JP3357278B2 - エアジェットルーム用の変形筬 - Google Patents

エアジェットルーム用の変形筬

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JP3357278B2
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    • DTEXTILES; PAPER
    • D03WEAVING
    • D03DWOVEN FABRICS; METHODS OF WEAVING; LOOMS
    • D03D47/00Looms in which bulk supply of weft does not pass through shed, e.g. shuttleless looms, gripper shuttle looms, dummy shuttle looms
    • D03D47/27Drive or guide mechanisms for weft inserting
    • D03D47/277Guide mechanisms
    • D03D47/278Guide mechanisms for pneumatic looms

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Textile Engineering (AREA)
  • Looms (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エアジェットルー
ムに使用される変形筬に関するものであり、詳しくは緯
入れ安定性の改善を図った変形筬に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図23は従来の変形筬を用いた緯入れ装
置を示す。スレイ1上には変形筬2が立設固定されてい
る。変形筬2は多数枚の筬羽3を緯入れ方向に列設して
構成されている。各筬羽3にはガイド孔4が凹設されて
おり、このガイド孔4の列が緯糸通路Tを形成する。緯
入れ用メインノズル5から射出された緯糸Yは緯糸通路
T内を飛走する。ガイド孔4は、水平な上壁面4aと、
垂直な奥壁面4bと、ガイド孔4の開口部4f側に向か
うにつれて徐々に下り傾斜となる下壁面4cと、上壁面
4aと奥壁面4bとを繋ぐ曲面状の上部角部4dと、奥
壁面4bと下壁面4cとを繋ぐ曲面状の下部角部4eと
によって形成されている。
【0003】スレイ1の前面には複数本の緯入れ用補助
ノズル6が緯糸通路Tに沿って所定間隔をおいて装着さ
れている。緯入れ用補助ノズル6の先端には噴射孔6a
があけられている。噴射孔6aからの噴射主流は図23
に矢印Sで示すように緯糸通路Tに沿って斜め方向に向
かうようにしてある。緯糸通路Tと変形筬2とは一体に
なっており、緯入れ用補助ノズル6の先端に形成された
噴射孔6aは緯糸通路Tに極接近している。緯入れ時に
は緯入れ用補助ノズル6だけが経糸をかき分けて経糸開
口内に進入し、筬打ち時には緯入れ用補助ノズル6だけ
が経糸開口内から経糸の下方に抜け出す。緯入れ用補助
ノズル6は細身であり、経糸をかき分けて緯入れ用補助
ノズル6を高速で出入りさせても経糸を損傷することは
ない。又、緯入れ用補助ノズル6の先端の経糸開口内に
対する出入りの距離はエアガイドの出入りの距離に比し
て少なくて済む。そのため、経糸開口内と経糸の下方と
の間で緯入れ用補助ノズル6を往復動させる構成は、エ
アガイドの場合に比してスレイ1の揺動量が小さくて済
む。従って、変形筬を用いた緯入れ装置は、特開昭55
−93844号公報、特開昭57−95344号公報、
特公昭59−26688号公報に開示されるようなエア
ガイドを用いた緯入れ装置に比してエアジェットルーム
の高速化に有利である。
【0004】しかし、従来の変形筬2を用いた緯入れ装
置には以下に示すような幾つかの問題点がある。曲面状
の上部角部4d及び下部角部4eの曲率半径は、プレス
による型抜き製作の容易性等を考慮していずれも2mm程
度にしてある。このような変形筬2を用いた緯入れ装置
では、緯糸通路T内を飛走する緯糸Yの飛走位置は、緯
入れ用補助ノズル6から噴射する空気流の主流Sがガイ
ド孔4の壁面に衝突する位置によって変わってしまう。
【0005】図24は、空気主流S1が上壁面4aに衝
突した場合の最高流速位置の推移と緯糸Yの飛走位置Y
1との関係について緯入れ上流側から見た様子を示し、
図27は上方から見た空気主流S1の推移を示す。空気
主流S1が上壁面4aに衝突した場合には、衝突後に空
気主流S1は奥壁面4b側へと進み、上部角部4dに沿
って下方へ偏向し、次いで奥壁面4b側から開口部4f
側に推移する。最高流速位置のこのような変化のために
緯糸Yは上部角部4dでの下向き偏向流の影響を受けて
Y1で示すように下部角部4e付近を飛走する。
【0006】図25は、空気主流S2が奥壁面4bに衝
突した場合の最高流速位置の推移と緯糸Yの飛走位置Y
2との関係について緯入れ上流側から見た様子を示し、
図28は上方から見た空気主流S2の推移を示す。空気
主流S2が奥壁面4bに衝突した場合には、衝突後に空
気主流S2は上部角部4dに沿って進み、開口部4f側
に偏向する。最高流速位置のこのような変化のために緯
糸Yは上部角部4dでの上向き偏向流の影響を受けてY
2で示すように上壁面4a付近を飛走する。
【0007】図26は、空気主流S3が上部角部4dに
衝突した場合の最高流速位置の推移と緯糸Yの飛走位置
Y3との関係について緯入れ上流側から見た様子を示
し、図29は上方から見た空気主流S3の推移を示す。
空気主流S3が上部角部4dに衝突した場合には、衝突
後に空気主流S3は下方へ進みながらわずかに開口部4
f側に推移する。最高流速位置のこのような変化のため
に緯糸YはY3で示すように上部角部4d付近を飛走す
る。
【0008】緯糸の飛走速度及び緯糸の飛走安定性は緯
糸の飛走位置と深い関係にある。言い換えれば緯糸の飛
走速度及び緯糸の飛走安定性は緯糸通路内の空気流速分
布と深い関係にある。
【0009】図30は緯入れ用補助ノズル6の隣接間隔
Xを80mmとした場合の緯糸通路T内の空気流速分布を
示す。1点鎖線は等速度分布線を表し、分布線は10m
/s単位で表してある。Vm で示す位置は最高流速位置
である。
【0010】図24で示したように飛走位置Y1付近で
は開口部4f側への偏向流成分が弱いため、飛走位置Y
1付近を飛走する緯糸Yが緯糸通路Tから飛び出すこと
はなく、緯糸Yの飛走は安定する。しかし、緯糸Yの飛
走位置Y1付近の空気流速は最高流速よりも低いため、
飛走位置Y1を飛走する緯糸Yの飛走速度は低くなる。
【0011】緯糸Yの飛走位置Y2付近の空気流速は最
高流速に近く、飛走位置Y2を飛走する緯糸Yの飛走速
度は高くなる。しかし、図25で示したように飛走位置
Y2付近では開口部4f側への偏向流成分が強いため、
飛走位置Y2付近を飛走する緯糸Yが緯糸通路Tから飛
び出し易く、緯糸Yの飛走が不安定になる。
【0012】緯糸Yの飛走位置Y3付近の空気流速は最
高流速に近く、飛走位置Y3を飛走する緯糸Yの飛走速
度は高くなる。又、図26で示したように飛走位置Y3
付近では開口部4f側への偏向流成分が弱いため、飛走
位置Y3付近を飛走する緯糸Yが緯糸通路Tから飛び出
すことはなく、緯糸Yの飛走は安定する。
【0013】従って、高速かつ安定した飛走を実現する
ためには、緯入れ用補助ノズル6からの空気主流Sを上
部角部4dに向け、緯糸Yが上部角部4d付近を飛走す
るようにすることが重要である。しかし、緯糸通路Tに
対する緯入れ用補助ノズル6の相対的な取り付け位置、
緯入れ用補助ノズル6の取り付け角度、噴射孔6aの噴
射指向方向、噴射圧力等によってガイド孔の壁面に対す
る空気主流の衝突位置が変わる。前述したように緯糸Y
の飛走位置は、緯入れ用補助ノズル6から噴射する空気
主流Sのガイド孔4の壁面に対する衝突位置によって変
わってしまう。そのため、従来の変形筬を用いた緯入れ
装置では緯糸Yを緯糸通路T内の同じ位置、しかも高速
飛走可能な位置で安定して飛走させることは難しい。
【0014】特開平2−53935号公報、実開平3−
38378号公報では変形筬に形成した緯糸通路内にお
ける緯糸飛走速度の高速化、緯糸通路からの緯糸飛び出
し防止を図った装置が開示されている。これら従来装置
では筬羽のガイド孔の上壁面と奥壁面とのなす角を直角
又は鋭角に設定し、緯糸通路の上部の懐を深くしてい
る。緯糸通路の上部の懐を深くした通路形状は、緯入れ
用補助ノズルから噴射される空気流を通路開口部側へ向
かい難くする。しかし、このような通路形状であっても
上壁面と奥壁面とを繋ぐ上部角部で緯糸を安定して飛走
させることができない場合があった。即ち、緯糸の飛走
速度の高速化と緯糸通路からの緯糸の飛び出しによる飛
走トラブルの低減とを共に両立させ得なかった。
【0015】特開平8−74143号公報では、図31
に示すように変形筬7の上部角部8dの曲率半径rを下
部角部8eの曲率半径Rよりも小さくした緯入れ装置が
開示されている。上部角部8dの曲率半径rを下部角部
8eの曲率半径Rよりも小さくしたガイド孔8の形状
は、緯入れ用補助ノズル6から噴射される空気主流がガ
イド孔8の壁面に衝突した後に上部角部8dで偏向し難
くする。従って、緯糸が常に空気流速の高い上部角部8
dを安定飛走する。
【0016】又、特開平8−74143号公報では、上
部角部8dの曲率半径rを小さくすることに加え、奥壁
面8bからの上壁面8aの延出寸法に対する奥壁面8b
からの下壁面8cの延出寸法の比率を小さくした実施の
形態が開示されている。前記比率を小さくすることによ
って緯糸飛走位置に対して緯入れ用補助ノズル6の噴射
孔6aを接近配置することができ、噴射孔6aからガイ
ド孔8の壁面に到達する空気流速の減衰が小さくなる。
従って、緯糸の飛走する上部角部8dでの空気流速が高
くなり、緯糸の高速飛走が可能となる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上壁面、下
壁面及び奥壁面からなるガイド孔を有する筬羽を緯入れ
方向に多数列設して形成した緯糸通路内を緯糸が一層安
定して高速飛走し得るエアジェットルーム用の変形筬を
提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】そのために請求項1の発
明では、ガイド孔の上壁面と奥壁面との間の上部角部の
曲率半径を前記ガイド孔の下壁面と奥壁面との間の下部
角部の曲率半径よりも小さくし、前記奥壁面及び前記上
壁面の少なくとも一方に前記上部角部を含む緯糸飛走用
溝を設け、前記緯糸飛走用溝を前記奥壁面に設けた場合
には、前記緯糸飛走用溝の幅を前記奥壁面の長さの40
%以下とし、前記緯糸飛走用溝を前記上壁面に設けた場
合には、前記緯糸飛走用溝の幅を前記上壁面における前
記奥壁面からの延出寸法の50%以下とし、また、前記
緯糸飛走用溝は、前記上部角部円弧の接線を含む形状で
あり、前記緯糸飛走用溝は、前記奥壁面側あるいは前記
上壁面から前記上部角部側へ向かうにつれて徐々に深く
なり、前記緯糸飛走用溝の深さを前記奥壁面の長さの2
5%以下とした。
【0019】緯入れ用補助ノズルからの空気主流は、緯
糸通路の開口部側の下方から上部角部に向けられる。し
かし、実際の噴射方向は、緯入れ用補助ノズルの製造上
及び取り付け上のばらつきもあって上壁面あるいは奥壁
面に衝突する場合も少なくない。
【0020】上壁面に衝突した空気主流は上壁面に沿っ
て奥壁面側へ向かう。下部角部の曲率半径よりも小さい
曲率半径とした上部角部及び前記した深さの緯糸飛走用
溝の存在が衝突後の空気主流の偏向を規制し、開口部側
に向かう偏向流が非常に弱くなる。従って、上壁面に衝
突した空気主流はその後上部角部を推移し、緯糸は上部
角部付近を安定的に飛走する。
【0021】奥壁面に衝突した空気主流は奥壁面に沿っ
て上壁面側へ向かう。下部角部の曲率半径よりも小さい
曲率半径とした上部角部及び前記した深さの緯糸飛走用
溝の存在が衝突後の空気主流の偏向を規制し、開口部側
に向かう偏向流が非常に弱くなる。従って、奥壁面に衝
突した後の空気主流は上部角部を推移し、緯糸は上部角
部付近を安定的に飛走する。
【0022】空気主流が上部角部に衝突した場合、下部
角部の曲率半径よりも小さい曲率半径とした上部角部及
び前記した深さの緯糸飛走用溝の存在が衝突後の空気主
流の偏向を規制し、上部角部に衝突した空気主流は上部
角部を推移する。従って、緯糸は上部角部付近を安定的
に飛走する。また、前記奥壁面の長さの40%以下とし
た幅の緯糸飛走用溝では筬打ちの際の緯糸位置が不安定
になることはなく、筬打ちの際の緯糸位置の不安定状態
に起因する緯糸緩みの発生が回避される。また、前記上
壁面の延出寸法の50%以下とした幅の緯糸飛走用溝で
は筬打ちの際の緯糸位置が不安定になることはなく、筬
打ちの際の緯糸位置の不安定状態に起因する緯糸緩みの
発生が回避される。
【0023】請求項2の発明では、前記上部角部の曲率
半径を1mm以下とした。上部角部の曲率半径を1mm以下
とする構成では空気主流の偏向を上部角部で規制する効
果が大きく、緯糸の飛走の安定性の上で最も好ましい。
【0024】請求項3の発明では、請求項1又は請求項
2において少なくとも一部の前記ガイド孔の下壁面にお
ける前記奥壁面からの延出寸法を前記上壁面における前
記奥壁面からの延出寸法の25%〜55%とした。
【0025】ガイド孔の下壁面における前記奥壁面から
の延出寸法を前記上壁面における前記奥壁面からの延出
寸法よりも小さくすれば、緯入れ用補助ノズルの噴射孔
を上部角部に近づけることができる。このようにすれば
上部角部における空気流速が上昇し、緯糸の飛走速度が
高まる。この場合、下壁面における奥壁面からの延出寸
法を上壁面における前記奥壁面からの延出寸法の25%
〜55%とする構成は、緯糸の緯入れ安定性及び高速飛
走の達成の上で望ましい。空気流速の上昇は、要求され
る緯糸の飛走速度の達成のための空気消費量の低減をも
たらす。
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】請求項の発明では、請求項1乃至請求項
のいずれかにおいて緯入れ方向へ向かうにつれて緯糸
通路側へ入り込む傾斜面を前記上壁面、奥壁面及び下壁
面に設け、前記上部角部の壁面において緯入れ方向へ向
かうにつれて緯糸通路側へ入り込む傾斜面の傾斜角を他
の壁面の傾斜面の傾斜角よりも小さくした。
【0031】隣接する筬羽間へ洩れるエアの流量が上部
角部で増大するようにすれば緯糸は上部角部を一層安定
して飛走する。前記上部角部の壁面において緯入れ方向
へ向かうにつれて緯糸通路側へ入り込む傾斜面の傾斜角
を小さくした構成は、緯糸の安定飛走に寄与する。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した第1の
実施の形態を図1〜図16に基づいて説明する。装置の
取り付け構成は図23と同じであり、この実施の形態で
は隣接する緯入れ用補助ノズル6の隣接間隔Xが80mm
にしてある。
【0033】図1及び図2に示すように変形筬10を構
成する多数枚の筬羽11にはコ字形状のガイド孔12が
凹設されており、このガイド孔12の列が緯糸通路Tを
形成する。ガイド孔12は、水平な上壁面12aと、垂
直な奥壁面12bと、ガイド孔12の開口部12f側に
向かうにつれて徐々に下り傾斜となる下壁面12cと、
上壁面12aと奥壁面12bとの間の円弧面形状の上部
角部12dと、奥壁面12bと下壁面12cとの間の円
弧面形状の下部角部12eと、上部角部12dを含む緯
糸飛走用溝12gとによって形成されている。緯糸飛走
用溝12gは奥壁面12b側に形成されている。上壁面
12aにおける奥壁面12bからの延出寸法Waは9m
m、奥壁面12bの上下の寸法Wbは5.5mm、下壁面
12cにおける奥壁面12bからの延出寸法Wcは、上
壁面12aにおける延出寸法Waの45%程度となる4
mmである。
【0034】緯入れ用補助ノズル6を単に緯糸通路Tに
近接すれば、経糸(図示略)の開口内へ出入りする緯入
れ用補助ノズル6と筬羽11との間の経糸の屈曲が大き
くなり、経糸が損傷する。経糸の損傷は織物品質を低下
させる。上壁面12aから緯入れ用補助ノズル6の噴射
孔6aまでの上下方向の距離L1、及び下壁面12cの
開口部12f側の先端から噴射孔6aまでの前後方向の
距離L2は、緯入れ用補助ノズル6が織物品質に悪影響
を及ぼさないように設定されている。
【0035】図2に示すように、緯糸飛走用溝12gは
上部角部12dの円弧の接線を含む形状である。緯糸飛
走用溝12gは奥壁面12b側から上部角部12d側へ
向かうにつれて徐々に深くなるようにしてある。緯糸飛
走用溝12gの深さMh1は0.7mmにしてあり、緯糸
飛走用溝12gの幅Mw1は1.5mmにしてある。深さ
Mh1は奥壁面12bの上下寸法Wbの13%程度であ
り、幅Mw1は上下寸法Wbの27%程度である。円弧
面形状の上部角部12dの曲率半径rは0.5mmにして
あり、円弧面形状の下部角部12eの曲率半径Rは2mm
にしてある。
【0036】図3〜図5に示すように上壁面12a、奥
壁面12b、下壁面12c、上部角部12d、緯糸飛走
用溝12g及び下部角部12eは矢印Pで示す緯入れ方
向に向かうにつれて緯糸通路T側へ入り込む傾斜面にし
てある。上壁面12aの傾斜面の傾斜角θa、奥壁面1
2bの傾斜面の傾斜角θb、下壁面12cの傾斜面の傾
斜角θc及び下部角部12eの傾斜面の傾斜角θe(図
示略)はいずれも15°にしてある。上部角部12d及
び緯糸飛走用溝12gの傾斜面の傾斜角θdは2°にし
てある。
【0037】緯入れ用補助ノズル6からの空気主流S
は、緯糸通路Tの開口部12f側の下方から上部角部1
2dに向けられる。しかし、実際の噴射方向は、緯入れ
用補助ノズル6の製造上及び取り付け上のばらつきもあ
って上壁面12aあるいは奥壁面12bに衝突する場合
も少なくなく、時によっては下壁面12cに衝突するこ
ともあり得る。
【0038】図6に示すように上壁面12aに衝突した
空気主流Saは上壁面12aに沿って奥壁面12b側へ
向かう。曲率半径rを0.5mmとした上部角部12d及
び深さMh1を0.7mmとした緯糸飛走用溝12gは衝
突後の空気主流Saの偏向を規制し、開口部12f側に
向かう偏向流が非常に弱くなる。従って、上壁面12a
に衝突した空気主流Saは図9に示すように上部角部1
2dを含む緯糸飛走用溝12g内を推移し、緯糸Yは緯
糸飛走用溝12g内を安定的に飛走する。
【0039】図7に示すように奥壁面12bに衝突した
空気主流Sbは奥壁面12bに沿って上壁面12a側へ
向かう。曲率半径rを0.5mmとした上部角部12d及
び深さMh1を0.7mmとした緯糸飛走用溝12gは衝
突後の空気主流Sbの偏向を規制し、開口部12f側に
向かう偏向流が非常に弱くなる。従って、奥壁面12b
に衝突した空気主流Sbは図10に示すように上部角部
12dを含む緯糸飛走用溝12g内を推移し、緯糸Yは
緯糸飛走用溝12g内を安定的に飛走する。
【0040】下壁面12cに衝突した空気主流は下壁面
12cに沿って奥壁面12b側へ向かう。上部角部12
dの曲率半径rよりも大きい曲率半径Rの下部角部12
eは衝突後の空気主流を積極的に奥壁面12bに沿って
上部角部12dに向かわせる。従って、下壁面12cに
衝突した後の空気主流は最終的には緯糸飛走用溝12g
内を推移し、緯糸Yは緯糸飛走用溝12g内を安定的に
飛走する。
【0041】図8に示すように空気主流Sdが上部角部
12dに衝突した場合、曲率半径rを0.5mmとした上
部角部12d及び深さMh1を0.7mmとした緯糸飛走
用溝12gは衝突後の空気主流Sdの偏向を規制し、上
部角部12dに衝突した空気主流Sdは上部角部12d
を推移する。従って、上部角部12dに衝突した空気主
流Sdは図11に示すように上部角部12dを含む緯糸
飛走用溝12g内を推移し、緯糸Yは緯糸飛走用溝12
g内を安定的に飛走する。
【0042】第1の実施の形態では以下の効果が得られ
る。 (1-1)緯糸Yの飛走速度及び緯糸Yの飛走安定性は緯
糸Yの飛走位置と深い関係にある。言い換えれば緯糸Y
の飛走速度及び緯糸の飛走安定性は緯糸通路T内の空気
流速分布と深い関係にあり、緯糸Yが最高流速位置であ
る上部角部12d付近を飛走することが最も望ましい。
曲率半径r=0.5mmの上部角部12dを含む深さ0.
7mmの緯糸飛走用溝12gを備えた図2の変形筬10
は、緯入れ用補助ノズル6からの空気主流Sがガイド孔
12のいずれの壁面に衝突しても緯糸Yの飛走を上部角
部12dに規制する。その結果、緯糸Yは最高流速位置
である上部角部12d近傍を特開平8−74143号公
報の従来装置よりもさらに安定して飛走する。 (1-2)緯入れ方向P側へ流れる空気流の一部は隣接す
る筬羽11間から漏洩する。この漏洩割合が多ければ緯
入れ方向P側へ流れる空気流の流速が低下し、緯糸Yの
飛走速度が低下する。ガイド孔12の壁面に形成された
傾斜面は筬羽11間からの空気漏洩を抑制するものであ
り、この傾斜面は緯糸Yの高速飛走の向上に寄与する。
上部角部12d及び緯糸飛走用溝12gにおける傾斜面
の傾斜角θdは他の傾斜面の傾斜角θa,θb,θc,
θeに比べてかなり小さくしてある。傾斜面の傾斜角を
小さくすれば空気漏洩の割合が多くなり、緯糸Yが空気
漏洩部位側、即ち上部角部12d側へ引き付けられる。
この引き付け作用は、緯糸Yが上部角部12d付近を一
層安定的に飛走することに寄与する。又、緯糸飛走用溝
12gの存在が緯糸Yの飛走の安定化に大きく寄与して
いる。従って、傾斜角θa,θb,θc,θeを大きく
して筬羽11間からの漏洩空気量を減らすことができ、
要求される緯糸飛走速度の達成のための空気消費量を低
減することができる。 (1-3)図12の曲線G1は図2の変形筬10を用いた
場合の緯糸通路T内の上部角部12dにおける空気流速
を示す。横軸は緯入れ用補助ノズル6から緯入れ方向へ
の距離を表す。曲線G2は図31の変形筬7を用いた場
合の緯糸通路T内の上部角部8dにおける空気流速を示
す。曲線G3は図23の変形筬2を用いた場合の緯糸通
路T内の上部角部4dにおける空気流速を示す。緯糸飛
走用溝12gを備えた変形筬10は、上部角部12dに
おける空気流速が特開平8−74143号公報に開示の
変形筬7に比べても全般的に高くなる。その結果、変形
筬10を用いた場合の緯糸Yの飛走は特開平8−741
43号公報の開示装置の場合よりも更に高速になる。 (1-4)図13の曲線H1,H2,H3は下壁面12c
における延出寸法Wcと緯糸Yの飛走速度との関係を実
験で求めたデータである。曲線H1は図2の緯糸飛走用
溝12gを備えた変形筬10を用いた場合の実験データ
である。曲線H2は図31の変形筬7を用いた場合の実
験データであり、曲線H3は図23の変形筬2を用いた
場合の実験データである。図13の曲線I1,I2,I
3は下壁面12cにおける延出寸法Wcと緯糸Yの飛走
トラブル発生頻度との関係を実験で求めたデータであ
る。曲線I1は図2の緯糸飛走用溝12gを備えた変形
筬10を用いた場合の実験データである。曲線I2は図
31の変形筬7を用いた場合の実験データであり、曲線
I3は図23の変形筬2を用いた場合の実験データであ
る。
【0043】緯糸Yの飛走トラブルは許容時間内に所定
の緯入れ末端側に到達しない状態として把握される。こ
れらの実験では、上壁面における奥壁面からの延出寸法
は一定にしてある。又、下壁面の先端から噴射孔6aま
での距離L2は一定にしてあり、かつ緯入れ用補助ノズ
ル6からの空気主流Sが常に上部角部を向くようにして
ある。さらに、緯入れ用補助ノズル6からの噴射空気流
量も一定にしてある。
【0044】曲線G1,G2及びI1,I2からわかる
ように、変形筬10及び変形筬7では、下壁面12c,
8cの延出寸法Wcを短くしてゆくと、緯糸Yの飛走ト
ラブル発生頻度の増加を抑制したまま緯糸Yの飛走速度
を上げてゆくことができる。下壁面12cにおける延出
寸法Wcを4mmとした本実施の形態では、下壁面8cに
おける延出寸法Wcを7mmとした特開平8−74143
号公報に開示の変形筬7の場合よりも緯糸飛走速度がさ
らに上昇している。しかし、延出寸法Wcが2mm以下に
なると、上壁面12a、奥壁面12b及び下壁面12c
によって形成される緯糸通路Tの持つ空気流拡散抑制機
能が弱まり、緯糸通路T内における均整のとれた空気流
速分布が得られなくなる。このような状態になると、緯
糸飛走速度が低下し始め、しかも緯糸Yが緯糸通路Tか
ら飛び出すといったことによる緯糸飛走トラブルの発生
頻度も増加する。図13の実験データから判断して、下
壁面12cにおける延出寸法Wcが上壁面12aにおけ
る延出寸法Waの25%〜55%の範囲にある構成が望
ましい。 (1-5)図16のグラフの曲線Eは上部角部12dの曲
率半径rと緯糸の飛走トラブルの頻度との関係を示す実
験データである。この実験は、緯糸を標準的な綿40
番、織機回転数を800rpm、空気流量を一定とした
条件で行なったものである。上部角部12dの曲率半径
rを1mm以下とすれば、上部角部4dの曲率半径を2mm
程度とした図23の変形筬2を用いた場合の飛走トラブ
ル頻度の1/5程度に少なくすることができる。 (1-6)図14の曲線Jは、奥壁面12bの長さWbに
対する緯糸飛走用溝12gの深さMh1の寸法比Mh1
/Wbと緯糸飛走速度との関係を示す実験データであ
る。横軸の原点0は緯糸飛走用溝12gがない場合に対
応する。緯糸飛走用溝12gの深さMh1の寸法比Mh
1/Wbが0より大きく、0.25以下の範囲では、緯
糸飛走用溝12gを備えた変形筬10における緯糸飛走
速度は緯糸飛走用溝12gのない図31の変形筬7にお
ける緯糸飛走速度よりも高い。しかし、緯糸飛走用溝1
2gの深さMh1の寸法比Mh1/Wbが0.25を越
えると緯糸飛走用溝12gを備えた変形筬10における
緯糸飛走速度が緯糸飛走用溝12gのない図31の変形
筬7における緯糸飛走速度よりも低下してしまう。これ
は、緯入れ用補助ノズル6の噴射孔6aと緯糸飛走用溝
12gの奥との間の距離が離れ過ぎて緯糸飛走用溝12
gにおける空気流速が低下してしまうためである。従っ
て、上部角部12dを含む緯糸飛走用溝12gの深さM
h1の寸法比Mh1/Wbは、0より大きく、0.25
以下が望ましい。 (1-7)図15の曲線Kは、奥壁面12bの長さWbに
対する緯糸飛走用溝12gの幅Mw1の寸法比Mw1/
Wbと、筬打ち時の緯糸トラブルの発生頻度との関係を
示す実験データである。緯糸飛走用溝12gの幅Mw1
の寸法比Mw1/Wbが0.4を越えると緯糸トラブル
が増大してゆく。これは、緯糸飛走用溝12gの幅Mw
1が拡がり過ぎて筬打ち時点の緯糸の位置が不安定にな
るためであり、筬打ち時点の緯糸の位置の不安定性は、
緯糸トラブルである緯糸緩みをもたらして織物品質を低
下させる。従って、上部角部12dを含む緯糸飛走用溝
12gの幅Mw1の寸法比Mw1/Wbは0.4以下が
望ましい。
【0045】なお、この実施の形態では傾斜角θa,θ
b,θc,θeは一定としたが、傾斜角θdよりも大き
ければ必ずしも傾斜角θa,θb,θc,θeを一定と
する必要はない。
【0046】次に、図17〜図19の第2の実施の形態
を説明する。第1の実施の形態と同じ構成部には同じ符
号が付してある。この実施の形態では、緯糸飛走用溝1
2hが上壁面12a側に形成されている。緯糸飛走用溝
12hは上部角部12dの円弧の接線を含む形状であ
る。緯糸飛走用溝12hは上壁面12a側から上部角部
12d側へ向かうにつれて徐々に深くなるようにしてあ
る。緯糸飛走用溝12hの深さMh2は0.5mmにして
あり、緯糸飛走用溝12hの幅Mw2は3mmにしてあ
る。上壁面12aにおける奥壁面12bからの延出寸法
Waは9mm、奥壁面12bの上下の寸法Wbは5mm、下
壁面12cにおける奥壁面12bからの延出寸法Wcは
上壁面12aに於ける延出寸法Waの35%程度となる
3.2mmである。緯糸飛走用溝12hの深さMh2は奥
壁面12bの上下寸法Wbの10%の0.5mmであり、
緯糸飛走用溝12hの幅Mw2は上壁面12aの延出寸
法Waの33%程度の3mmである。円弧面形状の上部角
部12dの曲率半径rは0.6mmにしてあり、円弧面形
状の下部角部12eの曲率半径Rは2mmにしてある。ガ
イド孔12の各壁面の傾斜角は第1の実施の形態の場合
と同じである。
【0047】第2の実施の形態では以下の効果が得られ
る。 (2-1)曲率半径r=0.6mmの上部角部12dを含む
深さ0.5mmの緯糸飛走用溝12hを備えた図17の変
形筬10は、緯入れ用補助ノズル6からの空気主流Sが
ガイド孔12のいずれの壁面に衝突しても緯糸Yの飛走
を上部角部12dに規制する。その結果、緯糸Yは最高
流速位置である上部角部12d近傍を特開平8−741
43号公報の従来装置よりもさらに安定して飛走する。 (2-2)図18の曲線Mは、奥壁面12bの長さWbに
対する緯糸飛走用溝12hの深さMh2の寸法比Mh2
/Wbと緯糸飛走速度との関係を示す実験データであ
る。横軸の原点0は緯糸飛走用溝12hがない場合に対
応する。緯糸飛走用溝12hの深さMh2の寸法比Mh
2/Wbが0より大きく、0.25以下の範囲では、緯
糸飛走用溝12hを備えた変形筬10における緯糸飛走
速度は緯糸飛走用溝12hのない図31の変形筬7にお
ける緯糸飛走速度よりも高い。しかし、緯糸飛走用溝1
2hの深さMh2の寸法比Mh2/Wbが0.25を越
えると緯糸飛走用溝12hを備えた変形筬10における
緯糸飛走速度が緯糸飛走用溝12hのない図31の変形
筬7における緯糸飛走速度よりも低下してしまう。これ
は、緯入れ用補助ノズル6の噴射孔6aと緯糸飛走用溝
12hの奥との間の距離が離れ過ぎて緯糸飛走用溝12
hにおける空気流速が低下してしまうためである。従っ
て、上部角部12dを含む緯糸飛走用溝12hの深さM
h2の寸法比Mh2/Wbは、0より大きく、0.25
以下が望ましい。 (2-3)図19の曲線Nは、緯糸飛走用溝12hの深さ
Mh2と、筬打ち時の経糸トラブルの発生頻度との関係
を示す実験データである。緯糸飛走用溝12hの深さM
h2が1mmを越えると経糸トラブルが増大してゆく。織
物が形成される際には織物が織幅方向に縮み、織幅の両
端部では経糸が織幅内に向けて若干傾く。緯糸飛走用溝
12hの深さMh2が深過ぎると織幅の両端部の経糸が
開口するときに緯糸飛走用溝12hに引っ掛かるという
経糸トラブルが発生し易くなる。緯糸飛走用溝12hへ
の経糸の引っ掛かりは織物品質を低下させる。従って、
上部角部12dを含む緯糸飛走用溝12hの深さMh2
は1mm以下が望ましい。 (2-4)実験によれば、緯糸飛走用溝12hの幅Mw2
は、上壁面12aの延出寸法Waの50%以下が望まし
い。
【0048】本発明では、図20(a),(b),
(c)に示すように上壁面12a及び奥壁面12bの両
方に緯糸飛走用溝を設けた各実施の形態も可能である。
第1の実施の形態と同じ構成部には同じ符号が付してあ
る。
【0049】図20(a)の第3の実施の形態では、上
壁面12a側に設けられた緯糸飛走用溝12jは、上壁
面12aに平行な底部12jeと、上壁面12a側から
上部角部12dに向かうにつれて徐々に深くなる傾斜部
12jsとからなる。
【0050】図20(b)の第4の実施の形態では、奥
壁面12b側に設けられた緯糸飛走用溝12kは、奥壁
面12bに平行な底部12keと、奥壁面12b側から
上部角部12dに向かうにつれて徐々に深くなる傾斜部
12ksとからなる。
【0051】図20(c)の第5の実施の形態では、上
壁面12a側に設けられた緯糸飛走用溝12mは、奥壁
面12b側に設けられた緯糸飛走用溝12gと同様に上
壁面12a側から上部角部12dに向かうにつれて徐々
に深くなって上部角部12dの円弧に接する。
【0052】これら各実施の形態においても第1の実施
の形態、第2の実施の形態と同様な効果が得られる。次
に、図21及び図22の第6実施の形態を説明する。第
1の実施の形態と同じ構成部には同じ符号が付してあ
る。
【0053】この実施の形態では下壁面の延出寸法W
c,Wc1が異なる2種類の筬羽11,11Aを用いて
変形筬10Aを構成している。緯入れ用補助ノズル6の
取り付け部付近には延出寸法Wcが4mmの筬羽11を用
い、前記取り付け部を除く部分には延出寸法Wc1が7
mmの筬羽11Aを用いている。
【0054】図22に示すように、ガイド孔12の上壁
面12aにおける奥壁面12bからの延出寸法Waは9
mm、奥壁面Wbにおける上下の寸法Wbは5.5mmとな
っている。緯入れ用補助ノズル6の管軸から緯糸通路T
の上流側へ3mmの位置と、下流側へ15mmの位置との間
では延出寸法Wcが4mmの筬羽11が用いられ、それ以
外の部分では延出寸法Wc1が7mmの筬羽11Aが用い
られている。筬羽11から緯入れ用補助ノズル6の噴射
孔6aまでの距離L1,L2及びその他の構成は第1実
施の形態と同じにしてある。そして、緯入れ用補助ノズ
ル6からの空気主流Sは第1の実施の形態と同様に上部
角部12dに向けられている。
【0055】この実施の形態においても第1の実施の形
態の場合と同様に緯糸は高速で飛走する。本発明では以
下のような実施の形態も可能である。 (1)上部角部12dの壁面の傾斜角θd を0°、ある
いはθd <0のように逆方向に傾斜させること。 (2)上壁面、下壁面及び奥壁面の少なくとも1つ、あ
るいはこれら壁面の少なくとも一部に傾斜面を設けるこ
と。 (3)上壁面12aにおける延出寸法Waと下壁面12
cにおける延出寸法Wcとの寸法関係を25%〜55%
の範囲に規定した上で距離L2を大きくすること。この
ようにすれば筬羽11と緯入れ用補助ノズル6との間に
生じる経糸の屈曲が小さくなり、経糸の損傷が生じやす
いフィラメント織物等では防止効果がある。 (4)上部角部の曲率半径を2mm程度した従来の変形筬
を用いた場合の緯糸の飛走トラブル頻度を1/5程度に
減少させるには、上部角部12dの曲率半径を1mm以下
とすれば達成できるが、図16のグラフから明らかなよ
うに上部角部12dの曲率半rを下部角部12eの曲率
半径Rよりも小さくするだけでも緯糸の飛走トラブル頻
度を減らせる効果がある。
【0056】
【発明の効果】以上詳述したように本発明は、上壁面と
下壁面とを繋ぐ上部角部を曲面とすると共に、前記ガイ
ド孔の下壁面と奥壁面とを繋ぐ下部角部の曲率半径より
も前記上部角部の曲率半径を小さくし、奥壁面及び上壁
面の少なくとも一方に前記上部角部を含む緯糸飛走用溝
を設けると共に、緯糸飛走用溝の深さを前記奥壁面の長
さの25%以下としたので、緯入れ用補助ノズルからの
空気主流がガイド孔のいずれの壁面に衝突してもその後
の空気主流の偏向が上部角部で規制され、緯糸が上部角
部付近を安定して飛走し、高速飛走にも関わらず飛走ト
ラブルの発生割合を極めて少なくし得る。
【0057】前記上部角部の曲率半径を1mm以下とした
発明は緯糸の飛走安定の確実性を高める。前記ガイド孔
の下壁面における前記奥壁面からの延出寸法を前記上壁
面における前記奥壁面からの延出寸法の25%〜55%
とした発明では、緯入れ用補助ノズルの噴射孔を緯糸の
飛走する上部角部に近づけて緯糸通路内の空気流速を高
く保つことができ、緯糸飛走速度の高速化ひいては空気
消費量を削減し得るという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した第1の実施の形態の要部拡
大斜視図。
【図2】変形筬の要部拡大側面図。
【図3】図2のA−A線拡大断面図。
【図4】図2のB−B線拡大断面図。
【図5】図2のC−C線拡大断面図。
【図6】緯入れ用補助ノズルからの空気主流が上壁面に
衝突した場合のその後の推移を示す要部拡大側面図。
【図7】緯入れ用補助ノズルからの空気主流が奥壁面に
衝突した場合のその後の推移を説明する要部拡大側面
図。
【図8】緯入れ用補助ノズルからの空気主流が上部角部
に衝突した場合のその後の推移を説明する要部拡大側面
図。
【図9】図6のD−D線から見た緯入れ用補助ノズルか
らの空気主流の推移を示すD−D線断面図。
【図10】図7のE−E線から見た緯入れ用補助ノズル
からの空気主流の推移を示すE−E線断面図。
【図11】図8のF−F線から見た緯入れ用補助ノズル
からの空気主流の推移を示すF−F線断面図。
【図12】変形筬の緯糸通路内における上部角部付近の
緯入れ方向の空気流速分布図。
【図13】下壁面の寸法と緯糸飛走速度及び緯糸飛走ト
ラブル発生頻度との関係を説明するグラフ。
【図14】緯糸飛走用溝の深さの寸法比と緯糸飛走速度
との関係を示すグラフ。
【図15】緯糸飛走用溝の幅の寸法比と緯糸トラブル発
生頻度との関係を示すグラフ。
【図16】上部角部の曲率半径と緯糸の飛走トラブル発
生頻度との関係を説明するグラフ。
【図17】第2の実施の形態を示す要部拡大側面図。
【図18】緯糸飛走用溝の深さの寸法比と緯糸飛走速度
との関係を示すグラフ。
【図19】緯糸飛走用溝の深さと経糸トラブル発生頻度
との関係を説明するグラフ。
【図20】(a)は第3の実施の形態を示す要部拡大側
面図。(b)は第4の実施の形態を示す要部拡大側面
図。(c)は第5の実施の形態を示す要部拡大側面図。
【図21】第6実施の形態における緯入れ装置の斜視図
及び部分拡大斜視図の組み合わせ図。
【図22】要部拡大側面図。
【図23】従来の緯入れ装置の斜視図及び部分拡大斜視
図の組み合わせ図。
【図24】緯入れ用補助ノズルからの空気主流が従来の
変形筬の上壁面に衝突した場合のその後の推移を示す要
部拡大側面図。
【図25】緯入れ用補助ノズルからの空気主流が従来の
変形筬の奥壁面に衝突した場合のその後の推移を説明す
る要部拡大側面図。
【図26】緯入れ用補助ノズルからの空気主流が従来の
変形筬の上部角部に衝突した場合のその後の推移を説明
する要部拡大側面図。
【図27】図24のG−G線から見た緯入れ用補助ノズ
ルからの空気主流の推移を示すG−G線断面図。
【図28】図25のH−H線から見た緯入れ用補助ノズ
ルからの空気主流の推移を示すH−H線断面図。
【図29】図26のI−I線から見た緯入れ用補助ノズ
ルからの空気主流の推移を示すI−I線断面図。
【図30】従来の変形筬の緯糸通路内における空気流速
分布状態を説明する要部拡大側面図。
【図31】従来の変形筬の要部拡大側面図。
【符号の説明】
10…変形筬、11,11A…筬羽、12…ガイド孔、
12a…上壁面、12b…奥壁面、12c…下壁面、1
2d…上部角部、12e…下部角部、12g,12h,
12k,12m…緯糸飛走用溝。
フロントページの続き (72)発明者 石川 国広 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式 会社 豊田自動織機製作所 内 (56)参考文献 特開 平8−74143(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D03D 49/62 D03D 47/30

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上壁面、下壁面及び奥壁面からなるガイド
    孔を有する筬羽を緯入れ方向に多数列設して緯糸通路を
    形成するエアジェットルーム用の変形筬において、 前記ガイド孔の上壁面と奥壁面との間の上部角部の曲率
    半径を前記ガイド孔の下壁面と奥壁面との間の下部角部
    の曲率半径よりも小さくし、前記奥壁面及び前記上壁面
    の少なくとも一方に前記上部角部を含む緯糸飛走用溝を
    設け、前記緯糸飛走用溝を前記奥壁面に設けた場合に
    は、前記緯糸飛走用溝の幅を前記奥壁面の長さの40%
    以下とし前記緯糸飛走用溝を前記上壁面に設けた場合
    には、前記緯糸飛走用溝の幅を前記上壁面における前記
    奥壁面からの延出寸法の50%以下とし、また、前記緯
    糸飛走用溝は、前記上部角部円弧の接線を含む形状であ
    り、前記緯糸飛走用溝は、前記奥壁面側あるいは前記上
    壁面から前記上部角部側へ向かうにつれて徐々に深くな
    り、前記緯糸飛走用溝の深さを前記奥壁面の長さの25
    %以下としたエアジェットルーム用の変形筬。
  2. 【請求項2】前記上部角部の曲率半径を1mm以下とした
    請求項1に記載のエアジェットルーム用の変形筬。
  3. 【請求項3】少なくとも一部の前記ガイド孔の下壁面に
    おける前記奥壁面からの延出寸法を前記上壁面における
    前記奥壁面からの延出寸法の25%〜55%とした請求
    項1及び請求項2のいずれか1項に記載のエアジェット
    ルーム用の変形筬。
  4. 【請求項4】緯入れ方向へ向かうにつれて緯糸通路側へ
    入り込む傾斜面を前記上壁面、奥壁面及び下壁面に設
    け、前記上部角部の壁面において緯入れ方向へ向かうに
    つれて緯糸通路側へ入り込む傾斜面の傾斜角を他の壁面
    の傾斜面の傾斜角よりも小さくした請求項1乃至請求項
    3のいずれか1項に記載のエアジェットルーム用の変形
    筬。
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