JP3334312B2 - 有価物の回収方法 - Google Patents
有価物の回収方法Info
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Description
めっき液中の有価物を回収する方法に関する。
ン酸塩を還元剤とする無電解ニッケルめっき液は、従来
より電子部品、精密機器、或いはプラスチック等の表面
処理に広く使用されているが、このめっき液は、めっき
反応の進行につれ、還元剤として使用されている次亜リ
ン酸塩が酸化されて亜リン酸塩となり、めっき液中に蓄
積される。この亜リン酸塩の濃度が一定の限度を越える
と、このめっき液は使用不能となる。
還元剤とする使用済の無電解ニッケルめっき液を処理す
る方法として種々の方法が提案されているが、このめっ
き液を工業的に有効に処理し、しかもめっき液中の有価
物を簡単かつ確実に回収再利用し得る処理方法は未だ実
用化されていない。
次亜リン酸塩を還元剤とする使用済無電解ニッケルめっ
き液を経済的にかつ二次公害を引き起こすことなく確実
に処理し得ると共に、このめっき液中の有価物を簡単に
しかも純度よく回収し得る上、使用する装置も比較的簡
単で、工業的に有利な無電解ニッケルめっき液の有価物
の回収方法を提供することを目的とする。
上記めっき液中の有価物を簡単に回収し、その再利用を
計ると共に、処理施設外に公害物質を全く排出しない無
電解ニッケルめっき液中の有価物の回収方法を開発し
た。
中には、硫酸ニッケル等の水溶性ニッケル塩、クエン酸
ナトリウム等の錯化剤(有機物)、次亜リン酸塩等の次
亜リン酸塩及びその酸化物である亜リン酸塩が多量に含
有され、また上記錯化剤や次亜リン酸塩、亜リン酸塩に
由来するナトリウムイオン等のアルカリ金属イオンが多
量に存在している。
有利な処理法、その有価物の回収方法について鋭意検討
を行った結果、めっき液中のニッケルイオンをシュウ酸
によりシュウ酸ニッケルとして沈殿除去し、これを回収
すると共に、このニッケルイオン除去後のめっき液に硫
酸等の鉱酸と酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸
カルシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム又は有機
酸カルシウムとを加えた後、空気中で焼成することによ
り、上記アルカリ金属イオンを水溶性の鉱酸アルカリ金
属塩となす一方、上記次亜リン酸塩及び亜リン酸塩のリ
ン分を水不溶性のハイドロキシアパタイトとして固定
し、かつ上記焼成で固形物中の有機物を分解し、水蒸気
と炭酸ガス等とすることができ、これによって鉱酸アル
カリ金属塩とハイドロキシアパタイトとをそれぞれ分
離、回収し得ること、そしてこのようにして分離回収さ
れたシュウ酸ニッケル、ハイドロキシアパタイト、鉱酸
アルカリ金属塩はいずれも純度的にもよく、工業的に再
利用し得ることを見い出し、本発明をなすに至ったもの
である。
このニッケル塩の錯化剤として配合された有機物と、次
亜リン酸塩及びこの次亜リン酸塩が酸化することにより
生成された亜リン酸塩とを含有し、アルカリ金属イオン
を多量に含む無電解ニッケルめっき液中の有価物を回収
する方法であって、該めっき液にシュウ酸を添加して、
上記めっき液中のニッケルイオンをシュウ酸ニッケルと
して沈殿除去し、これを回収すると共に、ニッケルイオ
ン除去後のめっき液に鉱酸と酸化カルシウム、水酸化カ
ルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化カル
シウム及び有機酸カルシウムから選ばれるカルシウム化
合物とを添加した後、空気中で焼成して、上記アルカリ
金属イオンを鉱酸アルカリ金属塩に、かつ次亜リン酸塩
及び亜リン酸塩のリン分をハイドロキシアパタイトにな
すと共に、上記有機物を熱分解により除去し、次いで上
記鉱酸アルカリ金属塩とハイドロキシアパタイトとの混
合固形物を水に投入して鉱酸アルカリ金属塩を水に溶解
することにより、ハイドロキシアパタイトと鉱酸アルカ
リ金属塩とをそれぞれ分離回収することを特徴とする有
価物の回収方法を提供する。
明において処理される使用済無電解ニッケルめっき液
は、硫酸ニッケル等の水溶性ニッケル塩、クエン酸ナト
リウム等のカルボン酸やカルボン酸塩(主としてナトリ
ウム塩)、その他の有機酸、有機酸塩などのニッケルの
錯化剤(有機物)、それに次亜リン酸塩(主としてナト
リウム塩)、及び亜リン酸塩(主としてナトリウム塩)
を含有するものであり、上記錯化剤、次亜リン酸塩、亜
リン酸塩、更には無電解ニッケルめっき液を使用してい
る時に使用したpH調整剤である水酸化アルカリやアン
モニア水に由来するアルカリ金属イオン(主としてナト
リウムイオン又はアンモニウムイオンであるが、カリウ
ム塩やpH調整にKOHを使用した場合はカリウムイオ
ン)を多量に含んでいるものである。
は、処理に際して全く問題にならず、濃度、pHに制限
はない。しかし、後述する処理ステップでの添加試薬量
を決定するため、処理前に少なくともニッケルイオン、
リン分(次亜リン酸塩及び亜リン酸塩)、アルカリ金属
イオン量及びpHは分析により測定しておく必要があ
る。
まずシュウ酸を加えてめっき液中のニッケルイオンをシ
ュウ酸ニッケルとして沈殿させる。この場合、シュウ酸
添加量としては、ニッケルイオン1モルに対し、1〜
1.5モル、特に1〜1.3モルとすることが好まし
い。また、この処理に際して、めっき液のpHは1.5
〜3、特に1.8〜2.4とすることが好ましく、この
ためめっき液に硫酸等の鉱酸を加えて上記pHに調整す
ることが好ましい。更に、シュウ酸を添加しためっき液
は70℃以上に加熱し、その状態を3時間以上保つこと
により、ニッケルイオンが確実にシュウ酸と反応してシ
ュウ酸ニッケルとなる。
ル2水和物)は濾取し、沈殿を水で洗浄した後、乾燥し
て、微細なシュウ酸ニッケル2水和物の乾燥粉末とし、
再利用を計るか、或いは得られた乾燥粉末を仮焼して酸
化ニッケルの微細な粉末とした後、ニッケル源として再
利用が可能となる。
ニッケルイオンをシュウ酸ニッケルとして沈澱させてい
るため、当該沈澱物にリンを抱き込むことがなく、当該
沈澱物から金属ニッケルを回収する際にこのリンが金属
中に共存することを防止でき、商品価値の高い金属ニッ
ケルとすることができる。
記濾液と合併して、次の工程に移すことが好ましい。
しためっき液には、鉱酸及びカルシウム化合物を添加す
る。ここで、鉱酸としては、硫酸、塩酸等が使用される
が、無電解ニッケルめっき液中に主として含まれる鉱酸
イオンと同じ鉱酸を使用することが好ましい。例えば、
ニッケルイオン源として硫酸ニッケルを使用した場合は
硫酸を使用することが好ましい。一方、カルシウム化合
物としては、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸
カルシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、有機酸
カルシウムから選ばれるものを使用する。この場合、酸
化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、有
機酸カルシウムはいずれの場合でも使用可能であるが、
硫酸カルシウムはめっき液中の鉱酸イオンが硫酸イオン
である場合、塩化カルシウムは鉱酸イオンが塩素イオン
の場合に使用することが好ましい。
るアルカリ金属イオンの全量を鉱酸アルカリ金属塩とす
るに必要な量であり、この場合、カルシウム化合物とし
て硫酸カルシウムや塩化カルシウムを使用するときはこ
の硫酸イオン、塩素イオン量と鉱酸との合計量がアルカ
リ金属イオン全量を鉱酸アルカリ金属塩とするに必要な
量である。更に、めっき液中に鉱酸イオンが含まれてい
る場合はこの鉱酸イオン量も合算する。
酸イオン量はアルカリ金属イオン1モルに対し0.3〜
0.7モル、特に0.4〜0.6モルとすることが好ま
しい。
き液中に含有されているリン分をハイドロキシアパタイ
トとするに必要な量であり、具体的にはリン分1モルに
対しカルシウムとして1.5〜2モル、特に1.6〜
1.8モルの添加量とすることが好ましい。
において、めっき液のpHは特に制限されない。
り蒸発乾固し、リン、アルカリ金属、鉱酸及び有機物を
含む固形分とする。なお、蒸発乾固は常法によって行う
ことができる。
る。この場合、焼成温度は700〜870℃、特に75
0〜850℃とすることが好ましい。また、焼成は回転
炉等を用い、空気を十分供給しながら行うことが好まし
い。なお、焼成時間は3時間以上、特に5時間以上とす
ることが好ましい。
いた低酸素酸の次亜リン酸及び亜リン酸は全てオルソリ
ン酸まで酸化され、かつ計算量添加されているカルシウ
ム塩と化学反応して、水に不溶性のハイドロキシアパタ
イトとなる。また、アルカリ金属分は計算量添加された
鉱酸と反応して、水に可溶性の鉱酸アルカリ金属塩とな
り、有機物は充分な空気の存在下で高温度で焼成される
ため、熱分解して二酸化炭素と水蒸気となって除去され
る。
なハイドロキシアパタイトと硫酸ナトリウム等の鉱酸ア
ルカリ金属塩の混合物が得られる。
パタイトと鉱酸アルカリ金属塩との混合物に水を加え、
この水に鉱酸アルカリ金属塩を溶解させると共に、この
水溶液中にハイドロキシアパタイトが懸濁した水スラリ
ーを得る。この場合、加える水の量は、鉱酸アルカリ金
属塩の3〜6倍重量、特に4.5〜5.5倍重量とする
ことがよく、また水を加えた後は30〜80℃、特に4
0〜60℃に撹拌下で1〜5時間、特に2〜3時間保持
することが好ましい。
方法により、ハイドロキシアパタイトと鉱酸アルカリ金
属塩水溶液とを分離する。なお、分離したハイドロキシ
アパタイトは必要により鉱酸アルカリ金属塩を更に溶出
させるため、上記操作を再度施すことができ、最終的に
得られたハイドロキシアパタイトは、水で洗浄し、常法
により加熱乾燥することによってハイドロキシアパタイ
トの粉末とし、工業薬品或いは動物の飼料や肥料として
使用することができる。
従って濃縮し、蒸発乾固することにより、鉱酸アルカリ
金属塩の粉末とすることができ、これは工業薬品として
再利用することができる。
とする使用済無電解ニッケルめっき液を簡単な操作で確
実にかつ二次公害を引き起こすおそれなくクローズド処
理することができると共に、ニッケル、リン及びアルカ
リ金属分をそれぞれ純度よく固定化して分離回収し、そ
の有効利用を計ることができ、しかも設備も比較簡単
で、経済的で工業的有利に処理することができる。
るが、本発明は下記の実施例に制限されるものではな
い。
使用した。
リットルのガラス製ビーカーに正確に秤り取り、これに
試薬特級シュウ酸2水和物13.8gと97.0%硫酸
液44.5gとを加え、pH2.10とした後、緩やか
に撹拌しながら、加熱し、溶液の温度を75℃とし、5
時間その温度を保った。
100mlの水で洗浄した後、80℃の温度で12時間
乾燥して、シュウ酸ニッケル2水和物15.9gを得
た。
ウ酸ニッケル2水和物であることが確認され、化学分析
により純度98.5%のシュウ酸ニッケル2水和物であ
ることが確認された。
とを合併し、この液に97%硫酸液45.0gと98%
酸化カルシウム144.5gとを添加した後、水浴上で
加熱して蒸発乾固せしめ、白色の固形物529gを得
た。
回転炉に移し、炉を緩やかに回転せしめながら、炉内の
温度が780℃となるように加熱し、空気を供給しなが
ら6時間その温度を保持した。冷後、回転炉より内容物
を取り出し、460gの焼成物を得た。
ロキシアパタイトと硫酸ナトリウムの混合物であること
が確認された。また、化学分析によって本焼成物は25
3gのハイドロキシアパタイトと207gの硫酸ナトリ
ウムからなる混合物であることが確認された。
gを加えて撹拌しながら50℃に加温し、2時間撹拌を
続けた後、懸濁液を濾過した。濾紙上の不溶物(ハイド
ロキシアパタイト)を200gの50℃の水で3回に分
けて洗浄し、濾液及び洗浄液は合併して、次のステップ
4の原料液とした。
00gの50℃の水で洗浄し、洗液520gを得た。
洗浄物を200℃で乾燥して、ハイドロキシアパタイト
粉末218gを得た。
ロキシアパタイトの典型的な回折図形が得られることが
確認され、化学分析によって飼料や肥料等に使用可能な
品質のリン酸三カルシウムであることが確認された。
液の合併液を水浴上で濃縮乾固し、硫酸ナトリウム粉末
169gを得た。
ナトリウムであることが確認され、化学分析によって工
業薬品に使用可能な品質の硫酸ナトリウムであることが
確認された。
無電解めっき液1.0リットルを正確に秤り取り、実施
例1のステップ1と同様の操作を行って得たニッケル除
去後の濾液と沈殿物を洗浄した洗液とを合併し、この液
に97%硫酸液45.0gと99.5%炭酸カルシウム
151.0g及び96%水酸化カルシウム79.0gと
を添加し、水浴上で加熱して蒸発乾固し、白色の固形物
545gを得た。この固形物を実施例1のステップ3と
同様に回転炉に移し、同様の操作を行って焼成物462
gを得た。
イト253gと硫酸ナトリウム209gとの混合物であ
ることが分析によって確認された。
り、これに実施例1のステップ3において得られた52
0gの洗浄液と水380gとを加え、800℃で乾燥し
てハイドロキシアパタイト粉末217gを得た。更に、
この時得られた硫酸ナトリウムを高濃度に含有する濾液
及び洗浄液について実施例1のステップと同様の操作を
行って176gの硫酸ナトリウム粉末を得た。
によって、飼料や肥料等に使用可能な品質のリン酸カル
シウム及び工業薬品に使用可能な品質の硫酸ナトリウム
であることが確認された。
Claims (1)
- 【請求項1】 水溶性ニッケル塩と、このニッケル塩の
錯化剤として配合された有機物と、次亜リン酸塩及びこ
の次亜リン酸塩が酸化することにより生成された亜リン
酸塩とを含有し、アルカリ金属イオンを多量に含む無電
解ニッケルめっき液中の有価物を回収する方法であっ
て、該めっき液にシュウ酸を添加して、上記めっき液中
のニッケルイオンをシュウ酸ニッケルとして沈殿除去
し、これを回収すると共に、ニッケルイオン除去後のめ
っき液に鉱酸と酸化カルシウム、水酸化カルシウム及び
炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム及び
有機酸カルシウムから選ばれるカルシウム化合物とを添
加した後、空気中で焼成して、上記アルカリ金属イオン
を鉱酸アルカリ金属塩に、かつ次亜リン酸塩及び亜リン
酸塩のリン分をハイドロキシアパタイトになすと共に、
上記有機物を熱分解により除去し、次いで上記硫酸アル
カリ金属塩とハイドロキシアパタイトとの混合固形物を
水に投入して鉱酸アルカリ金属塩を水に溶解することに
より、ハイドロキシアパタイトと鉱酸アルカリ金属塩と
をそれぞれ分離回収することを特徴とする有価物の回収
方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP01786094A JP3334312B2 (ja) | 1994-01-18 | 1994-01-18 | 有価物の回収方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP01786094A JP3334312B2 (ja) | 1994-01-18 | 1994-01-18 | 有価物の回収方法 |
Publications (2)
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JPH07206447A JPH07206447A (ja) | 1995-08-08 |
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ID=11955419
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---|---|---|---|
JP01786094A Expired - Fee Related JP3334312B2 (ja) | 1994-01-18 | 1994-01-18 | 有価物の回収方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3334312B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
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---|---|---|---|---|
JP3479814B2 (ja) * | 1994-07-27 | 2003-12-15 | 太平化学産業株式会社 | 有価物の回収方法 |
CN109111004A (zh) * | 2018-09-03 | 2019-01-01 | 嘉兴德达资源循环利用有限公司 | 一种化学镍废水的处置装置及方法 |
-
1994
- 1994-01-18 JP JP01786094A patent/JP3334312B2/ja not_active Expired - Fee Related
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