JP2009018370A - ショットピーニング処理方法及びその装置 - Google Patents

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健介 塩田
Hiroshi Ogawa
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Abstract

【課題】ショットピーニング処理によって、被処理物の硬度及び強度をともに向上させる。
【解決手段】ショットピーニング処理装置10は、制御回路を具備した制御盤102を有する。歯車14には、少なくとも2回のショットピーニング処理が施される。前記制御回路は、2回目のショットピーニング処理が、1回目のショットピーニング処理時に比して大きな投射エネルギでガラスビーズ20が投射されるような制御を行う。例えば、2回目のショットピーニング処理に際しては、1回目に比してガラスビーズ20の投射速度が大きく設定される。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱化学処理が施された鋼材に対してメディアを2回以上投射することで複数回のショットピーニング処理を施すショットピーニング処理方法及びその装置に関する。
歯車には、その使用に際して荷重が繰り返し付加される。このため、歯車は、優れた疲労強度を具備することが必要である。
歯車の疲労強度を向上させる手法の1つとして、ショットピーニング処理が挙げられる(例えば、特許文献1、2参照)。すなわち、歯車の表面に鋼球やガラスビーズ等の各種メディアを衝突させ、これにより該歯車に圧縮残留応力を付与する手法である。なお、特許文献3〜5に記載されているように、ショットピーニング処理が歯車のみならずバネ等の強度向上に有効であることは勿論である。
近年では、疲労強度を一層向上させるべく、ショットピーニング処理を2回行う、いわゆる2段階ショットピーニング処理が採用されることもある。この2段階ショットピーニング処理においては、前記特許文献2、3に記載されているように、2段目のショットピーニング処理時のメディアとしては、1段目のショットピーニング処理時に比して平均粒子径ないし直径、換言すれば、質量が小さいものが使用される。又は、特許文献3に記載されるように、2段目のショットピーニング処理時のメディアの投射速度が1段目のショットピーニング処理時に比して小さく設定されることもある。
このように、2段階ショットピーニング処理に際しては、後段のショットピーニング処理時におけるメディアの質量や投射速度を小さくしている。結局、従来技術では、後段における投射エネルギが小さく設定される。投射エネルギが下記の式(1)で表されるため、質量又は投射速度のいずれか一方が小さくなれば、これに伴って投射エネルギが小さくなるからである。
E=(1/2)×mV2 …(1)
ただし、E:投射エネルギ、m:メディアの質量、V:メディアの投射速度である。
特開平9−248765号公報 特許第3611785号公報 特開平10−251748号公報 特開2000−313938号公報 特許第3403913号公報
近年では、歯車等に高強度とともに高硬度を併せ持つことが希求されている。硬度を大きくするためには、投射エネルギを大きくしてショットピーニング処理を行えばよい。しかしながら、この場合、硬度は上昇するものの、表面の凹凸の度合い、換言すれば、いわゆる面粗さが大きくなる。このことに起因して、歯車の強度が低下してしまう。
すなわち、ショットピーニング処理によって部材の強度及び硬度の双方を向上させることは困難である。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、部材の強度及び硬度の双方を同時に向上させることが可能であり、しかも、そのための装置構成が複雑化することを回避可能なショットピーニング処理方法及びその装置を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、熱化学処理が施された鋼材に対してメディアを投射することでショットピーニング処理を施すショットピーニング処理方法であって、
前記ショットピーニング処理を2回以上行い、
且つ後段のショットピーニング処理時における投射エネルギを、前段のショットピーニング処理時に比して大きくすることを特徴とする。
硬度を向上させるために大きな投射エネルギでショットピーニング処理を行った場合、被処理物の面粗さが大きくなり、その結果、強度が低下する。また、このショットピーニング処理の後、特許文献2、3に記載されるように、小さな投射エネルギで再度のショットピーニング処理を行っても、面粗さは略同等で維持される。すなわち、依然として低強度のままである。
これに対し、後段の投射エネルギを前段に比して大きくした状態でショットピーニング処理を施した場合、前段のショットピーニング処理による面粗さが小さくなり、しかも、後段のショットピーニング処理を施しても、この面粗さが略維持される。このため、小さな投射エネルギで再度のショットピーニング処理を行う場合に比して、被処理物の硬度が著しく大きくなる。その一方で、大きな投射エネルギで投射が行われたことに伴い、強度も向上する。
すなわち、上記のようにしてショットピーニング処理を行うことにより、強度及び硬度に優れた被処理物を得ることができる。
ここで、後段のショットピーニング処理の際に投射エネルギを大きくするためには、例えば、メディアの投射圧力を前段のショットピーニング処理時に比して大きくすればよい。又は、後段のショットピーニング処理時に使用されるメディアの質量を、前段に比して大きくするようにしてもよい。いずれの場合においても、上記の式(1)に従い、投射エネルギEが大きくなる。
なお、メディアとしては、例えば、ガラスビーズを用いることができる。この場合、水等の液体を媒体とし、いわゆるウォータジェットピーニングを行うようにしてもよい。
また、本発明は、熱化学処理が施された鋼材に対してメディアを2回以上投射することで複数回のショットピーニング処理を施すショットピーニング処理装置であって、
前記メディアを投射するための投射機構と、
前記メディアを投射する際に投射条件を制御する制御機構と、
を有し、
前記制御機構は、後段のショットピーニング処理時における投射エネルギを、前段のショットピーニング処理時に比して大きくなるように投射条件を制御することを特徴とする。
このような制御を行うことで、投射エネルギを上記のように変更することが可能となる。結局、表面が平滑化されるとともに圧縮残留応力が付与され、このために硬度及び強度に優れる被処理物を容易に得ることが可能なショットピーニング処理装置が構成される。
投射エネルギは、具体的には、前記制御機構が後段のショットピーニング処理の際にメディアの投射圧力を前段のショットピーニング処理時に比して大きくする制御を行うことによって変更される。
又は、制御機構に、後段のショットピーニング処理の際に、前段のショットピーニング処理の際に投射されるメディアよりも質量の大きいメディアを投射する制御を行わせることによっても、投射エネルギを変更することができる。
この場合、前段のショットピーニング処理を行うメディアを投射する投射機構と、後段のショットピーニング処理を行うメディアを投射する投射機構とを同一とすることが好ましい。この場合、メディア毎に別個の投射機構を設ける必要がないので、装置構成を簡素化することができるからである。
さらに、当該ショットピーニング処理装置の好適な例としては、メディアとしてガラスビーズを用いるウォータジェットピーニング処理装置を挙げることができる。
本発明においては、後段のショットピーニング処理時における投射エネルギを前段のショットピーニング処理時に比して大きくするようにしているので、被処理物の表面の面粗さが小さくなる。これに伴い被処理物の硬度が向上するとともに、該被処理物に、大きな投射エネルギによって大きな圧縮残留応力が付与される。このため、高硬度及び高強度の双方を同時に兼ね備える被処理物を容易に得ることができる。
以下、本発明に係るショットピーニング処理方法につき、それを実施するショットピーニング処理装置との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係るショットピーニング処理装置10の一部断面正面説明図であり、図2は、前記ショットピーニング処理装置10の一部断面側面説明図である。
このショットピーニング処理装置10は、ケーシング12内のチャンバ13に配設されて被処理物である歯車14を位置決め保持する歯車保持機構16と、液体、例えば、水18とガラスビーズ20との噴流22を前記歯車14に向かって投射する投射機構24と、この投射機構24に前記水18を圧送する水供給機構26と、前記投射機構24に前記ガラスビーズ20を所定量ずつ送り出すガラスビーズ供給機構28と、後述するショットピーニング処理時に前記ガラスビーズ20が前記歯車14の表面で粉砕することで生成する粉流屑20b(図3参照)を吸引回収するミスト回収機構29とを備える。
図1に示すように、歯車保持機構16は、基台30上に載置されたX軸スライドユニット31とスピンドルユニット32とを備える。このX軸スライドユニット31を構成するX軸モータ34にボールねじ36が連結され、このボールねじ36に一対のガイドバー38が平行に配設されるとともに、前記ボールねじ36と前記ガイドバー38とを介してスピンドルユニット32が矢印X方向に進退可能に支持される。
スピンドルユニット32は、スピンドルモータ40に連結されたスピンドル42を有し、このスピンドル42の先端に歯車14が装着される。スピンドルユニット32の先端側は、ケーシング12の側部12bに形成された開口部44からこのケーシング12内に挿入自在である。
投射機構24は、図2に示すように、Y軸スライドユニット46とZ軸スライドユニット48とを備える。Y軸スライドユニット46は、水平方向に指向するY軸モータ50を有し、このY軸モータ50に連結されるボールねじ52とこのボールねじ52に平行な一対のガイドバー54とを介して、Z軸スライドユニット48が矢印Y方向に進退自在である。このZ軸スライドユニット48を構成するZ軸モータ56から鉛直下方向に延在するボールねじ58と、このボールねじ58に平行な一対のガイドバー60とを介して、移動体62が矢印Z方向に進退自在である。
移動体62から矢印Y方向に延在する一対の支持ロッド64の先端に、矢印Z方向に指向して管体66が装着される。管体66の上部には、水18の導入をON・OFFするための開閉弁68が設けられるとともに、この管体66の下部には、前記水18にガラスビーズ20を混合するためのミキシングチャンバ70が連結され、このミキシングチャンバ70の下部にノズル72が配設される。
水供給機構26は、開閉弁68の入口側に接続される水管路74を有し、この水管路74は、ケーシング12内でスパイラル状に巻かれた後、このケーシング12の外部に継手76を介して接続される(図1参照)。この継手76には、図示しない高圧ポンプが接続されており、この高圧ポンプは、噴流22を歯車14に向かって所定の噴射圧力で投射するように設定されている。
ガラスビーズ供給機構28は、ケーシング12の上面に取り付け台78を介して保持されるホッパ80を備える。前記ガラスビーズ20は、このホッパ80に充填されている。換言すれば、ガラスビーズ20は、取り付け台78に取り付けられたホッパ80から供給されて投射される。本実施の形態において、ホッパ80に充填されているガラスビーズ20は、その直径が0.05mm〜0.5mmに設定されている。
このホッパ80の下部には、該ホッパ80内のガラスビーズ20の残量を検出するためのロードセル82が配設される。図1に示すように、ホッパ80の出口側には、計量バルブ84、負圧計86及びレーザ流量計88が鉛直下方向に指向して連結されている。管路90は、その一端をレーザ流量計88に接続され、その他端をケーシング12内のチャンバ13に挿入してミキシングチャンバ70に接続される。
ミスト回収機構29は、基台30上に載置された本体部92を備える。この本体部92内に収容された負圧発生源(図示せず)に連通して一対のダクト94、96が接続され、この一対のダクト94、96の先端部は、ケーシング12の側部12bからチャンバ13に挿入される。ダクト94、96の各々の先端部に形成された第1開口部94a及び第2開口部96aは、歯車14とノズル72との間で且つ前記歯車14に近接して開口している(図2参照)。
ケーシング12の下部側には、下方に指向して縮径する円錐部98が一体的に設けられており、この円錐部98の下部開口部の下方には、排液用コンベア100が配設されている。
以上の構成において、歯車保持機構16、投射機構24、水供給機構26、ガラスビーズ供給機構28、及びミスト回収機構29は、制御回路(制御機構)を具備する制御盤102に対し、電気的通信手段、光学的通信手段、又はその他の通信手段を介して接続されている。
本実施の形態に係るショットピーニング処理方法は、上記のように構成されるショットピーニング処理装置10を用い、以下のようにして実施される。
先ず、切削加工により歯切り加工が施された歯車14には、熱化学処理が施される。なお、熱化学処理としては、JIS B 6905に規定されるように、浸炭、窒化、浸硫等の各種表面処理が挙げられる。
上記したような熱化学処理が施された歯車14は、歯車保持機構16を構成するスピンドル42にセットされる。その一方で、投射機構24を構成するノズル72が、Y軸スライドユニット46及びZ軸スライドユニット48を介して矢印Y方向及び矢印Z方向に選択的に位置調整され、前記歯車14に対応して配置される。
次に、スピンドルモータ40を介してスピンドル42と一体的に歯車14が所定方向に回転するとともに、X軸スライドユニット31を構成するX軸モータ34を介し、前記歯車14がこのスピンドルユニット32と一体的に矢印X1方向に移動する(図1参照)。
その際、投射機構24が駆動され、図示しない前記高圧ポンプの作用下に水18が水管路74を介して管体66からミキシングチャンバ70に圧送される。勿論、前記高圧ポンプの噴出圧力(投射圧力)は、制御盤102が具備する前記制御回路によって所定の圧力に制御される。本実施の形態では、前記高圧ポンプで加圧される水18の投射圧力が100〜350MPaの範囲内となるように設定される。
一方、ガラスビーズ供給機構28においては、計量バルブ84が駆動され、ミキシングチャンバ70に管路90から所定量のガラスビーズ20が予め送給されている。このため、ノズル72から水18が噴射されると、ミキシングチャンバ70内に負圧が発生し、管路90内のガラスビーズ20がこの水18と混合して噴流22となって前記ノズル72から歯車14に投射される。
最終的に、図3に示すように、水18とガラスビーズ20との噴流22が指向性を有して歯車14の歯先106、歯面108及び歯元110の所望の位置に正確に衝突する。その結果、これら歯面108及び歯元110の表面に圧縮残留応力が付与される。
ここで、ガラスビーズ20は、前記の衝突に際して粉砕される。これにより生じた粉砕片20aは、該ガラスビーズ20とともに歯車14に向けて噴射された水18によって歯車14(歯面108及び歯元110)の表面に鋭角に押し付けられる。このため、歯車14における歯面108から歯元110にわたって研磨処理が施され、所定の面粗さに加工される。以上のようにして、歯車14に対する1回目のショットピーニング処理が施される。
所定時間が経過した後、水供給機構26及びガラスビーズ供給機構28から水18、ガラスビーズ20の供給がそれぞれ停止され、これに伴い、投射機構24からの噴流22の投射が停止される。勿論、上記の噴流22の投射から停止に至るショットピーニング処理装置10の動作は、制御盤102が具備する制御回路の制御作用下に営まれる。
次に、歯車14に対して2回目のショットピーニング処理が実施される。すなわち、水供給機構26及びガラスビーズ供給機構28から水18、ガラスビーズ20がそれぞれ再供給され、結局、歯車14に対し、投射機構24から噴流22が投射される。
ここで、前記制御回路は、2回目のショットピーニング処理時における投射エネルギが1回目のショットピーニング処理時に比して大きくなるように制御を行う。具体的には、この場合、噴流22の投射圧力を大きくするように前記高圧ポンプに指令を発する。
本実施の形態では、1回目及び2回目のショットピーニング処理の双方において、同一のガラスビーズ20がメディアとして使用される。従って、投射圧力が大きい2回目のショットピーニング処理時では、1回目のショットピーニング処理時に比して噴流22の投射速度、すなわち、上記の式(1)中のVが大きくなるので、投射エネルギEも大きくなる。
なお、2回目のショットピーニング処理に際し、ガラスビーズ20に比して質量、すなわち、上記の式(1)中のmが大きなメディアを使用することで投射エネルギEを大きくするようにしてもよい。このようなメディアの好適な例としては、ガラスビーズ20よりも大径なガラスビーズを挙げることができる。
この場合、ガラスビーズ供給機構28と同様の構成の第2ガラスビーズ供給機構を別に設け、この第2ガラスビーズ供給機構から、ガラスビーズ20よりも大径な前記ガラスビーズを投射機構24に供給するようにすればよい。勿論、前記制御回路は、1回目のショットピーニング処理時にガラスビーズ供給機構28を駆動してガラスビーズ20が投射され、2回目のショットピーニング処理時に前記第2ガラスビーズ供給機構を駆動して大径なガラスビーズが投射されるように制御を行う。
ガラスビーズに代替して別のメディアを使用する場合も同様に、ガラスビーズ供給機構28とは別のメディア供給機構を設けるとともに、前記制御回路に、2回目のショットピーニング処理時に前記メディア供給機構が駆動されるような制御を行わせればよい。
いずれの場合においても、1回目及び2回目のショットピーニング処理時に投射機構24を兼用することができる。すなわち、1回目のショットピーニング処理時にガラスビーズ20を投射するための投射機構24とは別に、2回目のショットピーニング処理時にメディアを投射するための投射機構を設ける必要は特にない。これにより、ショットピーニング処理装置10の構成が複雑化することを回避することができる。
勿論、上記式(1)におけるmとVを同時に大きくするようにしてもよい。すなわち、ガラスビーズ20に比して質量が大きなメディアを1回目のショットピーニング処理時に比して大きな投射速度で投射するようにしてもよい。
例えば、直径が0.05mm〜0.5mmの間の所定値であるガラスビーズ20の質量を1とし、且つ100〜350MPaの間の所定の投射圧力で水18とともに投射されたガラスビーズ20の投射速度を1としたとき、質量比215.5のガラスビーズ20を水18とともに速度比1.6の投射速度で投射することで投射エネルギを約0.087Nmとしてショットピーニング処理を1回のみ行った場合、JIS B 0601(2001年)に規定される最大高さは、約8.8μmである。また、1回目のショットピーニング処理時の投射エネルギを上記と同様に約0.087Nmとし、且つ2回目のショットピーニング処理時の投射エネルギを、(a)質量比1のガラスビーズ20を水18とともに速度比1.9の投射速度で投射することで約0.001Nm、(b)質量比17.5のガラスビーズ20を水18とともに速度比1.6の投射速度で投射することで約0.007Nm、(c)質量比63.8のガラスビーズ20を水18とともに速度比1.6の投射速度で投射することで約0.026Nmのいずれかとした場合、すなわち、特許文献2、3に記載されているように、2回目のショットピーニング処理時の投射エネルギを1回目に比して小さくした場合、前記最大高さは、それぞれ、(a)約9.3μm、(b)約7.8μm、(c)約8.9μmである。この結果から、1回目のショットピーニング処理時に面粗さが大きくなると、2回目のショットピーニング処理時に平滑化することは困難であることが諒解される。
なお、2回目のショットピーニング処理時における投射エネルギは、ガラスビーズの直径(質量)を小さくしたり、投射圧力を小さくしたり、又はその双方を併用したりすることによって、1回目のショットピーニング処理時における投射エネルギよりも小さくしている。
これに対し、前段のショットピーニング処理時の投射エネルギと後段のショットピーニング処理時の投射エネルギを逆にした場合、すなわち、1回目のショットピーニング処理時の投射エネルギを、(d)質量比1のガラスビーズ20を水18とともに速度比1.9の投射速度で投射することで約0.001Nm、(e)質量比17.5のガラスビーズ20を水18とともに速度比1.6の投射速度で投射することで約0.007Nm、(f)質量比63.8のガラスビーズ20を水18とともに速度比1.6の投射速度で投射することで約0.026Nmのいずれかとするとともに、2回目のショットピーニング処理時の投射エネルギを、質量比215.5のガラスビーズ20を水18とともに速度比1.6の投射速度で投射することで約0.087Nmとした場合、前記最大高さは、それぞれ、(d)約6.8μm、(e)約6.2μm、(f)約7μmとなる。すなわち、2回目のショットピーニング処理時における投射エネルギを大きくすることにより、面粗さが小さくなり平滑化が容易となる。
この場合、2回目のショットピーニング処理時における投射エネルギは、上記したように、ガラスビーズの径を大きくしたり、投射圧力を大きくしたり、その双方を併用したりすることによって、1回目のショットピーニング処理時における投射エネルギよりも大きくしている。
平滑な歯車14は、面粗さが大きな歯車よりも優れた硬度を示す。結局、本実施の形態によれば、ショットピーニング処理によって該歯車14の強度を向上させると同時に、歯車14の表面を平滑化することで硬度を向上させることができる。
この後、1回以上のショットピーニング処理をさらに行うようにしてもよい。この場合においても、後段のショットピーニング処理を行う際の投射エネルギを前回のショットピーニング処理時に比して順次大きくすればよい。この場合、メディア供給機構を複数個設け、各ホッパ80に質量が互いに相違するメディアを充填し、質量が小さいものから順に投射するようにすればよい。勿論、メディアの投射順序は、前記制御盤102の制御回路の作用下に切り替えられる。
上記したショットピーニング処理に際しては、いずれの回においても、水18及びガラスビーズ20の粉砕片20aは、ケーシング12の下部に設けられている円錐部98から排液用コンベア100内に排出され、この排液用コンベア100を介して外部に回収される。しかしながら、ガラスビーズ20の粉砕に伴って生成した粉砕片20aよりも極めて微細な粉流屑20bは、チャンバ13内で浮遊し易い。
この粉流屑20bは、ミスト回収機構29によって収集される。すなわち、該ミスト回収機構29を構成する一対のダクト94、96の先端部がチャンバ13内に挿入され、それぞれの先端部に形成された第1開口部94a及び第2開口部96aが、歯車14とノズル72との間で前記歯車14に近接して開口している。このため、ミスト回収機構29が駆動されて第1開口部94a及び第2開口部96aから吸引が行われると、図4に示すように、チャンバ13内で浮遊する微細な粉流屑20bを含むミストが、第1開口部94a及び第2開口部96aからダクト94、96を介して確実に吸引される。
このように、ガラスビーズ20の粉砕によって生成された粉流屑20bは、ミスト回収機構29により容易且つ確実に回収される。従って、粉流屑20bがスピンドル42等に付着することが回避され、その結果、該スピンドル42の回転動作に不具合が発生することも回避される。
なお、上記した実施の形態では、水18とともにガラスビーズ20を投射する、いわゆるウォータジェットピーニング処理装置を用いるようにしているが、メディア及び媒体の各々は、水18、ガラスビーズ20に特に限定されるものではなく、公知のメディア及び媒体を採用することができる。水18は、純水であってもよいし、不可避的不純物を含む水であってもよい。また、水18に代替して各種の水溶液を用いるようにしてもよい。
また、ショットピーニング処理自体も、ウォータジェットピーニング処理に特に限定されるものではなく、公知のショットピーニング処理であればよい。
勿論、ショットピーニング処理が施される被処理物も歯車14に特に限定されるものではなく、例えばバネ等、他の部材であってもよい。
本実施の形態に係るショットピーニング処理装置の一部断面正面説明図である。 図1のショットピーニング処理装置の一部断面側面説明図である。 歯面にガラスビーズが衝突した際の説明図である。 ミスト回収機構の動作を説明する一部拡大図である。
符号の説明
10…ショットピーニング処理装置 12…ケーシング
13…チャンバ 14…歯車
16…歯車保持機構 18…水
20…ガラスビーズ 22…噴流
24…投射機構 26…水供給機構
28…ガラスビーズ供給機構 29…ミスト回収機構
66…管体 72…ノズル
74…水管路 80…ホッパ
90…管路 94、96…ダクト
102…制御盤

Claims (4)

  1. 熱化学処理が施された鋼材に対してメディアを投射することでショットピーニング処理を施すショットピーニング処理方法であって、
    前記ショットピーニング処理を2回以上行い、
    且つ後段のショットピーニング処理時における投射エネルギを、前段のショットピーニング処理時に比して大きくすることを特徴とするショットピーニング処理方法。
  2. 熱化学処理が施された鋼材に対してメディアを2回以上投射することで複数回のショットピーニング処理を施すショットピーニング処理装置であって、
    前記メディアを投射するための投射機構と、
    前記メディアを投射する際に投射条件を制御する制御機構と、
    を有し、
    前記制御機構は、後段のショットピーニング処理時における投射エネルギを、前段のショットピーニング処理時に比して大きくなるように投射条件を制御することを特徴とするショットピーニング処理装置。
  3. 請求項2記載の装置において、前段のショットピーニング処理を行うメディアを投射する投射機構と、後段のショットピーニング処理を行うメディアを投射する投射機構が同一であることを特徴とするショットピーニング処理装置。
  4. 請求項2又は3記載の装置において、前記メディアとしてガラスビーズを用いるウォータジェットピーニング処理装置であることを特徴とするショットピーニング処理装置。
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