JP2711930B2 - X線電源装置 - Google Patents

X線電源装置

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JP2711930B2
JP2711930B2 JP2224785A JP22478590A JP2711930B2 JP 2711930 B2 JP2711930 B2 JP 2711930B2 JP 2224785 A JP2224785 A JP 2224785A JP 22478590 A JP22478590 A JP 22478590A JP 2711930 B2 JP2711930 B2 JP 2711930B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は,高周波インバータを用いたX線電源装置に
関する。
〔従来の技術〕
近年,数kHz〜数十kHzの高周波インバータを用いた
X線電源装置が,高速応答性,低リプル性の利点から実
用化されている。第5図に,従来のこの種のX線電源装
置の例を示す。蓄電池または整流器等の直流電源1と,
該直流電源1で付勢される高周波インバータ2と,高圧
トランス3と,高圧ブリッジ整流器4とでX線電源装置
が構成される。通常,高圧トランス3及び整流器4は,
絶縁油で充填され,且つ接地された金属性の高圧タンク
5内に収容されている。このX線電源装置の出力は,正
極及び負極出力端子から2本の高圧ケーブル6,7でX線
管8のアノードAとカソードKに接続されている。高圧
ケーブルの外被導体6a,7aは,高圧タンク5のケースを
通して接地されている。9は,高圧トランス3の2次巻
線N2,N′2の中点の電流から管電流を測定するための管
電流検出回路である。X線管8を動作させるためには,
更にフィラメント電源が必要であるが,本発明に直接関
係がないので,説明を省略する。
この回路の動作を説明すると,インバータ2の高周波
出力電圧は,高圧トランス3の1次巻線N1に供給され
る。高圧トランス3の2つの2次巻線N2,N′2は,同一
巻線で,同一極性に直列接続され,この直列接続点であ
るX線電源装置の出力の中性点aは接地されている。但
し,2次巻線の一方の巻線N′2には,管電流検出回路9
が挿入されている。各2次巻線N2,N′2で発生する電圧
をEとすると,ブリッジ整流器の交流入力電圧は2Eであ
り,整流電圧は2Eとなる。2次巻線N2,N′2の直列接続
点が接地されているため,電源装置の正極出力電圧は+
E,負極出力電圧は−Eである。これらの電圧は,正極及
び負極の高圧ケーブル6,7により,X線管8のアノードA
とカソードKに供給される。このように,2次巻線N2,N′
2の直列接続点を接地してアノード電圧を+E,カソード
電圧を−Eとしているのは,高圧絶縁構造を容易にする
ためである。例として,定格電圧125kVのX線管を,正
または負の片側接地で電源を構成すると,125kVの絶縁構
造が必要であるが,このような中点接地であれば,62.5k
Vの絶縁構造でよい。絶縁構造は,電圧の低減によって
加速度的に容易となるので,電圧が1/2となる効果は大
きい。また,このような高周波方式のX線電源装置で
は,高圧ケーブル6,7の芯線と接地外被導体6a,7a間の静
電容量が充分なフィルタ作用を持ち,X線管8のアノード
A,カソードK間に印加される電圧の高周波リプルを低減
できる利点がある。この高周波リプル電圧の周波数成分
は,インバータ動作周波数の2倍であり,インバータ2
の周波数が高い程,リプルは低減される。このような従
来のX線電源装置の高圧トランス3は,第6図に示すよ
うな巻線構造をとる。鉄心10の1脚に1次巻線N1が巻か
れ,この1次巻線N1の上に2つの2次巻線N2,N′2が別
個に巻かれる。各2次巻線N2,N′2の巻き始め端子b,c
は外部で接続されて中性点となる。d,eは巻線の高圧側
端子である。
〔発明が解決しようとする課題〕
これらの2次巻線N2,N′2は,普通数千ターンとな
り,各層間に層間紙を挟み込んで巻くため,完全な機械
化が困難であり,2つの2次巻線を製作するコストが高く
なる。また,高価な高耐圧ダイオードを4個用いてブリ
ッジ回路を組むため,X線電源装置のコストを低減するの
が困難であった。また,管電流の検出を2次巻線の直列
接続点で行っているため,2次巻線N2,N′2の対地分布容
量の充放電電流も同時に検出し,インバータの周波数が
高くなる程,正確な電流検出が困難となるという欠点が
あった。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は以上の欠点を除去するために,高周波インバ
ータと,該高周波インバータの出力電圧を昇圧する巻き
始めが接地された単一の2次巻線を有する高圧トランス
と,正極及び負極整流回路とを用い,正極及び負極出力
電圧の中性点が接地されたX線電源装置において,上記
正極及び負極整流回路が,上記X線電源装置とX線管と
を接続するための正極及び負極の高圧ケーブルそれぞれ
の対地静電容量を利用して,高圧トランスの単一の2次
巻線に対する正及び負出力の半波2倍電圧整流回路を構
成してなることを特徴とするX線電源装置を提供するも
のである。
〔作用〕
このようなX線電源装置によれば,従来,単にリプル
低減用フィルタとしてしか利用されなかった高圧ケーブ
ルの静電容量を電圧逓倍にも利用することができるの
で,高圧発生部の構成を単純化して,低コスト化を図る
ことができる。
〔実施例〕
第1図は,本発明の一実施例を説明するための図であ
り,第5図と同一機能のものには同一符号を付した。同
図において,直流電源1の直流電圧を高周波電圧に変換
する高周波インバータ2の出力は,高圧タンク5内の高
圧トランス3の1次巻線N1に供給される。この高圧トラ
ンス3の2次巻線N2は単一であり,巻き始め端子が接地
されている。巻き終わり高圧端子は2個の直列な昇圧用
コンデンサ11,12の中点に接続されている。一方,正極
出力端子と接地間に2個の同極性に直列なダイオード1
3,14がカソード側を正極出力側にして接続され,ダイオ
ード13,14の中点に上記昇圧用コンデンサ11の一方が接
続されている。また,負極出力端子と接地間にも別の2
個の同極性に直列なダイオード15,16がアノード側を負
極出力側にして接続され,そのダイオード15,16の中点
に他方の昇圧用コンデンサ12の他端が接続される。正極
出力とX線管8のアノードAは高圧ケーブル6で,負極
出力とX線管8のカソードKは高圧ケーブル7で接続さ
れている。高圧ケーブル6、7の外皮導体6a、7aは高圧
タンク5に接続され、高圧タンク5は接地されている。
したがって、高圧ケーブル6、7の外皮導体6a、7aは、
接地を介して高圧トランス3の2次巻線N2の巻き始め端
子に接続されている。次に、高圧トランス3の構造の例
を第2図に示す。鉄心10の片脚に1次巻線N1が巻かれ,
更にその上に1個の2次巻線N2が巻かれている。fは接
地される巻き始め端子,gは高圧側端子である。
第1図に示した回路において,高圧ケーブル6,7の対
地静電容量を考慮して等価回路を作ると,第3図とな
る。但し,管電流検出回路9は含まない。17,18はそれ
ぞれ高圧ケーブル6,7の対地静電容量からなる平滑用コ
ンデンサである。一般的に用いられるX線用の高圧ケー
ブルの静電容量を例えばm当たり250pFとすれば,ケー
ブル長を各2mとして,平滑用コンデンサ17、18の値はそ
れぞれ500pFとなる。この等価回路で第1図と同一符号
は同一等価要素である。この構成は,通常の電源回路に
用いられる半波倍電圧整流回路を逆極性に対称接続した
ものに他ならない。この2つの倍電圧整流回路によっ
て,高圧トランス3の2次巻線電圧Eは,+2E,−2Eに
整流され,X線管8に4Eの電圧を供給する。従って,2次巻
線電圧は,従来の1/2でよい。平滑用コンデンサ17、18
の中点は接地されているため,X線管8の各端子の対地電
位が管電圧の1/2であることにより,従来と同様の絶縁
構造上のメリットがある。また,X線管8のアノード及び
カソードに加わる対接地の高周波リプルは,第4図に示
すように各平滑用コンデンサ17、18のリプル電圧が高調
波インバータ2の動作周波数と同じで,且つ互いに逆位
相であることから打ち消し合う。その結果,X線管8のア
ノード・カソード間で見ると,リプル電圧は従来のブリ
ッジ整流の場合よりも小さくなる。
このように本発明によれば,トランスの2次巻線が1
個ですみ,また倍電圧整流回路によって,トランスの2
次巻線電圧がX線管電圧の1/4でよいので,従来装置の
1個の巻線の1/2の巻数でよい。その代わり,電流容量
は2倍となるが,巻数が少ない巻線1個ですむ経済的効
果は大きい。また,高圧ダイオードの数も4個である
が,各耐圧は従来に比べて1/2でよい。電流容量は倍に
なるが,高圧ダイオードは電流容量を大きくするより
も,耐電圧を上げる方が技術的に困難であり,低耐圧の
ものでよいので経済的効果は大きい。特に,X線電源装置
では,運転時間が数秒と短いことが多く,高圧ダイオー
ドとトランスの2次巻線に過負荷をかけることも可能で
ある。これらの利点に対し,本発明では昇圧用のコンデ
ンサ11,12が2個増加するが,インバータの動作周波数
が高い程,小容量のコンデンサを使うことができ,また
耐圧も管電圧の1/4ですむため,大きな欠点にはならな
い。また,本発明の実施態様として,接地されたダイオ
ード14または16に流れる直流電流から管電流を測定する
ことも可能で,従来の如く分布容量の充放電交流電流が
流れず,管電流の正確な検出が可能となる。尚,本発明
の実施において,X線管電圧の高周波リプル電圧をさらに
低減する必要がある場合には,正極及び負極の出力端子
に高圧ケーブルの静電容量に対し比較的に小さい容量の
コンデンサを付加することもよい。実験では,管電圧10
0kV,管電流100mAを出力するのに,20kHzの高周波インバ
ータと,約25kVの2次巻線電圧を発生するトランスと,1
000pF30kVの昇圧コンデンサと,耐圧60kVの高圧ダイオ
ード4個と各2mの高圧ケーブル(各500pF)により,充
分に実用可能な出力特性を得ることができた。
〔発明の効果〕
以上説明したように,本発明によれば,高圧ケーブル
の対地静電容量を利用して対称形の倍電圧整流回路を構
成しているので,高圧トランスの2次巻線を1個とし,
且つ巻数を下げること,及びリプル電圧を下げることが
可能となり、また高圧ケーブルで必要される対地静電容
量が確保できれば、従来必要とされたコンデンサが不要
になり、仮に必要とされる対地静電容量が確保できなく
とも、不足分に相当する静電容量をもつ小さなコンデン
サを使用することができるため、装置の小型化、経済的
効果,技術的効果が大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図乃至第4図は本発明の一実施例を説明するための
図,第5図及び第6図は従来例を説明するための図であ
る。 1……直流電源、2……高周波インバータ 3……高圧トランス、4……高圧ブリッジ整流器 5……高圧タンク、6,7……高圧ケーブル 8……X線管、9……管電流検出回路 10……鉄心、11,12……コンデンサ 13〜16……ダイオード 17……高圧ケーブル6の対地静電容量 18……高圧ケーブル7の対地静電容量

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】直流電源と、高周波インバータと、該高周
    波インバータの出力電圧を昇圧する巻き始めが接地され
    た単一の2次巻線を有する高圧トランスと、正極及び負
    極整流回路とを用い、正極及び負極出力電圧の中性点が
    接地されたX線電源装置において、 上記正極及び負極整流回路は、複数の昇圧用コンデンサ
    と複数のダイオードとを用いると共に、上記X線電源装
    置とX線管とを接続するための正極及び負極の高圧ケー
    ブルそれぞれの対地静電容量を平滑用キャパシタンスと
    して利用し、上記高圧ケーブルそれぞれの外皮導体を接
    地を介して上記高圧トランスの2次巻線の巻き始めに電
    気的に接続することにより、上記高圧トランスの単一の
    2次巻線に対する正及び負出力の半波2倍電圧整流回路
    を構成してなることを特徴とするX線電源装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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