JP3324865B2 - 熱可塑性ポリエステル組成物 - Google Patents

熱可塑性ポリエステル組成物

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JP3324865B2 JP06394394A JP6394394A JP3324865B2 JP 3324865 B2 JP3324865 B2 JP 3324865B2 JP 06394394 A JP06394394 A JP 06394394A JP 6394394 A JP6394394 A JP 6394394A JP 3324865 B2 JP3324865 B2 JP 3324865B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、結晶化速度が改良され
て成形性に優れ、かつ結晶化度の改良された熱可塑性ポ
リエステル組成物に関する。当該熱可塑性ポリエステル
組成物は、エンジニアリング用成形材料としてはもちろ
んのこと、フィルムや繊維等への応用も期待できる。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】ポリエス
テル系樹脂、特にポリエチレンテレフタレートは、その
優れた機械的特性、耐薬品性およびガスバリヤー性を生
かし、エンジニアリング用成形材料等、様々な分野へと
その用途を拡大している。最近では高い結晶融点を生か
し、電子レンジで使用可能な食品容器や、電子部品等の
より耐熱性が要求される用途も出てきており、結晶化さ
せたポリエチレンテレフタレートの耐熱性素材としての
使用が期待されている。
【0003】しかし、ポリエチレンテレフタレートは結
晶化速度が遅い。そのため充分な結晶化度を有する成形
品を得るために、高温金型を使用する方法や、タルク等
を結晶核剤としポリエチレングリコール等を結晶化促進
剤として添加する方法等が、現在提案されている。しか
しながら、上記のような方法では、結晶性改良の効果は
多少認められるものの、結晶化速度は遅く、結晶性もま
だ不十分であるのが現状である。
【0004】本発明の目的は、結晶化速度が速く、結晶
化度が高く、結晶性の優れた熱可塑性ポリエステル組成
物を提供することである。本発明の他の目的は、特に低
温(80〜150℃)での結晶化速度が向上された熱可
塑性ポリエステル組成物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意研究した結果、本発明を完成する
に至った。即ち本発明は、熱可塑性ポリエステル樹脂
と、M2 SiF6 (Mはアルカリ金属)とタルクの混合
割合が重量比で10:90〜50:50である混合微粉
末に場合によりAl化合物を加えて混合したものの加熱
生成物からなる無機化合物を含有することを特徴とする
熱可塑性ポリエステル組成物に関する。また本発明は、
熱可塑性ポリエステル樹脂と、(a)M(Mはアルカリ
金属)、Mg、Si、O、Fおよび場合によりAlを含
む原子より構成される無機化合物、および(b)M、M
gおよびFなる原子より構成される無機化合物とを含有
することを特徴とする熱可塑性ポリエステル組成物に関
する。さらに本発明は、上記熱可塑性ポリエステル樹脂
組成物に、さらに結晶化促進剤を含有することを特徴と
する熱可塑性ポリエステル組成物に関する。
【0006】本発明においては、上記混合割合のM2
iF6 とタルク、およびこれに場合によりAl化合物を
加えた混合微粉末の加熱生成物からなる無機化合物を用
いることにより、結晶化速度および結晶性を向上させる
ことができる。また、それら混合物粉末の加熱生成物を
用いなくても、例えば別々に製造して得られた上記
(a)成分を含む無機化合物および(b)成分を含む無
機化合物の混合物を用いても、同様な効果をあげること
ができる。また、結晶化促進剤を加えることによって、
特に低温(80〜150℃)での結晶化速度を向上させ
ることができる。
【0007】本発明において用いられる熱可塑性ポリエ
ステル樹脂としては、特に制限はないが、その融点が1
50〜300℃のものが好ましい。該ポリエステル樹脂
として、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプ
ロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポ
リオキシエトキシベンゾエート、ポリエチレンナフタレ
ート等の芳香族ポリエステルが挙げられる。さらに、上
記ポリエステルの構成成分と他の酸成分および/または
グリコール成分(例えば、イソフタル酸、p−オキシ安
息香酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタール酸、ジフ
ェニルメタンジカルボン酸、ダイマー酸のような酸成
分、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ネオ
ペンチルグリコールアルキレンオキシド付加体のような
グリコール成分)を共重合したポリエステル、芳香族ポ
リエステル・ポリエーテルブロック共重合体、芳香族ポ
リエステル・ポリラクトンブロック共重合体、ポリアリ
レート等の広義のポリエステルが例示される。なかで
も、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテ
レフタレートが好ましい。
【0008】上記ポリエステル樹脂は、単独、または複
数樹脂のブレンド(例えば、ポリエチレンテレフタレー
トとポリブチレンテレフタレートとのブレンド等)、も
しくはそれらの共重合体(例えば、ポリブチレンテレフ
タレートとポリテトラメチレングリコールとのポリエス
テルポリエーテル共重合体等)であってもよい。特に融
点が200℃〜300℃のものが耐熱性の点から最も好
ましい。
【0009】本発明において、M2 SiF6 とタルクの
混合割合が重量比で10:90〜50:50である混合
微粉末を加熱して得られる生成物は、M、Mg、Si、
O、Fおよび場合によりAlを含む原子より構成される
(a)成分と、M、MgおよびFなる原子より構成され
る(b)成分が含まれるが、その他にケイ酸、ケイ酸化
合物等の成分よりなり、それらの含有量は生成条件によ
り異なる。
【0010】上記加熱生成物の原料であるM2 SiF6
において、Mはアルカリ金属を示し、好ましくはリチウ
ム(Li)、ナトリウム(Na)およびカリウム(K)
である。好ましいM2 SiF6 としては、Li2 SiF
6 、Na2 SiF6 、K2 SiF6 等が例示され、より
好ましくはNa2 SiF6 である。当該M2 SiF
6 は、単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。特
に2種以上を混合した場合には、後述のポリエステルの
重合におけるグリコール類中での膨潤度や、加熱生成物
中の層状ケイ酸塩の形状やアスペクト比を調節できる利
点があり、好ましい。M2 SiF6 の2種以上を混合す
る場合の好ましい例としては、Na2 SiF 6 とLi2
SiF6 の混合物、Na2 SiF6 とK2 SiF6 の混
合物等が挙げられる。また上記のM2 SiF6 の代わり
にM2 SiF6 の一部をMFに代えてM2 SiF6 とM
Fの混合物を使用してもよい。
【0011】また、もう一方の原料であるタルクは、3
MgO・4SiO2 ・H2 Oが主成分で、少量ではある
がAlを含むものが多く、本発明では通常用いられてい
るものであれば特に制限なく使用できる。
【0012】M2 SiF6 とタルクの混合割合は、重量
比で10:90〜50:50であり、好ましくは15:
85〜40:60である。M2 SiF6 とタルクの混合
割合が10:90〜50:50の範囲外の場合は十分な
結晶性向上効果は得られない。
【0013】また、無機化合物中の(a)成分がM、M
g、Si、O、Fの他にAlを含んでいても同様な効果
が期待できるため、タルク中に少量含まれているAlは
何ら問題なく、またAl含量を増やすためにAl2 3
等のAl化合物をM2 SiF 6 およびタルクと共に混合
してもよい。
【0014】無機化合物の製造方法としては、所定割合
のM2 SiF6 とタルクおよび場合によってAl化合物
とを例えばボールミルのような粉砕機を用いてそれぞれ
粉砕し、混合後、耐熱性容器に入れ、電気炉やガス炉の
ような加熱炉中で所定の温度に保ち、所定時間保持する
方法等が挙げられる。加熱温度は、収率、膨潤性等の点
から700〜1000℃とするのが好ましい。
【0015】このようにして得られる加熱生成物を無機
化合物として、熱可塑性ポリエステル樹脂に加える。該
加熱生成物のなかでも(a)成分と(b)成分を含む無
機化合物が好ましい。
【0016】上記(a)は、式(1):
【0017】
【化1】
【0018】(式中、Mはアルカリ金属を示し、Li、
NaおよびKが好ましい。nは0.1〜1.0の数字、
mは0.05〜0.5の数字を示す)で表される化合物
である。化合物(1)はタルクの変性体あるいは誘導体
とみなすことができ、Siを含む2つの四面体層がM
g、Fを含む八面体層を間にはさむ3層構造をとる2:
1型の層状ケイ酸塩であり、その連続する3層構造と3
層構造の間の層間にアルカリイオンが存在する。その層
状ケイ酸塩には膨潤タイプと非膨潤タイプがあり、広義
の雲母の範疇に属する化合物を含む。また、Mgの一部
がAlに置換したもの、Siの一部がMg、Alに置換
したものも含まれるが、その置換量(モル)はMg、S
i各々の50モル%以下が望ましく、この場合は式
(2):
【0019】
【化2】
【0020】(式中、M、m、nは前記と同義)で表さ
れる。またタルク中に含まれるFe等の不純物がMg、
Siと一部置換したものも生成する可能性があるが、少
量であれば特に問題はない。式(1)で示される化合物
の具体例として、好ましくはNaMg2.5 Si4 10
2 、LiMg2.5 Si4 102 、KMg2.5 Si4
102 等の四ケイ素フッ素雲母が挙げられる。これらは
単独でも2種以上の混合物として使用してもよい。特に
2種以上の(a)成分を用いた場合、後述のポリエステ
ルの重合におけるグリコール類中での膨潤度や、該層状
ケイ酸塩の形状やアスペクト比を調節できる利点があ
り、好ましい。
【0021】(b)成分のMもアルカリ金属を表し、L
i、Na、Kが好ましい。(b)成分の具体例として、
フッ化マグネシウム塩等が挙げられ、好ましくはNaM
gF 3 、LiMgF3 、KMgF3 等が例示される。
【0022】(a)成分と(b)成分の割合は、重量比
で好ましくは99:1〜1:99である。
【0023】また加熱生成物に、必要に応じて、MF
(Mは前記と同義。例えばNaF、LiF、KF等が挙
げられる)、Al2 3 、ケイ酸、ケイ酸化合物等を配
合してもよい。
【0024】またM2 SiF6 とタルクの混合微粉末の
加熱生成物の代わりに、例えば別々に製造して得られた
上記の(a)成分を含む無機化合物と(b)成分を含む
無機化合物の混合物を用いることができる。(a)成分
を含む無機化合物は、例えば求める成分比になるように
原料を配合して1300〜1500℃位に加熱・溶融
し、冷却時に結晶化させたいわゆる溶融法でも合成でき
る。また(b)成分を含む無機化合物も溶融法で合成が
可能である。なお(b)成分は、M2 SiF6 とタルク
の混合割合が重量比で50を越える値:50未満〜7
0:30でも700〜1000℃に加熱することにより
生成できることが確認されている。上記(a)成分と
(b)成分を別々に製造してその混合物を使用する場合
も、MF(Mは前記と同義)、Al2 3 、ケイ酸、ケ
イ酸化合物等を必要に応じて配合してもよい。さらにM
2 SiF6 とタルクの混合微粉末の加熱生成物に、別に
製造した(a)成分を含む無機化合物および/または
(b)成分を含む無機化合物を配合して調整してもよ
い。
【0025】無機化合物の粒径は、熱可塑性ポリエステ
ル組成物の用途、要求される性能等に応じて選択するこ
とができる。一般的には微細なものがよく、平均粒径が
約10μm以下が好ましく、より好ましくは5μm以下
である。
【0026】本発明において、熱可塑性ポリエステル樹
脂と無機化合物の配合量は、成形加工の際の流動性や表
面特性の点から、熱可塑性ポリエステル樹脂100重量
部に対して、好ましくは0.01〜100重量部、より
好ましくは0.1〜25重量部である。無機化合物とし
て(a)成分と(b)成分を使用する場合、上記配合量
は(a)成分と(b)成分の合計量である。
【0027】本発明の組成物には結晶化促進剤を加えて
もよい。使用される結晶化促進剤としては、樹脂の結晶
化促進剤として一般に使用されているものであれば特に
制限はなく使用できる。該結晶化促進剤として、例え
ば、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、メチレ
ンビスステアリルアミド、エチレンビスステアリルアミ
ド等の高級脂肪酸アミド;エチレングリコール、トリエ
チレングリコール、ペンタエリスリトール、ネオペンチ
ルグリコール、ポリエチレングリコール等の脂肪族ポリ
オールのジ安息香酸エステル;ジフェニルエステル;ジ
アルキルエステル;ポリエチレングリコールジグリシジ
ルエーテル、ポリエチレングリコールモノグリシジルエ
ーテルの安息香酸エステル;フェニルエステル;アルキ
ルエステル等が挙げられる。好ましくはポリエチレング
リコールジ安息香酸エステルである。上記結晶化促進剤
は、単独でも2種以上を組み合わせても(例えば、ポリ
エチレングリコールエステルとステアリン酸アミドの組
み合わせ等)用いることができる。
【0028】結晶化促進剤を配合する場合、その配合量
は、低温(80〜150℃)での結晶化速度促進効果等
の点から、熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対
して、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは
0.1〜10重量部である。
【0029】本発明の熱可塑性ポリエステル組成物は、
フェノール/テトラクロロエタン混合溶媒(6/4重量
比)中、30℃で測定して求めた固有粘度(極限粘度)
が0.5以上であることが好ましく、より好ましくは
0.6以上である。
【0030】当該熱可塑性ポリエステル組成物の結晶化
速度(120℃において)は、好ましくは0.01秒-1
以上、より好ましくは0.04秒-1以上である。ここで
結晶化速度とは、時分割光散乱装置を用いて結晶化過程
を解析して求める値である。図1はその結晶化過程およ
び結晶化速度の一例を示すグラフであり、縦軸は結晶相
の体積分率(結晶化終了後の値を1とした)を、横軸は
時間(結晶化させる温度に定めたホットプレート上に、
溶融したサンプルを乗せた時間を0とした)を示す。図
の曲線は、時間0から誘導時間を経た後、結晶体が成長
し始め、やがてサンプルが結晶相で満たされ、結晶化が
終了する様子を表している。結晶体が成長するときの曲
線の傾きを結晶化速度とした。
【0031】また、結晶化度は、好ましくは30重量%
以上、より好ましくは35重量%以上、60重量%以下
である。ここで結晶化度とは、溶融したサンプルを液体
窒素中で急冷して調製した非晶サンプルを、示差熱量計
により室温から20℃/分で昇温し、昇温過程で結晶化
を進行させて、そのとき生成した結晶相の発熱量から求
める値をいう。
【0032】本発明の熱可塑性ポリエステル組成物は、
ポリエステルの原料であるグリコール類に、予め無機化
合物を分散させて膨潤処理すること以外は、通常の熱可
塑性ポリエステルの製造方法に従って製造することがで
きる。本発明においては、無機化合物の分散を通常の混
練機を用いて行なうのではなく、ポリエステル樹脂の重
合中に行なうことにより、無機化合物を均一にポリエス
テル樹脂中に分散させて結晶性を向上させることができ
る。
【0033】なお、グリコール類としては、例えばエチ
レングリコール、ブチレングリコール等、熱可塑性ポリ
エステル樹脂の原料と同じグリコールを用いることが好
ましい。
【0034】また、グリコール類に無機化合物を分散さ
せて膨潤処理する方法としては、特に限定されるもので
はないが、グリコール類中に無機化合物を長時間浸漬さ
せる方法、グリコール類中に無機化合物を分散させた状
態で加熱撹拌させる方法、あるいは超音波処理、振盪
等、任意の方法を採用することができる。
【0035】さらに結晶化促進剤を添加する場合は、上
記熱可塑性ポリエステル樹脂と無機化合物からなる組成
物を加熱乾燥した後、結晶化促進剤を添加し、2軸押出
機等により、混練、混合する方法等がある。
【0036】なお、本発明組成物においては、本発明の
目的に反しない限り、上記成分(熱可塑性ポリエステル
樹脂、無機化合物、結晶化促進剤)以外にも、必要に応
じてタルク、ワラストナイト、モンモリロナイト、ガラ
ス繊維等の強化剤、難燃剤、離型剤、光または熱安定
剤、可塑剤、帯電防止剤、着色剤等の添加剤を添加する
ことができる。なおこれらの添加剤は、ポリエステルの
重合中ではなく、重合後に加えることが好ましい。
【0037】
【作用】本発明の組成物では、熱可塑性ポリエステル樹
脂を重合する工程において、無機化合物中の層状ケイ酸
塩の層状の各結晶層間に、ポリエステル樹脂の原料モノ
マーの一部をインターカレーションすることにより、層
状ケイ酸塩が各層ごとに分離し、熱可塑性ポリエステル
樹脂中にアロイの如く均一に混ざり合うこと、および層
状ケイ酸塩とフッ化マグネシウム塩やさらにケイ酸、ケ
イ酸化合物との相乗効果等により、結晶性を向上させる
ことができるものと考えられる。つまり、本発明組成物
の結晶化機構は、通常ポリエステルが結晶化する際の結
晶化機構とは全く異なっており、無機化合物の層間にお
いて一種の配向結晶化のようなものが起こっていると考
えられる。
【0038】
【実施例】本発明を実施例を用いて具体的に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0039】参考例1(無機化合物の調製) 表1に示す組成比(重量比)のタルクとケイフッ化ナト
リウム(Na2 SiF 6 )の混合微粉末を、電気炉中、
900℃で約1時間加熱した。次いで、得られた生成物
の広角X線回折ピークより生成物を同定した。 (a)成分である膨潤タイプの化合物:
【0040】
【化3】
【0041】(式中、mおよびnは前記と同義)の存在
の有無は、代表散乱角2θ=7.1度における散乱強度
により判断できる。また、(b)成分であるNaMgF
3 の存在の有無は、代表散乱角2θ=23.1度におけ
る散乱強度により判断できる。さらに、各代表散乱角に
おける強度比により、これらの存在割合を定量的に評価
した。その結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】表1より、タルクとM2 SiF6 の使用比
率が、生成物としての(a)成分および(b)成分の生
成比率に大きな影響を及ぼしていることがわかる。つま
り、タルクがM2 SiF6 より少なくなると(a)成分
が生成しなくなる。
【0044】実施例1〜7、比較例1〜5 無機化合物として、表2、表3に示す組成比(重量比)
のタルクとケイフッ化ナトリウム(Na2 SiF6 )の
混合微粉末から参考例1と同様にして製造した加熱生成
物を使用し、該無機化合物10gを、各々エチレングリ
コール540g中に分散させ、室温で60分間撹拌し
た。これを撹拌装置つきのオートクレーブに導入して9
0℃に保った後、テレフタル酸ジメチル500gを系内
に添加してエステル交換反応を行った後、常法により重
合反応を進行させて、ポリエチレンテレフタレートが主
成分である熱可塑性ポリエステル組成物を得た。なお、
比較例1は無機化合物を添加しなかった以外は上記と同
様にして熱可塑性ポリエステル組成物を得た。
【0045】実施例8〜13、比較例6〜8 無機化合物として、表2、表3に示す組成比(重量比)
のタルクとケイフッ化ナトリウム(Na2 SiF6 )の
混合微粉末から参考例1と同様にして製造した加熱生成
物を使用し、該無機化合物10gを、各々エチレングリ
コール540g中に分散させ、室温で60分間撹拌し
た。これを撹拌装置つきのオートクレーブに導入して9
0℃に保った後、テレフタル酸ジメチル500gを系内
に添加してエステル交換反応を行った後、常法により重
合反応を進行させて、ポリエチレンテレフタレートが主
成分である組成物を得た。得られた組成物を140℃で
4時間熱風乾燥した後、結晶化促進剤であるポリエチレ
ングリコールジベンゾエート(三洋化成社製、KRM4004)
を、表2、表3記載の配合割合で添加し、2軸押出機
(池貝鉄工社製、PCM-30)を用いて280℃で混練し、
熱可塑性ポリエステル組成物を得た。なお、比較例8は
無機化合物を添加しなかった以外は上記と同様にして熱
可塑性ポリエステル組成物を得た。
【0046】比較例9 無機化合物として、タルクとケイフッ化ナトリウム(N
2 SiF6 )の混合微粉末の加熱生成物の代わりに、
天然の白雲母〔KAl2 (AlSi3 10)(O
H)2 〕を用いた以外は、実施例1と同様にして熱可塑
性ポリエステル組成物を得た。
【0047】上記実施例および比較例で得られた熱可塑
性ポリエステル組成物において、その極限粘度、結晶化
速度、結晶化度を以下のようにして測定し、その結果を
表2に示す。 極限粘度 フェノール/テトラクロロエタン混合溶媒(重量比6/
4)中、30℃で測定した。 結晶化速度 時分割光散乱装置を用いて、前記した如く、結晶化過程
を解析して求めた。なお、ここでは、120℃、130
℃、181℃、200℃での値を測定した。 結晶化度 前記した方法で、下記の式、
【0048】
【数1】
【0049】から求めた。
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【発明の効果】本発明の熱可塑性ポリエステル組成物
は、結晶化速度が速く、結晶化度が高く、結晶性の優れ
たものである。また、結晶化促進剤を配合すると、低温
における結晶化速度がより向上する。つまり、本発明組
成物を用いれば寸法安定性に優れた成形品を得ることが
でき、本発明組成物はエンジニアリング用成形材料とし
ては勿論のこと、フィルムや繊維への応用も可能であ
る。特に、ガスバリヤー性や吸水率の改善されたフィル
ム等への応用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】結晶化過程および結晶化速度の一例を示すグラ
フである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 文和 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋 紡績株式会社 総合研究所内 (72)発明者 篠田 宜宏 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋 紡績株式会社 総合研究所内 (72)発明者 田中 伊都郎 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋 紡績株式会社 総合研究所内 (56)参考文献 特開 平6−80820(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 67/00 - 67/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ポリエステル樹脂と、(a)M
    (Mはアルカリ金属)、Mg、Si、O、Fおよび場合
    によりAlを含む原子より構成される無機化合物、およ
    び(b)M、MgおよびFなる原子より構成される無機
    化合物とを含有することを特徴とする熱可塑性ポリエス
    テル組成物。
  2. 【請求項2】 さらに結晶化促進剤を含有することを特
    徴とする請求項1記載の熱可塑性ポリエステル組成物。
JP06394394A 1994-03-31 1994-03-31 熱可塑性ポリエステル組成物 Expired - Fee Related JP3324865B2 (ja)

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