JP3844598B2 - 排気ダクト火災防止機能付き燃焼機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はビルや地下街に設けられた排気外部排出用のメインダクト通路の火災発生を防止する排気ダクト火災の防止機能付き燃焼機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図10には燃焼機器である給湯器の一例がモデル図により示されている。この給湯器1(器具)は器具ケース40内にバーナ41を有し、このバーナ41には該バーナ41に燃料を供給する燃料供給通路42が接続され、この燃料供給通路42にはバーナ41への燃料供給・停止を制御するための閉閉弁43と、バーナ41への供給燃料量を弁開度でもって制御することができる比例弁44とが介設されている。
【0003】
また、上記バーナ41の上側には熱交換器45が設けられ、この熱交換器45の入側には該熱交換器45に水供給源から水を導くための給水通路46が接続され、熱交換器45の出側には給湯通路47が接続されており、熱交換器45は給水通路46から供給された水をバーナ燃焼火炎の熱によって加熱して湯を作り出し該湯を給湯通路47を通して所望の給湯場所に給湯するものである。
【0004】
さらに、給水通路46には熱交換器45へ流れ込む水の温度を検出することができる入水サーミスタ48と、熱交換器45へ流れ込む水の流量を検出することができる水量センサ50とが設けられており、また、給湯通路47には熱交換器45から流れ出る湯の温度を検出することができる出湯サーミスタ51と、熱交換器45を流れる湯水の流量を可変制御できる流量制御手段52とが設けられている。
【0005】
さらに、バーナ41の燃焼領域に空気風を供給する燃焼ファン55が設けられ、また、器具ケース40にはバーナ燃焼により発生した排気を器具の外に排出するための排気出口1aが設けられている。
【0006】
さらに、この給湯器1には該給湯器1の運転動作を制御するための制御装置20が内蔵されており、この制御装置20にはリモコン53が信号接続されている。リモコン53には予め定めた給湯温度範囲内(流体温度範囲内)で湯の利用者が給湯温度を設定するための流体温度設定手段である給湯温度設定手段54が設けられている。
【0007】
さらにまた、上記制御装置20には前記水量センサ50等の様々なセンサ出力やリモコン53の情報等を取り込んでバーナ41の燃焼制御を行う燃焼制御部21が設けられており、例えば、給湯通路47の先端側に設けられた給湯栓(図示せず)が開栓され、熱交換器45への水の流れが水量センサ50によって検出されると、燃焼制御部21は燃焼ファン55を回転駆動し、開閉弁43を開弁してバーナ41へ燃料の供給を開始させてバーナ燃焼を開始させ、リモコン53の給湯温度設定手段54に設定されている給湯設定温度と、入水サーミスタ48により検出される入水温と、出湯サーミスタ51によって検出される出湯温と、水量センサ50によって検出される熱交換器45の通水流量との情報に基づき、上記給湯設定温度の湯を供給することができるようにバーナの燃焼熱量を比例弁44の弁開度を制御することで制御し、給湯設定温度の湯を供給する。そして、給湯栓が閉栓され、水量センサ50によって通水停止が検出されると、燃焼制御部21は開閉弁43を閉弁してバーナ41の燃焼を停止させ、然る後に、燃焼ファン55を停止する。
【0008】
ところで、上記のような給湯器1がビルや地下街等の室内に設けられる場合には、図12に示すように、ビルや地下街等に予め設けられている排気外部排出用のメインダクト通路3に給湯器1の排気側を接続し、バーナ41の燃焼により発生した排気を上記メインダクト通路3を通して外部に排出することになる。上記メインダクト通路3内にはファン4が設置され、このファン4の回転駆動によってメインダクト通路3内に給湯器1やガスレンジ2の排気が吸い込まれ外部に排出される構造となっている。
【0009】
ところで、大きな燃焼熱量でもって燃焼を行う給湯器1等の燃焼機器は約200℃というような高温の排気を排出する。このような高温の排気がメインダクト通路3内に直接流れ込むと、その排気の熱によってメインダクト通路3内の油脂等が引火して、排気ダクト火災が発生する虞がある。そこで、高温の排気を排出する給湯器1等の排気出口とメインダクト通路3とを、次に示すような排気ダクト火災防止機能付き排気フード5を介して連通し、上記排気ダクト火災発生を防止するようにしている。
【0010】
図11には排気ダクト火災防止機能付き排気フード5の一例を示す斜視図が給湯器1と共に示されている。この図11に示す排気フード5は箱状の枠体6を有し、この枠体6の上面側にはメインダクト通路3に連通接続するためのダクト接続口6aが形成されている。また、枠体6の底面は開口部6bと成しており、この開口縁部から開口部6bの中央領域に向けて支持体6cが伸長形成され、支持体6cの伸長先端側には器具接続口部6dが接続されている。上記器具接続口部6dは給湯器1の排気出口1aと連接して給湯器1の排気出口1aから排出された排気を枠体6の内部空間に導入するためのものである。
【0011】
また、上記枠体6の側面には外部の空気を枠体6の内部空間に取り込むための給気取り込み口8が設けられている。また、前記枠体6の底面の開口部6bも外部の空気を枠体6の内部空間に取り込むための給気取り込み口として機能するものである。図13の(a)に示すように、メインダクト通路3のファン4の回転駆動によって、開口部6bおよび給気取り込み口8から枠体6の内部空間に空気が流れ込み、この外部の空気が排気に混入されることで、例えば、給湯器1から排出された直後の同図に示す点Aの排気温度(例えば、200℃程度)から、ダクト火災発生の虞がない点Bの排気温度(例えば45℃程度)まで排気温度を低下させることができ、給湯器1の排気熱に起因した排気ダクト火災発生を防止することが可能である。
【0012】
さらに、この排気フード5にはメインダクト通路3に流入する排気の温度を検出することができる排気温度検出手段10が図11に示すように設けられており、排気温度検出手段10により検出される排気温度が排気ダクト火災防止用の予め定めた温度(例えば、50℃)よりも高くなったときには給湯器1の燃焼を停止させる構成が形成されている。
【0013】
例えば、メインダクト通路3の排気吸い込み力が低下しているときには、前記開口部6bと給気取り込み口8から枠体6の内部空間に取り込まれる空気量が減少して給湯器1から排出された排気の温度を十分に低下させることができず、例えば、図13の(b)に示す点Cの排気温度は約70℃と高温になってしまい、このような高温の排気が継続的にメインダクト通路3内に流入すると、前述したように排気ダクト火災発生の虞が出てくるが、上記の如く、排気温度検出手段10の検出排気温度に基づき給湯器1の燃焼を強制的に停止させることで、メインダクト通路3への高温排気流入は停止し、排気ダクト火災発生を防止することができる。
【0014】
さらに、排気フード5には前記給気取り込み口8を出入りする気体の温度を検出することができる排気あふれ温度検出手段11が図11に示すように設けられており、この排気あふれ温度検出手段11によって検出される気体の温度が一酸化炭素中毒回避用の予め定めた温度(例えば、65℃)よりも高くなったときには給湯器1の燃焼を強制的に停止させる構成が形成されている。
【0015】
メインダクト通路3の排気吸い込み力が非常に低下している場合や、メインダクト通路3から排気フード5へ排気が逆流している場合には、図13の(c)に示すように、給湯器1から排出された排気は、開口部6bや給気取り込み口8から室内にあふれ漏れ出てしまい、このような室内への排気漏れが継続されると、室内に排気が充満して室内の人に一酸化炭素中毒を引き起こしてしまうという重大な問題が発生してしまう虞があるが、給湯器1の排気が持つ高温が排気あふれ温度検出手段11によって検出されたときに、上記の如く、給湯器1の燃焼を強制的に停止させることで、室内への排気漏れは停止し上記一酸化炭素中毒発生という重大な問題を回避することができる。
【0016】
さらにまた、図11に示すように、枠体6の内部空間にはメインダクト通路3内の油滴を受けるための油受け部12が設けられており、排気フード5はメインダクト通路3内の油滴を給湯器1内に落下させない構造を有している。
【0017】
なお、図12に示す13はメインダクト通路3内に設けられた防火ダンパーであり、例えば、排気ダクト火災が発生してしまったときに、その火災熱によって温度ヒューズ14が切れて上記防火ダンパー13がメインダクト通路3を閉じ、ダクト火災を防火区画壁15よりも外側に広がるのを阻止する構成となっている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、想定された数よりも多くの燃焼機器の排気側が前記メインダクト通路3に接続されてしまった場合には、ファン4の能力が不足しメインダクト通路3の排気吸い込み力が低下してしまう。このような場合には、排気フード5からメインダクト通路3へ排出される排気の温度(つまり、排気温度検出手段10の検出温度)が前記排気ダクト火災防止用の設定温度(例えば、50℃)よりも上側に越えることが多くなり、メインダクト通路3への排気温度が上記設定温度よりも高くなる度に、前述したように給湯器1の燃焼が直ちに停止してしまい、湯が出なくなるという事態が発生し、非常に使い勝手が悪いという問題が生じる。
【0019】
この発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的は、排気フードからメインダクト通路へ排出される排気熱に起因した排気ダクト火災の発生を確実に防止することができ、かつ、使い勝手が良い排気ダクト火災防止機能付き燃焼機器を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためにこの発明は次のような構成をもって前記課題を解決する手段としている。すなわち、第1の発明は、燃焼機器の排気側に接続される排気フードから排気外部排出用のメインダクト通路へ導出される排気の温度を検出する排気温度検出手段が設けられ、上記排気温度検出手段により検出される温度に基づいて排気ダクト火災防止用の安全動作を行う排気ダクト火災防止機能付き燃焼機器であって、燃焼機器の燃焼中に、上記排気温度検出手段の検出温度が予め定めたしきい値よりも高い場合には燃焼熱量を下げる方向に制御して排気フードからメインダクト通路へ排出される排気の温度低下を図る排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部が設けられている構成をもって前記課題を解決する手段としている。
【0021】
第2の発明は、上記第1の発明の構成を備え、排気温度検出手段の検出温度が予め定めたしきい値よりも高い場合に排気温度検出手段の検出温度がしきい値以下となるように燃焼熱量を段階的に下げるための燃焼熱量制御手順が予め与えられており、排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部は、燃焼機器の燃焼中に、排気温度検出手段の検出温度がしきい値よりも高い場合には上記燃焼熱量制御手順に従って燃焼熱量を段階的に低下制御する構成をもって前記課題を解決する手段としている。
【0022】
第3の発明は、上記第1の発明の構成を備え、排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部は、燃焼機器の燃焼中に、排気温度検出手段の検出温度が予め定めたしきい値よりも高い場合には、上記しきい値に対する排気温度検出手段の検出温度の偏差に応じて燃焼熱量を低下制御する構成をもって前記課題を解決する手段としている。
【0023】
第4の発明は、上記第1又は第2又は第3の発明の構成に加えて、供給された流体を燃焼熱でもって加熱して導出する熱交換器と、該熱交換器を流れる流体流量を制御する流量制御手段とが設けられており、燃焼熱量と予め定められる熱交換器出側の流体設定温度との組み合わせによって熱交換器の流体流量を求めるための流体流量データが予め与えられ、燃焼機器の燃焼中に、排気温度検出手段の検出温度が予め定めたしきい値よりも高い場合には、燃焼熱量の情報と流体設定温度と上記流体流量データとに基づいて求まる流体流量となるように上記流量制御手段を制御して熱交換器の流体流量を制御する熱交換器流量制御部が設けられている構成をもって前記課題を解決する手段としている。
【0024】
第5の発明は、燃焼機器の排気側に接続される排気フードから排気外部排出用のメインダクト通路へ導出される排気の温度を検出する排気温度検出手段が設けられ、上記排気温度検出手段により検出される温度に基づいて排気ダクト火災防止用の安全動作を行う排気ダクト火災防止機能付き燃焼機器であって、供給された流体を燃焼熱でもって加熱して導出する熱交換器と、該熱交換器の出側の流体温度を予め定めた流体温度範囲内で設定するための流体温度設定手段とが設けられ、燃焼機器の燃焼中に、上記排気温度検出手段の検出温度が予め定めたしきい値よりも高いときには上記流体温度範囲の上限値を下げる方向に変更する流体上限温度変更部が設けられて、排気フードからメインダクト通路へ排出される排気の温度の低下を図る構成をもって前記課題を解決する手段としている。
【0025】
第6の発明は、燃焼機器の燃焼領域に空気風を供給する燃焼ファンが設けられ、風量不足による燃焼異常が検知されたときには風量を増加する方向に燃焼ファンの回転制御を行う燃焼改善機能と、燃焼機器の排気側に接続される排気フードから排気外部排出用のメインダクト通路へ導出される排気の温度に基づいて排気ダクト火災防止用の安全動作を行う排気ダクト火災防止機能とが備えられている燃焼機器であって、上記燃焼改善機能によって風量増加方向に燃焼ファンの回転制御が行われたときには燃焼熱量を下げる方向に制御して排気フードからメインダクト通路へ排出される排気の温度低下を図る排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部が設けられている構成をもって前記課題を解決する手段としている。
【0026】
第7の発明は、上記第6の発明の構成を備え、排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部は、燃焼改善機能によって風量増加方向に燃焼ファンの回転制御が行われたときには、その燃焼改善機能による風量増加量に応じて燃焼熱量を低下制御する構成をもって前記課題を解決する手段としている。
【0027】
第8の発明は、上記第6又は第7の発明の構成に加えて、排気フードから排気外部排出用のメインダクト通路へ導出される排気の温度を検出する排気温度検出手段が設けられており、燃焼改善機能によって風量増加方向に燃焼ファンの回転制御が開始されたときに、上記排気温度検出手段により検出される気体の温度が設定の燃焼熱量低下阻止温度よりも低い場合には、排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部による燃焼熱量低下制御動作を阻止する燃焼熱量低下制御阻止部が設けられている構成をもって前記課題を解決する手段としている。
【0028】
上記構成の発明において、例えば、燃焼機器の燃焼中に、メインダクト通路へ流れ込む排気の温度を検出する排気温度検出手段の検出温度が予め定めたしきい値よりも高い場合には、排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部が燃焼熱量を下げる方向に制御する。
【0029】
燃焼熱量が低下するに従って、必然的に、排気フードからメインダクト通路に排出される排気温度も低下することから、上記の如く燃焼熱量を低下する方向に制御することによって、上記メインダクト通路へ排出される排気温度を上記しきい値以下に低下させることができ、排気ダクト火災防止が図れる。
【0030】
また、従来のように排気温度検出手段により検出される温度が上記しきい値よりも高い場合に直ちに燃焼機器の燃焼を停止させるのではなく、燃焼を継続させて上記の如く熱量低下制御により排気ダクト火災防止を図るので、排気温度検出手段の検出温度がしきい値よりも高くなる度に燃焼機器が停止してしまうことがなくなり、排気ダクト火災発生を防止することができる上に、使い勝手の悪化が回避されて、前記課題が解決される。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明に係る実施形態例を図面に基づき説明する。
【0032】
第1の実施形態例に示す燃焼機器である給湯器1は前記図10に示す給湯器1とほぼ同様なシステム構成を有し、給湯器1の排気側を図11に示すような排気フード5を介してメインダクト通路3に連通接続して設置使用される場合に、排気ダクト火災防止能力を発揮することができる特有な制御構成を備えているものである。なお、この実施形態例の説明において、図10に示す給湯器1のシステム構成の説明と、図11に示す排気フード5の説明は前述したので、その重複説明は省略する。
【0033】
図1には第1の実施形態例において特徴的な制御装置20の制御構成が示されている。同図に示すように、制御装置20は、燃焼制御部21とデータ格納部22と熱交換器流量制御部23と燃焼強制停止部24と報知手段25と排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部26とを有して構成されている。
【0034】
燃焼制御部21は前記同様に水量センサ50のセンサ出力に基づきバーナ41の燃焼開始・停止を制御すると共に、入水サーミスタ48の検出入水温と、水量センサ50の検出流量と、出湯サーミスタ51の検出出湯温と、流体温度設定手段である給湯温度設定手段54に設定されている給湯設定温度(流体設定温度)とに基づき、給湯設定温度の湯を供給するための燃焼熱量を予め定められた熱量可変制御範囲内で求め、該求めた燃焼熱量でもってバーナ41の燃焼が行われるように比例弁44の弁開度を制御して燃焼熱量制御を行う構成を備えている。
【0035】
排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部26は上記燃焼制御部21の燃焼情報を時々刻々と取り込む。この取り込んだ情報に基づきバーナ41の燃焼が行われていると検知している間に排気温度検出手段10の検出温度Ttを時々刻々と取り込み、この検出温度Ttをデータ格納部22に予め格納されているしきい値Ts(例えば、50℃)に比較し、検出温度Ttがしきい値Tsよりも高いか否かを判断する。
【0036】
上記しきい値Tsは排気フード5からメインダクト通路3に排出される排気熱による排気ダクト火災発生の虞があるか否かを排気温度検出手段10の検出温度Ttに基づき判断するための温度であり、予め実験等によって求めデータ格納部22に格納されている。
【0037】
排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部26は上記排気温度検出手段10の検出温度Ttとしきい値Tsを比較した結果、検出温度Ttがしきい値Tsよりも高いと判断したときには、メインダクト通路3へ排出される排気温度が高くその排気熱によって排気ダクト火災発生の心配があるので排気ダクト火災を防止するための措置をとる必要があると判断し、この実施形態例では、データ格納部22に予め格納されている排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御手順(シーケンスプログラム)に従って排気温度検出手段10の検出温度Ttが上記しきい値Ts以下の温度まで低下するように燃焼熱量を段階的に低下させる燃焼熱量制御を行う。
【0038】
その燃焼熱量を段階的に低下させる燃焼熱量制御手順には様々な手順があり、それら何れの手順によって燃焼熱量を段階的に低下させてもよい。以下に、その一例を示す。
【0039】
例えば、排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部26に図1の鎖線に示すようにタイマ27とカウンター28を内蔵しておき、また、データ格納部22には表1に示すように回数と低下熱量算出用係数との関係データを予め定めて格納しておく。
【0040】
【表1】
【0041】
排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部26は上記の如く排気温度検出手段10の検出温度Ttとしきい値Tsを比較した結果、検出温度Ttがしきい値Tsよりも高いと判断したときにはカウンター28のカウント値を読み出し、このカウント値を予めデータ格納部22に格納されている限界回数(例えば、2回)に比較し、上記カウント値が上記限界回数に達しているか否かを判断し、カウント値が限界回数に達していないと判断したときには、上記カウンター28のカウント値を上記回数と低下熱量算出用係数との関係データに参照して上記カウント値に対応する低下熱量算出用係数Kを検出する。
【0042】
例えば、カウント値が0である場合には、0.7が低下熱量算出用係数Kとして検出され、カウント値が1である場合には、0.8が低下熱量算出用係数Kとして検出され、カウント値が2である場合には、0.9が低下熱量算出用係数Kとして検出される。
【0043】
そして、排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部26は燃焼制御部21から燃焼熱量情報を取り込み、該情報に基づいたバーナの燃焼熱量Pに上記低下熱量算出用係数Kを乗算して、排気ダクト火災発生の危険が検知されたときの燃焼熱量Pよりも低下した燃焼熱量P1(P1=P×K)を算出し、該算出した燃焼熱量を燃焼制御部21に出力する。この燃焼熱量の情報が加えられると、燃焼制御部21はその加えられた燃焼熱量でもってバーナ燃焼が行われるように、比例弁44の弁開度の閉制御を行う。
【0044】
また、排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部26は上記の如く算出した燃焼熱量を燃焼制御部21に出力すると同時に、カウンター28をカウントアップし、また、タイマ27の駆動を開始させる。
【0045】
タイマ27には排気温度検出手段10の検出温度Ttを取り込むサンプリング時間間隔が予め与えられており、このタイマ27がタイムアップすると、排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部26は排気温度検出手段10の検出温度Ttを再度取り込み、前記同様に、検出温度Ttとしきい値Tsの比較を行い、検出温度Ttがしきい値Ts以下であると判断したときには排気ダクトの火災発生は回避されたと判断し、カウンター28をクリアする。また、上記検出温度Ttとしきい値Tsとの比較の結果、燃焼熱量を低下させたのにも拘わらず、まだ、メインダクト通路3への排気温度がしきい値Tsよりも高いと判断したときには、再度、カウンター28のカウント値を読み出して限界回数に比較し、カウント値が限界回数に達していないと判断したときには、低下制御するための燃焼熱量を算出して燃焼制御部21に出力し、さらに、燃焼熱量を低下させる。
【0046】
さらに、排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部26は、上記カウント値と限界回数の比較の結果、カウント値が限界回数であると判断したときには、燃焼熱量を段階的に低下させたのにも拘わらずメインダクト通路3への排気温度がしきい値Ts以下に低下せず、燃焼熱量をさらに低下しても排気ダクト火災発生を確実に回避することができない虞があるので、安全を図るために燃焼強制停止信号を燃焼制御部21と報知手段25に出力して、燃焼制御部21によって燃焼を強制的に停止させる。また、このとき、排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部26はカウンター28をクリアにする。
【0047】
上記のように、燃焼中に、排気温度検出手段10の検出温度Ttがしきい値Tsよりも高い場合に燃焼熱量を段階的に低下させることで、必然的にメインダクト通路3への排気温度が低下して、該排気温度を排気ダクト火災の発生の虞がない温度に低下させることができ、給湯器1の排気熱に起因した排気ダクト火災を防止することができる。もちろん、排気温度検出手段10の検出温度がしきい値よりも高い場合に燃焼熱量を段階的に低下させて排気温度がしきい値以下の温度となるように、タイマ27の設定サンプリング時間や低下熱量算出用係数Kや限界回数は実験等により求められ与えられる。
【0048】
なお、上記例では、カウンター28のカウント値が大きくなるに従って低下熱量算出用係数Kが小さくなるように設定されていたが、カウント値が大きくなるに従って低下熱量算出用係数Kが大きくなるように設定してもよいし、カウント値の大小に拘わらず低下熱量算出用係数Kを固定値に設定してもよい。また、上記例では、限界回数は2回に設定され燃焼熱量を3段階まで段階的に低下制御することが可能であったが、限界回数を1回に設定して2段階で燃焼熱量を低下制御することが可能となるようにしてもよいし、限界回数を3回以上に設定して4段階以上で燃焼熱量を低下制御することが可能となるようにしてもよいし、限界回数を設けずに検出温度Ttがしきい値Ts以下の温度に低下するまで燃焼熱量を段階的に低下制御してもよい。
【0049】
報知制御部25は上記排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部26から燃焼強制停止信号を受け取ると、異常発生によって燃焼を強制的に停止させたことを示す警報を発する。例えば、給湯器1の器具ケース40に警報ランプ16を図11の鎖線に示すように設け、報知制御部25は上記燃焼強制停止信号を受けると、上記警報ランプ16を点灯又は点滅させて視覚的に異常発生を報知させる。また、警報ブザー17を設け、報知制御部25は上記燃焼強制停止信号を受けると、警報ブザー17を鳴らして聴覚的に異常発生を報知させる。もちろん、警報ランプ16と警報ブザー17の両方を設けて警報ランプ16と警報ブザー17の両方で異常発生を報知するようにしてもよいし、警報ランプ16と警報ブザー17のどちら一方のみを設けて警報ランプ16あるいは警報ブザー17の一方により異常発生を報知するようにしてもよい。
【0050】
ところで、排気温度検出手段10の検出温度Ttがしきい値Tsよりも高い場合に、上記の如く、排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部26によって燃焼熱量低下制御が行われたときには、燃焼熱量低下制御前と同じ流量の通水が熱交換器45に流れていると、当然に、出湯温度は燃焼熱量低下制御前の温度よりも低下してしまい、給湯設定温度の湯を給湯することができないという問題が発生する。
【0051】
そこで、この実施形態例では、上記排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部26による燃焼熱量低下制御が行われているときに、給湯設定温度の湯を安定的に供給するために、次に示すような熱交換器流量制御部23を設けた。
【0052】
前記排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部26は上記のように算出した燃焼熱量P1の情報を燃焼制御部21だけでなく、熱交換器流量制御部23にも出力するように構成され、熱交換器流量制御部23はその算出された燃焼熱量が加えられると、給湯温度設定手段54に設定されている給湯設定温度の情報を取り込み、上記加えられた燃焼熱量と給湯設定温度とデータ格納部22に予め格納されている流体流量データに基づき給湯設定温度の湯を給湯するための熱交換器45の通水流量を検出する。
【0053】
上記データ格納部22に格納されている流体流量データは上記加えられた燃焼熱量P1でもってバーナ燃焼が行われているときに給湯設定温度Tspの湯を供給するための熱交換器45の流量Qを求めるためのデータであり、例えば、下式(1)に示すような演算式データによって与えられる。
【0054】
Q=P1/(Tsp−Tin)・・・・・(1)
【0055】
なお、上式(1)に示すTinは熱交換器45に流れ込む水温である。
【0056】
上記のような演算式データが与えられている場合には、熱交換器流量制御部23は、上式(1)のパラメータP1に上記排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部26によって算出された燃焼熱量を、パラメータTspに給湯温度設定手段54の給湯設定温度を、パラメータTinに入水サーミスタ48によって検出された入水温をそれぞれ代入して演算し、給湯設定温度Tspの湯を供給するための熱交換器45の流量Qを求める。
【0057】
そして、熱交換器流量制御部23は熱交換器45の通水流量が上記求めた流量となるように流量制御手段52の弁開度を絞り制御する。熱交換器45の通水流量が上記求めた流量となるように流量制御手段52の弁開度を制御する手法には様々な手法があり、ここでは、その何れの手法により流量制御手段52の弁開度制御を行ってもよい。以下に、流量制御手段52の制御手法の一例を示す。
【0058】
例えば、熱交換器流量制御部23は水量センサ50によって検出される流量を取り込み、上記算出した流量に対する検出流量の差分を求め、この差分に応じた電力を流量制御手段52のモータ等の弁開度駆動手段に供給して弁開度を閉方向に制御し、熱交換器45の通水流量が上記求めた流量となるように流量制御手段52を絞り制御する。
【0059】
上記の如く、燃焼熱量低下制御が行われているときに、熱交換器流量制御部23によって熱交換器45の通水流量の低下制御を行うことで、燃焼熱量が低下しても、給湯設定温度を供給するための熱量が熱交換器45の通水に与えられ、給湯設定温度の湯を安定的に供給することができる。
【0060】
さらに、この実施形態例では、前記したように燃焼強制停止部24が設けられている。この燃焼強制停止部24は燃焼制御部21の燃焼情報を取り込み、この情報に基づき燃焼中であると検知している間に、排気温度検出手段10の検出温度Ttを時々刻々とサンプリングし、この検出温度Ttをデータ格納部22に予め格納されている燃焼強制停止温度Tk(例えば、80℃)に比較し、検出温度Ttが燃焼強制停止温度Tkよりも高いか否かを判断する。燃焼強制停止温度Tkは給湯器1の燃焼を直ちに停止しなければ、その排気熱によって排気ダクト火災発生の確率が高くなる非常に危険な状態の排気温度であり、予め定めてデータ格納部22に格納されている。
【0061】
燃焼強制停止部24は上記排気温度検出手段10の検出温度Ttと燃焼強制停止温度Tkとの比較の結果、検出温度Ttが燃焼強制停止温度Tkよりも高いと判断したときには、メインダクト通路3への排気温度が非常に高く、この高温の排気がメインダクト通路3へ排出され続けると、排気ダクト火災発生の確率が高まり非常に危険であることから、燃焼強制停止信号を燃焼制御部21と報知手段25に出力し、燃焼制御部21によって燃焼を強制的に停止させると共に、報知手段25によって異常発生によって燃焼を停止させたことを報知させる。
【0062】
この実施形態例によれば、燃焼中に、排気温度検出手段10の検出温度Ttがしきい値Tsよりも高い場合には燃焼熱量低下制御が行われるので、燃焼熱量が低下することで必然的にメインダクト通路3へ入り込む排気温度が低下して、排気ダクト火災発生を確実に防止することができる。その上、この実施形態例では、従来のように排気温度検出手段10の検出温度Ttがしきい値Tsを越えたときに直ちに燃焼を停止させるのではなく、燃焼を継続させながらメインダクト通路3へ入り込む排気温度の低下を図って排気ダクト火災発生を防止するようにしたので、使い勝手の悪化を回避することができる。
【0063】
また、排気温度検出手段10の検出温度Ttがしきい値Tsよりも高い場合には段階的に燃焼熱量を低下制御するので、上記検出温度Ttがしきい値Tsよりも僅かに低めの温度となるように燃焼熱量を低下させることができ、燃焼熱量を下げ過ぎることなく適宜な熱量分だけ燃焼熱量を低下させることができる。これに対して燃焼熱量を一度に大幅に低下させると、確かに、排気温度が大幅に低下して排気ダクト火災を防止することができるが、給湯温度が大きく低下し給湯設定温度よりもかなり低めの湯が供給される虞が生じることが考えられるが、この実施形態例に示すように段階的に燃焼熱量を低下制御することで、上記の如く燃焼熱量の下げ過ぎを防止して前記問題を回避することが可能である。
【0064】
さらに、排気温度検出手段10の検出温度Ttが燃焼強制停止温度Tk以上になったときには、直ちに燃焼を停止させる構成を備えたので、メインダクト通路3への排気温度が非常に高温であり、直ちに燃焼を停止しなければ非常に危険な状態であるときには、瞬時に燃焼停止が成されるので、排気ダクト火災発生をより一層確実に防止することができる。
【0065】
さらに、燃焼熱量低下制御が行われたときには、給湯設定温度の湯を供給することができるように給湯熱交換器45の通水流量の絞り制御が行われるので、燃焼熱量低下制御が行われても、給湯設定温度の湯を安定供給することができる。
【0066】
以下に、第2の実施形態例を説明する。この実施形態例が前記第1の実施形態例と異なる特徴的なことは、排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部26が燃焼熱量を段階的に低下制御するのではなく、しきい値Tsに対する排気温度検出手段10の検出温度Ttの偏差ΔTに応じて燃焼熱量を低下制御することである。それ以外の構成は前記第1の実施形態例と同様であり、その共通部分の重複説明は省略する。
【0067】
この第2の実施形態例では、排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部26は、図2に示すように、サンプリング部30と比較部31と偏差算出部33と熱量検出部32とを有して構成されている。なお、この第2の実施形態例においても、前記第1の実施形態例に示した熱交換器流量制御部23と燃焼強制停止部24と報知手段25が制御装置20に設けられているが、図2ではその図示が省略されている。
【0068】
排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部26を構成するサンプリング部30は燃焼制御部21の燃焼情報を時々刻々と取り込み、この情報に基づき給湯器1が燃焼中であると検知している間に、排気温度検出手段10により検出された温度Ttを時々刻々と取り込む。そして、この検出温度Ttの情報を比較部31に出力する。
【0069】
比較部31は上記サンプリング部30から加えられた検出温度Ttをデータ格納部22に予め格納されている前記しきい値Tsに比較し、検出温度Ttがしきい値Tsよりも高いか否かを判断する。この比較の結果、比較部31は、検出温度Ttがしきい値Tsよりも高いと判断したときには、検出温度Ttとしきい値Tsの情報とを偏差算出部33に出力する。
【0070】
偏差算出部33は上記検出温度Ttとしきい値Tsの情報が加えられると、その検出温度Ttからしきい値Tsを差し引いて、しきい値Tsに対する検出温度Ttの偏差ΔTを求め、この求めた偏差ΔTの情報を熱量検出部32に出力する。
【0071】
熱量検出部32は上記偏差ΔTが加えられると、この偏差ΔTをデータ格納部22に予め格納されている熱量検出データに照らし合わせる。
【0072】
上記熱量検出データは、表2に示すような上記偏差ΔTと低下熱量算出用係数Kとの関係を示すデータであり、この実施形態例では、偏差ΔTに応じて低下熱量算出用係数Kが段階的に与えられている。
【0073】
【表2】
【0074】
上記熱量検出部32は上記の如く偏差ΔTを熱量検出データに照らし合わせて、上記偏差ΔTに対応する低下熱量算出用係数Kを求めると共に、燃焼制御部21の燃焼熱量情報を取り込み、この取り込んだ燃焼熱量に上記求めた低下熱量算出用係数Kを乗算して低下制御用の燃焼熱量を求め、この求めた燃焼熱量を燃焼制御部21および熱交換器流量制御部23に出力する。燃焼制御部21は加えられた燃焼熱量でバーナ燃焼が行われるように燃焼熱量制御を行う。また、熱交換器流量制御部23は上記加えられた燃焼熱量と給湯温度設定手段54に設定されている給湯設定温度とに基づいて給湯設定温度の湯を給湯するための流量を検出し、該検出した流量となるように流量制御手段52を制御する。
【0075】
この実施形態例では、表2に示すように、上記偏差ΔTが大きくなるに従って燃焼熱量の下げ幅が大きくなるように偏差ΔTと低下熱量算出用係数Kとの関係が与えられており、排気温度検出手段10の検出温度Ttがしきい値Tsよりも高い場合に検出温度Ttがしきい値Tsよりも僅かに低めの温度となるための低下熱量算出用係数Kが偏差ΔTに応じて実験等によって求められ、前記の如く偏差ΔTと低下熱量算出用係数Kの関係データとしてデータ格納部22に格納されている。
【0076】
この実施形態例によれば、燃焼中に、排気温度検出手段10の検出温度Ttがしきい値Tsよりも高い場合にはしきい値Tsに対する検出温度Ttの偏差ΔTに応じて燃焼熱量の低下制御を行うので、メインダクト通路3への排気温度をしきい値Ts以下に低下させるのに適した燃焼熱量分を直ちに低下させることができ、このことによって、迅速に排気温度をしきい値温度以下に低下させることができる。
【0077】
また、上記の如くしきい値Tsに対する検出温度Ttの偏差ΔTに応じて燃焼熱量の低下制御を行うので、メインダクト通路3への排気温度をしきい値Tsよりも僅かに低めの温度に制御することが容易であり、例えば、検出温度Ttがしきい値Tsよりも僅かしか上側でないのに燃焼熱量が過剰に低下され給湯設定温度よりもかなり低めの湯が給湯してしまうという問題や、検出温度Ttがしきい値Tsよりも大幅に上側である場合に燃焼熱量の低下量が不足して排気温度の低下が迅速に行われないという問題を回避することができる。
【0078】
以下に、第3の実施形態例を説明する。この実施形態例では、排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部26は、排気温度検出手段10の検出温度Ttがしきい値Tsよりも高くなったときに、そのときの燃焼熱量Pから燃焼熱量を低下する構成に代えて、燃焼熱量を可変制御できる熱量可変制御範囲の上限値Uを設定の最大燃焼熱量Pmaxよりも低下制御する構成と成している。それ以外の構成は前記各実施形態例と同様であり、その共通部分の重複説明は省略する。なお、ここでは、上記熱量可変制御範囲の最小燃焼熱量Pminを0%とし、最大燃焼熱量Pmaxを100%とし、最小燃焼熱量Pminから最大燃焼熱量Pmaxに向けて%値が大きくなるように、熱量可変制御範囲内の熱量を%値で表す。
【0079】
この実施形態例において特徴的な排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部26は、上記の如く、排気温度検出手段10の検出温度Ttがしきい値Tsよりも高い場合に、熱量可変制御範囲の上限値Uを前記最大燃焼熱量Pmaxよりも低下制御する構成を備えており、その上限値Uの低下制御は、例えば、前記第1の実施形態例と同様に、予め定められた燃焼熱量制御手順に従って、上限値Uを段階的に低下させてもよいし、又は、しきい値Tsに対する上記排気温度検出手段10の検出温度Ttの上昇量に応じて上限値Uを低下制御してもよく、様々な低下制御構成が考えられ、ここでは、その何れの構成を採用してもよい。
【0080】
排気温度検出手段10の検出温度Ttがしきい値Tsよりも高くなる場合には、上記最大燃焼熱量Pmaxあるいは最大燃焼熱量Pmaxの近傍熱量で燃焼が行われている場合が多いことから、上記の如く、排気温度検出手段10の検出温度Ttがしきい値Tsよりも高くなったときに、排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部26によって熱量可変制御範囲の上限値Uを低下させることで、燃焼熱量を低下させることができ、前記各実施形態例に述べたと同様に、排気ダクト火災の防止を図ることができる。
【0081】
この第3の実施形態例において特徴的な制御構成は上記のように構成されており、以下に、その排気ダクト火災防止の制御動作の一例を図3、図4のフローチャートに基づき簡単に説明する。
【0082】
まず、図3のステップ101では、燃焼停止中に、排気温度検出手段10により検出される気体の温度ThBを取り込んで、該取り込んだ気体温度ThBを点火前の気体温度として記憶し、ステップ102で、水量センサ50により流水が検出されたか否かを判断し、流水が検知されなかったと判断したときには、上記ステップ101で、再度、排気温度検出手段10の検出気体温度ThBを検出・記憶する。このように、燃焼停止中には、時々刻々と排気温度検出手段10の検出気体温度ThBを取り込んで上書き記憶する。
【0083】
そして、上記ステップ102で、流水が検知されたと判断したときには、ステップ103でバーナ41の点火を行い、ステップ104で、制御装置20に内蔵されているタイマTM1,TM2,TM3をそれぞれリセットし、そのうち、タイマTM1を起動して、バーナ点火が成されてからの経過時間の計測を開始する。次に、ステップ105で、要求燃焼熱量が予め定められた燃焼熱量N(例えば、燃焼熱量70%)以上であるか否かを判断し、要求燃焼熱量が上記設定の熱量N未満であると判断したときには、後述するステップ108の動作を行う。
【0084】
また、上記ステップ105で、要求燃焼熱量が設定の熱量N以上であると判断したときには、ステップ106で、上記タイマTM1の計測時間が予め定めた時間(例えば、25秒)以上であるか否かを判断し、タイマTM1の計測時間が上記設定時間に達していないと判断したときには、上記ステップ105以降の動作を繰り返し行う。そして、上記ステップ106で、タイマTM1の計測時間が設定時間(25秒)に達したと判断したときには、排気温度検出手段10の検出温度Ttを取り込み、ステップ107で、上記点火前の検出気体温度ThBに設定の温度(例えば、5K(5℃))を加算した値よりも上記検出温度Ttが低いか否かを判断し、検出気体温度ThBに設定の温度を加算した値(ThB+5)よりも検出温度Ttが低いと判断したときには、ステップ110で、バーナ燃焼熱量が熱量N以上であり、バーナ点火が成されてから25秒という時間が経っているのにも拘わらず、排気フード5からメインダクト通路3に流れ込む排気温度が点火前の状態から例えば5K以上上昇していないのは異常であると判断し、排気温度検出手段10が取り外されているか、あるいは、排気温度検出手段10が故障している虞があり、この排気温度検出手段10の異常によって排気ダクト火災を確実に回避することができないことが考えられ危険であると判断し、排気温度検出手段10の異常を例えば前記報知制御部25の制御動作によって報知したり、又は、前記燃焼強制停止部24の制御動作によりバーナ41の燃焼を強制的に停止させる等の燃焼運転の安全動作を行う。以上の動作により排気温度検出手段10の異常を検知することができる。
【0085】
また、前記ステップ107の判断動作により、排気温度検出手段10の検出温度Ttは点火前の気体温度ThBに設定の値(5K)を加算した値以上であると判断したときには、排気温度検出手段10は正常に機能していると判断し、次に、ステップ108で、排気あふれ温度検出手段11により検出された温度Taを取り込み該検出温度Taが排気漏れ検知用の設定のしきい値(例えば40℃)よりも高いか否かを判断する。
【0086】
検出温度Taが上記しきい値以下であると判断したときには、給気取り込み口8から排気は漏れ出ていないと判断する。また、検出温度Taが上記しきい値よりも高いと判断したときには、ステップ111で、タイマTM2を起動させ、ステップ112で、そのタイマTM2の計測時間が設定時間(例えば25秒)に達しているか否かを判断し、このタイマTM2の計測時間が設定時間(25秒)に達していないと判断したときには、再度、排気あふれ温度検出手段11の検出温度Taを取り込み、上記ステップ108で、その検出温度Taが排気漏れ検知用のしきい値よりも高いか否かを判断する。このようにして、排気あふれ温度検出手段11の検出温度Taが25秒以上継続して上記しきい値を越えた場合には、ステップ113で、給気取り込み口8から排気が漏れ出ていると判断し、例えば、一酸化炭素中毒等の危険を回避するために、燃焼強制停止部24により燃焼を強制的に停止させる等の設定の安全動作を行う。
【0087】
また、上記ステップ108で、タイマTM2の計測時間が設定時間(25秒)に達する前に、上記しきい値以下の温度が排気あふれ温度検出手段11により検出された場合には、排気漏れは無いと判断し、ステップ109で、上記タイマTM2を停止・リセットする。
【0088】
引き続き、図4のステップ114では、タイマTM3の計測時間が設定時間(例えば10秒)に達しているか否かを判断するが、ここでは、タイマTM3は駆動していないので、次に、ステップ115の動作に移る。
【0089】
ステップ115では、排気温度検出手段10の検出温度Ttを取り込み、該取り込んだ検出温度Ttが第1の温度範囲(例えば、50℃よりも高く、かつ、56℃以下の温度範囲)内の温度であるか否かを判断し、その第1の温度範囲内の温度であると判断したときには、ステップ121で、設定の最大燃焼熱量Pmaxよりも10%下げた熱量を熱量可変制御範囲の上限値Uとして設定する。
【0090】
また、上記ステップ115で、検出温度Ttが上記第1の温度範囲内の温度でないと判断したときには、ステップ116で、排気温度検出手段10の検出温度Ttが上記第1の温度範囲とは異なる第2の温度範囲(例えば56℃よりも高く、かつ、63℃以下の温度範囲)内の温度であるか否かを判断し、検出温度Ttがその第2の温度範囲内の温度であると判断したときには、ステップ120で、設定の最大燃焼熱量Pmaxよりも20%下げた熱量を熱量可変制御範囲の上限値Uとして設定する。
【0091】
さらに、上記ステップ116で、検出温度Ttが上記第2の温度範囲内の温度でないと判断したときには、ステップ117で、検出温度Ttが第3の温度範囲(例えば63℃よりも高く、かつ、70℃以下の温度範囲)内の温度であるか否かを判断し、検出温度Ttが第3の温度範囲内の温度であると判断したときには、ステップ119で、最大燃焼熱量Pmaxよりも30%下げた熱量を熱量可変制御範囲の上限値Uとして設定する。
【0092】
上記ステップ119〜121の各動作により、低下変更後の熱量可変制御範囲の上限値Uが求められた後には、ステップ122で、その求められた上限値Uが燃焼熱量70%よりも低下しているか否かを判断し、上記求められた上限値Uが燃焼熱量70%以上であると判断したときには、上記求められた上限値Uに基づいた熱量可変制御範囲内でのバーナ燃焼熱量の制御が開始される。そして、ステップ124で、タイマTM3をリセット・駆動させて、前記ステップ108以降の動作を繰り返し行う。
【0093】
上記ステップ114で、タイマTM3の計測時間が設定時間(例えば10秒)に達していないと判断したときには、上記熱量可変制御範囲の上限値Uの低下制御によってバーナの燃焼熱量が低下制御されたことが考えられ、上記設定時間が経過するまでは燃焼状態は過度状態であると判断し、前記したような熱量可変制御範囲の上限値Uの低下制御は行わないと判断し、再び、前記ステップ108以降の動作を繰り返し行う。
【0094】
また、上記ステップ114で、タイマTM3の計測時間が設定時間(10秒)を経過したと判断したときには上記ステップ115以降の動作を繰り返し行う。
【0095】
上記の如く、熱量可変制御範囲の上限値Uの低下制御を行ったのに拘わらず、排気温度検出手段10の検出温度Ttが高く、再度、熱量可変制御範囲の上限値Uの低下制御を行わなければならない場合には、上記同様にして、排気温度検出手段10の検出温度Ttに基づいて上限値Uを10%あるいは20%あるいは30%低下させた低下変更後の上限値Uを求めるが、前記ステップ122で、この低下変更後の上限値Uが所定の熱量(70%)よりも低くなってしまうと判断したときには、ステップ123で、上限値Uの低下制御をこれ以上行っても効果的に排気温度を低下させることは困難であると判断し、燃焼強制停止部24により燃焼を強制的に停止させる等の安全動作を行う。
【0096】
また、前記ステップ117で、検出温度Ttが上記第3の温度範囲内の温度でないと判断したときには、ステップ118で、排気温度検出手段10の検出温度Ttが設定の燃焼強制停止温度Tk(例えば、70℃)よりも高いか否かを判断し、検出温度Ttが燃焼強制停止温度Tk(70℃)よりも高いと判断したときには、メインダクト通路3に流れ込む排気温度が非常に高いことから、排気ダクト火災の発生確率が高く危険な状態であると判断し、前記ステップ123で、燃焼強制停止部24により燃焼を強制的に停止させる。
【0097】
また、上記ステップ118で、検出温度Ttが燃焼強制停止温度Tk(70℃)以下であると判断したときには、検出温度Ttは設定のしきい値Ts(例えば50℃)以下の低い温度であり、その温度を持つ排気がメインダクト通路3に継続的に入り込んでも、排気ダクト火災発生の虞はないと判断し、前記ステップ108以降の動作を繰り返し行う。
【0098】
以上のようにして、排気ダクト火災を防止するための制御動作が行われる。
【0099】
この実施形態例によれば、排気温度検出手段10の検出温度Ttが設定のしきい値Tsよりも高い場合には熱量可変制御範囲の上限値Uを低下制御する構成とし、バーナ41は最大燃焼熱量Pmaxあるいはその近傍熱量で燃焼していることが多いことから、燃焼を継続させたまま、熱量可変制御範囲の上限値Uを低下することで、必然的に、燃焼熱量が低下して、上記各実施形態例と同様に、メインダクト通路3に流入する排気温度の低下が図れ、燃焼を停止させずに排気ダクト火災を防止することができる。
【0100】
以下に、第4の実施形態例を説明する。この実施形態例では、前記図10に示すシステム構成を持ち、前記図11に示すように排気フード5を介してメインダクト通路3に連通接続することが可能な構成を有し、排気温度検出手段10の検出温度Ttがしきい値Tsよりも高い場合に予め定めた給湯温度範囲(流体温度範囲)の上限値を下げることで燃焼熱量を低下させてメインダクト通路3への排気温度の低下を図り排気ダクト火災を回避させる構成を有したことを特徴としている。なお、この実施形態例の説明において、前記図10に示すシステム構成および図11に示す排気フード5の構成の説明は前述したので、その重複説明は省略する。
【0101】
ところで、予め定めた給湯温度範囲D内の上限値又はその給湯温度範囲D内の上限値近傍領域温度の湯が要求されている場合には予め定めた最大燃焼熱量付近の大きな燃焼熱量でバーナ燃焼が行われることが多く、そのような場合にメインダクト通路3への排気温度が前記しきい値Tsよりも高くなることが多い。
【0102】
そこで、この実施形態例では、上記の如く排気温度検出手段10の検出温度Ttがしきい値Tsよりも高い場合には給湯温度範囲Dの上限値Tupを下げることで必然的に燃焼熱量を低下させて排気ダクト火災を回避させる構成を設けた。
【0103】
図5には第4の実施形態例において特徴的な制御装置20の主要構成が示されている。この図に示すように、制御装置20は燃焼制御部21とデータ格納部22と燃焼強制停止部24と報知手段25と給湯上限温度変更部35とを有して構成されている。なお、上記燃焼制御部21と燃焼強制停止部24と報知手段25の各構成は前記各実施形態例に示した燃焼制御部21、燃焼強制停止部24、報知手段25の各構成とそれぞれ同様であるので、その重複説明は省略する。
【0104】
上記給湯上限温度変更部35は燃焼制御部21の燃焼情報を時々刻々と取り込み、この取り込んだ情報に基づき給湯器1の燃焼中であると検知している間に排気温度検出手段10の検出温度Ttを時々刻々と取り込み、この検出温度Ttをデータ格納部22に格納されている前記しきい値Tsに比較し、検出温度Ttがしきい値Tsよりも高いか否かを判断する。この比較によって、給湯上限温度変更部35は、検出温度Ttがしきい値Tsよりも高いと判断したときには、給湯温度範囲Dの上限値Tupを下げる方向に制御する。
【0105】
具体的には、例えば、しきい値Tsに対する排気温度検出手段10の検出温度Ttの偏差ΔTが大きくなるに従って図6の実線に示すように連続的に、又は点線に示すように段階的に、上限値Tupの下げ幅ΔDが大きくなるように偏差ΔTと上限値下げ幅ΔDとが関係付けられたデータをデータ格納部22に予め定めて格納しておく。もちろん、上記偏差ΔTと上限値下げ幅ΔDとの関係データはグラフデータに限定されるものではなく、表データや演算式データ等の適宜なデータ形式で格納される。
【0106】
上記給湯温度範囲Dの上限値Tupを低下変更することによって要求される給湯設定温度が低下することから、燃焼制御部21により燃焼熱量が必然的に下げられ、メインダクト通路3への排気温度をしきい値Ts以下の温度にすることができる。このことから、メインダクト通路3への排気温度がしきい値Tsよりも高くなった場合に給湯温度範囲Dの上限値Tupを低下させて上記排気温度をしきい値Ts以下の温度にするための上記上限値Tupの下げ幅ΔDを上記偏差ΔTに応じて予め実験や演算等によって求め、上記の如く偏差ΔTと上限値下げ幅ΔDとを関係付けたデータとしてデータ格納部22に格納しておく。
【0107】
給湯上限温度変更部35は上記の如く検出温度Ttがしきい値Tsよりも高いと判断したときには、検出温度Ttからしきい値Tsを差し引いて、しきい値Tsに対する検出温度Ttの偏差ΔTを求め、この求めた偏差ΔTを上記データ格納部22の関係データに参照して、偏差ΔTに対応する上限値Tupの下げ幅ΔDを検出する。
【0108】
また、給湯上限温度変更部35は、データ格納部22に格納されている給湯温度範囲Dの上限値Tupを読み出し、該上限値Tupから上記検出した下げ幅ΔD分だけ低下させた上限値Tup’を求め、この求めた上限値Tup’を給湯温度設定手段54に出力する。
【0109】
給湯温度設定手段54は給湯上限温度変更部35から上限値Tup’の情報が加えられると、データ格納部22の上限値Tupよりも給湯上限温度変更部35の検出上限値Tup’を優先し、この上限値Tup’よりも上側の温度を設定することができないように構成されている。
【0110】
この実施形態例によれば、燃焼中に、排気温度検出手段10の検出温度がしきい値Tsよりも高い場合に、給湯温度範囲Dの上限値Tupを下げる方向に制御するので、この上限値Tupの低下変更によって給湯設定温度が低下して燃焼熱量を低下させることができ、上記各実施形態例と同様に、メインダクト通路3への排気温度の低下が図れ、燃焼を停止することなく排気ダクト火災を防止することができ、かつ、使い勝手の悪化を回避することができる。
【0111】
以下に、第5の実施形態例を説明する。この第5の実施形態例では、制御装置20に図7に示す燃焼改善制御部60が設けられている場合に特有な排気ダクト火災防止用の制御構成を説明する。この実施形態例においても、図10に示すようなシステム構成を持つ給湯器を対象としており、ここでは、図10に示すシステム構成の説明は前述したのでその重複説明は省略する。
【0112】
上記燃焼改善制御部60は何らかの原因により風量不足によって燃焼状態が異常となっている場合に風量を増加する方向に燃焼ファン55の回転制御を行って燃焼状態を改善する構成を有するものであり、例えば、図7に示すように燃焼異常検知部61と風量制御部62を有して構成されている。上記燃焼異常検知部61は風量不足によってバーナ41の燃焼状態が異常であることを検知する構成を備えており、その検知構成には様々な構成が考えられる。
【0113】
例えば、給湯器1の排気側に設けられるCOセンサにより検出されるCO(一酸化炭素)の濃度は風量不足による燃焼異常状態では非常に悪化することから、このCO濃度に基づいて風量不足による燃焼異常を検知することができる。また、風量不足による燃焼異常の場合にはフレームロッド電流が多く流れることから、フレームロッド電流が設定の電流値よりも多く流れる場合には風量不足による燃焼異常状態であると検知できる。さらに、燃焼火炎の温度を検出する温度検出手段が設けられている場合には、風量不足による燃焼異常時に上記炎温度検出手段により検出される炎の温度は通常時に検出される炎の温度と異なることから、この炎温度の差を利用して風量不足による燃焼異常を検知することもできる。さらに、風量不足時と通常時とでは炎の色が異なることから、この炎の色の差異を利用して風量不足による燃焼異常を検知することもできる。このように、風量不足による燃焼異常の検知構成には様々な構成があり、ここでは、その何れの構成を採用してもよい。
【0114】
また、上記風量制御部62は、上記燃焼異常検知部61が風量不足による燃焼異常を検知したときにはその燃焼異常を知らせる信号を受けて、風量を増加する方向に燃焼ファン55の回転制御を行って燃焼状態を改善する構成を備えている。例えば、データ格納部22に、通常時に燃焼ファン55の回転制御を行うための図8の実線に示すような風量制御用データL1を格納すると共に、風量不足による燃焼異常時に燃焼改善するために通常時よりも風量を増加させるための同図の鎖線に示す燃焼改善用の風量制御用データL2を格納しておき、燃焼異常検知部61によって風量不足による燃焼異常が検知されたときには、燃焼制御部21による上記通常時用の風量制御データL1に基づいた燃焼ファン55の回転制御に代えて、風量制御部62が上記燃焼改善用の風量制御用データL2および燃焼熱量に基づいて燃焼ファン55の回転制御を行う。つまり、風量不足による燃焼異常が検知されたときには、通常時の風量制御データから上段の燃焼改善用の風量制御データに切り換えられて燃焼ファン55の回転制御が行われる。
【0115】
上記燃焼改善用の風量制御データは、風量不足による燃焼異常を解消するのに適宜な風量が燃焼熱量に対応させて与えられたデータであり、風量不足による燃焼異常が検知されたときに上記燃焼改善用の風量制御データに切り換えて燃焼ファン55の回転制御(風量増加制御)が行われることにより、風量不足による燃焼異常を解消することができる。
【0116】
ところで、上記燃焼改善制御部60の制御動作により風量が増加すると、熱交換器45における熱効率が低下し、この熱効率の低下に起因して給湯器1から排気フード5を介してメインダクト通路3へ排出される排気の温度が上昇するという現象が起こる。この風量増加に因る排気温度上昇によってメインダクト通路3へ流入する排気温度が排気ダクト火災発生の虞がある高温に上昇する場合があり、この状態が継続されると排気ダクト火災発生の確率が高くなるという問題がある。
【0117】
そこで、この第5の実施形態例では、上記燃焼改善制御部60および前記各実施形態例に示した燃焼制御部21とデータ格納部22と熱交換器流量制御部23と燃焼強制停止部24と報知制御部25に加えて、次に示す排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部26を設け、該排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部26によって、燃焼改善動作による風量増加制御が行われたときには燃焼熱量を低下させて排気温度の低下を図り排気ダクト火災発生を防止する構成を備えた。以下に、その排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部26の制御構成の一例を示す。なお、上記燃焼制御部21とデータ格納部22と熱交換器流量制御部23と燃焼強制停止部24と報知制御部25の各制御構成は前記各実施形態例に示した燃焼制御部21とデータ格納部22と熱交換器流量制御部23と燃焼強制停止部24と報知制御部25の各制御構成とそれぞれ同様であるので、この第5の実施形態例では、その重複説明は省略する。
【0118】
この実施形態例において特徴的な排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部26は、図7に示すように、熱量検出部36と風量増加量検出部37を有して構成されている。上記風量増加量検出部37は前記燃焼改善制御部60の動作情報を時々刻々と取り込み、この取り込んだ情報に基づいて燃焼改善のために風量増加制御が開始されたことを検知したときには、そのときのバーナ41の燃焼熱量Pを燃焼制御部21から検出し、この検出した燃焼熱量Pおよび前記データ格納部22の通常時用の風量制御データL1と燃焼改善用の風量制御データL2に基づき、燃焼改善動作による風量増加量を検出する。
【0119】
つまり、上記検出した燃焼熱量Pに対応する通常時用の風量制御データL1に基づいた風量と燃焼改善用の風量制御データL2に基づいた風量とをそれぞれ検出する。例えば、検出された燃焼熱量が図8に示す熱量Pexであったときには、その燃焼熱量Pexを通常時用の風量制御データL1に参照して燃焼熱量Pexに対応する風量は風量F1であると検出し、また、上記燃焼熱量Pexを燃焼改善用の風量制御データL2に参照して燃焼熱量Pexに対応する風量は風量F2であるという如く検出する。そして、その検出された燃焼改善制御動作開始後の風量F2から燃焼改善動作開始前の風量F1を差し引いて燃焼改善動作による風量増加量ΔFを求める。
【0120】
風量増加量検出部37は上記の如く求めた風量増加量ΔFの情報を熱量検出部36に出力する。熱量検出部36は上記風量増加量ΔFの情報が加えられると、該風量増加量ΔFをデータ格納部22に予め格納されている次に示す燃焼熱量低下量検出用データに参照する。
【0121】
上記燃焼熱量低下量検出用データは燃焼改善動作による風量増加量に応じた燃焼熱量の低下量を決定するためのデータであり、この実施形態例では、燃焼改善動作による風量増加に起因したメインダクト通路3への流入排気の温度上昇を抑制することができる燃焼熱量の低下量を風量増加量を考慮して実験や演算等により求め、その燃焼熱量の低下量を風量増加量に対応させたデータである。この実施形態例では、図9に示すように、風量増加量が大きくなるに従って、実線に示すように連続的に、あるいは、破線に示すように段階的に燃焼熱量低下量が大きくなるように風量増加量と燃焼熱量低下量とが関係付けられている。
【0122】
上記熱量検出部36は風量増加量ΔFを上記燃焼熱量低下量検出用データに参照して風量増加量ΔFに対応する燃焼熱量低下量を検出し、また一方で、燃焼改善動作による風量増加制御が開始されたときの燃焼熱量Pを燃焼制御部21から検出し、この検出した燃焼熱量Pから上記求めた燃焼熱量低下量ΔFを差し引いた燃焼熱量P1を求め、この燃焼熱量P1の情報を燃焼制御部21および熱交換器流量制御部23に出力する。燃焼制御部21は燃焼熱量P1の情報が加えられた場合には、その燃焼熱量P1でバーナ燃焼が行われるように燃焼熱量制御を行う。また、熱交換器流量制御部23は燃焼熱量が熱量Pから熱量P1に低下しても給湯温度設定手段54に設定されている給湯設定温度の湯が供給されるように前記同様に熱交換器45を流れる湯水の流量を制御する。
【0123】
さらに、この第5の実施形態例では、上記構成に加えて、図7に示すように、燃焼熱量低下制御阻止部38が設けられている。この燃焼熱量低下制御阻止部38は、前記燃焼改善制御部60の動作情報を時々刻々と取り込み、この情報に基づき、燃焼改善するために風量増加制御が開始されたことを検知したときには、排気温度検出手段10により検出された排気温度Ttを取り込む。そして、この取り込んだ検出温度Ttを燃焼熱量制御部22に予め格納されている燃焼熱量低下阻止温度(例えば、45℃)に比較し、上記検出温度Ttが上記燃焼熱量低下阻止温度よりも低いと判断したときには、排気温度が低く、つまり、かなり低い熱量でもってバーナ燃焼が行われていることが考えられ、風量増加制御が行われても、排気温度が排気ダクト火災発生の虞がある高温に上昇することは無いと判断し、熱量低下制御を阻止するための信号を報知制御部26に出力する。報知制御部26がその信号を受けると、燃焼改善制御部60による風量増加制御が開始されたことを検知しても、燃焼熱量低下制御を行わない。
【0124】
この実施形態例によれば、燃焼改善動作による風量増加制御が開始されたことを検知したときに燃焼熱量を低下する構成を備えたので、燃焼改善動作によって風量増加制御が開始されると燃焼熱量が直ちに低下することとなり、つまり、風量増加によってメインダクト通路3へ流れ込む排気の温度が排気ダクト火災発生の虞が生じる高温に上昇する前に燃焼熱量の低下制御が行われるので、排気温度が排気ダクト火災発生の虞がある高温に上昇するのを確実に抑制することができ、排気熱に起因したメインダクト通路3の火災発生をより確実に防止することができる。
【0125】
また、風量増加制御が開始されたときに排気温度検出手段10の検出温度Ttが燃焼熱量低下阻止温度よりも低い場合には、上記燃焼熱量低下制御を阻止する構成を備えたので、燃焼熱量の低下制御を行わなくても済む場合には燃焼熱量の低下制御が行われないので、無駄に燃焼熱量を低下させるのを防止することができ、また、燃焼熱量が引く過ぎて所望の設定温度の湯を供給することができないという問題や、所望の湯を供給することができたとしても出湯流量が非常に少なく流量不足による不快感を湯の利用者に与えてしまうという問題を回避することができる。
【0126】
なお、この発明は上記各実施形態例に限定されるものではなく、様々な実施の形態を採り得る。例えば、上記各実施形態例では、燃焼制御部21の燃焼情報に基づき燃焼中であることを検知していたが、バーナ41の燃焼火炎を検知して電流を出力するフレームロッド電極が設けられている場合には、このフレームロッド電極の出力電流に基づき燃焼中の有無を判断してもよい。
【0127】
また、上記第1の実施形態例では、排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部26は、しきい値Tsに対する排気温度検出手段10の検出温度の偏差ΔTの大きさに関係なく燃焼熱量を段階的に低下制御し、第2の実施形態例では、上記偏差ΔTに応じてのみ燃焼熱量を低下制御していたが、排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部26は、上記偏差ΔTの大きさに応じて燃焼熱量を段階的に低下制御してもよい。
【0128】
例えば、表3に示すような上記偏差ΔTと燃焼熱量低下制御回数との組み合わせによって低下熱量算出用係数Kを求めるための関係データを予めデータ格納部22に格納しておき、排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部26は、排気温度検出手段10の検出温度Ttがしきい値Tsよりも高いと判断したときには、しきい値Tsに対する排気温度検出手段10の検出温度Ttの偏差ΔTを求め、この求めた偏差ΔTと、内蔵のカウンター28のカウント値との組み合わせに対応した低下熱量算出用係数Kを上記関係データから検出し、燃焼制御部21から読み出した燃焼熱量に上記検出した低下熱量算出用係数Kを乗算して低下制御用の燃焼熱量を求め、この求めた燃焼熱量を燃焼制御部21に出力し、燃焼制御部21はその燃焼熱量となるように燃焼熱量制御を行う。
【0129】
【表3】
【0130】
このように、排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部26は、上記偏差ΔTの大きさに応じて燃焼熱量を段階的に低下制御してもよい。
【0131】
さらに、上記第2の実施形態例では、しきい値Tsに対する検出温度Ttの偏差ΔTに応じて低下熱量算出用係数Kが段階的に与えられていたが、上記偏差ΔTに応じて低下熱量算出用係数Kを連続的に与えてもよい。また、上記第2の実施形態例では、上記しきい値Tsから燃焼強制停止温度Tkまでの温度範囲に対応する偏差ΔTの範囲を3区分し、この3区分にそれぞれ対応する低下熱量算出用係数Kを求め与えていたが、上記偏差ΔTの区分数は3区分に限定されるものではなく、2区分でも4区分以上でもよく、数に限定されるものではない。
【0132】
さらに、上記各実施形態例では、燃焼熱量を低下させてメインダクト通路3への排気温度の低下を図っていたが、熱交換器45の通水温が低下するに従って熱交換器45の熱効率が高まり、給湯器1から排出される排気温度が低下するので、この現象を利用して、排気フード5からメインダクト通路3への排気温度の低下を図ることができる。例えば、排気温度検出手段10の検出温度がしきい値Tsよりも高い場合には、流量制御手段52の弁開度を開方向に制御して熱交換器45の通水流量を増加させて熱交換器45の通水温度を低下させメインダクト通路3への排気温度の低下を図る構成を備えてもよい。
【0133】
この場合、上記流量増加によって給湯湯温が給湯設定温度よりも下がるので、燃焼制御部21によって給湯設定温度の湯を給湯することができるように燃焼熱量の増加制御が行われて熱交換器45の通水温を低下させることができないという事態を防止するために、予め定まる最大燃焼熱量でもってバーナ燃焼が行われたときに給湯設定温度の湯を給湯することができる流量よりも多くの流量が熱交換器45を流れるように、熱交換器45の通水流量を増加制御する。このように、熱交換器45の通水増加制御を行うことによって、熱交換器45の通水温度が低下して排気温度の低下が図れ、排気ダクト火災を防止することができる。
【0134】
また、排気温度検出手段10の検出温度Ttがしきい値Tsよりも高い場合には、燃焼熱量を可変させずに流量制御手段52の弁開度を開方向に制御して熱交換器45の通水流量を増加させて熱交換器45の通水温度を低下させメインダクト通路3への排気温度の低下を図る構成を備えてもよい。
【0135】
上記のように、検出温度Ttがしきい値Tsよりも高い場合に流量増加制御を行って排気温度の低下を図る場合には、給湯設定温度よりも低めの湯温が出湯することになるので、この構成は精度の良い給湯温度制御が要求されない器具に適用されるものである。
【0136】
さらに、上記第1〜第3と第5の各実施形態例では、燃焼熱量低下制御が行われているときに給湯設定温度の湯が給湯するように通水流量の絞り制御を行う熱交換器流量制御部23が設けられていたが、給湯設定温度の湯よりも低めの湯が給湯しても大きな支障が生じない器具では、精度の良い給湯温度制御が要求されないので、上記熱交換器流量制御部23を省略してもよい。
【0137】
さらに、上記第5の実施形態例では、燃焼改善制御部60による燃焼改善動作が開始されて風量増加制御が行われていることを検知したときには、燃焼熱量を風量増加量に応じた低下量分だけ低下させていたが、例えば、風量増加量の大小によらずに、メインダクト通路3へ流れ込む排気の温度を排気ダクト火災発生の虞がない温度に抑制することができる適宜の予め定めた固定値分だけ、燃焼熱量を低下するようにしてもよい。また、風量増加量の大小によらずに、燃焼改善が開始されたときの燃焼熱量に応じて燃焼熱量低下量を求めるためのデータを予め与えておき、該データと燃焼改善が開始されたときの燃焼熱量とに基づいた低下分だけ、燃焼熱量を低下するようにしてもよい。
【0138】
さらに、上記第1の実施形態例に示した排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部26と上記第4の実施形態例に示した給湯上限温度変更部35とを両方共に設けた排気ダクト火災発生を防止する制御構成を備えるようにしてもよい。また、同様に、上記第2の実施形態例に示した排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部26と上記第4の実施形態例に示した給湯上限温度変更部35とを両方共に設けた排気ダクト火災発生を防止する制御構成を備えるようにしてもよい。
【0139】
さらに、第5の実施形態例では、第4の実施形態例に示した給湯上限温度変更部35が設けられていない例を示したが、第5の実施形態例に示した制御構成にその給湯上限温度変更部35を加えてもよい。また、上記第5の実施形態例では、燃焼改善動作による風量増加制御に起因した排気ダクト火災発生を防止するための制御構成を持つ排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部26の一例を示したが、もちろん、この排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部26は前記第1の実施形態例に示した制御構成あるいは第2の実施形態例に示した制御構成を備えてもよい。また、そのように、第1あるいは第2の実施形態例に示した制御構成と第5の実施形態例に示した制御構成とを共に備えた排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部26に加えて、上記第4の実施形態例に示した給湯上限温度変更部35を設け、排気ダクト火災発生をより一層確実に回避するための制御構成としてもよい。
【0140】
さらに、上記第5の実施形態例では、燃焼改善機能による風量増加制御が開始されると、風量増加量に基づいて燃焼熱量低下制御が行われたが、燃焼改善機能による風量増加制御が開始された以降には排気温度検出手段10の検出温度に基づいて燃焼熱量低下制御を行うようにしてもよい。例えば、燃焼改善機能による風量増加を考慮して排気温度検出手段10の検出温度Ttに基づき目標の燃焼熱量を求めるためのデータを予め与えておき、燃焼改善機能による風量増加制御が開始された以降には、排気温度検出手段10の検出温度と上記データとに基づいて目標燃焼熱量を求め、該求めた目標燃焼熱量に向けて燃焼熱量を低下制御するように構成してもよい。
【0141】
さらに、上記第5の実施形態例では、燃焼改善動作により風量増加制御が開始されたときには、そのときの燃焼熱量から熱量を低下制御する構成であったが、例えば、風量増加制御が開始されたことを検知したときには、前記第3の実施形態例と同様に、熱量可変制御範囲の上限値U(最大燃焼熱量Pmax)を低下制御するように構成してもよい。
【0142】
さらに、上記各実施形態例では、給湯器1を図11に示すような排気フード5を介してメインダクト通路3に連通接続する例を示したが、給湯器1の排気側に接続される排気フードは図11に示すような形態の排気フードに限定されるものではなく、例えば、給気取り込み口8が設けられていない排気フードや排気あふれ温度検出手段11が設けられていない排気フード等、様々な形態の排気フードを給湯器1の排気側に接続してメインダクト通路3に連通接続させてもよい。排気フードの形態に関わらず排気フードからメインダクト通路3に流れ込む排気温度を検出することができる排気温度検出手段10を設け、上記各実施形態例に示した制御構成を備えることによって、上記各実施形態例と同様に、排気ダクト火災を防止することができる上に、使い勝手の悪化を回避することができるという効果を得ることができる。
【0143】
さらに、上記各実施形態例では、燃焼機器として給湯器を例にして説明したが、この発明は給湯器以外の例えば蒸気発生機器や暖房機等の室内設置可能型の燃焼機器にも適用することができる。
【0144】
【発明の効果】
燃焼機器の燃焼中に、メインダクト通路へ流れ込む排気温度を検出する排気温度検出手段によって検出される温度が予め定めたしきい値よりも高い場合に、燃焼熱量を下げる方向に制御する構成を備えたものにあっては、メインダクト通路へ流入する排気温度が排気ダクト火災発生の虞があるか否かを判断するためのしきい値よりも高い場合には燃焼熱量が低下してメインダクト通路へ流入する排気温度が低下することとなるので、排気ダクト火災を防止することができる。その上、燃焼熱量を低下させて排気温度を低下させて排気ダクト火災防止を図るので、つまり、燃焼を継続させたまま、排気ダクト火災防止を図るので、上記検出温度がしきい値よりも高くなる度に直ちに燃焼機器の燃焼が停止されてしまうという使い勝手の悪化を回避することができる。
【0145】
また、燃焼中に、排気温度検出手段の検出温度がしきい値よりも高い場合に、燃焼熱量を段階的に低下制御する構成を備えたものにあっては、排気温度がしきい値よりも僅かに低めの温度、つまり、排気ダクト火災発生の虞がない温度に低下するように、燃焼熱量を低下させることができ、例えば、燃焼熱量を過剰に低下し過ぎて流体設定温度よりも大幅に低下した流体が熱交換器から流れ出るという問題や、反対に、燃焼熱量の低下量が不足して排気温度をしきい値以下の温度に下げることができないという問題を確実に回避することができる。
【0146】
さらに、燃焼中に、排気温度検出手段の検出温度がしきい値よりも高い場合に、しきい値に対する排気温度検出手段の検出温度の偏差に応じて燃焼熱量を低下制御する構成を備えたものにあっては、排気温度が排気ダクト火災発生の虞がない温度となるための燃焼熱量まで一度で低下させることが可能であるので、燃焼中に、排気温度検出手段の検出温度がしきい値よりも高い場合に、排気温度を排気ダクト火災発生の虞がない温度に低下するのに要する時間の短縮が図れ、しかも、上記の如く燃焼熱量を過剰に低下し過ぎて流体設定温度よりも大幅に低下した流体が熱交換器から流れ出るという問題や、反対に、燃焼熱量の低下量が不足して排気温度をしきい値以下の温度に下げることができないという問題を確実に回避することができる。
【0147】
燃焼熱量低下制御が行われる場合に、熱交換器の流体流量を制御する構成を備えたものにあっては、熱交換器から流れ出る流体の温度が予め定めた流体設定温度となるように熱交換器の流量を制御することができるので、燃焼熱量の低下制御が行われても、熱交換器の流量が絞り制御され、熱交換器の通水は流体設定温度に高めるための熱量を吸熱することができ、熱交換器から流体設定温度の流体を流出することができる。
【0148】
燃焼中に、排気温度検出手段の検出温度がしきい値よりも高い場合に、流体温度範囲の上限値を下げる方向に変更する構成を備えたものにあっては、流体温度範囲の上限値が下げられることによって、燃焼熱量が低下してメインダクト通路へ排出される排気温度を低下させることができ、排気ダクト火災を防止することができる。また、燃焼を継続させたまま、上記の如く排気ダクト火災防止を図るので、使い勝手の悪化を回避することができる。
【0149】
燃焼改善機能によって風量増加方向に燃焼ファンの回転制御が行われたときには燃焼熱量を下げる方向に制御する構成を備えたものにあっては、燃焼改善機能によって風量増加制御が行われたときには直ちに燃焼熱量が低下するので、燃焼改善動作に起因してメインダクト通路へ流れ込む排気温度が排気ダクト火災発生の虞がある高温に上昇する前に、燃焼熱量を低下して排気温度の高温上昇を抑制することができ、排気ダクト火災発生を確実に防止することができる。
【0150】
また、風量増加量に応じて燃焼熱量を低下する構成を備えたものにあっては、排気ダクト火災発生を防止するのに適した低下量だけ燃焼熱量を低下させることができることとなるので、燃焼熱量の低下不足の問題や、燃焼熱量の低下過剰の問題を回避することができる。
【0151】
さらに、燃焼改善機能による風量増加制御が開始されたときに排気温度検出手段により検出される排気温度が設定の燃焼熱量低下阻止温度よりも低いときには燃焼熱量低下制御動作を阻止する構成が備えられているものにあっては、排気温度検出手段により検出される排気温度が低く、燃焼熱量の低下制御を行わなくても、風量増加制御の影響により排気ダクト火災発生の虞がある高温に上昇することは無いと考えられることから、燃焼熱量を無駄に低下させるのを阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態例において特徴的な制御構成を示すブロック構成図である。
【図2】第2の実施形態例において特徴的な制御構成を示すブロック構成図である。
【図3】第3の実施形態例において特徴的な制御構成の動作例を示すフローチャートである。
【図4】図3に引き続き第3の実施形態例において特徴的な制御構成の動作例を示すフローチャートである。
【図5】第4の実施形態例において特徴的な制御構成を示すブロック構成図である。
【図6】しきい値に対する排気温度検出手段の検出温度の偏差に応じて給湯温度範囲の上限値の下げ幅を決定するための関係データの一例を示すグラフである。
【図7】第5の実施形態例において特徴的な制御構成部分を抜き出して示すブロック構成図である。
【図8】燃焼ファンの回転制御に使用される風量制御データの一例を示すグラフである。
【図9】燃焼改善による風量増加量に応じた燃焼熱量の低下量を求めるための燃焼熱量低下量検出用データの一例を示すグラフである。
【図10】給湯器のシステム構成の一例を示すモデル図である。
【図11】排気フードの一例を給湯器と共に示すモデル図である。
【図12】給湯器とメインダクト通路の接続形態例を示すモデル図である。
【図13】排気フードの機能を示す説明図である。
【符号の説明】
1 給湯器
3 メインダクト通路
5 排気フード
10 排気温度検出手段
23 熱交換器流量制御部
26 排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部
35 給湯上限温度変更部
38 燃焼熱量低下制御阻止部
45 熱交換器
52 流量制御手段
54 給湯設定手段
55 燃焼ファン
60 燃焼改善制御部
Claims (8)
- 燃焼機器の排気側に接続される排気フードから排気外部排出用のメインダクト通路へ導出される排気の温度を検出する排気温度検出手段が設けられ、上記排気温度検出手段により検出される温度に基づいて排気ダクト火災防止用の安全動作を行う排気ダクト火災防止機能付き燃焼機器であって、燃焼機器の燃焼中に、上記排気温度検出手段の検出温度が予め定めたしきい値よりも高い場合には燃焼熱量を下げる方向に制御して排気フードからメインダクト通路へ排出される排気の温度低下を図る排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部が設けられていることを特徴とする排気ダクト火災防止機能付き燃焼機器。
- 排気温度検出手段の検出温度が予め定めたしきい値よりも高い場合に排気温度検出手段の検出温度がしきい値以下となるように燃焼熱量を段階的に下げるための燃焼熱量制御手順が予め与えられており、排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部は、燃焼機器の燃焼中に、排気温度検出手段の検出温度がしきい値よりも高い場合には上記燃焼熱量制御手順に従って燃焼熱量を段階的に低下制御する構成としたことを特徴とする請求項1記載の排気ダクト火災防止機能付き燃焼機器。
- 排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部は、燃焼機器の燃焼中に、排気温度検出手段の検出温度が予め定めたしきい値よりも高い場合には、上記しきい値に対する排気温度検出手段の検出温度の偏差に応じて燃焼熱量を低下制御する構成としたことを特徴とする請求項1記載の排気ダクト火災防止機能付き燃焼機器。
- 供給された流体を燃焼熱でもって加熱して導出する熱交換器と、該熱交換器を流れる流体流量を制御する流量制御手段とが設けられており、燃焼熱量と予め定められる熱交換器出側の流体設定温度との組み合わせによって熱交換器の流体流量を求めるための流体流量データが予め与えられ、燃焼機器の燃焼中に、排気温度検出手段の検出温度が予め定めたしきい値よりも高い場合には、燃焼熱量の情報と流体設定温度と上記流体流量データとに基づいて求まる流体流量となるように上記流量制御手段を制御して熱交換器の流体流量を制御する熱交換器流量制御部が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の排気ダクト火災防止機能付き燃焼機器。
- 燃焼機器の排気側に接続される排気フードから排気外部排出用のメインダクト通路へ導出される排気の温度を検出する排気温度検出手段が設けられ、上記排気温度検出手段により検出される温度に基づいて排気ダクト火災防止用の安全動作を行う排気ダクト火災防止機能付き燃焼機器であって、供給された流体を燃焼熱でもって加熱して導出する熱交換器と、該熱交換器の出側の流体温度を予め定めた流体温度範囲内で設定するための流体温度設定手段とが設けられ、燃焼機器の燃焼中に、上記排気温度検出手段の検出温度が予め定めたしきい値よりも高いときには上記流体温度範囲の上限値を下げる方向に変更する流体上限温度変更部が設けられて、排気フードからメインダクト通路へ排出される排気の温度の低下を図ることを特徴とする排気ダクト火災防止機能付き燃焼機器。
- 燃焼機器の燃焼領域に空気風を供給する燃焼ファンが設けられ、風量不足による燃焼異常が検知されたときには風量を増加する方向に燃焼ファンの回転制御を行う燃焼改善機能と、燃焼機器の排気側に接続される排気フードから排気外部排出用のメインダクト通路へ導出される排気の温度に基づいて排気ダクト火災防止用の安全動作を行う排気ダクト火災防止機能とが備えられている燃焼機器であって、上記燃焼改善機能によって風量増加方向に燃焼ファンの回転制御が行われたときには燃焼熱量を下げる方向に制御して排気フードからメインダクト通路へ排出される排気の温度低下を図る排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部が設けられていることを特徴とする排気ダクト火災防止機能付き燃焼機器。
- 排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部は、燃焼改善機能によって風量増加方向に燃焼ファンの回転制御が行われたときには、その燃焼改善機能による風量増加量に応じて燃焼熱量を低下制御する構成としたことを特徴とする請求項6記載の排気ダクト火災防止機能付き燃焼機器。
- 排気フードから排気外部排出用のメインダクト通路へ導出される排気の温度を検出する排気温度検出手段が設けられており、燃焼改善機能によって風量増加方向に燃焼ファンの回転制御が開始されたときに、上記排気温度検出手段により検出される気体の温度が設定の燃焼熱量低下阻止温度よりも低い場合には、排気ダクト火災防止用の燃焼熱量制御部による燃焼熱量低下制御動作を阻止する燃焼熱量低下制御阻止部が設けられていることを特徴とする請求項6又は請求項7記載の排気ダクト火災防止機能付き燃焼機器。
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