JP3125409B2 - 製紙用添加剤およびその製造法 - Google Patents

製紙用添加剤およびその製造法

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JP3125409B2
JP3125409B2 JP04031579A JP3157992A JP3125409B2 JP 3125409 B2 JP3125409 B2 JP 3125409B2 JP 04031579 A JP04031579 A JP 04031579A JP 3157992 A JP3157992 A JP 3157992A JP 3125409 B2 JP3125409 B2 JP 3125409B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、製紙用添加剤に関す
る。詳しくは、特定グラフト構造の(メタ)アクリルア
ミド系共重合体を含有してなる製紙用添加剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、製紙用添加剤、特に紙力増強剤が
紙、板紙の製造に際し重要視されて来ている。この背景
としては、原木供給事情の悪化に伴い良質パルプの使用
が制限されたこと、さらに省エネルギーや省資源の目的
で古紙の再利用の必要性が一段と強まったことがあげら
れ、その結果として紙、板紙の改質剤としての製紙用添
加剤は一層不可欠なものとなっている。
【0003】一方、抄紙機の高速化に伴う生産性の向
上、あるいは紙の多様化に応じた品質向上の目的で、濾
水性向上剤および紙力増強剤への依存度とその使用範囲
はさらに広まっている。かかる状況下に製紙用添加剤と
しては、ポリアクリルアミド系が主流となっている。
【0004】ポリアクリルアミド系製紙用添加剤は、イ
オン性によりアニオンタイプ、カチオン(両性も含む)
タイプに分類できる。例えば、該アニオンタイプとして
は、アクリルアミドとアニオン性ビニルモノマーである
α,β−不飽和モノカルボン酸あるいはα,β−不飽和
ジカルボン酸との共重合体、またはアクリルアミド系共
重合体の部分加水分解物などが知られている。他方、カ
チオン(両性)タイプとしては、イオン性官能基の導入
方法の相違に基づいて、変性タイプと共重合タイプのも
のがある。例えば、変性タイプとしては、アクリルアミ
ド系共重合体のホフマン転位物、マンニッヒ変性物など
があり、一方、共重合タイプとしては、カチオン性ビニ
ルモノマーと(メタ)アクリルアミド、必要に応じてア
ニオン性ビニルモノマーあるいはその他の共重合しうる
ノニオン性ビニルモノマーを共重合してなる各種共重合
体が知られている(特開昭60−94697号)。
【0005】しかしながら、近年、製紙用添加剤の使用
条件はますます厳しくなってきたため、従来公知の比較
的低分子量のポリアクリルアミド系製紙用添加剤では、
添加剤としての効果の点で限界にきている。そのため、
性能の向上を図るべく高分子量化の手段が採られるが、
単に高分子量化した場合には得られる共重合体の粘度が
過度に上昇するため、抄紙時の分散性が不良となる。そ
の結果、かかる共重合体を製紙用添加剤として使用した
場合には過度の凝集が生じ、成紙の地合い乱れを引き起
こしやすい。
【0006】この問題点を解消すべく、架橋剤を使用す
ることにより分岐構造を持たせ、得られる共重合体の粘
度上昇を抑えながらその分子量を増加させようとする試
みがなされているが、架橋剤の反応性が不十分であった
り、均一な分岐構造を導入しがたく製紙用添加剤として
の効果は未だ十分ではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高分子量の
(メタ)アクリルアミド系共重合体を含有してなり、し
かも比較的低粘度で、かつパルプへの定着性に優れた製
紙用添加剤を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記従来技
術の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、グラフト
構造の(メタ)アクリルアミド系共重合体によれば、高
分子量の(メタ)アクリルアミド系共重合体を高粘度化
させることなく得ることができるだけでなく、該共重合
体が製紙用添加剤としての諸効果に優れていること、さ
らにはグラフト構造の主鎖と側鎖のイオン成分に偏りを
持たせた場合には特に紙力増強効果に優れていることを
見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は、(1)(a)アクリ
ルアミドおよび/またはメタクリルアミド、(b)アニ
オン性ビニルモノマーおよびカチオン性ビニルモノマー
から選ばれるイオン性ビニルモノマーの少なくとも一
種、並びに(c)連鎖移動性置換基を側鎖に有するビニ
ルモノマーの少なくとも一種を主成分とする主鎖(A)
を共重合した後、該主鎖(A)に前記(a)成分、及び
前記(b)成分を主成分とする側鎖(B)をグラフト重
合させてなるグラフト重合体を含有することを特徴とす
製紙用添加剤(2) (a)アクリルアミドおよび/またはメタクリル
アミド、(b)アニオン性ビニルモノマーおよびカチオ
ン性ビニルモノマーから選ばれるイオン性ビニルモノマ
ーの少なくとも一種、並びに(c)連鎖移動性置換基を
有するビニルモノマーの少なくとも一種を主成分とする
主鎖(A)を共重合した後、該主鎖(A)に前記(a)
成分を主成分とする側鎖(B)をグラフト重合させさせ
てなるグラフト重合体を含有することを特徴とする製紙
用添加剤並びに (3) (a)アクリルアミドおよび/またはメタクリル
アミド、並びに(c)連鎖移動性置換基を有するビニル
モノマーの少なくとも一種を主成分とする主鎖(A)を
共重合した後、該主鎖(A)に前記(a)成分、及び
(b)アニオン性ビニルモノマーおよびカチオン性ビニ
ルモノマーから選ばれるイオン性ビニルモノマーの少な
くとも一種を主成分とする側鎖(B)をグラフト重合さ
せさせてなるグラフト重合体を含有することを特徴とす
る製紙用添加剤に関する。
【0010】本発明において、(a)成分であるアクリ
ルアミドまたはメタクリルアミドは単独使用または併用
できるが、経済性の面からはアクリルアミドを単独使用
するのがよい。
【0011】(b)成分であるイオン性ビニルモノマー
の内、アニオン性ビニルモノマー(b−1)しては、た
とえばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノ
カルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ムコ
ン酸、シトラコン酸等のジカルボン酸;ビニルスルホン
酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メ
チルプロパンスルホン酸などの有機スルホン酸;または
これら各種有機酸のナトリウム塩、カリウム塩等があげ
られる。また、カチオン性ビニルモノマー(b−2)と
しては、たとえばジメチルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、
ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエ
チルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、アリルア
ミン、ジアリルアミン、もしくはトリアリルアミンなど
の第三級アミノ基を有するビニルモノマーまたはそれら
の塩酸、硫酸、酢酸などの無機酸もしくは有機酸の塩
類、または該第三級アミノ基含有ビニルモノマ−とメチ
ルクロライド、ベンジルクロライド、ジメチル硫酸、エ
ピクロルヒドリンなどの四級化剤との反応によって得ら
れる第四級アンモニウム塩を含有するビニルモノマ−な
どがあげられる。これらイオン性ビニルモノマーは一種
を単独でまたは2種以上を使用できる。
【0012】(c)成分である連鎖移動性置換基を有す
るビニルモノマーとしては、連鎖移動性官能基を有する
ものであれば特に制限なく使用でき、たとえばアリル
基、ポリアルキレングリコール基、N−置換アミド基等
を有するビニルモノマーがあげられる。アリル基を有す
るビニルモノマーとしては、アリル(メタ)アクリレー
ト、N−アリル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジア
リル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。また、
ポリアルキレングリコール基としては、少なくとも2個
のオキシアルキレン基の繰り返し単位を有するものであ
ればよく、通常繰り返し単位10個程度までのものを使
用できる。具体例としては、ジエチレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ
(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、前記同様のポリプロピレングリ
コールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレ
ングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリトリメチ
レングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラ
メチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエ
チレングリコールプロピレングリコールモノ(メタ)ア
クリレート等があげられる。また、N−置換アミド基等
を有するビニルモノマーとしては、ジメチルアクリルア
ミド、ダイアセトンアクリルアミド、イソプロピルアク
リルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパン
スルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパン
カルボン酸およびこれらの炭素数1〜4のアルキルエス
テル等があげられる。
【0013】本発明のグラフト構造の(メタ)アクリル
アミド系共重合体を含有してなる製紙用添加剤は、たと
えば、以下に示すグラフト重合法により製造される。
【0014】(1)(a)成分、(b)成分、及び
(c)成分を主成分とする主鎖(A)を共重合した後、
該主鎖(A)に(a)成分、及び(b)成分を主成分と
する側鎖(B)をグラフト重合させる方法。
【0015】(2)(a)成分、(b)成分、および
(c)成分を主成分とする主鎖(A)を共重合した後、
該主鎖(A)に(a)成分を主成分とする側鎖(B)を
グラフト重合させる方法。
【0016】(3)(a)成分、および(c)成分を主
成分とする主鎖(A)を共重合した後、該主鎖(A)に
(a)成分、及び(b)成分を主成分とする側鎖(B)
をグラフト重合させる方法。
【0017】まず、(1)のグラフト重合法に使用され
る各種成分の使用量について説明する。主鎖(A)の重
合に使用される(a)成分は主鎖(A)を構成するモノ
マー成分の総モル和に対し、通常60〜98モル%程
度、好ましくは70〜96モル%、(b)成分も同様に
通常1〜40モル%程度、好ましくは5〜20モル%、
および(c)成分も同様に通常0.01〜20モル%程
度、好ましくは0.1〜10モル%とされる。一方、側
鎖(B)の重合に使用される(a)成分は側鎖(B)を
構成するモノマー成分の総モル和に対し、(a)成分は
通常60〜99モル%程度、好ましくは70〜96モル
%、および(b)成分も同様に通常1〜40モル%程
度、好ましくは4〜30モル%とされる。
【0018】特に、前記(b)イオン性ビニルモノマー
は、(b−1)アニオン性ビニルモノマーと(b−2)
カチオン性ビニルモノマーの使用モル比(b−1)/
(b−2)を、主鎖(A)では2以上、好ましくは4以
上とし、側鎖(B)では0.5以下、好ましくは0.3
以下となるようにするか、または主鎖(A)では0.5
以下、好ましくは0.3以下、側鎖(B)では2以上、
好ましくは4以上となるようにイオン性に偏りを持たせ
ることにより、さらに紙力増強効果を向上させることが
できる。
【0019】(2)のグラフト重合法に使用される各種
成分の使用量も同様に、主鎖(A)の重合に使用される
(a)成分は主鎖(A)を構成するモノマー成分の総モ
ル和に対し、通常60〜98モル%程度、好ましくは7
0〜96モル%、(b)成分も同様に通常1〜40モル
%程度、好ましくは5〜20モル%、および(c)成分
も同様に通常0.01〜20モル%程度、好ましくは
0.1〜10モル%とされる。一方、側鎖(B)は
(a)成分を主成分としてなり、通常70〜100モル
%程度、好ましくは80〜100モル%とされる。
【0020】(3)のグラフト重合法に使用される各種
成分の使用量も同様に、主鎖(A)の重合に使用される
(a)成分は主鎖(A)を構成するモノマー成分の総モ
ル和に対し、通常60〜99.99モル%程度、好まし
くは70〜99.9モル%、および(c)成分も同様に
通常0.01〜40モル%程度、好ましくは0.1〜3
0モル%とされる。一方、側鎖(B)の重合に使用され
る(a)成分は側鎖(B)を構成するモノマー成分の総
モル和に対し、通常60〜99モル%程度、好ましくは
70〜96モル%、および(b)成分も同様に通常1〜
40モル%程度、好ましくは4〜30モル%とされる。
【0021】なお、本発明の製紙用添加剤に含有される
グラフト構造の(メタ)アクリルアミド系共重合体は、
前記主成分に加えて、さらに(d)ノニオン性ビニルモ
ノマーや(e)架橋性ビニルモノマーを使用することが
できる。これら任意成分の使用量は、主鎖(A)の重合
にあたっては、主鎖(A)を構成するモノマー成分の総
モル和に対し、(d)成分を通常20モル%程度以下、
好ましくは15モル%以下、および(e)成分を同様に
通常1モル%程度以下、好ましくは0.5モル以下使用
することができる。また、側鎖(B)の重合にあたって
は、側鎖(B)を構成するモノマー成分の総モル和に対
し、(c)成分を通常5モル%程度以下、好ましくは2
モル%以下、(d)成分を同様に通常20モル%程度以
下、好ましくは15モル%以下、(e)成分を同様に通
常1モル%程度以下、好ましくは0.5モル以下使用す
ることができる。さらに、(2)の側鎖(B)の重合、
または(3)の直鎖(A)の重合にあたっては、(b)
成分を通常5モル%程度未満、好ましくは2モル%以下
使用することができる。
【0022】ここで前記(d)ノニオン性ビニルモノマ
ーとしては、たとえば、前記(B)アニオン性ビニルモ
ノマーのアルキルエステルや、アクリロニトリル、スチ
レン、酢酸ビニル、メチルビニルエーテル等があげられ
る。
【0023】また、(e)架橋性ビニルモノマーの代表
的なものとしては、たとえば、エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類、メチレン
ビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)ア
クリルアミド、ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルア
ミド等のビス(メタ)アクリルアミド類、アジピン酸ジ
ビニル、セバシン酸ジビニル等のジビニルエステル類、
アリルメタクリレート、エポキシアクリレート類、ウレ
タンアクリレート類、N−メチロールアクリルアミド、
ジアリルアミン、ジアリルジメチルアンモニウム、ジア
リルフタレート、ジアリルクロレンデート、ジビニルベ
ンゼン等の2官能性ビニルモノマー、1,3,5−トリ
アクリロイルヘキサヒドロ−S−トリアジン、トリアリ
ルイソシアヌレート、トリアリルアミン、トリアリルト
リメリテート、N,N−ジアリルアクリルアミド等の3
官能性モノマー、テトラメチロールメタンテトラアクリ
レート、テトラアリルピロメリテート、N,N,N’,
N’−テトラアリル−1,4−ジアミノブタン、テトラ
アリルアミン塩、テトラアリルオキシエタン等の4官能
性ビニルモノマー等があげられる。これらのなかでも、
製造時の反応制御が容易なことから、官能基がすべてビ
ニル系二重結合のものを使用するのが好ましい。
【0024】また、(2)のグラフト重合法においては
主鎖(A)の(b)成分と側鎖(B)の(b)成分の使
用モル比、すなわち(A)−(b):(B)−(b)
を、1:0〜0.8、好ましくは1:0〜0.5となる
ように、また(3)のグラフト重合法においては(A)
−(b):(B)−(b)を、0〜0.8:1、好まし
くは0〜0.5:1となるようにして、主鎖(A)と側
鎖(B)のイオン性に偏りを持たせることにより、さら
に紙力増強効果を向上させることができる。
【0025】また、前記いずれのグラフト重合法におい
ても、前記主鎖(A)と側鎖(B)を構成するビニルモ
ノマーの使用モル比(A)/(B)は1/5〜5/1の
範囲、好ましくは、1/3〜3/1であればよく、各構
成モノマーを該範囲内で前記使用量となるように調整す
ればよい。使用モル比が1/5より小さい場合には側鎖
を十分にグラフト重合させることができず、5/1より
大きい場合には側鎖の割合が小さく、いずれの場合もグ
ラフト共重合体として特長が少なくなり紙力増強効果の
向上が十分でない。
【0026】かかるグラフト共重合体の製造は、従来公
知の各種方法により行うことができるが、得られる共重
合体を製紙用添加剤としての性能を充分に発揮せしめる
には、主鎖(A)の重合時にはできる限り連鎖移動を抑
え、側鎖(B)の重合時にはできる限りグラフト効率を
上げる処方を選定するのがよい。たとえば、まず所定の
反応容器に上記主鎖(A)を構成するビニルモノマーお
よび水を仕込み、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム
等の過硫酸塩系の開始剤、もしくはこれら過硫酸塩と亜
硫酸水素ナトリウムのごとき還元剤とを組み合わせた形
のレドックス系重合開始剤、またはアゾ系の開始剤等の
通常のラジカル重合開始剤を加え、撹拌下、加温するこ
とにより所望の水溶性のアクリルアミド系共重合体を製
造する。続いて、主鎖(A)である該水溶性のアクリル
アミド系共重合体を含む系内に側鎖(B)を構成するビ
ニルモノマーを滴下することによりグラフト重合を行い
所望のグラフト共重合体を得ることができる。重合温度
は通常70〜100℃程度がよく、好ましくは前記範囲
内で主鎖(A)の重合温度に比べて、側鎖(B)の重合
温度が高くなるようにするのがよい。
【0027】かくして得られたグラフト共重合体の分子
量は通常50万〜1000万程度である。特に、150
万以上であるのが好ましい。
【0028】また、前記グラフト共重合体を含有してな
る本発明の製紙用添加剤は、従来公知の架橋型の(メ
タ)アクリルアミド系共重合体と同様の比較的低粘度で
使用できる。紙力増強剤として使用する場合は、通常、
固形分濃度5〜20重量%程度において、15000c
ps程度以下で、填料歩留剤として使用する場合は、固
形分濃度1〜10重量%程度において、15000cp
s程度以下の性状で使用するのがよい。
【0029】
【発明の効果】本発明の、グラフト構造を有する(メ
タ)アクリルアミド系共重合体を含有してなる製紙用添
加剤は、パルプ繊維間との接点のイオン性が高く紙力増
強効果等の製紙用添加剤としての種々の特徴ある性能を
示す。特に主鎖とグラフト鎖のイオン性に偏りを持たせ
た場合には、さらに紙力増強効果を向上させることがで
きる。その結果として、近時の厳しい抄紙条件下でも製
紙用添加剤としての優れた諸効果を奏する。また、高分
子量の共重合体にもかかわらず比較的低粘度であり作業
性にも優れる。
【0030】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて本発明を
より具体的に説明する。なお、部および%はいずれも重
量基準による。
【0031】実施例1 撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロートを2つおよび
窒素ガス導入管を備えた六つ口フラスコに、アクリルア
ミド16部、80%アクリル酸水溶液3.5部、ジメチ
ルアミノエチルメタクリレ−ト1.5部、PE- 350
(日本油脂(株)製、ポリエチレングリコールメタクリ
レート)21.2部およびイオン交換水350部を仕込
み、窒素ガスを通じて反応系内の酸素を除去した。次
に、系内を40℃にし撹拌下に重合開始剤として過硫酸
アンモニウム0.25部および亜硫酸水素ナトリウム
0.15部を投入した。85℃まで昇温した後、2時間
保温し、主鎖となる共重合体を得た。保温終了後、該共
重合体にアクリルアミド43部、80%アクリル酸水溶
液0.9部、ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト4.
6部およびイオン交換水310部と、過硫酸カリウム
0.5部およびイオン交換水15部を同時にそれぞれ別
の滴下ロートより1時間かけて滴下し、1時間保温後、
冷却し、pH4.5、固形分15.6%、粘度(25
℃)が8400cpsのグラフト共重合体水溶液を得
た。得られた分岐型共重合体水溶液の性状値を表2に示
す。
【0032】実施例2〜12 実施例1において、(a)成分〜(e)成分の種類また
はその使用量のうちいずれか少なくとも1種を表1のよ
うに変えた他は、実施例1と同様の操作を行いグラフト
共重合体水溶液を得た。得られた各共重合体水溶液の性
状値を表2に示す。
【0033】比較例1 実施例1において、表1に示す(a)成分〜(c)成分
を用いて共重合体を製造し、さらにモノマーを滴下して
反応させなかった他は、実施例1と同様の操作を行っ
た。得られた共重合体水溶液の性状値を表2に示す。
【0034】比較例2 実施例1において、表1に示す(a)成分および(b)
成分を用い、PE- 350を使用しなかった他は、実施
例1と同様の操作を行った。得られた共重合体水溶液の
性状値を表2に示す。
【0035】比較例3 比較例2において、表1に示す(a)成分、(b)成分
および(e)成分を用いた他は、比較例2と同様の操作
を行った。得られた共重合体水溶液の性状値を表2に示
す。
【0036】比較例4〜6 比較例1において、表1に示す(a)成分、(b)成
分、(d)成分および(e)成分を用いた他は、比較例
1と同様の操作を行った。得られた共重合体水溶液の性
状値を表2に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】(性能評価方法1)段ボ−ル古紙をナイア
ガラ式ビーターにて叩解し、カナディアン・スタンダー
ド・フリーネス(C.S.F)420mlに調整したパ
ルプに硫酸バンドを対パルプ1.6%添加してpH5.
5とし、ついで上記各実施例および比較例で得られた各
共重合体水溶液を紙力増強剤として対パルプ0.6%を
添加し、撹拌した後、パルプスラリー濃度を0.1%に
なるように希釈し、タッピ・シートマシンにて、坪量1
50g/m2 となるよう抄紙し、5Kg/cm2 で2分
プレス脱水した。次いで回転型乾燥機で105℃におい
て3分間乾燥し、20℃、65%R.H.の条件下に2
4時間調湿したのちJIS P 8112に準じ、比破
裂強度を測定した。結果を表3に示す。
【0040】(性能評価方法2)BKPをナイアガラ式
ビーターにて叩解し、(C.S.F)550mlに調整
したパルプ(pH6.8)に、上記各実施例および比較
例で得られた各共重合体水溶液を上記と同様に添加し、
上記と同様の操作を行い、比破裂強度を測定した。結果
を表3に示す。
【0041】
【表3】
【0042】表2、表3の結果より、本発明で得られる
(メタ)アクリルアミド系共重合体は、従来品に比べて
高分子量体でありながら、ほぼ同様の粘度であり、また
優れた紙力増強効果を発現していると認められる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21H 17/00 - 27/42

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)アクリルアミドおよび/またはメ
    タクリルアミド、(b)アニオン性ビニルモノマーおよ
    びカチオン性ビニルモノマーから選ばれるイオン性ビニ
    ルモノマーの少なくとも一種、並びに(c)連鎖移動性
    置換基を側鎖に有するビニルモノマーの少なくとも一種
    を主成分とする主鎖(A)を共重合した後、該主鎖
    (A)に前記(a)成分、及び前記(b)成分を主成分
    とする側鎖(B)をグラフト重合させてなるグラフト重
    合体を含有することを特徴とする製紙用添加剤
  2. 【請求項2】 前記イオン性ビニルモノマーの(b−
    1)アニオン性ビニルモノマーと(b−2)カチオン性
    ビニルモノマーの使用モル比(b−1)/(b−2)
    が、主鎖(A)では2以上、側鎖(B)では0.5以
    下、または主鎖(A)では0.5以下、側鎖(B)では
    2以上である請求項1記載の製紙用添加剤
  3. 【請求項3】 (a)アクリルアミドおよび/またはメ
    タクリルアミド、(b)アニオン性ビニルモノマーおよ
    びカチオン性ビニルモノマーから選ばれるイオン性ビニ
    ルモノマーの少なくとも一種、並びに(c)連鎖移動性
    置換基を有するビニルモノマーの少なくとも一種を主成
    分とする主鎖(A)を共重合した後、該主鎖(A)に前
    記(a)成分を主成分とする側鎖(B)をグラフト重合
    させてなるグラフト重合体を含有することを特徴とす
    製紙用添加剤
  4. 【請求項4】 (a)アクリルアミドおよび/またはメ
    タクリルアミド、並びに(c)連鎖移動性置換基を有す
    るビニルモノマーの少なくとも一種を主成分とする主鎖
    (A)を共重合した後、該主鎖(A)に前記(a)成
    分、及び(b)アニオン性ビニルモノマーおよびカチオ
    ン性ビニルモノマーから選ばれるイオン性ビニルモノマ
    ーの少なくとも一種を主成分とする側鎖(B)をグラフ
    ト重合させてなるグラフト重合体を含有することを特徴
    とする製紙用添加剤
  5. 【請求項5】 前記主鎖(A)を構成するビニルモノマ
    ーと側鎖(B)を構成するビニルモノマーの使用モル比
    が(A)/(B)=1/5〜5/1である請求項1〜
    のいずれかに記載の製紙用添加剤。
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