JP3349599B2 - 養殖海苔の病害駆除剤及び病害駆除方法 - Google Patents

養殖海苔の病害駆除剤及び病害駆除方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、海苔養殖時に発生する
赤腐れ菌、壷状菌等の付着細菌を駆除する処理剤及び養
殖海苔の病害駆除方法に関する。
【0002】
【従来の技術】海苔養殖において、赤腐れ病が発生する
と、海苔の品質を低下させ、ひどくなると生産皆無にな
ることがある。一般には、海苔養殖において、病害の予
防駆除方法として、干出作業を行う。これは海苔網を一
度海水から出して干す方法であるが、この方法は多大な
労力と時間をかけるわりにはあまり効果がない。
【0003】もう一つの方法として、クエン酸、リンゴ
酸等の有機酸溶液に浸漬処理することにより赤腐れ菌を
駆除する方法もある。
【0004】海苔の生産者は、平均して100〜200
枚の海苔網を採苗しており、処理時間が短いほど、作業
性の改善となる。例えば5分短い処理ですめば500分
〜1000分の時間の節約となり、それだけより多くの
海苔網を処理することができる。しかし、短時間で赤腐
れ菌を駆除できるということは、必然的に海苔自体に対
しても厳しい薬剤ということになり、海苔を傷めること
になる。
【0005】短時間処理という事になると、近年もぐり
船と称して、海苔網を一部づつ船上を通過させながら処
理をすることが行われているが、この場合、当然処理薬
剤は海中に流入することになる。そうでなくても処理薬
剤は海中に流れ込むことになるので、これは環境汚染の
問題を引き起こす。
【0006】従って、海苔自体に害を与えることなく、
赤腐れ菌、壷状菌などの付着細菌を短時間に駆除でき、
しかもできるだけ希薄液によって駆除でき、廃液が海中
に流入しても、他の魚介類等に害を与えず環境汚染のお
それのない薬剤が求められ、各種の提案がなされてい
る。
【0007】特公昭46−35873号公報では、P−
オキシ安息香酸又はそのエステルを施用するアマノリの
赤くされ病の予防方法が提案されている。特開昭50−
1214725号公報には、炭素数1〜4飽和脂肪酸カ
ルボン酸、炭素数2〜4の飽和または不飽和カルボン
酸、グリコール酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸
から選ばれた有機カルボン酸の1種又は2種以上を含有
する殺雑藻剤が開示されている。これには殺雑藻作用に
ついて専ら記載されているが、赤腐れ菌に関する記載は
ない。
【0008】特公昭60−13647号公報には、クエ
ン酸0.3〜5.0重量%を含み、pHが1.0〜6.
0の処理液に浸漬される雑藻、病害の駆除、予防による
海苔養殖法が記載されている。特公昭60−13648
号公報には、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸、などの無機酸を
添加してpH1.0〜4.0とする雑藻、病害駆除、予
防による海苔養殖法が記載されている。
【0009】特公昭60−21950号には、フィチン
酸又はその塩を有効成分とする海苔養殖用肥料、赤腐れ
病に対する予防効果、珪藻駆除効果が開示されている。
特開昭57−8722号公報には、リン酸又はその塩を
含む処理液で海苔網を処理して、雑藻、赤腐れ病などの
病害の除去、予防を行う海苔養殖法が開示されている。
【0010】特開昭60−87202号公報には、アジ
ピン酸を有効成分とする食用海苔類の海水性細菌の殺菌
剤が開示されている。特開昭60−244245号公報
には、飽和量以上のフマール酸を存在させる殺藻方法が
開示されており、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、コハク
酸の1種以上を併用してもよい旨の記載もある。
【0011】特開昭60−248121号公報には、ハ
ロゲン化カルボン酸からなるクロル酢酸、ジクロル酢
酸、トリクロル酢酸などの一種又は二種以上を含む処理
液に浸漬することによる雑藻、ツボ状菌病、赤くされ病
等を駆除する海苔養殖液に浸漬することによる雑藻、ツ
ボ状菌病、赤くされ病等を駆除する海苔養殖法が開示さ
れている。
【0012】特開昭62−21784号公報には、希塩
酸を主成分とする酸性緩衝液と硝酸塩、アンモニウム塩
及び燐酸塩から構成されるノリ養殖用殺藻剤兼用液体肥
料が開示されている。
【0013】特開昭62−190103号公報には、グ
ルコン酸を有効成分とする赤ぐされ病及びツボ状菌病の
病原菌であるPythium属及びOlpidiops
is属の藻菌類の駆除剤が開示されている。特開平1−
279805号公報には、フマル酸モノナトリウム塩及
び/又はフマル酸モノカリウム塩を有効成分として含有
する藻類および細菌類の駆除剤が開示されている。
【0014】特開平2−25404号公報には、フマル
酸及び/又はフマル酸塩と炭酸ナトリウム、炭酸水素ナ
トリウム、炭酸カリウム、および炭酸水素カリウムより
なる群から選んだ少なくとも1種を含む駆除剤を水又は
海水に溶解させ、フマル酸モノナトリウム及び/又はフ
マル酸モノカリウムとする藻類および細菌類の駆除剤が
開示されている。
【0015】特開平2−291218号公報(特公平3
−47810号公報)には、飽和量をこえる量のフマー
ル酸を通水性を有する被覆手段で被覆した状態で存在さ
せ、この処理液中に被処理物を浸漬する殺藻方法が開示
されている。特開平5−139913号公報には、乳酸
0.1〜2.0重量%とpH調整剤とを含み、pHを
1.5〜2.0に調節してなる殺藻剤が開示されてい
る。またこの明細書中には、これが赤腐れ菌駆除にも有
効であると記載している。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、海苔
自体に害を与えることなく、赤腐れ菌、壷状菌などの付
着細菌を短時間に駆除できる薬剤及び病害駆除方法を提
供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記の課題
を解決するために鋭意研究を行った結果、ギ酸の水溶液
は、海苔に対して障害度が高く、ある濃度以上、ある処
理時間以上では、海苔は死滅し、一方その濃度、処理時
間以下では赤腐れ菌の駆除効果がなく、全く赤腐れ菌駆
除剤として使用できないので、従来全く使用されていな
い。しかしこのギ酸をフィチン酸、リン酸等と併用する
と酸自体の殺菌力を大幅に高め、従って低濃度で短時間
処理でき、環境汚染をも低減できることを知見して本発
明を完成した。
【0018】すなわち本発明は次の通りである。 (1) ギ酸の水溶液に、フィチン酸、酢酸、アジピン
酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、マレイン酸、フマ
ル酸、グルコン酸、酒石酸、モノクロル酢酸、ジクロル
酢酸、トリクロル酢酸、イタコン酸、グルタル酸、ケト
グルタル酸、リン酸、塩酸、硫酸、硝酸よりなる群より
選んだ少なくとも1種を配合してなる養殖海苔の病害駆
除剤。
【0019】(2) ギ酸水溶液(一部又は全部海水で
ある場合を含む)濃度0.3W/V%以下に、フィチン酸、
酢酸、アジピン酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、マ
レイン酸、フマル酸、グルコン酸、酒石酸、モノクロル
酢酸、ジクロル酢酸、トリクロル酢酸、イタコン酸、グ
ルタル酸、ケトグルタル酸、リン酸、塩酸、硫酸、硝酸
よりなる群より選んだ少なくとも1種の酸を水溶液中濃
度0.01〜0.3W/V%の範囲に夫々必要処理時間に対
応して設定し、この混合溶液に養殖海苔を浸漬するか、
養殖海苔にこの溶液を散布することを特徴とする養殖海
苔の病害駆除方法。
【0020】(3) ギ酸水溶液(一部又は全部海水で
ある場合を含む)濃度0.01〜0.1W/V%に、リン
酸、フマル酸、ケトグルタル酸、硫酸、硝酸、酢酸、グ
ルタル酸、酒石酸、イタコン酸、アジピン酸、コハク
酸、クエン酸、グルコン酸、マレイン酸、リンゴ酸、フ
ィチン酸、塩酸よりなる群より選んだ少なくとも1種の
酸を水溶液中濃度0.05〜0.3W/V%の範囲に夫々必
要処理時間に対応して設定し、この混合溶液に養殖海苔
を浸漬するか養殖海苔にこの溶液を散布することを特徴
とする養殖海苔の短時間病害駆除方法。
【0021】試験例1よりわかるように、ギ酸は、海苔
に対する障害度が高いため、赤腐れ菌を駆除する前に海
苔が障害を受け死滅してしまう。従って、ギ酸は、単独
で赤腐れ菌の駆除剤として使用できない。しかし、試験
例2以降に示すように、フィチン酸、酢酸等の他の酸と
併用することにより、海苔を傷めず、さらに、併用した
酸自体の殺菌力よりかなり高めることができることがわ
かった。現在、もぐり船が開発され短時間処理(1分以
内の処理)を行っている漁場があり、ギ酸とフィチン
酸、酢酸等を併用することにより、低濃度で使用するこ
とができ、使用する酸の量を減らすことができる。もぐ
り船で処理する場合、塩酸、リン酸等の無機酸を使用す
ると2〜8%の濃度を必要とする。従って、本発明を用
いると酸の使用量をかなり軽減することができ、海洋へ
の環境汚染負荷を減らすことができる。
【0022】又、試験例10の付着細菌駆除試験よりわ
かるように、ギ酸単独で処理した場合、駆除効果が小さ
く、効果を上げるために濃度を高くすると海苔が死滅し
てしまう。本発明のギ酸に、酢酸等を併用した処理液で
処理すると、海苔を傷つけず付着細菌を駆除する殺菌力
をかなり高くすることができる。
【0023】本発明の駆除剤は、窒素源として硝酸アン
モニウム、塩化アンモニウム、リン酸1アンモニウム、
尿素、硝酸ナトリウム、硝酸等、リン源として、リン酸
1カリウム、リン酸1ナトリウム、リン酸イノシトール
6−リン酸、リン酸を併用することができる。特にリン
酸、リン酸塩を併用すると海苔の障害をやわらげ、柔ら
かい品質の海苔を生産することができる。
【0024】本発明の駆除剤は、赤腐菌に感染した海苔
養殖網を駆除剤中に浸漬するかもしくは、養殖網に駆除
剤を散布する方法で使用される。このように、病気に感
染している海苔葉体を駆除剤に接触させることにより、
海苔を傷めず、病害菌・付着細菌・ケイソウ等を選択的
に駆除するのである。病害の入っていない養殖網にも予
防として処理を行う。
【0025】
【実施例】以下に実施例、比較例によって、本発明を更
に具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって何
ら限定されるものではない。以下の試験例において、○
印は海苔の障害がなく、赤腐れ菌を完全に駆除している
ものを示し、△印は海苔の障害がなく、赤腐れ菌をかな
り抑制しているものを示し、この両者が実施例である。
その他の印は比較例である。
【0026】(試験例1) ギ酸(88%)の0.005,0.01,0.05,
0.1,0.2,0.3,0.5W/V%の海水溶液を調製
し、各一定時間(5秒,10秒,20秒,…60秒,2
分,3分,4分,…10分間)赤腐れ菌感染海苔を浸漬
処理した後、海水で洗浄し、静置培養2日後の状態を顕
微鏡下で観察し、赤腐れ菌の駆除効果及び海苔への障害
を調査した。その結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】ギ酸の0.005%,0.01%は、10
分浸漬処理しても全く赤腐れ菌を駆除することができな
い。0.05%,0.1%では、赤腐れ菌の駆除効果が
ないか、障害を受けるため赤腐れ菌の駆除剤としては使
用できない。0.2%以上では、5秒でも障害を受ける
ため、全く使用できない。以上より、ギ酸を単独で、赤
腐れ菌の駆除剤としては、使用できない。
【0029】(試験例2) ギ酸(88%)の0.005W/V%海水溶液に、ケトグル
タル酸、マレイン酸、リン酸(75%)、フマル酸、リ
ンゴ酸、塩酸(36%)をそれぞれ0.01,0.0
5,0.1,0.2,0.3,W/V%になるように添加し
た調整液に、赤腐れ菌に感染した海苔葉体を、1分,2
分,3分,…10分浸漬処理した後、海水で洗浄し静置
培養2日後の状態を顕微鏡下で観察し、赤腐れ菌駆除効
果を調査した。評価は、試験例1と同様である。その結
果を表2に示す。
【0030】
【表2】
【0031】(試験例3) ギ酸(88%)の0.01W/V%海水溶液に、モノクロル
酢酸、ジクロル酢酸、トリクロル酢酸、硫酸、硝酸(6
1%)、酢酸(90%)、グルタル酸、酒石酸、イタコ
ン酸、アジピン酸、コハク酸、クエン酸、フマル酸、ケ
トグルタル酸、グルコン酸、マレイン酸、リンゴ酸、フ
ィチン酸(50%)、リン酸(75%)、塩酸(36
%)をそれぞれ0.01,0.05,0.1,0.2,
0.3W/V%になるように添加した調整液に、赤腐れ菌に
感染した海苔葉体を一定時間浸漬処理した後、海水で洗
浄し、静置培養2日後の状態を顕微鏡下で観察し、赤腐
れ菌駆除効果を調査した。評価は、試験例1と同様であ
る。その結果を表3、表4、表5、表6、表7、表8に
示す。
【0032】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【0033】(試験例4) ギ酸(88%)の0.05W/V%海水溶液に、リン酸(7
5%)、塩酸(36%)、フマル酸、リンゴ酸、ケトグ
ルタル酸、マレイン酸をそれぞれ0.01,0.05,
0.1,0.2,0.3W/V%になるように添加した調整
剤に、赤腐れ菌に感染した海苔葉体を0.5,1,1.
5,2,2.5,3,3.5,4,4.5,5分浸漬処
理した後、海水で洗浄し静置培養2日後の状態を顕微鏡
下で観察し、赤腐れ菌駆除効果を調査した。評価は、試
験例1と同様である。その結果を表9、表10に示す。
【0034】
【表9】
【表10】
【0035】(試験例5) ギ酸(88%)の0.1W/V%海水溶液に、モノクロル酢
酸、ジクロル酢酸、トリクロル酢酸、硫酸、硝酸(61
%)、酢酸(90%)、グルタル酸、酒石酸、イタコン
酸、アジピン酸、コハク酸、クエン酸、フマル酸、ケト
グルタル酸、グルコン酸、マレイン酸、リンゴ酸、フィ
チン酸(50%)、リン酸(75%)、塩酸(36%)
をそれぞれ0.01,0.05,0.1,0.2,0.
3W/V%になるように添加した調整液に、赤腐れ菌に感染
した海苔葉体を、一定時間(5,10,20,30,4
0,50,60,90,120秒)浸漬処理した後、海
水で洗浄し、静置培養2日後の状態を顕微鏡下で観察
し、赤腐れ菌駆除効果を調査した。評価は、試験例1と
同様である。その結果を表11、表12、表13、表1
4に示す。
【0036】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【0037】(試験例6) ギ酸(88%)の0.2W/V%海水溶液に、ケトグルタル
酸、マレイン酸、リン酸(75%)、フマル酸、リンゴ
酸、塩酸(36%)をそれぞれ0.01,0.05,
0.1,0.2,0.3W/V%になるように添加した。調
整液に、赤腐れ菌に感染した海苔葉体を一定時間(5,
10,20,30,40,50,60秒)浸漬処理した
後、海水で洗浄し、静置培養2日後の状態を顕微鏡下で
観察し、赤腐れ菌駆除効果を調査した。評価は試験例1
と同様である。その結果を表15、表16に示す。
【0038】
【表15】
【表16】
【0039】(試験例7) ギ酸(88%)の0.3W/V%海水溶液に、モノクロル酢
酸、ジクロル酢酸、トリクロル酢酸、硫酸、硝酸(61
%)、酢酸(90%)、グルタル酸、酒石酸、イタコン
酸、アジピン酸、コハク酸、クエン酸、フマル酸、ケト
グルタル酸、グルコン酸、マレイン酸、リンゴ酸、フィ
チン酸(50%)、リン酸(75%)、塩酸(36%)
をそれぞれ0.01,0.05,0.1,0.2,0.
3W/V%になるように添加した調整液に、赤腐れ菌に感染
した海苔葉体を一定時間(5,10,20,30秒)浸
漬処理した後、海水で洗浄し、静置培養2日後の状態を
顕微鏡下で観察し、赤腐れ菌駆除効果を調査した。評価
は、試験例1と同様である。その結果を表17、表1
8、表19、表20に示す。
【0040】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【0041】(参考試験例1) ギ酸(88%)に2種以上の他の酸を添加した下記の組
み合わせの海水溶液に、赤腐れ菌感染海苔葉体を10
秒、20秒、…60秒、1.5分、2分、2.5分、3
分、4分、4.5分、5分浸漬処理した後、海水で洗浄
し静置培養2日後の状態を顕微鏡下で観察し赤腐れ菌の
駆除効果を調査した。組み合わせ配合を次の表21の
A,B,Cとした。赤腐れ菌の駆除効果を表22に示
す。
【0042】
【表21】
【表22】
【0043】(試験例8)(比較例) モノクロル酢酸、ジクロル酢酸、トリクロル酢酸、硫
酸、硝酸(61%)、酢酸(90%)、グルタル酸、酒
石酸、イタコン酸、アジピン酸、コハク酸、クエン酸、
フマル酸、ケトグルタル酸、グルコン酸、マレイン酸、
リンゴ酸、フィチン酸(50%)、リン酸(75%)、
塩酸(36%)の各、0.01,0.05,0.1,
0.2,0.3W/V%海水溶液を調整し、赤腐れ菌に感染
した海苔葉体を一定時間浸漬処理した後、海水で洗浄
し、静置培養2日後の状態を顕微鏡下で観察し、赤腐れ
菌駆除効果を調査した。評価は、試験例1と同様であ
る。その結果を表23、表24、表25、表26、表2
7、表28、表29に示す。
【0044】
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
【表27】
【表28】
【表29】
【0045】(試験例9) 本発明で、ギ酸との組み合わせに使用した各種の酸0.
01%、0.05%、0.1%、0.2%、0.3%に
ついて、ギ酸濃度を0%、0.005%、0.01%、
0.05%、0.1%、0.2%、0.3%と変えた場
合について、赤腐れ菌の駆除時間を測定した結果を表3
0、表31、表32、表33に示す。各種の酸につい
て、ギ酸の存在しない場合に比較して、駆除時間が大幅
に短縮されていることが明らかである。
【0046】
【表30】
【表31】
【表32】
【表33】
【0047】(参考試験例2) 付着細菌の駆除試験 下記表35に示す組成の処理液で処理した海苔葉体の生
菌数を無処理の対照区と比較し、付着細菌の駆除効果を
調査した。生菌数は、表34のフローチャートに従って
算出した。その結果を表36に示す。
【表34】
【0048】
【表35】
【表36】
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、単独では、海苔に対す
る障害度が高く、赤腐れ菌駆除に使用できないギ酸をフ
ィチン酸、酢酸、リン酸等の他の酸と併用することによ
り、海苔を傷めず、酸自体の殺菌力を大幅に高め、極め
て短時間で赤腐れ菌を駆除することができると共に、酸
の使用量をかなり減らすことができるので、海洋への環
境汚染を大幅に減らすことができる養殖海苔の病害駆除
剤及び病害駆除方法が提供される。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ギ酸の水溶液に、フィチン酸、酢酸、ア
    ジピン酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、マレイン
    酸、フマル酸、グルコン酸、酒石酸、モノクロル酢酸、
    ジクロル酢酸、トリクロル酢酸、イタコン酸、グルタル
    酸、ケトグルタル酸、リン酸、塩酸、硫酸、硝酸よりな
    る群より選んだ少なくとも1種を配合してなる養殖海苔
    の病害駆除剤。
  2. 【請求項2】 ギ酸水溶液(一部又は全部海水である場
    合を含む)濃度0.3W/V%以下に、フィチン酸、酢酸、
    アジピン酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、マレイン
    酸、フマル酸、グルコン酸、酒石酸、モノクロル酢酸、
    ジクロル酢酸、トリクロル酢酸、イタコン酸、グルタル
    酸、ケトグルタル酸、リン酸、塩酸、硫酸、硝酸よりな
    る群より選んだ少なくとも1種の酸を水溶液中濃度0.
    01〜0.3W/V%の範囲に夫々必要処理時間に対応して
    設定し、この混合溶液に養殖海苔を浸漬するか、養殖海
    苔にこの溶液を散布することを特徴とする養殖海苔の病
    害駆除方法。
  3. 【請求項3】 ギ酸水溶液(一部又は全部海水である場
    合を含む)濃度0.01〜0.1W/V%に、リン酸、フマ
    ル酸、ケトグルタル酸、硫酸、硝酸、酢酸、グルタル
    酸、酒石酸、イタコン酸、アジピン酸、コハク酸、クエ
    ン酸、グルコン酸、マレイン酸、リンゴ酸、フィチン
    酸、塩酸よりなる群より選んだ少なくとも1種の酸を水
    溶液中濃度0.05〜0.3W/V%の範囲に夫々必要処理
    時間に対応して設定し、この混合溶液に養殖海苔を浸漬
    するか養殖海苔にこの溶液を散布することを特徴とする
    養殖海苔の短時間病害駆除方法。
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ATE235825T1 (de) * 1999-01-19 2003-04-15 Sterifx Inc Mehrzweck zusammensetzungen von säuren

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