JP3340859B2 - 半導体発光素子 - Google Patents
半導体発光素子Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体発光素子に関す
る。さらに詳しくは、青色発光に好適なチッ化ガリウム
系化合物半導体を用いた半導体発光素子に関する。
る。さらに詳しくは、青色発光に好適なチッ化ガリウム
系化合物半導体を用いた半導体発光素子に関する。
【0002】ここにチッ化ガリウム系化合物半導体と
は、III 族元素のGaとV族元素のNとの化合物または
III 族元素のGaの一部がAl、Inなど他のIII 族元
素と置換したものおよび/またはV族元素のNの一部が
P、Asなど他のV族元素と置換した化合物からなる半
導体をいう。
は、III 族元素のGaとV族元素のNとの化合物または
III 族元素のGaの一部がAl、Inなど他のIII 族元
素と置換したものおよび/またはV族元素のNの一部が
P、Asなど他のV族元素と置換した化合物からなる半
導体をいう。
【0003】また、半導体発光素子とは、pn接合また
はpinなどダブルヘテロ接合を有する発光ダイオード
(以下、LEDという)、スーパルミネッセントダイオ
ード(SLD)または半導体レーザダイオード(LD)
などの光を発生する半導体素子をいう。
はpinなどダブルヘテロ接合を有する発光ダイオード
(以下、LEDという)、スーパルミネッセントダイオ
ード(SLD)または半導体レーザダイオード(LD)
などの光を発生する半導体素子をいう。
【0004】
【従来の技術】従来青色のLEDは赤色や緑色に比べて
輝度が小さく実用化に難点があったが、近年チッ化ガリ
ウム系化合物半導体を用い、Mgをドーパントとした低
抵抗のp型半導体層がえられたことにより、輝度が向上
し脚光をあびている。
輝度が小さく実用化に難点があったが、近年チッ化ガリ
ウム系化合物半導体を用い、Mgをドーパントとした低
抵抗のp型半導体層がえられたことにより、輝度が向上
し脚光をあびている。
【0005】従来のチッ化ガリウム系化合物半導体を用
いたLEDはつぎのように製造され、完成したチッ化ガ
リウム系化合物半導体のLEDチップの斜視図を図2に
示す。
いたLEDはつぎのように製造され、完成したチッ化ガ
リウム系化合物半導体のLEDチップの斜視図を図2に
示す。
【0006】まず、サファイア(Al2 O3 単結晶)な
どからなる基板21に400〜700℃の低温で有機金
属化合物気相成長法(以下、MOCVD法という)によ
りキャリアガスH2 とともに有機金属化合物ガスである
トリメチルガリウム(以下、TMGという)、アンモニ
ア(NH3 )およびドーパントとしてのSiH4 などを
供給し、たとえばn型のGaN層からなる低温バッファ
層22を0.01〜0.2μm程度形成し、ついで70
0〜1200℃の高温で同じガスを供給し同じ組成のn
型のGaNからなる高温バッファ層23を2〜5μm程
度形成する。
どからなる基板21に400〜700℃の低温で有機金
属化合物気相成長法(以下、MOCVD法という)によ
りキャリアガスH2 とともに有機金属化合物ガスである
トリメチルガリウム(以下、TMGという)、アンモニ
ア(NH3 )およびドーパントとしてのSiH4 などを
供給し、たとえばn型のGaN層からなる低温バッファ
層22を0.01〜0.2μm程度形成し、ついで70
0〜1200℃の高温で同じガスを供給し同じ組成のn
型のGaNからなる高温バッファ層23を2〜5μm程
度形成する。
【0007】ついで前述のガスにさらにトリメチルアル
ミニウム(以下、TMAという)の原料ガスを加え、n
型ドーパントのSiを含有したn型Alx Ga1-x N
(0<x<1)層を成膜し、ダブルヘテロ接合形成のた
めのn型クラッド層24を0.1〜0.3μm程度形成
する。n型層はドーパントとしてのSiH4 などを添加
しなくてもGaN層などを気相成長する際にNが蒸発し
易くn型で形成される。
ミニウム(以下、TMAという)の原料ガスを加え、n
型ドーパントのSiを含有したn型Alx Ga1-x N
(0<x<1)層を成膜し、ダブルヘテロ接合形成のた
めのn型クラッド層24を0.1〜0.3μm程度形成
する。n型層はドーパントとしてのSiH4 などを添加
しなくてもGaN層などを気相成長する際にNが蒸発し
易くn型で形成される。
【0008】つぎに前述の原料ガスのTMAに代えてト
リメチルインジウム(以下、TMIという)を導入し、
バンドギャップエネルギーがクラッド層のそれより小さ
くなる材料、たとえばGay In1-y N(0<y≦1)
からなる活性層25を0.05〜0.1μm程度形成す
る。
リメチルインジウム(以下、TMIという)を導入し、
バンドギャップエネルギーがクラッド層のそれより小さ
くなる材料、たとえばGay In1-y N(0<y≦1)
からなる活性層25を0.05〜0.1μm程度形成す
る。
【0009】さらに、n型クラッド層24の形成に用い
たガスと同じ原料のガスで不純物原料ガスをSiH4 に
代えてp型不純物としてのMgまたはZnのためのビス
シクロペンタジエニルマグネシウム(以下、Cp2 Mg
という)またはジメチル亜鉛(以下、DMZnという)
を加えて反応管に導入し、p型クラッド層26であるp
型Alx Ga1-x N層を気相成長させる。これによりn
型クラッド層24と活性層25とp型クラッド層26と
によりダブルヘテロ接合が形成される。
たガスと同じ原料のガスで不純物原料ガスをSiH4 に
代えてp型不純物としてのMgまたはZnのためのビス
シクロペンタジエニルマグネシウム(以下、Cp2 Mg
という)またはジメチル亜鉛(以下、DMZnという)
を加えて反応管に導入し、p型クラッド層26であるp
型Alx Ga1-x N層を気相成長させる。これによりn
型クラッド層24と活性層25とp型クラッド層26と
によりダブルヘテロ接合が形成される。
【0010】ついでキャップ層27形成のため、前述の
バッファ層23と同様のガスで不純物原料ガスとしてC
p2 MgまたはDMZnを供給してp型のGaN層を
0.3〜2μm以上成長させる。
バッファ層23と同様のガスで不純物原料ガスとしてC
p2 MgまたはDMZnを供給してp型のGaN層を
0.3〜2μm以上成長させる。
【0011】そののちSiO2 、Si3 N4 などの保護
膜を半導体層の成長層表面全面に設け、400〜800
℃、20〜60分間程度のアニールまたは電子線照射を
行い、p型クラッド層26およびキャップ層27の活性
化を図る。
膜を半導体層の成長層表面全面に設け、400〜800
℃、20〜60分間程度のアニールまたは電子線照射を
行い、p型クラッド層26およびキャップ層27の活性
化を図る。
【0012】ついで、保護膜を除去したのち、n側の電
極を形成するため、レジストを塗布してパターニングを
行い、成長した各半導体層の一部をドライエッチングに
より除去してn型GaN層であるバッファ層23を露出
させ、n側の電極30、p側の電極29をスパッタリン
グなどにより形成し、ダイシングすることによりLED
チップを形成している。
極を形成するため、レジストを塗布してパターニングを
行い、成長した各半導体層の一部をドライエッチングに
より除去してn型GaN層であるバッファ層23を露出
させ、n側の電極30、p側の電極29をスパッタリン
グなどにより形成し、ダイシングすることによりLED
チップを形成している。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】従来のチッ化ガリウム
系化合物半導体を用いた半導体発光素子では、前述のよ
うにキャップ層27に設けられたp側電極29とn型層
である高温バッファ層23に設けられたn側電極30と
のあいだに印加された電圧により両電極間に電流が流れ
るが、n側電極30に流れる電流はバッファ層23、2
2のキャリア濃度が高いため、バッファ層23、22の
全体にわたって流れる。一方バッファ層、とくに低温バ
ッファ層22はチッ化ガリウム系化合物半導体と格子定
数が異なるサファイアなどからなる基板上に成膜されて
いるため、結晶欠陥や転位が発生し易い。結晶欠陥や転
位が発生しているバッファ層に電流が流れると電流に伴
なう発熱などにより一層結晶欠陥や転位が増加し、その
結晶欠陥や転位が発光に寄与する半導体層にも進展し、
発光特性が低下したり、信頼性が低下したり、寿命が低
下するという問題がある。
系化合物半導体を用いた半導体発光素子では、前述のよ
うにキャップ層27に設けられたp側電極29とn型層
である高温バッファ層23に設けられたn側電極30と
のあいだに印加された電圧により両電極間に電流が流れ
るが、n側電極30に流れる電流はバッファ層23、2
2のキャリア濃度が高いため、バッファ層23、22の
全体にわたって流れる。一方バッファ層、とくに低温バ
ッファ層22はチッ化ガリウム系化合物半導体と格子定
数が異なるサファイアなどからなる基板上に成膜されて
いるため、結晶欠陥や転位が発生し易い。結晶欠陥や転
位が発生しているバッファ層に電流が流れると電流に伴
なう発熱などにより一層結晶欠陥や転位が増加し、その
結晶欠陥や転位が発光に寄与する半導体層にも進展し、
発光特性が低下したり、信頼性が低下したり、寿命が低
下するという問題がある。
【0014】本発明はこのような問題を解決するために
なされたもので、基板と接する半導体層であるバッファ
層での結晶欠陥や転位の増加を防止することにより発光
に寄与する半導体層での結晶欠陥や転位の発生を抑制
し、信頼性の向上した寿命の長い発光素子を提供するこ
とを目的とする。
なされたもので、基板と接する半導体層であるバッファ
層での結晶欠陥や転位の増加を防止することにより発光
に寄与する半導体層での結晶欠陥や転位の発生を抑制
し、信頼性の向上した寿命の長い発光素子を提供するこ
とを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体発光素子
は、基板上にバッファ層を介して少なくともn型層およ
びp型層を含み発光部を有するチッ化ガリウム系化合物
半導体層が積層されてなる半導体発光素子であって、前
記バッファ層の少なくとも前記基板側がp型ドーパント
の導入により中和された高抵抗の半導体層に形成されて
いる。
は、基板上にバッファ層を介して少なくともn型層およ
びp型層を含み発光部を有するチッ化ガリウム系化合物
半導体層が積層されてなる半導体発光素子であって、前
記バッファ層の少なくとも前記基板側がp型ドーパント
の導入により中和された高抵抗の半導体層に形成されて
いる。
【0016】前記バッファ層がIn、PおよびAsより
なる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含有するチ
ッ化ガリウム系化合物半導体層であることが柔らかさが
あり、歪を緩和できて結晶欠陥や転位を発生しにくくで
きるため好ましい。
なる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含有するチ
ッ化ガリウム系化合物半導体層であることが柔らかさが
あり、歪を緩和できて結晶欠陥や転位を発生しにくくで
きるため好ましい。
【0017】
【0018】また、本発明による半導体発光素子の他の
形態は、基板上にバッファ層を介して少なくともn型層
およびp型層を含み発光部を有するチッ化ガリウム系化
合物半導体層が積層されてなる半導体発光素子であっ
て、前記バッファ層の少なくとも前記基板側がp型に形
成され、該バッファ層の直上に積層される半導体層がn
型の半導体層で形成されている。この構造にしても、バ
ッファ層の基板側に電流を流れにくくすることができ
る。
形態は、基板上にバッファ層を介して少なくともn型層
およびp型層を含み発光部を有するチッ化ガリウム系化
合物半導体層が積層されてなる半導体発光素子であっ
て、前記バッファ層の少なくとも前記基板側がp型に形
成され、該バッファ層の直上に積層される半導体層がn
型の半導体層で形成されている。この構造にしても、バ
ッファ層の基板側に電流を流れにくくすることができ
る。
【0019】前記バッファ層が前記基板表面に低温で形
成されたp型の低温バッファ層と該低温バッファ層上に
高温で形成され、少なくとも表面側がn型にされた高温
バッファ層とからなり、該高温バッファ層上に順次n型
クラッド層、活性層、p型クラッド層、p型コンタクト
層がこの順で形成され、該p型コンタクト層にp側電極
が、エッチングにより露出した前記n型クラッド層また
は高温バッファ層にn側電極が形成されることにより、
基板側のバッファ層に電流が流れにくいダブルヘテロ接
合構造の半導体発光素子がえられる。
成されたp型の低温バッファ層と該低温バッファ層上に
高温で形成され、少なくとも表面側がn型にされた高温
バッファ層とからなり、該高温バッファ層上に順次n型
クラッド層、活性層、p型クラッド層、p型コンタクト
層がこの順で形成され、該p型コンタクト層にp側電極
が、エッチングにより露出した前記n型クラッド層また
は高温バッファ層にn側電極が形成されることにより、
基板側のバッファ層に電流が流れにくいダブルヘテロ接
合構造の半導体発光素子がえられる。
【0020】前記バッファ層がGaN、前記n型および
p型クラッド層がそれぞれAlx Ga1-x N(0<x<
1)、前記活性層がGay In1-y N(0<y≦1)、
前記p型コンタクト層がGaNからなることが、簡単な
構成でダブルヘテロ接合構造の半導体発光素子がえられ
る。
p型クラッド層がそれぞれAlx Ga1-x N(0<x<
1)、前記活性層がGay In1-y N(0<y≦1)、
前記p型コンタクト層がGaNからなることが、簡単な
構成でダブルヘテロ接合構造の半導体発光素子がえられ
る。
【0021】
【作用】本発明の半導体発光素子によれば、基板上に積
層されるチッ化ガリウム系化合物半導体層の少なくとも
基板に接する半導体層を電流の流れにくい半導体層にし
ているため、基板との格子定数の差に基づく歪みにより
発生する結晶欠陥や転位が電流によりさらに増加するこ
とがなく、ひいては発光部に寄与する半導体層への結晶
欠陥や転位の進展も抑制され、結晶欠陥や転位の少ない
半導体層がえられる。
層されるチッ化ガリウム系化合物半導体層の少なくとも
基板に接する半導体層を電流の流れにくい半導体層にし
ているため、基板との格子定数の差に基づく歪みにより
発生する結晶欠陥や転位が電流によりさらに増加するこ
とがなく、ひいては発光部に寄与する半導体層への結晶
欠陥や転位の進展も抑制され、結晶欠陥や転位の少ない
半導体層がえられる。
【0022】すなわち、結晶欠陥や転位の発生している
半導体層に電流が流れると結晶欠陥や転位の発生してい
る部分では抵抗損が発生し発熱し、さらに結晶欠陥や転
位が増大し、悪循環を繰り返す。一方発光に寄与する部
分の半導体層の結晶欠陥や転位は基板に接する半導体層
で発生した結晶欠陥や転位から進展して生じるもので、
基板に接する半導体層での結晶欠陥や転位の発生を抑制
することにより、確実に発光に寄与する半導体層での結
晶欠陥や転位の発生を抑制することができる。その結
果、発光特性がすぐれ、信頼性が高く、高寿命の半導体
発光素子がえられる。
半導体層に電流が流れると結晶欠陥や転位の発生してい
る部分では抵抗損が発生し発熱し、さらに結晶欠陥や転
位が増大し、悪循環を繰り返す。一方発光に寄与する部
分の半導体層の結晶欠陥や転位は基板に接する半導体層
で発生した結晶欠陥や転位から進展して生じるもので、
基板に接する半導体層での結晶欠陥や転位の発生を抑制
することにより、確実に発光に寄与する半導体層での結
晶欠陥や転位の発生を抑制することができる。その結
果、発光特性がすぐれ、信頼性が高く、高寿命の半導体
発光素子がえられる。
【0023】
【実施例】つぎに、添付図面を参照しながら本発明の半
導体発光素子を説明する。
導体発光素子を説明する。
【0024】図1は本発明の半導体発光素子の一実施例
であるLEDの工程断面説明図である。
であるLEDの工程断面説明図である。
【0025】本発明の半導体発光素子は、サファイアな
どの基板上に発光部を形成するため積層される少なくと
もn型層とp型層を有するチッ化ガリウム系化合物半導
体層の基板と接する半導体層であるバッファ層が電流の
流れにくい半導体層により構成されていることに特徴が
ある。すなわち、チッ化ガリウム系化合物半導体層とサ
ファイア基板とでは格子定数がそれぞれ4.758Åと
3.189Åと異なるため、基板上にバッファ層には格
子不整合に伴う歪が発生し、結晶欠陥や転位が発生し易
い。この結晶欠陥や転位が発生している半導体層に電流
が流れると、結晶欠陥や転位の発生部では発熱して結晶
欠陥や転位が増大する。このバッファ層で発生した結晶
欠陥や転位が発光部を形成する半導体層に進展するた
め、基板上のバッファ層に電流をできるだけ流さなくす
ることにより半導体層全体の結晶欠陥や転位の発生を抑
制することができる。
どの基板上に発光部を形成するため積層される少なくと
もn型層とp型層を有するチッ化ガリウム系化合物半導
体層の基板と接する半導体層であるバッファ層が電流の
流れにくい半導体層により構成されていることに特徴が
ある。すなわち、チッ化ガリウム系化合物半導体層とサ
ファイア基板とでは格子定数がそれぞれ4.758Åと
3.189Åと異なるため、基板上にバッファ層には格
子不整合に伴う歪が発生し、結晶欠陥や転位が発生し易
い。この結晶欠陥や転位が発生している半導体層に電流
が流れると、結晶欠陥や転位の発生部では発熱して結晶
欠陥や転位が増大する。このバッファ層で発生した結晶
欠陥や転位が発光部を形成する半導体層に進展するた
め、基板上のバッファ層に電流をできるだけ流さなくす
ることにより半導体層全体の結晶欠陥や転位の発生を抑
制することができる。
【0026】基板に接するバッファ層部分を電流の流れ
にくい層にするには半導体層を気相成長する際にバッフ
ァ層上部の半導体層と反対導電型のドーパントを導入す
ることにより高抵抗層にするか、または反対導電型にす
ることによりえられる。たとえばチッ化ガリウム系化合
物半導体を積層して半導体発光素子を形成するばあい、
p型層をアニールして活性化する必要があるため、基板
側である下層部をn型層、表面側をp型層にして積層し
ている。またチッ化ガリウム系化合物半導体層を気相成
長するばあい、チッ化ガリウム系化合物半導体のNが蒸
発し易く、ドーパントを混入しなくてもn型になる。そ
のためバッファ層を形成する際にバッファ層上に形成さ
れるn型クラッド層と反対導電型であるp型のドーパン
トを混入することによりもともとn型に形成される層が
p型ドーパントで中和され高低抗層になり、p型ドーパ
ントをさらに多く混入することによりp型層となる。バ
ッファ層またはクラッド層のn型層表面にn側電極が設
けられているため、基板側の高抵抗層またはp型層には
電流が流れない。その結果、前述したとくに結晶欠陥や
転位が発生し易い基板側のバッファ層には電流が流れ
ず、結晶欠陥や転位の増大を防止することができる。
にくい層にするには半導体層を気相成長する際にバッフ
ァ層上部の半導体層と反対導電型のドーパントを導入す
ることにより高抵抗層にするか、または反対導電型にす
ることによりえられる。たとえばチッ化ガリウム系化合
物半導体を積層して半導体発光素子を形成するばあい、
p型層をアニールして活性化する必要があるため、基板
側である下層部をn型層、表面側をp型層にして積層し
ている。またチッ化ガリウム系化合物半導体層を気相成
長するばあい、チッ化ガリウム系化合物半導体のNが蒸
発し易く、ドーパントを混入しなくてもn型になる。そ
のためバッファ層を形成する際にバッファ層上に形成さ
れるn型クラッド層と反対導電型であるp型のドーパン
トを混入することによりもともとn型に形成される層が
p型ドーパントで中和され高低抗層になり、p型ドーパ
ントをさらに多く混入することによりp型層となる。バ
ッファ層またはクラッド層のn型層表面にn側電極が設
けられているため、基板側の高抵抗層またはp型層には
電流が流れない。その結果、前述したとくに結晶欠陥や
転位が発生し易い基板側のバッファ層には電流が流れ
ず、結晶欠陥や転位の増大を防止することができる。
【0027】前記バッファ層にIn、PまたはAsの少
なくともいずれかを含有させたチッ化ガリウム系化合物
半導体を用いるとInはGaより重く、またPやAsは
Nよりも重く原子間結合が切れ易いため歪が緩和され易
く、一層結晶欠陥や転位の発生、増大を防止することが
できるため好ましい。
なくともいずれかを含有させたチッ化ガリウム系化合物
半導体を用いるとInはGaより重く、またPやAsは
Nよりも重く原子間結合が切れ易いため歪が緩和され易
く、一層結晶欠陥や転位の発生、増大を防止することが
できるため好ましい。
【0028】つぎに本発明の半導体発光素子の一実施例
であるLEDを製造工程にしたがって説明する。
であるLEDを製造工程にしたがって説明する。
【0029】まず、図1(a)に示されるように、サフ
ァイアなどからなる基板1に、MOCVD法によりキャ
リアガスH2 とともに有機金属化合物ガスであるTMG
を20〜200sccm、NH3 を5〜20slm、お
よびドーパントとしてのCp2 MgまたはDMZnを1
0〜1000sccmの流量で供給して400〜700
℃で気相成長させ、たとえば比抵抗が10〜1018Ω・
cm程度のGaNからなる低温バッファ層2を0.01
〜0.2μm程度の厚さに成長させる。
ァイアなどからなる基板1に、MOCVD法によりキャ
リアガスH2 とともに有機金属化合物ガスであるTMG
を20〜200sccm、NH3 を5〜20slm、お
よびドーパントとしてのCp2 MgまたはDMZnを1
0〜1000sccmの流量で供給して400〜700
℃で気相成長させ、たとえば比抵抗が10〜1018Ω・
cm程度のGaNからなる低温バッファ層2を0.01
〜0.2μm程度の厚さに成長させる。
【0030】ついで、温度を700〜1200℃程度ま
であげて、前述の低温バッファ層2を単結晶化し、さら
に続けて前述と同じ原料ガスを供給し、ドーパントガス
をSiH4 に代えてn型GaNからなる高温バッファ層
3を2〜5μm程度の厚さに形成する。高温バッファ層
3を成長する際に、ドーパントガスを供給しないで成長
しても前述のようにn型層がえられるが、キャリア濃度
を充分高くするためにはドーパントガスを供給すること
が好ましい。
であげて、前述の低温バッファ層2を単結晶化し、さら
に続けて前述と同じ原料ガスを供給し、ドーパントガス
をSiH4 に代えてn型GaNからなる高温バッファ層
3を2〜5μm程度の厚さに形成する。高温バッファ層
3を成長する際に、ドーパントガスを供給しないで成長
しても前述のようにn型層がえられるが、キャリア濃度
を充分高くするためにはドーパントガスを供給すること
が好ましい。
【0031】ついで反応ガスのTMG、NH3 にさらに
TMAを加え、またドーパントガスのSiH4 を供給し
てn型クラッド層4を0.1〜0.3μm程度形成す
る。
TMAを加え、またドーパントガスのSiH4 を供給し
てn型クラッド層4を0.1〜0.3μm程度形成す
る。
【0032】つぎに、バンドギャップエネルギーがクラ
ッド層のそれより小さくなる材料、たとえば前述の原料
ガスのTMAに代えてTMIを導入し、Gay In1-y
N(0<y≦1)からなる発光層である活性層5を0.
05〜0.1μm程度形成する。
ッド層のそれより小さくなる材料、たとえば前述の原料
ガスのTMAに代えてTMIを導入し、Gay In1-y
N(0<y≦1)からなる発光層である活性層5を0.
05〜0.1μm程度形成する。
【0033】さらに、n型クラッド層4の形成に用いた
ガスと同じ原料ガスでドーパントガスのSiH4 に代え
てCp2 MgまたはDMZnを反応管に導入し、p型G
aNからなるp型クラッド層6を0.1〜0.3μm程
度気相成長させる。
ガスと同じ原料ガスでドーパントガスのSiH4 に代え
てCp2 MgまたはDMZnを反応管に導入し、p型G
aNからなるp型クラッド層6を0.1〜0.3μm程
度気相成長させる。
【0034】ついで前述のバッファ層3と同様の原料ガ
スで不純物原料ガスとしてCp2 MgまたはDMZnを
供給してp型のGaNからなるコンタクト層7を0.3
〜2μm程度の厚さに成長させる。
スで不純物原料ガスとしてCp2 MgまたはDMZnを
供給してp型のGaNからなるコンタクト層7を0.3
〜2μm程度の厚さに成長させる。
【0035】そののち図1(b)に示されるように、S
iO2 、Si3 N4 などの保護膜10を半導体層の成長
層表面全面に設け、400〜800℃、20〜60分間
程度のアニール、または電子線照射を行い、p型クラッ
ド層6およびコンタクト層7の活性化を行う。
iO2 、Si3 N4 などの保護膜10を半導体層の成長
層表面全面に設け、400〜800℃、20〜60分間
程度のアニール、または電子線照射を行い、p型クラッ
ド層6およびコンタクト層7の活性化を行う。
【0036】アニールが完了すると、室温まで下げて、
保護膜をウエットエッチングすることにより除去し、n
側の電極を形成するため、レジストを塗布してパターニ
ングを行い、図1(c)に示されるように、積層された
チッ化ガリウム系化合物半導体層の一部をドライエッチ
ングにより除去し、n型層である高温バッファ層3、ま
たはn型クラッド層4を露出させる。
保護膜をウエットエッチングすることにより除去し、n
側の電極を形成するため、レジストを塗布してパターニ
ングを行い、図1(c)に示されるように、積層された
チッ化ガリウム系化合物半導体層の一部をドライエッチ
ングにより除去し、n型層である高温バッファ層3、ま
たはn型クラッド層4を露出させる。
【0037】ついで積層された化合物半導体層の表面で
p型層に電気的に接続されるAuなどの金属膜からなる
p側電極8を、ドライエッチングにより露出した高温バ
ッファ層3またはn型クラッド層4の表面でn型層に電
気的に接続されるn側電極9をそれぞれスパッタリング
などにより形成する(図1(d)参照)。
p型層に電気的に接続されるAuなどの金属膜からなる
p側電極8を、ドライエッチングにより露出した高温バ
ッファ層3またはn型クラッド層4の表面でn型層に電
気的に接続されるn側電極9をそれぞれスパッタリング
などにより形成する(図1(d)参照)。
【0038】つぎに、各チップにダイシングして、LE
Dチップが形成される。
Dチップが形成される。
【0039】本実施例では低温バッファ層2を成長する
際のp型ドーパントの流量を10〜100sccm程度
にして比抵抗が1000〜1018Ω・cm程度の高抵抗
層として形成したが、p型ドーパントの流量を500〜
1000sccm程度とすることによりp型層として形
成してもその上の高温バッファ層3がn型でn型層にn
側電極が設けられるため、絶縁基板上のp型層には電流
がほとんど流れなく、電流の流れにくい層を形成する。
際のp型ドーパントの流量を10〜100sccm程度
にして比抵抗が1000〜1018Ω・cm程度の高抵抗
層として形成したが、p型ドーパントの流量を500〜
1000sccm程度とすることによりp型層として形
成してもその上の高温バッファ層3がn型でn型層にn
側電極が設けられるため、絶縁基板上のp型層には電流
がほとんど流れなく、電流の流れにくい層を形成する。
【0040】また、前述の実施例では低温バッファ層2
上の高温バッファ層3をn型の例で行ったが、高温バッ
ファ層3の下層側を高抵抗層またはp型層にすることも
できる。このばあい半導体層を気相成長させながら供給
するドーパントガスのみを変更することにより導電型を
変更することができる。さらに高温バッファ層3の全体
を高抵抗層またはp型層にするとともにn型クラッド層
を直列抵抗が問題にならない程度に厚くする構成にして
もよい。
上の高温バッファ層3をn型の例で行ったが、高温バッ
ファ層3の下層側を高抵抗層またはp型層にすることも
できる。このばあい半導体層を気相成長させながら供給
するドーパントガスのみを変更することにより導電型を
変更することができる。さらに高温バッファ層3の全体
を高抵抗層またはp型層にするとともにn型クラッド層
を直列抵抗が問題にならない程度に厚くする構成にして
もよい。
【0041】さらにチッ化ガリウム系化合物半導体を用
いた半導体発光素子においては、前述のように、通常は
基板に近い下層側にn型層が、表面側にp型層が形成さ
れるが、n型層とp型層が逆に形成されたばあいでも、
n型とp型を逆にするだけで同様の電流が流れにくい層
を形成できる。
いた半導体発光素子においては、前述のように、通常は
基板に近い下層側にn型層が、表面側にp型層が形成さ
れるが、n型層とp型層が逆に形成されたばあいでも、
n型とp型を逆にするだけで同様の電流が流れにくい層
を形成できる。
【0042】また、前記実施例ではダブルヘテロ接合の
LEDについて説明したが、pn接合のLEDや種々の
構造のレーザダイオードなどの半導体発光素子にも本発
明を適用できる。またチッ化ガリウム系化合物半導体に
ついても、前述の組成の材料に限定されず、一般にAl
p Gaq In1-p-q N(0≦p<1、0<q≦1、0<
p+q≦1)からなり、たとえば活性層のバンドギャッ
プエネルギーがクラッド層のバンドギャップエネルギー
より小さくなるように各組成の比率が選定されるよう
p、qを変化させたものでもよい。また、前記Alp G
aq In1-p-q NのNの一部または全部をAsおよび/
またはPなどで置換した材料でも同様に本発明を適用で
きる。
LEDについて説明したが、pn接合のLEDや種々の
構造のレーザダイオードなどの半導体発光素子にも本発
明を適用できる。またチッ化ガリウム系化合物半導体に
ついても、前述の組成の材料に限定されず、一般にAl
p Gaq In1-p-q N(0≦p<1、0<q≦1、0<
p+q≦1)からなり、たとえば活性層のバンドギャッ
プエネルギーがクラッド層のバンドギャップエネルギー
より小さくなるように各組成の比率が選定されるよう
p、qを変化させたものでもよい。また、前記Alp G
aq In1-p-q NのNの一部または全部をAsおよび/
またはPなどで置換した材料でも同様に本発明を適用で
きる。
【0043】
【発明の効果】本発明の半導体発光素子によれば、格子
不整合に伴なう結晶欠陥や転位の発生し易い基板と接す
るチッ化ガリウム系化合物半導体層(バッファ層)を電
流の流れにくい層としているため、電流による結晶欠陥
や転位の増大を防止することができる。その結果、発光
部を構成する半導体層での結晶欠陥や転位の発生を抑制
することができ、発光特性のすぐれた半導体発光素子が
えられる。
不整合に伴なう結晶欠陥や転位の発生し易い基板と接す
るチッ化ガリウム系化合物半導体層(バッファ層)を電
流の流れにくい層としているため、電流による結晶欠陥
や転位の増大を防止することができる。その結果、発光
部を構成する半導体層での結晶欠陥や転位の発生を抑制
することができ、発光特性のすぐれた半導体発光素子が
えられる。
【0044】また、動作中に電流の影響で結晶欠陥や転
位が増大することがなく、信頼性が向上し、さらに寿命
も長くなる。
位が増大することがなく、信頼性が向上し、さらに寿命
も長くなる。
【図1】本発明の半導体発光素子の一実施例であるLE
Dの製造工程を示す断面説明図である。
Dの製造工程を示す断面説明図である。
【図2】従来の半導体発光素子の一例を示す斜視図であ
る。
る。
1 基板 2 低温バッファ層 3 高温バッファ層 4 n型クラッド層 5 活性層 6 p型クラッド層 7 コンタクト層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 33/00 H01S 5/00 - 5/50 JICSTファイル(JOIS)
Claims (5)
- 【請求項1】 基板上にバッファ層を介して少なくとも
n型層およびp型層を含み発光部を有するチッ化ガリウ
ム系化合物半導体層が積層されてなる半導体発光素子で
あって、 前記バッファ層の少なくとも前記基板側がp型ドーパン
トの導入により中和された高抵抗の半導体層に形成され
てなる半導体発光素子。 - 【請求項2】 基板上にバッファ層を介して少なくとも
n型層およびp型層を含み発光部を有するチッ化ガリウ
ム系化合物半導体層が積層されてなる半導体発光素子で
あって、前記バッファ層の少なくとも前記基板側がp型
に形成され、該バッファ層の直上に積層される半導体層
がn型の半導体層である半導体発光素子。 - 【請求項3】 前記バッファ層がIn、PおよびAsよ
りなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含有する
チッ化ガリウム系化合物半導体層である請求項1または
2記載の半導体発光素子。 - 【請求項4】 前記バッファ層が前記基板表面に低温で
形成されたp型の低温バッファ層と該低温バッファ層上
に高温で形成され、少なくとも表面側がn型にされた高
温バッファ層とからなり、該高温バッファ層上に順次n
型クラッド層、活性層、p型クラッド層、p型コンタク
ト層がこの順で形成され、該p型コンタクト層にp側電
極が、エッチングにより露出した前記n型クラッド層ま
たは高温バッファ層にn側電極が形成されてなる請求項
2または3記載の半導体発光素子。 - 【請求項5】 前記バッファ層がGaN、前記n型およ
びp型クラッド層がそれぞれAlx Ga1-x N(0<x
<1)、前記活性層がGay In1-y N(0<y≦
1)、前記p型コンタクト層がGaNからなる請求項4
記載の半導体発光素子。
Priority Applications (8)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23501494A JP3340859B2 (ja) | 1994-09-29 | 1994-09-29 | 半導体発光素子 |
US08/528,308 US5751752A (en) | 1994-09-14 | 1995-09-14 | Semiconductor light emitting device and manufacturing method therefor |
US09/012,790 US6115399A (en) | 1994-09-14 | 1998-01-23 | Semiconductor light emitting device |
US09/166,071 US6084899A (en) | 1994-09-14 | 1998-10-05 | Semiconductor light emitting device and manufacturing method |
US09/604,097 US6996150B1 (en) | 1994-09-14 | 2000-06-27 | Semiconductor light emitting device and manufacturing method therefor |
US11/146,236 US7616672B2 (en) | 1994-09-14 | 2005-06-07 | Semiconductor light emitting device and manufacturing method therefor |
US12/579,130 US7899101B2 (en) | 1994-09-14 | 2009-10-14 | Semiconductor light emitting device and manufacturing method therefor |
US13/010,154 US8934513B2 (en) | 1994-09-14 | 2011-01-20 | Semiconductor light emitting device and manufacturing method therefor |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23501494A JP3340859B2 (ja) | 1994-09-29 | 1994-09-29 | 半導体発光素子 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0897470A JPH0897470A (ja) | 1996-04-12 |
JP3340859B2 true JP3340859B2 (ja) | 2002-11-05 |
Family
ID=16979799
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23501494A Expired - Fee Related JP3340859B2 (ja) | 1994-09-14 | 1994-09-29 | 半導体発光素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3340859B2 (ja) |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2965709B2 (ja) * | 1990-12-07 | 1999-10-18 | 日本電信電話株式会社 | 半導体発光素子の作製方法 |
JP2540791B2 (ja) * | 1991-11-08 | 1996-10-09 | 日亜化学工業株式会社 | p型窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法。 |
JPH05190903A (ja) * | 1992-01-14 | 1993-07-30 | Asahi Chem Ind Co Ltd | 半導体発光素子およびその製造方法 |
JP2812375B2 (ja) * | 1992-01-24 | 1998-10-22 | 日亜化学工業株式会社 | 窒化ガリウム系化合物半導体の成長方法 |
-
1994
- 1994-09-29 JP JP23501494A patent/JP3340859B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0897470A (ja) | 1996-04-12 |
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