制御方法におい
て、溶接ワイヤと母材間に印加する電圧として、前記第
1ピーク期間では、0.1〜0.3V/msの範囲で定
められた電圧傾斜dV/dtを有する設定電圧を設定する一
方、前記第2ピーク期間では、−1.10〜−0.20
V/msの範囲で定められた電圧傾斜dV/dtを有する設
定電圧を設定することを特徴とするものである。
【0019】請求項4記載の発明は、請求項2記載の消
耗電極式ガスシールドパルスアーク溶接用電源の出力制
御方法において、前記電圧傾斜dV/dtを、その下降の傾
きがワイヤ送給速度の増加につれて小さくなるようにワ
イヤ送給速度の関数として設定することを特徴とするも
のである。また、請求項5記載の発明は、請求項3記載
の消耗電極式ガスシールドパルスアーク溶接用電源の出
力制御方法において、前記電圧傾斜dV/dtを、前記第1
ピーク期間ではその上昇の傾きがワイヤ送給速度の増加
につれて大きくなるようにワイヤ送給速度の関数として
設定し、前記第2ピーク期間ではその下降の傾きがワイ
ヤ送給速度の増加につれて小さくなるようにワイヤ送給
速度の関数として設定することを特徴とするものであ
る。
【0020】
【作用】この発明による消耗電極式ガスシールドパルス
アーク溶接用電源の出力制御方法においては、第1ピー
ク期間(第1ピーク区間)と第2ピーク期間(第2ピー
ク区間)からなるピーク期間(ピーク区間)では溶接用
電源の外部出力特性を定電圧特性としたので、第1のピ
ーク電流による溶接ワイヤ先端からの溶滴の離脱時に
は、溶滴離脱によってアーク長が長くなると、溶接用電
源によるアークの自己制御作用により、前記アーク長変
動をなくしてアーク長を略一定に維持しようとして、第
1のピーク電流が急激に低下する(図5参照)。この溶
滴離脱の際には、溶接ワイヤ先端の溶滴にくびれが生じ
始めてから溶滴離脱までの時間が非常に短く、くびれが
生じ始めるとその部分の電気抵抗が急増するので、溶滴
離脱時の第1のピーク電流の低下は急峻である。これに
より、溶滴離脱時の溶滴くびれ部分の吹き飛びによるス
パッタの発生を減らすことができる。
【0021】そして、溶滴離脱後は、第1のピーク電流
値より低く溶滴が離脱できない値の第2のピーク電流が
供給されて、溶接ワイヤ先端での溶滴形成が行われる。
これにより、溶滴離脱後のアーク力を弱めて、溶滴離脱
後の溶接ワイヤ先端での溶滴形成時の溶滴吹き飛びによ
るスパッタの発生を減らすことができ、また、第2のピ
ーク電流からベース電流へ移行するときの電流差も小さ
く抑えられるため、溶融池の振動が抑制されて溶融池か
らのスパッタの発生を減らすことができる。ベース期間
(ベース区間)は、溶滴径の均一化を図るため定電流特
性のベース電流を供給するようにしている。
【0022】溶接ワイヤ先端から溶滴が離脱した後に供
給される第2のピーク電流については、溶接作業性を損
なわないパルス周波数が維持できるピーク時間の範囲内
において、所要の溶滴形成ができ、かつ、その溶滴を離
脱させることのない値となるようにすればよい。図12
は、ワイヤ先端から溶滴を離脱させるための、ピーク電
流とピーク時間(ピーク電流通電時間)との関係を示す
図である。定電流特性の溶接用電源を用いた炭酸ガスパ
ルスアーク溶接において、ピーク電流とピーク時間とを
変化させたときの1パルス1溶滴移行条件を求めたもの
である。溶接ワイヤ径1.2mmのソリッドワイヤの場
合、ピーク電流の適正な範囲は400〜550Aであ
り、溶接作業性を損なわないパルス周波数でのピーク時
間は約15ms以下であった。このことから、最もよく
使用される溶接ワイヤ径1.2mmのソリッドワイヤの
場合、第2のピーク電流は、溶滴が離脱できないように
するには、約400A以下にすればよいことがわかる。
【0023】ところで、ピーク期間を定電圧特性にし、
第2ピーク期間で溶接ワイヤと母材間に印加する電圧と
して、電圧傾斜dV/dt(V/ms)を有してその電圧値
が時間とともに徐々に変化するというものではなく、通
常のもの、すなわち、電圧傾斜dV/dtがなくその電圧値
が所定の一定値とされた設定電圧を設定した場合、溶滴
離脱時に急減した第1のピーク電流に引き続いて供給さ
れる第2のピーク電流が、前記図5に示されるように、
時間とともに徐々に増加することになる。これは、溶滴
の離脱によって一時的に長くなったアーク長が、溶接用
電源によるアークの自己制御作用により徐々に短くなっ
て元に戻ろうとするためである。そして、第2のピーク
電流が徐々に増加してアーク力が強くなることにより、
溶滴離脱後の溶接ワイヤ先端での溶滴形成時の溶滴吹き
飛びによるスパッタが、発生することがある。
【0024】そこで、この発明による出力制御方法にお
いては、溶滴離脱後における溶滴形成時の溶滴吹き飛び
によるスパッタをより確実に減らすため、第2ピーク期
間では、溶接ワイヤと母材間に印加する電圧として、下
降の傾きの電圧傾斜dV/dtを持ち、時間とともにその電
圧値が漸減するような設定電圧を設定するようにしてい
る。以下、このことについて説明する。
【0025】図6は第2ピーク期間における設定電圧の
電圧傾斜dV/dtと第2のピーク電流との関係を示す図で
ある。同図は、第1のピーク電流が約500Aとなるよ
うにし、第2ピーク期間で溶接ワイヤと母材間に印加す
る電圧として設定する設定電圧の電圧傾斜dV/dtを広範
囲に変化させて、このときの第2のピーク電流の値(平
均値)を調査したものである。なお、第1ピーク期間で
設定する設定電圧は、電圧傾斜dV/dtがなくその電圧値
が所定の一定値とされたものを設定した。
【0026】図6より理解されるように、第2ピーク電
流値は、第2ピーク期間での設定電圧の電圧傾斜dV/dt
の値によって制御することができる。そして、第2ピー
ク期間では、溶接ワイヤと母材間に印加する電圧とし
て、その電圧値を所定の一定値とするのではなく、下降
の傾きの電圧傾斜dV/dtを持ち、時間とともにその電圧
値が漸減するような設定電圧を設定することにより、前
述した第2のピーク電流が徐々に増加することを防ぐこ
とができる。これにより、溶滴離脱後の溶接ワイヤ先端
での溶滴形成時の溶滴吹き飛びによるスパッタの発生を
確実に減らすことができる。
【0027】そして、第2ピーク期間では、溶接ワイヤ
と母材間に印加する電圧として、−0.8〜−0.1V
/msの範囲で定められた下降の傾きの電圧傾斜dV/dt
を持ち、時間とともにその電圧値が漸減するような設定
電圧を設定することがよい。電圧傾斜dV/dtの値が−
0.8V/msより小さいと(下降の傾きが大きい
と)、第2のピーク電流が下がりすぎて溶滴の形成が困
難になる。一方、電圧傾斜dV/dtの値が−0.1V/m
sより大きいと(下降の傾きが小さいと)、第2のピー
ク電流の低下が十分でなく溶滴形成時にスパッタが発生
することがあるからである。
【0028】ところで、ピーク期間を定電圧特性にし、
第1ピーク期間で溶接ワイヤと母材間に印加する電圧と
して、電圧傾斜dV/dtがなくその電圧値が所定の一定値
とされた設定電圧を設定した場合、図5に※印で示すよ
うに、溶滴のふらつき等によって溶滴が離脱する前から
第1のピーク電流が低下し始めることがある。このた
め、溶接ワイヤ先端から溶滴が離脱するための電磁的ピ
ンチ力が低下し、離脱に要する時間が長くなって溶滴移
行現象が不安定になる。
【0029】そこで、この発明による出力制御方法にお
いては、前述した第2ピーク期間でスパッタの発生を確
実に減らすことに加え、第1ピーク期間で確実に溶滴を
離脱させるため、溶接ワイヤと母材間に印加する電圧と
して、第1ピーク期間では、上昇の傾きの電圧傾斜dV/
dtを持ち、時間とともにその電圧値が漸増するような設
定電圧を設定することにより、第1のピーク電流の低下
をなくして第1のピーク電流が漸増するようにし、第2
ピーク期間では、前述したように、下降の傾きの電圧傾
斜dV/dtを持ち、時間とともにその電圧値が漸減するよ
うな設定電圧を設定するようにしている。
【0030】この場合、第1ピーク期間では、溶接ワイ
ヤと母材間に印加する電圧として、0.1〜0.3V/
msの範囲で定められた電圧傾斜dV/dtを有する設定電
圧を設定することがよい。電圧傾斜dV/dtの値が0.1
V/msより小さいと、確実に溶滴を離脱させるための
第1のピーク電流を供給できないことがあり、電圧傾斜
dV/dtの値が0.3V/msより大きいと、第1のピー
ク電流値が大きくなりすぎて溶滴形成時にスパッタが発
生することがあるからである。
【0031】また、第2ピーク期間では、溶接ワイヤと
母材間に印加する電圧として、−1.10〜−0.20
V/msの範囲で定められた電圧傾斜dV/dtを有する設
定電圧を設定することがよい。電圧傾斜dV/dtの値が−
1.10V/msより小さいと(下降の傾きが大きい
と)、第2のピーク電流が下がりすぎて溶滴の形成が困
難になる。一方、電圧傾斜dV/dtの値が−0.20V/
msより大きいと(下降の傾きが小さいと)、第2のピ
ーク電流の低下が十分でなく溶滴形成時にスパッタが発
生することがあるからである。なお、この場合の第2ピ
ーク期間での設定電圧の電圧傾斜dV/dtの範囲は、第1
ピーク期間において溶滴を離脱させるに十分な電流が供
給されるので、第1ピーク期間の設定電圧を電圧傾斜dV
/dtのない所定の一定値とした場合の電圧傾斜dV/dtの
範囲(−0.8〜−0.1V/ms)に比べて、下降の
傾きがより大きい側にシフトしてある。
【0032】そして、この発明による出力制御方法にお
いては、第1ピーク期間、あるいは第2ピーク期間の設
定電圧の電圧傾斜dV/dtについては、ワイヤ送給速度の
関数として設定することがよい。ワイヤ送給速度が大き
くなるにしたがってワイヤを溶融させるエネルギが必要
となり、当然ながら、電流を増加させなければならな
い。したがって、溶滴の離脱を確実に行うため、第1ピ
ーク期間の設定電圧の電圧傾斜dV/dtについては、その
上昇の傾きがワイヤ送給速度の増加につれて大きくなる
ようにワイヤ送給速度の関数として設定すればよい。
【0033】第2ピーク期間の設定電圧の電圧傾斜dV/
dtは、パルス周波数と関係がある。溶接用電源では、一
般に、低ワイヤ送給速度域(低電流側)から高ワイヤ送
給速度域(高電流側)へ移行するにつれてパルス周波数
が高くなるようになされており、ワイヤ送給速度が低い
とパルス周波数も低くなる。炭酸ガスパルスアーク溶接
では、低ワイヤ送給速度だからといってパルス周波数を
極端に低くすることは溶接作業性の悪化を招くので避け
なければならない。低ワイヤ送給速度域にて第2ピーク
期間の設定電圧の電圧傾斜dV/dtの値を小さくすると、
つまり電圧傾斜dV/dtの下降の傾きを大きくすると、溶
滴形成期間の電流エネルギが少なくなるが、ベース期間
を短くしてパルス周波数を高めてやることでその電流エ
ネルギの不足分を補うことができる。また、高ワイヤ送
給速度域では、当然ながらワイヤ溶融のために多くのエ
ネルギが必要となるものの、パルス周波数が高くなりす
ぎないようにしなければならない。高ワイヤ送給速度域
にて第2ピーク期間の設定電圧の電圧傾斜dV/dtの値を
大きく、つまり電圧傾斜dV/dtの下降の傾きを小さくす
ると、十分な電流エネルギを供給することができ、パル
ス周波数が過大に高くなることを防ぐことができる。し
たがって、第2ピーク期間の設定電圧の電圧傾斜dV/dt
については、その下降の傾きがワイヤ送給速度の増加に
つれて小さくなるようにワイヤ送給速度の関数として設
定すればよい。
【0034】
【実施例】以下、図面を参照しながらこの発明の実施例
について説明する。図1はこの発明による方法を実施す
るための消耗電極式ガスシールドパルスアーク溶接用電
源の一例を示すブロック図である。
【0035】図1において、1は3相交流電力供給部で
ある。この3相交流電力供給部1から供給される交流電
流は、第1整流回路2で直流に整流され、平滑用コンデ
ンサ3により平滑される。この直流電流はインバータ4
によって高周波交流電流に変換される。トランス5はイ
ンバータ4の出力を溶接用電圧に降圧する。トランス5
からの溶接用に降圧された高周波交流電流は第2整流回
路6により溶接用直流電流に整流される。この直流電流
が平滑用のリアクトル7を介して溶接ワイヤ8と母材9
間に供給されて、アーク溶接が行われるようなってい
る。
【0036】10はアーク電圧を検出するための溶接電
圧検出器、11は溶接電流を検出するための電流検出器
である。溶接電圧検出器10の出力は後述する制御部3
0のピーク電圧設定回路12に与えられ、電流検出器1
1の出力は制御部30の溶滴離脱検出器26に与えられ
る。溶接ワイヤ8はワイヤ送給モータ18で駆動される
ワイヤ送給ローラ19によって母材9に向けて送給さ
れ、溶接ワイヤ8と母材9間にアークを発生させて溶接
が行われる。ワイヤ送給モータ制御回路20は、ワイヤ
送給速度設定器24からの送給速度設定信号に基づき送
給モータ18の回転速度を制御するものである。
【0037】制御部30は、インバータ4を制御して、
定電圧特性の第1のピーク電流を供給する第1ピーク期
間と、この第1ピーク期間中に溶滴離脱検出器26によ
って溶接ワイヤ先端から溶滴が離脱したことを検出した
ら第1ピーク期間に続いて、定電圧特性であって第1の
ピーク電流より低い値の第2のピーク電流を供給する第
2ピーク期間と、これに続いて定電流特性のベース電流
を供給するベース期間と、を順に繰り返す制御などを行
うためのものである。
【0038】前記制御部30のベース電流設定回路13
にはアークを維持するに適正なベース電流が設定されて
おり、ベース期間設定回路15には、ワイヤ送給速度設
定器24及び溶接電圧検出器10からの信号を入力とし
て、ワイヤ送給速度及びアーク電圧に応じた所定のパル
ス周波数fになるようにベース時間tbが設定されるよ
うに構成されている。また、ピーク期間設定回路14に
は、第1ピーク時間と第2ピーク時間とからなる適正な
ピーク時間tpが設定されている。そして、これらの設
定回路及び後述するピーク電圧設定回路12は、その各
設定値(信号)をパルス波形選択回路16にパルスパラ
メータ設定信号として出力する。パルス波形選択回路1
6は各パルスパラメータ設定信号に基づくインバータ制
御信号を電力制御回路17に与え、この電力制御回路1
7によりインバータ4の制御がなされるように構成され
ている。
【0039】21Aは第1三角波発生回路であり、その
出力値が設定された傾きにて時間とともに直線状に漸増
する三角波信号を発生する回路である。22Aは、演算
増幅器と抵抗等で構成され、第1三角波発生回路21A
の出力信号を増幅する第1増幅回路である。この第1三
角波発生回路21Aと第1増幅回路22Aとにより、定
電圧特性とされた第1ピーク期間にて、溶接ワイヤ8と
母材9間に印加する電圧として、所定の上昇の傾きの電
圧傾斜dV/dtを有する設定電圧VRP1が設定されるよう
になっている。
【0040】また、21Bは第2三角波発生回路であ
り、その出力値が設定された傾きにて時間とともに直線
状に漸減する三角波信号を発生する回路である。22B
は、演算増幅器と抵抗等で構成され、第2三角波発生回
路21Bの出力信号を増幅する第2増幅回路である。こ
の第2三角波発生回路21Bと第2増幅回路22Bとに
より、定電圧特性とされた第2ピーク期間にて、溶接ワ
イヤ8と母材9間に印加する電圧として、所定の下降の
傾きの電圧傾斜dV/dtを有する設定電圧VRP2が設定さ
れるようになっている。
【0041】溶滴離脱検出器26は、電流検出器11か
らの出力信号を微分することにより溶滴の離脱を検出す
る検出器である。先に述べたように、定電圧特性にする
と溶滴離脱時には第1のピーク電流が急激に低下するの
で、電流検出器11からの出力信号を微分回路に入力
し、その微分回路から出力される微分パルス信号を検知
することにより、溶接ワイヤ先端から溶滴が離脱したこ
とを検出することができる。
【0042】25は溶滴離脱検出器26からの離脱検出
信号により入力切り換えを行うスイッチ回路である。ピ
ーク電圧設定回路12は、溶滴の離脱が検出されるまで
の第1ピーク期間において、スイッチ回路25を介して
第1増幅回路22Aからの信号と溶接電圧検出器10か
らの検出信号とを入力として、アーク電圧が前記設定電
圧VRP1になるようにするための信号を前記パルス波形
選択回路16に出力し、溶滴離脱検出器26によって溶
滴の離脱が検出された後の第2ピーク期間において、第
2増幅回路22Bからの信号と溶接電圧検出器10から
の検出信号とを入力として、アーク電圧が前記設定電圧
VRP2になるようにするための信号を前記パルス波形選
択回路16に出力するものである。
【0043】そして、第1三角波発生回路21Aにはワ
イヤ送給速度設定器24からの送給速度設定信号が入力
されており、このワイヤ送給速度設定信号に応じた上昇
の傾きを持つ三角波信号を発生させることにより、第1
ピーク期間の設定電圧VRP1の電圧傾斜dV/dtをワイヤ
送給速度WFRの関数として自動設定できるようになって
いる。同様にして、第2三角波発生回路21Bにもワイ
ヤ送給速度設定器24からの送給速度設定信号が入力さ
れており、このワイヤ送給速度設定信号に応じた下降の
傾きを持つ三角波信号を発生させることにより、第2ピ
ーク期間の設定電圧VRP2の電圧傾斜dV/dtをワイヤ送
給速度WFRの関数として自動設定できるようになってい
る。なお、自動設定を行わない場合には、前記各増幅回
路22A,22Bの可変抵抗23A,23Bを調整して
増幅率を変化させることにより、所定の電圧傾斜dV/dt
を設定することができる。
【0044】以下、シールドガスとして炭酸ガスを用
い、前記構成になる溶接用電源による炭酸ガスパルスア
ーク溶接を行った。まず、断面逆台形の開先溝加工を施
した試験板を用い、溶接トーチをウィービングすること
でアークが開先壁に近接するようなウィービング条件で
溶接し、スパッタ発生量を測定した。溶接条件は、溶接
ワイヤ:YGW−11、ワイヤ直径:1.2mm、ワイ
ヤ送給速度:12m/min、ワイヤ突出し長さ:25
mm、溶接速度:35cm/min、ウィービング幅:
12mm、ウィービング回数:55回/分、第1ピーク
期間の設定電圧の電圧傾斜dV/dt:0.2V/ms、第
2ピーク期間の設定電圧の電圧傾斜dV/dt:−0.23
V/ms、である。比較のため、ピーク期間及びベース
期間が定電流特性とされた溶接用電源による従来の炭酸
ガスパルスアーク溶接、及び、インバータ制御式溶接用
電源によるパルスではない通常の炭酸ガスアーク溶接を
行い、各スパッタ発生量を測定した。
【0045】結果を図2に示す。この発明方法を用いた
炭酸ガスパルスアーク溶接によると、ワイヤ先端溶滴と
溶融池との接触短絡によるスパッタの発生低減に加え
て、溶滴離脱時の溶滴くびれ部分の吹き飛びによるスパ
ッタの発生や、溶滴離脱後の溶接ワイヤ先端での溶滴形
成時の溶滴吹き飛びによるスパッタの発生、及び溶融池
の振動による溶融池からのスパッタの発生をも少なくす
ることができ、従来の炭酸ガスパルスアーク溶接に比
べ、スパッタ発生量を半減することができた。
【0046】ワイヤ送給速度WFR(m/min)を広範
囲に変化させてビードオンプレートにて炭酸ガスパルス
アーク溶接を行い、スパッタ発生量を測定した。溶接条
件は、溶接ワイヤ:YGW−11、ワイヤ直径:1.2
mm、溶接電流:220〜330A、ワイヤ突出し長
さ:20mm、溶接速度:45cm/min、第1ピー
ク期間の設定電圧の電圧傾斜dV/dt(V/ms):dV/
dt=0.035×WFR−0.28、第2ピーク期間の設
定電圧の電圧傾斜dV/dt(V/ms):dV/dt=0.0
95×WFR−1.76、である。比較のため、サイリス
タ制御式溶接用電源によるパルスではない通常の炭酸ガ
スアーク溶接を行い、各スパッタ発生量を測定した。
【0047】結果を図3に示す。この発明方法を用いた
炭酸ガスパルスアーク溶接によると、比較例に比べて、
スパッタ発生量を1/3〜1/6にすることができた。
【0048】次に、ワイヤ径1.2mmでの標準的なワ
イヤ送給速度において設定電圧の電圧傾斜dV/dtを変化
させてビードオンプレートにてこの発明方法を用いた炭
酸ガスパルスアーク溶接を行い、そのときのスパッタ発
生量を測定した。溶接条件は、溶接ワイヤ:YGW−1
1、ワイヤ直径:1.2mm、ワイヤ送給速度:12m
/min、ワイヤ突出し長さ:20mm、溶接速度:4
0cm/min、である。
【0049】結果を図4に示す。第1ピーク期間の設定
電圧の電圧傾斜dV/dtをゼロにし、第2ピーク期間の設
定電圧の電圧傾斜dV/dtを−0.8〜−0.1V/ms
の範囲にした場合には、第1及び第2ピーク期間の電圧
傾斜dV/dtをゼロにしたものに比べて、スパッタの発生
量をより確実に減らすことができた。また、第1ピーク
期間の設定電圧の電圧傾斜dV/dtを0.1V/msに
し、第2ピーク期間の設定電圧の電圧傾斜dV/dtを−
1.10〜−0.20V/msの範囲にした場合には、
同様にしてスパッタの発生量をより確実に減らすことが
できるとともに、確実に溶滴を離脱させて溶滴移行のよ
り安定した炭酸ガスパルスアーク溶接を行うことができ
た。
【0050】
【発明の効果】以上の説明より理解されるように、請求
項1〜5の発明による消耗電極式ガスシールドパルスア
ーク溶接用電源の出力制御方法によると、炭酸ガスパル
スアーク溶接を行うに際し、ワイヤ先端溶滴と溶融池と
の接触短絡によるスパッタの発生の低減に加えて、溶滴
離脱時の溶滴くびれ部分の吹き飛びによるスパッタの発
生や、溶滴離脱後の溶接ワイヤ先端での溶滴形成時の溶
滴吹き飛びによるスパッタの発生、及び溶融池の振動に
よる溶融池からのスパッタの発生をも少なくすることが
でき、これにより母材や溶接トーチノズルに付着したス
パッタを除去する手間が少なくてすみ、また、溶着効率
を高めることができる。また、請求項2の発明による消
耗電極式ガスシールドパルスアーク溶接用電源の出力制
御方法によると、溶滴離脱後の溶接ワイヤ先端での溶滴
形成時の溶滴吹き飛びによるスパッタの発生をより確実
に減らすことができる。さらに、請求項3の発明による
消耗電極式ガスシールドパルスアーク溶接用電源の出力
制御方法によると、確実に溶滴を離脱させて溶滴移行の
より安定した炭酸ガスパルスアーク溶接を行うことがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による方法を実施するための消耗電極
式ガスシールドパルスアーク溶接用電源の一例を示すブ
ロック図である。
【図2】この発明に係る図であって、炭酸ガスパルスア
ーク溶接におけるスパッタ発生量を示す図である。
【図3】この発明に係る図であって、溶接電流とスパッ
タ発生量との関係を示す図である。
【図4】この発明に係る図であって、電圧傾斜dV/dtと
スパッタ発生量との関係を示す図である。
【図5】この発明に係る図であって、炭酸ガスパルスア
ーク溶接におけるアーク電圧・溶接電流の波形を示す図
である。
【図6】この発明に係る図であって、電圧傾斜dV/dtと
第2のピーク電流との関係を示す図である。
【図7】従来の炭酸ガスパルスアーク溶接における溶接
電流波形と溶滴移行の様子とを示す図である。
【図8】くびれ部分が吹き飛ばされて、スパッタが発生
する様子を示す図である。
【図9】溶接ワイヤ先端に形成されている溶滴が吹き飛
ばされて、スパッタが発生する様子を示す図である。
【図10】炭酸ガスアーク溶接と従来の炭酸ガスパルス
アーク溶接方法とにおけるスパッタ発生形態を示す図で
ある。
【図11】炭酸ガスアーク溶接と従来の炭酸ガスパルス
アーク溶接方法とにおけるタイプ別のスパッタ発生頻度
を示す図である。
【図12】ワイヤ先端から溶滴を離脱させるための、ピ
ーク電流とピーク時間との関係を示す図である。
【符号の説明】
1…3相交流電力供給部 2…第1整流回路 3…平滑
用コンデンサ 4…インバータ 5…トランス 6…第
2整流回路 7…リアクトル 8…溶接ワイヤ9…母材
10…溶接電圧検出器 11…電流検出器 12…ピ
ーク電圧設定回路 13…ベース電流設定回路 14…
ピーク期間設定回路 15…ベース期間設定回路 16
…パルス波形選択回路 17…電力制御回路 18…ワ
イヤ送給モータ 21A,21B…三角波発生回路 2
2A,22B…増幅回路 23A,23B…可変抵抗
24…ワイヤ送給速度設定器 25…スイッチ回路 2
6…溶滴離脱検出器 30…制御部 W…溶接ワイヤ
D…溶滴 K…くびれ部分 S…スパッタ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶接ワイヤと母材間にピーク電流とベー
    ス電流とを交互に繰り返し供給し、炭酸ガスまたは炭酸
    ガスを主成分として含む混合ガスをシールドガスとして
    用いたアークを発生させる消耗電極式ガスシールドパル
    スアーク溶接用電源の出力制御方法において、定電圧特
    性の第1のピーク電流を供給する第1ピーク期間と、こ
    の第1ピーク期間中に溶接ワイヤ先端から溶滴が離脱し
    たことを検出したら前記第1ピーク期間に続いて、定電
    圧特性であって前記第1のピーク電流より低い値の第2
    のピーク電流を供給する第2ピーク期間と、これに続い
    て定電流特性のベース電流を供給するベース期間と、を
    順に繰り返す制御を行うことを特徴とする消耗電極式ガ
    スシールドパルスアーク溶接用電源の出力制御方法。
  2. 【請求項2】 前記第2ピーク期間では、溶接ワイヤと
    母材間に印加する電圧として、−0.8〜−0.1V/
    msの範囲で定められた電圧傾斜dV/dtを有する設定電
    圧を設定することを特徴とする請求項1記載の消耗電極
    式ガスシールドパルスアーク溶接用電源の出力制御方
    法。
  3. 【請求項3】 溶接ワイヤと母材間に印加する電圧とし
    て、前記第1ピーク期間では、0.1〜0.3V/ms
    の範囲で定められた電圧傾斜dV/dtを有する設定電圧を
    設定する一方、前記第2ピーク期間では、−1.10〜
    −0.20V/msの範囲で定められた電圧傾斜dV/dt
    を有する設定電圧を設定することを特徴とする請求項1
    記載の消耗電極式ガスシールドパルスアーク溶接用電源
    の出力制御方法。
  4. 【請求項4】 前記電圧傾斜dV/dtを、その下降の傾き
    がワイヤ送給速度の増加につれて小さくなるようにワイ
    ヤ送給速度の関数として設定することを特徴とする請求
    項2記載の消耗電極式ガスシールドパルスアーク溶接用
    電源の出力制御方法。
  5. 【請求項5】 前記電圧傾斜dV/dtを、前記第1ピーク
    期間ではその上昇の傾きがワイヤ送給速度の増加につれ
    て大きくなるようにワイヤ送給速度の関数として設定
    し、前記第2ピーク期間ではその下降の傾きがワイヤ送
    給速度の増加につれて小さくなるようにワイヤ送給速度
    の関数として設定することを特徴とする請求項3記載の
    消耗電極式ガスシールドパルスアーク溶接用電源の出力
    制御方法。
JP7180695A 1995-03-29 1995-03-29 消耗電極式ガスシールドパルスアーク溶接用電源の出力制御方法 Withdrawn JPH08267239A (ja)

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