JP3319217B2 - 光学レンズ用金型およびその製造方法 - Google Patents

光学レンズ用金型およびその製造方法

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智子 宮浦
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    • C03B2215/02Press-mould materials
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学レンズを製造する
際に用いられる成形用金型およびその製造方法に関する
ものであり、詳しくは、リヒートプレス法に適した保護
膜を有する成形用金型の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光学レンズ成形用金型としては、従来、
各種のものが提案されているが、いずれも型の表面に離
型性を良好にして型寿命を延ばすために保護膜を設ける
ものが基準となっており、その保護膜の材料には高温で
成形環境下で化学的に安定なもので、ガラスと反応しな
いものが使用されている。特にダイアモンド、ダイアモ
ンドライクカーボン、硬質炭素膜、i−カーボン、アモ
ルファスカーボン等が有効と言われているが、これらの
具体的な製法や構造については言及されておらず、実際
にリヒートプレス法で有効なものはごく一部であった。
【0003】例えば、特開平2−283627号では
「高周波プラズマ、イオンビーム法、イオンプレーティ
ング法、スパッタ法を用いて作製する水素を含んだアモ
ルファスカーボン膜」と述べているが、その構造につい
ては詳しく言及していない。また、特開昭64−835
29号では「スパッタ法による水素を含まない硬質炭素
膜」が紹介されているが水素を含んでいないこと、その
構造がsp2+sp3の混合であること、スパッタ法で
作製することが述べられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の炭素膜はsp3構造が主たる膜の場合、ガラスとの離
型性は良いが同様に型母材との密着性が悪く結果的に金
型としては耐久性の悪いものであった。またsp2構造
が主たる膜の場合、型母材との密着性は良いが、同様に
ガラスにも密着し易く融着を引き起し易くなる問題点が
あった。さらに、この構造の場合sp3構造に比べて化
学的にガラスと反応し易くチタン等を含む硝材には不適
当であった。
【0005】従って本発明は、光学レンズを製造する際
に用いられる改良された成形用金型の製造方法を提供す
ることを目的とするものである。本発明はさらに、離型
性および耐久性に優れた光学レンズ成形用金型の製造方
法を提供することを目的とするものである。本発明はま
たリヒートプレス法に適した保護膜を有する成形用金型
の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を解決する本発
明は、金型母材表面上に炭素膜よりなる保護膜を形成し
てなる光学レンズ用金型であって、sp2結合とsp3
結合とを含む当該炭素膜におけるsp3結合の割合を、
金型母材側から表面側に向って増加させて形成したこと
を特徴とするものである。
【0007】上記目的を解決する本発明はまた、上記光
学レンズ用金型の製造方法であって、マグネトロンスパ
ッタリング法を用いて金型母材表面上に炭素膜よりなる
保護膜を形成するにおいて、基板温度を変化させ、基板
温度を成膜開始時から終了時まで徐々に下げることを特
徴とするものである。
【0008】本発明の光学レンズ用金型の製造方法を、
マグネトロンスパッタ法により行なう場合においては、
成膜速度を10〜1000オングストローム/分(以
下、A/min と記する。)程度とすることが望ましく、
また、母材側より保護膜全膜厚の10%程度の厚みとな
るまでは、母材温度を約200℃以上として成膜し、そ
の後母材を徐々に冷却し表面側を100℃以下の温度で
成膜することが望ましい。
【0009】
【作用】このように本発明によれば、金型母材表面上に
形成される保護膜としての炭素膜が、金型母材側から表
面側に向うに従ってsp2構造からしだいにsp3構造
に移行するような膜構造を持つものとなり、当該保護膜
は、金型母材との密着性が良く、またガラスとの離型性
も良いものとなるため、金型を使用した際に保護膜が金
型母材から剥がれることなく、またガラスとの融着を起
こすこともなく、光学レンズを成形するのに良好な、離
型性および耐久性に優れた金型を得ることができる。
【0010】
【実施例】以下、本発明を実施態様に基づきより詳細に
説明する。sp3構造が主たる炭素膜は一般にダイヤモ
ンドライクカーボン膜と言われ、化学的に安定で滑らか
な膜である。このため、ガラスモールド用金型の保護膜
として用いると融着しにくく離型性が良いと言われてい
る。このような炭素膜を得るためにはプラズマCVD法
やイオンプレーティング法が主流であるが、マグネトロ
ンスパッタ法においても適切な条件設定を行うことによ
り作製が可能である。適切な条件設定とは、以下に示す
条件である。
【0011】1.基板温度は低い方が良く、100℃以
下が好ましい。 2.スパッタガスは、アルゴン+水素、アルゴン+ヘリ
ウム、アルゴン+ヘリウム+水素、アルゴン+酸素、ア
ルゴン+ヘリウム+酸素等を用いる。 3.少なくとも上記1,2のいずれかを満たした上で、
成膜速度は10〜1000A/min 程度とすることが好
ましい。
【0012】これらの理由は炭素がsp3構造を形成す
るために、sp2構造を阻害する条件で成膜することに
よりsp3構造を増やすということであり、例えば水
素、酸素、ヘリウム等の存在が炭素原子同士の結合時に
作用してsp3構造が出来易くなると考えられている。
また、これらのガスが作用するには基板温度が低い方が
良好である。なお、基板温度の下限値としては特に限定
されるものではないが20℃程度が実用上好ましい。さ
らに成膜速度が遅すぎると有機高分子膜になってしまう
虞れが高く、また速すぎるとこれらのガスが炭素原子に
作用できないので、上記10〜1000A/min が望ま
しい範囲である。
【0013】一方、sp2構造が主たる炭素膜は一般に
グラファイト結合の炭素膜と言われ、化学的には上記の
sp3構造よりも安定ではないが、逆に密着力の強い膜
である。このため、SiC、超硬合金などといった材質
で構成される金型母材との密着性が良好である。このよ
うな炭素膜を得るためには、マグネトロンスパッタ法や
真空蒸着法が一般的で容易に得ることができるが、以下
に示す条件を満たすことにより、さらに密着力の向上し
た膜の作製が可能である。
【0014】1.基板温度は高い方が良く、約200℃
以上、より好ましくは300℃以上が望ましい。 2.スパッタガスは、アルゴンのみで構わない。 3.成膜速度は10〜1000A/min 程度とすること
が好ましい。 4.炭素膜堆積に先立ち、逆スパッタやイオン照射によ
る基板クリーニングを行なうことが好ましい。
【0015】なお、これらの条件は、一般的に密着性を
向上するときに用いるものであるが、詳述すれば、上記
とは逆に炭素がsp2構造を形成するために、sp3構
造を阻害する条件で成膜することによりsp2構造を増
やすということである。スパッタガスとして、例えば水
素等の反応性ガスを含むことなくアルゴン等の不活性ガ
スのみを使用することでsp2構造が出来易くなり、ま
た、基板温度が高い方がsp3構造の形成が抑制される
ためである。なお、基板温度の上限値としては特に限定
されるものではないが500℃程度を越えるものである
と得られる炭素膜の面粗度が悪化するためにこれ以下で
あることが実用上好ましい。さらに上記したように成膜
速度が遅すぎると有機高分子膜になってしまう虞れが高
く、また速すぎると面粗度が悪くなるために、上記10
〜1000A/min が望ましい範囲である。
【0016】しかして、本発明の製造方法は、上記した
ようなsp2構造を形成する条件と、sp3構造を形成
する条件とを組合せることにより、金型母材側から金型
表面側に向けてsp2構造からしだいにsp3構造に移
行するような膜構造を持つ炭素膜からなる保護膜を形成
しようとするものである。
【0017】以下、本発明の製造方法を、マグネトロン
スパッタ法を用いた一実施態様に基づきより詳細に説明
する。本発明の製造方法において使用される金型母材と
しては、特に限定されるものではないが、例えば、シリ
コン(Si)、炭化珪素(SiC)、窒化珪素(Si3
4 )、酸化ジルコニウム(ZrO2 )、酸化チタン
(TiO2 )など、あるいは炭化タングステン(W
C)、炭化タングステン−コバルト(WC−Co)合金
といった超硬合金や各種サーメットなどを用いることが
でき、このうち好ましくはSiC、WC−Coなどであ
る。このような材質からなる金型母材は、マグネトロン
スパッタ法による炭素膜堆積に先立ち、常法に基づき鏡
面研磨、洗浄等の前処理を行なうことが望ましい。さら
に必要に応じて、逆スパッタやイオン照射による基板ク
リーニングを行なうことも可能である。
【0018】図1は、マグネトロンスパッタリング法に
おいて用いられるマグネトロンスパッタ装置の一例の構
成を示す概略図であり、この装置において、真空チャン
バ12内には、冷却機構19および基板加熱用ヒータ2
0を備えた基板ホルダー13が設けられており、またこ
の基板ホルダー13と対向する位置にはターゲット電極
16が配置されいる。また、基板ホルダー13とターゲ
ット電極16との間に電力を印加する電源としては、直
流電源17と高周波電源18とを切替え可能に有してお
り、さらに真空チャンバ12には、チャンバ内を真空排
気するための排気バルブ15、チャンバ内にスパッタガ
スを導入するためのガス導入バルブ14が接続されてい
る。また基板ホルダー13には基板(金型母材)温度測
定用の熱電対22が配置してある。なお、図示していな
いが、この装置には、真空チャンバ12内に形成される
電場と直交する磁場を形成するように磁石が配置してあ
り、いわゆるマグネトロン放電を利用できるようになっ
ている。そして、上記したような材質からなる金型母材
11が基板ホルダー13上に載置され、一方、ターゲッ
ト電極16にはターゲットとしての炭素材(グラファイ
ト)21を設置される。
【0019】もちろん、マグネトロンスパッタ装置の構
成としては、図1に例示するようなものに何ら限定され
るものではなく、従来公知の各種の構成のものを使用可
能である。
【0020】本発明に係る製造方法においては、まずs
p2構造を形成する条件において金型母材上に炭素膜を
堆積させる。上記したような装置を使用しマグネトロン
スパッタ法により炭素膜を形成する態様の場合、この条
件としては、金型母材11の温度約200℃以上、より
好ましくは300℃以上に設定し、さらに印加電力、ス
パッタガス雰囲気圧力等を所望の成膜速度である10〜
1000A/min 、より好ましくは30〜800A/mi
n が得られるように調節する。使用するスパッタガスと
しては、アルゴンのみで構わないが、アルゴンに、水
素、ヘリウム、酸素等の反応性ガスを一部添加した(ガ
ス全量の0〜50容量%程度)混合ガスを用いることも
可能である。
【0021】なお、このような条件において形成される
炭素膜は、代表的にはsp2構造が50〜70%程度、
sp3構造が30〜50%程度含まれたものとなる。こ
こで、sp2構造が50%未満であると、金型母材との
密着性改善が十分でなくなるためである。一方、sp2
構造が70%を越える、即ちsp3構造が30%未満と
なると、密着性は充分なものとなるものの、ガラス、特
にチタンを含むガラスと反応したり融着を引き起こす虞
れがあるためである。従って、本発明の製造方法によっ
て得られる炭素膜は、sp3構造を全体を通じて少なく
とも30%以上含むことになる。
【0022】このような条件において、炭素膜が所定の
厚み、例えば形成しようとする保護膜の全膜厚の少なく
とも10%程度、より好ましくは5〜20%程度の厚み
となるまで、成膜を続けた後、sp3構造を形成する条
件へと漸次移行させていく。具体的には、金型母材を徐
々に冷却し、100℃以下、より好ましくは20〜50
℃まで温度を低下させて炭素膜の成長を行なう。この冷
却時においては一端、炭素膜成長を停止させることも可
能であるが、表面側に向って徐々にsp3構造が増加す
るものとする上から、冷却時においても連続的に成長を
行なうことが望ましい。またこの際使用するスパッタガ
スとしては、アルゴンに、水素、ヘリウム、酸素等の反
応性ガスを一部添加した(ガス全量の0〜50容量%程
度)混合ガスを用いることが望ましく、先の成長条件で
アルゴンガスを用いていた場合には、温度低下と併せ
て、反応性ガスを添加した混合ガスへと切り替えること
が望ましい。また、先の成長条件で混合ガスを用いてい
た場合であっても、反応性ガスの添加量が少ない態様に
おいては、この反応性ガスの添加量を増加させることも
可能である。また、成膜速度としては、上記と同様に1
0〜1000A/min程度であることが適当である。
【0023】なお、このような条件において形成される
炭素膜(保護膜の表面側)は、sp2構造が20〜50
%程度、sp3構造が50〜80%程度含まれたものと
なる。ここで、sp3構造が50%未満であると、ガラ
スとの離型性が充分なものとならないためである。尚、
製造上で可能であればsp3構造が80%を越えるもの
であっても問題はない。
【0024】本発明の製造方法において、金型母材表面
に形成する上記したような構造を有する炭素膜の膜厚と
しては特に限定されるものではないが、例えば300〜
5000A程度であることが望ましい。300A未満で
あるとSP2構造からSP3構造への連続性等の面から
問題が生じる虞れがあり、一方、5000Aを越えるも
のであると金型母材の形状によっては膜応力の影響で剥
離し易くなる等の面から問題が生じる虞れがあるためで
ある。
【0025】以上は、本発明の製造方法をマグネトロン
スパッタ法において言及しているが、同様の考え方を適
用すればプラズマCVD法やイオンプレーティング法な
どにおいても同様の金型を得ることができる。すなわ
ち、例えば、プラズマCVD法において、炭素膜形成時
における結晶成長速度を10〜1000A/min 程度と
した上で、金型母材の温度を当初200〜400℃程度
とし、その後30〜50℃程度とする、またイオンプレ
ーティング法において、炭素膜形成時における結晶成長
速度を10〜1000A/min 程度とした上で、金型母
材の温度を当初200〜400℃程度とし、その後30
〜50℃程度とするといった態様が考えられる。
【0026】以下、本発明を実施例によりさらに具体的
に説明する。 実施例1 まず、膜構造の基本条件を決定する。金型母材をSiC
とし、マグネトロンスパッタ法で、ターゲットを炭素、
スパッタガスとしてアルゴン70%+水素30%の混合
ガスを用いる。まず、表面を鏡面研磨し、十分に洗浄し
た金型母材11を図1に示すような装置の真空チャンバ
12の基板ホルダ13にセットして基板加熱用ヒータ2
0により450℃まで加熱しながら2×10-7Torr
まで排気し、その後、上記の混合ガスをガス導入バルブ
14より5×10-4Torrまで導入し、排気バルブ1
5を調節して5×10-3Torrにしてターゲット電極
16と基板ホルダー13の間で高周波(13.56MH
z)を500W印加して10分間スパッタリングを行な
った。得られた炭素膜は膜厚1500Aで、ラマン分光
法によりその構造を測定したところ図2に示すようなラ
マンスペクトルが得られ、またFT−IR法(フーリエ
変換赤外分光法)によってsp3構造が36%、sp2
構造が64%含まれた炭素膜であると測定された。
【0027】次に同様に、金型母材をSiCとし、マグ
ネトロンスパッタ法で、ターゲットを炭素、スパッタガ
スとしてアルゴン70%+水素30%の混合ガスを用
い、加熱は行なわず室温(約30℃)のままで、10分
間スパッタリングを行なった。得られた炭素膜は膜厚1
500Aで、ラマン分光法によりその構造を測定したと
ころ図3に示すようなラマンスペクトルが得られ、また
FT−IR法によってsp3構造が72%、sp2構造
が28%含まれた炭素膜であると測定された。
【0028】この2つの基本条件より、炭素膜の全体の
厚みを3000Aとしたときの本発明の金型の作製方法
を述べる。まず金型母材としてSiCを用い、マグネト
ロンスパッタ法で、ターゲットを炭素、スパッタガスと
してアルゴン70%+水素30%の混合ガスを用いる。
まず、表面を鏡面研磨し、十分に洗浄した金型母材11
を図1に示すような装置の真空チャンバ12の基板ホル
ダ13にセットして基板加熱用ヒータ20により450
℃まで加熱しながら2×10-7Torrまで排気し、そ
の後、上記の混合ガスをガス導入バルブ14より5×1
-4Torrまで導入し、排気バルブ15を調節して5
×10-3Torrにしてターゲット電極16と基板ホル
ダー13の間で高周波(13.56MHz)を500W
印加してスパッタリングを開始し、7分後に金型母材加
熱を止め、基板ホルダー13内に冷却機構19により冷
却水を流して金型母材の冷却を始める。ただし、この間
も成膜は連続させた。約10分後、基板温度はほぼ室温
(約30℃)になっており、このままで3分間スパッタ
リングを行なった。この結果得られた炭素膜は金型母材
側がsp2構造が多く、表面側に向うにつれてsp3構
造が増加する薄膜であった。
【0029】このようにして得られた金型を用いて光学
レンズの成形を行なった。ガラスの素材としてシリカホ
ウ酸ランタン系ガラス(ガラス転移点623℃)を用い
て、リヒートプレス法によって成形を繰返し金型の耐久
性を調べた。窒素雰囲気において、成形温度670℃で
加圧成形を行った(圧力50kg/cm2 、加圧時間3
0秒)。
【0030】比較のために、前記したように金型母材温
度450℃のままでスパッタリングを行ない、3000
Aの厚さに炭素膜を形成して得られた比較用金型(a)
と、金型母材の加熱は行なわず室温(約30℃)のまま
でスパッタリングを行ない、3000Aの厚さに炭素膜
を形成して得られた比較用金型(b)とに対しても、上
記と同様に光学レンズの成形を繰返し金型の耐久性を調
べた。
【0031】その結果、表1に示すように本発明に係る
金型の方が母材と炭素膜との密着性が良好で、母材と炭
素膜との間で剥離が生じにくく、かつガラスとの離型性
も良好で、耐久性に優れたものであることが確認され
た。
【0032】
【表1】
【0033】実施例2 まず、膜構造の基本条件を決定する。金型母材を超硬合
金(WC−Co)とし、マグネトロンスパッタ法で、タ
ーゲットを炭素、スパッタガスとしてアルゴン90%+
酸素10%の混合ガスを用いる。まず、表面を鏡面研磨
し、十分に洗浄した金型母材11を図1に示すような装
置の真空チャンバ12の基板ホルダ13にセットして基
板加熱用ヒータ20により250℃まで加熱しながら2
×10-7Torrまで排気し、その後、上記の混合ガス
をガス導入バルブ14より5×10-4Torrまで導入
し、排気バルブ15を調節して5×10-3Torrにし
てターゲット電極16と基板ホルダー13の間で直流6
00V、0.1Aを印加して10分間スパッタリングを
行なった。得られた炭素膜は膜厚500Aで、ラマン分
光法によりその構造を測定したところ図4に示すような
ラマンスペクトルが得られ、またFT−IR法(フーリ
エ変換赤外分光法)によってsp3構造が46%、sp
2構造が54%含まれた炭素膜であると測定された。
【0034】次に同様に、金型母材を超硬合金とし、マ
グネトロンスパッタ法で、ターゲットを炭素、スパッタ
ガスとしてアルゴン90%+酸素10%の混合ガスを用
い、加熱は行なわず室温(約30℃)のままで、10分
間スパッタリングを行なった。えられた炭素膜は膜厚5
00Aで、ラマン分光法によりその構造を測定したとこ
ろ図5に示すようなラマンスペクトルが得られ、またF
T−IR法によってsp3構造が64%、sp2構造が
36%含まれた炭素膜であると測定された。
【0035】この2つの基本条件より、炭素膜の全体の
厚みを1000Aとしたときの本発明の金型の作製方法
を述べる。まず金型母材として超硬合金を用い、マグネ
トロンスパッタ法で、ターゲットを炭素、スパッタガス
としてアルゴン90%+酸素10%の混合ガスを用い
る。まず、表面を鏡面研磨し、十分に洗浄した金型母材
11を図1に示すような装置の真空チャンバ12の基板
ホルダ13にセットして基板加熱用ヒータ20により2
50℃まで加熱しながら2×10-7Torrまで排気
し、その後、上記の混合ガスをガス導入バルブ14より
5×10-4Torrまで導入し、排気バルブ15を調節
して5×10-3Torrにしてターゲット電極16と基
板ホルダー13の間で直流600V、0.1Aを印加し
てスパッタリングを開始し、3分後に金型母材加熱を止
め、基板ホルダー13内に冷却機構19により冷却水を
流して金型母材の冷却を始める。ただし、この間も成膜
は連続させた。約5分後、基板温度はほぼ室温(約30
℃)になっており、このままで2分間スパッタリングを
行なった。この結果得られた炭素膜は金型母材側がsp
2構造が多く、表面側に向うにつれてsp3構造が増加
する薄膜であった。
【0036】このようにして得られた金型を用いて光学
レンズの成形を行なった。ガラスの素材としてシリカ鉛
系ガラス(ガラス転移点443℃)を用いて、リヒート
プレス法によって成形を繰返し金型の耐久性を調べた。
窒素雰囲気において、成形温度500℃で加圧成形を行
った(圧力50kg/cm2 、加圧時間20秒)。
【0037】比較のために、前記したように金型母材温
度250℃のままでスパッタリングを行ない、1000
Aの厚さに炭素膜を形成して得られた比較用金型(c)
と、金型母材の加熱は行なわず室温(約30℃)のまま
でスパッタリングを行ない、1000Aの厚さに炭素膜
を形成して得られた比較用金型(d)とに対しても、上
記と同様に光学レンズの成形を繰返し金型の耐久性を調
べた。
【0038】その結果、表2に示すように本発明に係る
金型の方が母材と炭素膜との密着性が良好で、母材と炭
素膜との間で剥離が生じにくく、かつガラスとの離型性
も良好で、耐久性に優れたものであることが確認され
た。
【0039】
【表2】
【0040】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、金型
母材表面上に形成される保護膜としての炭素膜が、金型
母材側から表面側に向うに従ってsp2構造からしだい
にsp3構造に移行するような膜構造を持つものであ
り、当該保護膜は、金型母材との密着性が良く、またガ
ラスとの離型性も良いものとなるため、金型を使用した
際に保護膜が金型母材から剥がれることなく、またガラ
スとの融着を起こすこともなく、光学レンズを成形する
のに良好な、離型性および耐久性に優れた金型を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の製造方法において用いられるマグ
ネトロンスパッタ装置の一例の構成を示す概略図、
【図2】は、ある高温条件下でマグネトロンスパッタリ
ング法により形成した炭素膜のラマンスペクトル、
【図3】は、ある低温条件下でマグネトロンスパッタリ
ング法により形成した炭素膜のラマンスペクトル、
【図4】は、別の高温条件下でマグネトロンスパッタリ
ング法により形成した炭素膜のラマンスペクトル、
【図5】は、別の低温条件下でマグネトロンスパッタリ
ング法により形成した炭素膜のラマンスペクトル。
【符号の説明】
11 金型母材 12 真空チャンバ2 13 基板ホルダ 14 ガス導入バルブ 15 排気バルブ 16 ターゲット電極 17 直流電源 18 高周波電源 19 冷却機構 20 基板加熱用ヒータ 21 ターゲット(グラファイト)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C03B 11/00 - 11/16 C03B 40/00 - 40/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金型母材表面上に炭素膜よりなる保護膜
    を形成してなる光学レンズ用金型であって、sp2結合
    とsp3結合とを含む当該炭素膜におけるsp3結合の
    割合を、金型母材側から表面側に向って増加させて形成
    したことを特徴とする光学レンズ用金型。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の光学レンズ用金型の製
    造方法であって、マグネトロンスパッタリング法を用い
    て金型母材表面上に炭素膜よりなる保護膜を形成するに
    おいて、基板温度を変化させ、基板温度を成膜開始時か
    ら終了時まで徐々に下げることを特徴とする光学レンズ
    用金型の製造方法。
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