JP3324373B2 - 光送受信モジュ−ル - Google Patents

光送受信モジュ−ル

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JP3324373B2
JP3324373B2 JP31970595A JP31970595A JP3324373B2 JP 3324373 B2 JP3324373 B2 JP 3324373B2 JP 31970595 A JP31970595 A JP 31970595A JP 31970595 A JP31970595 A JP 31970595A JP 3324373 B2 JP3324373 B2 JP 3324373B2
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optical
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直之 山林
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  • Semiconductor Lasers (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、光ファイバに2
つ以上の異なる波長の光信号を一方向或いは双方向に通
し、基地局と加入者の間で情報を伝送する光双方向通信
において、複数の受光素子、或いは、受光素子と発光素
子を一体化した光送受信モジュールに関する。
【0002】[光双方向通信の説明] 近年、光ファイ
バの伝送損失が低下し、半導体レ−ザ(以下LDと略
す)や半導体受光素子(以下PDと略す)の特性が向上
してきた。このため光を用いた様々な情報の伝送が可能
になってきた。光を用いる通信であるので、光通信とい
う。伝送されるべき情報の形態としては、電話、ファク
シミリ、テレビ画像信号などがある。特に、波長が1.
3μm帯の光や、1.55μm帯の光などの長波長の光
を用いた通信の試みが盛んに行われている。最近は、1
本の光ファイバを用いて信号を双方向に送り、同時に信
号を送受信できるシステムが検討されている。信号を双
方向に送るから双方向通信と呼ぶ。この方式の利点は、
ファイバが1本で済むことである。
【0003】図1は、このような双方向通信の内、異な
る波長の光を用いる波長多重双方向通信の原理図であ
る。一つの局と複数の加入者が光ファイバによって結合
される。ここでは加入者は一つだけ図示している。実際
には数多くの分岐点があって、局からの光ファイバは多
数の光ファイバに分岐して加入者の装置に至っている。
【0004】局側は、電話やTVの信号をデジタル或い
はアナログ信号として増幅し、この信号によって半導体
レ−ザLD1を駆動する。この信号は波長λ1の信号と
なって、光ファイバ1に入る。分波器2によって、中間
の光ファイバ3に導かれる。これが加入者側の分波器4
により光ファイバ5に入り、受光素子PD2によって受
信される。これによって光電変換され、電気信号P3と
なる。電気信号P3は、加入者側の装置によって増幅さ
れ信号処理されて、電話の音声或いはテレビ画像として
再生される。このように基地局から加入者側に向かう信
号を下り信号といい、この方向を下り系という。
【0005】一方加入者側は、電話やファクシミリの信
号を半導体レ−ザLD2によって波長λ2の光信号に変
換する。λ2の光は、光ファイバ6に入射し、分波器4
によって中間の光ファイバ3に導かれ、局側の分波器2
を通って受光素子PD1に入る。局側の装置は、λ2の
光信号をPD1によって光電変換し、電気信号とする。
この電気信号は、交換機や信号処理回路に送り込まれて
適当な処理を受ける。このように局側へ信号を送る方向
を上り系という。
【0006】以上の説明では、λ1は下り系、λ2は上
り系にのみ使われている。しかし実際には、同じ波長の
光を下りと上りに使うことがある。時には2種類の波長
の光の何れをも上りと下りに伝搬させることもある。こ
のような場合、波長による二つ光の分離が極めて重大な
問題になってくる。
【0007】[光の分波器の説明] このように、2つ
の波長の光を用い、1本の光ファイバによって、光双方
向通信を行うためには、局側、加入者側どちらも光の波
長を識別し光路を分離する機能が必要である。図1に於
ける分波器2、4がその機能を果たす。分波器は、波長
λ1と波長λ2の光を、結合して1本の光ファイバに導
入したり、二つの波長の光から、一方の光のみを選んで
1本の光ファイバに取り出したりする作用がある。波長
多重双方向通信を行うには分波器が極めて重要な役割を
果たす。
【0008】現在提案されている分波器にはいくつかの
種類がある。図2〜図4によって説明する。図2の例で
は、分波器は光ファイバまたは光導波路によって作られ
る。二つの光路8、9が一部分10で近接しており、こ
こで光エネルギーの交換がなされる。近接部10の間隔
Dや距離Lによって、様々の態様の結合を実現できる。
ここでは、光路8にλ1の光を、光路9にλ2の光を入
射すると、光路11にλ1、λ2のいずれもの光が出て
くるようになっている。光路12にはいずれの光も入ら
ないようになっている。ポートP1からのλ1とP2か
らのλ2が、いずれもP3に現れる。P4には光が出て
こない。つまりλ1は隣接光ファイバには入らず、λ2
が位相条件を満足し隣接光ファイバに全部移ってしまう
のである。光ファイバや光導波路を用いるからこの分波
器は、偏波依存性が少ないという長所がある。
【0009】導波路や光ファイバを進む光の経路につい
ては可逆性がある。図2のような分波器を、双方向通信
では、図3のようにして利用することができる。P1か
ら光ファイバ8にλ1の光を入れ、P3から出るように
する。P3からλ2の光を入れてP2から取り出す。こ
れは図1の分波器2、4として使うことができる。
【0010】図4は、多層膜ミラーを使うものである。
二等辺三角形柱のガラスブロック13、14の斜辺面に
誘電体多層膜を形成している。誘電体の屈折率と厚みを
適当に組み合わせて、λ1の光は全て透過し、λ2の光
は全て反射するようにしている。これは45°の角度で
入射した光を反射させるから偏波依存性がある。この分
波器も図1の分波器2、4として利用できる。このよう
な分波器は、分波・合波器とも呼ばれる。WDMという
こともある。光ファイバやガラスブロックによるものは
既に市販されている。
【0011】
【従来の技術】加入者側の光送受信モジュールについて
説明する。図5において、局から加入者に向けて敷設さ
れた光ファイバ16の終端が光コネクタ17によって、
屋内の光ファイバ18に接続される。加入者の屋内にあ
るONUモジュールには、光ファイバWDM(分波器)
21が設けられる。光ファイバ18と光ファイバ19
が、WDM21の内部で波長選択的に結合されている。
光ファイバ18には光コネクタ22によって、LDモジ
ュール25をつなぐ。光ファイバ19には光コネクタ2
3を介してPDモジュール27を接続する。
【0012】LD25、光ファイバ24は、上り系であ
る。1.55μm帯光が加入者側の信号を局へと伝送す
る。光ファイバ26、PDモジュール27は下り系であ
る。局からの1.3μm帯信号を受けて、PDモジュー
ルによって光電変換する。送信装置であるLD25は電
話やファクシミリの信号を増幅し、変調する回路や、電
気信号を光信号に変換する半導体レ−ザなどを含む。受
信装置であるPDモジュール27は、局から送られたT
V信号、電話などの光信号を光電変換するフォトダイオ
ードと増幅回路、復調回路などを含む。
【0013】波長分波器21は、1.55μm帯光と
1.3μm帯光を分離する作用がある。この例では、
1.55μm帯を上り系の信号光、1.3μm帯を下り
系の信号光として使っているが、実際には、下り系の信
号が2種類あるから、同じ波長の光信号を上りと下りに
使う必要がある。そのような場合、波長分波器において
二つの異なる波長の光を効率よく分離しなければならな
い。本発明は、2つの波長の異なる光信号を用いて双方
向通信をする場合における光送受信モジュールの改良に
関する。光送受信モジュールというのは、発光素子、受
光素子、これらの周辺の電気回路などを含めたものであ
る。これらの要素についての従来技術を説明する。
【0014】[従来例に係る半導体発光素子の説明]図
6によって従来例に係る半導体発光素子28を説明す
る。半導体レ−ザチップ29と、モニタ用のフォトダイ
オードチップ30を含むモジュールである。半導体レ−
ザチップ29はヘッダ32の隆起部31の側面に固定さ
れる。チップの面に平行の光を発生するからである。ヘ
ッダ32の底面にはフォトダイオードチップ30がレ−
ザチップの背面発光が入射する位置に固定される。ヘッ
ダ32の下面には適数のリードピン33がある。ヘッダ
32の素子取り付け面は、キャップ34によって覆われ
る。
【0015】キャップ34の中央部には窓35が開口し
ている。半導体レ−ザの光はチップから上下方向に出
る。窓35の直上にはレンズ37がある。これはレンズ
ホルダ−36によって支持される。レンズホルダ−の更
に上には、ハウジング38があって、これの上頂部には
フェルール39が固定される。フェルール39は光ファ
イバ40の先端を保持する。フェルールと光ファイバの
端部は斜め(8度)に研磨してある。戻り光が半導体レ
−ザに入るのを防止するためである。
【0016】半導体レ−ザの光を光ファイバ40の他端
において監視しながらホルダ−36をヘッダ32に対し
て位置決めし、さらにハウジング38をレンズホルダ−
36に対して位置決めする。半導体レ−ザチップ29、
フォトダイオードチップ30の各電極はワイヤによって
リードピン33の何れかに接続される。半導体レ−ザか
ら出た光はレンズによって絞られ、光ファイバの端部に
入射する。半導体レ−ザは信号によって変調されている
から、この光は信号を伝送することになる。半導体レ−
ザの出力は反対側にあるモニタ用のフォトダイオード3
0によってモニタされる。発振波長は半導体層の材料に
よって決まる。これについては後に述べる。
【0017】[従来例に係る半導体受光素子モジュール
の説明]図7によって従来の半導体受光素子モジュール
の一例を説明する。受光素子チップ41がヘッダ42の
上面にダイボンドされる。ヘッダ42の下面にはリード
ピン43が設けられる。ヘッダ42の上面はキャップ4
4によって覆われる。キャップ44の中央には光を通す
ための開口部45がある。キャップの外側にはさらに、
円筒形のホルダ−46が固定される。これはレンズ47
を保持するためのものである。
【0018】レンズホルダ−46の更に上には、円錐形
のハウジング48が固定される。光ファイバ50の先端
をフェルール49によって固定し、フェルール49がハ
ウジングによって保持される。フェルール、光ファイバ
の先端51は斜め研磨してある。
【0019】受光素子の場合も、光ファイバに光を通
し、受光素子チップ41の出力を監視しながら、ホルダ
−46の位置と、ハウジング48の位置、フェルールの
位置を決める。受光素子の半導体層によって、受光可能
な波長が決まる。可視光の場合はSiの受光素子を使う
ことができる。しかし本発明では、近赤外光を用いるO
NUモジュールを対象にするから、Siのフォトダイオ
ードは不適当である。赤外光を感受するためにはInP
を基板とする化合物半導体の受光素子を用いる必要があ
る。
【0020】[従来例に係る半導体受光素子チップの説
明]そこでInP基板を用いた長波長用の受光素子につ
いて述べる。 図8は従来例に係る光通信用受光素子チ
ップの断面図である。n型InP基板52の上に、n型
InPバッファ層53、n型InGaAs受光層(光吸
収層)54、n型InP窓層55がこの順にエピタキシ
ャル成長されている。チップの中央部上方から亜鉛を拡
散することによって、p型領域56を形成する。亜鉛拡
散はn型InGaAs受光層の半ばにまで達している。
つまりこの部分は、p型−InP窓層、p型InGaA
s受光層となっている。pn接合がInGaAs受光層
の内部に生ずる。
【0021】亜鉛拡散層56の上にリング状のp電極5
7を付ける。リング状p電極57の内側は光が入る部分
である。光入射部分は反射防止膜58によって覆う。p
電極57の外側はパッシベ−ション膜59によって保護
される。基板52の裏面にはn電極61が形成される。
このように基板の裏面は必ず電極が全面に形成されて光
が通らないようになっている。これが従来例の受光素子
の特徴の一つである。
【0022】p電極とn電極に電圧をかけてpn接合を
逆バイアスする。光ファイバの端部から出た入射光60
は中央部の反射防止膜58、p型InP窓層、p型In
GaAs層、pn接合を通りn型InGaAsに至る。
光が吸収されて電子正孔対を生ずる。逆バイアスされて
いるから電子はn電極に向けて、正孔はp電極に向いて
走行する。為に電流が流れる。吸収された光子の量と電
流が比例するから、入射光量を検出することができる。
【0023】InGaAs吸収層は、1.3μm光も
1.55μm光も吸収することができる。InP窓層で
は光は吸収されない。半導体は、バンドギャップよりも
小さいエネルギーの光はそのまま透過する。その光によ
って価電子帯の電子を伝導帯にまで上げることができな
いからである。つまりバンドギャップに対応する波長よ
りも長い波長の光に対して半導体は透明である。
【0024】反対に、十分な厚みがあれば、半導体はバ
ンドギャップよりも大きいエネルギーの光を全部吸収す
る。その光によって価電子帯の電子を伝導帯に上げるこ
とができるからである。そこで窓層の半導体のバンドギ
ャップをEgw、吸収層(受光層)のバンドギャップを
Egzとすると、Egz<hν<Egwの光は、窓層を
通り、受光層によって感受されることになる。ここでh
はプランク定数、νは光の振動数(周波数)である。つ
まり吸収層のバンドギャップEgzより大きく、窓層の
バンドギャップEgwより小さいエネルギーの光がこの
受光素子によって検出され得るのである。
【0025】さらにInGaAsと単純化して表現する
が、基板であるInPとの格子整合の条件から、Inと
Gaの比率は一義に決まる。In1-x Gax Asと書い
た時の混晶比xは一つの値に決まっている。つまりIn
Pに整合するInGaAs層のバンドギャップは一義的
に決定されるのである。図9は図8のようなInGaA
s受光素子の感度特性を示す。横軸は光の波長(μm)
である。縦軸は感度(A/W)である。0.9μm以下
(P領域)では感度が低く、0.95μmで感度が急に
増加する。1.0μm〜1.5μm(Q領域)で感度は
単調に増える。1.7μmから感度は急減し(R領
域)、1.75μmで感度は0に落ちる。
【0026】良く知られているように、光の波長λとエ
ネルギーEの間には、hν=hc/λ=Eの関係があ
る。ここでhはプランク定数である。νは光の振動数、
cは光速である。感度の波長下限(0.95μm)を決
めるのは、窓層(InP)のバンドギャップEgwであ
る。これより高いエネルギーの光は全て窓層によって吸
収されるから受光層(吸収層)まで入らない。
【0027】感度の波長上限(1.67μm)を決める
のは吸収層(InGaAs)のバンドギャップEgzで
ある。これより低いエネルギーの光は吸収層を単に透過
してしまうのでこの検出器によっては検知できない。つ
まり感度の立ち上がるP領域の波長を決めるのは窓層の
バンドギャップで、感度の立ち下がるR領域の波長を決
めるのは吸収層のバンドギャップである。このフォトダ
イオードはこのように広い感受幅をもつから、1.3μ
m光にも1.55μm光にも十分な感度を持っている。
つまり同じフォトダイオードを、1.3μmの検出に
も、1.55μmの検出にも用いることができる。
【0028】さらにフォトン(光子)のエネルギーはh
ν=hc/λであって、理想的にはフォトン一つが電子
正孔対を作り、2q(qは電荷素量)の電流を発生す
る。変換効率が100%の場合にそのようになる。つま
り受光素子の効率が100%という場合、感度は2qλ
/hc(A/W)によって与えられる。図9において
1.0μm〜1.55μmの間(Q領域)で感度が波長
λに単調に増えているのはこの関係による。高感度のフ
ォトダイオードであれば必ずこのような感度曲線にな
る。1.3μm光と1.55μm光とを用いて光通信の
信号を伝送するシステムにおいて、いずれの波長の光を
も感受できるフォトダイオードを使用するのは極めて好
都合のように思える。しかし実はここに問題が伏在して
いるのである。
【0029】もう一つの問題は波長分波器にある。従来
の構成は異なる波長の光を空間的に分離しなければなら
なかったので、必ず波長分波器を必要とした。これは光
ファイバ型、導波路型、ミラー型の何れであっても、2
つの波長の光しか扱えない。3つ以上の光を分離できな
い。これらはいずれも波長の相違を光路の中での位相定
数βの相違として、特定の位相定数の光のみをある光路
に、もう一つの位相定数の光のみを他の光路に導きだす
ものである。従って常に1:1の分配をする。3つ以上
の波長の光からそれぞれの波長の光を導き出すというよ
うな事はできない。つまり波長分波器を使う方法では、
3以上の波長多重信号を扱う事ができない。
【0030】波長分波器にはもう一つの欠点がある。二
つの波長を扱い、これを1:1に分配をするだけである
のに、分離が不完全である。出力を1、2で表すと、λ
1:λ2の比が、出力1でλ1:λ2=1:ε、出力2
でλ1:λ2=ε:1となる。消光比εが0にならな
い。せいぜい1/100の程度である。分離不完全であ
るために誘電体多層膜によってさらに消光比を0に近づ
けるようにする。波長分波器を省いた波長多重受光モジ
ュールも提案されている。
【0031】 特開平6−45635号は、同一の受
光素子チップ平面に二つの異なった波長の光に対して感
度のある二つの受光素子を設け、表面にその波長だけを
通す波長フィルタを形成したものを提案する。これも並
列型の受光素子の配列であるが、波長分波器を不要とす
る。しかしフィルタの消光比はなお不十分である。この
ような並列選択受光型の素子は二つの光を完全に分離し
て感受することができない。さらに光が2分され或いは
3分されるので目的となる受光素子に入射する光量が少
なくなり感度も低下する。
【0032】一定の波長の光のみを感受する横型の受光
素子(導波路型)も提案されている。それ以外の波長の
光は遮断してしまうものである。これは波長分波器で分
離した一方の光のみを高感度で検知するために開発され
る。
【0033】 宍倉正人、田中滋久、松田広志、中村
均、宮崎隆雄、辻伸二、「広トレランス導波路型PIN
フォトダイオード」、1995年電子情報通信学会総合
大会、C−386p386(1995) これは1.3μmと1.55μmを含む光を面に平行な
導波路に入射すると、1.3μm光のみを感じるように
したフォトダイオードである。適当なバイアス電圧かけ
たとき、1.3μmと1.55μmの感度の比は23d
B(200倍)であったと述べている。これは波長分波
器によって光を分離した後に、1.3μmのみを感受す
るのに使われるフォトダイオードとして開発されたもの
である。波長分波器はもちろん必要になる。端面での反
射損失が大きいので量子効率が低い(36%)。
【0034】
【発明が解決しようとする課題】従来の光送受信モジュ
ールには、このように3つの主要部品がある。波長分波
器、発光素子、受光素子の3つの部品である。部品点数
が多いので高価額になる。受信器として大型になればさ
らに価格も上昇する。これは双方向光通信の送受信器と
して致命的な欠陥と言わねばならない。もう一つ問題が
ある。それは分波器や、光ファイバでの結合部分での光
の損失が大きいという事である。そのために長距離通信
にはなお問題があって短距離通信しかできないという難
点がある。
【0035】部品点数がより少ない光送受信モジュール
を提供する事が本発明の第1の目的である。より小型で
低価額の光送受信モジュールを提供する事が本発明の第
2の目的である。さらに光の損失の少ない光送受信モジ
ュールを提案することが本発明の第3の目的である。長
距離通信に好適な光送受信モジュールを提供する事が本
発明の第4の目的である。低価額低光損失のモジュール
を提供する事によって光加入者系の実用化を多いに促進
することが本発明の第5の目的である。3つ以上の異な
る波長を含む光を信号として波長多重双方向通信できる
ようなモジュールを提供する事が本発明の第6の目的で
ある。
【0036】
【課題を解決するための手段】なぜに、従来の光送受信
モジュールが大型に、高価になるのか?本発明者はこの
問題について様々に考察した。従来のモジュールは、ひ
としなみに、波長の異なる二つの光を空間的に分離しよ
うとする。空間的に二つの光路を分離するのでやむを得
ず大型化してしまう。それも空間的分離が不十分である
ため損失が大きい。従来装置においては、空間的分離と
波長分離が等価である。空間分離が不十分であると波長
分離も不完全になる。つまりクロストークの問題が発生
する。TV信号の場合は画面にちらつきが現れる。空間
分離をより完全に行おうとすると波長分波器などに精巧
なものを使わなければならなくなる。ためにより一層高
価格、大型になってしまう。
【0037】どのようにすればこれらの問題を解決でき
るのか?本発明者はこれら従来のものとは全く反対に、
光路を分離しないで、光を同一光路を通して送受信する
事に思い至った。異なる波長の光を二つの光路に分け
ず、何れもの光を直進させて同じ光路上で検知するよう
にできれ良いはずである。そうすれば、空間分離の問題
は生じないし、空間分離不完全によるクロストークの問
題には無縁になるはずである。そのようなことが果たし
て可能であるのか?
【0038】従来の送受信器は、いずれの波長の光をも
感受できる受光素子を用いていた。つまり共通型の受光
素子を使っていた。これが問題である。何れの波長の光
にも感度があるので、予め信号光を空間的に分離しなけ
ればならなかったのである。空間的分離のために波長分
波器や、誘電体多層膜が不可欠であった。波長の異なる
光を空間分離し、異なる光路に導き、異なる光路の終点
に感度共通型受光素子を設置し、これによってそれぞれ
の光の強度を検出していた。
【0039】本発明は感度共通型受光素子を用いない。
感度固有型の受光素子を用いる。つまり波長λjのみを
感受する受光素子Djを用いる。波長分波器は用いな
い。波長分波器の機能を受光素子によって行うのであ
る。ために波長分波器は不要になる。本発明は半導体受
光素子の物性に関する深い省察からなされたものであ
る。良く考えれば半導体受光素子は特定の波長のみに感
受するようにできる。
【0040】図9によって半導体受光素子の感度の波長
依存性を説明した。この点は本発明にとって極めて重要
であるのでさらに説明する。図29によって入射光のエ
ネルギーと、半導体のバンド構造について述べる。伝導
帯の下端のエネルギーをEc、価電子帯の上端のエネル
ギーをEvとする。この差がバンドギャップである。E
g=Ec−Ev。伝導帯と価電子帯の間は禁制帯であ
る。不純物がない場合は、禁制帯には準位がない。伝導
帯には電子が少ししかないし、価電子帯には電子が詰ま
っている。価電子帯の電子の不足分が正孔である。0K
では伝導帯の電子、価電子帯の正孔の密度は0である。
不純物準位がない場合、フェルミ準位は禁制帯の中間部
に位置する。有限の温度では熱によって、伝導帯に電
子、価電子帯に正孔が僅かに励起されている。
【0041】光子が入射すると、価電子帯の電子を伝導
帯に励起する。これをaによって示す。このような現象
を電子正孔の励起という。これは当然に光のエネルギー
がバンドギャップより高い時にしか起こらない。つまり
hν≧Egが条件である。半導体が十分な厚さを持て
ば、バンドギャップより高いエネルギーの光は全て吸収
される。波長でいうと吸収端波長λg(=hc/Eg)
より短い波長λの光は全て吸収されるということになる
(λ<λg)。反対にバンドギャップよりも小さいエネ
ルギーの光が入射しても、矢印b、cのようにエネルギ
ーが足りない。禁制帯に電子準位がないので、矢印b、
cのような遷移は起こらない。つまりバンドギャップよ
りエネルギーの小さい光子(hν<Eg)はそのまま半
導体を通過する。このようなエネルギーの低い光に対し
て半導体は透明である。波長でいうと、吸収端波長λg
より長い波長の光は半導体を透過できるのである。
【0042】以上の説明は真性半導体の場合であって、
禁制帯に電子準位のない場合である。しかしn型、p型
半導体の場合であっても、多くの場合浅い不純物準位E
n、Epを作る。これを図30によって説明する。この
場合、遷移の起こるエネルギーの限界は(Eg−En)
或いは(Eg−Ep)となる。これらの準位En、Ep
はバンドギャップに比較して数百分の1〜十分の1程度
である。であるからn型、p型の半導体でも、吸収端が
少しずれるだけで殆ど同じ事が言える。
【0043】Esのように深い準位を作る不純物は、伝
導性の制御のためにはドープしない。良質のエピタキシ
ャル膜はこのような深い不純物準位を持たない。n型、
p型の場合は吸収されるフォトンエネルギーの限界がバ
ンドギャップEgの代わりに、(Eg−En)或いは
(Eg−Ep)となる。しかし殆ど値が変わらないの
で、以後、簡単にバンドギャップEgによって代表す
る。
【0044】つまり何れにしても、半導体の内部で、バ
ンドギャップEgより高いエネルギーhνの光子(E≧
Eg:λ≦λg))は吸収され、低いエネルギーの光子
(E<Eg:λ>λg))は透過する。つまり半導体は
それ自身波長選択性がある。これまで、半導体を波長選
択素子として利用したものはなかった。本発明者は半導
体の波長選択性を巧妙に利用する。そして半導体の波長
選択性を利用した素子を初めて提供する。
【0045】受光素子は既に述べたように窓層と受光層
(吸収層)の組み合わせである。窓層のバンドギャップ
Egwより低いエネルギーの光が窓層を透過し、受光層
のバンドギャップEgzより高いエネルギーの光が全て
吸収される。Egzより低いエネルギーの光は吸収層を
透過するが、n側電極61(図8)に当たって遮蔽され
外部には出ない。つまり入射光は波長によって3つの異
なる運命を辿る。
【0046】(1)E≧Egw:窓層によって吸収さ
れ、受光層に到達しない。無効光。 (2)Egw>E≧Egz:受光層で全て吸収される。
光電流になる。検出光。 (3)Egz>E:n側電極によって遮蔽。無効光。 エネルギーが高すぎるものも、低すぎるものも受光素子
によって検知されない。中間のエネルギーの値を持つも
のだけがこの受光素子によって感知され光電流に変換さ
れる。
【0047】感度の低波長限界Pを決めるのは窓層のバ
ンドギャップEgwであり、高波長限界Rを決めるのは
受光層(吸収層)のバンドギャップEgzである。常に
Egz<Egwである。この間のエネルギーの光は全て
感受する。この差(Egw−Egz)を小さくすると、
特定のエネルギーEmの光のみを感受できるようにな
る。つまりEgz<Em<Egwとなる領域が狭くな
り、特定の波長λmの光のみを感受するようになる。つ
まり窓層と受光層(吸収層)の組成を近づけ、Egw、
Egzを殆ど等しくする事により、感度固有型の受光素
子とすることができる。
【0048】同じ事を波長によって説明すると次のよう
になる。窓層の吸収端波長をλw、吸収層の吸収端波長
をλzとする。それぞれは先ほどのプランクの式によっ
て関係づけられる(λw=hc/Egw、λz=hc/
Egz)。λw<λm<λzで決まる、λmの光はこの
受光素子によって感受される。(λz−λw)を小さく
すると、特定の波長λmの光のみに感じる固有型受光素
子ができる。受光素子Dをその窓層の吸収端波長λwと
受光層の吸収端波長λzによって定義づけることとす
る。つまり受光素子D(λw、λz)と書く。これはλ
w<λ<λzの光のみに感度を持つという事である。
【0049】もしもn個の異なる波長の光λ1、λ2、
λ3、…、λn(λ1<λ2<λ3<、…、<λn)が
混在するとして、それぞれに感度固有型の受光素子D1
(λw1、λz1)、D2(λw2、λz2)、D3
(λw3、λz3)、…、Dn(λwn、λzn)を設
計する事ができる。つまり以下の条件を満足するように
窓層、受光層の材料を決めれば良い。
【0050】 D1(λw1、λz1): λw1<λ1<λz1<λ2 (1) D2(λw2、λz2): λ1<λw2<λ2<λz2<λ3 (2) D3(λw3、λz3): λ2<λw3<λ3<λz3<λ4 (3) Dj(λwj、λzj):λj−1<λwj<λj<λzj<λj+1(4) Dn(λwn、λzn): λn−1<λwn<λn<λzn(5) jは一般形である。
【0051】これを例にして式の意味を述べる。λwj
<λj<λzjは既に述べたように、λjの光がこの受
光素子によって感受されるための条件である。両端の不
等式に注意すべきである。λj−1<λwj、λzj<
λj+1は、Djが隣接する波長λj−1やλj+1の
光を感じないという条件である。つまりDjはλjの光
を感じるという感受条件と、それ以外の光を感じないと
いう不感条件を持って定義される。このような受光素子
は感度固有型と呼ぶことができる。Djはjの光だけに
感じ、その他の光には全く感じない。
【0052】本発明を構成する上でもう一つ重要な事が
ある。これは従来の受光素子では問題にならない事であ
る。吸収層の吸収端波長λz以上の波長を持つ光は、n
電極61(図8)に当たり外部に出ずここで消滅してい
た。しかし、もしも複数の波長の信号光を扱う系を構築
した場合、光ファイバを伝わってきたλz以上の波長の
光も多くの信号を担っているわけである。これを単に電
極で消滅させるのは無駄であるし、受光素子として余り
に無能であると言わざるを得ない。
【0053】そこで本発明は、裏面の電極を除去する。
代わりに透明の保護膜を被覆する。λz以上の波長の光
が裏面から外部に出るようにする。つまり受光面から入
った光は一部が感受され光電流になり、残りの波長の長
いものは全部裏面から出てゆく。透過型とでも命名でき
よう。これが本発明のもう一つの特徴である。本発明で
用いる受光素子は、感度固有型であって裏面に透過光の
出るようなものとする。これは単純な工夫であるが、前
記の感度固有型受光素子を組み合わせる事によって卓越
した効果を発揮する。本発明の受光素子の特徴を端的に
表すために、感度固有透過型受光素子ということができ
よう。これに対し従来のものは感度共通遮断型受光素子
ということができる。
【0054】本発明はこのような感度固有透過型受光素
子を複数個直列に接続する事によって、波長多重光ファ
イバ通信において画期的な送受信モジュールを与えよう
とする。直列に並べるので、光は次から次へと受光素子
の内部を伝達してゆくことができる。従来のように空間
的に分離するものではない。従来のものは並列型である
が、本発明は直列型である。
【0055】発明の内容が複雑であるので数学的な表現
を与える。本発明の受光素子群は特別な代数を要求す
る。信号光をSによって表現する。これが波長λ1、λ
2、…、λnを含む場合は、信号光S(n:λ1、λ
2、…、λn)と書くことにする。これはn個の異なる
波長の光が含まれ、短い方から列挙しているということ
を意味する。
【0056】光電流をIとする。これがm個の波長の信
号を含み、その波長が短いものから順にλ1、λ2、…
λmである場合、これをI(m:λ1、λ2、…λm)
と書く事にする。複数の波長の信号が混合したものが光
電流として検出されるとこれは混信であって、好ましく
ない。しかし本発明はそのようなことはしない。受光素
子は一つの波長の信号のみを取り出すものとする。つま
り光電流については、I(1:λj)とならなければな
らない。
【0057】受光素子の表面(前面)に光を入れる。こ
れを入力という。本発明は受光素子の裏面(後面)から
光を取り出す。これは信号を含む光である。これを出力
という。さらに受光素子が感受した光の強度に応じた光
電流Iを発生する。これも出力である。つまりある受光
素子を基準として、入力は信号光Sであり、出力は信号
光Sと光電流Iである。すると受光素子は、Sを入れ
て、S+Iを出力する演算子(オペレータ)と観念する
ことができよう。
【0058】そこで(入力)×(受光素子演算子)が出
力を与えると考える。但しこの代数は、演算子が左の値
に対して作用するものとする。通常の代数と反対であ
る。これは図面との対比を単純化させるためである。×
の記号を省いて、受光素子について、(入力)(受光素
子演算子)=(出力)という式によってこの関係を記述
する。つまりSD=S+Iという概念によって受光素子
Dの機能をとらえる。まずこの代数が従来のものに対し
てどうのような表現を与えるかを述べる。 (従来受光素子) 従来の感度共通型受光素子D(共
通)は複数の波長光を含む信号光に対して次の演算を与
える。
【0059】 S(n:λ1、λ2、…、λn)D(共通)=I(n:λ1、λ2、…、λn) (6)
【0060】これは二つの事を意味する。n個の異なる
波長の光を含む信号光を受光素子に入れると、それぞれ
の波長の信号が独立に光電流になるということである。
一つの波長のみを取り出すことができない。全ての光信
号を電流に変換している。もう一つは光の出力がないと
いう事である。
【0061】(本発明の受光素子に対する式)一方本発
明の受光素子は、感度固有であるから、j番面の受光素
子はj番目の波長の光のみを感受する。これより短い波
長の光((j−1)個)は感知できないし吸収してしま
う。これより長い(n−j)個の光は(λj+1、λj
+2、…、λn)感知できないが透過する事ができる。
これは出力において信号光となり得る。
【0062】 S(n:λ1、λ2、…、λn)Dj(λwj、λzj)=I(1:λj)+S (n−j:λj+1、λj+2、…、λn) (7)
【0063】長い波長の光が裏面に出ているから、これ
に対して他の受光素子kを並べることができる。jより
番号の小さい受光素子を並べても意味はない((8)
式)。j<k≦nの受光素子を接続すると、λkの光を
も感受することができ、k+1〜n番目の光を後方へ透
過させることができる。このように受光素子j、kを2
段縦に並べた場合、次の式によって入力と出力の関係を
表すことができる。
【0064】 S(n:λ1、λ2、…、λn)Dj(λwj、λzj)Dk(λwk、λzk )=I(1:λj) (k<j≦n) (8) S(n:λ1、λ2、…、λn)Dj(λwj、λzj)Dk(λwk、λzk )=I(1:λj)+I(1:λk)+S(n−k:λk+1、λk+2、…、 λn) (j<k≦n) (9)
【0065】複数の受光素子を直列に並べることを縦続
接続と呼ぶ。(9)式はj<kの関係にある受光素子D
j,Dkをこの順に並べると、λjとλkの信号を検出
でき、さらにλk+1〜λnの信号を出力に取り出す事
ができるということを述べている。(8)、(9)はオ
ペレータDk、Djが交換可能でない事を示す。(9)
式から番号の順に受光素子を縦続接続すると、それだけ
の波長の光を感受できる事が分かる。結局最良の形態は
受光素子を、D1、D2、D3、…、Dnというふうに
固有波長が長くなる順(λ1<λ2<λ3<、…、<λ
n)に縦続接続する事である事が分かる。
【0066】 S(n:λ1、λ2、…、λn)D1(λw1、λz1)D2(λw2、λz2 )…Dn(λwn、λzn)=I(1:λ1)+I(1:λ2)+…+I(1: λn) (10)
【0067】(10)は固有波長が短いものから長くな
る順(λ1<λ2<λ3<、…、<λn)に受光素子を
縦続接続すると、すべての受光素子で固有波長の光を検
出できるという事を意味している。より単純化して本発
明の思想を簡明に示すと、
【0068】 S(1,2,…,n)D1D2D3…Dn=I1+I2+…+In (11)
【0069】と表すことができる。ここでS(1,2,
…,n)はS(n:λ1、λ2、…、λn)の簡略形、
D1はD1(λw1、λz1)の簡略形、I1はI
(1:λ1)の簡略形である。{Dj}が交換不能であ
ることを条件として含んで、さらに次のように単純化し
て本発明を表現する事もできよう。
【0070】 SΠj=1 nDj = Σj=1 nIj (12)
【0071】図31はこれを図式的に示すものである。
受光素子はD1、D2、…、Dnの順に縦続接続されて
いる。これにn個の波長の光を含む信号が入ると、D1
でλ1の光検出がなされ、λ2以下の信号がD2に送ら
れ、D2ではλ2の光が検出され、λ3以下の光が先送
りされる。受光素子から上に向けた矢印は光電流となっ
て検知される光波長を示す。受光素子D1〜Dnの下の
横向きの矢印は、その波長の光が到達できる範囲を示
す。このように受光素子列に1本の直列光路が形成さ
れ、波長の長い光程遠くまで到達するようになってい
る。
【0072】以上の説明は受光素子の組に関するもので
ある。光路を1直線にすることによって、本発明は多く
の利益を得る事ができる。従来のように並列光路としな
いから、 波長分波器が不要である。光路を横方向に分離する必
要がないからである。その他カップラなどの光路分割手
段も不要である。高価な波長分波器が不要であるからそ
の利益は大きい。
【0073】光ファイバの接続箇所が大幅に減少す
る。光路が縦方向に1本になるからである。縦続接続の
ためには受光素子をその順に配置するだけでよい。光フ
ァイバも光コネクタも不要である。部品点数を下げるこ
とによってコストを低減できる。 従来のものは波長分波器の消光比がなお大きく、クロ
ストークが問題であったが、本発明は波長分波器による
空間分離を行わないので消光比の問題に悩まされない。
クロストークなどの可能性が極めて小さくなる。 光ファイバによる接続箇所が減少するから光ファイバ
融着などの手数を省くことができる。さらに、光ファイ
バの接続による光の挿入損失などを防ぐ事が出きる。
【0074】波長に固有の狭い感受領域を持った複数
の受光素子を使うことになるが、独立の受光素子である
から、信号光の波長選択に応じて受光素子も自由に組み
合わせることができる。つまりλ1<λ2<λ3<、
…、<λnの内k個の波長のみを信号系において使う場
合、そのk個の波長に対応する受光素子を組み合わせれ
ばよい。波長と受光素子が1:1に対応しているので組
み合わせに柔軟性がある。
【0075】以上の説明は受光素子の直列接続に関する
ものである。受光素子は受動素子であるから互いに干渉
などがなく、きれいに信号分離できる。しかしながら本
発明の思想は、ひとり受光素子集合に限定されるのでは
ない。発光素子をも含ませる事ができる。発光素子は半
導体レ−ザまたは発光ダイオードを用いる。発光層のバ
ンドギャップによって発光波長λqが決まる。
【0076】本発明のモジュールは一つの発光素子を縦
続接続した受光素子の終端に設ける事ができる。n−1
番目迄を受光素子にして、n番目を発光素子Lnとする
ことによって、同様の縦続接続構成とする。つまりλq
=λnとする。接続は、SD1D2…Dn−1Lnとい
うふうにする。発光素子の発光波長λnは他の全ての波
長よりも長いので、前段迄の受光素子を無損失で透過す
る事ができる。λnの光の進行方向が逆になるだけであ
る。図33にこれを示す。また信号光に初めから含まれ
る受信光はλ1〜λn−1であり、これらはそれぞれの
受光素子によって完全に吸収されて最後段の発光素子に
は至らない。従って、信号光が発光素子の駆動状態に影
響を及ぼすことはない。
【0077】半導体レーザの場合は最後段に一つ設ける
ことができるだけである。二つ設けられない理由は次の
ごとくである。図33によって示す。もしもn−1段に
λn−1の半導体レーザ、n段にλnの半導体レーザを
設置したとすると、λn−1の光は最後段のLnにも入
射する。λn−1<λnであるから、この光はLnに吸
収される。レ−ザLnはこれによって摂動を受ける。
【0078】レ−ザLn−1によって、レ−ザLnが影
響を被るのである。Lnは信号によって変調された光で
あるから、Ln−1によって外部変調されるとLnの信
号を歪ませる。このようなわけで発光素子が励起光の影
響を受け易い半導体レ−ザの場合は、複数個を並べる事
ができない。従って半導体レ−ザを発光素子とする場合
は、一つだけを最終段に設けるだけである。縦続接続は
D1D2…Dn−1Lnと簡明に表される。これは式に
よって表現すると、
【0079】 S(n:λ1、λ2、…、λn−1)D1(λw1、λz1)D2(λw2、λ z2)…Dn−1(λwn−1、λzn−1)Ln(λwn、λzn)=I(1 :λ1)+I(1:λ2)+…+I(1:λn−1) (13) S(1:λn)Ln(λwn、λzn)Dn−1(λwn−1、λzn−1)… …D1(λw1、λz1)=S(1:λn) (14)
【0080】(13)は固有波長が短いものから長くな
る順(λ1<λ2<λ3<、…、<λn−1)に(n−
1)の受光素子を縦続接続し最終段にλnのレ−ザを接
続すると、すべての受光素子(n−1個)で固有波長の
光を検出できるという事を意味している。(14)は反
対に最後段のレ−ザから出た最長波長の光が受光素子の
全てを通り抜けてゆき信号光になるという反対経路の式
である。より単純化して本発明の思想を簡明に示すと、
【0081】 S(1,2,…,n−1)D1…Dn−1Ln=I1+I2+…+In−1 (15) S(n)LnDn−1…D1=S(n) (16)
【0082】もっともこれは発光素子が干渉性の強い半
導体レ−ザの場合である。発光ダイオードの場合は、相
互干渉がより少ないから複数の発光ダイオードを並べる
ことができる。λj<λkの場合にj番目の発光ダイオ
ードがk番目の発光ダイオードの駆動状態に影響がない
として、1〜kまでは受光素子D1D2…Dkの縦続接
続とし、k+1〜nまでは発光素子Lk+1…Lnの縦
続接続とすることができる。全体の接続はD1…DkL
k+1…Lnである。
【0083】図32によって概念形を説明する。受信側
信号はλ1〜λkの光によって伝送される。送信側信号
はλk+1〜λnによって伝送される。この場合もλ1
<λ2<λ3<、…、<λnが前提されている。右向き
信号光は受光素子に全て吸収されて発光素子には入らな
い。左向きの発光素子の光は波長が長いので、受光素子
をすどうりする。動作方程式は、
【0084】 S(k:λ1、λ2、…、λk)D1(λw1、λz1)…Dk(λwk、λz k)Lk+1(λwk+1、λzk+1)…Ln(λwn、λzn)=I(1: λ1)+I(1:λ2)+…+I(1:λk) (17) S(n−k:λk+1、…、λn)Dk(λwk、λzk)…D1(λw1、λ z1)+S(n−k−1:λk+2、…、λn)Lk+1(λwk+1、λzk +1)Dk(λwk、λzk)…D1(λw1、λz1)+S(n−k−2:λ k+3、…、λn)Lk+2(λwk+2、λzk+2)Lk+1(λwk+1 、λzk+1)Dk(λwk、λzk)…D1(λw1、λz1)+…+S(1 :λn)Ln(λwn、λzn)…Lk+1(λwk+1、λzk+1)Dk( λwk、λzk)…D1(λw1、λz1)=S(n−k:λk+1、…、λn ) (18)
【0085】(18)式は分かり難いが、それぞれの発
光素子から出た光が左向きの送信信号となることを意味
している。以上に3つの場合を説明した。複数の受光
素子だけの場合、複数の受光素子と一つの発光素子の
場合、複数の受光素子と複数の発光素子の場合であ
る。何れにしても、λ1<λ2<λ3<、…、<λnの
場合に、信号入力側から、波長の小さい素子順に並べれ
ば良い。そして受光素子は発光素子よりも短い波長を与
える。つまり縦続接続だけを書くと、
【0086】 複数の受光素子のみの場合、 D1D2…Dn (19) 複数の受光素子と一つの発光素子の場合 D1…Dn−1Ln (20) 複数の受光素子と複数の発光素子の場合 D1…DkLk+1…Ln(21) となるのである。本発明は特に、において極めて斬
新な構造のモジュールを提案するものである。しかしそ
の規則性についてはが最も理解しやすいので、初めに
について説明し、次いで、を述べている。
【0087】しかしいくつかの問題がある。それは基板
の問題である。これまでの説明では、受光素子は、光が
入ってくる窓層と、光の強度を検出する受光層(吸収
層)から成るものとして抽象化されていた。受光素子=
窓層+吸収層というふうに単純化されていた。窓層が低
波長光(λ<λj)を遮断するフィルタで、吸収層が該
当光(λj)を全部吸収し、それより後にその波長λj
以下の波長の光(λ≦λj)が全く出ないようにしてい
る。しかしそれより後に、λj<λである光が全部透過
して外部に出るようになっている。受光素子は光検出と
ともにフィルタになっているのである。光の振動数がよ
り低いものを通すので、電気学の言葉を借用すると、ロ
ーパスフィルタと言えよう。
【0088】ところが図8に示すように、実際には受光
素子には基板やバッファ層がある。基板の上に吸収層、
窓層がエピタキシャル成長されるようになっている。光
が受光素子を面に直角に通過するような構造であるか
ら、バッファ層や基板の透過、吸収特性も新たな問題に
なってくる。これは本発明のように受光素子を貫いて光
を通すような構造になって初めて現れる問題である。基
板はその受光素子(j)が検知を担当する波長λjより
も長い波長の光(λj<λ)を全部通すような材料でな
ければならない。
【0089】そもそも半導体素子の基板は、光を透過す
るという条件によって選ばれるのではない。チョクラル
スキー法やブリッジマン法によって大型の単結晶が容易
に大量に製造できるという条件によって基板材料が選ば
れる。従って現在基板にできる半導体材料は極めて限ら
れている。InP、GaAs、Si、Ge、CdTe、
GaP程度しかない。3元混晶、4元混晶は大型の単結
晶を作る事ができないから基板とすることはできない。
【0090】基板の種類が少ないということの他に、格
子整合の条件がある。エピタキシャル層の格子定数が基
板の格子定数に一致しないとエピタキシャル層が品質の
良い単結晶膜にならない。3元系、4元系であっても、
これらの基板と格子整合できないものが多い。このよう
な理由で、基板の存在が本発明のような波長多重通信の
受光素子モジュールを阻むように思える。
【0091】InPのバンドギャップは1.35eV、
GaAsのバンドギャップは1.4、Siのバンドギャ
ップは1.2eV、Geのバンドギャップは0.67e
V、GaPのバンドギャップは2.26eVである。
【0092】これらの半導体基板材料の中で3元化合物
半導体、4元化合物半導体の基板として良く用いられる
のは、InPとGaAsである。InPのバンドギャッ
プは1.35eVであり、これを波長に直すと、0.9
2μmである。するとこの多重光通信系で使う光(λ1
<λ2<λ3<、…、<λn)の波長がすべて0.92
μmよりも長ければ、これら全ての信号光はInP基板
を透過できる。つまりλ1が0.92μmより長ければ
良い。これは現在試みられている波長帯を十分に含み得
る。光通信に使える光の波長は、石英ファイバの透過率
によって波長が限定されている。これらは例えば、1.
3μm、1.55μm、などであって、InPの吸収を
受けない波長帯にある。
【0093】基板が信号光を全て通しても、基板の上に
形成できるエピタキシャル膜のバンドギャップが基板の
バンドギャップよりも小さくできないと、そもそも本発
明は成り立たない。InPはさらに都合の良い事に、こ
の条件をも満足している。InPと格子整合する4元系
InGaAsP混晶のバンドギャップは何れもInPの
バンドギャップよりも小さい。
【0094】GaAs基板の場合も、その上に4元系の
薄膜を形成できる。しかしGaAs基板の上の4元系は
ことごとく、GaAsよりバンドギャップが広い。従っ
て本発明の基板としては利用できない。
【0095】つまりInPをこれらの受光素子の基板と
して共通に利用できるということである。これは誠に好
都合な性質である。InPを基板にして、InGaAs
3元系、InGaAsP4元系などの薄膜をエピタキシ
ャル成長する技術は既に確立されている。十分の実績が
ある。特に4元系にすれば格子整合条件(Vegard
の法則)を入れても一つの自由パラメータが存在する。
Inx Ga1-x Asy1-y と一般に書くことができる
が、InPとの格子整合と、所望のバンドギャップEg
を与える事によってx,yのパラメータが決定される。
【0096】InPを基板として、この上に3元系、4
元系の半導体薄膜を作ると、いずれの薄膜材料のバンド
ギャップもInPより小さい。前記の光通信のn個の波
長λ1<λ2<λ3<、…、<λnは、λwj<λj<
λzjという条件を満足する。λwj、λzjは薄膜材
料の吸収端波長であり、InPの吸収端波長0.92μ
mより長い。するとこれらλ1<λ2<λ3<、…、<
λnの波長は、いずれも0.92μmより長い。基板の
吸収端波長をλsとすると、単純に、
【0097】 λs<λ1<λ2<λ3<、…、<λn (22)
【0098】と表す事が出きる。結局これらの光(λ1
<λ2<λ3<、…、<λn)は全て基板を透明体とし
て透過する。基板と同じ材料によってバッファ層を作る
と、これら信号光はバッファ層も透過する。信号光にと
っては基板は無きがごときものである。このようにIn
Pを基板としInGaAsP混晶を窓層、吸収層とする
と、本発明の条件を満足するような、窓層、吸収層を持
つ受光素子の組を製造する事ができる。窓層、吸収層の
設計にあたって、基板、バッファ層の存在を捨象できる
という事である。
【0099】しかしこれは本発明がInP基板、InG
aAsP薄膜に限定されるということではない。基板の
バンドギャップよりもそれに格子整合する4元系、3元
系のバンドギャップが狭ければ本発明を適用できる。例
えば、CdTe(Eg=1.5eV)を基板とし、Hg
x Cd1-x Te3元系を薄膜とした受光素子にも本発明
を適用できる。これはxが0〜1で格子整合し、混晶の
バンドギャップがいずれも基板Egよりも小さい。
【0100】さらにZnTe(Eg=2.3eV)を基
板として、Znx Cd1-x Sey Te1-y 4元混晶を薄
膜とするものにも本発明を適用できる。格子整合条件を
満たす4元混晶のバンドギャップは、全て基板のバンド
ギャップより小さいからである。
【0101】次に(n−1)の受光素子と一つ発光素子
を直列に並べるの場合について説明する。(n−1)
の受光素子の部分については、について述べたものと
全く同様である。発光素子はλnの光を発生するが、こ
れは発光素子の材料によっている。受光素子の受光する
(n−1)の波長の光と、発光素子の発するλnはλ1
<λ2<λ3<、…、<λnの関係がある。発光素子の
光は、波長が長いので、その前にある受光素子を単に透
過するだけである。受光素子によって検出されないし、
吸収されない。受光素子には影響を及ぼさない。半導体
レ−ザと受光素子には元々非対象性がある。半導体レ−
ザは元々狭いスペクトルを持つ。単色であると言ってよ
い。
【0102】これに反して受光素子は広い波長領域に対
して感受性をもつ。さらに進んで波長によって感度が変
わらないという一様性が尊重される事も多い。このよう
に能動的な波長域に関して、受光素子と半導体レ−ザで
はもともと非対象性があった。本発明はこの非対象性を
減少させ、半導体レ−ザと受光素子の能動領域を等しく
狭くしたものである。本発明の思想の一つはこのように
波長固有性を受光素子に賦与することにある。半導体レ
−ザははじめから単色であるが、受光素子に単色性を初
めて与えようとするのが本発明である。
【0103】さて、反対に受信光はλn−1がn−1番
目の受光素子によって完全に吸収されている。受信光が
発光素子(半導体レ−ザ)に入って励振状態を擾乱する
ということもない。発光素子は窓層のようにフィルタの
部分がないが、前段(n−1)の受光素子までに全ての
受信光が消滅しているから発光素子には影響しない。次
に複数の受光素子と複数の発光素子が直列に接続されて
いる場合について述べる。発光素子は電流によって励起
されるが、光の入射によっては発光状態が変わらないも
のとする。面発光型の発光ダイオードであればこのよう
な条件を満たすことができる。
【0104】
【発明の実施の形態】
[実施形態例 1] 図10に本発明のモジュールの第
1の構成例を示す。これは受光素子一つ、発光素子一つ
とする例である。受光素子がλ1の光を感受し、発光素
子がλ2の光を発生するものとする(λ1<λ2)。光
ファイバ62は、屈折率の高いコア63をクラッドによ
って囲んだ構造になっている。光ファイバからλ1の光
が出射する。広がり角はコアクラッドの屈折率による。
この光は受光素子64の入射面に入る。光ファイバから
の光λ1は広がるので受光面の広い受光素子(受光面直
径が100μm〜200μm)を使っている。100μ
m以上であれば、光ファイバから出た光を殆ど全て受光
する事ができる。
【0105】この受光素子64は本発明で用いられる特
別なフォトダイオードである。基板65の上に受光層6
6があるというように単純化して表現している。しかし
受光層は初めに述べたように窓層と吸収層を含めた概念
である。表面にはリング状のp側電極67がある。裏面
の外周部にリング状n側電極68がある。裏面の大部分
は開口部となっており、光はこの開口部を通ることがで
きるようになっている。実際には入射光λ1は受光層6
6によって全て吸収されるから裏面には出てこない。
【0106】窓層のバンドギャップ、吸収層のバンドギ
ャップを適当に選び波長選択性を賦与し、裏面の電極を
環状にして、光が表面から裏面へ或いは裏面から表面へ
と透過できるようにしたことが本発明のフォトダイオー
ドの特徴である。そこでこのようなフォトダイオードを
ときに波長選択性PDと呼ぶことにしよう。
【0107】フォトダイオード64の後方にλ2の光を
発する半導体レーザ70のチップが設けられる。これは
端面が発光する素子であるから、光軸上に端面が直角に
なるように設置される。半導体レーザ70は基板71の
上に発光部72、キャップ部(コンタクト部)73など
の薄膜をエピタキシャル成長させ、その上にp側電極7
5を、基板の下面にn側電極74を付けたものである。
埋め込み型レーザの場合は、発光部72の両側には埋め
込み層がある。また発光層はダブルへテロ構造になって
いる。しかし半導体レーザは通常の素子であるから構造
を詳しく説明しない。p側電極からn側電極に向けて電
流を流すことによって、レーザ発振しλ2の光を発生す
る。
【0108】半導体レ−ザからの光λ2は受光素子64
の裏面から受光素子の基板に入り、受光層66で全く吸
収されず無損失で通過して、前面に出る。これが光ファ
イバ62のコア63に入射する。λ2の波長の送信光に
なる。
【0109】ここではλ1=1.3μm、λ2=1.5
5μmである。従来のモジュールでは両者に対して十分
な感度を有するInGaAs受光層を持つ受光素子を使
っていた。本発明はそうではなくて、λ1の近傍の狭い
範囲の波長の光のみを感受しλ2の光を感じないように
する。そのためInGaAsPを窓層(λw)、InG
aAsP吸収層(λz)が基板であるInPに格子整合
する条件で組成を決める。λw<λ1<λz<λ2とす
る。つまり窓層の吸収端波長λwは1.3μmより小さ
い。吸収層の吸収端波長λzは1.3μmと1.5μm
の中間の値を取る。半導体レ−ザの光が無損失で受光素
子を通過できるのは、受光素子の感受波長範囲を極めて
狭くしているからである。
【0110】[実施形態例 2] 図11に本発明の第
2の例を示す。これはレンズ77を光ファイバ62と、
波長選択性フォトダイオード64の間に挿入してレ−ザ
光を効率よく光ファイバに入射させるようにしたもので
ある。その他の点は第1の例と同じである。
【0111】光ファイバ62から出た光λ1はレンズ7
7によって絞られて波長選択性受光素子64の受光面に
入る。この光は受光層66に全て吸収され光電流に変換
される。受光素子64の背後には半導体レ−ザ70があ
り、これがより長い波長のλ2の光を発生する。これは
受光素子64裏面の開口部から受光素子に入りここを無
損失出透過し前面に出る。
【0112】レンズによって絞られてレ−ザ光λ2の大
部分が光ファイバ62のコア63に入射する。レンズに
よってレ−ザ光と光ファイバの結合を高めている。もち
ろん光ファイバの光が受光素子に入射する割合も増大す
る。
【0113】[実施形態 3] 図12に第3の例を示
す。レンズ78がフォトダイオード64と半導体レ−ザ
70の間に設けられている。これも半導体レ−ザの光λ
2を光ファイバ62のコア63に効率よく入射させるた
めである。半導体レ−ザ70の光が初めにレンズによっ
て絞られて波長選択受光素子64を裏面から表面へと透
過する。受光素子の受光面が形態2の場合よりも狭くて
もレ−ザの光ファイバへの結合効率は高い。しかし反面
光ファイバからの光λ1が収束されないので、受光素子
での入射量が減少する可能性がある。必要とされる結合
効率と、受光素子、発光素子チップ、レンズの固定手
段、パッケージの形態、寸法などによって、前レンズ型
の形態2と、後ろレンズ型の形態3の何れの構成を採用
するかという事が決まる。
【0114】[実施形態 4] 本発明の第4の例を図
13に表す。半導体レ−ザの出力を監視する為のモニタ
用フォトダイオード85を半導体レ−ザ70の背後に設
置している。フォトダイオード85は基板86の上に受
光層87を設けたものである。先に述べたように受光層
というのは、バッファ層、吸収層、窓層、p拡散領域な
どを含めた総称である。この上にp側電極88が形成さ
れる。基板86の裏側にはn側電極89が一面に被覆さ
れる。モニタ用受光素子85は、本発明の縦続接続受光
素子列とは違う。だから裏面が開口していない。
【0115】前方の受光素子64は本発明のカテゴリー
に属する波長選択受光素子である。光ファイバの中を伝
搬してきた信号光λ1は、受光素子64によって感受さ
れる。半導体レ−ザ70の光λ2は、前方と後方にで
る。前方に出射されたλ2はレンズ79によって収斂
し、受光素子64を通り、効率よく光ファイバ62に入
る。送信光である。
【0116】後方に出た半導体レ−ザの光λ2はモニタ
用の受光素子85に入射する。これは受光素子によって
光量が検出される。受光素子85の光電流によってレ−
ザの発光の安定性を高める事ができる。温度変動などに
よってレ−ザ発光効率が変わる。しかしモニタ用の受光
素子によって温度変化に抗して恒常的な動作を行わせる
ことができる。
【0117】[実施形態 5] 第5の構成例を図14
によって説明する。二つのレンズ80、81を波長選択
受光素子64の前後に設置する。λ2に対するレンズ8
0の前焦点にコア63の端面が合致する。λ2に対する
レンズ81の後焦点に半導体レーザ70の発光端面が位
置する。半導体レーザ70から発生した光λ2はレンズ
81によって平行光になる。平行ビームとして受光素子
64を通り抜ける。レンズ80によってλ2は光ファイ
バコア63端面に収斂する。レンズ80の波長分散が多
少あるが、光ファイバからのλ1もほぼ平行になり受光
素子64に入る。λ2、λ1が平行光になるから、光フ
ァイバ62、PD64、半導体レーザ70の軸線上の位
置を自由に決める事ができる。設計の自由度が高まる。
【0118】[実施形態 6] 第6の実施形態を図1
5によって述べる。フォトダイオード64の開口裏面に
弓形断面の作り付けレンズ82を設けている。基板65
の一部を段階的にエッチングすることによって弓形断面
の隆起を形成することができるのでこれをレンズとす
る。半導体レ−ザの光λ2を収斂させて、光ファイバに
導く事ができる。
【0119】[実施形態 7] 第7の実施形態は、レ
ンズを波長選択PD64と光ファイバの間に設けたもの
である。これは図14でレンズ81を省いた構造であ
る。図19によって具体例について述べる。
【0120】
【実施例】
[波長選択フォトダイオードチップの実施例] 本発明
のポイントの一つはフォトダイオードPDチップにあ
る。そこで初めに波長選択PDチップの構造と作り方に
ついて説明する。例として、1.3μm光、1.55μ
m光を使う光通信を取り上げよう。1.3μm体の光を
感受し(完全吸収し)、1.55μm帯の光を透過させ
る波長選択PDの構造と製造方法について図16によっ
て説明しよう。基板92はn型InPウエハである。n
−InP基板92の上に、
【0121】n−InPバッファ層93、n−In0.66
Ga0.34As0.760.24(λz=1.42μm)受光層
94、n−In0.82Ga0.18As0.400.60(λw=
1.15μm)窓層95を液相エピタキシャル成長させ
る。液相エピタキシャルの他に、MBE法、MOCVD
法、クロライドVPE法などによっても良い。受光層の
具体的な組成は前記の表示(Inx Ga1-x Asy
1-y )で、x=0.66、y=0.76によって与えら
れる。窓層の具体的組成は、x=0.82、y=0.4
0である。
【0122】窓層は従来のInGaAs系PDでは必ず
InP(λw=0.92μm)が用いられたものであ
る。しかし本発明はずっと長い遮断波長(λw=1.1
5μm)を持つInGaAsP混晶によって窓層を形成
する。それだけでなく、受光層もInGaAs(λz=
1.67μm)ではなく、より短い吸収端波長のInG
aAsP(λz=1.42μm)を用いる。
【0123】窓層と受光層のバンドギャップλw、λz
の差(λz−λw)は、従来例の場合0.75μmとか
なり大きい。これが図9の感度の広がりを与えていた。
ところが本発明の場合(λz−λw)=0.27μmに
なる。極めて感受領域が狭い。厚みの一例を述べる。n
型InP基板350μm、n型InPバッファ層2.5
μm、InGaAsP受光層5μm、InGaAsP窓
層1.5μmである。窓層は1〜4μmの程度であって
よい。受光層は1〜7μmの程度である。
【0124】図17はこのエピタキシャルウエハの光透
過率を波長の関数として測定した結果を示す。横軸は波
長(μm)、縦軸は透過率(相対値%)である。1.5
1μm以上の光は完全に透過する。1.33μm以下の
波長の光は全部吸収される。50%を与えるのは1.4
2μmであるが、これは吸収層のバンドギャップλzに
等しい。0.18μmの短い波長変化において透過率が
0%から100%へと急激に変化する。
【0125】このようなエピタキシャル層を形成した
後、マスクをして、素子になるべき部分の中央部のみに
p型領域96を作る。これは亜鉛拡散など公知の方法に
よる。p型領域96の上にp側電極97をリング状に形
成する。環状p側電極97によって囲まれる上面を透明
の反射防止膜98によって被覆する。環状p電極97の
外側はパッシベーション膜99によって保護する。
【0126】基板92の裏面にはリング状のn側電極1
01がオーミック接触するように設けられる。中央部が
開口になっている。ここには反射防止膜102が設けら
れる。反射防止膜は例えばSiON膜とする。この後ウ
エハを劈開面に沿って切断しチップとする。チップはこ
の後パッケージに実装する。光はチップの裏面開口から
PDの内部に入る事ができるし、表面から入って裏面か
ら出ることもできる。表面の受光面100から入ってく
る光を受信光とし、裏面から透過する光を送信光とす
る。反射防止膜は裏面から半導体レ−ザの光が入るとき
に反射しないように働く。半導体レ−ザは戻り光によっ
て動作不安定になるから反射防止膜102、98によっ
てレ−ザ光が反射されないようにする。
【0127】窓層、吸収層の吸収端波長λw、λzの選
択と、基板裏面の開口の存在が本発明のフォトダイオー
ドを特徴づけるものである。図18はこのフォトダイオ
ードの波長感度特性を示すグラフである。5Vの逆バイ
アスをかけた状態で光を当てて光電流を測定した。感度
は光のパワー(W)によって光電流(A)を割った値に
よって定義される。感度グラフは立上り部S、頂部T、
立ち下がり部Uよりなる。図9の従来のフォトダイオー
ドに比較して、感度領域が極めて狭い事が分かる。
【0128】立上り部Sは1.15μmの程度から始ま
る。これは窓層の吸収端(λw=1.15μm)に対応
する。これより短い波長の光は窓層に吸収されて内部に
入らない。窓層吸収が存在するという点が重要である。
窓層吸収のために感度領域を著しく狭くできる。
【0129】立下り部Uは1.42μmの程度である。
これ以上の波長の光は吸収層では吸収できないので当然
感知できないのである。有効感度範囲は1.15μm〜
1.42μmの0.27μmである。狭い感度領域の中
心に1.3μmがある。しかし1.55μmは感度曲線
の外にある。このフォトダイオードは1.3μmには高
感度であるが、1.55μmには全く感じない。1.3
μmと1.55μmを含む光を受けても、1.3μm信
号のみを取り出す事ができるのである。これは1.3μ
mに対する感度固有型フォトダイオードである。
【0130】[実施例 1(球レンズキャップを用いた
モジュール) 図19によって本発明の第1の実施例を述べる。これは
球レンズキャップを用いたモジュールの例である。パッ
ケージの中に一直線上に波長選択性フォトダイオードチ
ップ64、半導体レ−ザチップ70、モニタ用PD85
が設けられる。実施形態7に該当する。λ1=1.3μ
m、λ2=1.55μm、n=2の例である。
【0131】金属製のヘッダ111は、例えばコバー
ル、鉄、銅タングステンなどによって作られている。こ
こではコバールのヘッダを用いる。底面には4本のリー
ドピン112、113、114、115が設けられる。
グランドピン112はヘッダに直接に溶接される。その
他のピンはヘッダの通し穴を貫き、絶縁性の接着剤によ
って固定されている。ヘッダ111の隆起したポール1
19の上頂面にはPD用サブマウント120が半田付け
されている。PD用サブマウント120は例えばアルミ
ナ製である。
【0132】半田としては金錫(AuSn)、金ゲルマ
(AuGe)、錫鉛(SnPb)などを使う事ができ
る。ここでは金錫半田によって半田付けしている。サブ
マウント120の上に波長選択フォトダイオードチップ
64を半田付けする。光軸に対してチップ面が直交する
ように固定する。PDチップの電極とリードピンがワイ
ヤ121によって接続されている。図20に示すように
サブマウントはコの字型の切り欠き128があるが、切
り欠きの部分に受光面100が位置するように固定す
る。
【0133】ポール119のすぐ下の側面にはサブマウ
ント122が半田によって固定される。LD用サブマウ
ント122は例えば窒化アルミ(AlN)である。サブ
マウント122の上に半導体レ−ザチップ(LD)70
が固定される。LDチップの発光線が光ファイバ62か
ら延長した光軸に一致するようにしてある。ポール11
9の下方には傾斜面がある。この傾斜面にサブマウント
123が取り付けられる。その上にモニタ用のPD85
が半田付けされる。モニタPD85が傾いているのは、
反射光がレ−ザ70に戻らないようにするためである。
【0134】PDチップ64、LDチップ70、PDチ
ップ85はリードピンとワイヤによって接続される。図
20はPD用のサブマウントの例を示す。図20(A)
に示すサブマウント120は、コの字型の切り欠き12
8がある。切り欠きは光を通すために設ける。残りの部
分の全面(表面、裏面、側面)にメタライズ130があ
る。メタライズ面はポールに直接に半田付けされるから
グランドピン112に接続される。ワイヤによる接続を
一つ省くことができる。
【0135】このメタライズ面にPD64の裏面の環状
n電極が接続される。p側電極は30μmφの金ワイヤ
121によってリードピン114に接続される。この例
では受光面100の直径は200μmである。そこで切
り欠きの幅は250μmとなっている。切り欠き128
の奥行きは、チップの寸法と同じ500μmである。チ
ップをメタライズ面に付けるため半田は金錫を使ってい
る。
【0136】図20(B)に示すものは一部だけにメタ
ライズしている。n側電極がメタライズに接触する。メ
タライズ面はワイヤによってピン115に接続する。p
側電極はワイヤによってリードピン114に接続する。
コの字型切り欠きの寸法は、前例と同じく、250μm
×500μmである。図20(C)に示すものは円形の
切り欠き132を穿孔している。全面にメタライズして
いる。サブマウントの厚みは何れも500μmである。
何れのサブマウントの場合も、ポール119背面とサブ
マウントの背面が面一になるように位置決めして半田付
けする。特別な位置合わせは不要であった。
【0137】次に金属製のキャップを124をヘッダに
かぶせ、位置決めし不活性ガス(窒素、アルゴンなど)
を充填した状態で気密シールする。キャップには光を通
す窓が必要である。この窓は、気密封止の為にガラスを
設ける必要がある。平板ガラスでも良い。ここでは球レ
ンズ126を用いている。半導体レ−ザ70から出た光
を光ファイバ62端面に収斂させ結合効率を上げること
ができる。半導体レ−ザ70、レンズ126、光ファイ
バ62の軸合わせは重要である。レ−ザを光らせて、光
ファイバに光を導き、光ファイバの他端で光のパワーを
監視する。適当な光量が得られるように調芯してから相
互の部材をそれぞれ固定する。
【0138】反面、PD64の位置合わせは厳密でなく
てよい。受光面が広いので軸直角方向の位置精度の要求
は緩やかである。また収束光を入れる必要はないので、
軸方向の位置については任意である。通常の光ファイバ
の場合は収束点を受光面に合致させる必要があり位置合
わせが難しいが、本発明の場合はそのようなことはな
い。光ファイバから出た光の集光点は必ずPDより下方
にできる。もしも波長分散がないとすればレ−ザ端面が
集光点となる。つまりPD自体に焦点を合わせない。珍
しい光検出の態様である。良く考えれば画像処理をする
のではないから受光素子で焦点を結ぶ必要はないのであ
る。
【0139】これは本発明のモジュールの製作をよほど
容易にする。この例では3つの半導体素子があり、レン
ズ、光ファイバと合わせて5つの光学素子がある。これ
らの全てについて最適位置に調芯しなければならないと
すると調芯作業が難しく歩留まりも低くなろう。しかし
実際に調芯しなければならないのは、半導体レ−ザチッ
プ70、レンズ126、光ファイバ62である。これら
の調芯は発光素子モジュールでの調芯と全く同じであ
る。モニタ用のPDは広い受光面を持つから調芯は不要
である。本発明の中心をなす波長選択PDは先述のよう
に調芯の必要はない。
【0140】この実施例は半導体レ−ザモジュールに僅
かな工夫を加えるだけで実現することができる。ポール
119を少し工夫し、ここにPDチップを付け配線する
だけである。それだけのことで、波長多重光双方向通信
を著しく単純化することができる。
【0141】その効果を確認するために、1.55μm
用LD70に電流を流して発光させ光ファイバ後端で光
パワーを測定した。PDチップ64がない場合と同じ光
出力を得る事ができた。つまりPD64の介在がLD7
0と光ファイバ62の結合に悪影響を及ぼさない。
【0142】反対に光ファイバに1.3μm光を入れ
て、PD64によってその出力を測定した。この場合も
PDチップ単体の場合と同じ光出力を検出した。PDの
受光面が広く面内での感度一様性が高いから、従来の焦
点位置での受光素子による検出と、本発明のように焦点
前置受光素子の検出も全く同じになるのである。レ−ザ
チップ70の存在が、フォトダイオード64の性能に影
響しないということである。要するに半導体レ−ザと受
光素子は影響しあう事なく、それぞれの波長の光を発光
し、受光するのである。
【0143】[実施例 2:(光ファイバ一体化送受信
モジュール)]図19のモジュールをより使いやすくし
たモジュールの実施例を図21に示す。これはヘッダの
上にフェルールホルダ−を付け、ヘッダと光ファイバを
一体化したものである。ヘッダ111とキャップ124
によって囲まれる部分の構造は先ほど説明した実施例1
と同じである。波長選択PD64は、サブマウント12
0を介してポール119の頂面に固定してある。メタラ
イズ面129はピン115とワイヤでつながれる。p側
電極はピン114に接続される。レ−ザ70はポール側
面に軸方向に平行になるよう固定される。
【0144】実施例1のレンズキャップ付きのモジュー
ルに加えて、フェルールホルダ−133、フェルール1
36、ベンドリミッタ134を含む。フェルール136
は筒上の部材であって軸方向の穴に光ファイバの先端を
差し込んで保持する作用がある。フェルールホルダ−1
33は円筒形の金属部材であって、頂部が縮径しており
軸方向穴が穿孔されている。この穴にフェルール136
を差し込んである。端面137は8度の傾斜をなすよう
に研磨してある。反射光が光源のレ−ザに戻らないよう
にするためである。
【0145】ホルダ−133、フェルール136は金属
製である。例えばステンレスとする。ベンドリミッタ1
34は弾性体である。ゴム、プラスチックなどである。
ホルダ−133の上頂部にはめ込まれている。フェルー
ルから出た光ファイバ62が過度に曲がって折れること
のないように保護する作用がある。レ−ザ70、PD6
4、レンズなどの調芯は既になされている。ホルダ−1
33と、フェルール136の固定について説明する。
【0146】レ−ザダイオード70に電流を流しこれを
発光させる。図21のAの部分でホルダ−133をヘッ
ダ111に対してすり合わせながら、光ファイバ終端で
の光量を監視する。光量が最大になる点を探してそこで
ホルダ−133をヘッダ111に対して溶接する。YA
Gレ−ザ溶接、抵抗溶接などである。これは軸直角方向
での調芯である。次にフェルール136をホルダ−の穴
において上下に動かし軸方向に結合効率が所定の値にな
る位置を探す。軸方向位置が決まるとB点にYAGレ−
ザを照射して、フェルール136をホルダ−133に対
して溶接する。
【0147】このモジュールも実施例1と同様の試験を
して、LD70とPD64がそれぞれ固有の波長におい
て独立に動作する事を確認した。この実施例ではリード
ピンは4本である。しかしリードピンを6本に増やして
も良い。6本に増やすと、PD64、LD70、モニタ
PD85の非グランド電極とリードピンを独立にワイヤ
によって接続する事ができる。非グランド電極が独立に
なるからバイアス回路の選択自由度が増える。
【0148】[実施例 3(光ファイバを着脱可能にし
たモジュール)]図22によって、第3の実施例を説明
する。実施例2は光ファイバをモジュールに対して固定
していたが、この実施例は光ファイバを着脱可能にして
いる。そのために、光コネクタにモジュールを取り付け
ている。PDチップ64、LDチップ70、PDチップ
85を取り付けたヘッダ111には円筒形のLD固定フ
ランジ140が溶接される。
【0149】フランジ140の前端には、円盤形のホル
ダ−141があって、ダミーとなる短い光ファイバ14
2を支持する。ダミーファイバ142のレンズに近い方
の面は斜め研磨してある。半導体レ−ザへ反射光が戻る
のを防ぐためである。ダミーファイバのレンズと反対側
の端部は丸く研磨してある。
【0150】ダミーファイバホルダー141、LD固定
フランジ140の端面が、雌型光コネクタ143の端面
144に、中心軸が同一直線上に並ぶように溶接され
る。雌型光コネクタ143は円筒部と広い円形のフラン
ジ145を有し、フランジには止めネジ用穴146が複
数個穿孔されている。円筒部の外周には雄ネジ部147
が形成してある。円筒部の内周には耐摩耗性の優れたス
リーブ148が挿入されている。これは例えばジルコニ
アによって作る。円筒部には位置決めのための凹部が同
心円筒状に切り欠かれている。
【0151】雄型光コネクタ150は、円筒形のハウジ
ング151の後端から光ファイバコード152を挿入し
たものである。ハウジング151の外側には嵌合用の袋
ナット153がある。ハウジング151の前端には光フ
ァイバの端部154を支持するフェルール155が固定
される。光ファイバの先端はフェルール先端とほぼ面一
であるが、やや丸みを帯びるように研磨されている。ハ
ウジングの外周一箇所にはキイ156があり円周方向の
嵌合位置を決めるようになっている。キイ156に対応
する穴が雌型光コネクタに設けられるが図には現れな
い。
【0152】雄型光コネクタ150を雌型光コネクタ1
43にはめ込み、袋ナット153を雄ネジ部147にね
じ込んで行くことによって両者を合体させることができ
る。光ファイバ154とダミー光ファイバ142が接触
する。光ファイバコード152を伝搬してきた信号光は
ダミーファイバ142を通り、レンズ126、PD64
に至りここで全て吸収される。LD70で発生した光は
反対にレンズ126によって集光されてダミーファイバ
142に入射し、さらに光ファイバ154に入って基地
局に向けて伝搬する。
【0153】この実施例は光ファイバを抜き差しできる
という利点がある。レンズと光ファイバの位置合わせは
ダミーファイバとの間においてなされている。異なる光
ファイバに対してこのモジュールを共通に利用する事が
できる。
【0154】[実施例 4(箱型パッケージに収納した
例)]図23、図24によって箱型パッケージに受光素
子発光素子を収納した実施例を説明する。これも光ファ
イバの光軸の軸線上に、波長選択受光素子64、半導体
レ−ザ70、モニタ用PD85を並べたものである。円
筒形のパッケージではなくて、コバールの箱型パッケー
ジ160、キャップ161にこれらの素子を収納したモ
ジュールである。実際には、箱型のパッケージ本体16
0の内部にこれらの電気光学素子を取り付けた窒化アル
ミ(AlN)のサブマウント162を固定する。
【0155】サブマウント162は前端部163に波長
選択性ある1.3μm用の受光素子64を端面と平行に
なるように備える。その後ろには三角形状の切り欠き1
64がある。それに平坦部165が続きさらに傾斜した
隆起部166が設けられる。
【0156】隆起部166にはメタライズ167を介し
てモニタ用フォトダイオードチップ85が取り付けられ
る。その前にある平坦部165には、サブマウント16
8を固着しさらに1.55μm光を発生するレ−ザダイ
オードチップ70がボンドされている。それより前方の
三角形(V溝)の切り欠き部には集光レンズ170が固
定される。V溝がレンズの位置決めをする。サブマウン
ト162の前端部には狭い受光範囲をもつ(波長選択
性)受光素子64がサブマウント169を介して取り付
けられる。これは1.3μm光を受光するものである。
1.55μm光は無損失で透過する。
【0157】パッケージ本体160には、6つのピン1
71、172、173、174、175、176がパッ
ケージと絶縁して設けられている。パッケージの前方に
は、軸方向の通し穴177があって、ここに光ファイバ
コード178が挿入される。光ファイバ179の前端が
波長選択受光素子64に対向する。光ファイバの端部1
80が斜めに研磨されている。これは半導体レ−ザの反
射光がレ−ザに戻らないようにするためである。
【0158】サブマウント162にはこのように段差、
溝、隆起などが予め形成されているので容易に素子の位
置決め固定を行う事ができる。さらにサブマウント16
2の上面にはメタライズ181、182、183、18
4、185、186など配線パターンが形成されてい
る。受光素子64のn電極はメタライズ186に半田付
けされる。メタライズ186はワイヤ196によってピ
ン176に接続される。受光素子64のp電極はワイヤ
によってメタライズ181に接続され、メタライズ18
1はワイヤ191によってピン171につながる。
【0159】LDチップ70はメタライズ185に半田
付けされる。メタライズ185はワイヤ195によって
ピン175に接続されている。LDのもう一つの電極は
ワイヤ197によってメタライズ182につながれる。
これはワイヤ192によってピン172に接続してい
る。
【0160】モニタPD85はメタライズ184に半田
付けされる。メタライズ184はピン174とワイヤ1
94によって結ばれる。PD85の他の電極はワイヤ1
98、メタライズ183、ワイヤ193によってピン1
73に接続される。実際には、サブマウントにこれらの
チップを全て半田付けし、レンズをエポキシ樹脂によっ
て固定した後、サブマウントをパッケージに半田付けす
る。さらに金線によって、これらの素子の電極とメタラ
イズ面、ピンなどをワイヤボンデイングする。
【0161】次に、光ファイバとパッケージの固定部は
少し緩めにしておき、LDを発光させ、光ファイバの他
端で光量を測定する。光ファイバを軸方向に動かして光
量変動を軸方向距離の関数として測定し、所望の結合効
率が得られる位置に光ファイバを固定する。エポキシ樹
脂によって光ファイバを穴177に対して固定するので
ある。その後、乾燥した窒素雰囲気でキャップ161を
本体160に接着した。これはシームシール法によっ
た。
【0162】光ファイバに外部から1.3μmの信号光
を入れ、半導体レ−ザ(1.55μm)を発光させて、
波長選択受光素子64によって1.3μm光を検出し
た。チップ単体での感度特性と全く同一であって、PD
もLDもそれぞれの波長において独立に動作することが
確認された。
【0163】この実施例の特別な効果を述べる。 (1)外形が箱型であるために、プリント基板に容易に
実装する事ができる。 (2)パッケージの形状を大きくする事によって、パッ
ケージ内にレ−ザの駆動回路や、PDの出力回路の増幅
回路をも収納することができる。 (3)信号処理回路をも含めた小型化が可能になる。
【0164】[実施例 5(二つの受光素子と一つの発
光素子:n=3)]図25はn=3の場合の実施例を示
す。光ファイバ62に対向して、1.3μm選択フォト
ダイオード200が設けられる。これは裏面が開口し、
窓層、吸収層の吸収端λw1、λz1の間に1.3μm
(λw1<1.3μm<λz1)があり、吸収端の差が
極めて小さいようにしたものである。その後に1.46
μm選択フォトダイオード201が設けられる。これも
裏面が開口し、窓層、吸収層の吸収端の差が小さく、そ
れらが1.46μmの前後にある(λw2<1.46μ
m<λz2)。
【0165】そしてこれらの後に1.55μmの半導体
レ−ザ70が設けられる。レ−ザ光は、1.46μmP
D、1.3μmPDを通り抜けて光ファイバに入射す
る。これは送信信号を与える。光ファイバの中には1.
3μm、1.46μmの信号が伝搬されてくる。これら
が二つの受光素子200、201によって独立に検出さ
れる。このような構成は、例えばTVのアナログ信号を
1.3μm光で、デジタル信号を1.46μm光によっ
て基地局から送信し、加入者が1.55μm光によって
デジタル信号の電話信号、TVのチャンネル選択信号を
基地局に送ったりするシステムに利用できる。
【0166】[実施例 6(横型フォトダイオードの
例)]これまで説明してきたものは、環状電極によって
囲まれた面に光が入射し、裏面の環状電極によって囲ま
れた面から光が出射するようになっていた。しかしこれ
に限らず、フォトダイオードは横型にしても使う事がで
きる。図26によってそのような構造のフォトダイオー
ド210を説明する。
【0167】n−InP基板211の上に、n−InP
バッファ層212、InGaAsP窓層213(λz=
1.42μm)、InGaAsP受光層214(λw=
1.15μm)をエピタキシャル成長させる。素子中央
部に亜鉛を拡散し、p型領域215を製作する。p型領
域には環状ではなくて面型のp側電極216を付ける。
さらに基板の裏面全体にn側電極217を設ける。光は
吸収層の横から入れるようにする。横型フォトダイオー
ドによっても本発明を構成する事ができる。
【0168】図27は横型フォトダイオード210と、
半導体レ−ザ70を表面が光軸に平行になるように並べ
た送受信モジュールである。基地局から送られる信号光
は1.3μm光であって、これは全てはじめのPDによ
って吸収される。半導体レ−ザは1.55μm光を出射
する。これはPD210の内部を損失なく透過する。
【0169】横型フォトダイオードによっても本発明の
モジュールを構成する事ができる。これに対して表面入
射型のものを縦型フォトダイオードと呼ぶ事にする。横
型フォトダイオードをn個使って(λ1<λ2<λ3
<、…、<λn)受光素子だけのモジュールをも作る事
ができる。その利点は、
【0170】(1)サブマウントやヘッダのポールの面
にn個の受光素子を単に並べれば良い。光軸がサブマウ
ント、ポールの面に平行になるからである。半導体レ−
ザと共に使う場合は、光の方向が揃うので図27のよう
になる。何れ場合も実装がより容易である。
【0171】(2)フォトダイオードの中での光路が長
くなるので、λjの光の吸収がより完全になる。フォト
ダイオードの受光層は数μmの厚みしかないが、長さは
数百μmある。 (3)窓層は光を吸収する作用がないから、λw<λj
という条件がなくなる。窓層も吸収層と同じ材料であっ
ても良い。材料の種類を減らす事ができる。などであ
る。
【0172】反面、次のような欠点もある。 (1)基板やバッファ層へ入った光は吸収されずそのま
ま通り抜ける。複数の信号を受信する場合などは波長選
択性が必要である。ために基板やバッファ層、窓層を光
が通らないようにしなければならない。狭い吸収層に光
を絞って入射する必要がある。高さ方向の位置合わせが
難しい。また十分に光を絞らなくてはいけない。シング
ルモードファイバの直径が10μmの程度であるが、受
光素子の吸収層は4μm以下の事が多い。しかも長さは
数百μmある。これに光を通す事は難しい。
【0173】(2)短い波長の光がそれよりも後ろの受
光素子に入ると混信を引き起こす。また波長の短い光が
半導体レ−ザに入ると半導体レ−ザをさらに励振するの
で送信信号が乱れる。
【0174】これを防ぐ為に次のような手段が可能であ
る。 (い)吸収層を厚くする。 (ろ)受光素子の端面を、吸収層を残して被覆してしま
う。 (は)受光素子の基板やバッファ層、窓層のバンドギャ
ップが、吸収層のバンドギャップよりも狭くなるように
する。そうすれば、集光や位置合わせの困難などが少な
くなる。これはInPを基板とする場合は不可能である
ように見える。
【0175】しかしGaAsを基板とする混晶を使えば
これは可能である。AlGaAs混晶はGaAsと格子
整合し、バンドギャップはいずれもGaAsよりも大き
い。GaAs基板上にAlGaAsの吸収層を持つ受光
素子を作れば、吸収層以外に光が分散してもこれらの層
によって吸収される。波長選択性が得られるのである。
このようなGaAsフォトダイオードは例がない。しか
し今まで需要がないので作製されなかったのにすぎな
い。製造技術は熟している。
【0176】
【発明の効果】本発明は、異なる波長(λ1<λ2<λ
3<、…、<λn)の光を用いる光通信において、窓
層、吸収層のバンドギャップの差異が小さく専用の狭い
感度領域をもつ受光素子を波長の順に直列に並べ、さら
にその後ろに専用の発光波長を持つ発光素子を波長の順
に一つあるいは複数個並べたものである。本発明は直列
光路を構成する。
【0177】従来のように光路を空間的に分離して並列
光路とする必要がなく、波長分波器が全く不要である。
また誘電体多層膜のように不要波長光を排除するための
素子も要らない。
【0178】n=2の場合でいうと、従来は図5に示す
ように、分波器21、LDモジュール25、PDモジュ
ール27の3つの部材が必要であった。ところが本発明
の場合、ただひとつの送受信モジュールによって構成で
きる。図28にその形態を示す。光ファイバ16は光コ
ネクタ17によって、送受信モジュール220に接続さ
れる。送受信モジュールは先述の実施例で説明したもの
である。
【0179】図5と図28を見比べてみれば本発明のモ
ジュールが分品点数が少なく、製造工数も少ないので、
低価格化が可能となる。低価額化によって光加入者系の
普及を促進する事ができる。さらに、分波器やファイバ
の接続部分の損失もなくて、優れた性能の光送受信モジ
ュールを提供する事ができる。
【0180】受光素子と発光素子はいずれも単色性を備
えており、波長の順(λ1<λ2<λ3<、…、<λ
n)に並んでいるから、これら受光素子、発光素子は独
立に動作する。個別に製作された従来のモジュールと同
等以上の性能を発揮する。実施例に述べたものは本発明
の一部の例にすぎない。このモジュールの構成は実施例
に述べられたものに限定されない。パッケージの形状、
レンズの有無、レンズの種類、キャップの接続などは任
意である。
【0181】異なる波長の組み合わせについても、目的
によって自在に選ぶことができる。n=2であって、受
光素子が一つ、発光素子が一つの最も単純な場合でも、
例えば次の組み合わせができる。 (1)1.3μm/1.55μm (2)1.3μm/1.46μm (3)1.46μm/1.55μm (4)0.9μm/1.3μm
【0182】同じ組み合わせは、n=2であって、両方
とも受光素子である場合にも適用する事ができる。さら
に、n=3であって、受光素子が二つ、発光素子が一つ
の場合に、次の組み合わせが可能である。
【0183】 (5)1.3μm/1.46μm/1.55μm つまり1.3μm用のPD、1.46μm用のPD、
1.55μmのLDを直列に配置することによって3つ
の信号を独立に送受信できるモジュールとなる。
【0184】もちろんnが3より大きい事も可能であ
る。単色性の受光素子、発光素子は上記以外の波長にお
いても製造することができる。3以上の光を利用した光
通信の要求があれば本発明のモジュールを直ちに役立て
ることができる。波長と1対1対応する受光素子、ある
いは発光素子を使う。発光素子はもともと単一波長性が
あるが、受光素子にはない。本発明は波長と受光素子を
1対1対応させるから、必要な波長の組に応じて任意に
受光素子を選ぶ事ができ、柔軟性がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】波長多重双方向通信の概略説明図。
【図2】λ1とλ2の光を分波器によって結合して1本
の光ファイバにλ1+λ2として導くような分波器の説
明図。
【図3】λ1とλ2の光を互いに分波器の反対側から入
れて、一方の側では同じファイバに、他方の側では異な
る側に取り出すようにした分波器の説明図。
【図4】多層膜ミラーを利用した分波器の説明図。
【図5】従来の加入者側の光送受信モジュールの構成
例。
【図6】従来例に係る半導体発光素子の縦断面図。
【図7】従来例に係る半導体受光素子の縦断面図。
【図8】従来例に係るフォトダイオードの縦断面図。
【図9】従来のフォトダイオードチップの感度特性図。
【図10】光ファイバ光軸上に波長選択受光素子と半導
体レ−ザを直列に並べた本発明の光送受信モジュールの
第1の構成例を示す図。
【図11】光ファイバ光軸上にレンズ、波長選択受光素
子と半導体レ−ザを直列に並べた本発明の光送受信モジ
ュールの第2の構成例を示す図。
【図12】光ファイバ光軸上にレンズ、波長選択受光素
子と半導体レ−ザを直列に並べた本発明の光送受信モジ
ュールの第3の構成例を示す図。
【図13】光ファイバ光軸上に波長選択受光素子、レン
ズ、半導体レ−ザ、モニタ用受光素子を直列に並べた本
発明の光送受信モジュールの第4の構成例を示す図。
【図14】光ファイバ光軸上にレンズ、波長選択受光素
子、レンズ、半導体レ−ザ、モニタ用受光素子を直列に
並べた本発明の光送受信モジュールの第5の構成例を示
す図。
【図15】光ファイバ光軸上に、波長選択受光素子、受
光素子に作り付けのレンズ、半導体レ−ザを直列に配置
した、本発明の光送受信モジュールの第6の構成例を示
す図。
【図16】1.3μm光のみを検出し、1.55μm光
を感じない本発明の波長選択受光素子の断面図。
【図17】図16の受光素子の基板、エピタキシャル層
の光透過率の波長依存性を示すグラフ。
【図18】本発明に実施例に係る1.3μm選択受光素
子の波長感度特性を示すグラフ。
【図19】金属ヘッダに受光素子、半導体レ−ザを収納
した本発明の第1の実施例に係る光送受信モジュールの
縦断面図。
【図20】図19のモジュールにおいて波長選択フォト
ダイオードをサブマウントに取り付けたものの平面図。
(a)がサブマウントの全面にメタライズしたもの。
(b)がサブマウントの一部にメタライズしたもの。
(c)が円穴を穿孔したサブマウント。
【図21】光ファイバと、素子を取り付けたヘッダを一
体化した本発明の第2の実施例に係る光送受信モジュー
ルの縦断面図。
【図22】光ファイバと、素子を取り付けたヘッダを結
合分離可能とした、第3の実施例に係る光送受信モジュ
ールの縦断面図。
【図23】サブマウントに取り付けた素子を箱型のパッ
ケージに収納した本発明の第4の実施例に係る光送受信
モジュールの平面図。
【図24】第4の実施例に係る光送受信モジュールの縦
断面図。
【図25】二つの受光素子と一つの発光素子を直列に並
べた本発明の第5の実施例を示す概略構成図。
【図26】本発明において用いられる横型フォトダイオ
ードの縦断面図。
【図27】横型フォトダイオードと半導体レ−ザを直列
に設置した本発明の第6の実施例を示す概略構成図。
【図28】本発明によって簡略化された光送受信モジュ
ールの構成図。
【図29】本発明のよって立つ原理を説明するための真
性半導体のバンド図。
【図30】本発明のよって立つ原理を説明する為の、浅
い不純物準位を有する半導体のバンド図。
【図31】複数の波長選択性ある(単色性ある)受光素
子を波長の短いものから順に直列に並べた本発明の光受
信モジュールの構成原理図。
【図32】複数の波長選択性ある(単色性ある)受光素
子を波長の短いものから順に直列に並べこれに続いて複
数の単色性ある発光素子を波長の短いものから順に並べ
た本発明の光送受信モジュールの構成原理図。
【図33】複数の波長選択性ある(単色性ある)受光素
子を波長の短いものから順に直列に並べこれに続いて一
つの発光素子を設けた本発明の光送受信モジュールの構
成原理図。
【符号の説明】
1 光ファイバ 2 分波器 3 光ファイバ 4 分波器 5 光ファイバ 6 光ファイバ 7 光ファイバ 10 波長分波器の結合部 11 光ファイバ 13 ガラスブロック 14 ガラスブロック 15 誘電体多層膜 17 光コネクタ 20 光ファイバの結合部 21 光ファイバ型波長分波器 22 光コネクタ 23 光コネクタ 25 発光素子モジュール 27 受光素子モジュール 28 発光素子モジュール 29 半導体レ−ザチップ 30 受光素子チップ 31 隆起部 32 ヘッダ 33 ピン 34 キャップ 35 窓 36 レンズホルダ− 37 レンズ 38 ハウジング 39 フェルール 40 光ファイバ 41 受光素子チップ 42 ヘッダ 43 ピン 44 キャップ 45 窓 46 レンズホルダ− 47 レンズ 48 ハウジング 49 フェルール 50 光ファイバ 51 フェルールの斜め端面 52 n型InP基板 53 n型InPバッファ層 54 n型InGaAs受光層 55 n型InP窓層 56 亜鉛拡散層 57 環状p側電極 58 反射防止膜 59 パッシベーション膜 60 入射光 61 n電極 62 光ファイバ 63 コア 64 波長選択PDチップ 65 基板 66 受光層 67 環状p側電極 68 環状n側電極 70 半導体レ−ザチップ 71 n型基板 72 発光部 73 コンタクト部(キャップ部) 74 n側電極 75 p側電極 77 レンズ 78 レンズ 79 レンズ 80 レンズ 81 レンズ 82 レンズ 85 モニタ用フォトダイオード 86 基板 87 受光層 88 p側電極 89 n側電極 92 n型InP基板 93 n型InPバッファ層 94 n型InGaAsP受光層(λz=1.42μ
m) 95 n型InGaAsP窓層(λw=1.15μm) 96 Zn拡散領域 97 環状p側電極 98 反射防止膜 99 パッシベーション膜 100 受光面 101 n側電極 102 反射防止膜 111 ヘッダ 112 リードピン 113 リードピン 114 リードピン 118 絶縁性接着材 119 ポール 120 PD用サブマウント 121 ワイヤ 122 LD用サブマウント 123 PD用サブマウント 124 キャップ 126 レンズ 128 切り欠き 129 部分メタライズ 130 全体メタライズ 132 通し穴 133 フェルールホルダ− 134 ベンドリミッタ 136 フェルール 137 斜め研磨端面 140 LD固定フランジ 141 ダミーファイバホルダ− 142 ダミーファイバ 143 雌型光コネクタ 145 フランジ部 146 止めネジ用穴 147 雄ねじ部 148 スリーブ 150 雄型光コネクタ 151 ハウジング 152 光ファイバコード 153 嵌合用袋ナット 154 光ファイバ 155 フェルール 156 方向を決めるためのピン 160 箱型パッケージ本体 161 キャップ 162 サブマウント 170 レンズ 200 1.3μm波長選択フォトダイオードチップ 201 1.46μm波長選択フォトダイオードチップ 210 横型フォトダイオードチップ 211 n型InP基板 212 n型InPバッファ層 213 InGaAsP受光層(吸収層) 214 InGaAsP窓層 215 亜鉛拡散層 216 p側電極 217 n側電極 218 パッシベーション膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤村 康 大阪府大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電気工業株式会社大阪製作所内 (56)参考文献 特開 昭57−24832(JP,A) 特開 平3−268523(JP,A) 西独国特許出願公開2629356(DE, A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 31/00 - 31/12 H01S 5/00 - 5/50 H04B 10/00 - 10/30

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二つの波長の光λ1、λ2(λ1<λ
    2)による双方向通信を行うための光送受信モジュール
    であって、リードピンと隆起したポールを有するヘッダ
    と、外部に光を送り外部から光を取り入れるための光フ
    ァイバと、ヘッダに固定され光ファイバ端に設けたフェ
    ルールを保持するフェルールホルダーと、開口部を有し
    光ファイバ延長線上に開口部が合致するようポール上部
    に固定したサブマウントと、光ファイバ延長線上に受光
    部が来るようにサブマウントの上に固定されバンドギャ
    ップエネルギーEg1の受光層をもちP/N電極が光の
    透過を妨げないように中心部を除いた部分に形成され短
    波長光λ1を感受し全部を吸収し長波長光λ2を透過す
    る波長選択フォトダイオードと、Eg1より小さいバン
    ドギャップエネルギーEg2(Eg1>Eg2)の発光
    層を有し光ファイバの延長線上でポールの中間側面に取
    り付けられ波長λ2(=hc/Eg2)の光を光ファイ
    バ延長線に沿い上方向と下方向に発生する半導体レーザ
    と、ヘッダの上面中央に傾斜して設けられ半導体レーザ
    の下方向の光を受光するλ1にも感度のあるモニタ用フ
    ォトダイオードと、ヘッダに対して固定され半導体レー
    ザの上向きの光を光ファイバ端へ集光するためのレンズ
    とよりなり、光ファイバから出た短い波長の光λ1の光
    は波長選択フォトダイオードで集光されず全て吸収され
    モニタ用フォトダイオードには入射しないようになって
    おり、半導体レーザで発生した上向きのλ2光は波長選
    択フォトダイオードを無損失で透過してレンズによって
    絞られて光ファイバへ入るようになっていることを特徴
    とする光送受信モジュール。
  2. 【請求項2】 二つの波長の光λ1、λ2(λ1<λ
    2)による双方向通信を行うための光送受信モジュール
    であって、リードピンと隆起したポールを有するヘッダ
    と、外部に光を送り外部から光を取り入れるため外部の
    光コネクタに着脱するためのハウジングと、ハウジング
    とヘッダを結合するための円筒状のホルダーと、外部光
    コネクタが結合された時に外部光コネクタの光ファイバ
    と接触するよう円筒状ホルダーのハウジング側の端面中
    央に固定されたダミーファイバと、開口部を有しダミー
    ファイバ延長線上に開口部が合致するようポール上部に
    固定したサブマウントと、光ファイバ延長線上に受光部
    が来るようにサブマウントの上に固定されバンドギャッ
    プエネルギーEg1の受光層をもちP/N電極が光の透
    過を妨げないように中心部を除いた部分に形成され短波
    長光λ1を感受し全部を吸収し長波長光λ2を透過する
    波長選択フォトダイオードと、Eg1より小さいバンド
    ギャップエネルギーEg2(Eg1>Eg2)の発光層
    を有しダミーファイバの延長線上でポールの中間側面に
    取り付けられ波長λ2(=hc/Eg2)の光をダミー
    ファイバ延長線に沿い上方向と下方向に発生する半導体
    レーザと、ヘッダの上面中央に傾斜して設けられ半導体
    レーザの下方向の光を受光するλ1にも感度のあるモニ
    タ用フォトダイオードと、ヘッダに対して固定され半導
    体レーザの上向きの光をダミーファイバ端面へ集光する
    ためのレンズとよりなり、ダミーファイバから出た短い
    波長の光λ1の光は波長選択フォトダイオードで集光さ
    れず全て吸収されモニタ用フォトダイオードには入射し
    ないようになっており、半導体レーザで発生した上向き
    のλ2光は波長選択フォトダイオードを無損失で透過し
    てレンズによって絞られてダミーファイバへ入るように
    なっていることを特徴とする光送受信モジュール。
  3. 【請求項3】 半導体レーザとモニタ用フォトダイオー
    ドは、それぞれサブマウントを介してヘッダーに固定さ
    れていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光送
    受信モジュール。
  4. 【請求項4】 短波長光λ1が1.3μmで、長波長光
    λ2が1.55μmであって、波長選択フォトダイオー
    ドチップの受光層がInGaAsP(λg=1.42μ
    m)よりなることを特徴とする請求項1〜3の何れかに
    記載の光送受信モジュール。
  5. 【請求項5】 波長選択フォトダイオードチップが、I
    nP基板の上に、InPバッファ層、InGaAsP
    (λg=1.42μm)受光層、InGaAsP(λg
    =1.15μm)窓層からなる事を特徴とする請求項4
    に記載の光送受信モジュール。
  6. 【請求項6】 波長選択フォトダイオードチップの光の
    入射面に、1.3μm帯〜1.55μm帯の波長の光を
    透過する反射防止膜を形成し、基板面に1.55μm帯
    を透過する反射防止膜を形成した事を特徴とする請求項
    4又は5の何れかに記載の光送受信モジュール。
  7. 【請求項7】 波長選択フォトダイオードの窓層がIn
    P(λg=0.92μm)層であることを特徴とする請
    求項4又は6に記載の光送受信モジュール。
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