JP3355275B2 - 歯車の高強度化装置 - Google Patents

歯車の高強度化装置

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JP3355275B2
JP3355275B2 JP05206196A JP5206196A JP3355275B2 JP 3355275 B2 JP3355275 B2 JP 3355275B2 JP 05206196 A JP05206196 A JP 05206196A JP 5206196 A JP5206196 A JP 5206196A JP 3355275 B2 JP3355275 B2 JP 3355275B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯車表面の強度を
高めるための歯車の高強度化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に、歯車は、使用に際して繰り返
し荷重を受けるため、その表面の疲労強度を高める必要
がある。このため、従来より、熱処理後の歯車表面に鋼
球等を衝突させて圧縮残留応力を付与するショットピー
ニングが広く行われている。
【0003】ところが、ショットピーニングでは、ショ
ット材として鋼球が使用されるため、歯車表面が粗れて
しまい、その表面粗度が低下するという不具合があっ
た。そこで、例えば、特公平5−21711号公報に開
示されているように、金属成形品を表面焼入れし、次い
で金属表面を研削した後に、粒径が0. 2mm〜0. 6
mmのガラスビーズを投射するようにした金属表面の高
強度化方法が知られている。これにより、金属表面を粗
らすことなく、疲労強度を向上させようとするものであ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来技術では、金属表面の面粗さの向上が認められるも
のの、付与される圧縮残留応力が低下して疲労強度を所
望の値まで向上させることができないという問題が指摘
されている。しかも、投射されるガラスビーズの指向性
が悪いため、このガラスビーズが種々の方向に飛散し易
くなり、特に歯車の歯面から歯元に前記ガラスビーズを
効率的に投射することができないという問題が指摘され
ている。
【0005】本発明は、この種の問題を解決するもので
あり、十分な圧縮残留応力を付与するとともに、歯面か
ら歯元にわたって平滑な面を得ることが可能な歯車の高
強度化装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するた
めに、本発明は、熱処理後の歯車が歯車保持機構により
保持された状態で、液体供給機構から投射機構に液体が
圧送されるとともに、ガラスビーズ供給機構から前記投
射機構にガラスビーズが所定量ずつ送り出される。これ
により、ガラスビーズと液体との噴流が歯車表面に向か
って投射され、前記ガラスビーズが指向性を有して所望
の圧縮残留応力を付与することができる。その際、ガラ
スビーズが歯車表面で粉砕し、この歯車表面の酸化物層
が除去されるとともに、歯面から歯元にわたって平滑な
面が得られる。
【0007】ここで、歯車が、歯車保持機構を構成する
スピンドルユニットの作用下に所定の方向に回転されな
がら、スライドユニットを介して軸方向に進退すると、
指向性を有する噴流が前記歯車表面全体に確実に投射さ
れる。従って、歯車の高強度化処理作業が均一かつ高精
度に遂行される。
【0008】また、投射機構を構成するノズルが、変位
手段の第1および第2スライドユニットを介し歯車に対
して平行移動するとともに、変位手段の傾動手段を介し
て歯車に対して傾動することにより、種々の異なる歯車
に所望の投射角を維持して液体とガラスビーズとの噴流
を投射することができ、しかも歯面の両側に噴流を効率
的に投射することが可能になる。
【0009】さらにまた、液体供給機構およびガラスビ
ーズ供給機構が、歯車保持機構と反対側から処理室内に
臨むように設定される。このため、液体供給機構および
ガラスビーズ供給機構と歯車保持機構とが干渉すること
がなく、装置全体の小型化が容易に図られる。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1の実施形態
に係る高強度化装置10の一部断面正面説明図であり、
図2は、前記高強度化装置10の一部断面側面説明図で
ある。
【0011】高強度化装置10は、被処理物である歯車
12を保持してケーシング14内のチャンバ(処理室)
14aでこの歯車12を位置決め保持する歯車保持機構
16と、液体、例えば、水18とガラスビーズ20との
噴流22を前記歯車12に向かって投射する投射機構2
4と、この投射機構24に前記水18を圧送する水供給
機構(液体供給機構)26と、前記投射機構24に前記
ガラスビーズ20を所定量ずつ送り出すガラスビーズ供
給機構28と、これらを駆動制御するための操作盤27
とを備える。
【0012】歯車保持機構16は、図1に示すように、
水供給機構26およびガラスビーズ供給機構28と反対
側からチャンバ14aに臨むように設定されている。こ
の歯車保持機構16は、基台29上に載置されたX軸ス
ライドユニット30とスピンドルユニット32とを備え
る。このX軸スライドユニット30を構成するX軸モー
タ34にボールねじ36が連結され、このボールねじ3
6に一対のガイドバー38が平行に配設されるととも
に、前記ボールねじ36と前記ガイドバー38とを介し
てスピンドルユニット32が矢印X方向に進退可能に支
持される。
【0013】スピンドルユニット32は、スピンドルモ
ータ40に連結されたスピンドル42を有し、このスピ
ンドル42の先端に歯車12が装着される。スピンドル
ユニット32の先端側は、ケーシング14の一方の側部
14bに形成された開口部44からこのケーシング14
内に挿入自在である。
【0014】投射機構24は、図2に示すように、変位
手段としてY軸スライドユニット46とZ軸スライドユ
ニット48とを備える。Y軸スライドユニット46は、
水平方向に指向するY軸モータ50を有し、このY軸モ
ータ50に連結されるボールねじ52とこのボールねじ
52に平行な一対のガイドバー54とを介して、Z軸ス
ライドユニット48が矢印Y方向に進退自在である。こ
のZ軸スライドユニット48を構成するZ軸モータ56
から鉛直下方向に延在するボールねじ58と、このボー
ルねじ58に平行な一対のガイドバー60とを介して、
移動体62が矢印Z方向に進退自在である。
【0015】移動体62から矢印Y方向に延在する一対
の支持ロッド64の先端に、矢印Z方向に指向して管体
66が装着される。管体66の上部には、水18の導入
をON・OFFするための開閉弁68が設けられるとと
もに、この管体66の下部には、前記水18にガラスビ
ーズ20を混合するためのミキシングチャンバ70が連
結され、このミキシングチャンバ70の下部にノズル7
2が配設される。
【0016】水供給機構26は、開閉弁68の入口側に
接続される水管路74を有し、この水管路74は、ケー
シング14内でスパイラル状に巻かれた後、このケーシ
ング14の他方の側部14cに継手76を介して接続さ
れる(図1参照)。この継手76には、図示しない高圧
ポンプが接続されており、この高圧ポンプは、噴流22
を歯車12に向かって所定の噴射圧力で投射するように
設定されている。
【0017】ガラスビーズ供給機構28は、ケーシング
14の上面に取り付け台78を介して保持されるホッパ
ー80を備える。ホッパー80の外周には、このホッパ
ー80に貯留されている複数のガラスビーズ20同士が
水分により互いに密着することを阻止するために、バン
ド状ヒータ81が装着される。
【0018】ホッパー80の下部に、このホッパー80
内のガラスビーズ20の残量を検出するためのロードセ
ル82が配設される。図1に示すように、ホッパー80
の出口側には、計量バルブ84、負圧計86およびレー
ザ流量計88が鉛直下方向に指向して連結されている。
管路90は、その一端をレーザ流量計88に接続され、
その他端をケーシング14内のチャンバ14aに挿入し
てミキシングチャンバ70に接続される。ホッパー80
に充填されているガラスビーズ20は、その直径が0.
05mm〜0.3mmに設定されている。
【0019】基台29上には、ミスト回収機構92が載
置される。このミスト回収機構92を構成する一対のダ
クト94、96の先端部は、ケーシング14の側部から
チャンバ14aに挿入され、歯車12とノズル72との
間にかつ前記歯車12に近接して配置されている。
【0020】ケーシング14の下部側には、下方に指向
して縮径する円錐部98が一体的に設けられており、こ
の円錐部98の下部開口部の下方には、排液用コンベア
100が配設されている。
【0021】このように構成される第1の実施形態に係
る高強度化装置10の動作について、以下に説明する。
【0022】先ず、切削加工により歯切り加工が施され
た歯車12には、浸炭焼入れ処理が行われる。そして、
浸炭焼入れ処理後の歯車12が歯車保持機構16を構成
するスピンドル42にセットされる一方、投射機構24
を構成するノズル72は、Y軸スライドユニット46お
よびZ軸スライドユニット48を介して矢印Y方向およ
び矢印Z方向に選択的に位置調整され、前記歯車12に
対応して配置される。
【0023】そこで、スピンドルモータ40を介してス
ピンドル42と一体的に歯車12が所定方向に回転する
とともに、X軸スライドユニット30を構成するX軸モ
ータ34を介し、前記歯車12がこのスピンドルユニッ
ト32と一体的に矢印X1方向に移動する(図1参
照)。
【0024】一方、投射機構24が駆動され、図示しな
い高圧ポンプの作用下に水18が水管路74を介して管
体66からミキシングチャンバ70に圧送される。ま
た、ガラスビーズ供給機構28を構成する計量バルブ8
4が駆動され、ミキシングチャンバ70に管路90から
所定量のガラスビーズ20が送給されている。このた
め、ノズル72から水18が噴射されると、ミキシング
チャンバ70内に負圧が発生し、管路90内のガラスビ
ーズ20がこの水18と混合して噴流22となって前記
ノズル72から歯車12に投射される。
【0025】その際、歯車12が一回転する間に、この
歯車12が矢印X1方向(歯車12の厚さ方向)にノズ
ル72の開口直径以内の距離だけ移動するように設定さ
れている。従って、水18とガラスビーズ20との噴流
22は、指向性を有して歯車12の歯先102、歯面1
04および歯元106の所望の位置に正確かつ均一に衝
突する(図3A〜図3C参照)。
【0026】ここで、モジュールが1.5、捩れ角が3
6°、圧力角が17.5°、歯数が52に設定された歯
車12を用い、噴流22を歯面104の基準ピッチ円
(PCD)対応部分に対して18°で投射する。これに
より、歯車12の歯面104および歯元106に対して
噴流22を確実に投射することができ、前記歯面104
および前記歯元106に対し十分な圧縮残留応力を付与
することが可能になる。
【0027】さらに、図4に示すように、ガラスビーズ
20が歯車12の歯面104に衝突すると、この歯面1
04の表面は、前記ガラスビーズ20を介して圧縮残留
応力が付与されるとともに研磨され、さらに、前記ガラ
スビーズ20が粉砕される。その際、粉砕片20aは、
歯面104に向けて噴射される水18によってこの歯面
104の表面に鋭角に押し付けられる。このため、歯車
12は、少なくとも歯面104の基準ピッチ円対応部分
から歯元106にわたって研磨処理が施され、確実に平
滑面に加工されるという効果が得られる。
【0028】また、図1に示すように、歯車保持機構1
6は、水供給機構26およびガラスビーズ供給機構28
と反対側からチャンバ14aに臨むように設定されてい
る。従って、歯車保持機構16と水供給機構26および
ガラスビーズ供給機構28とが干渉することがなく、高
強度化装置10の全体構成を容易に小型化することが可
能になる。
【0029】なお、図5Aは、歯車12に浸炭焼入れ処
理を施した後の歯面104の拡大図を示し、図5Bは、
この歯車12に高強度化装置10により高強度化処理が
施された後の前記歯面104の拡大図を示す。また、図
6Aは、浸炭焼入れ処理後の歯底の拡大図を示し、図6
Bは、前記高強度化装置10による高強度化処理が施さ
れた歯底の拡大図を示す。これにより、歯面104およ
び歯底の表面は、高強度化処理によって酸化物層が有効
に除去されるとともに、平滑化されていることがわかっ
た。
【0030】ところで、ノズル72から噴流22を投射
して歯車12に高強度化処理を施す際、チャンバ14a
内には粉砕された微細なガラスビーズ屑が浮遊する。こ
のため、ミスト回収機構92が駆動されることにより、
チャンバ14a内に浮遊する微細なガラスビーズ屑を一
対のダクト94、96から吸引して確実に回収すること
ができる。また、チャンバ14aに噴射されている水1
8およびガラスビーズ20の粉砕片20aは、ケーシン
グ14の下部に設けられている円錐部98から排液用コ
ンベア100内に排出され、この排液用コンベア100
を介して外部に回収される。
【0031】次いで、噴流22の歯面104の基準ピッ
チ円対応部分に対して投射される角度(投射角)を種々
変更して各歯車12に高強度化処理を施した後、夫々の
歯車12の圧縮残留応力と面粗さとを測定する実験を行
った。その結果が、図7に示されている。
【0032】これにより、歯面104への投射角が30
°以上になると、この歯面104の面が粗れてしまう一
方、この投射角が10°以下では、十分な圧縮残留応力
を付与することができなかった。従って、噴流22の投
射角は、10°〜30°の角度範囲に設定することが望
ましいという結果が得られた。
【0033】ところで、図8に示すように、歯面104
aの圧力角が小さな歯車12aに対して高強度化処理を
行う際には、ノズル72を平行移動(オフセット)する
ことにより、容易に対応することができる。すなわち、
ノズル72の軸心と歯車12aの中心Oとを結ぶ直線L
上にこのノズル72が配設された状態で、噴流22の投
射角が基準ピッチ円対応部分で10°以下になる場合、
このまま使用すると、上記のように十分な圧縮残留応力
を付与できないという不具合が発生してしまう。
【0034】そこで、図2に示すように、Y軸スライド
ユニット46を構成するY軸モータ50の駆動作用下
に、移動体62を矢印Y1方向に所定量(歯車12aの
圧力角に対応して決定される距離)だけ平行移動させ
る。そして、歯車12aの歯面104aに対する噴流2
2の投射角が10°〜30°の範囲内になる位置でノズ
ル72を位置決めし、この状態で前記歯車12aに対す
る高強度化処理を行えばよい。これにより、種々の異な
る歯車12、12a等に容易に対応することができ、極
めて汎用性に優れるという利点が得られる。
【0035】次いで、表1に示す仕様を有し、JIS規
格SCM420からなる素材により製造された歯車12
b、12cを用意し、この歯車12b、12cに浸炭焼
入れ処理を行った。さらに、歯車12bの回転数を28
回転、歯車12cの回転数を23回転に設定し、表2に
示す条件下で、高強度化装置10による高強度化処理が
施された。この場合、歯車12bの歯面に対する投射角
が18°、歯車12cの歯面に対する投射角が19°、
この歯車12b、12cの歯底に対する投射角がそれぞ
れ45°、40°に設定された。
【0036】なお、ガラスビーズ20の組成は、SiO
2 が72wt%、AlO3 が2wt%、Na2 OとK2
Oの和が13.5wt%、MgOが3.5wt%、Ca
Oが9wt%であった。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】そこで、上記高強度化処理が施された歯車
12bと12cおよび浸炭焼入れ処理のみが施された歯
車12b′と12c′を、それぞれ組み合わせ、所定の
トルクが加わるようにして回転させて、歯元強度および
歯面強度を確認する実験を行った。その結果が、表3お
よび図9に示されている。
【0040】
【表3】
【0041】これにより、ガラスビーズ20と水18と
の噴流22により高強度化処理が施された歯車12b、
12cは、浸炭焼入れ処理のみが施された歯車12
b′、12c′に比べ、歯元強度が約28%向上し、歯
面強度においても約31%向上したことが認められた。
【0042】また、図10には、クロム鋼(JIS規格
SCr)からなる歯車12dに噴流22による高強度化
処理を施したものと、これと同一材料からなり、高強度
化処理が施されない歯車12d′とを用い、それぞれの
歯元応力を測定した結果が示されている。これにより、
噴流22による高強度化処理が施された歯車12dは、
未処理の歯車12d′に比べて歯元応力が50%も向上
した。
【0043】次に、図11および図12には、本発明の
第2の実施形態に係る高強度化装置を構成する投射機構
120が示されている。なお、第1の実施形態に係る投
射機構24と同一の構成要素には同一の参照符号を付し
てその詳細な説明は省略する。
【0044】この投射機構120は、一対の支持ロッド
64の先端に固定される支持板122を備え、この支持
板122に傾動手段としての旋回モータ124が固着さ
れる。この旋回モータ124の回転駆動軸126には、
回動部材128を介して管体66が装着される。
【0045】このように構成される投射機構120で
は、図13に示すように、圧力角の小さな歯面104a
を有する歯車12aが用いられる際、旋回モータ124
の駆動作用下に回転駆動軸126を介して回動部材12
8と一体的に管体66が所定の角度だけ傾動される。従
って、ノズル72は、歯車12aの中心Oに向かう姿勢
から所定の角度α°だけ傾動した姿勢で歯車12aの歯
面104aに指向する(図13中、二点鎖線参照)。こ
のため、ノズル72から投射される噴流22の投射角
は、10°〜30°の角度範囲内に変更設定される。
【0046】このように、ノズル72を傾動させるだけ
で圧力角等の異なる種々の歯車12、12aに容易に対
応することができる他、このノズル72の角度を変更す
るだけで、前記歯車12、12aの歯面104、104
aの両側に対しそれぞれ10°〜30°の角度範囲内で
噴流22を投射することが可能になる。
【0047】すなわち、従来、歯面104、104aの
片側に高強度化処理を施した後、歯車12、12aをス
ピンドル42から取り外して反転させた状態でこのスピ
ンドル42に取着し、この歯面104、104aの反対
側に高強度化処理を施していた。これに対し、第2の実
施形態では、ノズル72を歯車12、12aの中心
(O)とノズル中心とを結ぶ直線(L)に対して左右対
称にオフセット可能である。このため、この歯車12、
12aを逆回転させるだけで前記歯車12、12aの付
け替え作業が不要になり、該歯車12、12aをスピン
ドル42に一旦取着した状態で、歯面104、104a
の両側に高強度化処理が遂行され、該高強度化処理の効
率化が容易に図られるという効果が得られる。
【0048】次に、図14および図15には、本発明の
第3の実施形態に係る高強度化装置140が示されてい
る。なお、第1の実施形態に係る高強度化装置10と同
一の構成要素には同一の参照符号を付してその詳細な説
明は省略する。
【0049】高強度化装置140は、比較的長尺な被処
理物142に対応した歯車保持機構144を備える。こ
の被処理物142は、長尺なロッド部142aとこのロ
ッド部142aの端部に一体的に設けられた歯車部14
2bとから構成される。
【0050】歯車保持機構144は、ケーシング14の
一方の側部14b側に配置されるスピンドルユニット1
48と、このケーシング14の他方の側部14c側に配
置されるとともに、前記スピンドルユニット148に同
軸的に対向する回転センタ150とを備える。
【0051】スピンドルユニット148は、スピンドル
モータ152に連結されたスピンドル154を有し、こ
のスピンドル154の先端には、歯車部142bの端部
を嵌合するための把持部材156が設けられる。回転セ
ンタ150は、被処理物142のロッド部142aの端
部を支持するセンタリング部材158を有し、このセン
タリング部材158がシリンダ160を介して矢印X方
向に進退自在である。
【0052】投射機構24は、図15に示すように、X
軸スライドユニット162を備える。このX軸スライド
ユニット162は、ケーシング14の側部14cに固着
されており、図示しないモータおよびボールねじ構造に
よりY軸スライドユニット46をZ軸スライドユニット
48と一体的に矢印X方向に進退させる。
【0053】このように構成される高強度化装置140
では、先ず、歯車部142bの端部が把持部材156に
嵌合されるとともに、ロッド部142aの端部がセンタ
リング部材158に支持される。これにより、被処理物
142が歯車保持機構144に位置決め保持される。
【0054】次いで、スピンドルユニット148を構成
するスピンドルモータ152の作用下にスピンドル15
4を介して把持部材156と一体的に被処理物142が
回転される。一方、X軸スライドユニット162が駆動
されてノズル72が矢印X方向に移動しながら、このノ
ズル72から被処理物142の歯車部142bに噴流2
2が投射され、この歯車部142bに高強度化処理が遂
行される。
【0055】従って、第3の実施形態に係る高強度化装
置140では、第1の実施形態に係る高強度化装置10
と同様の効果が得られることになる。
【0056】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る歯車の高強
度化装置では、熱処理後の歯車表面にガラスビーズと液
体との噴流が投射されることにより、圧縮残留応力の付
与と前記ガラスビーズの粉砕による酸化物層の除去およ
び歯車表面の平滑化が効率的かつ高精度に行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る高強度化装置の一部断面
正面説明図である。
【図2】前記第1の実施形態に係る高強度化装置の一部
断面側面説明図である。
【図3】前記高強度化装置の動作を説明する図であり、
図3Aは、歯先処理状態の説明図であり、図3Bは、歯
面処理状態の説明図であり、図3Cは、歯元処理状態の
説明図である。
【図4】歯面にガラスビーズが衝突した際の説明図であ
る。
【図5】前記高強度化装置の動作説明図であり、図5A
は、浸炭焼入れ処理後の基準ピッチ円対応部分の拡大図
であり、図5Bは、前記高強度化処理が施された基準ピ
ッチ円対応部分の拡大図である。
【図6】前記高強度化処理の説明図であり、図6Aは、
浸炭焼入れ処理後の歯底の拡大図であり、図6Bは、前
記高強度化処理後の歯底の拡大図である。
【図7】投射角と残留応力および面粗さとの関係を示す
図である。
【図8】ノズルをオフセットした状態の説明図である。
【図9】高強度化処理が施された歯車と該処理が施され
ない歯車とにおけるそれぞれの負荷トルクの説明図であ
る。
【図10】前記高強度化処理が施された歯車と該処理が
施されない歯車とにおけるそれぞれの歯元応力の説明図
である。
【図11】第2の実施形態に係る高強度化装置を構成す
る投射機構の斜視説明図である。
【図12】図11の投射機構の正面説明図である。
【図13】図12の投射機構による角度調整作業の説明
図である。
【図14】第3の実施形態に係る高強度化装置の一部断
面正面説明図である。
【図15】図14の高強度化装置の一部断面側面説明図
である。
【符号の説明】
10、140…高強度化装置 12、12a…歯
車 14…ケーシング 14a…チャンバ 16、144…歯車保持機構 18…水 20…ガラスビーズ 22…噴流 24、120…投射機構 26…水供給機構 28…ガラスビーズ供給機構 30、162…X
軸スライドユニット 32、148…スピンドルユニット 42、154…ス
ピンドル 46…Y軸スライドユニット 48…Z軸スライ
ドユニット 66…管体 70…ミキシング
チャンバ 72…ノズル 74…水管路 80…ホッパー 90…管路 92…ミスト回収機構 102…歯先 104、104a…歯面 106…歯元 124…旋回モータ 128…回動部材 142…被処理物 142b…歯車部 150…回転センタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−84974(JP,A) 特開 平5−301165(JP,A) 実開 平5−24264(JP,U) 実開 昭64−56962(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B24C 1/10

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】歯車表面の強度を高めるための歯車の高強
    度化装置であって、 処理室内で、熱処理後の前記歯車を保持して所定の方向
    に回転自在なスピンドルユニットと、前記歯車を保持し
    た前記スピンドルユニットを、該歯車の軸方向に進退自
    在なスライドユニットとを備える歯車保持機構と、 前記歯車に向かって液体とガラスビーズとの噴流を投射
    するノズルと、前記ノズルを前記歯車に対して進退変位
    させる変位手段とを備える投射機構と、 前記投射機構に前記液体を圧送する液体供給機構と、 前記投射機構に前記ガラスビーズを所定量ずつ送り出す
    ガラスビーズ供給機構と、を備えるとともに、 前記変位手段は、前記ノズルを平行移動可能な第1スラ
    イドユニットと、前記ノズルをその軸心方向に移動可能
    な第2スライドユニットと、前記ノズルを前記歯車の中
    心に向かう姿勢から所定の角度範囲で傾動自在な傾動手
    段とを有する ことを特徴とする歯車の高強度化装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の歯車の高強度化装置におい
    て、前記液体供給機構および前記ガラスビーズ供給機構
    は、前記歯車保持機構と反対側から前記処理室内に臨む
    ように設定されることを特徴とする歯車の高強度化装
    置。
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