JP3347138B2 - Ic素子及びその製造方法 - Google Patents

Ic素子及びその製造方法

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JP3347138B2 JP2002010220A JP2002010220A JP3347138B2 JP 3347138 B2 JP3347138 B2 JP 3347138B2 JP 2002010220 A JP2002010220 A JP 2002010220A JP 2002010220 A JP2002010220 A JP 2002010220A JP 3347138 B2 JP3347138 B2 JP 3347138B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チップ上にコイル
が一体形成されたIC素子と当該IC素子の製造方法と
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、所定形状の基体内にIC素子
と当該IC素子の端子部に電気的に接続されたアンテナ
コイルとを備え、リーダライタからの電力の受給及びリ
ーダライタとの間の信号の送受信を電磁波を用いて非接
触で行う非接触式の情報担体が知られている。この種の
情報担体としては、その外形により、カード形、コイン
形又はボタン形などがある。
【0003】従来、この種の情報担体としては、アンテ
ナコイルを基体にパターン形成したもの、或いは、巻線
からなるアンテナコイルを基体に担持したものが用いら
れているが、近年に至って、アンテナコイルとIC素子
との接続点の保護処理や防湿対策が不要で安価に作成で
きること、及び基体に曲げやねじれ等のストレスが作用
した場合にもコイルに断線を生じることがなく耐久性に
優れることから、IC素子自体にアンテナコイルが一体
形成されたIC素子を基体に搭載したものが提案されて
いる。
【0004】IC素子にアンテナコイルを形成する方法
としては、スパッタ法が用いられており、IC素子に一
体形成されたアンテナコイルの導体は、アルミニウムの
スパッタ膜から構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、アンテナコ
イルをIC素子に一体形成すると、アンテナコイルを全
体にパターン形成したり、巻線からなるアンテナコイル
を基体に担持する場合に比べて、コイルの巻径や導体幅
が小さくなり、巻数についても自ずと限界があるため、
リーダライタとの間の通信距離を大きくすることが困難
で、必要な通信距離を確保することできない場合があ
る。
【0006】本発明は、かかる従来技術の不備を解消す
るためになされたものであって、アンテナコイルが一体
形成されたIC素子の構成とその製造方法とを提供する
ことを技術的な課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】〈IC素子〉 本発明は、前記の課題を達成するため、IC素子につい
ては、アンテナコイルが一体形成されたIC素子におい
て、前記アンテナコイルを構成する導体を、アルミニウ
ム、ニッケル、銅及びクロムから選択される金属又はこ
れらの金属群から選択される2種以上の金属の合金から
なる金属スパッタ層又は金属蒸着層と、当該金属スパッ
タ層又は金属蒸着層上に形成された銅めっき層とから形
した。
【0008】めっき層は、金属スパッタ層や金属蒸着
層に比べて電気抵抗値が小さいので、コイルの導体を金
属スパッタ層又は金属蒸着層とめっき層とを有する多
層構造にすると、単に金属スパッタ層のみ又は金属蒸着
層のみから構成した場合に比べて電磁エネルギの損失を
小さくすることができ、リーダライタとの間の通信距離
を大きくすることができる。
【0009】〈IC素子の製造方法〉 本発明は、前記の課題を達成するため、IC素子の製造
方法については、第1に、所定のプロセスを経て作製さ
れた完成ウエハの表面保護膜上に金属スパッタ層又は金
属蒸着層を形成する工程と、当該金属スパッタ層又は金
属蒸着層上にフォトレジスト層を形成する工程と、前記
フォトレジスト層にアンテナコイルを含む所要のパター
ンを露光・現像することにより、前記金属スパッタ層又
は金属蒸着層を前記所定のパターンで露出させる工程
と、前記金属スパッタ層又は金属蒸着層の露出部分に無
電解めっき法又は電気めっき法若しくは精密電鋳法を用
いてめっき層を積層する工程と、前記完成ウエハに付
着したフォトレジスト層を除去する工程と、前記めっ
き層より露出した前記金属スパッタ層又は金属蒸着層を
選択的にエッチングし、前記所定のパターンに相当する
所定の導電パターンを形成する工程と、前記完成ウエハ
をスクライビングしてアンテナコイルが一体形成された
所要のIC素子を得る工程とを含む構成とした。
【0010】また、第2に、所定のプロセスを経て作製
された完成ウエハの表面保護膜上にフォトレジスト層
成する工程と、前記フォトレジスト層にアンテナコイ
ルを含む所要のパターンを露光・現像することにより、
前記表面保護膜を前記所定のパターンで露出させる工程
と、現像処理後の完成ウエハをスパッタ装置又は真空蒸
着装置に装着し、前記表面保護膜の露出部分に金属スパ
ッタ層又は金属蒸着層を形成する工程と、前記完成ウエ
ハに付着したフォトレジスト層を除去する工程と、前記
金属スパッタ層又は金属蒸着層に無電解めっき法又は電
気めっき法を用いてめっき層を積層する工程と、前記
完成ウエハをスクライビングしてアンテナコイルが一体
形成された所要のIC素子を得る工程とを含む構成とし
た。
【0011】かように、完成ウエハにアンテナコイルを
含む所要の導電パターンを形成し、しかる後に完成ウエ
ハをスクライビングして所要のIC素子を得ると、個々
のIC素子にアンテナコイルを形成する場合に比べてコ
イルが一体形成されたIC素子を高能率に製造でき、そ
の製造コストを低減することができる。また、ウエハに
形成された全てのIC素子に対して均一な厚みのアンテ
ナコイルを高精度に形成することが可能となり、通信特
性のばらつきを少なくすることができる。さらに、個々
のIC素子についてスパッタ法又は真空蒸着法及びめっ
法を用いてアンテナコイルを形成すると、IC素子の
外周部に不要の導体が付着してIC素子の絶縁性が問題
になるが、完成ウエハにコイルを含む所要の導電パター
ンを形成した場合には、スパッタ時等において完成ウエ
ハの外周部に不要の導体が付着しても、該部は不要部分
としてもともと処分されるべき部分であるので、個々の
IC素子の絶縁性が問題になることもない。
【0012】
【発明の実施の形態】〈IC素子〉以下、本発明に係る
IC素子の実施形態例を、図1及び図2に基づいて説明
する。図1(a),(b),(c)は実施形態例に係る
IC素子の平面図、図2(a),(b)は実施形態例に
係るIC素子の要部断面図である。
【0013】本実施形態例に係るIC素子は、図1及び
図2に示すように、IC素子1の入出力端子1aの形成
面側に、酸化シリコン膜や樹脂膜等の絶縁性の表面保護
膜2を介して、矩形スパイラル形状のアンテナコイル3
を一体に形成してなる。
【0014】図1(a)のIC素子1は、回路形成部4
を除く外周部にのみアンテナコイル3を形成したもので
あって、IC素子1に形成された回路とアンテナコイル
3との間における浮遊容量の発生を防止することがで
き、リーダライタからの電力の受給効率及びリーダライ
タとの間の信号の送受信効率を高めることができる。
【0015】図1(b)のIC素子1は、回路形成部4
と対向する部分までアンテナコイル3を形成したもので
あって、コイルの巻数を多くできることから、リーダラ
イタからの電力の受給効率及びリーダライタとの間の信
号の送受信効率を高めることができる。なお、図1
(b)の例においては、アンテナコイル3を回路形成部
4と対向する部分及びその外周部に形成したが、回路形
成部4と対向する部分にのみ形成することもできる。
【0016】図1(c)のIC素子1は、矩形スパイラ
ル形状に形成されたアンテナコイル3の角の部分を斜め
に面取りしたものであって、角部における電流集中を防
止してアンテナコイル3の抵抗値を低減することがで
き、リーダライタからの電力の受給効率及びリーダライ
タとの間の信号の送受信効率を高めることができる。面
取りの形状は円弧状にしても同様の効果を得ることがで
きる。また、面取りは各線の内周側及び外周側の双方に
施すことが好ましいが、外周側にのみ施した場合にも効
果がある。
【0017】いずれの場合にも、実用上十分な電力の供
給を受け、かつ、リーダライタとの間の通信特性を確保
するためには、前記アンテナコイル3の線幅を7μm以
上、線間距離を5μm以下、巻数を20ターン以上とす
ることが好ましい。
【0018】IC素子1の入出力端子1aとアンテナコ
イル3との接続は、表面保護膜2に開設された透孔5を
介して行われる。この場合、アンテナコイル3の形成位
置が若干ずれた場合にも、入出力端子1aとアンテナコ
イル3との接続が確実に行われるように、図2(a)、
(b)に示す如く、透孔5の直径又は幅をアンテナコイ
ル3の線幅よりも小さくすることがより好ましい。
【0019】アンテナコイル3を構成する導体は、図2
(a)、(b)に示すように、金属スパッタ層又は金属
蒸着層6と金属めっき層7を含む多層構造になってい
る。図2(a)は、金属スパッタ層又は金属蒸着層6の
上面にのみ金属めっき層7を形成した例であり、図2
(b)は、金属スパッタ層又は金属蒸着層6の周面全体
に金属めっき層7を形成した例を示している。前記金属
スパッタ層又は金属蒸着層6及び金属めっき層7は、任
意の導電性金属をもって形成することができるが、比較
的安価で導電率が高いことから、金属スパッタ層又は金
属蒸着層6についてはアルミニウム、ニッケル、銅及び
クロムから選択される金属又はこれらの金属群から選択
される2種以上の金属の合金で形成することが好まし
く、均質な単層構造とするほか、異なる金属層又は合金
層を多層に積層した他層構造とすることもできる。一
方、前記金属めっき7は、銅で形成することが好まし
く、無電解めっき法又は電気めっき法若しくは精密電鋳
法により形成することができる。
【0020】〈IC素子の製造方法〉次に、本発明に係
るIC素子製造方法の実施形態例を、図3乃至図6に基
づいて説明する。図3は所定のプロセス処理を経て完成
されたいわゆる完成ウエハの平面図、図4は本発明に係
るIC素子製造方法の第1例を示す工程図、図5は本発
明に係るIC素子製造方法の第2例を示す工程図、図6
はアンテナコイルを含む所要の導電パターンが形成され
た完成ウエハの平面図である。
【0021】図3に示すように、完成ウエハ11には、
最外周部を除く内周部分に多数個のIC素子用の回路1
2が等間隔に形成されており、その回路形成面側には、
所要の表面保護膜2が形成されている(図4及び図5参
照)。
【0022】図4に示す第1実施形態例に係るIC素子
製造方法では、まず図4(a)に示すように、完成ウエ
ハ11の回路形成面に形成された表面保護膜2上に、ア
ルミニウム又はアルミニウム合金若しくは銅又は銅合金
を用いて、金属スパッタ層又は金属蒸着層6を均一に形
成する。次いで、図4(b)に示すように、当該金属ス
パッタ層又は金属蒸着層6上にフォトレジスト層12を
均一に形成し、形成されたフォトレジスト層12にコイ
ルを含む所要のパターンが形成されたマスク13を被
せ、マスク13の外側から所定波長の光14を照射して
フォトレジスト層12を露光する。しかる後に露光され
たフォトレジスト層12の現像処理を行い、図4(c)
に示すように、フォトレジスト層12の露光部分を除去
して、前記金属スパッタ層又は金属蒸着層6の前記露光
パターンと対応する部分を露出させる。金属スパッタ層
又は金属蒸着層6の露出パターンには、図6に示すよう
に、リング状の電極部15と、前記各回路形成部4と対
向する部分に形成されたアンテナコイル3と、これら電
極部15と各アンテナコイル3とを連結するリード部1
6とが含まれる。次いで、前記電極部15を一方の電極
として、金属スパッタ層又は金属蒸着層6の露出部分に
電気めっき又は精密電鋳を施し、図4(d)に示すよう
に、金属スパッタ層又は金属蒸着層6の露出部分に金属
めっき層7を積層する。次いで、完成ウエハ11の表面
に付着したフォトレジスト層12をアッシング処理等に
よって除去し、図4(e)に示すように、均一な金属ス
パッタ層又は金属蒸着層6上に電極部15とアンテナコ
イル3とリード部16とを有する金属めっき層7が形成
された完成ウエハ11を得る。次いで、金属めっき層7
より露出した金属スパッタ層又は金属蒸着層6を選択的
にエッチングし、図4(f)に示すように、金属めっき
層7より露出した金属スパッタ層又は金属蒸着層6を除
去する。これによって、金属スパッタ層又は金属蒸着層
6と金属めっき層7とが共に図6に示す所要の導電パタ
ーンに形成された完成ウエハ11が得られる。最後に、
前記完成ウエハ11をスクライビングして、図1に示す
所要のIC素子1を得る。
【0023】なお、前記実施形態例においては、金属め
っき層7の形成手段として電気めっき法又は精密電鋳法
を用いたが、かかる構成に代えて、無電解めっき法を用
いて前記金属めっき層7を形成することもできる。この
場合には、金属めっき層7の形成に電極を必要としない
ので、フォトレジスト層12の露光に際して、電極部1
5の形成とリード部16の形成が不要になる。
【0024】無電解めっきは、化学めっきとも呼ばれ、
素地金属をめっき金属の金属塩溶液中に浸して金属イオ
ンを素地表面に析出させるもので、比較的簡単な設備で
密着力が強く均一で十分な厚みを有するめっき層が得ら
れるという特徴がある。前記金属塩は、めっきする金属
イオンの供給源となるものであり、銅をめっきする場合
には、硫酸銅、塩化第二銅、硝酸銅等の溶液がめっき液
として用いられる。銅などの金属イオンは、素地となる
金属スパッタ層又は金属蒸着層6上にのみに析出し、絶
縁性の表面保護層2上には析出しない。素地材は、めっ
き金属イオンに対してイオン化傾向が小さく、かつ、め
っき金属イオンの析出に対する触媒作用をもつ必要があ
る。このため、アルミニウムからなる金属スパッタ層又
は金属蒸着層6上に銅をめっきする場合には、アルミニ
ウム層の表面にニッケルを数μm以下の厚さに形成し、
硝酸亜鉛液に数秒間浸して亜鉛に置換する前処理を施す
ことが好ましい。
【0025】一方、電気めっき法及び精密電鋳法は、め
っき金属のイオンを含むめっき浴中に金属スパッタ層又
は金属蒸着層6が形成された完成ウエハ11とめっき金
属からなる電極とを浸漬し、完成ウエハ11に形成され
た金属スパッタ層又は金属蒸着層6を陰極、めっき浴中
に浸漬された電極を陽極として電圧を印加し、めっき浴
中の金属イオンを金属スパッタ層又は金属蒸着層6の表
面に析出させる方法である。電気めっき法及び精密電鋳
法も、銅をめっきする場合には、硫酸銅、塩化第二銅、
硝酸銅等の溶液がめっき液として用いられる。
【0026】本例のIC素子製造方法は、完成ウエハ1
1にコイルを含む所要の導電パターンを形成し、しかる
後に完成ウエハ11をスクライビングして所要のIC素
子1を得るという構成にしたので、個々のIC素子にコ
イルを形成する場合に比べてコイルが一体形成されたI
C素子を高能率に製造でき、その製造コストを低減する
ことができる。また、ウエハに形成された全てのIC素
子に対して均一な厚みのコイルを高精度に形成すること
ができるので、通信特性のばらつきを小さくすることが
できる。さらに、個々のIC素子についてスパッタ法又
は真空蒸着法及びメッキ法を用いてコイルを形成する
と、IC素子の外周部に不要の導体が付着してIC素子
の絶縁性が問題になるが、完成ウエハ11にコイルを含
む所要の導電パターンを形成した場合には、スパッタ時
等において完成ウエハ11の外周部に不要の導体が付着
しても、該部は不要部分としてもともと処分されるべき
部分であるので、個々のIC素子の絶縁性に悪影響を与
えることもない。加えて、本例のIC素子製造方法は、
フォトレジスト層12がある状態で金属めっき層7の形
成を行い、しかる後に金属スパッタ層又は金属蒸着層6
の金属めっき層7が積層されていない部分をエッチング
によって除去するようにしたので、図2(a)に示すよ
うに、金属めっき層7が金属スパッタ層又は金属蒸着層
6の上面にのみ積層され、幅方向に広がらないので、精
密なアンテナコイル3を形成することができ、狭い面積
内に巻数の多いアンテナコイル3を形成することができ
る。
【0027】一方、図5に示す第2実施形態例に係るI
C素子製造方法では、図5(a)に示すように、完成ウ
エハ11に形成された表面保護膜2上にフォトレジスト
層12を均一に形成し、形成されたフォトレジスト層1
2にコイルを含む所要のパターンが形成されたマスク1
3を被せ、マスク13の外側から所定波長の光14を照
射してフォトレジスト層12を露光する。しかる後に露
光されたフォトレジスト層12の現像処理を行い、図5
(b)に示すように、フォトレジスト層12の露光部分
を除去して、表面保護膜2の前記露光パターンと対応す
る部分を露出させる。フォトレジスト層12の露光パタ
ーンは、図6に示すように、電極部15とアンテナコイ
ル3とリード部16とを含む形状にすることができる。
次いで、現像処理後の完成ウエハ11をスパッタ装置又
は真空蒸着装置に装着し、図5(c)に示すように、前
記表面保護膜2の露出部分に金属スパッタ層又は金属蒸
着層6を形成する。次いで、図5(d)に示すように、
完成ウエハ11に付着したフォトレジスト層12をアッ
シング処理等によって除去した後、電極部15を一方の
電極として、金属スパッタ層又は金属蒸着層6に電気め
っきを施し、図5(e)に示すように、金属スパッタ層
又は金属蒸着層6の露出部分に金属めっき層7を積層す
る。最後に、前記完成ウエハ11をスクライビングし
て、図1に示す所要のIC素子1を得る。
【0028】なお、前記実施形態例においては、金属め
っき層7の形成手段として電気めっき法を用いたが、か
かる構成に代えて、無電解めっき法を用いて前記金属め
っき層7を形成することもできる。この場合には、金属
めっき層7の形成に電極を必要としないので、フォトレ
ジスト層12の露光に際して、電極部15の形成とリー
ド部16の形成が不要になる。
【0029】本例のIC素子製造方法は、前記第1実施
形態例に係るIC素子製造方法と同様の効果を有するほ
か、完成ウエハ11に導電パターンを形成するための工
程数を少なくできるので、アンテナコイルが一体形成さ
れたIC素子をより高能率に製造することができる。
【0030】〈情報担体〉以下、本発明に係るIC素子
を搭載した情報担体の構成例を、図7乃至図17に基づ
いて説明する。図7は第1構成例に係る情報担体の一部
切断した平面図、図8は第1構成例に係る情報担体の分
解斜視図、図9は第1構成例に係る情報担体の断面図、
図10は第1構成例に係る情報担体の使用状態の説明
図、図11は第2構成例に係る情報担体の断面図、図1
2は第3構成例に係る情報担体の断面図、図13は第4
構成例に係る情報担体の断面図、図14は第5構成例に
係る情報担体の断面図、図15は第6構成例に係る情報
担体の断面図、図16は第7構成例に係る情報担体の断
面図、図17は第8構成例に係る情報担体の断面図であ
る。
【0031】第1構成例に係る情報担体20aは、図7
乃至図9に示すように、平面形状が円形に形成されたコ
イン形の基体21と、当該基体21の平面方向及び厚さ
方向の中心部に設定されたIC素子1とからなる。IC
素子1としては、図1及び図2に示すように、アンテナ
コイルが一体形成されたものが用いられる。
【0032】基体21は、図8及び図9に示すように、
上部材22と中間部材23と下部材24とから構成され
ており、それぞれ接着剤層25を介して一体に接合され
ている。基体21を構成する各部材22,23,24
は、紙材又はプラスチックシートをもって形成すること
ができるが、廃棄後に自然分解し、焼却しても有蓋ガス
の発生量が少なく、価格的にも安価であることから、紙
材をもって作製することが特に好ましい。また、前記各
部材22,23,24の1つ又は2つを紙材にて形成
し、他の1つ又は2つをプラスチックシートにて形成す
ることももちろん可能である。
【0033】前記中間部材23の中央部には、IC素子
1を内挿可能な透孔27が開設されており、前記各部材
22,23,24を接合することによって形成される空
間内にIC素子1が収納される。なお、IC素子1は、
取扱時の動揺を防止するために下部材24に接着するこ
とが好ましい。この場合、下部材24の片面に接着剤層
25を均一に形成しておき、この接着剤層25を利用し
て中間部材23と下部材24との接着と、下部材24と
IC素子1との接着を行うようにすることが、コスト状
有利である。また、透孔27の平面形状は任意の形状と
することができるが、中間部材23と下部材24とを接
合することによって形成される凹部にIC素子1を収納
する際、当該凹部とIC素子1の回転方向の向きを厳密
に合わせる必要がないことから、図7及び図8に示すよ
うに、円形の透孔27を形成する方が製造上有利であ
る。
【0034】本例の情報担体20aは、IC素子1を円
形に形成された基体21の平面方向の中心部に配置した
ので、図10に示すように、略半円形のスロット101
と当該スロット101における円弧部の中心に備えられ
た非接触通信用のアンテナコイル102とを有するリー
ダライタ100の前記スロット101内に情報担体20
を挿入することによって、自動的にIC素子1に一体形
成されたアンテナコイル3とリーダライタ100に備え
られたアンテナコイル102の心出しを行うことがで
き、両コイル3,102間の電磁結合係数を大きくでき
ることから、リーダライタ100から情報担体20への
電力の供給及びリーダライタ100と情報担体20との
間の信号の送受信を確実に行うことができる。また、情
報担体20aの平面形状を円形に形成したので、略半円
形に形成されたスロット101に対する方向性がなく、
使用の容易性に優れる。さらに、IC素子1を基体21
内に完全に収納したので、IC素子1の保護効果が高く
耐久性に優れると共に、該部からIC素子1が見えない
ので、美観にも優れる。
【0035】第2構成例に係る情報担体20bは、図1
1に示すように、上部材22と中間部材23と下部材2
4との3部材をもって基体21を構成すると共に、IC
素子1の周囲に、アンテナコイル3とリーダライタに備
えられたコイルとの間の電磁結合を強化するためのブー
スタコイル28を同心円状に配置したことを特徴とす
る。図中の符号29はブースタコイル28を収納するた
めの凹部を示しており、この凹部29は中間部材23の
透孔27の周囲にリング状に形成される。その他の構成
については、前記第1構成例に係る情報担体20aと同
じであるので、重複を避けるために説明を省略する。本
例の情報担体20bは、第1構成例に係る情報担体20
aと同様の効果を有するほか、IC素子1の周囲にブー
スタコイル28を同心円状に配置したので、IC素子1
に一体形成されたアンテナコイル3とリーダライタ10
0に備えられたアンテナコイル102との電磁結合をブ
ースタコイル28を介することによってより高いものと
することができ、より一層の電力供給の安定化及び信号
送受信の安定化又は通信距離の増加を図ることができ
る。
【0036】第3構成例に係る情報担体20cは、図1
2に示すように、上部材22と下部材24との2部材を
もって基体21を構成し、下部材24にIC素子1を収
納するための凹部30を形成したことを特徴とする。そ
の他の構成については、前記第1構成例に係る情報担体
20aと同じであるので、重複を避けるために説明を省
略する。本例の情報担体20cは、第1構成例に係る情
報担体20aと同様の効果を有するほか、部品点数が少
ないことから、情報担体のより一層の低コスト化を図る
ことができる。
【0037】第4構成例に係る情報担体20dは、図1
3に示すように、上部材22と下部材24との2部材を
もって基体21を構成し、下部材24にIC素子1を収
納するための第1凹部30とブースタコイル28を収納
するための第2凹部29を形成したことを特徴とする。
その他の構成については、前記第3構成例に係る情報担
体20cと同じであるので、重複を避けるために説明を
省略する。本例の情報担体20cは、第2構成例に係る
情報担体20bと同様の効果を有するほか、部品点数が
少ないことから、情報担体のより一層の低コスト化を図
ることができる。
【0038】第5構成例に係る情報担体20eは、図1
4に示すように、IC素子収納用の透孔27が開設され
た上部材22と当該透孔27を有しない下部材24との
2部材をもって基体21を構成し、上部材22と下部材
24とを接合することによって形成される凹部内にIC
素子1を収納し、当該凹部内をポッティング樹脂31で
封止したことを特徴とする。その他の構成については、
前記第1構成例に係る情報担体20aと同じであるの
で、重複を避けるために説明を省略する。本例の情報担
体20eは、IC素子1が基体をもって被覆されない点
を除いて、第1構成例に係る情報担体20aと同様の効
果を有する。
【0039】第6構成例に係る情報担体20fは、図1
5に示すように、IC素子収納用の透孔27が開設され
ると共に当該透孔27の周囲にブースタコイル収納用の
凹部29が同心に形成された上部材22と、前記透孔2
7及び凹部29を有しない下部材24との2部材をもっ
て基体21を構成し、前記凹部29内にブースタコイル
28を収納して当該凹部29内をポッティング樹脂31
で封止すると共に、上部材22と下部材24とを接合す
ることによって形成される凹部内にIC素子1を収納し
て当該凹部内をポッティング樹脂31で封止したことを
特徴とする。その他の構成については、前記第5構成例
に係る情報担体20eと同じであるので、重複を避ける
ために説明を省略する。本例の情報担体20fは、IC
素子1が基体をもって被覆されない点を除いて、第1構
成例に係る情報担体20aと同様の効果を有する。
【0040】第7構成例に係る情報担体20gは、図1
6に示すように、片面にIC素子1を収納するための凹
部30が形成された1部材をもって基体21を構成し、
前記凹部30内にIC素子1を収納して当該凹部30内
をポッティング樹脂31で封止したことを特徴とする。
その他の構成については、前記第5構成例に係る情報担
体20eと同じであるので、重複を避けるために説明を
省略する。本例の情報担体20gは、第5構成例に係る
情報担体20eと同様の効果を有するほか、部品点数が
少ないことから、情報担体のより一層の低コスト化を図
ることができる。
【0041】第8構成例に係る情報担体20hは、図1
7に示すように、片面にIC素子1を収納するための第
1凹部30とブースタコイル28を収納するための第2
凹部29が形成された1部材をもって基体21を構成
し、前記第1凹部30内にIC素子1を収納して当該凹
部30内をポッティング樹脂31で封止すると共に、前
記第2凹部29内にブースタコイル28を収納して当該
凹部29内をポッティング樹脂31で封止したことを特
徴とする。その他の構成については、前記第7構成例に
係る情報担体20gと同じであるので、重複を避けるた
めに説明を省略する。本例の情報担体20hは、第6構
成例に係る情報担体20fと同様の効果を有するほか、
部品点数が少ないことから、情報担体のより一層の低コ
スト化を図ることができる。
【0042】なお、前記各構成例においては、基体21
の平面形状を円形に形成したが、その他、正方形、長方
形、三角形又は多角形など、任意の形状に形成すること
ができる。
【0043】また、前記第2、第4、第6及び第8構成
例に係る情報担体においては、独立の別体に形成された
ブースタコイル28を凹部又は透孔内に設置したが、か
かる構成に代えて、基体21を構成するいずれかの部材
に、例えば印刷、メッキ或いはスパッタ等の手段によっ
てブースタコイル28を直接形成することも可能であ
る。
【0044】さらに、前記ブースタコイル28は、アン
テナコイルと主に電磁結合する第1コイルとリーダライ
タに備えられた非接触通信用のコイルと主に電磁結合す
る第2コイルとからなり、前記第2コイルの直径が前記
第1コイルの直径よりも大きく、かつこれら第1及び第
2コイルが直列に接続されたものから構成することもで
きる。
【0045】〈情報担体の製造方法〉次に、本発明に係
るIC素子を搭載してなる情報担体の製造方法を、図1
8乃至図22に基づいて説明する。図18は情報担体の
製造に使用される帯状素材の第1例を示す部分斜視図、
図19は帯状素材の第2例を示す部分斜視図、図20は
帯状素材の第3例を示す部分斜視図、図21は帯状素材
の第4例を示す部分斜視図、図22は帯状素材の第5例
を示す部分斜視図である。
【0046】情報担体は、帯状に形成された1つの基体
構成用の素材(帯状素材)にIC素子1を含む所要の搭
載部品を設定し、次いで、必要に応じて、当該帯状素材
の片面又は両面に他の帯状素材を接合するか搭載部品の
ポッティングを行い、しかる後に、単体の若しくは接合
された帯状素材から所要の情報担体を打ち抜き形成する
ことにより製造される。情報担体製造方法の実施には、
図18に示すようにIC素子1を収納するための透孔2
7が一定間隔で開設された帯状素材41、図19に示す
ようにIC素子1を収納するための透孔27が一定間隔
で開設されると共に各透孔27の周囲にブースタコイル
28を収納するためのリング状の凹部29が同心に形成
され、当該リング状の凹部29の底面に接着剤層32が
塗布された帯状素材42、図20に示すようにIC素子
1を収納するための凹部30が一定間隔で開設され、当
該凹部30の底面に接着剤層32が塗布された帯状素材
43、図21に示すようにIC素子1を収納するための
第1凹部30が一定間隔で開設されると共に各第1凹部
30の周囲にブースタコイル28を収納するためのリン
グ状の第2凹部29が同心に形成され、これら各凹部2
9,30の底面に接着剤層32が塗布された帯状素材4
4、図22に示すように透孔や凹部を有さず片面に接着
剤層25が均一に塗布帯状素材45が選択的に用いられ
る。
【0047】情報担体製造方法の第1例は、前記第1構
成例に係る情報担体20aを製造するためのものであっ
て、図18に示した1枚の帯状素材41と図22に示し
た2枚の帯状素材45を用いる。そして、まず帯状素材
41の片面に接着剤層25を介して帯状素材45を接合
し、IC素子1を収納可能な空間を有する帯状部材4
1,45の接合体を得る。次いで、前記空間内にIC素
子1を位置決めして収納し、接着剤層25を介して帯状
素材45に接着する。次いで、帯状素材41の他面側に
もう1枚の帯状素材45を接着剤層25を介して接合
し、内部空間内にIC素子1が収納された帯状部材4
1,45の接合体を得る。最後に、この接合体を所定の
形状に切断して、第1構成例に係る情報担体20aを得
る。本例の情報担体製造方法は、帯状素材41,45に
多数のIC素子1をケーシングし、しかる後にこの帯状
素材41,45から所要の情報担体を打ち抜き形成する
ので、同一の情報担体を高能率に製造することができ、
情報担体の製造コストを低減することができる。
【0048】情報担体製造方法の第2例は、前記第2構
成例に係る情報担体20bを製造するためのものであっ
て、図19に示した1枚の帯状素材42と図22に示し
た2枚の帯状素材45を用いる。そして、まず帯状素材
42に形成されたリング状の凹部29内にブースタコイ
ル28を収納し、接着剤層32を介して当該凹部29の
底面に接着する。次いで、帯状素材42の片面に接着剤
層25を介して帯状素材45を接合し、IC素子1を収
納可能な空間を有する帯状部材42,45の接合体を得
る。次いで、前記空間内にIC素子1を位置決めして収
納し、接着剤層25を介して帯状素材45に接着する。
次いで、帯状素材41の他面側にもう1枚の帯状素材4
5を接着剤層25を介して接合し、内部空間内にIC素
子1が収納された帯状部材42,45の接合体を得る。
最後に、この接合体を所定の形状に切断して、第2構成
例に係る情報担体20bを得る。本例の情報担体製造方
法も、第1構成例に係る情報担体製造方法と同様の効果
を有する。
【0049】情報担体製造方法の第3例は、前記第3構
成例に係る情報担体20cを製造するためのものであっ
て、図20に示した1枚の帯状素材43と図22に示し
た1枚の帯状素材45を用いる。そして、まず帯状素材
43に形成された凹部30内にIC素子1を位置決めし
て収納し、接着剤層32を介して当該凹部30の底面に
接着する。次いで、帯状素材43の凹部形成面側に帯状
素材45を接着剤層25を介して接合し、内部空間内に
IC素子1が収納された帯状部材43,45の接合体を
得る。最後に、この接合体を所定の形状に切断して、第
3構成例に係る情報担体20cを得る。本例の情報担体
製造方法も、第1構成例に係る情報担体製造方法と同様
の効果を有する。
【0050】情報担体製造方法の第4例は、前記第4構
成例に係る情報担体20dを製造するためのものであっ
て、図21に示した1枚の帯状素材44と図22に示し
た1枚の帯状素材45を用いる。そして、まず帯状素材
44に形成された第1凹部30内にIC素子1を位置決
めして収納し、接着剤層32を介して当該凹部30の底
面に接着すると共に、当該帯状素材44に形成されたリ
ング状の第2凹部29内にブースタコイル28を収納
し、接着剤層32を介して当該凹部29の底面に接着す
る。次いで、帯状素材44の凹部形成面側に帯状素材4
5を接着剤層25を介して接合し、内部空間内にIC素
子1が収納された帯状部材44,45の接合体を得る。
最後に、この接合体を所定の形状に切断して、第3構成
例に係る情報担体20cを得る。本例の情報担体製造方
法も、第1構成例に係る情報担体製造方法と同様の効果
を有する。
【0051】情報担体製造方法の第5例は、前記第5構
成例に係る情報担体20eを製造するためのものであっ
て、図18に示した1枚の帯状素材41と図22に示し
た1枚の帯状素材45を用いる。そして、まず帯状素材
41の片面に接着剤層25を介して帯状素材45を接合
し、IC素子1を収納可能な空間を有する帯状部材4
1,45の接合体を得る。次いで、前記空間内にIC素
子1を位置決めして収納し、接着剤層25を介して帯状
素材45に接着する。次いで、前記IC素子1が収納さ
れた空間内にポッティング樹脂31を充填し、IC素子
1が設定された帯状部材41,45の接合体を得る。最
後に、この接合体を所定の形状に切断して、第5構成例
に係る情報担体20eを得る。本例の情報担体製造方法
も、第1構成例に係る情報担体製造方法と同様の効果を
有する。
【0052】情報担体製造方法の第6例は、前記第6構
成例に係る情報担体20fを製造するためのものであっ
て、図19に示した1枚の帯状素材42と図22に示し
た1枚の帯状素材45を用いる。そして、まず帯状素材
42に形成されたリング状の凹部29内にブースタコイ
ル28を収納し、接着剤層32を介して当該凹部29の
底面に接着する。次いで、帯状素材42の片面に帯状素
材45を接着剤層25を介して接合し、IC素子1を収
納可能な空間を有する帯状部材42,45の接合体を得
る。次いで、前記空間内にIC素子1を位置決めして収
納し、接着剤層25を介して帯状素材45に接着する。
次いで、前記ブースタコイル28が収納された凹部29
内と前記IC素子1が収納された空間内にポッティング
樹脂31を充填し、IC素子1及びブースタコイル28
が設定された帯状部材42,45の接合体を得る。最後
に、この接合体を所定の形状に切断して、第6構成例に
係る情報担体20fを得る。本例の情報担体製造方法
も、第1構成例に係る情報担体製造方法と同様の効果を
有する。
【0053】情報担体製造方法の第7例は、前記第7構
成例に係る情報担体20gを製造するためのものであっ
て、図20に示した1枚の帯状素材43を用いる。そし
て、まず帯状素材43に形成された凹部30内にIC素
子1を位置決めして収納し、接着剤層32を介して当該
凹部30の底面に接着する。次いで、前記IC素子1が
収納された凹部30内にポッティング樹脂31を充填
し、IC素子1が設定された帯状部材43を得る。最後
に、この帯状部材43を所定の形状に切断して、第7構
成例に係る情報担体20gを得る。本例の情報担体製造
方法も、第1構成例に係る情報担体製造方法と同様の効
果を有する。
【0054】情報担体製造方法の第8例は、前記第8構
成例に係る情報担体20hを製造するためのものであっ
て、図21に示した1枚の帯状素材44を用いる。そし
て、まず帯状素材44に形成された第1凹部30内にI
C素子1を位置決めして収納し、接着剤層32を介して
当該凹部30の底面に接着すると共に、当該帯状素材4
4に形成されたリング状の第2凹部29内にブースタコ
イル28を収納し、接着剤層32を介して当該凹部29
の底面に接着する。次いで、前記IC素子1が収納され
た第1凹部30内及び前記ブースタコイル28が収納さ
れた第2凹部29内にポッティング樹脂31を充填し、
IC素子1及びブースタコイル28が設定された帯状部
材43を得る。最後に、この接合体を所定の形状に切断
して、第8構成例に係る情報担体20hを得る。本例の
情報担体製造方法も、第1構成例に係る情報担体製造方
法と同様の効果を有する。
【0055】なお、前記第2,第4,第6,第8例の情
報担体製造方法においては、ブースタコイル28を基体
21と独立の別体に形成したが、基体21を構成するい
ずれかの帯状部材に印刷形成することもできる。
【0056】
【発明の効果】以上説明したようアンテナコイルが一体
形成されたIC素子において、前記アンテナコイルを構
成する導体を、アルミニウム、ニッケル、銅及びクロム
から選択される金属又はこれらの金属群から選択される
2種以上の金属の合金からなる金属スパッタ層又は金属
蒸着層と、当該金属スパッタ層又は金属蒸着層上に形成
された銅めっき層とから形成したので、当該導体を単に
金属スパッタ層のみ又は金属蒸着層のみから構成した場
合に比べて電磁エネルギの損失を小さくすることがで
き、リーダライタからの受給電力の安定化、リーダライ
タとの間の通信の安定化、及びリーダライタとの間の通
信距離の拡大を図ることができる。
【0057】また、本発明のIC素子製造方法は、個々
のIC素子にアンテナコイルを形成するのではなく、完
成ウエハに個々のIC素子に応じた多数のアンテナコイ
ルを同時に形成するので、アンテナコイルが一体形成さ
れたIC素子を高能率に製造することができ、この種の
IC素子の低コスト化を図ることができると共に、アン
テナコイルの基になる金属スパッタ層、金属蒸着層及び
めっき層の厚みを均一かつ高精度に形成することがで
、通信特性のばらつきが小さいIC素子を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例に係るIC素子の平面図である。
【図2】実施形態例に係るIC素子の要部断面図であ
る。
【図3】完成ウエハの平面図である。
【図4】本発明に係るIC素子製造方法の第1例を示す
工程図である。
【図5】本発明に係るIC素子製造方法の第2例を示す
工程図である。
【図6】アンテナコイルを含む所要の導電パターンが形
成された完成ウエハの平面図である。
【図7】第1構成例に係る情報担体の一部切断した平面
図である。
【図8】第1構成例に係る情報担体の分解斜視図であ
る。
【図9】第1構成例に係る情報担体の断面図である。
【図10】第1構成例に係る情報担体の使用状態の説明
図である。
【図11】第2構成例に係る情報担体の断面図である。
【図12】第3構成例に係る情報担体の断面図である。
【図13】第4構成例に係る情報担体の断面図である。
【図14】第5構成例に係る情報担体の断面図である。
【図15】第6構成例に係る情報担体の断面図である。
【図16】第7構成例に係る情報担体の断面図である。
【図17】第8構成例に係る情報担体の断面図である。
【図18】帯状素材の第1例を示す部分斜視図である。
【図19】帯状素材の第2例を示す部分斜視図である。
【図20】帯状素材の第3例を示す部分斜視図である。
【図21】帯状素材の第4例を示す部分斜視図である。
【図22】帯状素材の第5例を示す部分斜視図である。
【符号の説明】
1 IC素子 2 表面保護膜 3 アンテナコイル 4 回路形成部 5 透孔 6 金属スパッタ層又は金属蒸着層 7 金属めっき層 11 完成ウエハ 12 フォトレジスト層 13 マスク 14 所定波長の光 15 電極部 16 リード部 20a〜20h 情報担体 21 基体 22 上部材 23 中間部材 24 下部材 25 接着剤層 27 透孔 28 ブースタコイル 29 凹部 41〜45 帯状素材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開2000−311226(JP,A) 特開 平1−157896(JP,A) 特開 平4−167719(JP,A) 特開 平10−193849(JP,A) 特開 平11−184997(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B42D 15/10 G06K 19/07 G06K 19/077 H01L 25/00 H01F 17/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アンテナコイルが一体形成されたIC素
    子において、前記アンテナコイルを構成する導体を、
    ルミニウム、ニッケル、銅及びクロムから選択される金
    属又はこれらの金属群から選択される2種以上の金属の
    合金からなる金属スパッタ層又は金属蒸着層と、当該金
    属スパッタ層又は金属蒸着層上に形成された銅めっき層
    とから形成したことを特徴とするIC素子。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のIC素子において、絶
    縁性の表面保護膜を介して前記IC素子の入出力端子形
    成面側に前記アンテナコイルを形成し、前記IC素子の
    入出力端子と前記アンテナコイルとを、前記表面保護膜
    に開設された前記アンテナコイルの線幅よりも小径の透
    孔を介して電気的に接続したことを特徴とするIC素
    子。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のIC素子において、前
    記アンテナコイルの平面形状を矩形スパイラル形状と
    し、角部の全部又は一部に面取りを施したことを特徴と
    するIC素子。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のIC素子において、前
    記金属めっき層を、無電解めっき法又は電気めっき法若
    しくは精密電鋳法により形成したことを特徴とするIC
    素子。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載のIC素子において、前
    記アンテナコイルの線幅を7μm以上、線間距離を5μ
    m以下、巻数を20ターン以上としたことを特徴とする
    IC素子。
  6. 【請求項6】 所定のプロセスを経て作製された完成ウ
    エハの表面保護膜上に金属スパッタ層又は金属蒸着層
    成する工程と、当該金属スパッタ層又は金属蒸着層上
    にフォトレジスト層を形成する工程と、前記フォトレジ
    スト層にアンテナコイルを含む所要のパターンを露光・
    現像することで前記金属スパッタ層又は金属蒸着層を前
    記所定のパターンで露出させる工程と、前記金属スパッ
    タ層又は金属蒸着層の露出部分に無電解めっき法又は電
    気めっき法若しくは精密電鋳法を用いてめっき層を積
    層する工程と、前記完成ウエハに付着したフォトレジス
    ト層を除去する工程と、前記めっき層より露出した前
    記金属スパッタ層又は金属蒸着層を選択的にエッチング
    し、前記所定のパターンに相当する所定の導電パターン
    を形成する工程と、前記完成ウエハをスクライビングし
    てアンテナコイルが一体形成された所要のIC素子を得
    る工程とを含むことを特徴とするIC素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 所定のプロセスを経て作製された完成ウ
    エハの表面保護膜上にフォトレジスト層を形成する工程
    と、前記フォトレジスト層にアンテナコイルを含む所要
    のパターンを露光・現像することで前記表面保護膜を前
    記所定のパターンで露出させる工程と、現像処理後の完
    成ウエハをスパッタ装置又は真空蒸着装置に装着し、前
    記表面保護膜の露出部分に金属スパッタ層又は金属蒸着
    層を形成する工程と、前記完成ウエハに付着したフォト
    レジスト層を除去する工程と、前記金属スパッタ層又は
    金属蒸着層に無電解めっき法又は電気めっき法を用いて
    めっき層を積層する工程と、前記完成ウエハをスクラ
    イビングしてアンテナコイルが一体形成された所要のI
    C素子を得る工程とを含むことを特徴とするIC素子の
    製造方法。
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