JP3346515B2 - 製紙用添加剤 - Google Patents

製紙用添加剤

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JP3346515B2
JP3346515B2 JP27289994A JP27289994A JP3346515B2 JP 3346515 B2 JP3346515 B2 JP 3346515B2 JP 27289994 A JP27289994 A JP 27289994A JP 27289994 A JP27289994 A JP 27289994A JP 3346515 B2 JP3346515 B2 JP 3346515B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、製紙用添加剤に関す
る。詳しくは、グラフト構造の多糖類−イオン性共重合
体を主成分とする製紙用添加剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、製紙用添加剤は、紙力増強
剤、濾水向上剤として用いられており、主にポリアクリ
ルアミド系共重合体と、澱粉に代表される水分散性多糖
類が使用されている。
【0003】これらのうち水分散性多糖類はポリアクリ
ルアミド系共重合体に比べて安価であるが、濾水性、パ
ルプへの定着性が低いため多量に使用しなければならな
い。そのため、廃水への負荷が高くなること、スライム
が発生すること、さらには抄紙機へ汚れが付着すること
などの問題がある。一方、ポリアクリルアミド系共重合
体は、水分散性多糖類に比べて価格面においては不利で
あるが、そのイオン性から濾水性、パルプへの定着性に
優れるといった特徴を有する。
【0004】そこで、アクリルアミド系共重合体と澱粉
などの水分散性多糖類の互いの長所を伸ばすべく、種々
の検討がなされている。例えば、特公昭38−1705
1号には水分散性多糖類の存在下で不飽和アミド(たと
えば、アクリルアミド)と不飽和カルボン酸(たとえ
ば、アクリル酸)をグラフト重合してなる製紙用添加剤
が記載されている。また、特公昭50−12481号に
は、水分散性多糖類およびその誘導体の少なくとも一種
の存在下に、アクリルアミドとアクリル酸とをグラフト
重合させた、アクリルアミドを主要単量体成分とする特
定の共重合体からなる紙力増強剤が記載されている。し
かし、近年、製紙用添加剤の使用条件はますます厳しく
なってきており、前記従来のグラフト構造の多糖類−ア
クリルアミド系共重合体では、製紙用添加剤としての性
能上限界にきている。そのため、性能の向上を図るべく
高分子量化が種々検討されているが、単に高分子量化し
たのでは、粘度が過度に上昇するため、抄紙時に過度の
凝集が生じ、成紙の地合い乱れを引き起こしやすいとい
う問題がある。
【0005】また、澱粉などの水分散性多糖類を、たと
えば2,3−エポキシプロピルトリメチルアンモニウ
ム、2−ジエチルアミノエチルクロライド各種のカチオ
ン化剤で処理することにより、澱粉などにカチオン性を
付与した製紙用添加剤も知られている。しかし、一般に
知られているカチオン化澱粉は、濾水性、パルプへの定
着性を充分に満足するものではない。また、かかるカチ
オン化剤により、高カチオン化の澱粉を製造することも
できるが、製造上価格面の不利があり、安価な澱粉を使
用する意義がなくなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、濾水性とパ
ルプへの定着性に優れ、かつ比較的低粘度で安価な製紙
用添加剤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、澱粉など
の水分散性多糖類に濾水性、パルプへの定着性を充分に
満足できるイオン性を付与すべく鋭意研究を重ねた結
果、水分散性多糖類に、イオン性ビニルモノマーととも
に特定連鎖移動性置換基を側鎖に有するビニルモノマー
をグラフト重合させて得られる、グラフト構造の多糖類
−イオン性共重合体が、本発明の目的に合致した製紙用
添加剤であることを見出した。本発明は、かかる新たな
知見に基づいて完成されたものである。
【0008】すなわち本発明は、(1)(a)アニオン
性ビニルモノマーおよびカチオン性ビニルモノマーから
選ばれるイオン性ビニルモノマーの少なくとも一種50
〜99.99重量%、(b)アリル基、ポリアルキレン
グリコール基および一般式(1):−CONR
(式中、R は水素原子またはメチル基を表し、R
はメチル基、イソプロピル基または一般式(2):−C
(CH −CH −R (式中、R はカルボ
キシル基、スルホニル基もしくはこれらの炭素数1〜4
のアルキルエステルまたはアセチル基を表す)で表され
る基を表す)で表されるN−置換アミド基から選択され
る少なくとも一種の連鎖移動性置換基を側鎖に有するビ
ニルモノマーの少なくとも一種0.01〜20重量%を
含有してなるビニルモノマーの混合物(A)100重量
部を、水分散性多糖類(B)500〜3000重量部を
含有してなる水分散液中、ラジカル重合開始剤の存在下
でグラフト重合させて得られる、グラフト構造の多糖類
−イオン性共重合体を主成分とする製紙用添加剤、なら
びに、(2)(a)アニオン性ビニルモノマーおよびカ
チオン性ビニルモノマーから選ばれるイオン性ビニルモ
ノマーの少なくとも一種50〜99.99重量%、
(b)アリル基、ポリアルキレングリコール基および一
般式(1):−CONR (式中、R は水素
原子またはメチル基を表し、R はメチル基、イソプ
ロピル基または一般式(2):−C(CH −C
−R (式中、R はカルボキシル基、スルホ
ニル基もしくはこれらの炭素数1〜4のアルキルエステ
ルまたはアセチル基を表す)で表される基を表す)で表
されるN−置換アミド基から選択される少なくとも一種
連鎖移動性置換基を側鎖に有するビニルモノマーの少
なくとも一種0.01〜20重量%を含有してなるビニ
ルモノマーの混合物(A)100重量部を予め共重合さ
せて得られたイオン性共重合体を、水分散多糖類
(B)50〜3000重量部を含有してなる水分散液
中、ラジカル重合開始剤の存在下でグラフト重合させて
得られる、グラフト構造の多糖類−イオン性共重合体を
主成分とする製紙用添加剤に関する。
【0009】(a)イオン性ビニルモノマーとしては、
アニオン性ビニルモノマー(a−1)およびカチオン性
ビニルモノマー(a−2)から選ばれるいずれか少なく
とも一種を用いる。アニオン性ビニルモノマー(a−
1)の具体例としては、例えば(メタ)アクリル酸、ク
ロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、
イタコン酸、ムコン酸、シトラコン酸等のジカルボン
酸;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アク
リルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などの有機
スルホン酸;またはこれら各種有機酸のナトリウム塩、
カリウム塩等があげられる。これらのなかでも重合性や
価格面から、アクリル酸が好ましい。また、カチオン性
ビニルモノマー(a−2)の具体例としては、ジメチル
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエ
チル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル
(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メ
タ)アクリルアミド、ビニルピリジンなどの第三級アミ
ノ基を有するビニルモノマーまたはそれらの塩酸、硫
酸、酢酸などの無機酸もしくは有機酸の塩類、または該
第三級アミノ基含有ビニルモノマ−とメチルクロライ
ド、ベンジルクロライド、ジメチル硫酸、エピクロルヒ
ドリンなどの四級化剤との反応によって得られる第四級
アンモニウム塩を含有するビニルモノマー、その他、ア
リルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミンなどの
アリルアミン類等があげられる。これらのなかでも重合
性や価格面から、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリ
レートが好ましい。これら(a)イオン性ビニルモノマ
ーは、アニオン性ビニルモノマー(a−1)またはカチ
オン性ビニルモノマー(a−2)を単独で使用してもよ
く、アニオン性ビニルモノマー(a−1)およびカチオ
ン性ビニルモノマー(a−2)を併用してもよい。
【0010】(b)アリル基、ポリアルキレングリコー
ル基および一般式(1):−CONR (式中、
は水素原子またはメチル基を表し、R はメチル
基、イソプロピル基または一般式(2):−C(C
−CH −R (式中、R はカルボキシ
ル基、スルホニル基もしくはこれらの炭素数1〜4のア
ルキルエステルまたはアセチル基を表す)で表される基
を表す)で表されるN−置換アミド基から選択される少
なくとも一種の連鎖移動性置換基を側鎖に有するビニル
モノマーは、重合に際し連鎖移動点として作用するメチ
ル基、アルキレン基等の連鎖移動性置換基を側鎖に有
し、得られる共重合体に多くの分岐構造を導入できるビ
ニルモノマーである。本発明はかかる連鎖移動性の置換
基の作用により、濾水性とパルプへの定着性に優れ、か
つ高分子量化した場合にも比較的低粘度のグラフト構造
の多糖類−イオン性共重合体を得ようとするものであ
る。
【0011】このような連鎖移動性置換基としては、た
とえば、アリル基、ポリアルキレングリコール基または
一般式(1):−CONR12 (式中、R1 は水素原
子またはメチル基を表し、R2 はメチル基、イソプロピ
ル基または一般式(2):−C(CH32 −CH2
3 (R3 はカルボキシル基、スルホニル基もしくはこ
れらの炭素数1〜4のアルキルエステルまたはアセチル
基を表す)で表される基を表す)で表されるN−置換ア
ミド基があげられる。
【0012】連鎖移動性置換基としてアリル基を有する
ビニルモノマーの具体例としては、アリル(メタ)アク
リレート、N−アリル(メタ)アクリルアミド、N−ジ
アリル(メタ)アクリルアミドなどがあげられる。ま
た、連鎖移動性置換基としてポリアルキレングリコール
基を有するビニルモノマーとしては、少なくとも2個の
オキシアルキレン基の繰り返し単位を有するものがあげ
られる。通常はオキシアルキレン基の繰り返し単位10
個程度までのものを使用するのが好ましい。具体例とし
ては、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト等のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、前記同様のポリプロピレングリコールモノ(メタ)
アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、ポリトリメチレングリコールモ
ノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコー
ルモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール
プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等があ
げられる。また、連鎖移動性置換基として前記一般式
(1)で表されるN−置換アミド基を有するビニルモノ
マーの具体例としては、ジメチルアクリルアミド、ダイ
アセトンアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミ
ド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン
酸およびこれらの炭素数1〜4のアルキルエステルがあ
げられる。これら(b)連鎖移動性置換基を側鎖に有す
るビニルモノマーのなかでも、重合性がよく共重合体に
多くの分岐構造を導入できることから、ジメチルアクリ
ルアミドが好ましい。
【0013】本発明では、任意のビニルモノマー成分と
して(c)前記(b)成分を除くノニオン性ビニルモノ
マーを使用できる。かかる(c)ノニオン性ビニルモノ
マーとしては、前記(a−1)アニオン性ビニルモノマ
ーのアルキルエステルや、アクリロニトリル、スチレ
ン、酢酸ビニル、メチルビニルエーテル、(メタ)アク
リルアミドなどがあげられる
【0014】さらに本発明では、任意のビニルモノマー
成分として(d)前記(b)成分を除く架橋性ビニルモ
ノマーを使用することもできる。当該(d)架橋性ビニ
ルモノマーとしては、以下のような多官能性ビニルモノ
マーがあげられる。たとえば、2官能性ビニルモノマー
としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ト
リエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のジ
(メタ)アクリレート類、メチレンビス(メタ)アクリ
ルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、ヘキ
サメチレンビス(メタ)アクリルアミド等のビス(メ
タ)アクリルアミド類、アジピン酸ジビニル、セバシン
酸ジビニル等のジビニルエステル類、エポキシアクリレ
ート類、ウレタンアクリレート類、N−メチロールアク
リルアミド、ジビニルベンゼン等があられる。また、
3官能性ビニルモノマーとしては、1,3,5−トリア
クリロイルヘキサヒドロ−S−トリアジン等があげられ
る。4官能性ビニルモノマーとしては、テトラメチロー
ルメタンテトラアクリレート等があげられる。なお、こ
れらのなかでは、製造時の反応制御が容易なことから、
官能基がすべてビニル系二重結合のものが好ましい。
【0015】本発明の前記(a)〜(d)成分の各使用
量は、得られる共重合体の製紙用添加剤としての性能を
十分考慮して決定しなければならない。すなわち、
(a)〜(d)成分からなるビニルモノマーの混合物
(A)の総重量和に対し以下の通りである。
【0016】すなわち、(a)成分は、該総重量和の5
0〜99.99重量%、好ましくは70〜98重量%で
ある。(a)成分が50重量%に満たない場合には共重
合体へのイオン成分の付与量が不十分であり十分なパル
プへの定着が望めない。99.99重量%を越える場合
にはグラフト構造に寄与する成分が不十分となり十分な
グラフト体を形成できず、いずれの場合にも好ましくな
い。なお、(a)成分として、アニオン性ビニルモノマ
ー(a−1)およびカチオン性ビニルモノマー(a−
2)の両者を使用する場合の割合は、それぞれのイオン
性を考慮して適宜に調整すればよい。
【0017】(b)成分も同様に、0.01〜20重量
%、好ましくは0.1〜10重量%である。(b)成分
が0.01重量%に満たない場合には、共重合体に多く
の分岐構造を導入できないため定着性が不十分であり、
20重量%を越える場合には分岐が進みすぎてゲル化す
るため、いずれの場合にも好ましくない。
【0018】(c)成分も同様に0〜50重量%、好ま
しくは0〜30重量%である。(c)成分が50重量%
以上の場合には、増粘したり、水への溶解性が悪くなり
好ましくない。
【0019】(d)成分も同様に0〜1重量%、好まし
くは0〜0.5重量%である。(d)成分が1重量%を
越える場合には、架橋が進みすぎてゲル化するため好ま
しくない。
【0020】本発明のグラフト構造の多糖類−イオン性
共重合体は、(1)前記(a)〜(d)成分からなるビ
ニルモノマーの混合物(A)を、水分散性多糖類(B)
を含有してなる水分散液中、ラジカル重合開始剤の存在
下でグラフト重で共重合させる方法、または(2)該混
合物(A)を予め共重合させて得られたイオン性共重合
体を、水分散多糖類(B)を含有してなる水分散液中、
ラジカル重合開始剤の存在下でグラフト重合させる方法
により製造できる。
【0021】水分散性多糖類(B)としては、各種公知
のものを使用でき、たとえば、とうもろこし、馬鈴薯、
タピオカ、小麦、米、サゴやし、ワクシーメイズから得
られる各種の澱粉類、セルロース類の他、カチオン化澱
粉、酸化澱粉、リン酸変性澱粉、カルボキシメチル化澱
粉、ヒドロキシエチル化澱粉、カルバミルエチル化澱
粉、ジアルデヒド化澱粉、酢酸変性澱粉等の澱粉誘導体
または同様のセルロース類の誘導体、さらにはキチン、
キトサン等があげられる。
【0022】ビニルモノマーの混合物(A)と水分散性
多糖類(B)の割合は、ビニルモノマーの混合物(A)
100重量部に対し、水分散性多糖類(B)500〜3
000重量部、好ましくは650〜2000重量部であ
る。水分散性多糖類(B)の割合が500重量部に満た
ない場合には、イオン性が高く価格面での有利性が少な
くなり、3000重量部を越える場合にはイオン性共重
合体の割合が少なくなり濾水性、定着性を十分に満足し
ないため、いずれの場合も好ましくない。
【0023】本発明のグラフト構造の多糖類−イオン性
共重合体を、前記(1)の方法で製造する場合には、所
定の反応容器に前記ビニルモノマーの混合物(A)およ
び水分散性多糖類(B)を含有する水分散液を仕込み、
過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、ま
たはこれらと亜硫酸水素ナトリウム等の還元剤とを組み
合わせた形のレドックス系重合開始剤等の通常のラジカ
ル重合開始剤を加え、撹拌下、加温することにより目的
物を製造できる。ラジカル重合開始剤の使用量は、通常
前記ビニルモノマー混合物(A)の0.01〜1重量%
である。なお、水分散性多糖類(B)は、通常1〜20
重量%の糊液の状態で用いる。反応温度は通常80〜1
00℃程度であり、反応時間は通常0.1〜5時間であ
る。
【0024】また、前記(2)方法で製造する場合に
は、予め前記のビニルモノマーの混合物(A)を共重合
してイオン性共重合体を製造しておく。かかるイオン性
共重合体の製造は、従来公知の各種方法により行うこと
ができる。例えば、ビニルモノマーの混合物および水を
所定の反応容器に仕込み、過硫酸カリウム、過硫酸アン
モニウム等の過硫酸塩、またはこれらと亜硫酸水素ナト
リウム等の還元剤とを組み合わせた形のレドックス系重
合開始剤等の通常のラジカル重合開始剤を加え、撹拌
下、加温することにより目的物を製造できる。なお、ラ
ジカル重合開始剤の使用量は、通常、前記ビニルモノマ
ー混合物の0.01〜1重量%である。また、反応温度
は通常80〜100℃程度であり、反応時間は通常0.
1〜5時間である。得られるイオン性共重合体の水溶液
の粘度は、通常20重量%において100〜20000
cP(25℃)程度である。
【0025】イオン性共重合体と水分散性多糖類(B)
のグラフト重合は従来公知の各種方法により行うことが
できる。すなわち、例えば、所定の反応容器に前記イオ
ン性共重合体の水溶液および水分散性多糖類(B)を含
有する水分散液を仕込み、過硫酸カリウム、過硫酸アン
モニウム等の過硫酸塩、またはこれらと亜硫酸水素ナト
リウムのごとき還元剤とを組み合わせた形のレドックス
系重合開始剤等の通常のラジカル重合開始剤を加え、撹
拌下、加温することにより目的物を製造できる。ラジカ
ル重合開始剤の使用量は、通常、アクリルアミド系共重
合体(A)の0.01〜1重量%である。なお、水分散
性多糖類(B)は、通常1〜20重量%の糊液の状態で
用いる。反応温度は通常80〜100℃程度であり、反
応時間は通常0.1〜5時間である。
【0026】かくして得られた本発明のグラフト構造の
多糖類−イオン性共重合体は、たとえば、従来公知のグ
ラフト構造の多糖類−アクリルアミド系共重合体と殆ど
同様のpH、粘度である。通常pHは3〜9程度、粘度
は10重量%の水溶液において100〜10000cP
(25℃)程度である。
【0027】
【発明の効果】本発明のグラフト構造の多糖類−イオン
性共重合体を主成分とする製紙用添加剤は、従来公知の
製紙用添加剤と殆ど同様のpH、粘度でありながら、濾
水性とパルプへの定着性に優れる。なお、本発明の製紙
用添加剤がこのように各種性能に優れるのは定かでない
が、多糖類分子に単にグラフト構造が導入されるだけで
なく、イオン性共重合体にも連鎖移動性置換基の作用に
より分岐構造が導入された構造となっていることから、
パルプ繊維間との接点のイオン性が高く紙力増強効果等
の製紙用添加剤としての種々の特徴ある性能を示すもの
と考えられる。これにより、過度の凝集を引き起こすこ
となく、良好な定着性を示し、その結果として、近時の
厳しい抄紙条件下でも製紙用添加剤としての優れた諸効
果を奏すると考えられる。
【0028】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて本発明を
より具体的に説明する。なお、部および%はいずれも重
量基準による。
【0029】実施例1 撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素ガス導入管を備
えた四つ口フラスコに、アクリル酸29%、ジメチルア
ミノエチルメタクリレート56%、ポリエチレングリコ
ールメタクリレート(PE−350、日本油脂(株)
製)15%からなるビニルモノマーの混合物100部お
よび陽イオン性タピオカ澱粉(日澱化学(株)製)15
00部を含有する糊液15000部を仕込み、窒素ガス
を通じて反応系内の酸素を除去した。次に、系内を40
℃にし撹拌下に重合開始剤として過硫酸アンモニウム
0.5部および亜硫酸水素ナトリウム0.3部を投入し
た。85℃まで昇温し、2時間保温後、冷却し、pH
4.5、固形分10.5%、粘度(25℃)が8500
cpsのグラフト構造の多糖類−イオン性共重合体の水
溶液を得た。
【0030】実施例2〜5、比較例1〜5 実施例1において、各成分の種類またはその使用量(糊
液は固形分が10%になるように調製)のうちいずれか
少なくとも1種を表1のように変えた他は、実施例1と
同様の操作を行いグラフト構造の多糖類−イオン性共重
合体の水溶液を得た。得られた共重合体の水溶液の性状
値を表5または表6に示す。
【0031】
【表1】
【0032】表1中、ビニルモノマーの混合物(A)の
各成分は、AM:アクリルアミド、AA:アクリル酸、
IA:イタコン酸、DM:ジメチルアミノエチルメタク
リレート、AMA:アリルメタクリレート、DMAA:
ジメチルアクリルアミド、PE90:ポリエチレンメタ
クリレート(日本油脂(株)製)、PE350:ポリエ
チレンメタクリレート(日本油脂(株)製)、AN:ア
クリロニトリル、MBAA:メチレンビスアクリルアミ
ドを示す。また、多糖類(B)は、それぞれ*1:酸化
澱粉(王子コーンスターチ(株)製)、*2:リン酸変
性澱粉(日澱化学(株)製)、*3:カルボキシメチル
セルロース(第一工業製薬(株)製)を示す。また、多
糖類(B)の使用量は、ビニルモノマーの混合物(A)
100重量部に対する使用量(重量部)である。
【0033】参考例1 実施例1と同様の反応装置に、アクリル酸30部、ジメ
チルアミノエチルメタクリレ−ト42部、ポリエチレン
グリコールメタクリレート(日本油脂(株)製、PE3
50)18部、アクリルアミド10部およびイオン交換
水400部を仕込み、窒素ガスを通じて反応系内の酸素
を除去した。次に、系内を40℃にし撹拌下に重合開始
剤として過硫酸アンモニウム0.5部および亜硫酸水素
ナトリウム0.3部を投入した。85℃まで昇温し、2
時間保温した後、冷却して、pH4.6、固形分20.
3%、粘度9600cPのイオン性モノマー系共重合体
(A)の水溶液を得た。
【0034】参考例2〜8 参考例1において、(a)〜(d)成分の種類またはそ
の使用量のうちいずれか少なくとも1種を表2ように変
えたほかは、参考例1と同様の操作を行いイオン性共重
合体の水溶液を得た。得られたイオン性共重合体の水溶
液の性状値を表3に示す。
【0035】
【表2】
【0036】表2中、ビニルモノマー混合物(A)の各
成分の表示は、それぞれ表1のそれに同じ。
【0037】
【表3】
【0038】実施例6 実施例1と同様の反応装置に、参考例1で得られたイオ
ン性共重合体の水溶液500部(固形分100部)、お
よび陽イオン性タピオカ澱粉(日澱化学(株)製)15
00部を含有する糊液150000部を仕込み、窒素ガ
スを通じて反応系内の酸素を除去した。次に、系内を4
0℃にし撹拌下に重合開始剤として過硫酸アンモニウム
0.25部および亜硫酸水素ナトリウム0.15部を投
入した。85℃まで昇温し、2時間保温後、冷却し、p
H4.4、固形分10.4%、粘度(25℃)が810
0cPのグラフト構造の多糖類−イオン性共重合体の水
溶液を得た。
【0039】実施例7〜10、比較例6〜10 実施例1において、イオン性共重合体の水溶液の種類、
水分散性多糖類(B)の種類もしくは使用量(糊液は固
形分が10%になるように調製)のうちいずれか少なく
とも1種、または重合開始剤の有無を表4のように変え
たほかは、実施例6と同様の操作を行った。得られた各
グラフト構造の多糖類−イオン性共重合体の水溶液の性
状値を表5または表6に示す。
【0040】
【表4】
【0041】表3中、水分散性多糖類の種類の表示は、
それぞれ表1のそれに同じ。
【0042】
【表5】
【0043】
【表6】
【0044】(性能評価方法1)段ボール古紙をナイア
ガラ式ビーターにて叩解し、カナディアン・スタンダー
ド・フリーネス(C.S.F)420mlに調整したパ
ルプに硫酸バンドを1.6%添加してpH5.5とし、
ついで上記各実施例1〜10および比較例1〜10で得
られた各共重合体水溶液、ならびに比較例11として陽
イオン性タピオカ澱粉(日澱化学(株)製)を紙力増強
剤として対パルプ0.6%を添加し、撹拌した後、パル
プスラリー濃度を0.1%になるように希釈し、タッピ
・シートマシンにて、坪量150g/m2 となるよう抄
紙し、5Kg/cm2 で2分プレス脱水した。次いで回
転型乾燥機で105℃において3分間乾燥し、20℃、
65%R.H.の条件下に24時間調湿したのちJIS
P 8112に準じ、比破裂強度を測定した。結果を
表7または表8に示す。
【0045】(性能評価方法2)BKPをナイアガラ式
ビーターにて叩解し、(C.S.F)550mlに調整
したパルプ(pH6.8)に、上記各実施例1〜10お
よび比較例1〜10で得られた各共重合体水溶液、なら
びに比較例11として陽イオン性タピオカ澱粉(日澱化
学(株)製)を上記と同様に添加し、上記と同様の操作
を行い、比破裂強度を測定した。結果を表7または表8
に示す。
【0046】
【表7】
【0047】
【表8】
【0048】表7、表8の結果より、本発明で得られる
グラフト構造の多糖類−イオン性共重合体は、従来のも
のに比べて、ほぼ同様の粘度でありながらた優れた紙力
増強効果を発現していると認められる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−122097(JP,A) 特開 昭54−34409(JP,A) 特開 平3−213597(JP,A) 特公 昭49−29127(JP,B1) 特公 昭39−29380(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21H 11/00 - 27/42

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)アニオン性ビニルモノマーおよび
    カチオン性ビニルモノマーから選ばれるイオン性ビニル
    モノマーの少なくとも一種50〜99.99重量%、
    (b)アリル基、ポリアルキレングリコール基および一
    般式(1):−CONR (式中、R は水素
    原子またはメチル基を表し、R はメチル基、イソプ
    ロピル基または一般式(2):−C(CH −C
    −R (式中、R はカルボキシル基、スルホニ
    ル基もしくはこれらの炭素数1〜4のアルキルエステル
    またはアセチル基を表す)で表される基を表す)で表さ
    れるN−置換アミド基から選択される少なくとも一種の
    連鎖移動性置換基を側鎖に有するビニルモノマーの少な
    くとも一種0.01〜20重量%を含有してなるビニル
    モノマーの混合物(A)100重量部を、水分散性多糖
    類(B)500〜3000重量部を含有してなる水分散
    液中、ラジカル重合開始剤の存在下でグラフト重合させ
    て得られる、グラフト構造の多糖類−イオン性共重合体
    を主成分とする製紙用添加剤。
  2. 【請求項2】 (a)アニオン性ビニルモノマーおよび
    カチオン性ビニルモノマーから選ばれるイオン性ビニル
    モノマーの少なくとも一種50〜99.99重量%、
    (b)アリル基、ポリアルキレングリコール基および一
    般式(1):−CONR (式中、R は水素
    原子またはメチル基を表し、R はメチル基、イソプ
    ロピル基または一般式(2):−C(CH −C
    −R (式中、R はカルボキシル基、スルホニ
    ル基もしくはこれらの炭素数1〜4のアルキルエステル
    またはアセチル基を表す)で表される基を表す)で表さ
    れるN−置換アミド基から選択される少なくとも一種の
    連鎖移動性置換基を側鎖に有するビニルモノマーの少な
    くとも一種0.01〜20重量%を含有してなるビニル
    モノマーの混合物(A)100重量部を予め共重合させ
    て得られたイオン性共重合体を、水分散多糖類(B)5
    00〜3000重量部を含有してなる水分散液中、ラジ
    カル重合開始剤の存在下でグラフト重合させて得られ
    る、グラフト構造の多糖類−イオン性共重合体を主成分
    とする製紙用添加剤。
  3. 【請求項3】 ビニルモノマーの混合物(A)として、
    (c)前記(b)を除くノニオン性ビニルモノマー0〜
    50重量%を含有してなる請求項1または2記載の製紙
    用添加剤。
  4. 【請求項4】 ビニルモノマーの混合物(A)として、
    (d)前記(b)を除く架橋性ビニルモノマーを0〜1
    重量%含有してなる請求項1、2または3記載の製紙用
    添加剤。
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