JP3361977B2 - 高周波インバータ装置 - Google Patents

高周波インバータ装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 本発明は、ハーフブリッジ型イ
ンバータ又はプッシュプル型インバータなどの比較的長
いインバータ交流線のインダクタンスを低減すると共
に、静電及び漏れ磁束によるノイズ輻射を低減できるイ
ンバータ装置に関する。
【0002】
【従来技術】 一般に、小型のX線システムに採用され
る方式は、1個のX線ヘッド内に、X線管と一緒に高電
圧発生装置と、X線管のフィラメント加熱用トランスと
を絶縁油で封入したモノタンク型のものである。
【0003】 図2に示す外科用Cアームといわれるモ
ノタンク型の高周波インバータ方式X線システムは、高
電圧発生のための高電圧用インバータ10とフィラメン
ト加熱のための加熱用インバータ13が一体の筐体に収
められたモノタンク本体1と、その本体に取り付けられ
た可動Cアーム2と、Cアーム2の一端に取り付けられ
たモノタンクヘッドと言われるX線発生部3と、X線発
生部3と対向する部分のCアーム2に取り付けられたイ
メージインテンシファイア管(以下II管という)4か
らなる。II管4は患者を透過したX線を電気信号に変
換して、テレビ(図示せず)でモニタする。
【0004】 図3はこの従来のX線システムの概略回
路を示す。X線発生部3内にX線管5と、高電圧トラン
ス6と中性点0を接地した高電圧整流回路7、高電圧検
出抵抗8、加熱トランス9が絶縁油と共に収容されてい
る。本体1の高電圧用インバータ10と高電圧トランス
6は2本の電線11、12で接続され、プッシュプルイ
ンバータ構成の場合、加熱用インバータ13と加熱トラ
ンス9は3本の電線14,15、16で接続される。通
常、これらの電線は余分なインダクタンスが生じないよ
うによく撚り合わされる。
【0005】 X線管5のアノード電圧を検出する高電
圧検出抵抗8の電圧検出信号は、シールド線17を通し
て高電圧用インバータ10の制御回路19に印加され、
高電圧用インバータ10の半導体スイッチであるFET
20,21を制御して高電圧を安定化する。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】 しかしながら、X線システムのそれらイ
ンバータ線は数mが普通であるため、インバータの交流
線11と12,14〜16がそれぞれ撚ってあっても、
かなりの配線インダクタンスLmが残り、回路動作上好
ましくない影響を与える。例えば、高周波動作の場合に
はインダクタンスによるかなりの電圧降下を生じたり、
スイッチング素子に対するサージ電圧が増加する。ま
た、信号線17に対してもノイズを与えるために、イン
バータ10のFET20,21を誤動作させることがあ
る。
【0007】 また、長い高周波交流線11と12,1
4〜16はII管、モニタテレビなど周辺の機器に輻射
ノイズを与えて、自己のシステム、または周囲の医療器
の誤動作を引き起こす危険がある。
【0008】 したがって、この発明はこれらの問題を
解決することのできる接続ケーブルを備えたインバータ
装置を提供することを主目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】 この課題を解決するた
め、請求項1に記載の発明は、直流電源に接続された高
周波インバータ装置であって、直流的に安定な電位に接
続された第1の出力端子と、変動電位である第2の出力
端子とを備え、これら第1と第2の出力端子に接続され
たケーブルを通して離れた負荷の入力端子に電力を供給
する高周波インバータ装置において、そのケーブルは心
線と、この心線の周りを囲むように同心的に配置された
外皮導体とからなり、この外皮導体は第1の出力端子に
接続され、この心線は第2の出力端子に接続され、その
外皮導体を直流的に安定電位の給電線として用い、高周
波の負荷電流を外皮導体と心線とで平行して流すことに
より負荷へ高周波電力を供給することを特徴とする高周
波インバータ装置を提供するものである。
【0010】 この課題を解決するため、請求項2に記
載の発明は、請求項1の発明において、高周波インバー
タ装置にはコンデンサと半導体スイッチとからなるハー
フブリッジ型インバータを備えることを特徴とする高周
波インバータ装置を提供するものである。
【0011】 この課題を解決するため、請求項3に記
載の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、第
1の出力端子は外皮導体を通してトランスの1次巻線の
一端が接続されている負荷の第1の入力端子と接続さ
れ、第2の出力端子は心線を通して前記トランスの1次
巻線の他端に接続されている前記負荷の第2の入力端子
と接続されたことを特徴とする高周波インバータ装置を
提供するものである。
【0012】 この課題を解決するため、請求項4に記
載の発明は、直流電源に接続された高周波インバータ装
置であって、この直流電源の一端に接続された直流側出
力端子と、第1の交流側出力端子と、第2の交流側出力
端子とを備え、これら直流側出力端子と第1の交流側出
力端子と第2の交流側出力端子に接続されたケーブルを
通して離れた負荷の入力端子に電力を供給する高周波イ
ンバータ装置において、そのケーブルは複数の心線と、
該心線の周りを囲むように同心的に配置された外皮導体
とからなり、外皮導体は前記直流側出力端子に接続さ
れ、複数の心線は第1の交流側出力端子と第2の交流側
出力端子に接続され、その外皮導体を直流的に安定電位
の給電線として用い、高周波の負荷電流を外皮導体と複
数の心線とで平行して流すことにより負荷へ高周波電力
を供給することを特徴とする高周波インバータ装置を提
供するものである。
【0013】 この課題を解決するため、請求項5に記
載の発明は、請求項4の発明において、高周波インバー
タ装置には半導体スイッチをプッシュプル接続したプッ
シュプル型インバータを備えることを特徴とする高周波
インバータ装置を提供するものである。
【0014】 この課題を解決するため、請求項6に記
載の発明は、請求項4又は請求項5の発明において、直
流側出力端子は外皮導体を通してトランスの1次巻線の
中点が接続されている負荷の第3の入力端子と接続さ
れ、第1の交流側出力端子と第2の交流側出力端子は複
数の心線を通して前記トランスの1次巻線の両端が接続
された負荷の第1と第2の入力端子に接続されたことを
特徴とする高周波インバータ装置を提供するものであ
る。
【実施例】
【0015】 以下、図1により本発明にかかる実施例
を説明するが、図3で用いた参照記号と同じものは相当
する部材を示す。この実施例は、本発明を外科用Cアー
ムといわれるモノタンク型の高周波インバータ方式X線
システムに適用した例を示す。
【0016】 ここで高周波で動作する高電圧用インバ
ータ10は、ハーフブリッジ型インバータ構成となって
おり、直流電源22の正極と負極間に互いに直列接続さ
れた2個のFETのような半導体スイッチ20,21、
及び同様に互いに直列接続された2個のコンデンサ2
3,24からなる。これら2個のコンデンサ23,24
の接続点は電源電圧の1/2であり、ほぼ直流的に安定
な電位となる。コンデンサの23,24の容量が小さい
と交流分も重畳されるが、コンデンサの性質上、半導体
スイッチなどの高周波スイッチングによる変換周波数よ
りも高いスパイク的な高周波成分は少ない。
【0017】 高電圧用インバータ10の交流出力端子
25と26は、それぞれ半導体スイッチ20と21の共
通接続点と、コンデンサ23と24の共通接続点であ
る。したがって、交流出力端子25は変動電位にあり、
交流出力端子26は直流的に安定な電位にある。これら
の交流出力端子は、高電圧トランス6の1次巻線の両端
子27,28に往復線路で接続されるが、本発明では、
往復線路にシールド線29の編組外皮導体30と心線3
1を使用する。
【0018】 外皮導体30は交流出力端子26を通し
て高電圧用インバータ10のコンデンサ23と24の共
通接続点に接続され、心線31は交流出力端子25を通
して半導体スイッチ20と21の共通出力点に接続され
る。したがって、この実施例では一般のシールドケーブ
ルの用い方と違って、編組外皮導体30は接地点に接続
されず、電源電圧の1/2の電位にあり、シールド作用
を行う他に一方の電流担持電線として働く。
【0019】 他方、加熱用インバータ13はプッシュ
プル型インバータであり、一方の主電極が直流電源33
の負極に共通接続された2個のFETのような半導体ス
イッチ34、35で構成される。このプッシュプル型イ
ンバータ13の端子36、37は、各半導体スイッチ3
4、35それぞれの他方の主電極に接続される交流出力
端子であり、端子38は直流電源33の正極端子に接続
される直流側端子である。
【0020】 この実施例の加熱用インバータ13につ
いては、これらの交流出力端子及び直流側端子とフィラ
メントトランス9の接続線として、2心シールドケーブ
ル39が使用される。この場合、直流電源33の正極端
子は安定電位であり、その正極端子とフィラメントトラ
ンス9の1次巻線の中点40との接続には、編組外皮導
体41が使用され、また半導体スイッチ34、35とフ
ィラメントトランス9の1次巻線の両端子42,43の
接続には2本の心線44、45が使用される。
【0021】 したがって、フィラメントトランス9の
1次巻線の中点40には編組外皮導体41を通して直流
電源33の直流電圧が印加され、心線44、45はその
直流電圧の印加された編組外皮導体41により静電シー
ルドされる。そして、編組外皮導体41は往路として働
いて一方向に電流を流し、一方、心線44、45はそれ
ぞれ復路として働いて、交互に一方向電流を流す。な
お、直流電源22,33は通常、商用電源を整流したも
のである。高電圧検出線は、従来と同様にシールド線1
7で接続される。
【0022】 この実施例のプッシュプル型インバータ
では、電力ケーブルとしてシールド線を用い、その編組
外皮導体を直流電源の出力端子に接続すると共に、二本
の心線を変動電位の交流線として用いて、双方で交流負
荷電流を担持している。
【0023】 このようなシールド線やシールドケーブ
ルの外皮導体と心線は同軸構造のため、インダクタンス
は通常最小化される。このインダクタンスは心線と外皮
導体間の絶縁空間が狭いほど小さくなることが知られて
いる。この実施例によれば、このようにインダクタンス
の非常に小さい導体を通して交流負荷電流を供給するこ
とができる。
【0024】 なお、本発明は外科用Cアーム以外に、
歯科用のレントゲンシステムなど、インバータと出力ト
ランス又は負荷とが距離的に離れた種々のシステムに適
用できる。また図示していないが、Cアーム内に各イン
バータの交流出力ケーブルと一緒に電圧検出線などの信
号線を収納することができる。
【0025】 また、実施例では双方のインバータがシ
ールド線又はシールドケーブルを備え、外皮導体と心線
とで電流の往路と復路を構成していたが、いずれか一方
でもよく、また単体のインバータであっても良いことは
勿論である。
【0026】 さらに、半導体スイッチをFETとして
説明したが、バイポーラトランジスタ、あるいはIGB
Tなど他の半導体素子でも同様な効果がある。
【発明の効果】
【0027】 以上述べたように、インバータ電力線と
して絶縁空間の狭い心線と外皮導体とからなるシールド
ケーブルを用いることにより、インダクタンスが極小に
なるため、半導体スイッチのスイッチングにともない生
じるスパイク電圧を十分に小さく抑制できるから、回路
の動作に与える悪影響を非常に少なくできる。
【0028】 特に、プッシュプル型インバータは、フ
ィラメントトランス9の1次巻線間の結合が悪いと、言
い換えれば、二つの1次巻線それぞれに単独のインダク
タンスが存在すると、半導体スイッチのターンオフ時に
過電圧がかかるが、本発明によれば半導体スイッチにか
かる過電圧を最小化できる。
【0029】 また、シールドケーブルの外皮導体、心
線の電流は往復電流で同一値であり、それぞれの磁束は
完全に打ち消しあい、漏れ磁束がないので周囲に対して
磁気的悪影響を与え無いという利点もある。
【0030】 さらに、本発明では外皮導体を安定電位
の直流電位線に用いるため、心線の交流電位による静電
的な不要輻射をシールドでき、高電圧検出線など周囲に
対しての、静電的悪影響も減少できる効果もある。これ
に対して、従来行われている電線の撚り合わせ法は、撚
り合わせピッチが有限なため完全に漏れ磁束、漏れ電界
を無くすことができない。
【0031】 このような効果から、可動Cアーム内
に、何ら対策を施すことなく各インバータの電力ケーブ
ルと一緒に高電圧検出線を収容できるので、装置をコン
パクトにできるなどの効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかるX線システムの一実施例を示
す図である。
【図2】 CアームX線システムの外観図である。
【図3】 CアームX線システムの回路構成の概略回路
である。
【符号の説明】
1 ・・・ モノタンク本体 2 ・・・ 可動Cアーム 3 ・・・ X線発生部 4 ・・・ イメージインテンシファイア(II)管 5 ・・・ X線管 6 ・・・ 高電圧トランス 7 ・・・ 高電圧整流回路 8 ・・・ 高電圧検出抵抗 9 ・・・ フィラメントトランス 10 ・・・ 高電圧用インバータ 13 ・・・ 加熱用インバータ 17 ・・・ シールド線 25,26 ・・・高電圧用インバータ10の交流出力端子 29 ・・・ シールド線 30 ・・・ 外皮導体 31 ・・・ 心線 39 ・・・ 加熱用インバータのシールドケーブル 41 ・・・ 外皮導体 44,45 ・・・心線

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直流電源に接続された高周波インバータ
    装置であって、直流的に安定な電位に接続された第1の
    出力端子と、変動電位である第2の出力端子とを備え、
    これら第1と第2の出力端子に接続されたケーブルを通
    して離れた負荷の入力端子に電力を供給する高周波イン
    バータ装置において、 前記ケーブルは心線と、該心線の周りを囲むように同心
    的に配置された外皮導体とからなり、 該外皮導体は前記第1の出力端子に接続され、 前記心線は前記第2の出力端子に接続され、 前記外皮導体を直流的に安定電位の給電線として用い、
    高周波の負荷電流を前記外皮導体と前記心線とで平行し
    て流すことにより前記負荷へ高周波電力を供給すること
    を特徴とする高周波インバータ装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、高周波インバータ装
    置にはコンデンサと半導体スイッチとからなるハーフブ
    リッジ型インバータを備えることを特徴とする高周波イ
    ンバータ装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2において、前記第
    1の出力端子は前記外皮導体を通してトランスの1次巻
    線の一端が接続されている前記負荷の第1の入力端子と
    接続され、前記第2の出力端子は前記心線を通して前記
    トランスの1次巻線の他端に接続されている前記負荷の
    第2の入力端子と接続されたことを特徴とする高周波イ
    ンバータ装置。
  4. 【請求項4】 直流電源に接続された高周波インバータ
    装置であって、該直流電源の一端に接続された直流側出
    力端子と、第1の交流側出力端子と、第2の交流側出力
    端子とを備え、これら直流側出力端子と第1の交流側出
    力端子と第2の交流側出力端子に接続されたケーブルを
    通して離れた負荷の入力端子に電力を供給する高周波イ
    ンバータ装置において、 前記ケーブルは複数の心線と、該心線の周りを囲むよう
    に同心的に配置された外皮導体とからなり、 該外皮導体は前記直流側出力端子に接続され、 前記複数の心線は前記第1の交流側出力端子と前記第2
    の交流側出力端子に接続され、 前記外皮導体を直流的に安定電位の給電線として用い、
    高周波の負荷電流を前記外皮導体と前記複数の心線とで
    平行して流すことにより前記負荷へ高周波電力を供給す
    ることを特徴とする高周波インバータ装置。
  5. 【請求項5】 請求項4において、高周波インバータ装
    置には半導体スイッチをプッシュプル接続したプッシュ
    プル型インバータを備えることを特徴とする高周波イン
    バータ装置。
  6. 【請求項6】 請求項4又は請求項5において、前記直
    流側出力端子は前記外皮導体を通してトランスの1次巻
    線の中点が接続されている前記負荷の第3の入力端子と
    接続され、前記第1の交流側出力端子と第2の交流側出
    力端子は前記複数の心線を通して前記トランスの1次巻
    線の両端が接続された前記負荷の第1と第2の入力端子
    に接続されたことを特徴とする高周波インバータ装置。
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