JP3777011B2 - 燃焼装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、COセンサを備えた給湯器等の燃焼装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
給湯器等の燃焼装置は、図10に示すように、室内に設置されて使用される場合が多く、このように室内に設置されて使用される場合には、給湯器1の排気側に排気ガス中のCO濃度を検出するCOセン28が設けられ、このCOセンサ28のCO濃度の検出値が危険濃度に達したときには、燃焼停止を行う等のCO安全装置が備えられている。
【0003】
この種の燃焼装置には、図8に示すような燃焼熱量とファン回転数との関係を示すファン風量制御データが与えられており、燃焼装置の制御手段は、燃焼熱量に応じてファン回転数を可変制御し、燃焼熱量に見合う風量をバーナに供給すべく風量制御を行っている。
【0004】
一般に、高濃度のCO(一酸化炭素ガス)が検出されて燃焼停止が行われる要因として、排気詰まり等の排気系の異常の場合と、燃焼装置の空気取り入れ口に設けたフィルタの目詰まり等の給気系の異常の場合とがあり、給気系の異常の場合には、フィルタを清掃して、フィルタの目詰まりをなくすことにより、正常な燃焼運転を再開できることから、CO安全装置により燃焼停止がされた後においても、例えば、燃焼装置の運転スイッチをオフして電源を一旦切ってから再び運転スイッチをオンとすることにより、燃焼運転の制御プログラムがリセットされて、再び燃焼運転を再開できるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、排気詰まり等の排気系の異常のために、CO濃度が危険濃度に達して燃焼停止が行われた場合には、前記排気詰まりによって給気の不足状態が発生し、このために、CO濃度が高くなり、燃焼停止がされたものであるから、CO安全装置により燃焼が停止された後に、再びリセットして燃焼運転を再開したとしても、排気詰まりの異常は解消されていないので、燃焼再開後、CO濃度の高い排気ガスが再び発生し、燃焼再開の直後に再びCO安全装置が動作して燃焼運転が停止されることとなり、燃焼装置を円滑に使用できなくなるという問題が生じる。
【0006】
また、排気ガスが室内に洩れているような場合には、CO安全装置が動作した時点で、かなり濃度の高いCOガスが室内に拡散していることとなり、その後、リセットして燃焼運転が再開されたときには、CO安全装置の動作時点に洩れていたCOガスにさらに燃焼再開後に発生する高濃度のCOガスが室内に洩れることとなって非常に危険である。
【0007】
CO安全装置が動作して燃焼が停止されても、リセット操作により簡単に燃焼運転が再開できるので、排気詰まり等の異常によって給気量が不足状態にあるにもかかわらず、点検を行わずに燃焼運転を再開してしまう場合が多く、そのため、安全性の上でさらなる改善が望まれている。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、CO安全装置が働いて燃焼停止が行われた後に、リセットして燃焼運転を再開する際には、給気の不足状態を解消して円滑に燃焼運転を継続することができると共に、燃焼再開後の排気ガス中のCO濃度の低減を図ることができる安全性に優れた燃焼装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、次のような手段を講じている。すなわち、第1の発明は、燃料の燃焼を行うバーナと、このバーナ燃焼の給排気を行う燃焼ファンと、燃焼ファンのファン風量を制御するファン風量制御部と、排気ガス中のCO濃度を検出するCOセンサと、COセンサで検出されるCO濃度が予め与えられる危険濃度に達したときに燃焼停止を行うCO安全装置とを備え、前記ファン風量制御部には燃焼熱量とファン風量との関係を示すファン風量制御データが与えられ、ファン風量制御部は燃焼熱量に応じてファン風量を可変制御する構成とした燃焼装置において、前記ファン風量制御部には通常運転用のファン風量制御データとファン風量を順次増加側にシフトした複数の風量アップ用のファン風量制御データとが与えられており、燃焼運転中にCO濃度が危険濃度に達して燃焼停止された後にリセットして燃焼運転を再開する燃焼停止の解除の際には燃焼停止前に使用されていたファン風量制御データよりも風量をアップ側にシフトさせた風量アップ用のファン風量制御データを選択指定して燃焼運転を再開させる燃焼再起動風量制御データ指定部が設けられている構成をもって課題を解決する手段としている。
【0010】
また第2の発明は、前記第1の発明の構成を備えたものにおいて、各CO濃度毎にCOの危険状態に到達する危険到達時間が与えられ、CO安全装置には、単位時間t毎に該単位時間とその単位時間中に検出されるCO濃度に対応する危険到達時間との比(t/T)を停止定数ERとして求めるER演算部と、停止定数が算出される毎に順次停止定数の値を積算するTR演算部と、この停止定数の積算値が予め与えられる危険CO濃度の値に達したときに燃焼停止を行うCO安全動作部とが備えられている構成をもって課題を解決する手段としている。
【0011】
さらに、第3の発明は、前記第1又は第2の発明の構成を備えたものにおいて、燃焼火炎を検出するフレームロッドが設けられ、また、燃焼運転時のファン風量制御データを切り替えるファン風量制御データ切り替え制御部が設けられ、ファン風量制御データ切り替え制御部にはCO濃度が高くなるにつれてファン風量制御データを風量アップ側に切り替える基本機能の他に、フレームロッド電流が予め設定される上側しきい値を上側に越えたときにファン風量制御データを風量アップ側に切り替えフレームロッド電流が予め設定される下側しきい値を下側に越えたときにファン風量制御データを風量ダウン側に切り替える機能と、フレームロッド電流の上昇変化量が予め設定されている基準時間内で上昇変化基準値を越えたときにファン風量制御データを風量アップ側に切り替える機能と、フレームロッド電流の下降変化量が予め設定されている基準時間内で下降変化基準値を越えたときにファン風量制御データを風量ダウン側に切り替える機能と、フレームロッド電流の下降変化量が前記フレームロッド電流の下降変化量を判断する基準時間よりも時間幅が狭い微小設定時間内で予め設定されている下降変化基準値を越えたときにはファン風量制御データを風量アップ側に切り替える機能との1つ以上の付加機能が備えられており、燃焼熱量制御範囲内の指定値以下の低燃焼能力範囲内の燃焼運転時には前記基本機能と付加機能の組み合わせによってファン風量制御データを切り替え制御する構成としたことをもって課題を解決する手段としている。
【0012】
本発明においては、燃焼運転中に、COセンサによって検出される排気ガス中のCO濃度が検出される。このCOセンサのCO濃度検出信号を受けて、ER演算部は、その検出濃度に対応する危険到達時間TとそのCO濃度を検出した単位時間tとの比t/Tを停止定数ERとして求め、この求めた値をTR演算部に加える。
【0013】
TR演算部は、前記ER演算部で停止定数ERが算出される毎に、その算出された停止定数ERを積算(加算)して行き、その積算値が予め与えられる危険CO濃度の値に達したときに燃焼停止を行う。
【0014】
そして、リセット等により燃焼運転が再開されたときには、燃焼再起動風量制御データ指定部は、ファン風量制御データを通常運転用のファン風量制御データから風量アップ用のファン風量制御データに切り替え、風量アップ用のファン風量制御データを用いて点着火を行い燃焼運転を再開させる。この風量アップ制御により、例えば排気系に排気詰まり等が生じていた場合においても、その排気詰まりによる給気不足分がファン風量のアップ分によって解消され、正常な燃焼によって、円滑に燃焼運転が継続され、COガスの発生も少なくなり、COに対する安全が図れることとなる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態例を図面に基づいて説明する。図2には本発明に係る一実施形態例の燃焼装置の機械的構成が示されている。本実施形態例の燃焼装置は、給湯器に関するもので、器具ケース3内には給湯器の本体部4が収容設置されている。なお、器具ケース3には給気口5が設けられ、この給気口5からフィルタ(図示せず)を通して空気が本体部4の空気導入口6に導かれるようになっている。
【0016】
本体部4は燃焼室7を有し、この燃焼室7の下部側には一次空気と二次空気を利用して燃焼するタイプのセミブンゼンバーナ等のバーナ8が設置されており、このバーナ8にガス通路10が接続され、このガス通路10を通して燃料ガスがバーナ8に供給されるようになっている。
【0017】
ガス通路10には通路の開閉を行う電磁弁11,12とバーナ8へのガス供給量を開弁量によって制御する比例弁13が設けられている。この比例弁13は制御装置14によって制御されて印加される開弁駆動電流(比例弁電流)の大きさに応じて開弁量(ガス供給量)、すなわち、バーナ8の燃焼熱量(燃焼能力)を制御する構成のものである。
【0018】
バーナ8の近傍にはバーナ8の点火を行う点火プラグ15と、バーナ8の火炎を検出するフレームロッド16が設けられている。このフレームロッド16は図11に示す如く、バーナ8に生じる火炎の内炎が接触する高さ位置に設置され、フレームロッド16に電圧が印加されることで、内炎に電離するイオンを伝搬してフレームロッド16からバーナ8側のアース端17にフレームロッド電流が流れる構成となっている。すなわち、フレームロッド16は、火炎に接触することで、フレームロッド電流を出力する火炎検出センサとして機能するものである。
【0019】
前記燃焼室7の上部側には給湯熱交換器18が設けられており、この給湯熱交換器18の入側には給水管20が接続され、給湯熱交換器18の出側には給湯管21が接続されている。この給湯管21は外部配管に接続され、この外部配管は台所等の所望の給湯場所に導かれ、出口側には給湯栓(図示せず)が設けられる。なお、図中、22は給水流量を検出する給水流量センサ、23は給水温を検出する給水温度センサ、24は出湯温度を検出する出湯温度センサ、25は給湯流量を制御する水量制御弁をそれぞれ示している。
【0020】
前記燃焼室7の上部側にはバーナ燃焼の給排気を行う燃焼ファン26が設けられている。この燃焼ファン26の回転はファン回転検出センサ27によって検出されている。
【0021】
前記燃焼ファン26の下流側の排気通路には、COセンサ28が設けられており、このCOセンサ28により排気ガス中のCO濃度が検出される構成となっている。この実施形態例の給湯器が室内に設置される場合には、排気通路30の出口側に排気ダクトが接続されて、図10に示す如く、排気ガスは室外に排出される施工形態となる。
【0022】
前記制御装置14にはリモコン31が信号接続されている。このリモコン31には給湯温度を設定する温度設定器や、制御装置14からの適宜の情報(例えば、給湯温度やエラーの信号)を表示する表示部を備えている。
【0023】
図1は制御装置14の要部を示すもので、燃焼制御部32と、風量制御部33と、燃焼再起動風量制御データ指定部34と、時間計測手段35と、センサ通電制御部36と、サンプリング部37と、ER演算部38と、TR演算部39と、CO安全動作部40とを有して構成されている。
【0024】
前記燃焼制御部32は、給水温度をリモコン31等で設定される給湯設定温度に高めるのに要するフィードフォワード熱量と、給湯設定温度に対する給湯温度のずれを修正するフィードバック熱量とを加算して得られるトータル熱量を算出し、バーナ8の燃焼熱量がこのトータル熱量となるように比例弁13の比例弁電流(開弁駆動電流)を制御する。
【0025】
すなわち、燃焼制御部32には図9に示すような比例弁開度と燃焼熱量(燃焼能力)の関係を示す燃焼制御データが与えられており、燃焼制御部32は、最大燃焼熱量Maxと最小燃焼熱量Minとの燃焼能力の範囲内で比例弁開度を制御する。例えば、演算によって得られる燃焼熱量がPのときには、図9の制御データにより比例弁開度はQとして求められ、この比例弁開度Qが得られるように比例弁13への比例弁電流を供給すべく制御するのである。なお、図9に示す制御データでは、最小燃焼熱量に対応する比例弁開度を0%とし、最大燃焼熱量に対応する比例弁開度を100 %とし、比例弁開度を0%から100 %の範囲内で制御して最小燃焼熱量と最大燃焼熱量の範囲内の燃焼熱量を得る制御形態が採られる。
【0026】
風量制御部33には、図3に示すような風量制御データが与えられている。図3において、横軸は比例弁開度(燃焼熱量)を示し、縦軸はファン回転数(ファン風量)を示している。図3のAのデータは通常の燃焼運転用の標準ファン風量制御データであり、Cのデータはこの標準ファン風量制御データよりもファン風量を増加する方向にシフトしたファン風量制御データであり、Bはこのファン風量制御データCよりもさらにファン風量を増加させた風量アップ用ファン風量制御データであり、D,Eのデータはさらに順次風量をアップ方向にシフトさせたファン風量制御データである。
【0027】
この図3に示すデータから分かるように、最小インプット時(最小比例弁開度時)にはB〜Eのファン風量制御データを切り替えるとファン回転数が大きく変わるのに対して最大インプット時にはファン回転数はあまり変わらないようにしてある。これは一般的に行われている空燃比を一定にして燃焼させるものとは異なり本出願人が独自に見い出したものである。つまり本来バーナは最大インプット(定格インプット)で燃やすことのできるバーナを用いて燃料を少なくしても消えないように風量制御を行っているものである。つまり低インプット(低燃焼熱量)ほど風量制御を正確に行わないと消えてしまうことを意味する。つまり空燃比を一定にした相関関係では各線は平行となるが、本願では比例弁開度小方向になるにしたがって各線間間隔は広がり、比例弁開度大方向になるにしたがって各線の間隔はせまくなる(各線が一点に集まる必要はなく各線の想像線が比例弁開度大方向のどこかで交差する)ようにしている。
【0028】
風量制御部33は、通常の燃焼運転に際しては、Aの制御データを用いて比例弁開度に対応するファン回転数(ファン風量)を求め、このファン回転数(ファン風量)が得られるように燃焼ファン26の回転制御を行う。この風量制御により、燃焼熱量(ガス供給量)に見合う風量が得られ、燃焼熱量と風量とがマッチングした燃焼制御が達成されるものとなる。
【0029】
また、風量制御部33は、後述する燃焼再起動風量制御データ指定部34により風量制御データとして風量アップ側のBのファン風量制御データが指定されたときには、この指定された風量アップ用のファン風量制御データBを用いて比例弁開度に応じたファン風量を制御する。
【0030】
センサ通電制御部36は、燃焼運転中には、COセンサ28に通電を行い、COセンサ28がCO濃度を正常に検出可能な状態を維持する。そして、燃焼運転が停止したときには、その後、例えば120 分間ポスト通電を行い、燃焼運転が再開されたときには直ちにCO濃度を検出できる態勢を維持する。また、前記ポスト通電の期間にCOセンサ28の零点補正を行い、COセンサ28の零点のずれを修正する。
【0031】
その一方で、センサ通電制御部36は、燃焼運転がコールドスタート状態(燃焼停止後、長時間経過した後に燃焼運転がスタートする動作状態)から燃焼運転が開始されたときには、COセンサ28に通常のCO濃度検出時よりも大きな電流を通電してCOセンサ28のCO検出部を例えば400 ℃に高めてCO検出部の表面の炭化水素等の付着物を焼却除去してヒートクリーニングを行う。
【0032】
サンプリング部37はクロック機構等の時間計測手段35を用いて、所定の例えば0.1 秒間隔でCOセンサ28からCO濃度の検出信号を取り込み(サンプリングし)そのサンプリング値をER演算部38に加える。
【0033】
ER演算部38には各CO濃度毎にそのCO濃度の雰囲気中に人が晒されたと仮定したときにCO中毒の危険状態に到達する危険到達時間Tのデータが与えられている。例えば、CO濃度X1 に対してはT1 ,CO濃度X2 に対してはT2 ,CO濃度X3 に対しては危険到達時間がT3 という如く各CO濃度毎の危険到達時間のデータが与えられている。
【0034】
ER演算部38は、前記サンプリング部37から0.1 秒毎に加えられるCO濃度検出値を単位時間のt(例えば1秒間)当たりの平均値として求め、この単位時間当たりの平均CO濃度に対応する危険到達時間を用い、単位時間tと危険到達時間Tとの比t/Tを停止定数ERとして算出する。例えば、単位時間t当たりのCO平均濃度がX1 であるときには、その平均濃度X1 の危険到達時間はT1 であるから、停止定数ERはt/T1 として求められる。同様に、単位時間当たりの平均CO濃度がX2 ,X3 であるときには停止定数ERはt/T2 ,t/T3 という如く求められる。そして、これら単位時間t経過後毎に求められる停止定数ERの値はTR演算部39に加えられる。なお、制御装置14の制御回路はコンピュータの回路が用いられる関係上、停止定数ERと、ERの積算値TRは、実際には250 の値を掛けた値に変換してデータ処理を行わせているが、本明細書中では発明の内容を理解し易くするために250 の値を掛けない数値を使用して説明することにする。
【0035】
TR演算部39は、ER演算部38から停止定数ERの値が加えられる毎に、その値を積算(加算)する。そして、この停止定数ERの積算値TRはCO安全動作部40に加えられる。
【0036】
CO安全動作部40には危険CO濃度の値が複数段の形態で与えられており、例えば、0.7 の値を第1段階の危険CO濃度の値として与えられ、0.8 を第2段階の危険CO濃度の値として与えられ、0.9 を第3段階の危険CO濃度の値として与えられ、0.9 を越え、1.0 以下の範囲を最終段階の危険CO濃度の値として与えられている。CO安全動作部40は、TR演算部39から加えられる停止定数ERの積算値TRを前記各段階の危険CO濃度の値と比較し、積算値TRが第3段階までの各段階の危険CO濃度の値に達したときには、リセットにより再燃焼起動が可能なA停止制御モードの動作を行い、積算値TRが最終段階の危険CO濃度の範囲に入ったときにはB停止制御モードの動作を行う。このB停止制御モードの動作は、燃焼停止後所定の時間(例えば2時間)が経過するまでは燃焼運転指令が出されてもその燃焼運転指令を受け付けない制御動作、つまり、燃焼停止後リセットにより燃焼運転が所定時間経過しない間は行えない制御動作である。
【0037】
表示部41はCO安全動作部40から停止定数ERの積算値TRが各段階の危険CO濃度の値に達したことが判断されたときに、その状態をリモコン31の表示部等に表示するものであり、例えば、ERの積算値TRが第3段階までの各段階の危険CO濃度の値に達したときにはエラー90が表示され、積算値TRが最終段階の危険CO濃度の範囲に入ったときにはエラー13が表示される。
【0038】
燃焼再起動風量制御データ指定部34は、CO安全動作部40により停止定数ERの積算値TRが第3段階までの各段階の危険CO濃度の値に達して燃焼停止が行われ、リセットにより燃焼運転が再開される際には、図3に示す通常運転時の制御データAからファン風量を増加側にシフトした風量アップ用のファン風量制御データBに切り替え設定し、この風量アップ側の制御データBを用いて点着火を行わせ、燃焼運転を再開させる。具体的には、CO安全動作部40から第3段階までの各段階の燃焼停止によるCO安全動作が行われたことをCO安全動作部40からの情報により検知し、リセット信号(例えば運転スイッチを一旦オフした後に運転スイッチがオンとなる信号)を受けて風量制御データをAからBへ切り替え指定するのである。
【0039】
この燃焼再起動風量制御データ指定部34による風量制御データの変更指定により、CO安全動作部40による燃焼停止のCO安全動作後のリセットによる燃焼の再起動運転時には、風量制御部33は風量アップ側の風量制御データBを用いて燃焼制御部32による比例弁開度の制御に合わせて風量制御(ファン回転数制御)を行う。
【0040】
なお、図1中、30はメモリ(E2 PROM)であり、このメモリ30は前回の燃焼運転モードの動作データ(使用したファン風量制御データ等のデータ)を記憶するものである。
【0041】
本実施形態例は上記のように構成されており、次に、その動作を図4のタイムチャートおよび図5〜図7に示すフローチャートに基づき説明する。まず、図4のtA の時刻で図5のステップ100 の点火動作が行われ、給湯器の燃焼運転が開始する。次にステップ101 でCOセンサ28のポスト通電フラグがオンされているか否かを判断する。ポスト通電フラグがオンされているときにはホットスタート(COセンサ28にポスト通電がされている間の燃焼開始)と判断し、ポスト通電フラグがオフであるときにはコールドスタート状態と判断し、ポスト通電フラグガオンされているときにはステップ104 へ、ポスト通電フラグがオフのときにはステップ102 へ進む。
【0042】
図4に示す例では、コールドスタートの状態を示しており、このときには、ステップ102 でヒートクリーニングを行う。このヒートクリーニングは、図4の時刻tA からtB の区間(例えば40秒)で、センサ通電制御部36からCOセンサ28にヒートクリーニングの電流を通電し、COセンサ28のCO検出部をほぼ400 ℃に加熱してヒートクリーニングを行う。ステップ103 ではヒートクリーニング期間の40秒が経過したか否かを判断し、40秒が経過したと判断されたときにはヒートクリーニングが終了したものとしてステップ104 の動作を行う。このステップ104 の動作は図4の時刻tB からtC の例えば20秒の間で行う動作である。このステップ104 の動作は、COセンサ28のヒートクリーニングが終了してからCOセンサ28が安定にCO濃度を検出できる動作温度に安定するまでの過渡期間であり、この期間は、CO濃度の検出値に信頼性が得られないので、ステップ105 に示す如く、例えば3000ppm という高い危険CO濃度が発生したか否かのみを検出するようにしている。
【0043】
すなわち、ステップ105 で、例えば1秒平均でCOセンサ28の検出濃度が3000ppm 以下か否かを判断し、3000ppm を越えたときには、ステップ109 で燃焼改善モード1の運転を行う。この燃焼改善モード1の運転は、風量制御データをAからBへ切り替えて(図3参照)、燃焼ファン26の回転数を風量アップ方向に回転制御する動作である。
【0044】
ステップ110 ではこの燃焼改善モード1の動作後、20秒経過したか否かを判断し、20秒経過したときに、ステップ111 で再びCOセンサ28で検出される1秒平均のCO濃度が3000ppm 以下か否かを判断し、3000ppm を越えていたときには、燃焼改善モード1の燃焼改善効果が得られないと判断し、ステップ112 でB停止制御に移行し、リモコン等の表示部にエラー13を表示する。一方、ステップ111 でCO濃度が3000ppm 以下と判断されたときには、ステップ105 以降の動作に戻る。
【0045】
なお、ステップ112 でのB停止制御とは、前記した如く、燃焼運転を直ちに停止し、その停止後は、2時間経過するまでは燃焼運転を再開させない制御動作である。
【0046】
前記ステップ105 でCO濃度が1秒平均で3000ppm 以下と判断されたときには、ステップ106 でCOセンサのポスト通電フラグがオンされているか否かを判断し、フラグがオンされていないものと判断されたときには、コールドスタートによる燃焼運転が開始されたことになるので、ヒートクリーニングが終了したtB の時刻から20秒後の時刻t C になったか否かを判断し、時刻tC になったとき、すなわち、COセンサ28が安定にCO濃度を検出する状態になったものと判断されたときに、ステップ113 の動作に移る。
【0047】
また、前記ステップ106 でポスト通電フラグがオンされていると判断されたときには、前記ステップ110 で燃焼改善モードでの燃焼が行われてからCO濃度が十分に低下するまでに要する時間、すなわち、図4に示す時刻tB から50秒経過したか否かを判断し、50秒経過したときには、ステップ113 以降のCO濃度の通常の検出動作に移行する。
【0048】
ステップ113 のCO濃度の通常検出の開始後、つまり、図4に示す時刻tC 以降の動作においては、ステップ114 で、CO濃度が10秒平均で350 ppm 以下か否かを判断する。CO濃度が350 ppm を越えていたときにはステップ116 の燃焼改善モード1の動作(風量制御データを通常のファン制御データAから風量アップ側の制御データBに切り替えて燃焼運転を行う動作)を行う。
【0049】
前記ステップ114 でCO濃度が350 ppm 以下と判断されたときは次のステップ115 でCO濃度が1秒平均で1500ppm 以下か否かを判断し、CO濃度が1500ppm を越えていたときには前記ステップ116 で燃焼改善モード1の動作を行いステッ117 に進む。また、前記ステップ115 で1秒平均のCO濃度の値が1500ppm 以下のときもステップ117 の動作に移る。
【0050】
ステップ117 では、COセンサ28からのCO濃度検出情報に基づき、その検出濃度に対応する停止定数ERとその停止定数ERの積算値を演算する。このステップ117 で計算された停止定数ERの積算値TR(TR=ΣER)は、ステップ120 で最終段階の危険CO濃度の値である1.0 と比較し、停止定数の積算値が最終段階の危険CO濃度の値の1.0 以上のときには前記ステップ112 のB停止制御を行う。これに対し、ステップ120 で停止定数ERの積算値が最終段階の危険CO濃度の値1.0 よりも小さいと判断されたときには、ステップ122 で第1段階から第3段階の各段階の危険CO濃度の値と停止定数ERの積算値とを比較し、停止定数の積算値が各段階の危険CO濃度の値以上のときには、ステップ123 のA停止制御が行われ、ステップ124 以降の動作が行われる。
【0051】
これに対し、ステップ121 で停止定数ERの積算値が第1段階から第3段階の各段階の危険CO濃度の値よりも小さいものと判断されたときには、ステップ121 で燃焼改善モード2の動作が行われる。この燃焼改善モード2の動作は、例えば図9に示すような燃焼制御データの比例弁開度の制御範囲の上側を例えば95%でカットし、比例弁開度を0%から95%の範囲内で燃焼運転を行わせるものである。なお、このステップ121 の燃焼制御モード2の動作は省略されることもある。
【0052】
前記ステップ121 で燃焼改善モード2の動作が行われた後には、ステップ118 において、給水流量センサ22によって給水流量が検出されているか否かを判断し、給水流量が検出されているときには、ステップ114 以降の動作を行い、給水流量センサ22が給水流量のオフ信号を出力したときには、給湯栓が閉められたものと判断し、燃焼運転を停止させる。
【0053】
次にステップ124 以降のA停止制御の動作を簡単に説明する。まずステップ124 でリモコン31等の表示部にA停止制御状態であることを示すエラー90を点滅表示する。そしてステップ125 で電磁弁12(元電磁弁)、電磁弁11、比例弁13を閉じ(オフし)、リモコン等の燃焼ランプを消灯し、燃焼改善スタートフラグをオンし、COセンサ28への通電を停止する。
【0054】
次に、ステップ126 で燃焼ファン26を最大回転数で7秒間回転させ、給湯栓を閉じる。そしてステップ128 で運転スイッチがオフされたか否かを判断する。運転スイッチがオンのときには次のステップ129 の判断動作に進む。
【0055】
ステップ129 では、燃焼停止後2時間が経過したか否かを判断し、2時間経過していたときには、ステップ130 で停止定数ERの積算値を半分に減らし、燃焼改善スタートフラグをオフする。そして、ステップ131 で燃焼停止後4時間を経過したか否かを判断し、4時間経過していたときには室内のCOガスは室外に全て出たものと判断し停止定数ERの積算値を零にクリアする。
【0056】
一方、前記ステップ128 で運転スイッチがオフされたと判断されたときには、ステップ133 で運転スイッチがオンされたか否かを判断する。運転スイッチが一旦オフされてから運転スイッチがオンされることにより、リセット信号が図1の燃焼再起動風量制御データ指定部34に加えられた状態となり、ステップ134 で運転ランプが点灯し、続いてステップ135 で、ファン風量制御データが図3に示す通常のファン風量制御データAから風量アップ用のファン風量制御データBに切り替え選択指定され、ステップ100 の点火動作に移る。
【0057】
ステップ100 では、前記ステップ134 で指定されたファンアップ用のファン風量制御データBでもって燃焼ファン26を回転し、点火を行い、燃焼運転を行う。
【0058】
なお、燃焼再起動風量制御データ指定部34はメモリ30に記憶されている前回燃焼運転に使用されたファン風量制御データの情報を取り込み、前記A停止制御の動作によって燃焼運転が停止されたときに、例えば、Bのファン風量制御データが使用されていたときには、リセットによる燃焼再開時にはそれよりも風量アップ側の例えばDのファン風量制御データを指定することとなり、このDのファン風量制御データを用いて点火動作が行われることになる。
【0059】
本実施形態例では、燃焼運転中に検出CO濃度によって求まる停止定数ERの積算値が予め与えられる危険CO濃度の値に達したときに燃焼停止を行い、この燃焼停止後に燃焼運転を再開する際には、風量アップ用のファン風量制御データが選択指定されて燃焼運転が再開されるので、排気系の詰まり等に起因してCO濃度が危険濃度に達して燃焼停止がされた場合においても、燃焼再開時には、風量がアップされた状態で燃焼運転が再開されるので、排気系の詰まり等による給気の不足分が風量アップによって解消され、燃焼熱量にマッチングした風量が供給されるので、燃焼運転の再開の直後に再び高濃度のCOガスが発生して燃焼運転が停止されるということがなくなり、燃焼再開後の燃焼運転を円滑に継続させることが可能となる。
【0060】
また、燃焼再開後の燃焼運転では、給気不足状態が解消されているので、COガスの発生が少なくなり、CO中毒に対する安全を図れることとなる。特に、燃焼再開がコールドスタート状態で行われたときには、図4に示す如くCOセンサ27のヒートクリーニングが行われることになり、その区間はCO濃度の検出ができない空白期間となり、この空白期間で高濃度のCOガスが発生すると非常に危険であるが、本実施形態例では前記の如く、風量アップ用のファン風量制御データが指定されて燃焼運転が再開されるので、空白期間に高濃度のCOガスが発生することがなく、CO中毒に対する安全を効果的に図ることが可能となるものである。
【0061】
さらに、本実施形態例では、検出される各CO濃度毎に停止定数を求め、この停止定数の積算値によって排気ガスが室内に洩れたと仮定したときのCO中毒に対する安全動作を行っているので、そのCO安全動作の精度が高くなり、信頼性の高いCO安全動作を行うことが可能となる。
【0062】
なお、ファン風量制御データは、図3に示されるような形態で与える他に、図13に示すように、図3のファン風量制御データAに相当するX=0のファン風量制御データに対し、X=2,X=4のファン風量制御データのように平行な制御ラインの形態で与えるようにしてもよいものである。
【0063】
次に、燃焼運転時のファン風量制御構成に関し説明する。図12は点火(A停止制御動作後のリセット燃焼再開時の点火を含む)後の燃焼ファン26の制御構成を示すもので、ファン風量制御データに従って燃焼ファン26のファン風量を制御する風量制御部33に関連させてファン風量制御データ切り替え制御部45が設けられている。このファン風量制御データ切り替え制御部45は、COセンサ28や、フレームロッド16の信号を受けて、風量制御部33が使用するファン風量制御データをCOセンサ28によって検出されるCO濃度や、フレームロッド16の電流で検出される室内燃焼環境の負圧状況に応じてファン風量制御データを切り替え制御するもので、以下の1つ以上の機能を備えている。
【0064】
第1の機能は、COセンサ28で検出されるCO濃度が高くなるにつれ、ファン風量制御データを段階的にファン風量アップ側に切り替え設定する機能である。この機能の動作例を図17のフローチャートに基づいて説明すると、まず、ステップ101 で、CO濃度が上限値以上か否かが判断され、上限値以上のときにはステップ102 でファン風量制御データが1段階高められる。このフローチャートにおいては、図13に示すファン風量制御データを例にして説明してあり、フローチャート中のXの数字は図13に示す各ファン風量制御データのXの値に対応している。
【0065】
なお、このCO濃度の上限値は、COセンサ28で検出されるCO濃度の雰囲気中に人が晒されたときに、CO危険濃度に達する時間を上限値として与えてもよく、又は、高CO濃度のしきい値で与えてもよく、又は、COセンサ28で検出されるCO濃度の雰囲気中に人が晒されたと仮定したときの血中ヘモグロビンのCO濃度を求め、単位時間t毎に算出されるその血中ヘモグロビンCO濃度の危険到達時間Tに対する前記単位時間tとの比t/Tの積算値の上限値で与えてもよいものである。
【0066】
前記ステップ101 で、CO濃度が上限値未満のときには、ステップ103 でCO濃度が規定値以下か否かが判断され、CO濃度が規定値以下ときにはファン風量制御データを1段階風量ダウン側に切り替える。このとき、ステップ105 でファン風量制御データがX=0のデータになるか否かを判断し、X=0のファン風量制御データになるときには、ファン風量制御データをX=0のデータよりもファン風量が1段階上側のX=1のデータに設定する。
【0067】
ステップ107 では前記ステップ102 でファン風量制御データが1段階風量アップ側に切り替えられることでX=5の値に達したか否かを判断し、X=5の値に達したときにはファン風量をアップさせても高濃度のCOガスの発生の防止が期待できないので、ステップ108 で燃焼停止を行う。
【0068】
前記ステップ107 でXが5に達しないときには前記ステップ102 で風量を1段階アップさせたファン風量制御データに基づき、燃焼量(燃焼熱量)に応じたファン回転数(ファン風量)でもって燃焼ファンを回転させ、ステップ110 で室内の負圧強度としてXの値を登録する。ステップ111 では給水流量センサ22からオン信号が加えられているかを判断し、オン信号が加えられているときにはステップ101 以降の動作を繰り返す。これに対し、給水流量センサ22からオフ信号が出力されたときには、給湯栓が閉じられたものと判断して燃焼停止を行う。そして、ステップ112 では、タイマ等を用いて燃焼停止時からの経過時間を測定し、燃焼停止後10分以内か否かを判断する。燃焼停止後10分以内で燃焼運転が再開されるときには、室内の負圧状態は前記ステップ110 で登録されたXの値と同じであると推定し、その登録されたXの値のファン風量制御データを用いて燃焼運転を行うが、燃焼停止後10分を経過したときには、標準モードのファン風量制御データであるX=0のファン風量制御データを設定して次の燃焼運転に備える。
【0069】
この図17に示すフローチャートにおいては、室内が負圧になると、給気の不足状態が生じ、室内の負圧の程度に応じてCO濃度が上昇するので、このCO濃度の上昇を検出して、室内の負圧の強度に応じたファン風量制御データを選択指定し、室内の負圧化に伴う給気不足を解消し、良好な燃焼運転を行うものである。
【0070】
ファン風量制御データ切り替え制御部45によるファン風量制御の第2の機能は、フレームロッド16から出力されるフレームロッド電流を検出し、このフレームロッド電流により室内の負圧の程度を判断し、ファン風量制御データを切り替え設定する機能である。すなわち、データ格納部43に、図14に示すように、比例弁開度(燃焼熱量)とフレームロッド電流の関係データをしきい値として与えておき、この関係データに基づき室内の負圧の程度が大きくなるにつれ、ファン風量制御データをファン風量アップ側に段階的に切り替え、負圧の程度が減少するにつれて、ファン風量制御データをファン風量ダウン側に段階的に切り替えるように制御する機能である。
【0071】
図14に示す関係データは、フレームロッド電流の低位側に下側しきい値を与え、上位側に上側しきい値を与えている。この図14の例では、下側しきい値を下側固定しきい値と下側可変しきい値で与え、上側しきい値を上側可変しきい値と上側固定しきい値で与えている。これら上側と下側の固定しきい値は比例弁開度によって値が変動しない一定の値で与えるものであり、上側と下側の可変しきい値は比例弁開度が大きくなるにつれ、増加する方向に可変させた値で与えてあるが、これら下側しきい値は下側固定しきい値で与えてもよく下側可変しきい値で与えてもよく、あるいは比例弁開度の区分に応じ、下側固定しきい値と下側可変しきい値を使い分けるようにしてもよいものである。同様に、上側しきい値も、上側固定しきい値で与えてもよく、上側可変しきい値で与えてもよく、比例弁開度の区分に応じ上側固定しきい値と上側可変しきい値を使い分けてもよいものである。
【0072】
ファン風量制御データ切り替え制御部45は、この第2の機能の動作に際し、フレームロッド16からフレームロッド電流を取り込み、フレームロッド電流が上側しきい値を越えたときに、室内が負圧状況になったものと判断してファン風量制御データを風量アップ側に切り替え設定し、フレームロッド電流が下側しきい値を下回ったとき(下側に越えたとき)は室内の負圧が解除方向に変化したものと判断しファン風量制御データをファン風量ダウン側に切り替え設定するものである。
【0073】
図18はこの第2の機能の動作をフローチャートで示したものである。すなわち、ステップ201 でフレームロッド電流が上側しきい値を越えたか否かを判断し、上側しきい値を越えたときにはファン風量制御データをファン風量増加側に1段階高め、ステップ203 でフレームロッド電流が下側しきい値を下側に越えたと判断されたときには室内の負圧状況が解除されたものと判断してファン風量制御データを1段階ファン風量ダウン側に切り替え設定するものである。ファン風量制御データのアップダウンの切り替え動作は前記17図に示す動作と同様であり、同じ動作には同じステップ番号を付してその重複説明は省略する。
【0074】
本発明者は、室内の負圧の程度と、フレームロッド電流の関係を実験により検証しており、室内が負圧化されると、給気の不足により、燃焼火炎は上方に伸び、フレームロッド電流の大きさが大きくなり、室内の負圧が解除されると、給気の不足状態が解消されることで、火炎は元の状態に縮み、フレームロッド電流が減少する現象が生じることを突き止めている。
【0075】
例えば、良好な燃焼状態であるときにフレームロッド16が、図11に示す燃焼火炎の外炎を検知している状態から、負圧状態が発生し負圧状態に起因した空気不足の燃焼状態になると、外炎と内炎が共に伸び、フレームロッド16は内炎を検知するようになる。
【0076】
上記外炎は電気抵抗率が高く、内炎は電気抵抗率が低いので、上記のように負圧状態発生に起因してフレームロッド16が外炎検知の状態から内炎検知の状態に移行すると、電気抵抗率が低下し、フレームロッド16から検出出力されるフレームロッド電流値が上昇する。
【0077】
つまり、図14において、例えば燃焼能力(比例弁開度)Xよりも低めの低燃焼能力範囲内の燃焼能力で燃焼が良好に行われているときには外炎に位置し、負圧状態が発生して燃焼火炎が立ち上がったときには内炎に位置する高さ位置にフレームロッド16を取り付けることによって、負圧状態の発生時にフレームロッド16から検出出力されるフレームロッド電流値の上昇変化がより明確になり、排気ガス中のCO濃度に基づいて室内の負圧状態の発生を検知するよりも早く負圧状態の発生を検知することができる。
【0078】
このように、フレームロッド16の取り付け位置を設定することによって、室内が負圧状態になったときにはフレームロッド電流値が上昇するので、フレームロッド電流値が上昇したときには室内が負圧状態になったと検知することができる。
【0079】
この第2の機能の動作は、フレームロッド電流が上側しきい値を越えたときには室内の負圧が発生し、フレームロッド電流が下側しきい値を下側に越えたときには負圧解除あるいは負圧の程度が低下したものと判断し、室内の負圧の程度に応じてファン風量制御データを切り替え設定し、室内の負圧の程度の応じてファン風量を制御して良好な燃焼運転を確保するものである。
【0080】
ファン風量制御データ切り替え制御部45によるファン風量制御構成の第3の機能は、フレームロッド電流の変化量によって室内の負圧状況と負圧解除状況を検出する機能である。図15の(a)はフレームロッド電流の上昇変化量によって室内の負圧発生状況を検出してファン風量制御データをファン風量アップ側に切り替え設定する例を示すもので、データ格納部43に上昇変化基準値Fth1 (例えば1.1 μA)とその上昇変化基準値に対して与えられる基準時間Tth1 (例えば0.6 秒)のデータが与えられており、ファン風量制御データ切り替え制御部45は、フレームロッド電流の上昇変化量が基準時間Tth1 の時間内で、上昇変化基準値Fth1 を越えたときには、例えば燃焼運転中にレンジフードや換気扇が起動される等して室内が負圧化されたものと判断し、ファン風量制御データXを風量アップ側((X+1)側)に切り替え設定する。
【0081】
図15の(b)は、フレームロッド電流の下降変化量に基づいて室内の負圧解除を検出する機能の例を示すものであり、データ格納部34にはフレームロッド電流の下降変化基準値Fth2 とこの下降変化基準値に対して与えられる基準時間Tth2 とが与えられ、ファン風量制御データ切り替え制御部45は、フレームロッド電流の下降変化量が前記判断時間Tth2 の時間内で、下降変化基準値Fth2 を越えたときには、室内の負圧状況は解除(又は負圧減少方向に変化)したものと判断し、ファン風量制御データXをファン風量ダウン側((X−1)側)に切り替え設定する。
【0082】
図16はフレームロッド電流の急激減少変化量によって室内の急激な負圧変化を検出してファン風量を増加する方向にファン風量制御データを切り替え設定する機能を示すものである。この機能では、データ格納部43にフレームロッド電流の下降変化基準値Fth0 (例えば0.7 μA)のデータと前記図15の(b)に示される判断時間Tth2 よりも時間幅が狭い微小設定時間ΔTth(例えば0.1 秒)のデータが与えられており、ファン風量制御データ切り替え制御部45はフレームロッド電流が微小設定時間ΔTthの時間内で下降変化基準値Fth0 を越えて下降したときには、例えば室内の戸が開けられている状態でレンジフードが起動状態で燃焼運転がされているときに、戸が急に閉められて室内が急激に負圧化して燃焼火炎が立ち消え寸前となって(火炎が極めて小さくなって)フレームロッド電流が急激に下降変化したものと判断する。そしてこの場合には、急激な負圧発生による給気の不足を解消するために、ファン風量制御データXをファン風量アップ側((X+1)側)に切り替え設定するのである。
【0083】
上記ファン風量制御データ切り替え制御部45により何れかの機能によってファン風量制御データが切り替え設定されたときには、風量制御部33は、その切り替え設定されたファン風量制御データを用いて燃焼ファン26の風量制御を行う。
【0084】
ファン風量制御データ切り替え制御部45には前記複数の機能のうち、1つ以上の機能が設けられて室内の負圧状況に応じたファン風量制御データの設定が行われるが、特に、燃焼熱量(比例弁開度)が例えば制御範囲の指定値(例えば比例弁開度30%)以下の低燃焼能力範囲では燃焼性能が室内の負圧によってより影響を受け易いので、この低燃焼能力範囲においては、COセンサのCO検出信号に基づく前記第1の機能(基本機能)とフレームロッド電流に基づく前記1つ以上の機能(付加機能)とを組み合わせ、COセンサによる室内の負圧程度の検出に基づくファン風量制御データの設定と、フレームロッド電流による室内負圧程度の検出に基づくファン風量制御データの切り替え設定とを併用することにより、室内の負圧の程度に応じたより正確なファン風量制御が可能となる。
【0085】
すなわち、燃焼熱量が低い(比例弁開度が小側)領域では、風量不足により燃焼が悪化して放出されるCOをCOセンサで補集して燃焼悪化を検知していると、COが発生してからCOセンサで検出されるまでに時間がかかり、この間に失火してしまうおそれがある。この点、フレームロッド電流は燃焼悪化に瞬時に反応し、このフレームロッド電流の変化によって燃焼悪化を迅速に検出し、燃焼改善方向に風量がいち早く制御されることで、失火を防止することができる。一方、フレームロッドには燃焼悪化を感度よく検出できる取り付け位置と燃焼量との関係があり、燃焼量がこの範囲から外れると燃焼悪化の検出感度が低下するが、高インプット側(高燃焼熱量側)においては、COセンサによって燃焼悪化を良好に検出することができるので、低インプット側(低燃焼熱量側)におけるフレームロッド電流に基づく負圧検出と高インプット側におけるCOセンサによるCO濃度検出信号に基づく負圧検出とを併用することにより、燃焼熱量制御の全範囲において室内燃焼環境の負圧状況を精度よく検出でき、室内の負圧の程度に応じたより正確なファン風量制御が可能となるのである。
【0086】
なお、本発明は上記実施形態例に限定されることはなく、様々な実施の形態を採り得る。例えば、上記実施形態例では、各検出CO濃度毎の停止定数を求め、その停止定数の積算値によってCO濃度が危険状態に達したか否かを判断するようにしたが、このような停止定数を求めることなく、COセンサ28の検出CO濃度を直接予め与えた危険濃度の値と比較し、検出CO濃度がその危険濃度に達したときに燃焼停止を行う構成としてもよい。この場合も、CO安全装置によって燃焼停止のCO安全動作が行われた後には、燃焼再起動風量制御データ指定部34により、風量制御データが例えば、通常の風量制御データAから風量アップ側の風量制御データBに切り替え指定されて燃焼運転が再開されるので、前記本実施形態例と同様に燃焼に必要な十分の空気を供給して良好な再起動燃焼運転を行うことが可能となる。
【0087】
さらに、本実施形態例では、燃焼装置として給湯器を例にして説明したが、本発明の燃焼装置は、ガスや石油を燃料とする給湯器以外の例えば風呂釜、暖房機、冷房機、冷暖房機、ファンヒータ等の様々な燃焼装置に適用されるものである。
【0088】
さらに、上記実施形態例では図2に示す如く、燃焼ファン26を排気側に設けて吸い出し式としたが、例えば、燃焼ファン26をバーナ8の下方側に設けて押し出し式としてもよい。
【0089】
さらに、図3に示すファン風量制御データは、比例弁開度とファン回転数の関係で与えてもよく、比例弁開度とファン風量の関係で与えてもよい。後者の場合にはファン風量を検出する風量センサ(例えば風速センサ)を設け、検出風量が比例弁開度に対応する目標風量になるようにファン回転数を制御する制御形態を採ることになる。
【0090】
さらに、上記図17や図18で示した実施形態例では、ファン風量制御データを順次風量アップ側に上げるときには、X=0,X=1,X=2,X=3,X=4という如くXが1ずつ順に上げるようにし、ファン風量制御データを風量ダウン側に下げるときにはX=4,X=3,X=2,X=1という如くXが1ずつ順次下げるようにしたが、これらファン風量制御データの上昇と下降の順序は必ずしもこれに限定されることはなく、例えば、ファン風量制御データを上げるときには、X=0,X=2,X=3,X=4という如く手順で上げるようにしてもよい。
【0091】
さらに、CO安全装置が動作して燃焼停止(A停止制御による停止)後の燃焼再開のためのリセットは運転スイッチを一旦オフしてからオンする他に、給湯栓を一旦閉めてから開く(給水流量センサの信号が一旦オフしてからオンする)動作によっても行われるものである。
【0092】
また、本実施形態例ではバーナ8を一次空気と二次空気を利用して燃焼するタイプのセミブンゼン等のバーナで構成したが、全一次空気燃焼式タイプのバーナのうち濃淡バーナにあっては濃バーナが淡バーナの空気をもらって燃焼するので濃バーナの燃焼がセミブンゼンバーナの燃焼形態に近似したものとなり、セミブンゼンバーナと同様に濃淡バーナにおいても室内燃焼環境の負圧の程度に応じてフレームロッド電流を上限と下限の比較的広い幅内で変化させることができる。
【0093】
【発明の効果】
本発明は、COセンサで検出されるCO濃度が予め与えられる危険濃度に達してCO安全装置により燃焼停止が行われた後に、燃焼運転を再開する際には、通常運転用のファン風量制御データよりもファン風量を増加側にシフトした風量アップ用のファン風量制御データを指定し、そのファン風量アップ用のファン風量制御データを用いて燃焼運転を再開するように構成したものであるから、排気系の詰まりに起因してCOガスが発生し、CO安全装置が働いて燃焼停止が行われた場合、再起動の燃焼運転に際しては、風量アップ用のファン風量制御データを用いて燃焼運転が再開されるので、排気詰まりによる風量不足分がファン風量制御データのファン風量アップ分によって補償されて正常な給気状態の下で燃焼運転が行われるので、燃焼運転を再開した直後に再び空気不足等による燃焼状態の悪化により高濃度のCOガスが発生して再びCO安全装置が作動し燃焼運転が停止されるという従来の問題を解消することができ、再起動後の燃焼運転を円滑に継続させることが可能となる。
【0094】
また、CO安全装置により燃焼停止のCO安全動作が行われたときに、点検等が行われずに使用者によりリセット操作によって手軽に燃焼運転が再開されてしまうケースが多々あるが、本発明では、リセットによる燃焼再開時には風量が増加方向にシフトされたファン風量制御データに切り替えられて、つまり、燃焼が改善された状態で燃焼運転が再開されるので、燃焼に必要十分な空気が供給されて燃焼が行われることとなり、これにより、排気ガス中のCO濃度の低減を図ることができ、COガスに対するCO中毒の安全を図ることが可能となる。
【0095】
さらに、COセンサによって検出される各濃度に対する停止定数ERを求め、この停止定数ERが算出される毎にその停止定数ERを積算し、その積算値を予め与えられる危険CO濃度の値と比較してCO安全動作を行う構成とした発明にあっては、各CO濃度を総合的に考慮した的確なCO濃度の危険状態の検出値が停止定数ERの積算値として求めてCO安全動作が行われるので、CO安全動作の精度が格段にアップし、信頼性の高いCO安全動作を行うことが可能となる。
【0096】
さらに、COセンサのCO濃度検出信号や、フレームロッドから出力されるフレームロッド電流に基づき、室内の負圧の程度を検出し、ファン風量制御データを室内の負圧の程度に応じて室内の負圧の程度が大きいときには風量アップ方向に、室内の負圧が解除(あるいは減少)されたときには風量ダウン方向に切り替え設定するファン風量制御データ切り替え制御部を設ける構成とした発明にあっては、室内の負圧の程度に応じてファン風量が制御されるために、室内の負圧による給気不足を風量アップにより解消し、室内の負圧が解除されるときには、風量をダウン方向にして風量の過剰を解消する方向に制御されるので、室内の負圧状況の変化に影響を受けずに良好な燃焼運転を行うことが可能となる。特に、COセンサのCO濃度検出信号に基づく室内の負圧程度の検出とフレームロッド電流に基づく室内負圧程度の検出を併用することにより、燃焼熱量(燃焼能力)の全制御範囲に亙って室内の負圧の程度を精度良く検出でき、室内の負圧の程度に応じたより正確なファン風量制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態例の要部構成ブロック図である。
【図2】本実施形態例の燃焼装置のシステム構成図である。
【図3】本実施形態例のファン風量制御に使用されるファン風量制御データの説明図である。
【図4】本実施形態例における燃焼装置の燃焼状態とCOセンサのCO検出動作状態とCO監視状態の関係を示すタイムチャートである。
【図5】本実施形態例の動作を示すフローチャートである。
【図6】図5に続くフローチャートである。
【図7】図6に続くフローチャートである。
【図8】従来の一般的な風量制御データの説明図である。
【図9】比例弁開度と燃焼熱量との関係を示す燃焼制御データの説明図である。
【図10】燃焼装置として一般的に知られている給湯器を室内に設置した例の説明図である。
【図11】フレームロッドによる火炎検出動作の説明図である。
【図12】本発明における点火後の燃焼運転時のファン風量制御構成のブロック構成図である。
【図13】ファン風量制御データの他の形態例の説明図である。
【図14】フレームロッド電流の上側しきい値と下側しきい値の設定例の説明図である。
【図15】フレームロッド電流の変化量によって室内の負圧発生と負圧解除を検出する例の説明図である。
【図16】フレームロッド電流の急激降下変化量に基づいて室内の急激負圧発生を検出する例の説明図である。
【図17】CO濃度によって室内の負圧状況を検出して風量制御を行う動作のフローチャートである。
【図18】フレームロッド電流によって室内の負圧状況を検出して風量制御を行う動作のフローチャートである。
【符号の説明】
26 燃焼ファン
28 COセンサ
32 燃焼制御部
33 風量制御部
34 燃焼再起動風量制御データ指定部
38 ER演算部
39 TR演算部
40 CO安全動作部
Claims (3)
- 燃料の燃焼を行うバーナと、このバーナ燃焼の給排気を行う燃焼ファンと、燃焼ファンのファン風量を制御するファン風量制御部と、排気ガス中のCO濃度を検出するCOセンサと、COセンサで検出されるCO濃度が予め与えられる危険濃度に達したときに燃焼停止を行うCO安全装置とを備え、前記ファン風量制御部には燃焼熱量とファン風量との関係を示すファン風量制御データが与えられ、ファン風量制御部は燃焼熱量に応じてファン風量を可変制御する構成とした燃焼装置において、前記ファン風量制御部には通常運転用のファン風量制御データとファン風量を順次増加側にシフトした複数の風量アップ用のファン風量制御データとが与えられており、燃焼運転中にCO濃度が危険濃度に達して燃焼停止された後にリセットして燃焼運転を再開する燃焼停止の解除の際には燃焼停止前に使用されていたファン風量制御データよりも風量をアップ側にシフトさせた風量アップ用のファン風量制御データを選択指定して燃焼運転を再開させる燃焼再起動風量制御データ指定部が設けられている燃焼装置。
- 各CO濃度毎にCOの危険状態に到達する危険到達時間が与えられ、CO安全装置には、単位時間t毎に該単位時間とその単位時間中に検出されるCO濃度に対応する危険到達時間との比(t/T)を停止定数ERとして求めるER演算部と、停止定数が算出される毎に順次停止定数の値を積算するTR演算部と、この停止定数の積算値が予め与えられる危険CO濃度の値に達したときに燃焼停止を行うCO安全動作部とが備えられている請求項1記載の燃焼装置。
- 燃焼火炎を検出するフレームロッドが設けられ、また、燃焼運転時のファン風量制御データを切り替えるファン風量制御データ切り替え制御部が設けられ、ファン風量制御データ切り替え制御部にはCO濃度が高くなるにつれてファン風量制御データを風量アップ側に切り替える基本機能の他に、フレームロッド電流が予め設定される上側しきい値を上側に越えたときにファン風量制御データを風量アップ側に切り替えフレームロッド電流が予め設定される下側しきい値を下側に越えたときにファン風量制御データを風量ダウン側に切り替える機能と、フレームロッド電流の上昇変化量が予め設定されている基準時間内で上昇変化基準値を越えたときにファン風量制御データを風量アップ側に切り替える機能と、フレームロッド電流の下降変化量が予め設定されている基準時間内で下降変化基準値を越えたときにファン風量制御データを風量ダウン側に切り替える機能と、フレームロッド電流の下降変化量が前記フレームロッド電流の下降変化量を判断する基準時間よりも時間幅が狭い微小設定時間内で予め設定されている下降変化基準値を越えたときにはファン風量制御データを風量アップ側に切り替える機能との1つ以上の付加機能が備えられており、燃焼熱量制御範囲内の指定値以下の低燃焼能力範囲内の燃焼運転時には前記基本機能と付加機能の組み合わせによってファン風量制御データを切り替え制御する構成とした請求項1又は請求項2記載の燃焼装置。
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