JP3322974B2 - 燃焼装置の制御方法および燃焼装置の制御装置 - Google Patents

燃焼装置の制御方法および燃焼装置の制御装置

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JP3322974B2
JP3322974B2 JP34017393A JP34017393A JP3322974B2 JP 3322974 B2 JP3322974 B2 JP 3322974B2 JP 34017393 A JP34017393 A JP 34017393A JP 34017393 A JP34017393 A JP 34017393A JP 3322974 B2 JP3322974 B2 JP 3322974B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、たとえばガス燃焼式等
の給湯機や風呂釜といった燃焼装置の制御方法および燃
焼装置の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】安全装置を備える燃焼機器としては、実
開昭60−189757号公報で開示されている。すな
わち、COセンサ等のガスセンサからの出力に基づいて
リレー接点等を作動することにより、燃焼機器の作動を
停止するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、この種の従
来の燃焼機器の安全装置では、次のような問題がある。
COセンサ等のガスセンサユニットの電源としては乾電
池や商用電源を用いている。この乾電池は、センサユニ
ットに対して、COの検知のために常時通電をしてい
て、COの検知に必要な時期(燃焼時)以外の時期にお
いても通電していることになる。したがって、乾電池の
寿命が短い。
【0004】また、上述したようにセンサユニットに対
して常時通電されているので、電源が商用電源であるか
乾電池であるかを問わず、センサユニット自体、特にセ
ンサユニットのCO検出部の寿命が短い。
【0005】さらに、燃焼機器においては、点火初期ま
たは能力変化時に一時的に高濃度のCOが発生すること
がある。この高濃度のCOにガスセンサユニットのCO
検出部が反応してしまい、燃焼機器の作動が停止してし
まう。
【0006】したがって、この高濃度のCOにガスセン
サユニットのCO検出部が反応しないようにするには、
このガスセンサユニットにおけるCOの濃度の検出閾値
(判断値)を高目に設定しておかなければならなかっ
た。
【0007】また、従来の燃焼機器では、センサーユニ
ットとそのセンサーユニットの制御部を一対で開発し
て、この制御部により、センサーユニットのCO検出部
で検知したCO濃度のデータカットやデータ補正等のデ
ータ処理をしている。
【0008】このように、センサーユニットとそのセン
サーユニットの制御部を一対で開発する必要があったの
は、センサーユニットのCO検出部単体では、燃焼機器
における点火時期や能力切替時期が判断できず、点火時
期や能力切替時期に一時的に多量のCOが発生する場合
には、制御部がこれらの一時的に多量に発生するCOを
判断しているからである。
【0009】そこで、本発明は上記課題を解消するため
になされたものであり、たとえ乾電池を電源として用い
てもその寿命を長くすることができ、しかもガスセンサ
自体の寿命も延ばすことができ、さらには燃焼装置の誤
った作動停止を避けることができ、センサーとその制御
部を別個に開発することができる燃焼装置の制御方法
よび燃焼装置の制御装置を提供することを目的としてい
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的は、請求項1の
発明にあっては、ガス検出手段に通電することにより上
記ガス検出手段によりガス検出する際に、温度検出手段
により上記ガス検出手段に関連する雰囲気の温度を検出
して、上記温度検出手段が予め定められた温度変化を検
出すると、上記ガス検出手段に通電してガス検出する燃
焼装置の制御方法により、達成される。請求項2の発明
にあっては、前記ガスは一酸化炭素ガスである。
【0011】また、上記目的は、請求項3の発明にあっ
ては、ガス検出手段に通電することにより上記ガス検出
手段によりガス検出する際に、温度検出手段により上記
ガス検出手段に関連する雰囲気の温度を検出して、上記
温度検出手段が予め定められた温度変化を検出すると、
上記ガス検出手段に通電してガス検出し、上記ガス検出
手段から得られたガス濃度に関するデータを補正する燃
焼装置の制御方法により、達成される。請求項4の発明
にあっては、前記ガスは一酸化炭素ガスである。請求項
5の発明は、通電することによりガスを検出するための
ガス検出手段と、上記ガス検出手段に関連する雰囲気の
温度を検出して、予め定められた温度変化を検出する
と、上記ガス検出手段に通電して上記ガス検出手段によ
りガス検出させるための温度検出手段と、上記ガス検出
手段から得られたガス濃度に関するデータを補正する制
御部とを有することを特徴とする燃焼装置の制御装置で
ある。請求項6の発明は、請求項5において、前記ガス
は一酸化炭素ガスである。
【0012】
【作用】上記構成によれば、ガス検出手段に通電するこ
とによりガス検出手段によりガス検出する際に、温度検
出手段によりガス検出手段に関連する雰囲気の温度を検
出する。そして、温度検出手段が予め定められた温度変
化を検出すると、ガス検出手段に通電してCOのような
ガスを検出する。
【0013】また、ガス検出手段に通電することにより
ガス検出手段によりガス検出する際に、温度検出手段に
よりガス検出手段に関連する雰囲気の温度を検出する。
温度検出手段が予め定められた温度変化を検出すると、
ガス検出手段に通電してCOのようなガス検出し、ガス
検出手段から得られたガスの濃度に関するデータを補正
する。
【0014】このように、温度検出手段が予め定められ
た温度変化を検出したあとに、ガス検出手段に通電する
ので、それまではガス検出手段には通電が不要であり、
省電力化が図れる。また、ガス検出手段自身から、温度
変化を知らせることができる。この温度変化は、たとえ
ば点火時や能力切替え時における一時的なガス濃度の上
昇に対応することができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基
づいて詳細に説明する。尚、以下に述べる実施例は、本
発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々
の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明
において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、こ
れらの態様に限られるものではない。
【0016】図1は、本発明の燃焼装置の制御方法を実
施するための好ましい実施例の燃焼装置を示している。
図1の燃焼装置は一例としてガス給湯器1である。この
ガス給湯器1は、屋内に設置されており、そのケース2
の内部には、たとえば多数のブンゼン式バーナ3を収容
した燃焼室4と、この燃焼室4内のバーナ3により外部
から導入した水を加熱して温水とする熱交換器5を備え
ている。
【0017】燃焼室4の下方にはファン6が設けられ、
ファン6は燃焼室4に燃焼用の空気を供給するようにな
っている。この空気は、給湯器1の外部から内部に導入
される。
【0018】また、熱交換器5の上方には排気通路7が
設けられ、燃焼排気は、この排気通路7を通って煙突8
から外部へ排出されるようになっている。
【0019】さらに、この煙突8は屋内において天井A
を抜けて天井裏まで延びている。この天井裏において、
煙突8は水平に延びており、燃焼排気を屋外へ排出する
ようになっている。
【0020】この給湯器1には制御基板9が内蔵されて
おり、この制御基板9からの制御により、たとえばリモ
コンにより設定した温度の温水を作れるようになってい
る。
【0021】しかしながら、このような給湯器1では、
排気閉塞による酸素不足等の条件下においてバーナ3が
不完全燃焼を起こし、一酸化炭素(CO)を発生するこ
とがある。
【0022】このCOは、排気通路7および煙突8を通
過して屋外へ排出される過程で、排気通路7と煙突8の
接続箇所の隙間、あるいは煙突8の中間の接続箇所の隙
間やこれら接続箇所が外れた箇所等から、屋内に排気が
漏れ、この屋内にいる人が中毒に関連した様々な異常な
症状を起こす。
【0023】このため、本実施例では、既に屋内に設置
されている給湯器1に、安全装置20を装着している。
この安全装置20は、煙突8の途中に設けられている。
安全装置20のチャンバには、好ましくはCO検出用の
気体センサ28が設定されている。この気体センサ28
は制御基板9に接続されている。
【0024】次に、図2を参照する。図2は、気体セン
サユニット77およびその周辺の様子を示している。気
体センサユニット77は、実施例では好ましくはCOセ
ンサユニットである。この気体センサユニット77は、
図1に示した気体センサ28と、制御部ともいう制御基
板9により構成されている。
【0025】この制御基板9に対しては、電源38とリ
レー36が接続されている。制御基板9は電源38から
電源が供給される。この電源38としては、商用電源や
乾電池等を選択することができる。制御基板9は、リレ
ー36をオン/オフすることができるようになってい
る。このリレー36は、安全操作手段を操作して、たと
えば給湯器1のガス弁を閉じることができるようになっ
ている。
【0026】次に、図3を参照する。図3に示す気体セ
ンサ28は、接触燃焼型のセンサである。この気体セン
サ28は、ベース102の上面に起立された仕切り板1
03と、この仕切り板103によって仕切られた一方の
領域に設けられた感知素子106と、他方の領域に設け
られた比較素子105とを有している。
【0027】この仕切り板103は、たとえばセラミッ
クス板であり、比較素子105と感知素子106の動き
を規制する遮蔽板である。気体センサ28は、さらに温
度センサ107を有している。この温度センサ107
は、感知素子106と比較素子105の中間の領域にあ
る。
【0028】この温度センサ107は、感知素子106
と比較素子105に関連する近傍の周囲雰囲気の温度を
検出するためのものである。感知素子106と比較素子
105は、それぞれベース102上に起立された柱状の
一対の支持部材104,104,108,108の間で
白金線等により支持されている。また、温度センサ10
7は、ベース102上でニッケッルの線材等で形成され
た支持部材109により、ベース102の上面からたと
えばプラス10ないし20mm位の位置にあり、ベース
102の熱容量にからむ影響を受けない位置に配置され
ている。
【0029】このように、気体センサ28の感知素子1
06、比較素子105、および温度センサ107からな
るCO検出部131は、ベース102の上面からたとえ
ばプラス10ないし20mm位の位置にあり、ベース1
02の熱容量にからむ影響を受けない位置に設けられて
いる。
【0030】この気体センサ28に設けられているCO
検出部131の感知素子106は、可燃性ガスであるC
Oガスを検出するために、図4に示すヒータ回路200
により、所定温度たとえば200°Cまで加熱される。
【0031】この加熱された感知素子106に可燃性ガ
スであるCOが接触すると、接触燃焼反応が生じて、感
知素子106の温度がさらに上昇して感知素子106の
電気抵抗が変化する。この電気抵抗変化を電流変化とし
て取り出すことにより、CO濃度を検出するようになっ
ている。このように、可燃性ガスを検出するには、感知
素子106が、図4に示すヒータ回路200により所定
温度まで加熱されていることが必要となる。
【0032】しかし、感知素子106を予め所定温度ま
で加熱しても、その後検出しようとするCOの流速の変
化や、CO検出部131の周囲温度の変化等の影響を受
けるために、感知素子106を常に所定温度に保つこと
は困難である。
【0033】そこで、感知素子106とほぼ同じ物性や
熱時定数を持つ比較素子105を感知素子106の近傍
に設けて、感知素子106と比較素子105が同時に可
燃性ガスの流速の変化や周囲温度の変化で影響を受けた
場合には、感知素子106の出力に影響が出ないように
なっている。このように感知素子106の出力に影響が
出ないようにするために、感知素子106と比較素子1
05は、図示しない2つの抵抗体と共にブリッジ回路
(図示を省略する)を構成している。
【0034】さらに、温度センサ107をこれら感知素
子106と比較素子105の近傍に配置することによ
り、感知素子106と比較素子105との間の僅かな物
性の相違に基づく影響を、温度センサ107により検出
される周囲雰囲気の温度に基づいて、補正することがで
きるようになっている。このようにして、気体センサ2
8は、正確にCO濃度の検出結果を得るようになってい
る。
【0035】次に、図4を参照する。図4は気体センサ
28の構成要素と制御基板9の構成要素との電気的接続
関係を示すブロック図である。気体センサ28は、上述
したように、感知素子105、比較素子106、温度セ
ンサ107およびヒータ回路200を備えている。ヒー
タ回路200は、上述したように感知素子106と比較
素子105を所定温度まで加熱できるようになってい
る。
【0036】感知素子106と比較素子105は、制御
基板9のCO濃度検出部210に接続されている。ま
た、温度センサ107は変換部212に接続されてい
る。CO濃度検出部210と変換部212は、データ保
持部216に接続されている。
【0037】マイクロコンピュータ500のタイマ21
4は、このデータ保持部216、データ積算部222、
およびデータ減算部224に接続されている。このタイ
マ214は、データ保持部216とデータ積算部222
およびデータ減算部224において時間(秒数)をカウ
ントするためのものである。
【0038】データ保持部216は、補正演算部218
と警報出力部220に接続されている。警報出力部22
0はリレー36およびデータ積算部222に接続されて
いる。データ積算部222はデータ減算部224に接続
されている。
【0039】リレー36は、安全操作手段300を操作
するためのものである。すなわち警報出力部220から
の信号に基づいてリレー36が作動して、ガス給湯器の
安全操作手段300を操作できることになっている。
【0040】次に図5と図6を参照して、本発明の燃焼
機器の制御方法の好ましい実施例を説明する。図2に示
す制御基板9に対しては、電源38として通常のたとえ
ば単三電池を接続してある。
【0041】図2に示す給湯器280の電源がオンされ
たことを受けて(電源コンセントが入れられたことを受
けて)、図5のステップST1に示すように、図3の気
体センサ28のCO検出部131へ通電をする。なお、
他の好ましい実施例としては、給湯器280のリモコン
がオンされたことを受けて、図5のステップST1に示
すように、図3の気体センサ28のCO検出部131へ
通電をするようにしてもよい。このように制御基板9側
からCO検出部131の感知素子106と比較素子10
5および温度センサ107に対して通電することによ
り、図3に示す感知素子(検出素子ともいう)106と
比較素子105のヒートクリーニングを行う(ステップ
ST2)。
【0042】このように感知素子106と比較素子10
5のヒートクリーニングを行うのは、これらの素子のゼ
ロ点補正を正しく行うためと、感知素子105と比較素
子106に付着しているゴミ等の不純物を焼いてクリー
ニングするためである。
【0043】次に、図5のステップST3において、検
出素子ともいう感知素子106と比較素子105の零点
補正を行う。つまり、まだCOが周囲に存在しない時の
感知素子106と比較素子105の零基準を決める。
【0044】次に、図5のステップST4に示すよう
に、検出素子106と比較素子105への通電をストッ
プする。つまり、まだ燃焼を開始してCOの雰囲気にな
っていないので、省電力運転のためにいったん検出素子
106と比較素子105への通電をストップするのであ
る。検出素子106と比較素子105への通電のストッ
プは、ゼロ点補正から一定時間後に行う。
【0045】しかし、図3の温度センサ107に対して
のみ通電している。この温度センサ107により、検出
素子106と比較素子105の周囲雰囲気の温度検出の
みを行う。
【0046】次に、図5のステップST5において、予
め定められた温度変化ΔT(°C/秒)が生じて入るか
どうかを、温度センサ107から得られる温度に基づい
て、図4のデータ保持部216が演算して検出する。こ
のように温度変化ΔT(°C/秒)が生じているかどう
かをチェックするのは、燃焼をしているかどうかを確認
するためである。
【0047】予め定められた温度変化ΔTが発生してい
ると図4のデータ保持部216が判断した場合には、念
のために再度感知素子106と比較素子105のヒート
クリーニングを行う(ステップST6)。このように、
再度感知素子106と比較素子105のヒートクリーニ
ングを行うのは、できるだけ早くCOセンサを立ち上げ
たいためである。つまり、このようにヒートクリーニン
グを行うことで、速く感知素子106と比較素子105
の温度を上昇させる。
【0048】このようにして感知素子106と比較素子
105のヒートクリーニングを行った後に、図5のステ
ップST7において、CO濃度の測定を開始する。そこ
で、このCO濃度の測定を、図6に示すフローチャート
で詳しく説明する。図6のステップST20において、
CO検出部131の感知素子106からCO検出データ
を取り込む。これと同時にCO検出部131の温度セン
サ107から温度データを取り込む。
【0049】このようにして取り込まれたCO濃度と温
度データの取り込み例を、図7に例示する。図6のステ
ップST20におけるCO濃度データの取り込みは、図
4に示す制御基板9のCO濃度検出部210を介してデ
ータ保持部216に対して行い、温度データの取り込み
は、制御基板9の変換部212を介してデータ保持部2
16に対して行う。このデータの取り込みタイミング
は、データ保持部216に対してタイマ214により設
定されていて、たとえば好ましくは10秒ごとである。
【0050】図7のデータ取り込み例を参照する。1回
目の取り込みでは、CO濃度が1000ppmであり、
温度が150°Cである。これに対して、1回目のデー
タ取り込みから10秒後の2回目のデータの取り込み例
では、CO濃度が700ppmに下がっているが、温度
は200°Cに上昇している。
【0051】図6のステップST21で示すように、図
4のデータ保持部216において、取り込まれたCO濃
度データと温度データは、たとえば好ましくは10秒間
データ保持される。このようにして保持されているCO
濃度データと温度データは、データ保持部において温度
変化ΔT(°C/秒)の演算を行う。
【0052】この温度変化ΔT(°C/秒)の演算例を
図8で示す。図8の演算例は、図7におけるデータ取り
込み例を基にして計算している。すなわちデータ保持し
ている1000ppmというCO濃度データは、毎分3
00°C(なぜなら図7を参照すると、10秒間で50
°C上昇しているため、1分間では300°Cに相当す
ることになる。)という変化の中で発生したものであ
る。したがって、通常の安定時における燃焼状態で10
00ppmというCO濃度が排出されているものではな
く、急激にCO濃度が増加していることがわかる。
【0053】このようなCO濃度の急激な増加の現象
は、給湯器の点火時もしくは燃焼装置の能力変化時と考
えるのが妥当である。したがって、給湯器の点火時もし
くは能力変化時における急激な一時的なCO濃度の増加
であるので、図4の安全操作手段300を動作させて図
1の給湯器の動作を停止させるべきではない。このこと
から、このようなCO濃度の急激な増加の現象状態で
は、図4に示す安全回路としてのリレー36は作動せ
ず、給湯器の動作を停止させない。
【0054】この温度変化300°C/分という変化
は、予め定められた温度変化ΔTより大きい場合であ
る。したがって、図6に示すようにステップST23に
おけるデータ補正を行う(ステップST23)。これに
対して、もし温度変化が、予め定められた温度変化ΔT
以下である場合には、そのままデータ出力をする(ステ
ップST24)。
【0055】このように、本発明の制御方法の実施例で
は、点火時期または能力変化時期においては、一時的に
急激にCO濃度が増大したとしても、データカット、す
なわち、図4のデータ補正演算部218が図6のステッ
プST23のデータ補正を行うことにより、図4のデー
タ保持部216における瞬間CO濃度値を判断するため
のCO濃度の閾値を引き下げることができる。このよう
にするのは、次のような理由による。
【0056】もし、一時的に急激に増えた瞬間CO濃度
値のみで、給湯器の停止を判断してしまうようになって
いると、上述したような点火初期または能力変化時にお
ける一時的にCO濃度が増大した場合において、給湯器
が停止してしまわないように瞬間CO濃度値判断閾値を
かなり引き上げて高目に設定する必要がある。このよう
に瞬間CO濃度値判断閾値を高めに設定すると、実際の
初期点火または能力変化時以外の、通常燃焼時における
CO濃度値の判断値が高くなってしまい、通常燃焼時に
おけるCO濃度値の検出精度が悪くなるからである。
【0057】また、CO濃度値を積算してデータを得て
その積算データだけに基づいて、給湯器を停止する方式
だけを採ってしまうと、点火時初期または能力変化時に
おける一時的なCO濃度発生には対応することができる
が、そのような場合に早期にデータを判断することがで
きない。
【0058】したがって、本発明の実施例では、より正
確にしかも即座に判断するために、図6のステップST
25からST29に示すように、上述した瞬間CO濃度
値の判断と積算データの判断を併用する方式を採ってい
る。
【0059】そこで、上述したように瞬間CO濃度値閾
値を判断することと、積算データにより判断することの
両方式を次に実施する。
【0060】まず、瞬間CO濃度値閾値は、危険濃度と
してたとえば3000ppm(°C/分)に予め定めて
ある。図6において、コンピュータ500が、ステップ
ST25では、定常的にCO濃度が瞬間CO濃度値閾値
3000ppm以下であるかどうかを判断する。このス
テップST25では、点火時期や能力切替時期のおける
一時的はCO濃度の上昇は判断しない。
【0061】瞬間CO濃度値判断は、データ補正を行っ
て、あるいはそのままデータ補正を行わないで判断す
る。たとえば、データ補正をする場合には、1000p
pmで温度変化Δtが1℃/1分以上である場合には、
たとえばデータ補正として1/10の係数値をかけて結
果的には100ppmに補正したCO濃度値を採用す
る。あるいは、たとえば、1000ppmで温度変化Δ
tが300℃/1分の時には、データ補正の係数値とし
て1000/300として、30ppmの補正したCO
濃度値を採用する。
【0062】この場合、CO濃度が3000ppmを超
えている場合には、危険な濃度であるので、即座にリレ
ー作動を出力して(ステップST26)、給湯器1を停
止する。したがって、図4のデータ保持部216から警
報出力部220に信号が与えられて、警報出力部220
はリレー36を操作して安全操作手段300を操作する
ことにより、ガス弁を閉める。
【0063】一方、図6のステップST25において、
CO濃度が瞬間CO濃度値閾値3000ppm以下であ
ると、図4のデータ積算部222においてデータ積算
(ステップST27)を開始する。
【0064】このデータ積算部222におけるCO濃度
のデータ積算は、次のようにして行う。このデータ積算
の方法は種々あるが、上述した補正前のCO濃度データ
を積算することもできる。データ積算では、たとえば血
中ヘモグロビン濃度にて積算する方法を用いることがで
きる。すなわち、人が室内において一定の濃度のCOを
含む雰囲気中におかれた場合には、血中ヘモグロビンが
増加する現象を利用するものである。
【0065】すなわち、空気中のCO濃度が低くても血
中COヘモグロビンは増加し、その血中COヘモグロビ
ン濃度に応じて、室内の人はちょっとした頭痛等の軽い
症状から急速な死といった重いものまで種々の症状を呈
してしまう。COと結合したヘモグロビンが血中ヘモグ
ロビンの25%を超えると危険な状態に至る。この危険
な状態に到る時間は雰囲気中のCO濃度が高い場合には
短くなる。
【0066】また、雰囲気中のCO濃度が低い場合であ
っても、その雰囲気中に人が長持間晒されると、COと
結合した血中ヘモグロビン濃度は徐々に増加して一定時
間経過後に危険な状態となってしまう。
【0067】そこで、給湯器の燃焼運転時に、単位検出
時間ごとにCO濃度を検出する。たとえば単位時間を1
秒とした時に、1秒ごとにCO濃度をサンプリングし
て、そのサンプリング値を、単純に平均した値、または
重み付けして平均した値を、その単位検出時間当たりの
CO濃度として、重み付け比率ERとこの重み付け比率
ERの積算値TRを用いる。
【0068】ここで、重み付け比率ERおよび重み付け
比率ERの積算値TRは、給湯器1において燃焼排気中
のCOをCOセンサ28により検出している時に、その
状態が人体に与える影響を考慮して、給湯器1の燃焼を
停止するためのタイミングをはかって、燃焼の停止もし
くは警報表示等のタイミングを得るためのものである。
【0069】まず、重み付け比率ERの算出に際して
は、単位時間T1ごとにCO検出部131により排気中
のCO濃度を検出し、その濃度中に人が晒された時に、
血中ヘモグロビン濃度が予め定められる危険基準濃度に
達する時間Tを予め与えられたデータから求める。単位
時間T1と危険基準濃度に達する時間Tとの比率T1/
Tが重み付け比率ERである。
【0070】この重み付け比率ERは、検出CO濃度の
雰囲気中に晒された時、危険基準濃度となる時間Tのう
ち、T1の時間が既に費やされ、残りT−T1しか、そ
のCO濃度に対して安全の余裕時間がないことを示して
いる。
【0071】そして、この単位時間ごとに換算されるE
R値を積算した結果が重み付け比率ERの積算値TRで
ある。給湯器1の安全装置においては、この重み付け比
率ERの積算値TRの値に基づいて、警報の表示や燃焼
の停止が行われるようになっている。
【0072】これにより各単位検出時間ごとに血中に取
り込まれるCOの量を算出して、血中COヘモグロビン
濃度をより正確に判断して、COガス中毒に対する安全
精度を高めるようになっている。しかしながら、この血
中ヘモグロビン濃度による積算に限らず、他の方式を採
用することもできる。たとえば、コンデンサと抵抗(C
R回路)のコンデンサを用いて電気的換算することによ
り、データ積算をすることもできる。
【0073】次に、得られた積算データが一定値を越え
ている場合には、危険であるとみなして図4のリレー3
8を作動して給湯器1の燃焼を停止する。そうでなく、
得られた積算データが一定値以下であると(ステップS
T28)、次にデータ減算(ステップST29)を行
う。このデータ減算は、次のような理由で行う。図1に
示すように給湯器1が設定されている屋内の換気率は、
その建物の構造によって異なるものであるが、その建物
の構造に応じてその減算率を設定する。
【0074】しかしデータ減算は、屋内の換気率で減算
する以外に、たとえば上述したCR回路における抵抗R
を用いて電気的に減算することもできる。
【0075】次に、図5に戻って、ステップST7の測
定からST8に移る。ステップST8において、温度変
化ΔTがあった場合には、例えば図8に示す絶対値の温
度判断を外し、−Δt°C/秒(たとえば毎分100°
C以上下がっている場合)には、給湯器の燃焼が停止し
たものと判断し、比較素子105と感知素子106への
通電を停止する(ステップST9)。
【0076】そして、燃焼開始カウントを1回カウント
アップして、これが256回カウントした(ステップS
T10,11)ならば、零点補正を行いカンウトをクリ
アする(ステップST12)。零点補正は、たとえば5
0°C以下で1°C/秒以下の温度変化時において行
い、この時Δtが急激に変化した場合には、給湯器の燃
焼が再開されたと判断して、零点補正の作業を中止し
て、前回の零点データをもとに、ステップST5にもど
るが、そうでない場合にはヒートクリーニングを行い零
点補正を行う。
【0077】この零点補正を行う際に、たとえば零点異
常(零点が狂った状態)が続けて5回より少ないときに
は、感知素子106と比較素子105の経年変化が少な
く、まだ使用できる。これに対して、零点異常が5回異
常であるときには、CO検出部131が経年変化が激し
くて使用できないものとして、図4のリレー38を作動
して給湯器を停止する(ステップST13,14)とと
もに、COセンサへの通電を停止する。
【0078】以上説明したように、本発明の燃焼装置の
制御方法の実施例によれば、次のようなメリットがあ
る。燃焼機器の点火時期または能力切替え時における一
時的なCO濃度の発生への対応するために、従来におい
てはCO検出部とその一時的なCO発生を判断する制御
装置を一対として開発しなければならなかった。
【0079】しかし、本発明の実施例によれば、燃焼装
置の点火時期と能力切替え時の一時的なCO濃度の上昇
は、CO検出部の温度センサ自体が自己感知するだけで
検出することができる。つまり、CO検出部の温度セン
サ自体がある決められた温度変化を起こすので、燃焼装
置の点火時期と能力切替え時に発生する一時的なCO濃
度の上昇を検出できる。したがって、従来のようにCO
検出部とその一時的なCO発生を判断する制御装置を一
対として開発する必要がなく、CO検出部と制御装置を
別々に開発することができる。また、図3の感知素子1
06と比較素子105に対して常時電源を供給する方式
ではないので、図2の電源38が乾電池であったとして
も電池寿命を長寿命化することができる。
【0080】また上述したように感知素子106と比較
素子105に常時通電する必要がないので、両センサの
寿命を長寿命化することができる。また点火時期と能力
切替え時における一時的なCO濃度の発生においては、
図3に示す温度センサ107が自己検知させてその検知
に基づいて制御基板側で処理するようにしているので、
CO濃度の判断閾値を高くしなくても誤動作することが
ない。もし、このCO濃度の判断閾値を従来のように高
く引き上げなければならないと、点火初期における着火
おくれや、さらにもっと多量にCOが発生することを考
慮すると、死亡事故にも繋がってしまう。
【0081】本発明の実施例では、図4に示すセンサ検
出部の制御基板9に対して、燃焼開始や能力変化を出力
するような特別な装置を燃焼装置側に持たなくても、点
火時期や能力変化をCO検出部自体が捕らえることがで
きる。このため、一時的なCO発生により燃焼装置を停
止してしまうことがない。したがって、CO検出部自体
に対して、外部から点火時期または能力切替え時期を知
らせる信号を入力しなくても済む。これにより、CO検
出部のみの開発が可能であり、そのCO検出部を燃焼機
器の安全回路の一部として直ちに取り付けることができ
る。
【0082】ところで本発明は上記実施例に限定されな
い。上述した本発明の実施例では、燃焼装置として給湯
器を例にして説明している。しかしこれに限らず、たと
えばガスや石油、風呂釜や暖房機等に使用することがで
きる。一例として、石油ファンヒータ等に本発明は適用
できる。
【0083】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、た
とえ乾電池を電源として用いてもその寿命を長くするこ
とができ、しかもガスセンサ自体の寿命も延ばすことが
でき、さらには燃焼装置の誤った作動停止を避けること
ができ、センサーとその制御部を別個に開発することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃焼機器の制御方法の好ましい実施例
が適用される給湯器の一例を示す図。
【図2】この燃焼機器の煙突に装着されるCO検出部と
制御基板およびその周辺要素を示す図。
【図3】図2のCO検出部の内部要素を示す斜視図。
【図4】CO検出部と制御基板の構成要素を示す図。
【図5】本発明の燃焼機器の制御方法の一例を示すフロ
ー図。
【図6】図5に示すフロー図における測定段階を詳しく
示すフロー図。
【図7】図6のCO検出部からのデータ取り込み(ステ
ップST20)における取り込み例を示す図。
【図8】図6のステップST22における温度変化ΔT
の演算例を示す図。
【符号の説明】
1 給湯器 8 煙突 9 制御基板 20 安全装置 28 気体センサ(COセンサ、CO検出部、ガス検
出手段) 105 感知素子(検出素子、) 106 比較素子 107 温度センサ(温度検出手段) 214 タイマ 216 データ保持部 500 コンピュータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F23N 5/24 107 F23N 5/02 350 G01N 27/16

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガス検出手段に通電することにより上記
    ガス検出手段によりガス検出する際に、温度検出手段に
    より上記ガス検出手段に関連する雰囲気の温度を検出し
    て、 上記温度検出手段が予め定められた温度変化を検出する
    と、上記ガス検出手段に通電してガス検出することを特
    徴とする燃焼装置の制御方法。
  2. 【請求項2】 前記ガスは一酸化炭素ガスである請求項
    1に記載の燃焼装置の制御方法。
  3. 【請求項3】 ガス検出手段に通電することにより上記
    ガス検出手段によりガス検出する際に、温度検出手段に
    より上記ガス検出手段に関連する雰囲気の温度を検出し
    て、 上記温度検出手段が予め定められた温度変化を検出する
    と、上記ガス検出手段に通電してガス検出し、 上記ガス検出手段から得られたガス濃度に関するデータ
    を補正することを特徴とする燃焼装置の制御方法。
  4. 【請求項4】 前記ガスは一酸化炭素ガスである請求項
    3に記載の燃焼装置の制御方法。
  5. 【請求項5】 通電することによりガスを検出するため
    のガス検出手段と、 上記ガス検出手段に関連する雰囲気の温度を検出して、
    予め定められた温度変化を検出すると、上記ガス検出手
    段に通電して上記ガス検出手段によりガス検出させるた
    めの温度検出手段と、 上記ガス検出手段から得られたガス濃度に関するデータ
    を補正する制御部とを有することを特徴とする燃焼装置
    の制御装置。
  6. 【請求項6】 前記ガスは一酸化炭素ガスである請求項
    5に記載の燃焼装置の制御装置。
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