JP3338167B2 - 希薄燃焼ガスエンジン排ガス中のco除去方法 - Google Patents

希薄燃焼ガスエンジン排ガス中のco除去方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、希薄燃焼ガスエンジン
排ガス中のCO(一酸化炭素)酸化用触媒及びそのCO
の酸化除去方法に関し、さらに具体的には、都市ガス等
を燃料とする希薄燃焼ガスエンジンからの排ガス中に極
微量含まれるCOの酸化用触媒及びこのCOの酸化除去
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料ガスとして都市ガス、LPガス等を
使用するガスエンジンにおいては、排ガス中のNOx、
CO及びHC(メタンその他の炭化水素)を減じるため
に、また燃焼効率或いは熱効率を高めるために、燃焼時
における燃料ガスと空気との比率を燃料ガスリ−ン(l
ean)側、すなわち供給空気量を、燃料ガスを完全燃
焼させるに必要な理論空気量より多くする手法が適用さ
れ、この手法は現に採用されてきている。
【0003】この希薄燃焼ガスエンジンは、単一の駆動
源(エネルギ−源)から電力、機械エネルギ−及び熱エ
ネルギ−を生産し、ビル、工場、その他の諸施設で用い
る動力、照明、空調、給湯、その他に必要な諸エネルギ
−を総合的に賄い、エネルギ−を高効率に利用可能とす
るいわゆるコ−ジェネレ−ションシステムにおいても逐
次採用され、普及してきている。
【0004】しかし、その燃焼排ガスには微量のCOが
含まれており、このためそのCOを酸化し無害として排
出する必要があるが、その希薄燃焼エンジンからの排ガ
ス中には、その余剰空気量に対応した多量の酸素及び燃
焼の結果生成する水蒸気が含まれており、このためその
中のCOを酸化し無害として排出するには、これらが含
有されていてもなお有効に適用し得る浄化処理法の開発
が必要である。
【0005】これまで、燃料ガスに対し理論空気比に近
い条件で駆動するガスエンジン(希薄燃焼ガスエンジン
ではない)から排出される燃焼排ガスの浄化用として
は、この排ガスには、酸素は殆んど含まれず、NOx、
CO及びHCが含まれているため、例えばPt、Rh/
アルミナ触媒等の三元触媒が用いられ、現に実用化され
ているが、この使用態様としては上記排ガスを約500
〜700℃の条件下においてPt、Rh/アルミナ触媒
(ハニカムを使用)に通すことにより実施され、その中
のNOx、CO及びHCを同時に除去するものである。
【0006】しかし、この方法で対象とする被処理排ガ
スは、その由来からして、排ガス中に酸素を殆んど含ま
ず、しかも処理温度として500〜700℃の条件下に
おいて実施することを前提とするため、このCO酸化除
去法は、希薄燃焼ガスエンジンからの排ガス、すなわち
多量の酸素及び水蒸気が含まれ、また(その作動条件如
何等にもよるが)通常300〜500℃程度で排出さ
れ、しかも極微量のCOを含有する排ガス中におけるC
Oの酸化処理方法としては、直ちに有効に適用すること
はできない。
【0007】また、CO含有排ガスから、COを酸化し
無害化するものとしては、例えば特公平3−53971
号公報が挙げられる。この技術は、焼結炉排ガス中の低
濃度のCOを酸化する触媒及びこの触媒を所定の条件下
に適用してCOを酸化する方法に係るものであるが、こ
の触媒は、担体としてコ−ジェライトからなるハニカム
担体を使用し、かつ少なくとも触媒成分中の白金担持量
を触媒見掛け外表面積当たり0.24mg/cm2 以上
とすることを特徴とするというものである。
【0008】この技術では、そこで低濃度であるという
CO濃度が実際上どの程度の低濃度であるのか、また酸
素その他その余に含有される成分の種類や量に関しても
明示の記載はなく、そのCO除去率についても、相対的
な除去率しか示されていないが、焼結炉排ガスの場合に
は、極く微量の触媒被毒物質による触媒の劣化があるた
め、再生処理を頻繁に行う必要があったところ、この技
術によれば、従来これに使用されてきた公知の触媒に比
べて、白金担持量を増すことにより焼結炉排ガス条件下
での触媒の劣化速度を大幅に減少可能とし、触媒の再生
頻度の減少又は触媒量の減少によるブロワ使用電力量の
より一層の低減化等が可能であるとしている。
【0009】以上のとおり、これまでCO含有排ガス中
のCOを酸化し無害化するために触媒を使用すること、
またその触媒として適当な担体に担持した白金触媒を使
用することは既に公知であるが、温度300〜500℃
程度(燃焼条件如何等により異なるが)で排出され、ま
た酸素や水蒸気が多量に含まれ、極微量のCOを含有す
る希薄燃焼ガスエンジンからの排ガスに対して有効なC
O酸化触媒、またこれを使用することによりその微量C
Oを長期にわたり有効に酸化除去する方法については、
まだ提案されていない。
【0010】本発明者は、CO含有排ガスの処理に関す
る以上の諸事実をも前提に、温度300〜500℃程度
で排出され、また酸素や水蒸気を多量に含み、微量のC
Oを含有する希薄燃焼ガスエンジンからの排ガスの酸化
処理法に関して鋭意実験、検討を重ねているうち、全く
偶然にも、ハニカム担体に担持した白金/アルミナ触媒
のうちでも、その白金担持量が特定の範囲にあるとき、
優れたCO酸化性能を示すだけではなく、優れた耐久性
を有し、その優れた触媒活性を長期にわたり安定して維
持することができることを見い出し、本発明に到達する
に至ったものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、本発明は、
ハニカムに担持した白金/アルミナ触媒であって、その
白金担持量を特定の割合で担持させることにより、希薄
燃焼ガスエンジンからのCO含有排ガスの酸化処理用と
して優れた触媒活性を有するとともに、優れた耐久性を
備えた希薄燃焼ガスエンジンからのCO含有排ガス浄化
用触媒を提供することを目的とするものである。
【0012】また本発明は、上記その白金担持量を特定
の割合で担持させてなる、ハニカムに担持した白金/ア
ルミナ触媒を使用することにより、希薄燃焼ガスエンジ
ンからのCO含有排ガスを長期にわたり安定して有効に
酸化、除去する方法を提供することを目的とするもので
ある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、希薄燃焼ガス
エンジンから排出される排ガス中のCOの酸化用触媒で
あって、ハニカム担体に担持した白金/アルミナ触媒に
おいて、その白金担持量を1.2〜2.5g/lとして
なることを特徴とする希薄燃焼ガスエンジン排ガス中の
低濃度COの酸化用触媒を提供するものである。
【0014】また、本発明は、希薄燃焼ガスエンジン排
ガスを、その白金担持量を1.2〜2.5g/lとして
なる、ハニカム担体に担持した白金/アルミナ触媒に通
すことを特徴とする希薄燃焼ガスエンジン排ガス中の低
濃度COの酸化方法を提供するものである。また、この
CO酸化触媒及びこれを使用するCOの酸化除去方法
は、特に希薄燃焼ガスエンジン排ガスが前述コ−ジェネ
レ−ションシステムにおける希薄燃焼ガスエンジンから
の排ガスに対しても有効に適用することができるもので
ある。
【0015】この場合、本発明で用いる上記ハニカム担
体の材質としては、特に制限はないが、好適にはコ−ジ
ェライト製のハニカム担体又は金属製(メタル製)のハ
ニカム担体であるのが望ましい。このうちメタルハニカ
ムは、鉄−アルミニウム−クロム系やステンレス鋼等に
より作られるものである。
【0016】また、本発明に係るCO酸化触媒におい
て、その白金担持量を1.2〜2.5g/lの範囲と設
定しているが、これは、これによって希薄燃焼ガスエン
ジン排ガス中のCOを91%以上酸化、除去できる点を
基準ないし目安にしている。しかしその担持量を約1.
3〜2.0g/lの範囲にとれば、93%以上のCO除
去率を得ることができ、さらにその担持量を約1.5±
0.1g/lの範囲とすれば、95%前後のCO除去率
を達成することが可能であり、しかもこれら効果は、長
期にわたり有効に維持することができるものである。
【0017】なお、ここで例えば白金担持量「1.5g
/l」とは、ハニカム担体の1l(1リットル:容積)
単位に対する白金の担持量であり、これをそのハニカム
担体の有効表面(CO含有排ガスが接触し、CO2 への
転化を行わせる表面)に対する担持割合として示すと
0.083mg/cm2 に相当し、後述その担持量0.
6g/l、1.0g/l及び2.5g/lについて云え
ば、それぞれ0.03mg/cm2、0.055mg/
cm2及び0.139mg/cm2に相当する。
【0018】本発明に係るハニカム担体に担持した白金
/アルミナ触媒の調製法としては、例えばコ−ジェライ
ト製又は金属製のハニカムにアルミナの水性懸濁液をウ
ォッシュ・コ−トし、これに白金を担持して調製する。
白金の原料としては、その塩化物、塩化アンモニウム
塩、硝酸塩、酢酸塩、アルコキシドなどが使用できる。
またこれを担持する態様としては、イオン交換、含浸法
等により実施することができる。その後焼成を行い、白
金金属として担持させるものである。この場合、その焼
成のかわりに液相還元、水素還元も適用することができ
る。
【0019】図4は、本発明に係る触媒を使用する、そ
のシステムフロ−の一例を示す概略図である。図中、都
市ガス等の燃料ガスはその導入部Aから燃焼用空気導入
部Bからの空気とともに、希薄燃焼ガスエンジンCに通
され、ここでの燃焼後生成したガスは、導管Dから30
0〜500℃程度で排出される。Eは、酸化触媒層であ
り、ここに本発明に係るハニカム担持の白金/アルミナ
触媒が充填、設置される。導管Dからの排ガス中の微量
COはここで酸化され、導出部Fから排出されるが、必
要に応じて次の熱回収工程等へ送られる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明するが、本発明
がこの実施例に限定されるものでないことは勿論であ
る。本実施例は、供試触媒を次のとおりに調製し、図4
のような装置を使用して実施した。
【0021】径約30mm、長さ約30mmの円筒状の
コ−ジェライト製のハニカムに対して、アルミナを水性
懸濁液としてウオッシュコ−トし、これに白金を担持さ
せてコ−ジェライト製ハニカムに担持したアルミナ/白
金触媒を調製した。この場合その担体に対する白金の担
持量を変え、各々白金担持量の異なる各種供試白金/ア
ルミナ触媒とした。
【0022】次いで、これら各供試触媒を内径30mm
のステンレス製反応管(図4における酸化触媒層E)に
充填した。試験用の排ガスとしては、出力15KWのガ
スエンジンを作動させ、ここからの排ガスを使用し、各
供試触媒毎に以下の各条件でCOの酸化除去性能を調べ
た。触媒層による処理の後すなわち反応管からの排ガス
中のCO濃度を測定した。
【0023】1、試験用排ガスの組成:O2=2.8
%、水蒸気(H2O)=10%、CO=901ppm、
残部窒素(バランス)。 2、空間速度:49400h-1、反応管入口温度:39
0℃。 3、耐久使用時間:1022h(時間)。 以上の結果を図1〜図2に示す。なお、図2は、図1に
示す触媒層Eの出口部におけるCO濃度及び触媒層Eの
入口部におけるCO濃度901ppmを基にしたCO除
去率を示したものである。
【0024】図1〜図2のとおり、CO除去率は、例え
ばPt担持量0.6g/l(=0.033mg/cm
2 )では85.1%、Pt担持量1.0g/l(=0.
055mg/cm2 )では87.4%と徐々に向上する
が、Pt担持量1.5g/l(=0.083mg/cm
2 )では最高93.6%ものCO除去率を示し、以降、
これをピ−クに、そのPt担持量を増加しても、CO除
去率は徐々に低下してしまう。このように、そのPt担
持量如何により触媒特性上きわめて有効な特異な性質を
示すことが明らかである。
【0025】また、本発明においては、ハニカム担体と
してメタルハニカムを使用してもほぼ同等の効果が得ら
れる。例えばその一例を示すと、コ−ジェライト製のハ
ニカムの代わりにFe−Al−Cr(合金)製のハニカ
ムを使用して、前記と同様にしてPt担持量1.5g/
l(0.059mg/cm2 )の白金/アルミナ触媒を
調製し、前記と同じ試験条件で試験したところ、CO除
去率は94.2%を示し、コ−ジェライト製ハニカムの
場合でのその値93.6%と同等以上の性能を発揮し
た。
【0026】また、図3は、白金担持量如何によるCO
除去率上の耐久性を実測し、試験をしたものである。図
示のとおり、例えばPt担持量が0.6g/l、1.0
g/lと少ない場合には、そのCO除去率は、300時
間前後から急激に低下してしまい、逆にその担持量が
2.5g/lと多い場合にも、そのCO除去率は時間の
経過とともに徐々に低下して行く。しかしPtを1.5
g/l担持させたものでは、1022時間(42日間
余)経過後においても、そのCO酸化能は初期の段階で
のそれと殆んど変わらず、きわめて高いCO除去率を持
続していることが分かる。
【0027】この点、前掲特公平3−53971号公報
では、焼結炉排ガスを対象とするとは云え、同じく担体
としてコ−ジェライトからなるハニカム担体を使用し、
これに白金を担持させるものであるが、その白金担持量
が0.24mg/cm2 以上で有効であるとしている点
と対比すれば、本発明における以上の事実、すなわちそ
のPt担持量自体格段に少なく(約1.2〜2.5g/
l=0.067〜0.139mg/cm2 )、しかも触
媒活性及び耐久性ともに優れた性質を有する事実は、こ
れら従前の触媒からは全く予想し得ない特異な特性であ
ることが明らかである。
【0028】本発明に係るハニカム担持の白金/アルミ
ナ触媒において、その白金担持量が特定の範囲(約1.
2〜2.5g/l)である場合だけに、このような予想
外の特異なCO酸化の触媒特性を示すその理由について
は未だ究明してはいないが、希薄燃焼ガスエンジンにお
いては、その排ガス中過剰酸素、水蒸気等が存在し、こ
れがその触媒特性上何らかの作用を及ぼしているものと
せざるを得ない。
【0029】
【発明の効果】以上のとおり、本発明に係る、コ−ジェ
ライト製又は金属製のハニカム担体に担持した白金/ア
ルミナ触媒において、その白金担持量を1.2〜2.5
g/l担持させ、これを希薄燃焼ガスエンジン排ガス中
の低濃度COの酸化用の触媒とすることにより、希薄燃
焼ガスエンジンから排出するCO含有排ガス中の極微量
のCOをきわめて有効に酸化、除去することができる。
【0030】また本発明に係る希薄燃焼ガスエンジン排
ガス処理用白金担持触媒は、耐久性に優れ、長期にわた
り安定したCO酸化能を有し、排ガス中のCOを強力に
酸化し、無害化することができるため、優れたCO除去
効果を維持することができ、また極微量のCOに対して
も有効であることから、必要な環境対策を有効に行うこ
とができ、特に都市ガス、天然ガス等を駆動源とするコ
−ジェネレ−ションシステムにおける希薄燃焼ガスエン
ジンからの排ガスに対しても有効に適用することができ
るものである。
【0031】また、本発明に係る触媒は、排ガス中の低
濃度COを強力に酸化し、無害化することができるた
め、その高温排ガス(300〜500℃程度)を例えば
乾燥用ガスとして直かに使用することを可能とし、また
その白金自体の担持量が少量で有効であり、それにも拘
わらずその触媒特性を長期にわたり有効に維持すること
ができることから、再生頻度を格段に少なくでき、低コ
スト化が図れる等、優れた効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Pt担持量に対する出口CO濃度の変化を示す
図。
【図2】Pt担持量に対するCO除去率の変化を示す
図。
【図3】時間経過に伴うCO除去率の変化を示す図。
【図4】本発明のPt担持触媒を適用するシステムフロ
−の一例を示す図。
【符号の説明】
A 燃料ガス導入部 B 空気導入部 C 希薄燃焼ガスエンジン D 導管 E 酸化触媒層(Pt/アルミナ触媒層) F 導出部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−23592(JP,A) 特開 平7−155555(JP,A) 特開 平5−7775(JP,A) 特開 平5−38421(JP,A) 特開 平7−75736(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 21/00 - 37/36 B01D 53/86 F01N 3/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ハニカム担体に担持した白金/アルミナ触
    媒であって、その白金担持量を1.2〜2.5g/lと
    してなることを特徴とする希薄燃焼ガスエンジン排ガス
    中の低濃度COの酸化用触媒。
  2. 【請求項2】ハニカム担体がコ−ジェライト製又は金属
    製であることを特徴とする請求項1記載の希薄燃焼ガス
    エンジン排ガス中の低濃度COの酸化用触媒。
  3. 【請求項3】希薄燃焼ガスエンジン排ガスを、ハニカム
    担体に担持した白金/アルミナ触媒であって、その白金
    担持量を1.2〜2.5g/lとしてなる触媒に通すこ
    とを特徴とする希薄燃焼ガスエンジン排ガス中の低濃度
    COの酸化除去方法。
  4. 【請求項4】ハニカム担体がコ−ジェライト製又は金属
    製であることを特徴とする請求項3記載の希薄燃焼ガス
    エンジン排ガス中の低濃度COの酸化除去方法。
  5. 【請求項5】希薄燃焼ガスエンジン排ガスがコ−ジェネ
    レ−ションシステムにおける希薄燃焼ガスエンジンから
    の排ガスである請求項3〜4記載の低濃度COの酸化除
    去方法。
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