JP3357465B2 - 高架橋梁中央分離帯空間部遮蔽の梁構造 - Google Patents

高架橋梁中央分離帯空間部遮蔽の梁構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高架橋梁中央分離帯空
間部遮蔽の梁構造に関する。詳細には、高速自動車道路
等の上下線にはそれぞれ別々に高架橋梁が設けられて上
下線が分離している場合が多く、かかる高架橋梁の上下
線の間の中央分離帯となる空間(高架橋梁中央分離帯空
間部)を遮蔽する板体等を支持する高架橋梁中央分離帯
空間部遮蔽の梁構造に関する。
【0002】
【従来の技術】高速自動車道路等では、上下線にそれぞ
れ別々に高架橋梁が設けられ、上下線が分離しているこ
とが多く、そのため、かかる高架橋梁では上下線の中央
分離帯部分に空間(高架橋梁中央分離帯空間部)が生ず
る。このように上下線の間に高架橋梁中央分離帯空間部
があると、車両、荷物あるいは人の落下事故が生ずる危
険がある。従来、この危険を防止するために、高架橋梁
中央分離帯空間部を遮蔽することが行われている。
【0003】この高架橋梁中央分離帯空間部を遮蔽する
従来行われている方法は、次に示す3つの方法に大別さ
れる。即ち、第一の方法は、上下線の間に金網やワイヤ
ーを架け渡し、この上にシートを取り付ける方法であ
る。第二の方法は、実開昭63−14612号公報に記
載あるように、金属板や合成樹脂板等を架け渡す方法で
ある。第三の方法は、H形鋼、T形鋼、C形鋼等の梁材
を架け渡し、この上に金属板や合成樹脂板を取り付ける
方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、第一の方法
は、上下線の高架橋梁間が大きくなり、中央分離帯の幅
が広くなると、シートが大量の風を含むので、架け渡し
ている金網やワイヤーに大きな力がかかる。そして、金
網やワイヤーの強度を一定以上にすることが困難である
から、中央分離帯の幅が広い場所には採用し難いという
問題がある。又、金網やワイヤーの上にシートを取り付
けていると、シートや金網、ワイヤー等が風雨や紫外線
に曝されるから、腐食し易く耐久性に劣るという問題が
あるし、かかる構造では遮音し難いので遮音性に劣ると
いう問題がある。又、ワイヤーを架け渡しこの上にシー
トを取り付けていると、ワイヤーの間が広いから人がこ
のシートの上に載って作業し難いという問題がある。
【0005】又、第二の方法は、中央分離帯の幅が広く
なると架け渡している金属板や合成樹脂板が撓むので取
り付け難く従って施工し難い。又、この金属板や合成樹
脂板が風を含むと、金属板や合成樹脂板に大きな力がか
かる。従って、中央分離帯の幅が広い場所には採用し難
いという問題がある。更に、上下線の高架橋梁の上を車
両が通過したり風が強いと、高架橋梁が振動するが、こ
のように高架橋梁が振動すると、金属板や合成樹脂板の
取付部分に無理な力がかかり、この取付部分や金属板、
合成樹脂板が破損するという問題がある。この問題を解
決するために、ゴム板等を挟んで取り付けているが、こ
れでも、高架橋梁が高くなるとこの振動幅が大きくな
り、振動を吸収することができず、破損したり金属板や
合成樹脂板が外れて落下するということがある。
【0006】第三の方法は、上下線の高架橋梁の間に架
け渡した梁材の強度が大きく、従って、風等を含んでも
破損しないから、中央分離帯の幅が広くても採用できる
ので好ましい方法である。しかし、高架橋梁を通過して
いる車両や風等で高架橋梁が振動すると、梁の取付部分
に無理な力がかかり、この取付部分が破損し易いという
問題がある。
【0007】この問題を解決する方法として、梁材を片
持ち梁にしたり、梁材の両端をピン構造にして回動可能
に取り付ける方法が行われている。片持ち梁は一方だけ
で梁材を支持するから、長い梁材の支持を大きくするこ
とが困難であり、中央分離帯の幅が広い場所には採用し
難いという問題がある。又、ピン構造で梁材を上下方向
に回動可能に支持する方法は、上下線の高架橋梁が上下
方向に振動したときには適応できて支障がないが、上下
線の高架橋梁の振動は上下方向だけでなく、前後方向や
横方向にも振動するから、これ等の振動に適応できず接
続部が破損することがある。
【0008】そこで、本発明の目的は、大型化し易い梁
材であって、上記ピン構造を改良して高架橋梁が種々な
方向に振動しても梁材の取付部分に無理な力がかからな
い高架橋梁中央分離帯空間部遮蔽の梁構造を提供するこ
とである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するためになされたものであって、上下線に別々に設け
られた高架橋梁の内側縁部にベースプレートが設けら
れ、このベースプレートに梁材が架け渡され、この梁材
の端部がベースプレートに接続された高架橋梁中央分離
帯空間部遮蔽の梁構造であって、前記梁材は中間部で分
割され、この分割された端部が上下方向に回動可能に連
結され、前記ベースプレートは取付板と、この取付板に
立設された2枚の立上片とからなり、取付板には2枚の
前記立上片の両側に円弧状の長孔がそれぞれ設けられ、
高架橋梁の側縁部にはアンカーボルトが取り付けられ、
このアンカーボルトが円弧状の前記長孔にそれぞれ通さ
れて、アンカーボルトにベースプレートが円弧状の長孔
に沿って水平方向に回動可能に取付けられ、前記梁材は
中間部の連結部を折曲した状態にして上下線の高架橋梁
前記ベースプレートに架け渡され、この梁材の両端が
ベースプレートの立上片に上下方向に回動可能に取り付
けられているものである。
【0010】本発明に使用される梁材は、中間部で分割
され、この分割された端部が上下方向に回動可能に連結
されているが、この連結方法としては、梁材同士をピン
やボルト等で回動可能に連結してもよいし、この分割部
分にガセットプレート等の接続片を取り付け、この接続
片を回動可能に連結してもよい。又、この連結部分には
金属板や合成樹脂板を取り付け難いから、この連結部分
に隙間が生じて、この上での作業が危険になることがあ
るが、かかる場合には梁材に薄鋼板のような可撓性材料
を差し渡して、この間を梁材の回動に支障がないように
塞ぐとよい。
【0011】又、本発明においては、梁材がベースプレ
ートの立上片に上下方向に回動可能に接続されている
が、この接続は梁材を直接ベースプレートの立上片にピ
ンやボルト等で回動可能に接続してもよいし、梁材にガ
セットプレート等の接続片を取り付け、このガゼットプ
レート等の接続片をベースプレートの立上片に回動可能
に接続してもよい。
【0012】
【作用】高架橋梁を車両が通過したり風が吹いて、上下
線の高架橋梁が振動しても、本発明の梁構造には無理な
力がかからない。先ず、高架橋梁が道路の進行方向に振
動したときには次のように作用する。即ち、本発明の梁
構造は、高架橋梁の側縁部に取り付けられたアンカーボ
ルトがベースプレートの取付板の円弧状の長孔に通さ
れ、ベースプレートが高架橋梁の側縁部に円弧状の長孔
に沿って回動可能に取り付けられ、このベースプレート
に梁材が接続されているから、ベースプレートは高架橋
梁の側縁部に円弧状の長孔に沿って水平方向に回動可能
であり、梁材はベースプレートと共に高架橋梁の側縁部
に水平方向に回動可能となる。従って、高架橋梁が道路
の進行方向に振動すると、ベースプレートが回動して梁
材の接続部に無理な力が働かない。
【0013】次に、上下線の高架橋梁が上下方向に振動
したときには、本発明の梁構造では、梁材の端部がベー
スプレートの立上片に上下方向に回動可能に取り付けら
れているから、梁材の端部が上下方向に回動して梁材の
接続部に無理な力が働かない。
【0014】最後に、高架橋梁の距離が変化する方向、
即ち、道路の進行方向にほぼ直交する方向に振動し、梁
材が両側から押し合ったり引き合ったりしたときには、
本発明の梁構造では、梁材の中間部が分割され、この分
割された端部が上下方向に回動可能に連結され、梁材の
連結部を折曲された状態にして上下線の高架橋梁のベー
スプレートに架け渡され、梁材の両端がベースプレート
の立上片に回動可能に接続されているから、この両方の
接続部の角度が変化して、梁材の傾きが変化することに
より、梁材の両端間の距離が変化して、梁材に無理な力
が働かない。
【0015】
【実施例】次に、本発明の実施例を説明する。図1〜図
5は本発明高架橋梁中央分離帯空間部遮蔽の梁構造の一
実施例を示し、図1は高架橋梁を示す説明図、図2は高
架橋梁間に架け渡された梁材の一部切欠正面図、図3は
図2の梁材の連結部を示す平面図、図4は図2の梁材と
ベースプレートとの接続部を示す平面図、図5は図2の
梁材とベースプレートとの接続部を示す側面図である。
【0016】図1において、1は上り線側の高架橋梁、
2は下り線側の高架橋梁である。3は上り線側の高架橋
梁1と下り線側の高架橋梁2との間の中央分離帯空間部
である。4はこの中央分離帯空間部3に設けられた梁材
である。
【0017】この梁材4は、図2に示すように、中間部
で右側梁材41と左側梁材42に分割され、この分割さ
れた両方の端部にガセットプレート43がそれぞれ取り
付けられ、このガセットプレート43に通孔が設けら
れ、この通孔に挿入されたピン44によって回動可能に
接続されている。図2、図3に示す45はこの分割部分
の右側梁材41と左側梁材42とに差し渡された薄鋼板
からなる笠木である。又、梁材4の両端部、即ち、右側
梁材41と左側梁材42のガセットプレート43が取り
付けられた端部と反対側端部にはガセットプレート8が
梁材4と交差状態に取り付けられている。
【0018】5は上下線の高架橋梁1または2の内側縁
部に取り付けられたベースプレートであり、高架橋梁
1、2の内側縁部に取り付けられる取付板6と、この取
付板6に立設された2枚の立上片7とからなる。
【0019】取付板6には、図4に示すように、2枚の
立上片7の両側に、円弧状の長孔61がそれぞれ設けら
れている。この取付板6の円弧状の長孔61に、高架橋
梁1、2の内側縁部に取り付けられたアンカーボルト1
1が挿入され、その上から螺入されたナット12でベー
スプレート5が円弧状長孔61に沿って回動可能に接続
されている。2枚の立上片7の間には、図4、図5に示
すように、回転軸71が取り付けられている。
【0020】次に、この高架橋梁中央分離帯空間部遮蔽
の梁構造の施工方法および作用について説明する。先
ず、上下線の高架橋梁1、2の内側縁部にそれぞれアン
カーボルト11を取り付け、このアンカーボルト11を
ベースプレート5の円弧状の長孔61に通し、ベースプ
レート5の上からナットを螺入して、アンカーボルト1
1にベースプレート5を長孔61に沿って回動可能に取
り付ける。
【0021】次に、図2に示すように、梁材4を中間の
切断部を上方向に折曲した状態にして、梁材4の両端を
それぞれ上下線の高架橋梁1、2の側縁部に取り付けら
れているベースプレート5に架け渡し、図4、図5に示
すように、梁材4の両端部に取り付けられているガセッ
トプレート8をベースプレート5の立上片7の回転軸7
1に回動可能に連結する。
【0022】このようにして架け渡された梁材4は車両
が高架橋梁を通過したり風が吹いて高架橋梁がいずれの
方向に振動しても、梁材の接続部に無理な力がかからな
い。即ち、高架橋梁を車両が通過したり風が吹いて、上
下線の高架橋梁1、2が高架橋梁の道路の進行方向に振
動すると、上下線の高架橋梁1、2に架け渡されている
梁材4が高架橋梁1または2に対して道路の進行方向に
回動する。その結果、梁材4に接続されているガセット
プレート8がベースプレート5を回動させようとする。
【0023】このベースプレート5は、高架橋梁1また
は2の側縁部に取り付けられたアンカーボルトに円弧状
の長孔61に沿って回動可能に接続されているから、上
記のように、ガゼットプレート8がベースプレート5を
回動させようとすると、このベースプレート5が回動
し、この接続部に無理な力が働かず、従って、この接続
部が破損することがない。
【0024】又、車両が通過したり風が吹いて、上下線
の高架橋梁1、2が上下方向に振動すると、上下線の高
架橋梁1、2に架け渡されている梁材4が、高架橋梁1
または2に対して垂直方向に回動する。その結果、梁材
4に接続されているガセットプレート8がベースプレー
ト5を上下方向に回動させようとする。
【0025】しかしガセットプレート8はベースプレー
ト5の回転軸71に上下方向に回動可能に接続されてい
るから、回転軸71を中心にして回動し、上記のように
ガセットプレート8がベースプレート5に上下方向に回
動させようとしても接続部に無理な力が働かず、従っ
て、この接続部が破損することがない。
【0026】又、車両が通過したり風が吹いて、上下線
の高架橋梁1、2間の距離が変化する方向に振動する
と、高架橋梁1、2に架け渡されている梁材4の両端が
引っ張り合ったり押し合う。
【0027】即ち、梁材4は右側梁材41と左側梁材4
2とに分割され、この梁材41、42が上方向に折曲さ
れた状態にして両端部がガセットプレート43を介して
上下方向に回動可能に接続され、又、梁材41、42が
ベースプレート5の立上片7にガセットプレート8を介
して上下方向に回動可能に接続されているから、高架橋
梁1、2が離れたり近づいたりすると、両方の接続部が
回動して右側梁材41と左側梁材42の傾きが変化する
ことにより、高架橋梁1、2の距離が変化する。従っ
て、この接続部に無理な力が働かず、接続部が破損する
ことがない。
【0028】このように、上下線の高架橋梁がいずれの
方向に振動しても、梁材4と高架橋梁1または2との接
続部に無理な力が働かず、その結果、この接続部が破損
することがない。
【0029】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明では、高架
橋梁を通過する車両や風の力によって高架橋梁が道路の
進行方向に振動すると、ベースプレートが円弧状の長孔
によって回動するから、接続部に無理な力が働かない。
又、高架橋梁が上下方向に振動すると、梁材が上下方向
に回動するから、接続部に無理な力が働かない。従っ
て、この接続部が破損することがない。
【0030】又、高架橋梁を通過する車両や風の力によ
って、上下の高架橋梁の間の距離が変化する方向に振動
すると、分割された梁材の傾きが変化するから、接続部
に無理な力が働かない。このように、本発明高架橋梁中
央分離帯空間部遮蔽の梁構造では、高架橋梁がいずれの
方向に振動しても、接続部に無理な力が働かないように
なっているから、接続部が破損することがなく、安心で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の梁構造の一実施例を示すもので、高架
橋梁を示す説明図である。
【図2】高架橋梁間に架け渡された梁材の一部切欠正面
図である。
【図3】図2の梁材の接続部を示す平面図である。
【図4】図2の梁材とベースプレートとの接続部を示す
平面図である。
【図5】図2の梁材とベースプレートとの接続部を示す
側面図である。
【符号の説明】
1、2 高架橋梁 11 アンカーボルト 3 中央分離帯空間部 4 梁材 41 右側梁材 42 左側梁材 5 ベースプレート 6 取付板 61 円弧状の長孔 7 立上片 71 回転軸 8 ガセットプレート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E01D 1/00 E01F 8/00 E01C 1/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上下線に別々に設けられた高架橋梁の内
    側縁部にベースプレートが設けられ、このベースプレー
    トに梁材が架け渡され、この梁材の端部がベースプレー
    トに接続された高架橋梁中央分離帯空間部遮蔽の梁構造
    であって、前記梁材は中間部で分割され、この分割され
    た端部が上下方向に回動可能に連結され、前記ベースプ
    レートは取付板と、この取付板に立設された2枚の立上
    片とからなり、取付板には2枚の前記立上片の両側に円
    弧状の長孔がそれぞれ設けられ、高架橋梁の側縁部には
    アンカーボルトが取り付けられ、このアンカーボルトが
    円弧状の前記長孔にそれぞれ通されて、アンカーボルト
    にベースプレートが円弧状の長孔に沿って水平方向に回
    動可能に取付けられ、前記梁材は中間部の連結部を折曲
    した状態にして上下線の高架橋梁の前記ベースプレート
    に架け渡され、この梁材の両端がベースプレートの立上
    片に上下方向に回動可能に取り付けられていることを特
    徴とする高架橋梁中央分離帯空間部遮蔽の梁構造。
  2. 【請求項2】 上下線に別々に設けられた高架橋梁の内
    側縁部にベースプレートを設け、このベースプレートに
    梁材を架け渡し、この梁材の端部をベースプレートに接
    続した高架橋梁中央分離帯空間部遮蔽の梁構造であっ
    て、ベースプレートは高架橋梁の側縁部に取付けられた
    アンカーボルトに水平方向に回動可能に取付けられ、梁
    材は中間部で分割されると共にこの分割された端部が上
    下方向に回動可能に連結され、且つ梁材の両端がベース
    プレートに上下方向に回動可能に取付けられたことを特
    徴とする高架橋梁中央分離帯空間部遮蔽の梁構造。
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