JP3363789B2 - 懸濁重合体粒子、その製造方法、および電子写真用トナー - Google Patents

懸濁重合体粒子、その製造方法、および電子写真用トナー

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JP3363789B2
JP3363789B2 JP16258198A JP16258198A JP3363789B2 JP 3363789 B2 JP3363789 B2 JP 3363789B2 JP 16258198 A JP16258198 A JP 16258198A JP 16258198 A JP16258198 A JP 16258198A JP 3363789 B2 JP3363789 B2 JP 3363789B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、物性もしくは組成
が粒子中央部と粒子表層部とで異なる懸濁重合体粒子、
そのような懸濁重合体粒子を用いた電子写真用トナー、
並びにそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、様々な工業分野において、樹脂微
粒子に対し高度な品質が要求される傾向にあり、これら
要求に応える技術として、種々の要求に対応した材料を
単独相として、樹脂微粒子中に傾斜構造を持たせた微粒
子の開発が望まれている。具体的には、粒子の熱特性や
光学特性の改良、例えばトナーの定着性および耐ブロッ
キング性の改良や、粒子の表層部と中心部で屈折率をコ
ントロールして反射性、光透過性をコントロールするな
どの要求がある。
【0003】本発明はトナーへの適用に限定されるもの
ではないが、トナーを例に挙げて従来技術を説明する。
電子写真法等に使用されるトナーは、一般に、熱可塑性
樹脂中に着色剤及びその他の添加物を溶融混合した上、
粉砕装置を用いて粉砕し、さらに分級機を用いて所望の
粒径範囲を有する粒子を回収して製造されている。しか
し、融点が低い熱可塑性樹脂を使用すると、粉砕装置内
に原料が融着しやすくなるため、定着温度が低いトナー
を製造しにくいという問題を有していた。また、粉砕法
を使用している以上、過剰に微粉砕された粒子が必ず生
じるため、その分が無駄になってコストが高いだけでな
く、粉砕された粒子は不定形状をなしているため、流動
性に劣るという問題を有していた。
【0004】こうした問題を改善する手段として、懸濁
重合法により、トナー粒子を直接製造することが一部で
提案されている。懸濁重合法は、重合性単量体を全く溶
解しないか、またはほとんど溶解しない水性媒体に重合
性単量体を分散させ、媒体に難溶で重合性単量体に易溶
性の重合開始剤を用い、懸濁した重合性単量体の小さい
液滴内で重合反応を進行させる重合方法であり、分散し
た小滴の形態のまま重合が進行する特色を有する。した
がって、懸濁液中の小滴の粒径をトナー粒径に設定すれ
ば、後で粉砕する必要なしに、トナー粒子が直接製造で
きる可能性を有している。
【0005】上記のような懸濁重合法によりトナー粒子
を製造するのであれば、粉砕工程が不必要であるため、
粉砕法で得られるトナー粒子よりも軟化点を低下させ、
定着温度を下げることが理論的に可能である。しかしな
がら、実際に低軟化点のトナー粒子を製造してみると、
このようなトナー粒子は静電写真現像装置内でトナーに
力が加わったときに融着(ブロッキング)を起こした
り、トナーが変質して画像濃度が変化するなどの問題が
見いだされた。
【0006】上記問題を改善するためには、トナー粒子
の中心部の軟化点を低く、表層部の軟化点を相対的に高
めることが考えられる。このような観点から既に、いく
つかの特許出願がなされている。
【0007】特公平7−82248号公報には、重合性
単量体に低軟化点ワックス等を添加した単量体組成物
を、前記低軟化点ワックスの軟化点よりも高い温度に加
熱された水性媒体中に分散し、この水性媒体中に、非水
溶性の重合開始剤を添加することにより、重合開始剤を
分散粒子表面の単量体組成物中に溶解させるトナー製造
方法が提案されている。そしてこの製造方法によれば、
中心部に低軟化点ワックスが含まれ、表層部では低軟化
点ワックスが含まれないトナー粒子が製造されるため、
耐ブロッキング性が良好で、しかも定着温度が低いトナ
ーが実現できるとされている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような製造方法によると、懸濁粒子の中心部ではワック
ス中に重合性単量体が取り込まれて隔離された状態にな
るため、これら取り込まれた重合性単量体へのラジカル
重合が困難であり、非重合単量体が多くトナー粒子の中
に残留し、トナー定着時に臭気が発生する欠点があっ
た。
【0009】また、特開平9−230630号公報に
は、第1の重合性単量体および第1の重合開始剤を含む
単量体組成物を、水性媒体中に分散して相対的に軟化点
が低いコア粒子を形成した後、同じ水性媒体中に、第2
の重合性単量体および第2の重合開始剤を含む単量体組
成物を分散することにより、前記コア粒子の外周に相対
的に軟化点が高い第2の樹脂層をシェルとして付着さ
せ、明瞭に分かれた2層構造を有するトナー粒子を得る
方法が提案されている。しかし、この方法では、2段階
に分けて懸濁重合を行うため、工程が複雑で製造コスト
がかかり過ぎる欠点を有していた。
【0010】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、中央部と表層部で組成が異なる樹脂粒子を簡単な1
段階の懸濁重合により得ることができ、しかも非重合単
量体の発生を押さえることができる懸濁重合体粒子およ
び電子写真用トナーを提供することを課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明に係る懸濁重合体粒子は、後述する懸濁重合
体粒子の製造方法によって形成された重合体粒子であっ
て、該重合体粒子の重合度が粒子中央部から粒子表層部
に向かって漸次増加していることを特徴としている。こ
のように、重合度が中央部から表層部へかけて漸次増加
していることにより、種々の用途に対応した機能を発揮
することができる。また、本発明に係る懸濁重合体粒子
においては、前記粒子表層部では前記粒子中央部よりも
架橋密度が高いことが好ましい。
【0012】本発明に係る電子写真用トナーは、上述し
た懸濁重合体粒子が用いられていることを特徴としてい
る。このようなトナー粒子によれば、軟化点が相対的に
高い表層部により耐ブロッキング性を高くできると共
に、軟化点が相対的に低い中央部を有することにより定
着温度が低いトナーが実現できる。
【0013】本発明に係る懸濁重合体粒子の製造方法
は、重合性単量体および油溶性重合開始剤を含む単量体
組成物を、水溶性重合開始剤および/または第2の油溶
性重合開始剤を含有する水性媒体中に懸濁させて重合さ
せる製造方法であって、前記油溶性重合開始剤(以下、
「第1油溶性重合開始剤」という)の10時間半減期温
度が、前記水溶性重合開始剤および/または前記第2の
油溶性重合開始剤(以下、「第2油溶性重合開始剤」と
いう)の10時間半減期温度よりも20℃以上高いこと
を特徴としている。
【0014】これにより、前記水性媒体中に分散した懸
濁粒子の中央部では前記重合性単量体を主に第1油溶性
重合開始剤の作用により重合させる一方、前記懸濁粒子
の表層部では、前記重合性単量体を主に水溶性重合開始
剤および/または第2油溶性重合開始剤の作用により重
合させることができる。それとともに、懸濁粒子中央部
における重合反応よりも、粒子表層部における重合反応
を先行させ、粒子中央部と粒子表層部の重合体の重合度
をコントロールすることが可能である。このような懸濁
重合体粒子の製造方法によれば、粒子中央部から粒子表
層部に向かって重合度が漸次増加している樹脂微粒子が
得られ、単量体組成物と水性媒体とにおける重合開始剤
の組み合わせを適宜選択することにより、所望の特性を
有する重合体粒子を簡単かつ低コストで製造することが
可能である。
【0015】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態を詳細に
説明する。本発明に係る懸濁重合体粒子は、懸濁重合法
によって形成された粒子であって、該重合体粒子の重合
度が、粒子中央部から粒子表層部に向かって漸次増加し
ていることを特徴としている。また、重合度の他に、物
性もしくは組成が粒子中央部から粒子表層部へかけて連
続的に変化していてもよい。物性としては、重合体の分
子量、軟化点、ガラス転移温度などが挙げられ、組成と
しては、共重合した場合の重合性単量体組成比や共重合
の形態、すなわち、ランダム共重合、グラフト共重合、
交互共重合などを意味する。このように、無段階に重合
度が変化する樹脂粒子は、従来の懸濁重合法または乳化
重合法では製造不可能であり、様々な用途において従来
の単一組成または2層構造の樹脂粒子では得られなかっ
た格別の効果が得られる。
【0016】本発明の懸濁重合体粒子の用途としては、
電子写真用トナーの粒子のみならず、例えば液晶パネル
用のスペーサー、抗原抗体反応用の反応担体、機械的特
性を改良するために樹脂に添加されるフィラー、樹脂フ
ィルムのブロッキング防止剤、フィルムの滑り性付与
剤、紙の走行安定剤、化粧品用添加剤、樹脂の溶融特性
制御剤、樹脂の収縮防止剤、トナー用添加剤などが挙げ
られるが、これらに限定されることはない。
【0017】懸濁重合体粒子をトナー粒子として使用す
る場合には、重合体の重合度が、粒子中央部から粒子表
層部へかけて少なくとも一部において漸次増加するよう
に構成されていることが好ましい。
【0018】このような傾斜構造を有する懸濁重合体粒
子は、重合性単量体および第1油溶性重合開始剤を含む
単量体組成物を、水性媒体中に分散し、水性媒体中に水
溶性重合開始剤および/または第2油溶性重合開始剤を
添加することにより、水性媒体中に分散した粒子の中央
部では重合性単量体を主に第1油溶性重合開始剤の作用
により重合させる一方、粒子の表層部では、重合性単量
体を主に水溶性重合開始剤および/または第2油溶性重
合開始剤の作用により重合させることにより得られる。
ここで、第1油溶性重合開始剤の10時間半減期温度
は、水溶性重合開始剤および/または第2油溶性重合開
始剤の10時間半減期温度よりも20℃以上高くされて
いる。なお、油溶性重合開始剤とは、室温にて水100
gに対する溶解度が0.3g以下である重合開始剤をい
い、水溶性重合開始剤とは、室温にて水100gに対す
る溶解度が1.5g以上である重合開始剤をいうものと
定義する。
【0019】重合性単量体としては、スチレン、o−メ
チルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、
3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,
4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−
tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレ
ン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレ
ン、p−n−デシルスチレン等のスチレンおよびスチレ
ン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチ
レン等のエチレン不飽和モノオレフィン類;塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハ
ロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、
ベンゾエ酸ビニル等の有機酸ビニルエステル類;メタク
リル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メ
タクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタク
リル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリ
ル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メ
タクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチ
ル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル
酸およびその誘導体;アクリル酸、アクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸
イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オク
チル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキ
シル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエ
チル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸およびその誘
導体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、
ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニ
ルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプ
ロペニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロー
ル、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、
N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;ビニルナ
フタレン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、
アクリルアミド等が例示できるが、これらのみに限定は
されない。
【0020】前記重合性単量体は、単独で使用してもよ
いし、目的に応じて共重合体を形成するために複数種を
使用してもよい。前記重合性単量体の中でも、スチレ
ン、スチレン誘導体、メタクリル酸またはメタクリル酸
誘導体等のメタクリル系重合性単量体、アクリル酸また
はアクリル酸誘導体等のアクリル系重合性単量体から選
択される1種または2種以上の混合物を使用した場合に
は、トナーの現像濃度が高い等の理由により現像特性に
優れ、かつ、機械的ストレスに対する耐久性に優れてい
ることから好適であり、その中でも特に、スチレン系重
合体の単独または混合物が最適である。
【0021】単量体組成物に添加される第1油溶性重合
開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメ
チルバレロニトリル)[10時間半減期温度:51
℃]、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジ
メチルバレロニトリル[同:30℃]、1,1’−アゾ
ビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)[同:8
8℃]、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AI
BN)[同:65℃]等のアゾ系油溶性重合開始剤また
はジアゾ系油溶性重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイ
ド[同:72℃]、メチルエチルケトンパーオキサイド
[同:105℃]、キュメンハイロドパーオキサイド
[同:151℃]、ラウロイルパーオキサイド[同:6
1℃]等の過酸化物系重合開始剤等から選択される1種
または2種以上の混合物が例示できるが、これらのみに
限定されない。2種以上を混合して使用する場合には、
重合体の分子量および分子量分布を様々に制御したり、
反応時間を任意に調整することができる。
【0022】第1油溶性重合開始剤の単量体組成物への
添加量は、重合性単量体100重量部に対して0.1〜
10重量部であることが好ましく、より好ましくは4〜
7重量部、最適には5〜6重量部である。油溶性重合開
始剤が0.1重量部よりも少ないと、懸濁粒子の内部に
残留する重合性単量体量が増したり、重合体の分子量が
大きくなりすぎて好ましくない。一方、油溶性重合開始
剤が10重量部よりも多いと、懸濁粒子の内部において
重合速度が増加し、重合反応が不均一に生じたり、分子
量が低下しすぎるため、好ましくない。
【0023】水性媒体としては、水、イオン交換水、蒸
留水等の水系溶媒が好適である。水性媒体には、懸濁安
定剤、界面活性剤等の懸濁助剤、難水溶性無機微粒子等
の分散剤を添加してもよい。懸濁安定剤としては、カル
ボキシメチルセルロースやポリビニルアルコール等の有
機化合物、硫酸カルシウム、第三リン酸カルシウム等の
難水溶性無機粒子、銅や鉄等の金属微粉末などが使用で
きる。水性媒体への懸濁安定剤の添加量は、水性媒体1
00重量部に対して、0.01〜10重量部であること
が好ましい。懸濁助剤としては、ドデシルスルホン酸ナ
トリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の
界面活性剤が好適である。懸濁助剤の水性媒体への添加
量は、水性媒体100重量部に対して、0.005〜
0.05重量部であることが好ましい。
【0024】水溶性重合開始剤としては、過硫酸アンモ
ニウム[10時間半減期温度:62℃]、過硫酸カリウ
ム[同:57℃]等の他、2,2’−アゾビス(2−メ
チルプロピオンアミド)ジヒドレート[同:88℃]等
のアゾ系水溶性開始剤またはジアゾ系水溶性重合開始剤
等から選択される1種または2種以上の混合物が例示で
きるが、これらに限定はされない。
【0025】第2油溶性重合開始剤としては、前述した
油溶性重合開始剤から選択される1種または2種以上が
使用できるが、そのうちの少なくとも一種が第1油溶性
重合開始剤とは異なっていることが望ましい。ただし、
水溶性重合開始剤と第2油溶性重合開始剤とを組み合わ
せて使用する場合には、第2油溶性重合開始剤は第1油
溶性重合開始剤と同じものであってもよい。
【0026】水溶性重合開始剤および第2油溶性重合開
始剤の水性媒体への合計添加量は0.1〜5重量%であ
ることが好ましく、この範囲であれば、懸濁粒子の表層
部における重合度が適当である。より好ましくは0.5
〜3重量%である。
【0027】第1油溶性重合開始剤、水溶性重合開始
剤、第2油溶性重合開始剤の少なくとも1つを3価以上
の重合開始剤とし、他の重合開始剤を2価としてもよ
い。こうすることにより、懸濁重合体粒子の中央部また
は表層部の一方のみに架橋構造を導入することができ、
導入した部分での物理的強度を高めることができる。特
にトナー粒子に適用する場合には、水溶性重合開始剤を
3価以上の重合開始剤とし、トナー粒子の表層部のみに
3次元架橋構造を導入すると、表層部の物理的強度を高
めて耐ブロッキング性等を高めることが可能である。
【0028】第1油溶性重合開始剤の10時間半減期温
度A℃、水溶性重合開始剤の10時間半減期温度B℃、
第2油溶性重合開始剤の10時間半減期温度C℃とした
場合、A≧B+20かつA≧C+20を同時に満たすこ
とが好ましい。なお、本発明における油溶性重合開始剤
の10時間半減期温度とは、トルエン溶液としてその温
度に保持された場合に、重合開始剤量が分解により半減
する時間が10時間になる温度をいい、水溶性重合開始
剤の10時間半減期温度とは、水溶液としてその温度に
保持された場合に、重合開始剤量が分解により半減する
時間が10時間になる温度をいうものと定義する。
【0029】10時間半減期温度が低いほど、低温でも
重合性単量体の重合を促進する作用が強いことを意味す
る。したがって、第1油溶性重合開始剤の10時間半減
期温度が水溶性重合開始剤および/または第2油溶性重
合開始剤のそれよりも高いことにより、懸濁粒子の内部
での第1油溶性重合開始剤による重合速度を相対的に抑
制し、懸濁粒子の表層部での水溶性重合開始剤および/
または第2油溶性重合開始剤による重合速度とのバラン
スを取ることが可能である。すなわち、第1油溶性重合
開始剤の10時間半減期温度を相対的に高くするほど、
懸濁粒子の表層部に含まれる重合性単量体が水溶性重合
開始剤および/または第2油溶性重合開始剤によって重
合させられる割合を高めることができるから、他の条件
が同じであれば、懸濁重合体粒子の粒子中央部と粒子表
層部との重合度差が拡大する。
【0030】本発明の方法では、単量体組成物と水性媒
体とをホモミキサー、ホモジナイザー等の高剪断力混合
装置を使用して混合し、懸濁させる。この際、攪拌速
度、攪拌時間、攪拌温度を調整することにより、所定の
粒子径が得られるようにする。水溶性重合開始剤は、予
め水性媒体に添加されていてもよいが、懸濁粒子を形成
してから重合が進行するように、懸濁後に水性媒体に添
加するようがよい。
【0031】単量体組成物と水性媒体との混合割合は、
重量比で1〜75:100の範囲にあることが好まし
く、より好ましくは10〜50:100である。1:1
00よりも単量体組成物が少ないと生産効率が悪く、7
5:100よりも単量体組成物が多いと懸濁粒子を均一
に形成しにくくなる。攪拌条件は限定されないが、7μ
m程度の懸濁粒子を形成するのであれば、10000〜
15000rpmで3〜5分程度の条件が好適である。
【0032】次に、懸濁液中に水溶性重合開始剤および
/または第2油溶性重合開始剤を添加し、一定時間に亘
って適当な温度で懸濁重合を行わせる。この時の懸濁重
合温度は、各重合開始剤の10時間半減期温度を考慮し
て決定されるが、一般的には50℃〜90℃程度の温度
が選択される。ただし、必要であれば50℃以下でもよ
い。特に、懸濁重合温度は、反応前期では重合速度を抑
えて均一に反応が進むように配慮しつつ、反応後期では
重合を完了させるために、段階的に攪拌温度を上昇する
ことがより好ましく、攪拌開始直後は50〜70℃と
し、その温度から最高85〜90℃までに上昇させるよ
うにするとよい。懸濁重合時間は、一般的には3〜10
時間程度とされる。懸濁重合体粒子は、反応後、洗浄、
濾過、および乾燥して使用に供される。
【0033】上記のような懸濁重合を行うことにより、
懸濁粒子の内部では主に第1油溶性重合開始剤により重
合性単量体が重合していくのに対し、懸濁粒子の表層部
では、水性媒体に含まれる水溶性重合開始剤および/ま
たは第2油溶性重合開始剤によって主に重合性単量体が
重合していく。懸濁粒子の表層部においても、第1油溶
性重合開始剤は含まれているが、懸濁粒子の表層部では
重合促進作用がより強い水溶性重合開始剤および/また
は第2油溶性重合開始剤により支配的に重合が進行す
る。これにより、粒子表層部では粒子中央部よりも重合
性単量体の重合度が高くなる結果となり、しかも水溶性
重合開始剤および/または第2油溶性重合開始剤は粒子
表面のみならず表面からある程度の深さまで進入するた
め、粒子中央部から粒子表層部に向かって重合度が無段
階的に高くなる懸濁重合体粒子が得られる。
【0034】懸濁重合体粒子をトナーとして使用する場
合には、トナーの耐ブロッキング性を向上し、樹脂強度
を高めて耐久性を向上するために、単量体組成物にジビ
ニルベンゼン等の架橋剤を0.03〜0.2重量%添加
してもよいし、その他に、電荷制御剤、着色性顔料、着
色性染料、ワックス、着色性顔料分散剤、磁性粉、帯電
性に寄与する極性モノマーや極性ポリマーをそれぞれ添
加してもよい。
【0035】電荷制御剤としては、カルボキシル基を有
する有機化合物の金属錯体、含窒素基を有する有機化合
物の金属錯体、含金属染料、主鎖または側鎖にスルホン
酸基を有する化合物およびその塩、第4級アンモニウム
塩等の極性官能基を有する高分子化合物等を挙げること
ができ、単量体組成物への好ましい添加量は0.5〜5
重量%である。
【0036】着色性顔料としては、カーボンブラック、
フタロシアニン系顔料、ローダミンレーキ顔料、アゾレ
ーキ顔料など、一般のトナーに使用されている顔料であ
ればいずれも使用可能であり、単量体組成物への好まし
い添加量は3〜30重量%である。特に、銅フタロシア
ニン系顔料のような含金属顔料は、電荷制御剤としての
作用も有するため、好ましい。
【0037】ワックスとしては、パラフィンワックスな
どが使用でき、単量体組成物への好ましい添加量は1〜
40重量%である。ワックスを粒子中に添加することに
より、耐オフセット性が改善できる。ワックスを添加し
た場合、懸濁重合温度をワックスの融点以上に設定して
おく必要がある。
【0038】また、懸濁重合体粒子をトナー粒子として
使用する場合には、トナー粒子の中心部における数平均
分子量が0.5万〜3万であり、表層部における数平均
分子量は、中央部数平均分子量の1.1〜3倍程度であ
ると、耐ブロッキング性および低温定着性を改善する上
で好適である。
【0039】さらに、トナー粒子の粒径は3〜15μm
程度であることが好ましく、より好ましくは5〜15μ
mとされる。また、本発明によるトナー粒子は懸濁重合
の特性によりほぼ球状となるので、流動性が良好であ
る。
【0040】
【実施例】[実施例1] スチレン:1700gおよびアクリル酸n−ブチル:3
00gを混合し、さらに1,1’−アゾビス(シクロヘ
キサン−1−カルボニトリル)[和光純薬社製「V−4
0」/10時間半減期温度:88℃]:25gを添加
し、攪拌して溶解させることにより、単量体組成物を調
製した。一方、蒸留水:4000gにリン酸三カルシウ
ム(太平化学産業社製:TCP−10):4000gを
加えて攪拌し、さらにドデシル硫酸ナトリウム:0.8
gを加えて溶解させ、水性媒体を調製した。
【0041】上記単量体組成物および水性媒体を混合
し、特殊機化工業社製の造粒機「HOMOMIXER」
により10000rpm×5分の条件で攪拌し、懸濁粒
子を形成させた。次に、この懸濁液を重合槽に移し、
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)[10時間半減期温度:51℃]:25gを添加
し、攪拌した。
【0042】重合槽において、60℃で4時間、80℃
で2時間、さらに90℃で4時間、懸濁液を攪拌しなが
ら加熱し、室温まで冷却した後、硝酸を1kg添加し
た。内容物を遠心脱水機にかけ、水分のほとんどを除去
した後、真空乾燥機により水分が0.1%になるまで乾
燥させた。得られた樹脂粒子の平均粒径はvol50
%:10.5μmであった。
【0043】次に、得られた懸濁重合体粒子の表層部か
ら中央部にかけての分子量をそれぞれ測定した。テトラ
ヒドロフラン/蒸留水(体積比50/50)の混合溶液
50mlに、懸濁重合体粒子5gを加え、超音波を1分
間かけて分散させ、粒子の表層部のみを溶解した上で濾
過を行い、濾液を回収した。この濾液を乾燥させ、得ら
れた樹脂成分を後記のゲルパーメーションクロマトグラ
フィーにかけて表層部分子量Xを測定した。
【0044】濾膜上に残留した粒子(平均粒径vol5
0%:8.3μm)を、テトラヒドロフラン/蒸留水
(体積比50/50)の混合溶液50mlに5g加え、
超音波を1分間かけて分散させた上で濾過を行い、濾液
を回収した。この濾液を乾燥させ、得られた樹脂成分を
後記のゲルパーメーションクロマトグラフィーにかけて
中間部分子量Yを測定した。
【0045】濾膜上に残留した粒子(平均粒径vol5
0%:6.5μm)にテトラヒドロフラン100を50
ml加えて、粒子を完全に溶解させ、さらに溶媒を蒸発
させ、得られた樹脂成分をゲルパーメーションクロマト
グラフィーにかけて中央部分子量Zを測定した。その結
果、以下の結果が得られた。
【0046】 平均粒子径(μm) 数平均分子量(×104) 表層部分子量X 10.5 1.5 中間部分子量Y 8.3 1.3 中央部分子量Z 6.5 1.0
【0047】ゲルパーメーションクロマトグラフィーに
よる数平均分子量の測定は次の通りに行った。試料をテ
トラヒドロフランに溶解して8mg/mlの溶液にし、
この溶液の0.5mlを、25℃においてテトラヒドロ
フランを1ml/minの流速で流しているカラムに注
入した。カラムとしては、特に103〜2×106の分子
量領域を測定するために、市販のポリスチレンゲルカラ
ム(昭和電工株式会社製Shodex KF-806L)を2本組み合
わせて行った。試料の分子量分布は、数種の単分散ポリ
スチレン標準試料により作成した検量線の対数値とカウ
ント数との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリ
スチレン試料としては、分子量が6×102、2.1×
103、4×103、1.75×104、5.1×104
1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×
106、4.48×106のものを用いた。また、検出器
としては、UV検出器を用いた。
【0048】[比較例1]2,2’−アゾビス(2,4
−ジメチルバレロニトリル)を添加しない点以外は実施
例1と全く同じ方法により懸濁重合体粒子を得た。得ら
れた樹脂粒子の平均粒径はvol50%:10.3μm
であった。次に、得られた懸濁重合体粒子の表層部、中
間部および中央部の分子量を実施例1と同じ方法により
それぞれ測定した。結果は以下の通りであった。
【0049】 平均粒子径(μm) 数平均分子量(×104) 表層部分子量X 10.3 1.4 中間部分子量Y 9.3 1.4 中央部分子量Z 8.0 1.4
【0050】[実施例2]スチレン:1700gおよび
アクリル酸n−ブチル:300gを混合し、さらにパラ
フィンワックス(日本精蝋社製「HNP−1」融点66
℃):800g、および1,1’−アゾビス(シクロヘ
キサン−1−カルボニトリル)[和光純薬社製「V−4
0」/10時間半減期温度:88℃]:25gを添加
し、70℃に加熱してパラフィンワックスを溶解した
上、攪拌することにより、単量体組成物を調製した。一
方、蒸留水:4000gにリン酸三カルシウム(太平化
学産業社製:TCP−10):4000gを加えて攪拌
し、さらにドデシル硫酸ナトリウム:1.6gを加えて
溶解させ、水性媒体を調製し、70℃に加温した。
【0051】上記単量体組成物および水性媒体を70℃
に保ちつつ混合し、特殊機化工業社製の造粒機「HOM
OMIXER」により10000rpm×5分の条件で
攪拌し、懸濁粒子を形成した。次に、この懸濁液を重合
槽に移し、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン
アミド)ジハイドロクロライド[和光純薬社製「V−5
0」/10時間半減期温度:58℃]:10gを添加
し、攪拌した。
【0052】重合槽において、50℃で4時間、80℃
で2時間、さらに90℃で4時間、懸濁液を攪拌しなが
ら加熱し、室温まで冷却した後、硝酸を1kg添加し
た。内容物を遠心脱水機にかけ、水分のほとんどを除去
した後、真空乾燥機により水分が0.1%になるまで乾
燥させた。得られた樹脂粒子の平均粒径はvol50
%:11.5μmであった。得られた懸濁重合体粒子の
表層部、中間部および中央部の分子量を実施例1と同じ
方法によりそれぞれ測定し、以下の結果が得られた。
【0053】 平均粒子径(μm) 数平均分子量(×104) 表層部分子量X 11.5 1.8 中間部分子量Y 9.3 1.4 中央部分子量Z 7.5 1.0
【0054】[実施例3]スチレン:1700gおよび
アクリル酸n−ブチル:300gを混合し、電荷制御剤
(保土谷化学社製「T−4−48」)、カーボンブラッ
ク#40(三菱化学社製)、および1,1’−アゾビス
(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)[和光純薬社
製「V−40」/10時間半減期温度:88℃]:50
gを添加し、攪拌して溶解させることにより、単量体組
成物を調製した。
【0055】一方、蒸留水:4000gにリン酸三カル
シウム(太平化学産業社製:TCP−10):4000
gを加えて攪拌し、さらにドデシル硫酸ナトリウム:
0.8gを加えて溶解させ、水性媒体を調製した。
【0056】上記単量体組成物および水性媒体を混合
し、特殊機化工業社製の造粒機「HOMOMIXER」
により10000rpm×5分の条件で攪拌し、懸濁粒
子を形成した。次に、この懸濁液を重合槽に移し、2,
2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)
[10時間半減期温度:51℃]:10gを添加し、攪
拌した。
【0057】重合槽において、60℃で4時間、80℃
で2時間、さらに90℃で4時間、懸濁液を攪拌しなが
ら加熱し、室温まで冷却した後、硝酸を400g添加し
た。内容物を遠心脱水機にかけ、水分のほとんどを除去
した後、真空乾燥機により水分が0.1%になるまで乾
燥させた。得られた樹脂粒子の平均粒径はvol50
%:10.5μmであった。次に、得られた懸濁重合体
粒子の表層部、中間部および中央部の分子量を実施例1
と同じ方法によりそれぞれ測定し、以下の結果が得られ
た。
【0058】 平均粒子径(μm) 数平均分子量(×104) 表層部分子量X 9.8 1.2 中間部分子量Y 6.2 0.9 中央部分子量Z 5.4 0.8
【0059】[比較例2]2,2’−アゾビス(2,4
−ジメチルバレロニトリル)を添加しない点以外は実施
例3と全く同じ方法により懸濁重合体粒子を得た。得ら
れた樹脂粒子の平均粒径はvol50%:10.7μm
であった。次に、得られた懸濁重合体粒子の表層部およ
び中央部の分子量を実施例1と同じ方法によりそれぞれ
測定し、以下の結果を得た。
【0060】 平均粒子径(μm) 数平均分子量(×104) 表層部分子量X 10.7 0.9 中間部分子量Y 9.3 0.9 中央部分子量Z 8.2 0.9
【0061】[実施例4]スチレン:1700gおよび
アクリル酸n−ブチル:300gを混合し、さらに電荷
制御剤(オリエント化学社製「E−81」):50g、
シアン顔料(大日本インキ社製「KET−118」):
200g、パラフィンワックス(日本精蝋社製「HNP
−1」融点66℃):800g、および1,1’−アゾ
ビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)[和光純
薬社製「V−40」/10時間半減期温度:88℃]:
25gを添加し、70℃に加熱してパラフィンワックス
を溶解した上、攪拌することにより、単量体組成物を調
製した。
【0062】一方、蒸留水:4000gにリン酸三カル
シウム(太平化学産業社製:TCP−10):4000
gを加えて攪拌し、さらにドデシル硫酸ナトリウム:
0.8gを加えて溶解させ、水性媒体を調製し、70℃
に加温した。
【0063】上記単量体組成物および水性媒体を70℃
に保ちつつ混合し、特殊機化工業社製の造粒機「HOM
OMIXER」により10000rpm×5分の条件で
攪拌し、懸濁粒子を形成した。次に、この懸濁液を重合
槽に移し、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン
アミド)ジハイドロクロライド[和光純薬社製「V−5
0」/10時間半減期温度:58℃]:10gを添加
し、攪拌した。
【0064】重合槽において、50℃で4時間、80℃
で2時間、さらに90℃で4時間、懸濁液を攪拌しなが
ら加熱し、室温まで冷却した後、硝酸を400g添加し
た。内容物を遠心脱水機にかけ、水分のほとんどを除去
した後、真空乾燥機により水分が0.1%になるまで乾
燥させた。得られた樹脂粒子の平均粒径はvol50
%:11.5μmであった。得られた懸濁重合体粒子の
表層部、中間部および中央部の分子量を実施例1と同じ
方法によりそれぞれ測定し、以下の結果を得た。
【0065】 平均粒子径(μm) 数平均分子量(×104) 表層部分子量X 14.8 1.8 中間部分子量Y 8.3 1.4 中央部分子量Z 6.5 1.2
【0066】[トナーの保存性評価試験]実施例3,4
および比較例2で得られたトナー粒子の各10gを、乾
燥状態で35mmPPサンプル管に入れ、解放状態で2
4時間×50℃の加熱処理を行った。処理後のトナー粒
子の凝集傾向を◎:凝集なし、○:わずかに凝集有り、
△:明らかに凝集有り、×:使用できないほどに凝集有
り、の4段階に評価した。その結果を表1に示す。
【0067】[トナーの耐久性評価試験]実施例3,4
および比較例2で得られたトナー粒子の各60gと、フ
ェライトキャリア(パウダーテック社製「FH97−2
535」):1140gとを、V型混合機を用いて30
分間攪拌し、電子写真用2成分現像剤を調製し、市販の
複写機により画像出しを行った。定着速度は150mm
/秒とした。結果を表1に示す。なお、表中「ID」と
は画像濃度(マクベス社製「R−914」にて測定)を
意味し、「BG」とは非画像部濃度(マクベス社製「R
−914」にて測定)を意味する。
【0068】
【表1】
【0069】上表に示すとおり、本発明の実施例3,4
のトナー粒子によれば、中心部を低分子量にする一方、
表層部を相対的に高重合度および高分子構造にしたた
め、良好な定着性を有する画像濃度の高い画像が得ら
れ、耐ブロッキング性等の保存性に優れ、しかも長期使
用後にも複写濃度の劣化が生じず耐久性が優れていた。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る懸濁
重合体粒子は、重合体の重合度が粒子中央部から粒子表
層部へかけて漸次増加していることを特徴としているも
のであるから、種々の用途に対応した機能を発揮するこ
とができる。
【0071】また、本発明に係る電子写真用トナーは、
重合体の重合度が粒子中央部から粒子表層部へかけて漸
次増加するしている粒子を含有するものであるから、軟
化点が相対的に高い表層部により耐ブロッキング性を高
めると共に、軟化点が相対的に低い中央部を有すること
により定着温度を低下することができる。
【0072】さらに、本発明に係る懸濁重合体粒子の製
造方法は、重合性単量体および第1油溶性重合開始剤を
含む単量体組成物を、水性媒体中に分散し、前記水性媒
体中に水溶性重合開始剤および/または第2油溶性重合
開始剤を添加することにより、前記水性媒体中に分散し
た懸濁粒子の中央部では前記重合性単量体を主に第1油
溶性重合開始剤の作用により重合させる一方、前記懸濁
粒子の表層部では、前記重合性単量体を主に水溶性重合
開始剤および/または第2油溶性重合開始剤の作用によ
り重合させることができる。さらに、この懸濁重合体粒
子の製造方法では、前記油溶性重合開始剤の10時間半
減期温度は、前記水溶性重合開始剤および/または前記
第2の油溶性重合開始剤の10時間半減期温度よりも2
0℃以上高いから、重合度が粒子中央部から粒子表層部
に向かって漸次増加している樹脂微粒子を簡単かつ低コ
ストに製造することが可能である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−4755(JP,A) 特開 平10−20554(JP,A) 特開 平7−152198(JP,A) 特開 平6−324518(JP,A) 特開 平5−204187(JP,A) 特開 平5−197210(JP,A) 特開 平4−181950(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 9/08

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合性単量体および油溶性重合開始剤を
    含む単量体組成物を、水溶性重合開始剤および/または
    第2の油溶性重合開始剤を含有する水性媒体中に懸濁さ
    せて重合させる懸濁重合体粒子の製造方法であって、 前記油溶性重合開始剤の10時間半減期温度が、前記水
    溶性重合開始剤および/または前記第2の油溶性重合開
    始剤の10時間半減期温度よりも20℃以上高いことを
    特徴とする懸濁重合体粒子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記水溶性重合開始剤および/または第
    2の油溶性重合開始剤として3価以上の重合開始剤を用
    いることを特徴とする請求項1に記載の懸濁重合体粒子
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の懸濁重合体粒
    子の製造方法によって形成された重合体粒子であって、
    重合度が粒子中央部から粒子表層部に向かって漸次増加
    していることを特徴とする懸濁重合体粒子。
  4. 【請求項4】 前記粒子表層部では前記粒子中央部より
    も架橋密度が高いことを特徴とする請求項3記載の懸濁
    重合体粒子。
  5. 【請求項5】 請求項3または4に記載の懸濁重合体粒
    子が用いられていることを特徴とする電子写真用トナ
    ー。
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