JP3327327B2 - 摩擦攪拌接合装置及び摩擦攪拌接合方法 - Google Patents

摩擦攪拌接合装置及び摩擦攪拌接合方法

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JP3327327B2 JP00517099A JP517099A JP3327327B2 JP 3327327 B2 JP3327327 B2 JP 3327327B2 JP 00517099 A JP00517099 A JP 00517099A JP 517099 A JP517099 A JP 517099A JP 3327327 B2 JP3327327 B2 JP 3327327B2
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    • B23K2101/045Hollow panels

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、摩擦攪拌接合装置
及びこれを用いた摩擦攪拌接合方法に関し、特に、被接
合部材の突合わせ部の上面の段差が過大なために、接合
部上部における溝状欠陥やトンネル状空洞欠陥の発生、
被接合部材裏面(製品の化粧面)の裏当金への接触不良
や裏当金の材質、形状、寸法等の不適切に起因する被接
合部材裏面(製品の化粧面)の冷却不足により、被接合
部裏面の軟化した金属材料が、母材部裏面より下方に膨
出・突出して生じる、突合わせ部に沿った連続又は断続
した畝状の表面欠陥の発生、摩擦熱発生の局部性に起因
する突合わせ部両側の被接合部材の幅方向における温度
差の発生と、これに伴う被接合部材の幅方向における被
接合部材長手方向への膨張量の差による回転ツール前進
方向前方における未接合突合わせ部の過大な目開きに起
因する接合部上部の溝状欠陥やトンネル状空洞欠陥の発
生、さらには、接合断面上部ほど塑性流動化(可塑化)
固相の生成幅が広く、従って、接合断面上部ほど温度低
下による体積収縮量が大きいことに起因して生じる接合
材の幅方向上反り変形や合捩じれ変形の発生、等の抑
制、防止が可能な摩擦攪拌接合装置及び摩擦攪拌接合方
法に関する。また、本発明は、特に、アルミニウム又は
アルミニウム合金(以下、アルミニウム系と称する)部
材の接合に好適な摩擦攪拌接合装置及び摩擦攪拌接合方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】特許公報第2712838号の第(5)
頁左欄13−18行には、図15に示すように、レシプ
ロブレード51により結合領域55を定める斜めの端面
53A、54Aを有する2つの突合わせプレート53、
54をスカーフ結合(摩擦溶接)するに際して、前記レ
シプロブレード51の進行方向(溶接方向)とは反対側
の後部に上記2つの突合わせプレート53、54を前記
結合領域55の上下から把持する一対のローラ56,5
が開示されている。しかしながら、上記一対のローラ
56、57は、上下から前記2つの突合わせプレート5
3、54を支持するのみである。
【0003】また、特開平10−52771号公報の請
求項2、請求項5、段落25〜27には、図16に示す
ように、加工物64より実質的に硬い材質からなる棒状
の回転ツール61を一対の加工物64の接合部に挿入
し、前記、回転ツール61を回転させながら移動するこ
とによって発生する前記回転ツール61と前記加工物6
4との摩擦熱による塑性流動を利用した摩擦溶接方法に
おいて、前記溶接部の終了位置に生じた回転ツール61
と略同じ断面形状の空洞部(溶接欠陥)に、前記空洞部
と同じ形状の部材69を配置し、該部材69を前記回転
ツール61の前方で回転ツール61と連動して溶接進行
方向63に移動するローラ70により前記挿入部材69
を加工部材64に押し付けて、回転ツール61の直前で
挿入部材69を固定する方法とその摩擦溶接装置が開示
されている。
【0004】上記の方法・装置におけるローラ70の作
用は、回転ツール61の直前で挿入部材69を空洞部に
固定することにあり、一対の加工物64の上面同士間の
段差を抑制・矯正するためのものではない。
【0005】また、上記公報の請求項3〜請求項5、段
落31、32には以下のように開示されている。即ち、
図17に示すように、回転ツール61の反対側、つま
り、溶接面の裏側に回転機構を備えた加工物64の支持
治具(ローラ)75を配置し、固定台76に固定された
加工物64が回転ツール61の荷重によって変形しない
ように、回転ツール61の反対側で加工物を支持する。
該支持治具(ローラ)75は回転機構を備えることによ
り、加工物との摩擦抵抗が少なく、稼働できることが開
示されている。また、該支持治具(ローラ)75には、
回転ツール61の矢印63で示す溶接方向への移動に連
動して、矢印77方向に回転しながら、矢印78方向即
ち溶接方向に移動する。さらに、支持治具(ローラ)7
5は加工物64の上下方向または左右方向の変形に追従
して、上下方向79及び左右方向80に自動的に移動で
きる機構も備わっている。
【0006】さらに、特開平10−52773号公報に
は、車両のような長尺でかつ大型の構造物を安定に固定
して摩擦攪拌接合するため、図18に示すように、回転
ツール91の近くで、回転ツール91(即ち、接合部9
3)の両側方、前方両側方、後方両側方等に、支持台9
6に支持された加工物92、92を上方から固定するロ
ーラ97、97と、その反対側(加工物92、92を挟
んだ下方)と、前記回転ツール91と加工物92、92
を挟んだ反対側に、ローラ98、98、98を配置し、
加工物92、92を支持するとともに、この3者を同期
して移動させ、摩擦溶接を行う鉄道車両構体の製作方法
及び装置が開示されている。
【0007】上記の方法・装置における上方ローラ9
7、97とその反対側ローラ98、98、98の作用
は、前記支持台96による支持だけでは、加工物92、
92が回転ツール91の荷重により変形し安定した溶接
ができないので、この変形を防止することにある。
【0008】また、加工物92、92の突合わせ面の回
転ツール91の前方の未溶接部における目開き防止力
は、前記図18に示された特開平10−52773号公
報に開示の技術においては、回転ツール91の溶接方向
前方側の前記支持台96による加工物92、92の側端
面92ss、92ssに対する水平方向の拘束力と、同じく
回転ツール91の溶接方向前方側の上部ローラ97、9
7および下部ローラ98、98の各々と加工物92、9
2の上面と下面の各々の間に作用する摩擦力による幅方
向への拘束力であり、他に特別の目開き防止手段は採用
されていない。また、他の特別の目開き防止手段を開示
した先行技術文献は見当たらない。
【0009】一方、アルミニウム系材料の従来の溶接方
法として、TIG溶接法やMIG溶接法等の溶融溶接法
が用いられてきたが、これらの溶融溶接法は、水素等の
溶解ガスに起因するポロシティ等の溶接欠陥が多く発生
し問題となるばかりでなく、溶接熱が溶接ビード部に局
部的に発生し、被溶接部材の溶接ビードに直交する幅方
向の温度勾配が非常に大きく、この温度勾配に起因して
幅方向における被溶接部材の長手方向への膨張量の差が
大きく、また、この膨張量は当然相対的に高温の突合わ
せ部に近いほど大きくなる。このため未溶接部において
突合わせ部の目開きが発生するため、被溶接部材の幅方
向両側端面を大きな力で、幅方向に加圧して拘束する。
場合によっては、予め突合わせ部の溶接終端部を溶接し
たり、溶接終端側に左右被溶接部材に跨がる拘束材を溶
接して固定したり、左右各々の被溶接部材の溶接終端突
合わせ部近傍に被クランプ部材を溶接固定しておき、左
右の被クランプ部材を油圧力等を利用したクランプ装置
によりクランプして、前記のような目開きの防止を図っ
ていた。
【0010】また、片面突合わせ溶融溶接の場合、溶融
溶接ビードは上面に近いほど幅広に形成され、従って、
溶融部の再凝固に伴う収縮量や、上記のような目開き防
止のために被溶接部材の幅方向両側端面に作用する大き
な拘束力による溶接ビードの収縮量は、上面に近いほど
大きくなる。従って、被接合部材を上下方向に拘束して
いない場合は、溶接作業中に突合わせ部を中心としてそ
の幅方向両側が上方に反る幅方向上反り変形が顕在化す
るし、被接合部材を上下方向に拘束している場合は、溶
接中に上面側に引張り残留応力が蓄積され、溶接終了後
に上下方向や幅方向の拘束を解くと、前記の残留応力に
よる幅方向上反り変形や、これに長手方向の残留応力が
複合して、複雑な捩じれ変形が発生する。
【0011】上述のように、溶融溶接においては、突合
わせ部の目開き防止対策、幅方向や長手方向への反り変
形、捻じれ変形等の防止対策として、また、被接合部材
を安定的に固定し、安定した確実な溶接を行う上での必
要性から、左右幅方向の拘束、上下方向の拘束、溶接終
端突合わせ部(開先)の幅方向への拘束等かなり強固な
拘束が必要で、このために余分な作業工程や大型の拘束
装置を必要としていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】(1)通常の加工物即
ち被接合部材は、前工程の成形工程で多少変形している
ことが普通であり、この変形を摩擦攪拌接合前に矯正し
て除去しておくには工程の増加とコストの増加を伴い、
一般的に行われない。従って、押し出し形材の面板を含
む一対の板状部材を突き合わせたり、一対の中空押し出
し形材の幅方向端部のリブの外面同士および該リブの上
下の端部に一体に連結・ 形成されている上下の面板の幅
方向端部同士を突き合わせたりする場合に、該突合わせ
部における前記一対の板状部材の板厚や一対の中空形材
の高さに平均的には差がない場合でも、これらの加工物
92、92の前工程における変形及び摩擦攪拌接合中に
生じる熱変形等によって突合わせ部における加工物上面
同士及び下面同士の間の各々に多少の段差が生じること
は避けられない。又、通常の加工物即ち被接合部材の前
記一対の板状部材の突合わせ部の厚みや一対の中空形材
のリブ外面同士及び上下面板端部同士の突合わせ部にお
ける高さにはある程度のばらつきがあり、仮に上記の様
な変形がない場合でも、下面を同一レベルにそろえた場
合に上面同士の間に前記の厚さや高さのばらつきに起因
する段差が生じる。実際には、前記の変形と板厚のばら
つきまたは中空形材突合わせ部の高さのばらつきとが複
合して、一対の被接合部材の上面同士及び/又は下面同
士の間にある程度の段差が生じることは避け難い。これ
らの段差がある限度を超えて過大になった場合には以下
のような問題が発生する。(a)上面同士の段差が、回
転ツールの回転方向及び両上面のうちのレベルの高い方
の上面からの回転ツールの凹面の底面の最下端稜線(以
後、回転ツールの肩と称する)の押し込み深さとの関わ
りから決まるある限度を超えて過大になると、接合部上
面に塑性流動化( 可塑化) 固相金属の量の不足に起因し
て、図21に示すように、接合部2b の上部に溝状欠陥
dg やトンネル状空洞欠陥dtvが発生し、接合強度が不
足して問題となる。 (b)押出形材の面板を含む一対の板状部材の突合わせ
部の下面同士の段差が所定の限度を超えると、加工物
(被接合部材)の下面の裏当金への接触が不十分とな
り、突合わせ部の加工物(被接合部材)の下面の冷却効
果が小さくなる。そのため、摩擦攪拌接合中の加工物
(被接合部材)の突合わせ部下面周辺の温度が必要以上
に高くなり、突合わせ部近傍の加工物(被接合部材)が
軟化して、図19に示すように、回転ツールの荷重(加
圧力)によって周辺母材部より下方へ膨出し、一定限度
以上の膨出高さ(例えば、50μm超え)になった場合
は、突合わせ部に沿って連続又は断続した畝状欠陥が生
じ、加工物(被接合部材)の下面を装飾面とするような
製品の場合には研削・研磨により除去する必要が生じ
て、工程増によるコストアップの原因となる。又、場合
により、スクラップ化あるいは格落ちの原因となり、経
済的損失が大きい。
【0013】(2)前記図18に示したように、加工物
92、92が板材の場合には、問題にならないが、図2
0に示すように、一対の中空形材1ha、1hbのリブ1r
a、1rbの外面同士を突き合わせて、突合わせ面93を
形成し、該突合わせ面を上部から回転ツール91により
摩擦攪拌接合しようとする場合に、回転ツール91の両
側の上部ローラ97、97と下部ローラ98、98とで
前記一対の中空形材1ha、1hbを支持すると、回転ツー
ル91の外径とリブ1ra、1rbの合計厚みとの関係上、
上部ローラ97、97が一対の中空形材1ha、1hbの上
部板材部1pua 、1pubの上面を、下部ローラ98、9
8が下部板材部1pla 、1plb の下面を、各々加圧支持
することになり、リブ1ra、1rb近辺の前記上部板材部
1pua 、1pubと、下部板材部1pla、1plbを、それぞ
れ、中空形材1ha、1hbの内部空間側に押込み変形を生
じさせる恐れがある。上部ローラ97、97と下部ロー
ラ98、98の加圧力が過大な場合は、前記突合わせ面
93の上下端の目開きを生じる可能性があり、過大な目
開きの発生は、接合欠陥の発生につながる恐れがある。
【0014】前記図17を参照して説明した特開平10
−52771号公報に開示の技術のようにローラで回転
ツール(回転ツール)の直下の加工物(被接合部材)の
突合わせ部の裏当てをする場合には、以下のような問題
点が考えられる。即ち、 (1)ローラの外周面と加工物の下面との接触は、線接
触となり、接触面積が非常に小さいため、熱伝達抵抗が
非常に大きく、例え、ローラを中空構造として内面を冷
却したりしても、加工物(被接合部材)の下面の冷却効
果が小さい。そのため、摩擦攪拌接合中の加工物(被接
合部材)の突合わせ部下面周辺の温度が必要以上に高く
なり、突合わせ部近傍の加工物(被接合部材)が軟化し
て、回転ツールの荷重(加圧力)によって周辺母材部よ
り下方へ膨出し、一定限度以上の膨出高さ(例えば、5
0μ超え)になった場合は、加工物(被接合部材)の下
面を装飾面とするような製品の場合には、突合わせ部に
沿って連続又は断続した畝状の表面欠陥としてスクラッ
プ化あるいは格落ちの原因となり、経済的損失が大き
い。 (2)回転ツールの前進に同期してローラを前進させた
り、加工物の変形に追従して上下動させる必要があり、
計測・制御装置を含めて装置が複雑となり、装置コスト
及び保守コストの増大を招く。
【0015】前記図18に示された特開平10−527
73号公報に開示の技術における加工物92、92の突
合わせ部の回転ツール91の溶接方向前方の未接合部に
おける前記の目開き防止構造においては、前記支持台9
6による加工物92、92の側端面92ss、92ssに対
する水平方向の拘束力は、支持台96から加工物92、
92の側端面92ss、92ssに作用する加圧・付勢力を
発生させる加圧・付勢手段がなく、実質的な拘束力はな
いに等しい。また、同じく回転ツール91の溶接方向前
方側の上部ローラ97、97および下部ローラ98、9
8と加工物92、92の各々の表面との間の摩擦力によ
る幅方向への拘束力もあまり期待できない。
【0016】しかしながら、摩擦攪拌接合においては、
前記した溶融溶接における程大きくはないものの、摩擦
熱発生の局部性に起因する突合わせ部両側の被接合部材
の幅方向における温度差の発生と、これに伴う被接合部
材の幅方向における被接合部材長手方向への膨張量の差
による回転ツール前進方向前方における未接合突合わせ
部の目開きが生じ易く、特に被接合部材が長尺の場合は
この目開きが大きくなる。過大な目開きが生じた場合に
は、塑性流動化(可塑化)固相金属量の発生量が、目開
きした突合わせ部の隙間を埋めるのに不足をきたし、図
21に示すように、接合部2b の上部に溝状欠陥dg や
トンネル状空洞欠陥dtvが発生するという問題に繋が
る。
【0017】さらに、摩擦攪拌接合における接合部は、
溶融溶接の場合と異なり塑性流動化固相であって、温度
低下にともなう体積収縮量は溶融溶接の液相の凝固にと
もなう収縮量程大きくはないものの、溶融溶接と同様に
程度の差はあれ上面に近いほど幅広に形成される。従っ
て、溶融溶接の場合と同様、接合中の接合部の上面に近
いほど幅方向の収縮量は大きくなり、上下方向の拘束が
全くないと、接合中の幅方向上反りが顕在化するし、上
下方向の拘束があると引張り残留応力が蓄積して、接合
終了後の拘束の開放とともに、幅方向上反りが顕在化し
たり、長手方向の残留応力と複合して複雑な捩じれ変形
を生じることがある。
【0018】また、前記のような突合わせ部目開きの防
止と、接合中の被接合部材の安定的固定による安定した
接合を行うには、幅方向、上下方向ともに、ある程度の
拘束が必要であり、このような拘束力の適正化ととも
に、上記の様な幅方向上反り変形や複合捩じれ変形防止
のために、何らかの対応策が必要であった。
【0019】本発明は、上記従来技術の問題点を解消
し、 (1)被接合部材の突合わせ部の上面同士間の過大な段
差に起因する接合部上部における溝状欠陥やトンネル状
空洞欠陥の発生と、これによる接合強度の不足の防止が
可能で、又、製品の化粧面に相当する被接合部材裏面の
裏当金への接触不良や裏当金の材質、形状、寸法等の不
適切に起因する被接合部材裏面の冷却不足により、被接
合部裏面の軟化した金属材料が、母材部裏面より下方に
膨出・突出し、被突合わせ部に沿って連続又は断続した
畝状欠陥が発生することを防止することが可能であり、
又、中空形材のリブ同士を突き合わせて突合わせ部上部
を摩擦攪拌接合する場合に、前記特開平10−5277
3号公報に記載の発明における固定治具(ロ−ラ)によ
る固定のように、突合わせ部のリブの外側の板材部をロ
−ラで中空部内部側に変形させるようなこともない、摩
擦攪拌接合装置及び摩擦攪拌接合方法の提供を第1の課
題とする。また、 (2)摩擦熱発生の局部性に起因する突合わせ部両側の
被接合部材の幅方向における温度差の発生と、これに伴
う被接合部材の幅方向における被接合部材長手方向への
膨張量の差による回転ツール前進方向前方における未接
合突合わせ部の過大な目開きの発生と、これに起因する
接合ビード上部の溝状欠陥やトンネル状空洞欠陥の発生
とこれらに伴う接合強度の不足を防止でき、又、接合中
の被接合部材の幅方向や上下方向の拘束力を適正化し
て、被接合材の安定的固定と接合を保証しつつ、残留応
力の過大な蓄積を避けるとともに、接合後の上記拘束の
開放にともなう、被接合部材の幅方向反り変形や、複雑
な捩じれ変形の発生を抑制、防止することのできる、摩
擦攪拌接合装置及び摩擦攪拌接合方法の提供を第2の課
題とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明装置は、 凹面の底
面と該底面中央部から下方に突出する攪拌ピンを備えた
回転ツールの、前記攪拌ピンを回転させながら裏面を裏
当金で支持された被接合部材の突合わせ部の中に押し込
み、前記凹面の底面を前記被接合部材の上面に押し付け
ながら、前記回転ツールの回転軸を被接合部材の上面に
垂直な線に対して上方を回転ツールの前進方向とは反対
方向に所定の角度だけ傾斜せしめた状態で、前記回転ツ
ールを前記突合わせ部に沿って移動させることにより、
前記被接合部材を摩擦熱により固相接合する摩擦攪拌接
合装置であって、 前記回転ツールの前進方向側の回転ツ
ール近傍の前記突合わせ部を中心とした両被接合部材端
部上面を加圧する加圧ローラを備え、 前記被接合部材の
突合わせ部が押出形材の面板を含む板厚の等しい一対の
板部材の突合わせ部である場合に、該突合わせ部の接合
中において被接合部材裏面が密着した前記裏当金上面の
最高温度が50〜200℃となるように、該裏当金の材
質、形状、寸法を予め選択されているか、及び/又は、
該裏当金の内部及び/又は裏面及び/又は該裏当金の支
持台の内部に形成された流通経路を流通する冷媒により
該裏当金を冷却する冷却手段を備えたことを特徴とす
る。
【0021】上記本発明装置は、 前記加圧ローラの支持
手段に、前記加圧ローラの上下方向位置の調整手段及び
/又は前記加圧ローラによる前記被接合部材上面の加圧
力を調整可能な加圧・付勢手段を具備することが望まし
い。
【0022】上記本発明装置は、 前記被接合部材の突合
わせ部が押出形材の面板を含む板厚の等しい一対の板部
材の突合わせ部である場合に、前記加圧ローラによる被
接合部材上面部の加圧力が、100〜500kgfである
ことが望ましい。
【0023】本発明装置は、 凹面の底面と該底面中央部
から下方に突出する攪拌ピンを備えた回転ツールの、前
記攪拌ピンを回転させながら裏面を裏当金で支持された
被接合部材の突合わせ部の中に押し込み、前記凹面の底
面を前記被接合部材の上面に押し付けながら、前記回転
ツールの回転軸を被接合部材の上面に垂直な線に対して
上方を回転ツールの前進方向とは反対方向に所定の角度
だけ傾斜せしめた状態で、前記回転ツールを前記突合わ
せ部に沿って移動させることにより、前記被接合部材を
摩擦熱により固相接合する摩擦攪拌接合装置であって、
前記被接合部材を予測される熱歪みに対して反対方向に
略同等の歪みを生じせしめる力と略同等の力で上下方向
から拘束する上下方向拘束手段と、 前記被接合部材を幅
方向における長さ方向熱膨張差による突合せ部の目開き
を少なくとも半減できるに足る力で幅方向から拘束する
幅方向拘束手段、及び/又は、突合わせ部を中心とする
両被接合部材の上面又は上下両面を強制的に空気冷却す
る空気冷却手段と、を備えたことを特徴とする。
【0024】上記本発明装置は、 凹面の底面と該底面中
央部から下方に突出する攪拌ピンを備えた回転ツール
の、前記攪拌ピンを回転させながら裏面を裏当金で支持
された被接合部材の突合わせ部の中に押し込み、前記凹
面の底面を前記被接合部材の上面に押し付けながら、前
記回転ツールの回転軸を被接合部材の上面に垂直な線に
対して上方を回転ツールの前進方向とは反対方向に所定
の角度だけ傾斜せしめた状態で、前記回転ツールを前記
突合わせ部に沿って移動させることにより、前記被接合
部材を摩擦熱により固相接合する摩擦攪拌接合装置であ
って、 前記被接合部材を上下方向から拘束する上下方向
拘束手段と、 幅方向から拘束する幅方向拘束手段、及び
/又は、突合わせ部を中心とする両被接合部材の上面又
は上下両面を強制的に空気冷却する空気冷却手段と、を
備えることが望ましい。
【0025】上記本発明装置は、 被接合部材の支持・固
定テーブルを、 前記裏当金の支持部と、該裏当金支持部
を挟んだ左右両側方部に分割して形成するとともに、
記左右両側方部の上面が前記裏当金の上面を含む水平面
に対して、所定の俯角度だけ傾斜・水平復帰自在に設け
ることが望ましい。
【0026】上記本発明装置は、 前記被接合部材の材質
がアルミニウム又はアルミニウム合金であることが望ま
しい。
【0027】上記本発明装置は、 前記上下方向拘束手段
の拘束圧力が被接合部材平面積当たり0.1〜5MPa
に、前記幅方向拘束手段の拘束圧力が突き合わせ部の単
位長さ当たり及び単位板厚当たり(以後、単位端面積当
たりと称する)0.02〜0.6KN/mm 2 に各々調
整可能であり、 前記空気冷却手段が、前記被接合部材の
接合中の、前記突合わせ部から幅方向へ30mm離れた上
面最高温度と室温との差が75〜50℃の範囲に入り、
かつ、前記突合わせ部から幅方向へ100mm離れた上面
最高温度と室温との差が15〜20℃及び/又は前記突
合わせ部から幅方向へ200mm離れた上面最高温度と室
温との差が2〜6℃に、空気冷却が可能なものである、
ことが望ましい。
【0028】本発明装置は、 凹面の底面と該底面中央部
から下方に突出する攪拌ピンを備えた回転ツールの、前
記攪拌ピンを回転させながら裏面を裏当金で支持された
被接合部材の突合わせ部の中に押し込み、前記凹面の底
面を前記被接合部材の上面に押し付けながら、前記回転
ツールの回転軸を被接合部材の上面に垂直な線に対して
上方を回転ツールの前進方向とは反対方向に所定の角度
だけ傾斜せしめた状態で、前記回転ツ ールを前記突合わ
せ部に沿って移動させることにより、前記被接合部材を
摩擦熱により固相接合する摩擦攪拌接合装置であって、
前記回転ツールの前進方向側の回転ツール近傍の前記突
合わせ部を中心とした両被接合部材端部上面を加圧する
加圧ローラを備え、 前記被接合部材の材質がアルミニウ
ム又はアルミニウム合金であり、 前記上下方向拘束手段
の拘束圧力が被接合部材平面積当たり0.1〜5MPa
に、前記幅方向拘束手段の拘束圧力が突き合わせ部の単
位長さ当たり及び単位板厚当たり(以後、単位端面積当
たりと称する)0.02〜0.6KN/mm 2 に各々調
整可能であり、 前記空気冷却手段が、前記被接合部材の
接合中の、前記突合わせ部から幅方向へ30mm離れた上
面最高温度と室温との差が75〜50℃の範囲に入り、
かつ、前記突合わせ部から幅方向へ100mm離れた上面
最高温度と室温との差が15〜20℃及び/又は前記突
合わせ部から幅方向へ200mm離れた上面最高温度と室
温との差が2〜6℃に、空気冷却が可能なものである、
ことを特徴とする。
【0029】上記本発明装置において、 前記加圧ローラ
の支持手段に、前記加圧ローラの上下方向位置の調整手
段及び/又は前記加圧ロ−ラによる前記被接合部材上面
の加圧力を調整可能な加圧・付勢手段を具備することが
望ましい。
【0030】本発明方法は、 凹面の底面と該底面中央部
から下方に突出する攪拌ピンを備えた回転ツールの、前
記攪拌ピンを回転させながら裏面を裏当金で支持された
被接合部材の突合わせ部の中に押し込み、前記凹面の底
面を前記被接合部材の上面に押し付けながら、前記回転
ツールの回転軸を被接合部材の上面に垂直な線に対して
上方を回転ツールの前進方向とは反対方向に所定の角度
だけ傾斜せしめた状態で、該回転ツールを前記突合わせ
部に沿って移動させることにより、前記被接合部材を摩
擦熱により固相接合する摩擦攪拌接合方法において、
記回転ツールの前進方向側の回転ツール近傍の前記突合
わせ部を中心とした両被接合部材端部上面を加圧ローラ
で加圧しながら接合し、 前記回転ツールの上方から見た
回転方向が、時計の針と反対方向の場合には、前記回転
ツールの前進方向の左側の被接合部材の突合わせ部上面
を基準面に、時計の針と同方向の場合には、前記回転ツ
ールの前進方向の右側の被接合部材の突合わせ部上面を
基準面に、各々定め、前記基準面より上方を正の位置と
した場合に、下記式1又は式2で定義される突合わせ部
における両被接合部材端部上面間の修正段差Δc(mm)
が、+ 0.5〜−0.1mmの範囲に入るように、前記加
圧ローラにより加圧しながら接合することを特徴とす
(1)基準面の位置が非基準面の位置以下の場合: Δc =Δa −dps ………………式1 (2)基準面の位置が非基準面の位置以上の場合: Δc =Δa +dps ………………式2 ここで、 Δa :基準面より上の位置を正として表した基準面と非
基準面と の間の実際の段差(mm) dps:相対的に高い方の上面からの回転ツールの肩の後
端の押し 込み深さ(mm)
【0031】また、上記本発明方法は、 前記被接合部材
の突合わせ部が押出形材の面板を含む板厚の等しい一対
の板部材の突合わせ部である場合に、前記加圧ローラに
よる被接合部材の突合わせ部上面への加圧力が100〜
500kgfであることが望ましい。
【0032】本発明方法は、 凹面の底面と該底面中央部
から下方に突出する攪拌ピンを備えた回転ツールの、前
記攪拌ピンを回転させながら裏面を裏当金で支持された
被接合部材の突合わせ部の中に押し込み、前記凹面の底
面を前記被接合部材の上面に押し付けながら、前記回転
ツールの回転軸を被接合部材の上面に垂直な線に対して
上方を回転ツ ールの前進方向とは反対方向に所定の角度
だけ傾斜せしめた状態で、該回転ツールを前記突合わせ
部に沿って移動させることにより、前記被接合部材を摩
擦熱により固相接合する摩擦攪拌接合方法において、
記回転ツールの前進方向側の回転ツール近傍の前記突合
わせ部を中心とした両被接合部材端部上面を加圧ローラ
で加圧しながら接合し、 前記被接合部材の突合わせ部が
押出形材の面板を含む板厚の等しい一対の板部材の突合
わせ部であって、該突合わせ部の接合中において被接合
部材裏面が密着した前記裏当金上面の最高温度が50〜
200℃となるように、該裏当金の材質、形状、寸法を
予め選択しておくか、及び/又は、該裏当金の内部及び
/又は裏面及び/又は該裏当金の支持台の内部に形成さ
れた流通経路を流通する冷媒により該裏当金を冷却しつ
つ、接合することを特徴とする。
【0033】上記本発明方法において、 前記被接合部材
の突合わせ部が押出形材の面板を含む板厚の等しい一対
の板部材の突合わせ部である場合に、前記加圧ローラに
よる被接合部材の突合わせ部上面への加圧力が100〜
500kgfであることが望ましい。
【0034】上記本発明方法において、 前記被接合部材
の突合わせ部が押出形材の面板を含む板厚の等しい一対
の板部材の突合わせ部であって、該突合わせ部の接合中
において被接合部材裏面が密着した前記裏当金上面の最
高温度が50〜200℃となるように、該裏当金の材
質、形状、寸法を予め選択しておくか、及び/又は、該
裏当金の内部及び/又は裏面及び/又は該裏当金の支持
台の内部に形成された流通経路を流通する冷媒により該
裏当金を冷却しつつ、接合することが望ましい。
【0035】本発明方法は、 凹面の底面と該底面中央部
から下方に突出する攪拌ピンを備えた回転ツールの、前
記攪拌ピンを回転させながら裏面を裏当金で支持された
被接合部材の突合わせ部の中に押し込み、前記凹面の底
面を前記被接合部材の上面に押し付けながら 、前記回転
ツールの回転軸を被接合部材の上面に垂直な線に対して
上方を回転ツールの前進方向とは反対方向に所定の角度
だけ傾斜せしめた状態で、該回転ツールを前記突合わせ
部に沿って移動させることにより、前記被接合部材を摩
擦熱により固相接合する摩擦攪拌接合方法において、
記回転ツールの前進方向側の回転ツール近傍の前記突合
わせ部を中心とした両被接合部材端部上面を加圧ローラ
で加圧しながら接合し、 前記被接合部材の突合わせ部が
押出形材の面板を含む板厚の等しい一対の板部材の突合
わせ部であって、該被接合部材を上記支持・固定テーブ
ルで支持 固定して該突合わせ部を接合するに際して、
前記裏当金支持部を挟んだ左右両側方部を、前記裏当金
上面を含む水平面に対して、所定の俯角度だけそれぞれ
の幅方向端部が低くなるように傾斜せしめた状態で接合
することを特徴とする。
【0036】上記本発明方法は、 前記被接合部材の突合
わせ部が押出形材の面板を含む板厚の等しい一対の板部
材の突合わせ部であって、該被接合部材を支持・固定テ
ーブルで支持 固定して該突合わせ部を接合するに際し
て、 前記裏当金支持部を挟んだ左右両側方部を、前記裏
当金上面を含む水平面に対して、所定の俯角度だけそれ
ぞれの幅方向端部が低くなるように傾斜せしめた状態で
接合することが望ましい。
【0037】上記本発明方法は、前記被接合部材の材質
がアルミニウム又はアルミニウム合金であることが望ま
しい。
【0038】上記本発明方法は、 凹面の底面と該底面中
央部から下方に突出する攪拌ピンを備えた回転ツール
の、前記攪拌ピンを回転させながら裏面を裏当金で支持
された被接合部材の突合わせ部の中に押し込み、前記凹
面の底面を前記被接合部材の上面に押し付けながら、前
記回転ツールの回転軸を被接合部材の上面に垂直な線に
対して上方を回転ツ ールの前進方向とは反対方向に所定
の角度だけ傾斜せしめた状態で、前記回転ツールを前記
突合わせ部に沿って移動させることにより、前記被接合
部材を摩擦熱により固相接合する摩擦攪拌接合方法にお
いて、 前記被接合部材の単位平面積当りの上下方向の拘
束圧力を0.1〜1MPaに、突合せ部の単位端面積当
たりの幅方向の拘束圧力を0.02〜0.6KN/mm 2
に各々調整し、 前記被接合部材の接合中の、前記突合わ
せ部から幅方向へ略30mm離れた上面最高温度と室温と
の差が50〜75℃の範囲に入り、かつ、前記突合わせ
部から幅方向へ略100mm離れた上面最高温度と室温と
の差が15〜20℃となるように及び/又は前記突合わ
せ部から幅方向へ略200mm離れた上面最高温度と室温
との差が2〜6℃となるように、突合わせ部を中心とす
る両被接合部材の上面又は上下両面を強制的に空気冷却
しつつ接合することが望ましい。
【0039】
【発明の実施の形態】本発明の摩擦攪拌接合装置の実施
の形態について、図面を参照しつつ、以下に説明する。
【0040】本発明の摩擦攪拌接合装置の実施の形態
は、正面図である図1(a)、(a)のA−A線矢視側
面図である(b)に示すように、凹面の底面7bsと該底
面中央部から下方に突出する攪拌ピン7spを備えた回転
ツール7の、前記攪拌ピン7spを回転させながら裏面S
f を裏当金3の上面で支持された一対のアルミニウム又
はアルミニウム合金(以後、アルミニウム系と称する)
押出形材からなる被接合部材1a 、1bの各々の板部材
1ap、1bpの先端面同士を突き合わせて形成した突合わ
せ部2の中に押し込み、前記凹面の底面7bsを前記被接
合部材1a 、1bの上面に押し付けながら、前記回転ツ
ール7の回転軸7raを被接合部材1a 、1bの各々の板
部材1ap、1bpの上面に垂直な線V−Vに対して上方が
回転ツールの前進方向とは反対方向に所定の角度だけ傾
斜せしめた状態で、前記回転ツール7を前記突合わせ部
2に沿って矢印イで示す方向に移動させることにより、
前記被接合部材1a 、1bを摩擦熱により固相接合する
摩擦攪拌接合装置を、前記回転ツール7の前記矢印イで
示した前進方向側の回転ツール7近傍の該回転ツール7
の回転軸7raから所定の距離L(mm)離れた位置の前記突
合わせ部2を中心とした両被接合部材1a 、1bの端部
上面を加圧する加圧ローラ8を備えるように、基本的に
構成している。
【0041】上記の加圧ロ−ラ8の材質、形状、寸法、
配置等の実施の形態について以下に説明する。加圧ロ−
ラの材質は、例えば、図1に示すように、加圧ローラの
当接面が被接合部材の製品化時に非化粧面になるような
場合は、ローラの磨耗や被接合部材の突合わせ部エッジ
等による表面損傷を防ぐため、鋼等の被接合部材の材質
よりも硬質の金属材料がよい。しかし、加圧ローラの当
接面が被接合部材接合後の製品化時に化粧面になる場合
は、該化粧面に疵をつけないようにするために、被接合
部材と同等の硬度かもしくはやや軟質の金属材料が加圧
ローラの材質として好ましい。
【0042】加圧ロ−ラ8の形状は、例えば正面図であ
る図2(a)〜(e)に示すように、以下に説明する数
種類のものが使用される。
【0043】(a)に示される加圧ロ−ラ81は、車の
タイヤのように、外周面8osを断面が凸形円弧状に形成
したもので、通常このタイプのものが使用される。この
形状のものは、突合わせ部3と加圧ロ−ラ 1 の幅方向
中心を正確に位置合わせすることにより、突合わせ部3
の直上の被接合部材エッジ部に最大の加圧力が作用し、
両被接合部上面エッジ部の段差の矯正力が大きくなるよ
うにしたものである。
【0044】(b)に示される加圧ロ−ラ82は、通常
の円柱状(円筒状)ロ−ラの外周面8osの幅方向中心部
に所定の幅wg の円弧型溝8g を刻設したもので、上記
(a)に示したものと異なり、突合わせ部3の直上の被
接合部材エッジ部よりやや幅方向外側に加圧力が作用す
るようにしたものである。これにより、加圧されている
部分と回転ツール7とを近接させることができ、又、加
圧ローラ 2 の幅方向中心が、突き合わせ部3と多少幅
方向に位置ずれしても、左右の接合部材を均等に加圧で
きる。
【0045】(c)に示される加圧ロ−ラ83は、上記
(b)に示されるた加圧ロ−ラ82の中心に公知の球面
軸受け(図示せず)を設け、この球面軸受けを前記ロ−
ラ回転軸8a を貫通させることにより、加圧ロ−ラ 3
をその幅方向に回動自在に形成したもので、若干の厚み
差のある被接合部材を接合するときに用いられる。これ
により、左右の被接合部材を均等に加圧することができ
る。又、左右の板厚にかなりの差があっても左右の被接
合部材を略均等に加圧することができる。
【0046】(d)に示される加圧ロ−ラ84は、上記
(c)に示された加圧ロ−ラ83と同じように、若干の
厚み差のある被接合部材を接合するときに用いられるも
ので、前記(b)に示された加圧ロ−ラ82の溝8g を
挟んだ左右の外径D8l、D8rに前記厚み差に対応して決
められる所定の外径差を持たせたものである。
【0047】(e)に示される加圧ロ−ラ85は、前記
上記(b)に示された加圧ロ−ラ 2 の溝8g を挟んだ
左右の外周面に、該加圧ロ−ラ 5 の前進・正転方向に
対して、前記溝8g を挟んだハの字形となるように左右
対称する溝または突起からなるローレット目8knを設け
たものである。この加圧ロ−ラ 5 は、前記ローレット
目8knにより、左右の被接合部材上面に突合わせ部方向
へ向かう被接合部材上面との回転摩擦分力(矢印l、
r)を作用させ、回転ツール7の前方の突合わせ部にお
ける目開きの防止・抑制あるいは縮小作用を持たせたも
のである。
【0048】加圧ロ−ラ8の全幅W8(mm) は、下記の理
由からあまり広いものは好ましくはなく、回転ツール7
の外径や裏当金3の幅以下で前記溝8g の幅Wgの3倍
程度が望ましい、回転ツールの外径 8 (mm)の略同等の
幅とすればよい。 (1)図1(a)に示すように、ウエブ1Wやフランジ
1f等を備えた押出形材等を前記ウエブ1Wやフランジ
1fの配置側から摩擦攪拌接合するような場合に、回転
ツール7の外径や加圧ローラ8を回転軸8a を介して下
端に保持する押付け軸10の下端部幅(回転軸8a の長
さ)は当然両側のフランジ1f 、1f と干渉するような
寸法であってはならない。 (2)加圧ロ−ラ8の全幅W8(mm) があまり広いと、加
圧ロ−ラの外周面と被接合部材の上面との接触幅が広く
なり、全加圧力(kgf) を一定とすると単位幅当たりの加
圧力(kgf/mm)が小さくなり被接合部材の上面の突合わせ
部端部付近の段差矯正力が小さくなる。これを補うため
に、全加圧力(kgf) を大きくすると加圧ロ−ラ支持機構
や主軸ヘッドの剛性を大きくしなければならず、汎用の
数値制御加工機を利用した摩擦攪拌接合装置では剛性が
不足し、汎用の数値制御加工機の主軸ユニットの移動と
同期して移動する加圧ローラ装置を搭載した門型台車を
追加したり、あるいは、高価な専用の摩擦攪拌接合装置
が必要となり、設備コストが非常に高いものになる。
【0049】前記回転軸7raと加圧ロ−ラ8の中心軸と
の距離L78(mm)は、加圧ロ−ラ8が工具チャック6と干
渉しない範囲でできるだけ小さな方が、回転ツール8の
前進方向前方の直近の未接合部における被接合部材上面
の段差を小さくするという加圧ロ−ラ8設置の目的から
考えて好ましい。従って、加圧ロ−ラ8の外径D8(mm)
をある限度を超えて大きくすると、その外周面が前記工
具チャック6の下端部と干渉するようになり、その結果
前記距離L78(mm)が大きくなる。従って、加圧ロ−ラ
8の外径D8は、目標とする加圧力(kgf) の大きさを考
慮して、前記押付け軸10の先端部、回転軸8a 等が必
要な剛性を確保可能な範囲内で小さくすればよく、例え
ば、回転ツール7の外径程度とすればよい。
【0050】上記のように構成された本発明の摩擦攪拌
接合装置の実施の形態は、以下のような作用・ 効果が期
待できる。
【0051】(1)一対の被接合部材1a 、1b の突合
わせ部2の上端部の両被接合部材のエッジ(端縁)もし
くは、突合わせ部2の直上を除いて突合わせ部2の両側
の前記回転ツール7の外径と同程度の幅の範囲の両被接
合部材の上面を、回転ツール7の前進方向(矢印イ)の
前方直近において、加圧ロ−ラ8により局部的・集中的
に加圧するので、前記一対の被接合部材1a 、1b の突
合わせ部2における上・下面の段差を効果的に低減す
る。この結果、被接合部材1a 、1b の突合わせ部2に
おける下面と裏当金3の上面との接触がよくなり、裏当
金によって下面が効果的に冷却されその強度が高くなる
ので、回転ツール7の下方への押し付け荷重等によっ
て、軟化した高温の下面部が周辺の母材部レベルより下
方へ膨出・突出して、図19に示すような製品において
は化粧面とされる下面の畝状欠陥が生じにくくなる。
又、仮に生じても、その高さは50μm 以下に抑制され
る。その結果、畝状の欠陥の研削・研磨による除去工程
が不要になり、製品の格落ち率が低下するので、製品コ
ストの低下と製品表面品質の向上につながる。
【0052】(2)前記図1の場合のように、押出形材
1a,1bの各々の面板1ap,1bpのような一対の
板部材同士を突き合わせ接合する場合においても、図3
の場合のように、一対の中空形材1ha、1hb の各々のリ
ブ1ra、1rbの外面同士を突き合わせて突合わせ部2を
形成し、該突合わせ部2の上面から摩擦攪拌接合する場
合においても、前記板部材の変形や変形と厚みのばらつ
きによる上面段差や、前記中空形材の変形及び押し出し
成形時の成形誤差による中空形材の高さのばらつきに起
因する上面の段差が、回転ツール7の回転方向および相
対的に高い方の上面からの回転ツールの肩7sの押し込
み深さとの関わりにおいて過大となると、相対的に低い
方の上面と回転ツールの肩との間の隙間から塑性流動化
(可塑化)した固相金属が外側へ漏れ出て、前記図21
で示したような接合部2bの上端部に溝状欠陥dg やト
ンネル状欠陥dtvが発生する。本実施の形態の加圧ロー
によれば、後記の本発明の摩擦攪拌接合方法の実施
の形態の作用・ 効果に詳述するように、このような上面
同士の間の段差を所定の限度範囲に入るように前記のよ
うな板材部材の変形を矯正し、あるいは、中空形材のリ
ブを少し屈曲せしめ、上記の様な溝状欠陥dgトンネ
ル状欠陥dtvの発生とこれによる接合強度の低下を防止
可能である。
【0053】本発明摩擦攪拌接合装置の実施の形態は、
上記の実施の形態の構成に加えて、図1に示すように、
前記加圧ローラ8の支持手段8Hに、前記加圧ローラ8
の上下方向位置の調整手段8Hud及び/又は前記加圧ロ
ーラ8による前記被接合部材1a、1b の上面への加圧
力を調整可能な加圧・付勢手段8Pを具備して、基本的
に構成される。
【0054】上記の実施の形態はさらに以下のような具
体的な構成を備える。即ち、本実施の形態の摩擦攪拌接
合装置は、汎用の数値制御加工装置の主軸ヘッド5の下
端の工具チャック6に、前記回転ツール7を把持させて
構成されている。
【0055】前記加圧ロ−ラ8は、下記のように前記
(汎用の)数値制御加工装置の主軸ヘッド5により支持
されている。主軸ヘッド5の矢印イで示した前進方向の
正面に4つの水平方向の長孔9a を備えた取付けベース
9が前記加圧ロ−ラ8の幅方向中心を前記回転ツール7
の回転軸7raの前進方向延長上に位置決めされるよう
に、前記長孔9a をそれぞれ貫通する4本のボルト9b
で前記主軸ヘッド5の図示せぬネジ穴にネジ締め固定さ
れる。取付けベース9の前記回転軸7ra側の側端には下
端に回転軸8a を介して加圧ロ−ラ8を保持する押付け
軸10の1側面に側面を当接し該押付け軸10を垂直方
向に摺動可能にガイドするガイドバー9g が固定されて
いる。そして、押付け軸10の上部には2つの垂直方向
の長孔10a を備え、前記加圧ロ−ラ8の外周面の下端
が前記回転ツール7の凹面の底面の下端即ちツール7の
肩の上下方向位置と所定の位置関係になるよう位置決め
され、前記2つの垂直方向の長孔10a をそれぞれ貫通
する2本の固定ボルト10b で前記取付けベース9に設
けられた図示せぬネジ穴にネジ締め固定される。取付け
ベース9の押付け軸10の直上部には2本のボルト11
bで位置決めブロック11がネジ止め固定されている。
該位置決めブロック11には垂直方向に貫通した図示せ
ぬネジ孔が刻設されていて、該ネジ孔には位置決めボル
ト12が、その下端が前記押付け軸10の上端面に当接
可能な長さに形成されている。
【0056】上記のような構成において、前記加圧ロー
ラ8の上下方向位置の調整を行う場合は、以下のように
する。即ち、前記押付け軸10の2本の固定ボルト10
b を僅かに緩めて上下方向への移動が可能としておき、
前記位置決めボルト12締め込み方向とは逆に回転さ
せて一旦上方へ移動させておく。前記加圧ロ−ラ8の外
周面の下端が前記回転ツール7の凹面の底面の下端即ち
回転ツール7の肩7sの上下方向位置と所定の位置関係
になるように、前記位置決めボルト12を締め込み、該
位置決めボルト12の先端で前記押付け軸10の上端面
を下方に必要量だけ押し下げ、その後、前記押付け軸1
0の2本の固定ボルト10b を締め込んで、取付けベー
ス9にネジ締め固定する。
【0057】なお、図1(b)に示す押付け軸10の下
部の2点鎖線で囲んだ部分8Pは、該押付け軸10のバ
ネ構造部即ち付勢手段を示し、押付け軸10の上方面と
下方面の両側から相互に押付け軸10の長手方向の位置
をずらした一対の水平貫通孔とこれに連通する水平切り
込みからなる1対の切欠き10n 、10n を設けバネ作
用を持たせたものである。
【0058】本発明の摩擦攪拌接合装置の別の実施の形
態は、側面図である図4に示すように、以下のように構
成される。主軸ヘッド5の矢印イで示した前進方向の下
部の正面に、前記回転ツール7の回転軸7raの矢印イで
示した前進方向の延長線上に後記加圧ロ−ラ8の幅方向
中心が一致するように方形垂直貫通孔15shを備えた取
付けベースブロック15が図示せぬ固定手段で固定され
る。取付けベースブロック15の前記方形垂直貫通孔
5shには、上端にフランジを有し横断面外形・寸法が前
記方形垂直貫通孔15shの横断面寸法よりも僅かに小さ
く、上端に方形垂直貫通孔15shの横断面寸法よりも大
きな外形のフランジを備えたスライドシャフトガイド1
6が内嵌され、前記フランジ16f の下面を取付けベー
スブロック15の上端面で係止される。スライドシャフト
ガイド16の中央には、回転軸7raの矢印イで示した前
進方向の延長線上に中心軸17aを持ち、中心軸17a
と前記回転軸7raとを含む垂直面に平行な一対の左右内
側面と、該左右内側面に垂直な一対の前後内側面を備え
た方形垂直貫通孔16shが穿設されている。方形垂直貫
通孔16shには、その内形寸法より僅かに小さな外形寸
法を備えた外形断面方形のリニヤスライドシャフト17
が上下方向摺動自在に挿通されている。該リニヤスライ
ドシャフト17の上端近傍の外周には、前記方形垂直貫
通孔16shの内形寸法より大きなフランジ状の落下防止
ストッパ17s が固定されている。リニヤスライドシャ
フト17の下端にはくの字形に屈曲する角棒部18が接
続され、回転軸8a を介して加圧ロ−ラ8を保持してい
る。
【0059】前記リニヤスライドシャフト17の上端の
直上方に、前記主軸ヘッド5の前面に位置決めブロック
19がその基端を固定されて突出しており、位置決めブ
ロック19の前記リニヤスライドシャフト17の中心軸
の略直上位置に垂直なネジ孔(図示せず)が刻設されて
おり、このネジ孔には位置決めボルト20がその頭20
aが下端に位置するように逆さまにねじ込まれている。
前記位置決めボルト20の下端の頭20aの下面と前記
リニヤスライドシャフト17の上端面との間には、ゴム
板等の弾性体21が挟持され、加圧ロ−ラ8の下方への
付勢手段8Pを構成している。
【0060】上記のような構成において、前記加圧ロー
ラ8の上下方向位置の調整を行う場合は、以下のように
行う。即ち、前記加圧ロ−ラ8の外周面の下端が前記回
転ツール7の凹面の底面の下端即ちツールの肩7s の上
下方向位置と所定の位置関係になるよう、前記位置決め
ボルト20を正逆いずれかの方向に回転させて、位置決
めボルト20の頭20aが弾性体21の上面と当接する
位置を調節する。
【0061】前記図1を参照して説明した本発明の実施
の形態では、押付け軸10のくの字形屈曲部の下方の斜
めの部分に設けた一対の切欠き10n 、10n をバネ構
造部即ち付勢手段8Pとし、上記図4を参照して説明し
た本発明の別の実施の形態では、ゴム板等からなる弾性
体21を付勢手段8Pとした。しかし、図1の例におけ
る押付け軸10の屈曲部や、図4の例における角棒部1
8の屈曲部自体が、これらの材質(弾性率)、形状、屈
曲角度、寸法等によっては、弾性力が本発明における加
圧ロ−ラ8の望ましい加圧力の範囲に設計・調整するこ
とが可能になることも考えられ、その場合上記のような
特別の付勢手段8Pを省略してもよい。
【0062】上記のような本発明装置の実施の形態によ
れば、加圧ロ−ラ8の外周面の下端位置が、回転ツール
7の肩の上下方向位置と所定の位置関係になるように容
易に調節が可能であり、また加圧ロ−ラ8の被接合部材
上面への加圧・付勢力も容易に調整することが可能とな
るので、被接合部材の材質、寸法(厚み等)や機械的性
質に応じて、適切な加圧力に調整できる。
【0063】上記の加圧力の調整は、以下の手段の1つ
以上を選択するか、組み合わせて行われる。 (1)加圧ロ−ラ8の外周面の下端の、前記回転ツール
7の肩7s の位置に対する上下方向位置関係を調整す
る。回転ツールの肩7s の位置に対する加圧ロ−ラ8の
外周面の下端を相対的に下げることにより加圧力は増加
する。 (2)図1(b)の押付け軸10のバネ構造部即ち付勢
手段8Pの弾性力の異なる押付け軸10を複数用意して
おき、必要に応じて交換する。また、図4の付勢手段8
Pの即ちゴム板等の弾性体21の弾性力の異なるものを
複数用意しておき、必要に応じて交換する。 (3)図1(b)の押付け軸10又は図4の角棒部18
の屈曲部の材質(弾性率)、形状、屈曲度、寸法等によ
って決まる弾性力の異なるものをそれぞれ複数用意して
おき、必要に応じて交換する。
【0064】本発明の実施の形態においては、図1、図
4において前記加圧ロ−ラ8による被接合部材1a 、1
b の突合わせ部2の上面部の加圧力は、特に前記被接合
部材1a 、1b の材質がアルミニウム系である場合に
は、100〜500kgf であるように構成される。この
数値限定理由については、後の本発明方法の実施の形態
(実施例2)の説明とともに行う。
【0065】本発明の実施の形態は、前記被接合部材の
突合わせ部が押出形材1a ,1b の各々の面板1ap,1
bpを含む板厚の等しい一対の板部材の突合わせ部である
場合に、接合中において被接合部材1a 、1b の板部材
1ap,1bpの裏面が密着した前記裏当金3の上面3usの
最高温度が50〜200℃となるように、該裏当金3の
材質、形状、寸法を予め選択されているか、及び/又
は、該裏当金3の内部及び/又は該裏当金の裏面及び/
又は該裏当金の支持台の内部に形成された流通路(図示
せず)を流通する冷媒により該裏当金3を冷却する冷却
構造を備えて、基本的に構成される。
【0066】なお、上記の数値限定理由は、後記する本
発明方法の実施の形態(実施例3)の説明とともに行
う。基本的には、裏当金3による被接合部材の突合わせ
部2の近傍の下面の冷却を強化して、被接合部材の突合
わせ部2の下面温度を、回転ツール7の上面への押し付
け荷重により母材部より下方に一定限度以上の高さに膨
出・突出して、製品の化粧面とされる下面に畝状欠陥が
発生するのを防止可能な範囲まで低下させることが、上
記の構成手段の目的である。
【0067】裏当金の材質としては、冷却の有無に係わ
らず、熱伝導率の大きな金属がよく、これに、コスト
(経済性)、強度(冷却時の強度も含む)、融点等を加
味して選択すればよい。冷却の有無を問わず、熱伝導率
が大きく強度も高いという点から銅が最も好ましい。冷
却を前提とすれば、高強度アルミニウム合金等のアルミ
ニウム系材料や鋼材も、前者は熱伝導率が大きいという
観点から、後者は経済性と強度という観点から選択肢と
いえる。
【0068】冷却構造としては、図5(a−1)と(a
−2)〜(d−1)と(d−2)及び図6(a−1)と
(a−2)、(b−1)と(b−2)等に示される以下
の数種類のものが使用される。なお、図5(a−1)〜
(d−1)、図6(a−1)、(b−1)は、各々裏当
金の正面図、図5(a−2)〜(d−2)、図6(a−
2)、(b−2)は、各々裏当金部の側面図である。
【0069】(1)図5(a−1)、(a−2)に示す
ものは、裏当金3の内部に長手方向に伸びる一方向貫流
形の冷媒流通路3whを幅方向に複数並設したものであ
る。
【0070】(2)図5(b−1)、(b−2)に示す
ものは、裏当金3の内部に長手方向に伸びる冷媒流通往
路3whi と冷媒流通復路3who を上下対にして幅方向に
複数並設し、長手方向の終端にネジ孔3bhとボルト3b
を介して固定されたリヤキャップ3rcに前記の冷媒流通
往路3whi と冷媒流通復路3who を連結する冷媒流通反
転路3whr を幅方向に複数並設したものである。
【0071】(3)図5(c−1)、(c−2)に示す
ものは、裏当金3を上部の上面板3spとその下面に少な
くとも4隅をネジ孔3bhとボルト3b を介して固定され
たバックアップブロック3bpとから構成したものであ
る。上面板3spにはその下面から上面近傍に達し、長手
方向の一端面近傍の内側から他端面近傍の内側まで伸び
るスリット3slを幅方向に複数並設している。バックア
ップブロック3bpには、長手方向の両端面の内側の上部
に、前記上面板3spの幅方向の複数のスリットの全てに
各々連通するデストリビュータ3diとコレクタ3coがそ
れぞれ設けられ、このデストリビュータ3diとコレクタ
3coの各々に下面側から連通する冷媒供給孔3hiと冷媒
排出孔3hoがそれぞれ穿設されている。冷却水は、冷媒
供給孔3hiからデストリビュータ3diを介して、バック
アップブロック3bpの上面で下端を塞がれたスリット3
slを冷媒流通路として、コレクタ3coの方向に流れ、コ
レクタ3coに集められた冷媒は、冷媒排出孔3hoから外
部に排出される。
【0072】(4)図5(d−1)、(d−2)に示す
ものは、断面長方形の管3tbの内部の幅方向中心に補強
用リブとしての仕切り壁3iwを設け、断面長方形の管3
tbの長手方向両端に固定された前後の端壁板3ew、3ew
の各々に、冷媒供給管3piと冷媒排出管3poを設けて裏
当金3を形成したものである。なお、上記の断面長方形
の管3tbと仕切り壁3iwの代わりに、一対の断面正方形
の角管3tb1 、3tb2 のそれぞれの一側壁3sw1 と3sw
2 の外面同士を接合・固着して構成してもよい。
【0073】(5)図6(a−1)、(a−2)に示す
ものは、下面に放熱用フィンとしての機能も兼ねた補強
用リブ3riを複数備えた裏当金3を、中央に裏当金3の
幅方向中央部を支持する仕切り壁3iwを備えたボックス
3bxの上端に、6角穴付きボルト36bとネジ穴36hを介
して固定したもので、ボックス3bxの長手方向一端の端
壁に設けられた冷媒供給管3piからボックス3bxと上面
板3spに囲まれた冷媒流通空間3fsに供給された冷媒は
上面板3spの下面を冷却した後、ボックス3bxの長手方
向他端の端壁に設けられた冷媒排出管3poから排出され
る。
【0074】(6)図6(b−1)、(b−2)に示す
ものは、上端面の幅方向の両端に支持突起3sgを設けた
支持台3sbの上面3sbsに裏当金3を載せ、支持台3sb
に設けられた長手方向に貫通し幅方向に複数並設された
冷媒流通路3whに、冷媒供給管3piから供給され、冷媒
排出管3poから排出される冷媒で支持台3sbを冷却し、
裏当金3を間接冷却するものである。
【0075】次に、本発明の実施の形態を、図面を参照
して以下に説明する。正面図である図7に示すように、
被接合部材1a 、1b の支持テーブル25は、上端中央
の凹部で裏当金3を支持する裏当金支持台3sbと、これ
を左右両側から挟む左右支持テーブル25l 、25r と
から構成される。左右支持テーブルの上面25ls、25
rsのレベルに上端縁を有する吸着パッド26を備えた真
空チャックユニット27が左右支持テーブル25l 、2
5r のそれぞれの幅方向に複数列、長手方向に複数行配
設されて、全体として被接合部材1a 、1b の下面Sf
を吸着する真空チャックからなる上下方向拘束手段28
が構成されている。
【0076】上記の真空チャックからなる上下方向拘束
手段28の拘束力は、基本的には、予想される熱歪みに
対して反対方向に略同等の歪みを生じせしめる略同等の
力とするが、具体的には前記図18や図20に示す接合
部2b の上下の幅の差によって生じる接合後の幅方向収
縮量の差により、即ち、上部の幅方向収縮量が下部の幅
方向収縮量より大きいために発生する接合部材の上反り
を、後記の幅方向拘束力の作用と相俟って、接合中に顕
在化させない程度のソフトな拘束力でよい。上反りが接
合中に顕在化する程度の過小な拘束力では、回転ツール
の回転や前進移動に伴い、被接合部材も動いてしまい、
安定した接合が行えなくなり、接合欠陥の発生につなが
り易く、また過大な拘束力では残留応力が大きくなり、
接合完了後の拘束の解除により、大きな上反り変形や複
雑な捩じれ変形を生じ易くする。なお、上下方向拘束手
段は、上記した真空チャックに限られるものではなく、
回転ツール及びこれを保持する主軸ユニットや加圧ロー
ラ及びその支持手段等の移動を妨げず、適切な上下方向
拘束力に調節可能なものであれば他の公知の手段であっ
てもよい。例えば、被接合部材を上下から支持する上下
の加圧ローラ装置や、上方から被接合部材を支持テーブ
ル25の支持面に押し付ける上部加圧ローラ装置でもよ
い。
【0077】さらに、右支持テーブル25rsの幅方向右
端に固定された水平な貫通ネジ孔を有する板部材29pa
p と、該板部材29pap の前記ネジ孔に螺合・貫通する
ボルト29pab とからなる位置調整手段29paに後部が
当接するように固定ストッパ29が固定・移動可能な固
定手段29fsにより固定されている。左支持テーブル2
5l の左端部には、可動ストッパ30とこの可動ストッ
パを左支持テーブル25l の幅方向に進退駆動・押圧す
るエアーシリンダからなる駆動・押圧手段31が配設・
固定されている。上記固定ストッパ29、可動ストッパ
30及び駆動・押圧手段31とが幅方向拘束手段を構成
する。
【0078】前記固定ストッパ29は右側の被接合部材
1b の右端面1brs に当接して被接合部材1b の左端面
1bls が、前記裏当金3の中心線に位置するように位置
決めする。前記駆動・押圧手段31が被接合部材1a の
左端面1als に当接する可動ストッパ30を右方向に押
圧・駆動し、被接合部材1a の右端面1ars が、前記位
置決めされた被接合部材1b の左端面1bls に当接して
突合わせ部2が形成される。接合中は、前記駆動・押圧
手段31が所定の押圧力で可動ストッパ30を介して被
接合部材1a の左端面1als を右方向に押し続け、所定
の拘束力で被接合部材を幅方向に拘束する。
【0079】上記の幅方向拘束手段の拘束力は、基本的
には、被接合部材の幅方向における長さ方向の熱膨張差
に起因する目開き量を非拘束時の1/2程度に抑制する
とともに、残る目開き量が前記回転ツールの攪拌ピンの
直径以下となるように制御して、残留熱応力を極小化す
る大きさとするが、さらに具体的には下記の条件を満た
すソフトな拘束力であることが好ましい。 (1)後記の熱歪みによる突き合わせ部の目開きがない
状態で、即ち、接合前の冷間における突き合わせ部を、
突き合わせ面の凹凸や曲がりがないと仮定した状態で突
き合わせ面を略密着させるだけの最低拘束力以上である
こと。 (2)接合中の熱歪みによる未接合の突き合わせ部の目
開きが、後述する強制空気冷却手段の作用・ 効果や前記
の上下方向拘束力にともなう支持テーブルの支持面との
摩擦力の作用と相俟って、図20(a)、(b)に示し
たような接合部2の上部に溝状欠陥dg やトンネル状空
洞欠陥dtv が発生するような過大な目開きが発生するこ
とを抑制、防止できるだけの必要拘束力以上であるこ
と。 (3)前記上下方向の拘束力の作用と相俟って、回転ツ
ールの回転や前進移動に伴う被接合部材の動きを防止
し、不安定な摩擦攪拌接合攪拌による接合部欠陥の発生
が防止できる程度の必要拘束力以上であること。 (4)接合中の熱応力の過大な拘束により、残留応力が
過大となり、接合後の拘束解除に伴って、大きな反り変
形や複雑な捻じれ変形が発生しないこと。
【0080】本実施の形態における構成要素の一つとし
ての送風冷却手段33は、摩擦攪拌接合中の突合わせ部
を中心とする被接合部材の幅方向両側の所定の範囲以上
を、空気流によって冷却するもので、主として特に既接
合部の幅方向の温度勾配を小さくして、この温度勾配に
起因する幅方向における長手方向への膨張量の差を小さ
くしようとするものである。具体的には、図8に示すよ
うに、下記の幾つかの構成が使用される。
【0081】(1)図8(a−1)の正面図と(a−
2)の平面図に示すように、数値制御加工ユニットNC
MUに付設された加工台34の上の被接合部材の接合始
3teから所定の距離だけ離れた位置の上方又は上下両
方に、クロスフローファン33を空気流の中心が突合わ
せ部に略一致するように配置する。
【0082】(2)図8(b)に示すように、数値制御
加工装置の上記主軸ヘッドおよびその移動装置とは別
に、前記回転ツール7の前進方向とは反対側の位置に、
被接合部材の後記の支持・固定テーブルの上方を幅方向
に跨ぎ、前記回転ツール7の前進と同期して前進走行す
る門型台車35を設け、この門型台車35にクロスフロ
ーファン33を空気流の中心が突合わせ部に略一致する
ように配置する。これにより、クロスフローファン33
と回転ツール7との距離が常に一定に保たれる。なお、
クロスフローファン33を前記門型台車35に前後複数
配置し、前記門型台車35の前進により回転ツール7に
最も近い位置に配置された第1のクロスフローファン3
3による送風冷却が殆ど期待できなくなった後部の既接
合部の送風冷却を後部に配置されたクロスフローファン
(図示せず)により、幅方向温度勾配が所定の範囲まで
小さくなるまで継続することもできる。
【0083】(3)上記(1)、(2)項に加えて、図
8(c)に示すように、回転ツール7の前進方向( 矢印
イ) の反対側に突合わせ部2を含む所定の幅方向範囲の
上面に、圧縮空気を吹き付けるエアーノズル39を設け
て、特に回転ツール7の後方直近の冷却を強化する。な
お、空気吹き付け位置は回転ツール7の中心からエアー
ノズル39の先端中心までの距離L7nで例えば15〜5
0mm後方の位置とし、必要に応じてエアーノズル39
を先端に支持する可撓管40を曲げて空気吹き付け位置
を調整する。
【0084】なお、上記のような空気冷却手段による回
転ツール7やその周囲直近の被接合部材の冷却では、摩
擦熱の損失が過大となり、塑性流動化固相生成量が不足
したり、流動性不足により接合部欠陥の発生の可能性が
あるので、回転ツール7の直近周囲に遮風壁(図示せ
ず)を設けてもよい。
【0085】本発明の実施の形態においては、前記の真
空チャックからなる上下方向拘束手段による被接合部材
の単位平面積当たりの上下方向の拘束圧力が少なくとも
0.1〜5MPaの範囲に、前記突き合わせ部の単位端
面積当たりの幅方向拘束手段の拘束圧力が少なくとも
0.02〜0.6KN/mm2の範囲に、各々調整可能で
あり、前記空気冷却手段は、前記被接合部材1a 、1b
の前記突合わせ部2から幅方向へ略30mm離れた上面最
高温度と室温との差が50〜75℃の範囲に入り、か
つ、前記突合わせ部2から幅方向へ略100mm離れた上
面最高温度と室温との差が15〜20℃及び/又は前記
突合わせ部2から幅方向へ略200mm離れた上面最高温
度と室温との差が2〜6℃であるように、送風冷却が可
能なような冷却能力と配置を持つ空気冷却手段であるこ
とが、未接合突合わせ部2の目開きが過大とならないよ
うに抑制する意味で望ましい。
【0086】上記本発明装置の実施の形態の作用(数値
限定理由等)は、後述する本発明の摩擦攪拌接合方法の
実施の形態の構成とその作用と同時に説明する。
【0087】本発明装置の実施の形態は、図9に示すよ
うに、図7で示した前記本発明の実施の形態において、
被接合部材の支持・拘束テーブル25を、前記裏当金支
持部3sbを挟んで左右に分割された左・右支持テーブル
25l と25r とから構成し、該左・右支持テーブル2
5l 、25r の被接合部材支持面25ls、25rsの各々
を、前記裏当金3の上面を含む水平面HSに対して、所
定の俯角度αだけ左右それぞれの方向へ傾斜させたり、
水平復帰自在に設けて構成している。上記の実施の形態
の作用は、後述する実施の形態の構成とその作用の説明
と同時に行う。
【0088】以上述べた摩擦攪拌接合装置の実施の形態
は、特に、前記被接合部材がアルミニウム系の部材の接
合に用いて好適である。
【0089】次に、前記本発明の摩擦攪拌接合装置を用
いた、本発明の摩擦攪拌接合方法の実施の形態について
添付の図面を参照しつつ、具体的な実施例に基づき以下
に説明する。
【0090】1.実施例1 図1に示した本発明装置の実施の形態を用いて、本発明
の摩擦攪拌接合方法の実施の形態として、図10に示す
ように、一対の角管41a 、41b の外側面同士を突き
合わせて摩擦攪拌接合を行い、突合わせ部42における
角管41a 、41b の各々の上面41au、41buの間の
段差の接合部上部欠陥に及ぼす影響を調査した。上記の
段差は、図10に示す回転ツール7の回転方向(矢印ロ
の方向)が該回転ツール7の上方から見て時計の針と反
対方向として、回転ツール7の前進方向(図の紙面に垂
直な方向で紙面の上方から紙面に近づく方向)の左側の
角管41a の上面41auを基準面STSとし、左右どち
らかの角管の下面にレベル調整用シム43を挿入して、
前記基準面から上方を正の位置として、+0.9〜−
0.5mmの段差を作り、加圧ローラ8による加圧後の段
差が+0.8〜−0.3mmの範囲になった。また、左右
の上面41au、41buのうちで高いほうの上面からの回
転ツールの肩7sの後端の押込量dsp(mm)は0.1〜
0.4mmの範囲で変化させた。
【0091】その他の実験条件は以下の通りである。 (1)被接合部材 a)材質 :「JISH4100」に規定するアルミ
ニウム合金6N01 b)形状 :形材(角管) c)寸法 :幅300mm、長さ1000mm、肉厚5mm (2)摩擦攪拌接合条件 a)回転ツール諸元 :回転軸外径15mm、攪拌ピン外
径5.0mm b)回転ツール回転軸の垂直軸に対する傾斜角度θ:3
度 (3)加圧ロ−ラ a)形状 :図2(c)に示すもの b)寸法 :幅14mm、中心外径12mm、幅方向両端
部外径32mm c)回転軸中心7raから加圧ローラ中心まで距離L78
:38mm d)加圧力 :500kgf (4)裏当金 a)寸法 :厚み5.0mm、幅50mm、全長2000
mm b)材質 :銅 c)冷却 :なし
【0092】接合後に、接合部の外観の目視検査とX線
透過試験を行ない、表面の未接合部や接合部上部の溝状
欠陥、内部のトンネル状空洞欠陥の有無などの検査を行
なった。上記の実験結果を下記表1に示し、前記式1又
は式2で求めた修正段差Δc(mm) と欠陥発生有無との関
係を調査した。
【0093】
【表1】
【0094】上記表1によれば、加圧ローラによる加圧
後の前記式1又は式2で求めた修正段差Δc(mm) が+
0.5〜−0.1mmの範囲にあれば、上端部に溝状欠
陥やトンネル状空洞欠陥のない健全な接合部が得られる
ことが分かる。
【0095】上記のように、上部に溝状欠陥のない健全
な接合部を得られる修正段差Δc(mm) がある程度許容さ
れる理由、及び、実際段差Δa(mm) が正の値を取る場合
は、修正段差Δc(mm) が相対的に大きな正の上限値(+
0. 5mm)まで許容され、実際段差Δa(mm) が負の値を
取る場合は、修正段差Δc(mm) が相対的に小さな負の下
限値(- 0. 1mm)までしか許容されない理由につい
て、図10、図11を参照して考察すると以下のとおり
である。
【0096】図10、図11に示すように回転ツール7
の上方からみて回転ツール7の回転方向が矢印ロで示す
ように時計の針の回転方向とは逆方向であり、回転ツー
ル7の前進方向が図10(a)、図11(a)に示すよ
うに矢印イで示す方向で、図10(b)、図11(b)
では、紙面に対して垂直で紙面に接近する方向である場
合、図10(b)、図11(b)のように左側の角管4
1a の上面41auを基準面STSとし、それより上方を
正の位置として段差に正負の記号をつける。
【0097】(1)図10(a)、(b)に示すよう
に、ローラ加圧後の実際段差Δa(mm) が正の値を取るよ
うな場合には、回転ツール7の凹面の底面7bsと攪拌ピ
ン7spの外周面との間の摩擦熱により塑性流動化(可塑
化)された相対的に上面位置の高い右側の角管41b の
突合せ部42の上方の隅部のメタルは、回転ツールの肩
7s が回転ツールの前進方向側が高くなるよう傾斜して
いるために、回転ツール7の時計の針の回転方向とは逆
方向の回転と回転ツールの前進移動とによって回転ツー
ル7の前進方向の左側の方即ち左側の角管41a の上面
41auと回転ツール7の凹面の底面7bsとの間に運ばれ
易い。従って、図10(a)、(b)のようにローラ加
圧後の実際段差Δa(mm) が正の値を取るような場合に
は、修正段差Δc(mm) が正の相対的に大きな上限値+
0. 5mmまで許容される。
【0098】(2)図11(a)、(b)に示すよう
に、ローラ加圧後の実際段差Δa(mm) が負の値を取るよ
うな場合には、回転ツール7の凹面の底面7bsと攪拌ピ
ン7spの外周面との間の摩擦熱により塑性流動化(可塑
化)された相対的に上面位置の高い左側の角管41b の
突合せ部42の上方の隅部のメタルは、回転ツールの肩
7s が回転ツールの前進方向側が高くなるよう傾斜して
いるために、回転ツールの前進移動によって回転ツール
の前進方向に運ばれる力が作用し、回転ツール7の時計
の針の回転方向とは逆方向の回転によって回転ツール7
の前進方向とは逆方向の右側の方即ち右側の角管41b
の上面41buと回転ツール7の凹面の底面7bsとの間に
運ばれにくい。従って、図11(a)、(b)のように
ローラ加圧後の実際段差Δa(mm) が負の値を取るような
場合には、修正段差Δc(mm) が負の相対的に小さな下限
値−0. 1mmまでしか許容されない。
【0099】2.実施例2 実施の形態として、加圧ローラの加圧力(kgf) が被接合
材部材の下面同士の間の段差に及ぼす影響を調査するた
め、図1に示す本発明装置の実施の形態を用いて以下の
ような実験を行った。「JIS H 4100」に規定
され、機械的性質の異なるアルミニウム合金押出形材2
024−T4、5083−0、6N01−T5の厚み4
mmの板材を各々突合わせ、前記図2(c)に示すタイプ
の加圧ロ−ラを用い、加圧力を0〜600kgf の間で、
100kgf 毎に変化させ、加圧後の板材下面同士の間の
段差を実測した。この結果を下記表2に示す。
【0100】
【表2】
【0101】上記表2によれば、何れの材質においても
加圧前に100〜110μmあった段差が100kgf の
加圧で材質により異なるが、50μm 以下に低減されて
いる。また、加圧力(kgf) の増大とともに段差が減少し
ているが、500kgf の加圧で25μm に収斂・飽和し
ており、100〜500kgf で加圧すれば、実質的に問
題のない段差に矯正されることが分かる。
【0102】3.実施例3 従来の摩擦攪拌接合方法では、同材質、同形状、同寸法
の被接合部材を同一の摩擦攪拌接合条件で接合しても、
接合中の裏当金上面の温度は、前記のような被接合部材
の下面同士の段差や、被接合部材の部分的な変形や裏当
金の上面の変形等による被接合部材下面と裏当金の上面
との接触面積の変動や両者の間隙の大きさ、両者の表面
粗度、裏当金の材質(熱伝導率)、形状、寸法、冷却の
有無、冷却方法等により変化する。しかし、上記の加圧
ローラを用いた本発明方法によれば、下面の段差は著し
く小さくなり、被接合部材の下面から裏当金の上面への
伝熱速度のバラツキは大幅に低減される。その結果、裏
当金上面の温度を一定の範囲に保つ冷却能力を具備する
裏当金を使用すれば、接合部裏面の畝状欠陥の発生を確
実に防止することができる。そこで、実施の形態とし
て、同材質、同形状、同寸法の被接合部材を同一の摩擦
攪拌接合条件で接合し、接合中の裏当金上面の温度に影
響する裏当金の材質(熱伝導率)、冷却の有無及び冷却
方法等を変化させて、接合中の裏当金上面の温度が上述
の畝状欠陥の発生に及ぼす影響を調査するため、以下の
ような実験を行った。
【0103】(1)被接合部材 a)材質 :「JISH4100」に規定するアルミ
ニウム合金6N01 b)形状 :形材 c)寸法 :突合わせ部板厚5.0mm、幅50mm、全
長2000mm (2)摩擦攪拌接合条件 a)回転ツール諸元:回転軸外径15mm、攪拌ピン外径
5.0mm b)回転ツール回転軸の垂直軸に対する傾斜角度θ:3
度 (3)裏当金 a)寸法 :厚み5mm、幅50mm、全長2000mm b)材質と冷却条件:冷却構造は図5(d−1)、(d
−2)とし、表3に示したとおり (4)裏当金温度測定方法 裏当金の表面の幅方向中心に、被接合部材接合開始端か
ら300、600、900mmの各位置に、裏当金と被接
合部材の接触を阻害しないように、熱電対を埋め込み、
前記各位置近辺における最高(ピーク)温度を読み取っ
た。 (5)接合後の突合わせ部下面品質調査 上記各温度測定位置±100mmの範囲の高さ50μm 超
えの畝上欠陥の有無及び未接合部の有無の観察を行っ
た。上記の実験の結果を下記表3にまとめて示す。
【0104】
【表3】
【0105】上記表3によれば、裏当ての材質や冷却条
件によらず、裏当金の表面温度が200℃を超えると接
合部裏面の膨出が大きく、高さ50μm 超えの畝上欠陥
が発生した。また、裏当金の表面温度が50℃を下回る
と、接合強度上問題となる深さ0.50mmを超える未接
合部が生ずることがあった。上記の結果から、接合中に
おいて被接合部材裏面が密着した裏当金の上面の温度が
50〜200℃となるように、裏当金の材質、形状、寸
法を予め選択しておくか、及び/又は、該裏当金の内部
及び/又は裏面及び/又は該裏当金の支持台の内部に形
成された流通経路を流通する冷媒により該裏当金を冷却
しつつ、摩擦攪拌接合を行うことが望ましいといえる。
【0106】4.実施例4 4−1.実験1 被接合部材の突合せ部が押出形材の面板を含む板厚の等
しい一対の板部材の突合せ部の摩擦攪拌接合中の未接合
部の目開きを抑制するための、最適の冷却方法、冷却条
件を見つけるために、下記のような実験を行った。即
ち、前記図7を参照して説明したような本発明の摩擦攪
拌装置の前記の実施の形態の装置を用いて、後記の実施
例5でその数値限定理由を示すが、前記被接合部材の単
位平面積当たりの上下方向の拘束圧力を1.0MPa
に、突合せ部の単位端面積当たりの幅方向の拘束圧力を
0.3KN/mm2に各々調整した。その条件下で、下記
4種類の強制冷却手段で、接合中の被接合部材の上面の
冷却を行いながら、後記表5に示す実験No.1〜N
o.8の実験を行い、下記(5)項に示した測定位置の
上面温度を熱電対により連続的に測定するとともに、被
接合部材の回転ツールの前進方向の長手方向終端におけ
る突合わせ部の目開き量(mm)を、接合開始時から30秒
毎に測定した。
【0107】上記以外の実験条件は、以下に示すとおり
である。 (1)被接合部材 a)材質 :「JIS H 4100」に規定のアル
ミニウム合金6N01 b)形状 :形材 c)寸法 :突合わせ部板厚5.0mm、幅300mm、
全長1000mm (2)摩擦攪拌接合条件 a)回転ツール諸元:回転軸外径15mm、攪拌ピン外径
5.0mm b)回転ツール回転軸の垂直軸に対する傾斜角度θ:3
度 (3)裏当金 a)寸法 :厚み5mm、幅50mm、全長2000mm b)材質 :銅 c)冷却 :なし (4)空気冷却手段 下記の3手段(水準)について実験した。 a)強制冷却なし b)図8(c)に示すように、回転ツール把持用チャッ
クに取り付けたエアノズルにより回転ツールの中心から
後方30mmの被接合部材上面にむけ口径6mmのパイプよ
り、圧力6kg/cm2の圧縮空気を吹きつけて冷却 c)下記表4に示す位置に同表4に記載の仕様のクロス
フローファンを配置して送風冷却 (5)上面温度測定位置 a)接合開始端から被接合部材の長手方向に1300mm
離れた突合せ部に垂直な線上で、突合わせ部から被接合
部材の幅方向に各々30mm、50mm、100mm、200
mm、550mm離れた計5点 b)接合開始端から被接合部材の長手方向に1400mm
離れた突合わせ部に垂直な線上で、突合わせ部から被接
合部材の幅方向に30mm離れた1点
【0108】
【表4】
【0109】上記の実験結果において、実験No.1と
No.5の場合の、上面温度の連続測定チャートを例と
して、各々図12(a)、(b)に、また回転ツールの
前進方向の長手方向終端における突合わせ部の目開き量
(mm)の測定結果を図13に示す。図12(a)、(b)
のような上面温度の連続測定チャートにおける各測定点
における最高(ピーク)温度を読み取り、最高温度と室
温(測定点:幅方向550mmの温度を室温と見做す) と
の差を求めた。また、図13における接合開始前(接合
開始からの経過時間0秒の時)の目開き量(mm)は、両被
接合部材の突合わせ部端面に最初からあった変形、寸法
誤差や表面粗さ等による目開きであって、摩擦攪拌接合
による目開きとは見做せないので、これを初期目開き量
(mm)として、実測最高目開き量(mm)と初期目開き(mm)と
の差を接合中の熱影響による実質最高目開き量(mm)とし
た。上記の実験結果をまとめて下記表5に示した。
【0110】
【表5】
【0111】4−2.実験2 上記の実験結果から、最も目開き防止効果の大きかった
実験No.5〜No.8のクロスフローファンによる送
風冷却に、単独では目開き防止効果の小さかった実験N
o.3、No.4のエアーノズルによる空気吹きつけ冷
却を組み合わせて、実験No.9、No.10として、
被接合部材の突合わせ部から幅方向に30mm離れた突合
わせ部に平行な線上で、接合開始端から各々10mm、3
00mm、900mm、1200mm、1500mm、2100
mm、2500mm(長手方向終端)離れた各位置の上面温
度を熱電対により連続的に測定するとともに、被接合部
材の回転ツールの前進方向の長手方向終端における突合
わせ部の目開き量(mm)を、接合開始から30秒毎に測定
した。なお、冷却手段を除く実験条件は、前記4−1項
の実験1の場合と同様とした。
【0112】上記の各測定位置における上面最高温度の
読み取りと処理、接合中の実質最高目開き量(mm)の計算
は前記実験1の場合と同様に行った。上記の実験結果を
まとめて下記表6に示した。
【0113】
【表6】
【0114】上記表5及び表6から接合前の初期目開き
量(mm) の最高値を0.75mmとして、合計目開きが経
験上溝状欠陥やトンネル状欠陥等の接合部上部欠陥の発
生に繋がらない2. 0mmまで許容されるとすれば、実質
最高目開き量(mm)の許容最高値は1.25mmとなり、上
記のような冷却条件のもとでは、実質最高目開き量(mm)
の許容最高値(mm)以下の目開きに抑制されるといえる。
なお、上記表6におけるデータのうち、実験No.9の
長手方向の位置10mm、2500mmのデータは、それぞ
れ接合始端部と接合終端位置で、他の測定位置に比べて
熱バランスにおける周囲への伝熱量が不安定な非定常な
箇所と考えられるので、正常な冷却効果を表すデータと
しては採用しない。同じように、実験No.10の長手
方向の位置10mm、300mmは非冷却部であり、250
0mmのデータは前記と同じ理由により正常な冷却効果を
表すデータとしては採用しない。上記表5と表6から、
実質最高目開き量(mm)をその許容最高値0.75mm以下
に抑制できる冷却手段としては、本実験の範囲内では、
「ファンによる送風冷却」、又は「ファンによる送風冷
却+エアーノズルによる空気吹きつけ冷却」を採用した
場合である。
【0115】上記の、二つの冷却手段を他の冷却手段と
比べた場合の特徴は、以下のとおりである。 (1)幅方向の温度勾配の程度を表す指標としての、突
合わせ部直近即ち突合わせ部から幅方向に30mm離れた
位置の実測最高温度と室温との差が最も低いレベルにあ
ることで、その範囲は50〜75℃である。 (2)冷却範囲がある程度大きいことを表す指標として
の、突合わせ部から幅方向に100mm及び/又は200
mm離れた位置の実測最高温度と室温との差が最も低いレ
ベルにあることである。即ち、ファン送風を採用してい
る試験No.5〜8をファン送風を採用していないN
o.1〜4のデータと比較すると、幅方向に100mm離
れた位置おける実測最高温度と室温との差が15〜2
0℃、幅方向に200mm離れた位置おける実測最高温
度と室温との差が2〜6℃の範囲にあって各々最も低い
ことである。
【0116】上記表5と表6から総合的に判断して、接
合中の実質最高目開き量(mm)を許容最高値(mm)1.25
mm以下に抑制するには、以下の条件を満たすように強制
空気冷却すればよいといえる。即ち、被接合部材の接合
開始端と接合終端からそれぞれ長手方向内側へ略150
mmまでの範囲の温度を除外して、 (1)突合わせ部から幅方向に略30mm離れた位置の上
面の実測最高温度と室温の差が50〜75℃に入るよう
に冷却する。かつ、 (2)突合わせ部から幅方向に略100mm離れた位置の
上面の実測最高温度と室温との差が15〜20℃に、及
び/又は、突合わせ部から幅方向に略200mm離れた位
置の上面の実測最高温度と室温との差が2〜6℃に入る
ように冷却する。
【0117】5.実施例5 被接合部材の単位平面積当たりの上下方向拘束圧力(M
Pa)、突合せ部の単位端面積当たりの幅方向拘束圧力
(KN/mm2)および接合中の被接合部材上面の強制冷
却の有無が、接合部品質(接合部上部の空洞欠陥や溝状
欠陥の発生有無)及び接合後に上記拘束力を開放した場
合の接合材の捩れ変形等の発生有無およびその程度に及
ぼす影響を見るために、以下のような実験を行った。
【0118】実験条件は、以下のとおりである。 (1)被接合部材 a)材質 :「JIS H 4100」に規定のアル
ミニウム合金6N01 b)形状 :形材 c)寸法 :突合せ部板厚5mm、幅300mm、長さ2
550mm (2)摩擦攪拌接合条件 a)回転ツール諸元:回転軸外径15mm、攪拌ピン外径
5.0mm b)回転ツール回転軸の垂直軸に対する傾斜角度θ:3
度 (3)裏当金 a)寸法 :厚み5mm、幅50mm、全長2600mm b)材質 :銅 c)冷却 :なし (4)強制冷却 前記表4に示した位置と仕様のファンによる送風冷却と
図8(c)に示したエアーノズルによる圧縮空気吹き付
けによる強制冷却ありの1水準とした。 (5)左右支持テーブルの俯角角度:0度(水平) (6)上下方向拘束圧力 真空チャックによる被接合部材の単位平面積当たりの吸
引拘束圧力を0.05〜7MPaの範囲で変化させた。 (7)幅方向拘束圧力 突合せ部の単位長さ当たり及び単位板厚当たり0.01
〜1.0KN/mm2の範囲で変化させた。
【0119】各組み合わせ条件での接合後、上記拘束力
を解いて接合材の捻じれ変形等の有無の調査とその程度
の評価を行った。また、捻じれ変形等の調査後、接合部
表面の目視観察と接合材を長手方向に数分割した断面の
目視観察により、接合部表面の溝状欠陥の有無と断面に
おけるトンネル状空洞欠陥の有無の観察を行った。上記
の実験結果を下記表7にまとめて示した。
【0120】
【表7】
【0121】上記表7によれば、接合中に下記の条件が
揃えば、接合部に欠陥がなく、かつ、接合材の捻じれ変
形が実質的に問題にならない程に小さいことが分かる。 (1)被接合部材の単位平面積当たりの上下方向の拘束
圧力が0.1〜5.0MPaの範囲内にある。 (2)突合せ部の単位端面積当たりの幅方向の拘束圧力
が0.02〜0.6KN/mm2の範囲内にある。 (3)クロスフローファンとエアーノズルによる被接合
部材上面の強制空気冷却を行う。
【0122】また、上記のようなソフトな拘束圧力で
は、接合中の残留応力の蓄積が少なくなるので、強固に
被接合部材を拘束した場合のように接合中の残留応力の
蓄積が過大となって、接合後の拘束を解いた場合に接合
材に捻じれ変形等を生じるようなことが少なく、変形が
生じたとしても実際上問題にならない程度の小さなもの
となる。
【0123】6.実施例6 本発明の摩擦攪拌接合方法の実施の形態として、前記本
発明の実施の形態の摩擦攪拌接合装置を用い、前記実施
例5で述べた適切な上下方向拘束圧力(MPa)、幅方
向拘束圧力(KN/mm2)および空気冷却手段・条件の
下で、被接合部材の接合後の幅方向の反り変形(幅方向
両端部が突合わせ接合部を中心として上方又は下方へ反
りかえる変形)に対して、接合中の前記図9に示した俯
角度α(度)が与える影響を調査するために、下記実験
条件の下で、俯角度αを0〜5度の範囲で複数段階に分
けて、摩擦攪拌接合する実験を行った。
【0124】実験条件は、以下に示すとおりである。 (1)被接合部材 a)材質 :「JIS H 4100」に規定のアル
ミニウム合金6N01 b)形状 :形材 c)寸法 :突合せ部板厚5mm、幅300mm、長さ2
000mm (2)摩擦攪拌接合条件 a)回転ツール諸元:回転軸外径15mm、攪拌ピン外径
5.0mm b)回転ツール回転軸の垂直軸に対する傾斜角度θ:3
度 (3)裏当金 a)寸法 :厚み5mm、幅50mm、全長2600mm b)材質 :銅 c)冷却 :なし (4)強制空気冷却 前記表4に示した位置、仕様のファンによる送風冷却と
図8(c)に示したエアーノズルによる圧縮空気吹き付
けによる強制冷却あり (5)上下方向拘束圧力 真空チャックによる被接合部材単位平面積当たりの吸引
拘束圧力1.0MPa (6)幅方向拘束圧力 突き合わせ部の単位端面積当たり)0.3KN/mm2
【0125】なお、接合後上記拘束力を解いた後の幅方
向反り変形量の測定は、以下のように行った。 (1)上反りの場合は、図14(a)に示すように接合
材1abの幅方向左側の下面エッジ1ale を平坦な定盤4
5の上面45usに接触するように押し付け、幅方向右側
の下面エッジ1ble と定盤45の上面45usとの間隙h
u を、隙間ゲージで複数箇所測定し,間隙hu の最大値
を上反り量とした。 (2)下反りの場合は、図14(b)に示すように接合
材1abの幅方向右側の上面エッジ1aue を平坦な定盤4
5の上面45usに接触するように押し付け、左側の上面
エッジ1bue と定盤45の上面45usとの間隙hl を、
隙間ゲージで複数箇所測定し,間隙hl の最大値を下反
り量とした。上記の実験結果をまとめて下記表8に示し
た。
【0126】
【表8】
【0127】上記表から、前記図8に示す俯角度αが
2.0〜3.0度の場合で、前記の実験条件の場合に、
幅方向反り変形量がおおよそ±6mmとなることが分か
る。なお、幅方向反り変形量は、被接合部材の材質、形
状、寸法(特に突合わせ部部厚み)等の要因により影響
を受け易いので、幅方向上反り変形量に影響の大きな要
因毎に上記のような予備実験を行い、幅方向上反り変形
量がおおよそ0mmとなる俯角度α(度)を求めておき、
実際の量産時の俯角度α(度)を適切に決めればよい。
【0128】以上、本発明の摩擦攪拌接合装置およびこ
れを用いた摩擦攪拌接合方法の実施の形態について述べ
たが、本発明は上記の実施の形態に限られるものではな
く、その構成の要旨を逸脱しない範囲で、他の実施の形
態を含むものである。
【0129】
【発明の効果】本発明の摩擦攪拌接合装置および摩擦攪
拌接合方法は以下のような優れた効果を奏する。 (1)被接合部材の左右上面の段差が、回転ツールの回
転方向と回転ツールの肩の押し込み量とに関連して決め
られる一定の範囲内を外れることに起因する接合部上部
の溝状欠陥やトンネル状空洞欠陥等の発生とこれによる
接合強度の低下を防止できる。 (2)製品化粧面とされる被接合部材裏面の裏当金への
接触不良や裏当金の材質、形状、寸法等の不適切に起因
する被接合部材裏面(化粧面)の冷却不足により、被接
合部裏面の軟化した金属材料が、母材部裏面より下方に
50μを超えて膨出・突出し、被突合わせ部に沿って連
続又は断続した畝状の表面欠陥が発生することを防止で
きる。 (3)中空形材のリブ外面同士を突き合わせて突合わせ
部上部を摩擦攪拌接合する場合に、前記特開平10−5
27773に記載の発明における固定治具(ロ−ラ)に
よる固定のように、突合わせ部のリブの外側の板材部を
ロ−ラで中空部内部側に機械的に押圧変形させるような
ことがない。 (4)摩擦熱発生の局部性に起因する突合わせ部両側の
被接合部材の幅方向における温度差の発生と、これに伴
う被接合部材の幅方向における被接合部材長手方向への
膨張量の差による回転ツール前進方向前方における未接
合突合わせ部の過大な目開きの発生と、これに起因する
接合部上部の溝状欠陥やトンネル状空洞欠陥の発生を防
止し、接合強度の低下を防止できる。 (5)接合中の被接合部材の幅方向や上下方向の拘束力
を適正化して、被接合部材の安定的固定と接合を保証し
つつ、残留応力の過大な蓄積を避けるとともに、接合後
の上記拘束の開放にともなう、被接合部材の幅方向反り
変形や、複雑な捩じれ変形の発生を最小限に抑制でき
る。
【0130】以上の総合的効果として、特にアルミニウ
ム系被接合部材の接合部表面欠陥や内部欠陥による製品
の外観性の不良や接合強度不足、幅方向反り変形や複雑
な捩じれ変形による後工程での矯正加工の必要性、或い
は製品の外観性の不良や使用上の不都合等の発生、不良
部切り捨てによる製造歩留り低下、製品格落ち率の増加
等による製造コスト増加及び/又は不良製品クレームの
増加とクレーム処理費用の増加、さらには顧客からの信
用失墜等による失注等といった問題点の発生を抑制・防
止でき、その経済効果は非常に大きいものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態を示し、(a)は正面
図、(b)は側面図である。
【図2】 本発明の実施の形態における5種類の加圧
ロ−ラの形状をしめす正面図である。
【図3】 本発明の実施の形態の装置を用いて一対の
中空押出形材のリブの外面同士を突き合わせている状態
を示す正面図である。
【図4】 本発明の別の実施の形態を示す側面図であ
る。
【図5】 本発明の実施の形態の裏当金の冷却構造の
例を各々示し、(a−1)〜(d−1)は正面図、(a
−2)〜(d−2)は側面図である。
【図6】 本発明の実施の形態の裏当金の冷却構造の
他の例を各々示し、(a−1)〜(b−1)は正面図、
(a−2)〜(b−2)は側面図である。
【図7】 本発明の構成の一部の実施の形態を示す正
面図である。
【図8】 本発明の構成の一部の実施の形態の三例を
示し、(a- 1)は第1の例の正面図、(a- 2)は第
1の例の平面図、(b)は第2の例の正面図、(c)は
第3の例の側面図である。
【図9】 本発明の実施の形態を示す正面図である。
【図10】 本発明の実施の形態における実施例の説明
図であって、(a)は(b)のB- B線矢視側断面図、
(b)は正面図である。
【図11】 本発明の実施の形態における実施例の別の
説明図であって、(a)は(b)のC- C線矢視側断面
図、(b)は正面図である。
【図12】 本発明の実施の形態としての実施例の被接
合部材の上面の各測定位置における温度−時間チャ−ト
を示し、(a)は強制冷却なしの場合の例を、(b)は
クロスフローファンによる送風冷却を行った場合の例を
示す。
【図13】 本発明の実施の形態としての実施例の被接
合部材の接合開始からの経過時間と接合終端における突
合わせ部目開き量との関係の、強制冷却なしの場合とあ
りの場合の目開き量−時間チャートの例である。
【図14】 本発明の実施の形態における接合後の接合
材の幅方向反り変形量の測定の方法を説明するための正
面図であって、(a)は上反り変形量の測定方法を、
(b)は下反り変形量の測定方法を示す。
【図15】 特許公報第2712838号に記載の従来
の摩擦攪拌接合装置の例を示す斜視図である。
【図16】 特開平10−52771号公報に記載の従
来の摩擦攪拌接合装置の別の例を示す斜視図である。
【図17】 特開平10−52771号公報に記載の従
来の摩擦攪拌接合装置のさらに別の例を示す斜視図であ
る。
【図18】 特開平10−52773号公報に記載の従
来の摩擦攪拌接合装置のさらに別の例を示す斜視図であ
る。
【図19】 一対の板状被接合部材の摩擦攪拌接合にお
ける接合部裏面の畝状欠陥の例を示す断面図である。
【図20】 特開平10−52773号公報に記載の従
来の摩擦攪拌接合装置で中空押出し形材のリブ外側面同
士を突き合わせて摩擦攪拌接合している状態を示す正断
面図である。
【図21】 摩擦攪拌接合における接合部上部の欠陥の
例を示し、(a)は溝状欠陥を、(b)はトンネル状空
洞欠陥を、各々示す斜視図である。
【符号の説明】
1a 、1b 被接合部材(押出形材) 1ab 接合材 1ha、1hb 中空押出形材 1ra、1rb リブ 2、42 突き合わせ部 2b 接合部 3 裏当金 3sb 裏当金支持台 5 主軸ユニット 6 工具チャック 7 回転ツール 7bs 凹面の底面 7s 回転ツールの肩 7sp 攪拌ピン 7ra 回転軸 8、81 〜85 加圧ローラ 8H 支持手段 8Hud 上下方向位置調節手段 8P 加圧・付勢手段 11 押付け軸 18 角棒部 25 支持テーブル 25l 左支持テーブル 25r 右支持テーブル 26 吸着パッド 27 真空チャックユニット 28 真空チャック 29 固定ストッパー 30 可動ストッパー 31 駆動・押圧手段 33 クロスフローファン 34 加工台 35 門型台車 39 エアーノズル 40 可撓管 41a ,41b 角管 41au,41bu 角管上面 43 シム 45 定盤 NCMU 数値制御加工ユニット HS 水平面 STS 基準面 drg 畝状欠陥 dg 溝状欠陥 dtv トンネル状空洞欠陥
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 牧田 慎也 静岡県庵原郡蒲原町蒲原1丁目34番1号 日本軽金属株式会社グル−プ技術セン ター内 (56)参考文献 特開 平10−175089(JP,A) 特開 平10−296462(JP,A) 特開2000−167676(JP,A) 特開2000−52065(JP,A) 英国特許出願公開2306366(GB,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 20/12

Claims (19)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 凹面の底面と該底面中央部から下方に
    突出する攪拌ピンを備えた回転ツールの、前記攪拌ピン
    を回転させながら裏面を裏当金で支持された被接合部材
    の突合わせ部の中に押し込み、前記凹面の底面を前記被
    接合部材の上面に押し付けながら、前記回転ツールの回
    転軸を被接合部材の上面に垂直な線に対して上方を回転
    ツールの前進方向とは反対方向に所定の角度だけ傾斜せ
    しめた状態で、前記回転ツールを前記突合わせ部に沿っ
    て移動させることにより、前記被接合部材を摩擦熱によ
    り固相接合する摩擦攪拌接合装置であって、 前記回転ツールの前進方向側の回転ツール近傍の前記突
    合わせ部を中心とした両被接合部材端部上面を加圧する
    加圧ローラを備え、 前記被接合部材の突合わせ部が押出形材の面板を含む板
    厚の等しい一対の板部材の突合わせ部である場合に、該
    突合わせ部の接合中において被接合部材裏面が密着した
    前記裏当金上面の最高温度が50〜200℃となるよう
    に、該裏当金の材質、形状、寸法を予め選択されている
    か、及び/又は、該裏当金の内部及び/又は裏面及び/
    又は該裏当金の支持台の内部に形成された流通経路を流
    通する冷媒により該裏当金を冷却する冷却手段を備えた
    ことを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
  2. 【請求項2】 前記加圧ローラの支持手段に、前記加
    圧ローラの上下方向位置の調整手段及び/又は前記加圧
    ローラによる前記被接合部材上面の加圧力を調整可能な
    加圧・付勢手段を具備したことを特徴とする請求項1
    記載の摩擦攪拌接合装置。
  3. 【請求項3】 前記被接合部材の突合わせ部が押出形
    材の面板を含む板厚の等しい一対の板部材の突合わせ部
    である場合に、前記加圧ローラによる被接合部材上面部
    の加圧力が、100〜500kgfであることを特徴とす
    る請求項1又は請求項2に記載の摩擦攪拌接合装置。
  4. 【請求項4】 凹面の底面と該底面中央部から下方に
    突出する攪拌ピンを備えた回転ツールの、前記攪拌ピン
    を回転させながら裏面を裏当金で支持された被接合部材
    の突合わせ部の中に押し込み、前記凹面の底面を前記被
    接合部材の上面に押し付けながら、前記回転ツールの回
    転軸を被接合部材の上面に垂直な線に対して上方を回転
    ツールの前進方向とは反対方向に所定の角度だけ傾斜せ
    しめた状態で、前記回転ツールを前記突合わせ部に沿っ
    て移動させることにより、前記被接合部材を摩擦熱によ
    り固相接合する摩擦攪拌接合装置であって、 前記被接合部材を予測される熱歪みに対して反対方向に
    略同等の歪みを生じせしめる力と略同等の力で上下方向
    から拘束する上下方向拘束手段と、 前記被接合部材を幅方向における長さ方向熱膨張差によ
    る突合せ部の目開きを少なくとも半減できるに足る力で
    幅方向から拘束する幅方向拘束手段、及び/又は、突合
    わせ部を中心とする両被接合部材の上面又は上下両面を
    強制的に空気冷却する空気冷却手段と、 を備えたことを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
  5. 【請求項5】 凹面の底面と該底面中央部から下方に
    突出する攪拌ピンを備えた回転ツールの、前記攪拌ピン
    を回転させながら裏面を裏当金で支持された被接合部材
    の突合わせ部の中に押し込み、前記凹面の底面を前記被
    接合部材の上面に押し付けながら、前記回転ツールの回
    転軸を被接合部材の上面に垂直な線に対して上方を回転
    ツールの前進方向とは反対方向に所定の角度だけ傾斜せ
    しめた状態で、前記回転ツールを前記突合わせ部に沿っ
    て移動させることにより、前記被接合部材を摩擦熱によ
    り固相接合する摩擦攪拌接合装置であって、 前記被接合部材を上下方向から拘束する上下方向拘束手
    段と、 幅方向から拘束する幅方向拘束手段、及び/又は、突合
    わせ部を中心とする両被接合部材の上面又は上下両面を
    強制的に空気冷却する空気冷却手段と、 を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか
    1項に記載の摩擦攪拌接合装置。
  6. 【請求項6】 被接合部材の支持・固定テーブルを、 前記裏当金の支持部と、該裏当金支持部を挟んだ左右両
    側方部に分割して形成するとともに、 前記左右両側方部の上面が前記裏当金の上面を含む水平
    面に対して、所定の俯角度だけ傾斜・水平復帰自在に設
    けたこと、 を特徴とする請求項4又は請求項5に記載の摩擦攪拌接
    合装置。
  7. 【請求項7】 前記被接合部材の材質がアルミニウム
    又はアルミニウム合金である請求項1〜請求項6の何れ
    か1項に記載の摩擦攪拌接合装置。
  8. 【請求項8】 前記上下方向拘束手段の拘束圧力が被
    接合部材平面積当たり0.1〜5MPaに、前記幅方向
    拘束手段の拘束圧力が突き合わせ部の単位長さ当たり及
    び単位板厚当たり(以後、単位端面積当たりと称する)
    0.02〜0.6KN/mm2に各々調整可能であり、 前記空気冷却手段が、前記被接合部材の接合中の、前記
    突合わせ部から幅方向へ30mm離れた上面最高温度と室
    温との差が75〜50℃の範囲に入り、かつ、前記突合
    わせ部から幅方向へ100mm離れた上面最高温度と室温
    との差が15〜20℃及び/又は前記突合わせ部から幅
    方向へ200mm離れた上面最高温度と室温との差が2〜
    6℃に、空気冷却が可能なものである、請求項6又は請求項7 に記載の摩擦攪拌接合装置。
  9. 【請求項9】 凹面の底面と該底面中央部から下方に
    突出する攪拌ピンを備えた回転ツールの、前記攪拌ピン
    を回転させながら裏面を裏当金で支持された被接合部材
    の突合わせ部の中に押し込み、前記凹面の底面を前記被
    接合部材の上面に押し付けながら、前記回転ツールの回
    転軸を被接合部材の上面に垂直な線に対して上方を回転
    ツールの前進方向とは反対方向に所定の角度だけ傾斜せ
    しめた状態で、前記回転ツールを前記突合わせ部に沿っ
    て移動させることにより、前記被接合部材を摩擦熱によ
    り固相接合する摩擦攪拌接合装置であって、 前記回転ツールの前進方向側の回転ツール近傍の前記突
    合わせ部を中心とした両被接合部材端部上面を加圧する
    加圧ローラを備え、 前記被接合部材の材質がアルミニウム又はアルミニウム
    合金であり、 前記上下方向拘束手段の拘束圧力が被接合部材平面積当
    たり0.1〜5MPaに、前記幅方向拘束手段の拘束圧
    力が突き合わせ部の単位長さ当たり及び単位板厚当たり
    (以後、単位端面積当たりと称する)0.02〜0.6
    KN/mm2に各々調整可能であり、 前記空気冷却手段が、前記被接合部材の接合中の、前記
    突合わせ部から幅方向へ30mm離れた上面最高温度と室
    温との差が75〜50℃の範囲に入り、かつ、前記突合
    わせ部から幅方向へ100mm離れた上面最高温度と室温
    との差が15〜20℃及び/又は前記突合わせ部から幅
    方向へ200mm離れた上面最高温度と室温との差が2〜
    6℃に、空気冷却が可能なものである、ことを特徴とす
    る摩擦攪拌接合装置。
  10. 【請求項10】 前記加圧ローラの支持手段に、前記加
    圧ローラの上下方向位置の調整手段及び/又は前記加圧
    ロ−ラによる前記被接合部材上面の加圧力を調整可能な
    加圧・付勢手段を具備したことを特徴とする請求項9
    記載の摩擦攪拌接合装置。
  11. 【請求項11】 凹面の底面と該底面中央部から下方に
    突出する攪拌ピンを備えた回転ツールの、前記攪拌ピン
    を回転させながら裏面を裏当金で支持された被接合部材
    の突合わせ部の中に押し込み、前記凹面の底面を前記被
    接合部材の上面に押し付けながら、前記回転ツールの回
    転軸を被接合部材の上面に垂直な線に対して上方を回転
    ツールの前進方向とは反対方向に所定の角度だけ傾斜せ
    しめた状態で、該回転ツールを前記突合わせ部に沿って
    移動させることにより、前記被接合部材を摩擦熱により
    固相接合する摩擦攪拌接合方法において、 前記回転ツールの前進方向側の回転ツール近傍の前記突
    合わせ部を中心とした両被接合部材端部上面を加圧ロー
    ラで加圧しながら接合し、 前記回転ツールの上方から見た回転方向が、時計の針と
    反対方向の場合には、前記回転ツールの前進方向の左側
    の被接合部材の突合わせ部上面を基準面に、時計の針と
    同方向の場合には、前記回転ツールの前進方向の右側の
    被接合部材の突合わせ部上面を基準面に、各々定め、前
    記基準面より上方を正の位置とした場合に、下記式1又
    は式2で定義される突合わせ部における両被接合部材端
    部上面間の修正段差Δc(mm) が、+ 0.5〜−0.1mm
    の範囲に入るように、前記加圧ローラにより加圧しなが
    ら接合することを特徴とする摩擦攪拌接合方法。 (1)基準面の位置が非基準面の位置以下の場合: Δc =Δa −dps ………………式1 (2)基準面の位置が非基準面の位置以上の場合: Δc =Δa +dps ………………式2 ここで、 Δa :基準面より上の位置を正として表した基準面と非
    基準面と の間の実際の段差(mm) dps:相対的に高い方の上面からの回転ツールの肩の後
    端の押し 込み深さ(mm)
  12. 【請求項12】 前記被接合部材の突合わせ部が押出形
    材の面板を含む板厚の等しい一対の板部材の突合わせ部
    である場合に、前記加圧ローラによる被接合部材の突合
    わせ部上面への加圧力が100〜500kgfであること
    を特徴とする請求項11に記載の摩擦攪拌接合方法。
  13. 【請求項13】 凹面の底面と該底面中央部から下方に
    突出する攪拌ピンを備えた回転ツールの、前記攪拌ピン
    を回転させながら裏面を裏当金で支持された被接合部材
    の突合わせ部の中に押し込み、前記凹面の底面を前記被
    接合部材の上面に押し付けながら、前記回転ツールの回
    転軸を被接合部材の上面に垂直な線に対して上方を回転
    ツールの前進方向とは反対方向に所定の角度だけ傾斜せ
    しめた状態で、該回転ツールを前記突合わせ部に沿って
    移動させることにより、前記被接合部材を摩擦熱により
    固相接合する摩擦攪拌接合方法において、 前記回転ツールの前進方向側の回転ツール近傍の前記突
    合わせ部を中心とした両被接合部材端部上面を加圧ロー
    ラで加圧しながら接合し、 前記被接合部材の突合わせ部が押出形材の面板を含む板
    厚の等しい一対の板部材の突合わせ部であって、該突合
    わせ部の接合中において被接合部材裏面が密着した前記
    裏当金上面の最高温度が50〜200℃となるように、
    該裏当金の材質、形状、寸法を予め選択しておくか、及
    び/又は、該裏当金の内部及び/又は裏面及び/又は該
    裏当金の支持台の内部に形成された流通経路を流通する
    冷媒により該裏当金を冷却しつつ、接合することを特徴
    とする摩擦攪拌接合方法。
  14. 【請求項14】 前記被接合部材の突合わせ部が押出形
    材の面板を含む板厚の等しい一対の板部材の突合わせ部
    である場合に、前記加圧ローラによる被接合部材の突合
    わせ部上面への加圧力が100〜500kgfであること
    を特徴とする請求項13に記載の摩擦攪拌接合方法。
  15. 【請求項15】 前記被接合部材の突合わせ部が押出形
    材の面板を含む板厚の等しい一対の板部材の突合わせ部
    であって、該突合わせ部の接合中において被接合部材裏
    面が密着した前記裏当金上面の最高温度が50〜200
    ℃となるように、該裏当金の材質、形状、寸法を予め選
    択しておくか、及び/又は、該裏当金の内部及び/又は
    裏面及び/又は該裏当金の支持台の内部に形成された流
    通経路を流通する冷媒により該裏当金を冷却しつつ、接
    合することを特徴とする請求項11又は請求項12に記
    載の摩擦攪拌接合方法。
  16. 【請求項16】 凹面の底面と該底面中央部から下方に
    突出する攪拌ピンを備えた回転ツールの、前記攪拌ピン
    を回転させながら裏面を裏当金で支持された被接合部材
    の突合わせ部の中に押し込み、前記凹面の底面を前記被
    接合部材の上面に押し付けながら、前記回転ツールの回
    転軸を被接合部材の上面に垂直な線に対して上方を回転
    ツールの前進方向とは反対方向に所定の角度だけ傾斜せ
    しめた状態で、該回転ツールを前記突合わせ部に沿って
    移動させることにより、前記被接合部材を摩擦熱により
    固相接合する摩擦攪拌接合方法において、 前記回転ツールの前進方向側の回転ツール近傍の前記突
    合わせ部を中心とした両被接合部材端部上面を加圧ロー
    ラで加圧しながら接合し、 前記被接合部材の突合わせ部が押出形材の面板を含む板
    厚の等しい一対の板部材の突合わせ部であって、該被接
    合部材を請求項6に記載の摩擦攪拌接合装置の被接合部
    材の支持・固定テーブルで支持・ 固定して該突合わせ部
    を接合するに際して、 前記裏当金支持部を挟んだ左右両側方部を、前記裏当金
    上面を含む水平面に対して、所定の俯角度だけそれぞれ
    の幅方向端部が低くなるように傾斜せしめた状態で接合
    することを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
  17. 【請求項17】 前記被接合部材の突合わせ部が押出形
    材の面板を含む板厚の等しい一対の板部材の突合わせ部
    であって、該被接合部材を請求項6に記載の摩擦攪拌接
    合装置の被接合部材の支持・固定テーブルで支持・ 固定
    して該突合わせ部を接合するに際して、 前記裏当金支持部を挟んだ左右両側方部を、前記裏当金
    上面を含む水平面に対して、所定の俯角度だけそれぞれ
    の幅方向端部が低くなるように傾斜せしめた状態で接合
    することを特徴とする請求項11〜請求項15のいずれ
    か1項に記載の摩擦攪拌接合方法。
  18. 【請求項18】 前記被接合部材の材質がアルミニウム
    又はアルミニウム合金である請求項11〜請求項17
    何れか1項に記載の摩擦攪拌接合方法。
  19. 【請求項19】 凹面の底面と該底面中央部から下方に
    突出する攪拌ピンを備えた回転ツールの、前記攪拌ピン
    を回転させながら裏面を裏当金で支持された被接合部材
    の突合わせ部の中に押し込み、前記凹面の底面を前記被
    接合部材の上面に押し付けながら、前記回転ツールの回
    転軸を被接合部材の上面に垂直な線に対して上方を回転
    ツールの前進方向とは反対方向に所定の角度だけ傾斜せ
    しめた状態で、前記回転ツールを前記突合わせ部に沿っ
    て移動させることにより、前記被接合部材を摩擦熱によ
    り固相接合する摩擦攪拌接合方法において、 前記被接合部材の単位平面積当りの上下方向の拘束圧力
    を0.1〜1MPaに、突合せ部の単位端面積当たりの
    幅方向の拘束圧力を0.02〜0.6KN/mm2に各々
    調整し、 前記被接合部材の接合中の、前記突合わせ部から幅方向
    へ略30mm離れた上面最高温度と室温との差が50〜7
    5℃の範囲に入り、かつ、前記突合わせ部から幅方向へ
    略100mm離れた上面最高温度と室温との差が15〜2
    0℃となるように及び/又は前記突合わせ部から幅方向
    へ略200mm離れた上面最高温度と室温との差が2〜6
    ℃となるように、突合わせ部を中心とする両被接合部材
    の上面又は上下両面を強制的に空気冷却しつつ接合する
    こと、 を特徴とする請求項16〜請求項18の何れか1項に記
    載の摩擦攪拌接合方法。
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