JP3338534B2 - 医科用および歯科用硬化性材料 - Google Patents

医科用および歯科用硬化性材料

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、骨欠損部や骨空隙部
の修復、接着、固着などの医科用や、歯科用の硬化性材
料に関する。
【0002】
【従来の技術】リン酸カルシウム化合物のうち、α−リ
ン酸三カルシウムまたはリン酸四カルシウムの粉末を、
カルボキシル基を高濃度で含有する有機酸水溶液で練和
して得られた練和物は、セメント様の硬化反応を起こし
て硬化物となることが知られている。そのような硬化性
材料としては、たとえば、α−リン酸三カルシウム粉末
を用いた、骨欠損部および空隙部充填材組成物(特開昭
60−253454号公報)、リン酸四カルシウム粉末
を用いた、骨、歯牙等の充填用組成物(特開昭63−6
8173号公報)などが提案されている。
【0003】前記粉末を練和するのに用いられる液成分
は、有機酸や不飽和カルボン酸の重合体などのカルボキ
シル基含有化合物を含んでいる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の硬化性材料
の練和物では、硬化反応が急激に起こるため、硬化時間
(練和し始めてから一定の硬さに固まるまでの時間。後
述する実施例と比較例の硬化時間の測定方法を参照)は
短く、成形可能時間(練和し始めてから患部に充填し終
わるまでの時間)は十分ではなかった。
【0005】ただし、硬化時間が十分長くても、練和物
が粘土状またはガム状であって可塑性に富むものでない
と、充填されるべき患部に対応する形に成形したり充填
したりすることができない。この発明は、粉成分と液成
分を練和すると粘土状またはガム状であって可塑性に富
む練和物となり、その練和物が十分に長い硬化時間を有
し、このため、充填されるべき患部に応じた形状に成
形、充填することができる医科用および歯科用硬化性材
料を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記課題を
解決するために、α−リン酸三カルシウムおよびリン酸
四カルシウムから選ばれる少なくとも1つの粉末、クエ
ン酸回路において生成しうる有機酸および不飽和カルボ
ン酸の重合体から選ばれる少なくとも1つの酸の酸根、
水、および、アルコールを有する医科用および歯科用硬
化性材料を提供する。
【0007】この発明の硬化性材料は、通常、粉成分と
液成分とを備えている。液成分は、粉成分の練和に用い
られる。粉成分は、α−リン酸三カルシウムおよびリン
酸四カルシウムから選ばれる少なくとも1つの粉末を含
む。この発明で用いられるα−リン酸三カルシウムは、
化学式Ca3(PO4)2 で表される。その製造方法には特
に限定はなく、いかなる方法で製造したものであっても
よい。たとえば、Ca源として、CaCO3 、CaO、
Ca(OH)2などが、P源として、P2 5 、H3 PO
4 、NH4 2 PO4 、(NH4)2 HPO4、CaとP
の両方を含有するCaHPO4 ・2H2 O、CaHPO
4 、Ca(H 2 PO4)2 、Ca2 2 7 等が挙げら
れ、CaとPのモル比をCa/P=1.5となるように
組み合わすことにより種々の製造方法が考えられるが、
セメント用粉材としては、CaHPO4 ・2H2 Oを焼
成して得られたCa2 2 7 と、CaCO3 を焼成し
て得られたCaOとの1:1モル比混合物を焼成する乾
式製造方法により得られたα−リン酸三カルシウム粉末
が好ましい。
【0008】この発明で用いられるリン酸四カルシウム
は、化学式Ca4 O(PO4)2 で表される。その製造方
法には特に限定はなく、いかなる方法で製造したもので
あってもよい。たとえば、α−リン酸三カルシウム粉末
を製造する時と同じ原料が挙げられ、CaとPのモル比
をCa/P=2となるように組み合わすことにより種々
の製造方法が考えられるが、セメント用粉材としては、
CaHPO4 ・2H2Oを焼成して得られたCa2 2
7 と、CaCO3 を焼成して得られたCaOとの1:
2モル比混合物を焼成する乾式製造方法により得られた
リン酸四カルシウム粉末が好ましい。
【0009】この発明において、粉成分としては、リン
酸カルシウム化合物粉末のみであってもよいし、リン酸
カルシウム化合物粉末と後述する任意成分の粉末とを含
んでいてもよい。この発明で使用されるリン酸カルシウ
ム粉末は、α−リン酸三カルシウムおよびリン酸四カル
シウムから選ばれる1つの粉末または2つの混合粉でも
よいし、それらと他のリン酸カルシウム化合物との混合
粉でもよい。他のリン酸カルシウム化合物としては、た
とえば、ハイドロキシアパタイト、カルシウム欠損アパ
タイト、炭酸アパタイト、メタリン酸カルシウム、第一
リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、ピロリン酸
カルシウム、β−リン酸三カルシウム、リン酸八カルシ
ウムなどが挙げられる。α−リン酸三カルシウムおよび
リン酸四カルシウムから選ばれる少なくとも1つの重量
に対する、他のリン酸カルシウム化合物の重量比は、た
とえば、50重量%以下であり、好ましくは、30重量
%以下である。他のリン酸カルシウム化合物の比率が前
記範囲を上回ると練和物の可塑性が失われるおそれがあ
る。
【0010】この発明では、粉成分の粒子径は特に制限
されないが、硬化性材料の練和操作時の練り易さをでき
るだけ向上させるという点からは、平均粒子径50μm
以下が好ましく、0.1〜20μmの範囲がさらに好ま
しい。液成分は、水、アルコールであり、クエン酸回路
において生成しうる有機酸および不飽和カルボン酸の重
合体から選ばれる少なくとも1つの酸の酸根が、水、ア
ルコールまたは水とアルコールとの混合溶媒に含まれて
いる。液成分は、好ましくは、前記酸根が水とアルコー
ルの混合溶媒に含まれてなるものである。有機酸および
不飽和カルボン酸の重合体は、部分中和塩または完全中
和塩であってもよい。
【0011】この発明で用いられる有機酸は、クエン酸
回路において生成しうる有機酸であるが、他の有機酸
も、有機酸全体に対して10重量%以下の割合で含まれ
ていてもよい。前記有機酸根の供給源としては、たとえ
ば、クエン酸、リンゴ酸、フマール酸、オキサロ酢酸、
イソクエン酸、アコニット酸、コハク酸、スクシニルコ
ハク酸、2−オキソグルタル酸(α−ケトグルタル酸)
などの、クエン酸回路において生成しうる有機酸;マロ
ン酸、マレイン酸、フマレイン酸、乳酸、酢酸などの、
他の有機酸;および、それらの塩から選ばれる1種また
は2種以上が挙げられる。これらの中でも、特に、クエ
ン酸、リンゴ酸およびこれらの塩は水に対する溶解度が
高く、生体に対する親和性も高いので好ましい。有機酸
塩としては、無水塩でも水化物(含水塩)でもよく、正
塩でも水素塩でもよく、複塩でも錯塩でもよく、たとえ
ば、クエン酸カルシウム、クエン酸カリウム、クエン酸
ナトリウム、クエン酸マグネシウム、クエン酸エチル、
クエン酸鉄、クエン酸銅、クエン酸アンモニウム、リン
ゴ酸ナトリウム、リンゴ酸ジエチルが挙げられる。
【0012】ただし、この発明では、有機酸根の供給源
としては、有機酸およびその塩の合計重量に対して、有
機酸が50〜100重量%、有機酸塩が残部であること
が好ましい。有機酸塩の比率が50重量%を上回ると練
和物の可塑性が失われるおそれがある。この発明で用い
られる不飽和カルボン酸の重合体は、単独重合体および
共重合体から選ばれる少なくとも1つである。不飽和カ
ルボン酸としては、炭素−炭素二重結合とカルボキシル
基とを有するものであれば特に限定はないが、たとえ
ば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン
酸、イタコン酸などが挙げられる。不飽和カルボン酸の
重合体としては、アクリル酸の単独重合体、または、ア
クリル酸と、他の不飽和化合物(たとえば、30重量%
以下)との共重合体などが、練和物に可塑性を生じさせ
るという点から好ましい。ここで、他の不飽和化合物と
しては、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、メタクリ
ル酸、アコニット酸、シトラコン酸、グルタコン酸、メ
サコン酸、チグリン酸などの不飽和カルボン酸;それら
の低級アルキルエステル;および、アクリル酸の低級ア
ルキルエステルから選ばれる少なくとも1つが挙げられ
る。
【0013】この発明に用いられるアルコールとして
は、生体に対する親和性が良いという点からはエタノー
ルが好ましいが、他のアルコール(たとえば、メタノー
ル、プロパノールなどの常温で液体のアルコール)であ
ってもよい。この発明では、液成分は、上記酸根を酸と
して30〜60重量%、アルコールを10〜60重量
%、水を残部の割合で含むのが好ましく、上記酸根を酸
として30〜40重量%、アルコールを10〜60重量
%、水を残部の割合で含むのがより好ましい。ここで、
酸、アルコールおよび水の合計重量は100重量%であ
る。上記酸根の濃度が前記範囲を外れると練和物の可塑
性が失われるおそれがある。アルコールの濃度が前記範
囲よりも高すぎると溶質が溶けないおそれがあり、低す
ぎると硬化時間の遅延効果が得られないおそれがある。
【0014】この発明の硬化性材料は、たとえば、上記
粉成分と液成分が、粉成分の重量/液成分の重量=0.
5〜5、好ましくは1〜4の比率で練和される。この範
囲を外れて粉成分が多い場合には粉成分の全量を液成分
と混ぜ合わすことができないおそれがあり、液成分が多
い場合には練和物の流動性が大きくなって成形できなか
ったり、硬化時間が遅すぎたりするおそれがある。
【0015】この発明の硬化性材料は、上述の必須成分
および任意成分に加えて、必要に応じて、たとえば、ポ
リグルタミン酸、ポリグルタミン酸塩、カルボキシメチ
ルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウ
ム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコ
ール等の水溶性高分子;デンプン、グルコサミノグルカ
ン、アルギン酸、キチン、キトサン、ヘパリンなどの多
糖類;コラーゲン、ゼラチン、これらの誘導体などの蛋
白質類;抗リウマチ治療剤、抗生物質、抗腫瘍剤などの
薬剤類;骨誘導因子、レチノイン酸、レチノイン酸誘導
体、TGF−β1、TGF−β2、TGF−βFami
ly、および、FGFなどのホルモンや細胞増殖因子類
などの成分を、硬化性材料の全重量に対して10重量%
以下、好ましくは5重量%以下の割合で含みうる。これ
らの成分は、粉成分に混合されたり、液成分に混合され
たり、練和中に練和物に混合されたりすることができ
る。
【0016】この発明の硬化性材料は、必要に応じて、
X線造影剤を含んでいてもよい。これは、硬化性材料の
練和物の充填状態をモニターしながらその充填作業を行
ったり、充填後の変化を追跡したりすることができると
いう理由による。X線造影剤としては、たとえば、硫酸
バリウム、次炭酸ビスマス(オキシ炭酸ビスマス)、ヨ
ードホルム、バリウムアパタイト、チタン酸バリウムな
どから選ばれる1種または2種以上が挙げられる。X線
造影剤は、粉成分に混合されたり、液成分に混合された
り、練和中に練和物に混合されたりすることができ、た
とえば、粉成分全体の重量に対して5〜30重量%の割
合で使用されるのが好ましい。
【0017】この発明の硬化性材料は、必要に応じて、
キレート化剤、pH調整剤を含んでいてもよい。これら
の例としては、たとえば、ニトリロ三酢酸(NTA)、
ニトリロ三酢酸二ナトリウム塩(NTA−2Na)、ニ
トリロ三酢酸三ナトリウム塩(NTA−3Na)、エチ
レンジアミン四酢酸(EDTA−4H)、エチレンジア
ミン四酢酸四ナトリウム塩(EDTA−4Na)、Ca
(OH)2 、Mg(OH)2 、Al(OH)3 、NaO
H、Ba(OH)2 、MgO、ZnO、Na2HPO4
等が挙げられる。キレート化剤やpH調整剤は、粉成分
に混合されたり、液成分に混合されたり、練和物に混合
されたりすることができる。これらは、たとえば、液成
分全体の重量に対して0〜30重量%の割合で使用され
るのが好ましい。
【0018】この発明の硬化性材料は、通常の医科用ま
たは歯科用分野で使用されている硬化性材料と同様にし
て使用される。この発明の硬化性材料は、粉成分と液成
分とを別々に包装した状態で貯蔵や流通に供され、使用
時に粉成分と液成分とが練和される。この練和物は、粘
土状またはガム状であって可塑性に富むので成形や充填
の作業を行いやすく、しかも、従来のものに比べると十
分に長い硬化時間、たとえば8〜60分間の硬化時間を
有するので、充填されるべき患部に応じた形状に成形し
充填される。充填された練和物は、生体内または口腔内
の環境下で硬化した後、体液と接触することにより徐々
にハイドロキシアパタイトに転化し、たとえば7日間で
完全にハイドロキシアパタイトへ転化し、その硬化物が
一部新生骨に置換されたり、軟組織に置換されたりし
て、生体組織と一体化することができる。
【0019】この発明の硬化性材料は、たとえば、接着
または固着用の医科用または歯科用セメント、骨欠損部
への充填用材料などとして使用される。
【0020】
【作用】この発明の硬化性材料を練和すると、α−リン
酸三カルシウムおよびリン酸四カルシウムから選ばれる
少なくとも1つの粉末が、クエン酸回路において生成し
うる有機酸および不飽和カルボン酸の重合体から選ばれ
る少なくとも1つの酸の酸根により硬化する。この発明
の硬化性材料は、アルコールを有するので、前記硬化が
十分に遅延され、しかも、粘土状またはガム状であって
可塑性に富む練和物を生成する。
【0021】
【実施例】以下に、この発明の実施例と、この発明の範
囲を外れた比較例とを示すが、この発明は下記実施例に
限定されない。 (合成例1:α−リン酸三カルシウムの調製例)実施例
で使用したα−リン酸三カルシウムを次のようにして作
った。
【0022】リン酸水素カルシウム2水和物(CaHP
4 ・2H2 O、保栄薬工株式会社製、日本薬局方品)
を1100℃で焼成することにより得られたピロリン酸
カルシウム(Ca2 2 7 )と、沈降炭酸カルシウム
(CaCO3 、恵美須薬品化工株式会社製、日本薬局方
品)を1100℃で焼成することにより得られた酸化カ
ルシウムとを1:1のモル比にて混合した後、この混合
物を1400℃で焼成した。得られた焼成物をボールミ
ルで粉砕し、分級により粒子径32μm以下の粒子を回
収した。このように調製した粉末を粉末X線回折装置で
同定確認を行ったところ、JSPDSカード番号09−
0348と29−0359のα−リン酸三カルシウムピ
ークにすべて一致しており、純粋なα−リン酸三カルシ
ウムであることが確認された。
【0023】(合成例2:リン酸四カルシウムの調製
例)実施例で使用したリン酸四カルシウムを次のように
して作った。リン酸水素カルシウム2水和物(CaHP
4 ・2H2 O、保栄薬工株式会社製、日本薬局方品)
を1100℃で焼成することにより得られたピロリン酸
カルシウム(Ca2 2 7 )と、沈降炭酸カルシウム
(CaCO3 、恵美須薬品化工株式会社製、日本薬局方
品)を1100℃で焼成することにより得られた酸化カ
ルシウムとを1:2のモル比にて混合した後、この混合
物を1400℃で焼成した。得られた焼成物をボールミ
ルで粉砕し、分級により粒子径32μm以下の粒子を回
収した。このように調製した粉末を粉末X線回折装置で
同定確認を行ったところ、JSPDSカード番号25−
1137のリン酸四カルシウムピークにすべて一致して
おり、純粋なリン酸四カルシウムであることが確認され
た。
【0024】(実施例1)合成例1で得られたα−リン
酸三カルシウムからなる粉成分100重量部と、エタノ
ール30重量%、クエン酸40重量%および蒸留水30
重量%からなる液成分50重量部とを有する、この発明
の硬化性材料を作った。 (実施例2〜7)実施例1において、粉成分または液成
分の種類または配合、粉成分と液成分の割合を表1と2
に示すように変えたこと以外は実施例1と同様にしてこ
の発明の硬化性材料を得た。
【0025】(比較例1〜3)実施例1において、粉成
分または液成分の種類または配合、粉成分と液成分の割
合を表1と2に示すように変えたこと以外は実施例1と
同様にして比較用の硬化性材料を得た。上記実施例と比
較例で得られた硬化性材料について、可塑性、硬化時間
を調べた。結果を表1と2に示した。
【0026】可塑性は、JIS−T6501の義歯床用
アクリリック樹脂の可塑性試験を参考にして評価した。
すなわち、粉成分1グラムと、表1〜2に示す重量比の
液成分とを1分30秒間スパチュラで練和し、練和開始
から5分経過後に練和物全量をアクリル板の上に採取
し、この練和物の上に底面の平らな3kgのおもりをその
底面が板の表面と平行になるように載せて荷重をかけて
5分経過後の試料の平行線間距離を測定した。
【0027】硬化時間は、JIS T6602−199
3の歯科用リン酸亜鉛セメントの硬化時間試験に準じて
測定した。なお、成形可能時間は、硬化時間の5〜2分
前までである。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】表1と2に示された結果から、次のことが
わかる。実施例1〜4と5の硬化性材料は、アルコール
を含むので、比較例1の硬化性材料に比べて、硬化時間
が十分に長くなり、その練和物が可塑性に富む。比較例
1のものでは、硬化時間が短く、成形や充填の作業を急
いで行う必要がある上、充填作業が行いにくかった。実
施例1〜3を対比すると、リン酸カルシウムおよび有機
酸根の種類と量が同じであれば、アルコールの量が増え
るに従って硬化時間が遅延されているが、可塑性には大
きな影響は与えない。実施例1と5の硬化性材料を対比
すると、リンゴ酸の方がクエン酸よりも可塑性の優れた
練和物を生成させた。
【0031】実施例7の硬化性材料は、アルコールを含
むので、比較例2の硬化性材料に比べて、硬化時間が十
分に長くなり、その練和物が可塑性に富む。比較例2の
ものは、ゴム状の練和物を生成したが、この練和物は十
分な可塑性を持たなかったので充填作業が行いにくっ
た。実施例6の硬化性材料は、アルコールを含むので、
比較例3の硬化性材料に比べて、硬化時間が十分に長く
なり、その練和物が可塑性に富む。比較例3のものは、
急に硬化するので、充填作業を行うことができない。実
施例6のものは、実施例1〜5と7で用いたα−リン酸
三カルシウムよりも化学活性が高いリン酸四カルシウム
を用いたのに、硬化時間が十分に遅延され、ある程度の
可塑性も付与され、患部への充填が可能になった。
【0032】
【発明の効果】この発明の硬化性材料は、その練和物
が、粘土状またはガム状であって可塑性に富むため患部
への充填に適した特性を有し、しかも、十分に長い硬化
時間を有するので、成形可能時間が長くなる。このた
め、この発明の硬化性材料は、充填されるべき患部に応
じた形状に十分に成形し充填することができ、治療効果
を高める。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 南川 和彦 大阪府八尾市二俣2丁目22番地 新田ゼ ラチン株式会社大阪工場内 (72)発明者 加来 篤 大阪府八尾市二俣2丁目22番地 新田ゼ ラチン株式会社大阪工場内 (56)参考文献 特開 平5−285214(JP,A) 特開 平5−168692(JP,A) 特開 平4−307067(JP,A) 特開 平4−208163(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61L 27/00 A61K 6/033 A61K 6/06

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 α−リン酸三カルシウムおよびリン酸四
    カルシウムから選ばれる少なくとも1つの粉末、クエン
    酸回路において生成しうる有機酸および不飽和カルボン
    酸の重合体から選ばれる少なくとも1つの酸の酸根、
    水、ならびに、メタノール,エタノールおよびプロパノ
    ールから選ばれる少なくとも1つのアルコールを有する
    医科用および歯科用硬化性材料。
  2. 【請求項2】 α−リン酸三カルシウムおよびリン酸四
    カルシウムから選ばれる少なくとも1つの粉末を含む粉
    成分と、酸根が水およびアルコールの混合溶媒に含まれ
    てなる液成分とを備えた請求項1記載の硬化性材料。
  3. 【請求項3】 液成分が、酸根を酸として30〜60重
    量%、アルコールを10〜60重量%、水を残部(酸、
    アルコールおよび水の合計100重量%)の割合で有す
    る請求項2記載の硬化性材料。
  4. 【請求項4】 粉成分の液成分に対する重量比が0.5
    〜5である請求項2または3記載の硬化性材料。
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