JP4919446B2 - 微細溝加工方法及びその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、ITおよびナノテクノロジにおける光学素子やマイクロピエゾアクチュエータを製造するために、高能率で高品位の微細構パターンを加工する微細溝加工方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光学素子等のガラスの微細加工に対するニーズが高まり、単結晶ダイヤモンド工具による延性モード切削やレーザ加工など、多くの機械加工や高エネルギ加工法が考案されている。また、最近では噴射加工のように砥粒の衝突による微細加工の例も報告されている。この場合は砥粒がエアにより運ばれて被加工物に噴射される。また、型による形状の転写、あるいはフッ酸による化学反応を利用した加工が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の砥粒の噴流衝突による微細溝加工では、砥粒がエアによりガラス体に対して垂直に噴射されると、割れ易いという問題点があった。また、このときに噴射圧力を上げエアを高速で供給するため、さらに脆性破壊が生じやすくなる。
【0004】
したがってこのような脆性損傷の生じやすい加工法では、光学素子やアクチュエータの製造には適していなかった。
【0005】
一方、型による形状の転写に関しては型製作に対するコストや時間を要するという問題点があった。また、フッ酸による化学反応を利用した加工に関しては化学反応による微細溝加工について化学反応時間が長いので加工効率が悪く、また薬品の取り扱いが難しいという問題点があった。
【0006】
この発明は上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、アブレッシブ粒子によるエロージョン効果と酸化セリウムと石英ガラスとの化学的作用を利用し、従来の加工法に対して加工対象である硬質部材に脆性損傷を起こさず、さらに能率,コスト,安全面において改善を図り得る微細溝加工方法及びその装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1によるこの発明の微細溝加工方法は、加工すべきガラス体である硬質部材の表面に、当該ガラス体である硬質部材の硬度より硬度の大きな材質で、スリット形状の加工すべき位置に対応してV字形状の溝を備えたマスキング部材を被覆し、この溝にアブレッシブ粒子を含有した水溶液流体を前記スリット形状の幅より大きいノズル径から噴射して、上記溝に対応した部分に微細溝加工を行うものであり、前記水溶液流体の前記スリット形状の幅より大きいノズル径からの噴射方向を、ガラス体である硬質部材の表面に対してほぼ垂直方向に向けることにより、前記水溶液流体は前記V字形状のテーパ部を有するマスクの露出部に沿って流れるようにコントロールされて加工表面に対しては水平に流れ、ガラス体である硬質部材の表面付近で流速零領域となるよどみ点を形成し、前記水溶液流体を前記よどみ点で前記溝に沿う方向に屈曲せしめることを特徴とする。
【0008】
したがって、アブレッシブ粒子を含有した水溶液流体がV字形状の溝に向けて噴射されると、V字形状の溝によって水溶液流体とマスキング部材との摩擦による圧力降下が減少し水溶液流体が細い溝幅に進入できるので、ノズル径より小さい幅の溝に対してもアブレッシブ粒子によるエロージョン効果による微細溝加工が行われる。その結果、硬質部材上の所定の位置に所定の微細溝を選択的に創成できる。
さらに、水溶液流体が硬質部材の表面に対してほぼ垂直方向に供給される噴射部直下では、硬質部材の表面付近によどみ点が形成されるので、硬質部材の表面に脆性損傷が発生することがない。さらに、よどみ点で屈曲して溝に沿う方向に流れる水溶液流体によりアブレッシブ粒子の衝突角がほぼ零の状態で硬質部材の表面を変形および除去するので、脆性損傷のない良好な仕上げ面の細溝が創成される。
【0011】
請求項2によるこの発明の微細溝加工方法は、請求項1記載の微細溝加工方法において、前記アブレッシブ粒子が酸化セリウムからなり、前記硬質部材がガラス体であることを特徴とするものである。
【0012】
したがって、酸化セリウムはガラス体との化学的作用が大きいので、機械的変形・除去と化学的作用によってより一層効率的に加工され、且つ良好な仕上げ面が得られる。
【0013】
請求項3によるこの発明の微細溝加工装置は、加工すべきガラス体である硬質部材の硬度より硬度の大きな材質で、スリット形状の加工すべき位置に対応してV字形状の溝を備えたマスキング部材と、このマスキング部材を前記ガラス体である硬質部材の表面に被覆した状態で設置する加工テーブルと、この加工テーブル上のガラス体である硬質部材に対してマスキング部材の溝にアブレッシブ粒子を含有した水溶液流体を噴射して微細溝加工を行うノズルと、このノズルと前記加工テーブルとを相対的にX軸、Y軸方向に移動せしめる加工部移動位置決め装置と、からなるものであり、前記ノズルのノズル径は、前記スリット形状の幅より大きく、前記水溶液流体の前記スリット形状の幅より大きいノズル径からの噴射方向を、ガラス体である硬質部材の表面に対してほぼ垂直方向に向けることにより、前記水溶液流体は前記V字形状のテーパ部を有するマスクの露出部に沿って流れるようにコントロールされて加工表面に対しては水平に流れ、ガラス体である硬質部材の表面付近で流速零領域となるよどみ点を形成し、前記水溶液流体を前記よどみ点で前記溝に沿う方向に屈曲せしめることを特徴とする。
【0014】
したがって、請求項1記載の作用と同様であり、アブレッシブ粒子を含有した水溶液流体がV字形状の溝に向けて噴射されると、水溶液流体とV字形状の溝との摩擦による圧力降下は減少することから水溶液流体が細い溝幅に進入できるので、ノズル径より小さい幅の溝に対してもアブレッシブ粒子によるエロージョン効果による微細溝加工が行われる。その結果、硬質部材上の所定の位置に所定の微細溝を選択的に創成できる。
さらに、水溶液流体が硬質部材の表面に対してほぼ垂直方向に供給される噴射部直下では、硬質部材の表面付近によどみ点が形成されるので、硬質部材の表面に脆性損傷が発生することがない。さらに、よどみ点で屈曲して溝に沿う方向に流れる水溶液流体によりアブレッシブ粒子の衝突角がほぼ零の状態で硬質部材の表面を変形および除去するので、脆性損傷のない良好な仕上げ面の細溝が創成される。
【0015】
請求項4によるこの発明の微細溝加工装置は、請求項3記載の微細溝加工装置において、前記アブレッシブ粒子が酸化セリウムからなり、前記硬質部材がガラス体であることを特徴とするものである。
【0016】
したがって、請求項2記載の作用と同様であり、酸化セリウムはガラス体との化学的作用が大きいので、機械的変形・除去と化学的作用によってより一層効率的に加工され、且つ良好な仕上げ面が得られる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。この実施の形態では、加工すべき被加工物としての例えば石英ガラスのマイクロ溝製作に対して、ウォータジェットによるエロージョン加工が行なわれている。
【0018】
図2を参照するに、この実施の形態に係わる微細溝加工を行う微細加工装置1は、被加工物である硬質部材としての例えば石英ガラス3の表面がマスキング部材としての例えばマスクツール5により被覆された状態で加工本体7の加工テーブル9上に取り付けられている。
【0019】
また、上記の被加工物に向けてウォータジェットを噴射するジェットノズル11は前記加工本体7の加工部移動位置決め装置としての例えばツールポスト13に固定されており、このツールポスト13はジェットノズル11の位置が被加工物の加工部に応じてZ軸方向に移動位置決め調整自在に設けられている。また、前記加工テーブル9はNC制御によりほぼ水平面でX軸とY軸の2次元方向に移動位置決め調整自在に設けられている。
【0020】
なお、ツールポスト13がZ軸方向の移動と共に、加工テーブル9を移動させずにX軸、Y軸方向へ移動するような構成であっても構わない。
【0021】
ジェットノズル11のノズル径は例えば0.25mmであり、加工本体7の近傍にはウォータタンク15内の水をウォータ供給管路17を介して上記のジェットノズル11にウォータジェットとして供給するためのポンプ19が設けられている。このポンプ19としては最高圧力35MPa、吸水量15.1l/minの横型3連プランジャポンプが使用されている。なお、ウォータジェットの圧力は従来のウォータジェット装置の噴射圧力の約1/10の圧力となっている。
【0022】
また、アブレッシブ粒子を含むスラリを上記のジェットノズル11にアブレッシブ供給管路21を介して供給するためのスラリ供給装置23が設けられている。アブレッシブスラリはコロイド溶液であり、ジェットノズル11の先端部で安定して混合させるために、スラリータンク25を二重構造にして空気とスラリーが同時に吸引できるようになっている。したがって、アブレッシブ粒子は、ジェットノズル11の先端部で水と混合され、水を媒体とする水溶液流体として高速に材料に衝突するように構成されている。
【0023】
なお、この実施の形態では、図1に示されているようにマスクツール5は被加工物の加工領域を微小幅のスリットに限定するためのもので、厚さは約5mmほどである。このマスクツール5には被加工物である石英ガラス3の硬度より硬いセラミックや超硬合金が使用されており、マスクツール5と水溶液流体の噴流との摩擦による圧力降下を防ぐために、加工部付近がこの実施の形態では例えば傾斜角45°のV字形状となるテーパ27が形成されている。また、加工される溝幅が容易に変更されるように左右ツールの間隔が調節自在に設けられている。
【0024】
次に、マイクロエロージョン加工(微細溝加工)の原理について説明する。
【0025】
図3(A)を参照するに、ウォータジェットによるエロージョン加工では、アブレッシブ超微粒子29を含んだ高速高水圧の水溶液が材料表面に噴射され、アブレッシブ超微粒子29により表面が除去または変形せしめられる。この加工法は図5(A)に示されているように粒子衝突による塑性変形,図5(B)に示されているように亀裂発生による材料除去,図5(C)に示されているように粒子による切削作用により、表面形状が変化するエロージョン効果を利用したものであり、加工特性は粒子の大きさ,速度,被加工物との衝突角に支配される。
【0026】
一般に、ガラス体は変形域が1μm程度になると延性的に変形するので、このエロージョン加工法では粒子径を1μm程度がそれ以下に小さくし、ガラスの表層部のみが加工される必要がある。また、図5(B)に示されているような亀裂発生による材料除去作用はガラス体に容易に脆性損傷を生じさせてしまうので、この状態はガラス体に対するエロージョン加工としては好ましくないので避ける必要がある。
【0027】
また、衝突せしめるアブレッシブ粒子としては、この実施の形態では石英ガラス3の加工に対して化学的作用の大きい酸化セリウム粒子が用いられる。酸化セリウム粒子が表面に高速に衝突すると、変形域の局所的な温度上昇によりその効果が促進されるからである。以上のようにこの実施の形態のエロージョン加工法では酸化セリウム粒子による機械的変形・除去と化学的作用により溝形状が創成される。
【0028】
したがって、被加工物はアブレッシブ粒子の衝突を受けた部分が変形または除去されるので、図3(A)に示されているように加工しない部分がマスクツール5で覆われて加工部分のみが噴流にさらされることにより、図3(B)、(C)に示されているようにその部分のみが加工される。したがって、マスクツール5の形状、つまりマスクパターンを変え、ジェットノズル11を加工溝部に沿って移動せしめることにより、種々の溝パターンを加工できる。
【0029】
しかし、図4(A)に示されているように、例えば、ジェットノズル11の径が例えば0.25mmに対してマスクツール5の溝幅が0.02mm(20μm)であるようなマスクツール5では、ツール側面と水溶液流体との摩擦による圧力降下のために、ジェットノズル11の径より細い間隙にアブレッシブ粒子の水溶液を進入させることができないので、微細溝加工を行うことができない。
【0030】
そこで、この実施の形態では、図4(B)に示されているようにマスクツール5の端面にV字形状のテーパ27が施されることにより、マスクツール5の側面と水溶液との摩擦による圧力降下を減じてノズル径より小さい加工溝の創成が可能となっている。この加工法ではアブレッシブ微粒子29が工具として使用されているため、切削加工のように工具摩耗による形状の劣化がなく、また通常研磨剤として使用されている酸化セリウム粒子によって、溝の形状創成と研磨が同時に行われる。
【0031】
この加工法において、被加工物に対して一様深さの加工溝を創成するためには、前述したように被加工物に対する粒子の衝突角をできるだけ小さくして表層部のみを変形・除去しなければならない。また、被加工物としての石英ガラス3のようなガラス体の加工においては、上記の衝突角が大きくなるほど脆性損傷が生じやすいため、衝突角は可能な限り0度に近づける必要がある。
【0032】
この実施の形態では、図1及び図4(B)のようにアブレッシブ粒子を含む高速高圧の水溶液が加工表面に対してほぼ垂直方向に流されている。この噴流の流れ場は端面にテーパ27の形状を施したマスクツール5によってV字形状の溝部に沿って流れるようにコントロールされて加工表面に対しては水平に衝突・接触するように流れる。
【0033】
より詳しくは、図6及び図7を参照するに、噴流の流れを解析した結果が示されている。図6においては噴流の水面と周りの空気の流れが示されており、図7においては溝部中央の噴流の速度場が示されている。図7では同一速度の分布が示されており、水の噴流並びに空気の流れが遅い速度から順にV,V,V,V,…,V,Vで示されている。また、水の噴流方向並びに空気の流れ方向が矢印で示されている。
【0034】
図7から分かるように、ジェットノズル11の直下には加工表面付近で流速零領域となるよどみ点(V,…,Vがほぼ該当する)が生じるので、加工表面に対してほぼ垂直方向に流れている噴流が上記のよどみ点の近傍で加工表面に対して水平方向に転じている。
【0035】
したがって、加工表面近傍での微粒子の衝突角はほぼ0度になり、石英ガラス3の加工表面は図5(A)または(C)に示されているように粒子による変形切削作用により一様深さで脆性損傷のない加工溝が創成されることとなる。
【0036】
図8を参照するに、上記のようにしてエロージョン加工された結果として、AFM(電子間力顕微鏡)によって撮像された製品を模式的に図示したもので、幅20μm、深さ3μmの微細溝加工の一例が示されている。この微細溝加工法によって一様深さの溝形状と溝部表面の平坦化を実現できることがわかる。
【0037】
ちなみに、図9を参照するに、噴流速度を60m/sec,120m/sec,180m/secと変化せしめて微細溝加工が行われたときの加工表面のプロフィルを比較できるように図示されている。なお、このときのマスク開口幅は20μm、噴流衝突角は90°で、アブレッシブスラリは平均粒径700〜1400nmの酸化セリウムのコロイダル溶液(重量濃度2.5%、800ml)が使用された。また、ノズルは加工溝に沿って送りをかけて往復させたものである。
【0038】
したがって、微細溝がマスクツール5のエッジに沿って加工されており、しかも微細溝の表面粗さは噴流速度の違いに関わりなく、いずれも加工前の表面とほぼ同じほどの良好な仕上げ面が得られている。また、噴流速度が増加するにつれて、溝部のV字形状の深さが顕著になっている。
【0039】
以上のことから、ウォータジェットによるエロージョン加工は、V字形状のマスクツール5が用いられることにより、ウォータジェットのノズル径より細い微細溝加工が可能となった。また、酸化セリウム粒子による研磨効果によって、石英ガラス3の加工表面に脆性損傷のない良好な仕上げ面が創成できる。
【0040】
なお、この発明は前述した実施の形態に限定されることなく、適宜な変更を行うことによりその他の態様で実施し得るものである。
【0041】
【発明の効果】
以上のごとき発明の実施の形態の説明から理解されるように、請求項1の発明によれば、アブレッシブ粒子を含有した水溶液流体をV字形状の溝に向けて噴射しても、水溶液流体とV字形状の溝との摩擦による圧力降下は従来より大幅に減少するため水溶液流体を細い溝幅に進入できるので、ノズル径より小さい幅の溝に対してもアブレッシブ粒子によるエロージョン効果による微細溝加工を行うことができる。結果として、従来の加工法に比して加工対象である硬質部材に脆性損傷を与えることなく、さらに能率,コスト,安全面において改善できる。
さらに、水溶液流体の噴射方向を硬質部材の表面に対してほぼ垂直方向にすることにより、硬質部材の表面付近でよどみ点を形成できるので、硬質部材の表面に脆性損傷を生ずることなく微細溝加工を行える。しかも、水溶液流体がよどみ点で屈曲して溝に沿う方向に流れるので、アブレッシブ粒子は衝突角をほぼ零の状態で硬質部材の表面を加工できるので、脆性損傷のない良好な仕上げ面の細溝を創成できる。
【0043】
請求項2の発明によれば、酸化セリウムはガラス体との化学的作用が大きいので、機械的変形・除去と化学的作用によってより一層効率的に加工でき、且つ良好な仕上げ面を得ることができる。
【0044】
請求項3の発明によれば、請求項1記載の効果と同様であり、アブレッシブ粒子を含有した水溶液流体をV字形状の溝に向けて噴射しても、水溶液流体とV字形状の溝との摩擦による圧力降下は従来より大幅に減少するため水溶液流体を細い溝幅に進入できるので、ノズル径より小さい幅の溝に対してもアブレッシブ粒子によるエロージョン効果による微細溝加工を行うことができる。結果として、従来の加工法に比して加工対象である硬質部材に脆性損傷を与えることなく、さらに能率,コスト,安全面において改善できる。
さらに、水溶液流体の噴射方向を硬質部材の表面に対してほぼ垂直方向にすることにより、硬質部材の表面付近でよどみ点を形成できるので、硬質部材の表面に脆性損傷を生ずることなく微細溝加工を行える。しかも、水溶液流体がよどみ点で屈曲して溝に沿う方向に流れるので、アブレッシブ粒子は衝突角をほぼ零の状態で硬質部材の表面を加工できるので、脆性損傷のない良好な仕上げ面の細溝を創成できる。
【0045】
請求項4の発明によれば、請求項2記載の効果と同様であり、酸化セリウムはガラス体との化学的作用が大きいので、機械的変形・除去と化学的作用によってより一層効率的に加工でき、且つ良好な仕上げ面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態を示すもので、V字形状の溝を備えたマスクツールを被覆したガラス表面に、ジェットノズルから水溶液を噴射する斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態で使用される微細溝加工装置の概略図である。
【図3】(A),(B),(C)は、微細溝加工の原理の概略的な説明図である。
【図4】(A)は従来方法による細い溝幅に対する加工状態図で、(B)はこの発明の加工法による加工状態図である。
【図5】(A)は塑性変形によるエロージョン効果の状態説明図で、(B)は亀裂発生による材料除去の状態説明図で、(C)は切削作用によるエロージョン効果の状態説明図である。
【図6】この発明の実施の形態のマスクツールの溝部に対して噴射される加工部付近の水溶液流体とその周囲の空気の流れを示す斜視図である。
【図7】マスクツールの溝部中央の速度場を示す斜視図である。
【図8】電子間力顕微鏡による微細溝加工状態図である。
【図9】噴流速度を変更したときの微細溝のプロファィル図、又表面形状図を示すものである。
【符号の説明】
1 微細溝加工装置
3 石英ガラス(ワークピース;硬質部材)
5 マスクツール(マスキング部材)
7 加工装置本体
9 加工テーブル
11 ジェットノズル
13 ツールポスト(加工部移動位置決め装置)
17 ウォータ供給管路
21 アブレッシブ供給管路
23 スラリ供給装置
27 テーパ
29 アブレッシブ超微粒子

Claims (4)

  1. 加工すべきガラス体である硬質部材の表面に、当該ガラス体である硬質部材の硬度より硬度の大きな材質で、スリット形状の加工すべき位置に対応してV字形状の溝を備えたマスキング部材を被覆し、この溝にアブレッシブ粒子を含有した水溶液流体を前記スリット形状の幅より大きいノズル径から噴射して、上記溝に対応した部分に微細溝加工を行うものであり、
    前記水溶液流体の前記スリット形状の幅より大きいノズル径からの噴射方向を、ガラス体である硬質部材の表面に対してほぼ垂直方向に向けることにより、前記水溶液流体は前記V字形状のテーパ部を有するマスクの露出部に沿って流れるようにコントロールされて加工表面に対しては水平に流れ、ガラス体である硬質部材の表面付近で流速零領域となるよどみ点を形成し、前記水溶液流体を前記よどみ点で前記溝に沿う方向に屈曲せしめることを特徴とする微細溝加工方法。
  2. 前記アブレッシブ粒子が酸化セリウムからなり、前記ガラス体が石英ガラス体であることを特徴とする請求項1記載の微細溝加工方法。
  3. 加工すべきガラス体である硬質部材の硬度より硬度の大きな材質で、スリット形状の加工すべき位置に対応してV字形状の溝を備えたマスキング部材と、このマスキング部材を前記ガラス体である硬質部材の表面に被覆した状態で設置する加工テーブルと、この加工テーブル上のガラス体である硬質部材に対してマスキング部材の溝にアブレッシブ粒子を含有した水溶液流体を噴射して微細溝加工を行うノズルと、このノズルと前記加工テーブルとを相対的にX軸、Y軸方向に移動せしめる加工部移動位置決め装置と、からなるものであり、
    前記ノズルのノズル径は、前記スリット形状の幅より大きく、前記水溶液流体の前記スリット形状の幅より大きいノズル径からの噴射方向を、ガラス体である硬質部材の表面に対してほぼ垂直方向に向けることにより、前記水溶液流体は前記V字形状のテーパ部を有するマスクの露出部に沿って流れるようにコントロールされて加工表面に対しては水平に流れ、ガラス体である硬質部材の表面付近で流速零領域となるよどみ点を形成し、前記水溶液流体を前記よどみ点で前記溝に沿う方向に屈曲せしめることを特徴とする微細溝加工装置。
  4. 前記アブレッシブ粒子が酸化セリウムからなり、前記ガラス体が石英ガラス体であることを特徴とする請求項3記載の微細溝加工装置。
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