JP2001312844A - コンパクトディスクなどのディスク成形装置 - Google Patents

コンパクトディスクなどのディスク成形装置

Info

Publication number
JP2001312844A
JP2001312844A JP2000134244A JP2000134244A JP2001312844A JP 2001312844 A JP2001312844 A JP 2001312844A JP 2000134244 A JP2000134244 A JP 2000134244A JP 2000134244 A JP2000134244 A JP 2000134244A JP 2001312844 A JP2001312844 A JP 2001312844A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
stamper
mold
mounting surface
layer
disk
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000134244A
Other languages
English (en)
Inventor
Kensuke Uemura
賢介 植村
Raharujo Puruwadei
プルワディ・ラハルジョ
Shigeoki Shibuya
盛興 澁谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AITAKKU KK
Original Assignee
AITAKKU KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by AITAKKU KK filed Critical AITAKKU KK
Priority to JP2000134244A priority Critical patent/JP2001312844A/ja
Priority to AU52666/01A priority patent/AU5266601A/en
Priority to PCT/JP2001/003766 priority patent/WO2001084547A1/ja
Publication of JP2001312844A publication Critical patent/JP2001312844A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C45/00Injection moulding, i.e. forcing the required volume of moulding material through a nozzle into a closed mould; Apparatus therefor
    • B29C45/17Component parts, details or accessories; Auxiliary operations
    • B29C45/26Moulds
    • B29C45/263Moulds with mould wall parts provided with fine grooves or impressions, e.g. for record discs
    • B29C45/2632Stampers; Mountings thereof
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C45/00Injection moulding, i.e. forcing the required volume of moulding material through a nozzle into a closed mould; Apparatus therefor
    • B29C45/17Component parts, details or accessories; Auxiliary operations
    • B29C45/26Moulds
    • B29C45/263Moulds with mould wall parts provided with fine grooves or impressions, e.g. for record discs
    • B29C45/2632Stampers; Mountings thereof
    • B29C2045/2634Stampers; Mountings thereof mounting layers between stamper and mould or on the rear surface of the stamper
    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B7/00Recording or reproducing by optical means, e.g. recording using a thermal beam of optical radiation by modifying optical properties or the physical structure, reproducing using an optical beam at lower power by sensing optical properties; Record carriers therefor
    • G11B7/24Record carriers characterised by shape, structure or physical properties, or by the selection of the material
    • G11B7/26Apparatus or processes specially adapted for the manufacture of record carriers
    • G11B7/263Preparing and using a stamper, e.g. pressing or injection molding substrates

Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造工程が複雑化することなく、製作コスト
を抑え、しかも長寿命を実現したコンパクトディスクな
どのディスク成形装置を提供することにある。 【解決手段】 ディスクの成形母型であるスタンパー52
と、キャビティ内に前記スタンパー52を固定するための
取付面50c を有する金型50b とを備え、ディスクとなる
溶融樹脂材料が前記キャビティ内に圧入されることによ
ってスタンパー52の表面形状が転写されたディスクを成
形するディスク成形装置であって、スタンパー52側の金
型への取付面52a 及び金型50b 側の取付面50c の双方が
DLC 層1,2により被覆されており、DLC 層1,2 中の炭素
の占めるsp3 結合の比率は30% 以上85% 以下であり、DL
C 層1,2 の表面のビッカース硬度は3000kgf/mm2 (29.41
9 ×103 N/mm2 ) 以上9000 kgf/mm2(88.260 ×103 N/mm
2 ) 以下であることを特徴とする。また、前記DLC 層1,
2 の何れか一方若しくは両方が、更に、ポリフッ化炭化
水素層3 によって被覆されていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンパクトディス
ク、光磁気ディスク、光ディスク、レーザディスク等を
成形するための成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、コンパクトディスクなどのディス
クの成形装置は、図 5に示すように、コンパクトディス
クなどのディスクの成形母型であるスタンパー52と、キ
ャビティ51内に前記スタンパー52を固定するための取付
面50c を有する金型50とを備えている。コンパクトディ
スクなどのディスクとなる溶融樹脂材料が前記キャビテ
ィ51内に圧入されることによって、スタンパー52の表面
形状が転写されたディスクが成形される。
【0003】図 5において、符号57は金型50内に樹脂材
料を注入するためのフィーダマウスを示している。前記
金型50は、固定側金型50a と、前記金型50の開閉を可能
にするための移動側金型50b と、前記スタンパー52を前
記移動側金型50b に固定するための第 1,第 2保持部材5
5,56 と、ゲート53a を形成するためのゲート形成体53
と、ゲートカット部材54とを有する。前記移動側金型50
b は鋼から製作され焼き入れされたものである。前記移
動側金型50b に前記スタンパー取付面50c が設けられて
いる。その取付面50c には、硬質めっきが施されて高精
度に研磨されている。
【0004】前記キャビティ51は、前記固定側金型50a
と移動側金型50b とが閉じられた時に形成される円板状
の空間である。前記スタンパー52はドーナツ状金属シー
トである。その中央の孔の内周縁が筒状第 1保持部材55
により、前記スタンパー52の外周縁が前記第2 保持部材
56により保持されて前記キャビティ51内の取付面50c に
接触して気密に固定されている。また、前記キャビティ
51内への溶融樹脂材料の注入を良くするために前記第 2
保持部材56と前記固定側金型50a との間にはエアーベン
ト56a が形成される。
【0005】前記ゲート形成体53は前記固定側金型50a
の中央の孔に気密に固定されている。前記ゲートカット
部材54は前記筒状の第 1保持部材55内に紙面右方向に移
動可能なように気密に保持されている。前記固定側金型
50a と前記移動側金型50b が閉じられた時、前記ゲート
形成体53と前記ゲートカット部材54とによってキャビテ
ィ51に通じるゲート53a が形成される。前記ゲート53a
は、紙面水平方向の円柱状通路と前記水平方向の円柱状
通路に交差する円板状の通路とからなる。
【0006】前記フィーダマウス57によってコンパクト
ディスクなどのディスクとなる溶融樹脂材料がゲート53
a を通って前記金型50のキャビティ51内に注入される。
これを加圧固化することによって、スタンパー52の表面
形状が転写されたディスクを成形する。そして、前記ゲ
ートカット部材54が紙面右方向に移動すると前記ゲート
カット部材54のエッジ54a と前記固定側金型50a の孔の
エッジ50d との剪断作用によりディスクの中央が打ち抜
かれる。このようにして、コンパクトディスクなどのデ
ィスクを製造する。
【0007】前記溶融樹脂材料の温度は通常360 ℃であ
ることから、スタンパーの前記溶融樹脂と接触する側の
表面温度は360 ℃となる。一方、前記移動側金型50b へ
の取付面は100 ℃である。しかも高圧力で押されてい
る。そのため、スタンパー52の移動側金型50b への取付
面は熱及び圧力の作用により伸縮する。その結果、前記
金型50を用いて繰り返し成形を行うと、前記スタンパー
52の移動側金型50b への取付面は摩擦により損傷を受け
て亀裂を生じ、スタンパーの頻繁な交換が必要となる。
その結果、コンパクトディスクなどのディスク成形装置
全体の寿命が短くなるという問題が生じた。
【0008】この問題を解決するために、金型のスタン
パーと接触する部分の表面を鏡面研磨したり、TiN 等で
被覆する方法が提案された。しかし、充分な耐摩耗性の
向上と摩擦力低下は得られなかった。そこで、金型のス
タンパーと接触する部分の表面やスタンパーの金型と接
触する部分の表面にCVD 法によってダイヤモンドライク
カーボン (以下DLC という)の薄膜を施す方法( 特開平1
-234214号、 特開平2-22012 号参照) が提案された。
これにより表面の耐摩耗性と低摩擦性はある程度得られ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、金型側
の取付面50c やスタンパー側の取付面52a にのみDLC 薄
膜を施した場合、耐用ショット数が2 万回程度と寿命の
改良効果は不十分である。
【0010】本発明は、上記問題を鑑みてなされたもの
であって、その目的とするところは、製作コストを抑
え、しかも長寿命を実現したコンパクトディスクなどの
ディスク成形装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、コンパクトデ
ィスクなどのディスクの成形母型であるスタンパーと、
キャビティ内に前記スタンパーを固定するための取付面
を有する金型とを備え、コンパクトディスクなどのディ
スクとなる溶融樹脂材料が前記キャビティ内に圧入され
ることによってスタンパーの表面形状が転写されたディ
スクを成形するディスク成形装置に関する。更に、上記
目的を達成するために請求項1 に記載の本発明のディス
ク成形装置は、前記スタンパー側の金型への取付面及び
前記金型側の取付面の双方がDLC 層により被覆されてお
り、前記DLC 層中の炭素の占めるsp3 結合の比率は30%
以上85% 以下であり、前記DLC 層の表面のビッカース硬
度は3000kgf/mm2 (29.419 ×103 N/mm2 ) 以上9000 kgf
/mm2(88.260 ×103 N/mm2 ) 以下であることを特徴とす
る。
【0012】前記DLC 層の中の炭素原子に占めるsp3
合の比率が30% よりも小さくなると、DLC 層の表面硬度
は3000 kgf/mm2(29.419 ×103 N/mm2 ) よりも小さくな
り、十分な耐久性が得られない。一方sp3 結合の比率が
85% を超えると、DLC 層の表面硬度は9000 kgf/mm2 (8
8.260×103 N/mm2 ) よりも大きくなるが、sp2 結合の
比率が減少した結果内部応力が増大するために、DLC 層
の剥離や亀裂が生じやすくなる。
【0013】また、本発明は、バウデン外著、曽田範宗
訳「固体の摩擦と潤滑」1970、100-101 ページに記載の
自然法則を利用してなされた。その自然法則とは、以下
の通りである。一般に固体どうしを接触させる場合、接
触面積をA とすると、摩擦力F はF=A×s で表される。
ここに、s は接触に働く剪断応力である。摩擦力を減ら
そうとするならば、明らにA とs とはできるだけ小さく
することが必要であるが、 1)硬質物- 軟質物の組み合わせ: この組み合わせは、剪
断応力s は小さくなるが、接触時の荷重により軟質物が
変形して接触面積A が大きくなる。 2)硬質物- 硬質物の組み合わせ: この組み合わせは、接
触面積A が接触時の荷重によって大きくなることはない
が、剪断応力s が大きくなる。 3)硬質物- 軟質薄膜- 硬質物の組み合わせ (硬質物の表
面上に軟らかい薄膜を被覆して硬質物同士を接触させた
場合に相当) : この組み合わせは、接触面積A及び剪断
応力s が共に小さくなる。これは、剪断応力s は軟質薄
膜の剪断応力となり、同時に、接触時の荷重は硬質物で
支えられるため、変形はほとんどなく、大荷重に対して
も接触面積A は小さいままであるからである。その結
果、摩擦力F=A ×s は小さくなる。
【0014】以上から請求項2 から5 に記載の本発明
は、上記3)の組み合わせとなるように、金型側取付面と
スタンパー側取付面の薄膜被覆を考慮した。
【0015】請求項2に記載の本発明のディスク成形装
置は、スタンパー側の金型への取付面及び金型側の取付
面の双方がDLC 層により被覆されており、前記スタンパ
ー側の取付面及び前記金型側の取付面に成膜されたDLC
層の何れか一方若しくは両方が、更に、ポリフッ化炭化
水素層によって被覆されていることを特徴とする。前記
ポリフッ化炭化水素層の硬度は、前記DLC 層及びDLC 層
により被覆されていないスタンパーまたは金型の取付面
の硬度よりも低いことが望ましい。
【0016】上記構成の本発明のディスク成形装置によ
れば、スタンパー側取付面と金型側取付面を被覆する硬
質なDLC 層の何れか一方若しくは両方に軟質のポリフッ
化炭化水素層が積層されるので、スタンパー側取付面と
金型側取付面が接触する部分の摩擦力が小さくなる。
【0017】請求項3に記載の本発明のディスク成形装
置は、スタンパー側の金型への取付面及び金型側の取付
面のいずれか一方がDLC 層により被覆されており、前記
一方に対する他方がポリフッ化炭化水素層によって被覆
されていることを特徴とする。前記ポリフッ化炭化水素
層の硬度は、前記ポリフッ化炭化水素層が被覆されるス
タンパーや金型の取付面の硬度及びDLC 層よりも低いこ
とが望ましい。
【0018】上記構成の本発明のディスク成形装置によ
れば、スタンパー側の金型への取付面及び金型側の取付
面のいずれか一方が硬質のDLC 層により被覆され、前記
一方に対する他方が軟質のポリフッ化炭化水素層によっ
て被覆され、前記他方は前記ポリフッ化炭化水素層に比
べて硬質であるので、スタンパー側取付面と金型側取付
面が接触する部分の摩擦力が小さくなる。
【0019】請求項4に記載の本発明のディスク成形装
置は、金型側の取付面がDLC 層により被覆されており、
前記金型側の取付面に成膜されたDLC 層が、更に、ポリ
フッ化炭化水素層によって被覆されていることを特徴と
する。前記ポリフッ化炭化水素層の硬度は、前記DLC 層
の硬度及びスタンパー側の取付面の硬度よりも低いこと
が望ましい。上記構成の本発明のディスク成形装置によ
れば、金型側取付面を被覆する硬質なDLC 層の上に軟質
のポリフッ化炭化水素層が積層され、スタンパー側の取
付面は比較的前記ポリフッ化炭化水素層よりも硬質であ
るので、スタンパー側取付面と金型側取付面との接触部
分における摩擦力が小さくなる。
【0020】請求項5に記載の本発明のディスク成形装
置は、前記スタンパー側の金型への取付面がDLC 層によ
り被覆されており、前記スタンパー側の取付面に成膜さ
れたDLC 層が、更に、ポリフッ化炭化水素層によって被
覆されていることを特徴とする。前記ポリフッ化炭化水
素層の硬度は、前記DLC 層の硬度及び金型側の取付面の
硬度よりも低いことが望ましい。上記構成の本発明のデ
ィスク成形装置によれば、スタンパー側の取付面を被覆
する硬質なDLC 層の上に軟質のポリフッ化炭化水素層が
積層され、金型側の取付面は比較的前記ポリフッ化炭化
水素層よりも硬質であるので、スタンパー側取付面と金
型側取付面との接触部分における摩擦力が小さくなる。
【0021】請求項6に記載の本発明のディスク成形装
置は、前記請求項1乃至5に記載のいずれかの特徴に加
えて、前記DLC 層の表面粗さが0.6 μm 以下であること
を特徴とする。上記構成の本発明のディスク成形装置に
よれば、前記DLC 層の表面粗さが0.6μm 以下と小さ
く、表面が滑らかであるので剪断応力s が小さくなり、
スタンパー側取付面と金型側取付面との接触部分におけ
る摩擦力が小さくなる。
【0022】前記DLC 層の表面粗さを所望値まで低減す
る方法として、酸素照射がある。前記DLC 層の成膜をス
パッタリング装置によって行った場合、スパッタリング
装置に附属の機能を利用してDLC 層の表面に酸素照射を
行うことができるので、本発明のディスク成形装置の製
造コストを抑えることができる。
【0023】請求項7に記載の本発明のディスク成形装
置は、前記請求項2乃至6に記載のいずれかの特徴に加
えて、前記DLC 層中の炭素の占めるsp3 結合の比率は30
% 以上85% 以下であり、前記ダイヤモンドライクカーボ
ン層の表面のビッカース硬度は3000kgf/mm2 (29.419 ×
103 N/mm2 ) 以上9000 kgf/mm2(88.260 ×103 N/mm2)
以下であることを特徴とする。
【0024】前記DLC 層の中の炭素原子に占めるsp3
合の比率が30% よりも小さくなると、DLC 層の表面硬度
は3000 kgf/mm2(29.419 ×103 N/mm2 ) よりも小さくな
り、十分な耐久性が得られない。一方sp3 結合の比率が
85% を超えると、DLC 層の表面硬度は9000 kgf/mm2(88.
260 ×103 N/mm2 ) よりも大きくなるが、sp2 結合の比
率が減少した結果内部応力が増大するために、DLC 層の
剥離や亀裂が生じやすくなる。
【0025】更に、上述のいずれの本発明のディスク成
形装置においても、前記本発明中のDLC 層の成膜方法に
ついては種々のダイヤモンド薄膜技術を用いることがで
きるが、アークスパッタリング法によると本発明の特徴
を有するDLC 層の成膜が容易にできる。加えて、前記ポ
リフッ化炭化水素層の成膜をする場合、前記ポリフッ化
炭化水素層の成膜方法についてもマグネトロンスパッタ
リング装置を使用することができるので、本発明のディ
スク成形装置の製造コストを抑えることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。本発明の装置全体の構造は、図5 に
示したディスク成形装置と同様であり、図5と異なると
ころは、金型50へのスタンパー52の取付部である。本発
明のディスク成形装置における金型50へのスタンパー52
の取付部の一部分B の拡大図を第 1実施形態として図1
に第 2若しくは第 3実施形態として図 2に示す。
【0027】[第 1実施形態]図 1において、移動側金型
50b の取付面50c 及びスタンパー52側の取付面52aの双
方がDLC 層1,2 により被覆されている。そして、そのDL
C 層中の炭素の占めるsp3 結合の比率は30% 以上85% 以
下であり、前記DLC 層の表面のビッカース硬度は3000kg
f/mm2 (29.419 ×103 N/mm2 ) 以上9000 kgf/mm2(88.26
0 ×103 N/mm 2 ) 以下である。そのDLC 層の表面粗さ
は、0.6 μm 以下である。
【0028】上記のようなスタンパー52側の取付面52a
及び移動側金型50b の取付面50c の双方を被覆するDLC
層1,2 は、図 3に示すアークスパッタリング装置4 及び
図示されていないマグネトロンスパッタリング装置を使
用してスパッタリング法により容易に成膜されることが
できる。符号5 は真空成膜室、6 はガス導入口、7 はサ
ンプルホルダー、8 は第 1ターゲット台、9 は第 2ター
ゲット台、10は第 2ターゲット用スパッタリング電源(D
C 35V, 55 〜180A) 、11はターンテーブル、12は第 1タ
ーゲット用パルススパッタリング電源、13はガスをイオ
ン化するための電源(DC 61V, 0.5A 以下) を示してい
る。前記ターンテーブル11は、スパッタリングが行われ
ている間、点O を中心に矢印の方向に回転する。
【0029】上記スパッタリング装置4 を用いてDLC 層
1,2 の成膜の方法を説明する。例えば、成形母型として
用いられるスタンパー52側の取付面52a にDLC 層を施す
場合、前記スタンパー52を真空成膜室5 内のサンプルホ
ルダー7 の上に置く。第1ターゲット台8 上のターゲッ
ト材としての固体カーボンを固定する。チタン、タンタ
ル、タングステン、モリブデン、ニオブからなる群から
選ばれた1 種または2 種以上の遷移金属元素を第 2ター
ゲット台9 上のターゲット材として固定する。
【0030】前記真空成膜室5 内にガス導入口6 から、
ヘリウム、ネオン、アルゴン、窒素なる群から選ばれる
ガスを導入し、スタンパー52の表面をイオン洗浄する。
ここにおいて、後のDLC 層成膜工程におけるDLC 層の付
着強度を著しく増大させるために、第 2ターゲット台9
上の金属をターゲットとしてアークスパッタリングして
遷移金属元素の成膜を行うことが好ましい。第 1ターゲ
ット用パルススパッタリング電源12のパルス周波数を0.
1 〜5Hz とし、第1ターゲット台8 上の固体カーボンを
ターゲットとしてパルスアークスパッタリングする。
【0031】スタンパーの場合、パルス周波数が5Hz よ
り高いと、パルスアークスパッタリングにより形成され
るDLC 層の温度は100 ℃以上となり、反りを生ずる。ま
たDLC 層の中の炭素原子に占めるsp3 結合の比率が30%
よりも下回ると、DLC 層の表面硬度は3000 kgf/mm2(29.
419 ×103 N/mm2 ) よりも劣り、十分な耐久性が得られ
ない。一方、DLC 層内のsp3 結合の比率が85% を超える
と、DLC 層の表面硬度は9000 kgf/mm2(88.260 ×103 N/
mm2 ) を越えるがDLC 層内のsp2 結合の比率が減少す
る。その結果、DLC 層の内部応力が増大するために、DL
C 層の剥離や亀裂が生じやすくなる。従ってDLC 層の炭
素に占めるsp3 結合の比率は30% 以上85% 以下となるよ
うにまた、その表面のビッカース硬度は3000kgf/mm2 (2
9.419 ×103 N/mm2 ) 以上9000 kgf/mm2(88.260 ×103
N/mm2 ) 以下となるようにDLC の成膜を行う。
【0032】更に、前記DLC 層の表面に向け前記真空成
膜室5 内のガス導入口6 から酸素を照射することが好ま
しい。この酸素照射によりDLC 層の表面粗さを0.6 μm
以下に大幅に低減する。DLC 層の表面が滑らかになり、
剪断応力s が小さくなり、摩擦力は著しく減少する。そ
の結果、金型及びこれに接触するスタンパーの寿命を一
層長くすることが出来る。前記DLC 層の成膜と酸素照射
のプロセスはDLC 層の厚みが所望の値0.5 〜2.0μm の
範囲に達するまで反復する。
【0033】前記移動側金型50b 側の取付面50c の表面
上にDLC 薄膜を成膜する場合も上記と同様な工程によっ
て行うことができる。この場合、第 1ターゲット用パル
ススパッタリング電源12のパルス周波数を10〜30 Hz の
範囲にする。そして、DLC 層の成膜と酸素照射のプロセ
スはDLC 層の厚みが所望の値0.5 〜2.0 μm の範囲に達
するまで反復する。
【0034】上記構造の本発明のディスク成形装置は、
前記スタンパー側の金型への取付面及び前記金型側の取
付面の双方がDLC 層により被覆されており、前記DLC 層
中の炭素の占めるsp3 結合の比率は30% 以上85% 以下で
あるので、DLC 層の剥離や亀裂が生じにくく、前記DLC
層の表面のビッカース硬度は3000kgf/mm2 (29.419 ×10
3 N/mm2 ) 以上9000 kgf/mm2(88.260 ×103 N/mm2 ) 以
下であるので金型やスタンパーは十分な耐久性有するこ
ととなる。その結果、ディスク成形装置全体の寿命が長
くなる。加えて、酸素照射をした場合、前記DLC 層の表
面粗さが0.6 μm 以下と小さく、表面が滑らかであるの
で剪断応力s が小さくなり、スタンパー側取付面と金型
側取付面との接触部分における摩擦力が小さくなるとい
う効果を有する。その結果、スタンパー及び金型の耐久
性が更に向上し、ディスク成形装置全体の寿命も更に延
びる。
【0035】[第 2実施形態]第 2実施形態は、図 2にお
いて、移動側金型50b の取付面50c 及びスタンパー52側
の取付面52a の双方がDLC 層1,2 により被覆されてい
る。前記スタンパー52側の取付面52a に成膜されたDLC
層が、ポリフッ化炭化水素層3 によって被覆されてい
る。DLC 層の膜厚は0.5 〜3.0 μm の範囲にあり、ポリ
フッ化炭化水素層3 の膜厚は1.0 μm の範囲にある。そ
して、そのDLC 層中の炭素の占めるsp3 結合の比率は30
% 以上85% 以下であり、前記DLC 層の表面のビッカース
硬度は3000kgf/mm2 (29.419 ×103 N/mm2 )以上9000 kg
f/mm2(88.260 ×103 N/mm2 ) 以下であることが好まし
い。更に、そのDLC 層の表面粗さは、0.6 μm 以下であ
ることが好ましい。
【0036】前記第 2実施形態における移動側金型50b
及びスタンパー52の取付面上のDLC層1,2 及びスタンパ
ー52のDLC 層2 上のポリフッ化炭化水素層の成膜の方法
を説明する。第 1実施形態と同様にスパッタリング装置
4 を用いて成膜を行う。前記移動側金型50b の取付面50
c 及び前記スタンパー52の取付面上52a へのDLC 層1,2
の成膜は、上記第 1実施形態において説明と同様な方法
によって行う。
【0037】次に、前記取付面52a がDLC 層2 によって
被覆されたスタンパー52をマグネトロンスパッタリング
装置内に配置する。マグネトロンスパッタリングのター
ゲット材としてポリフッ化炭化水素を使用する。
【0038】前記マグネトロンスパッタリング装置内に
アルゴンガスを導入して0.3 〜1.0Pa の範囲の圧力下に
する。ターゲット用スパッタリング電源の高周波電圧を
4kV に、周波数を13.56MHzに設定し、ポリフッ化炭化水
素をターゲットとしてマグネトロンスパッタリングす
る。前記取付面を被覆するDLC 層の上にポリフッ化炭化
水素層が積層される。
【0039】[第 3実施形態]第 3実施形態は、図 2にお
いて、移動側金型50b の取付面50c 及びスタンパー52側
の取付面52a の双方がDLC 層1,2 により被覆されてお
り、前記移動側金型50b の取付面50c に成膜されたDLC
層が、ポリフッ化炭化水素層によって被覆されている形
態である。DLC 層の膜厚は0.5 〜3.0 μm の範囲にあ
り、ポリフッ化炭化水素層3 の膜厚は1 μm 以下の範囲
にある。
【0040】そして、そのDLC 層中の炭素の占めるsp3
結合の比率は30% 以上85% 以下であり、前記DLC 層の表
面のビッカース硬度は3000kgf/mm2 (29.419 ×103 N/mm
2 )以上9000 kgf/mm2(88.260 ×103 N/mm2 ) 以下であ
ることが好ましい。更に、そのDLC 層の表面粗さは、0.
6 μm 以下であることが好ましい。
【0041】前記第 3実施形態における移動側金型50b
及びスタンパー52の取付面上のDLC層1,2 及びポリフッ
化炭化水素層3 の成膜の方法は、上記第 2実施形態で説
明した方法と同様な方法で行われる。
【0042】前記第 2, 第 3実施形態に記載の本発明の
ディスク成形装置は、スタンパー側取付面と金型側取付
面を被覆する硬質なDLC 層の何れか一方に軟質のポリフ
ッ化炭化水素層が積層されるので、スタンパー側取付面
と金型側取付面が接触する部分の摩擦力が小さくなる。
その結果、スタンパー及び金型の耐久性が向上し、ディ
スク成形装置全体の寿命も延びる。更に、前記DLC 層中
の炭素の占めるsp3 結合の比率を30% 以上85% 以下と
し、前記DLC 層の表面のビッカース硬度を3000kgf/mm2
(29.419 ×103 N/mm2 ) 以上9000 kgf/mm2(88.260 ×10
3 N/mm2 ) 以下とした場合、DLC 層の剥離や亀裂が生じ
にくいうえに、金型やスタンパーは十分な耐久性有する
こととなる。その結果、ディスク成形装置全体の寿命が
更に長くなる。
【0043】加えて、酸素照射をした場合は、前記DLC
層の表面粗さが0.6 μm 以下と小さく、表面が滑らかで
あるので剪断応力s が小さくなり、スタンパー側取付面
と金型側取付面との接触部分における摩擦力が更に小さ
くなるという効果を有する。その結果、スタンパー及び
金型の耐久性が更に向上し、ディスク成形装置全体の寿
命も更に延びる。
【0044】次に、本発明のコンパクトディスクなどの
ディスク成形装置に備えられる金型及びスタンパーのそ
れぞれの取付面50c,52a を被覆する層の組み合わせを表
1に示す。第 4実施形態及び第 5実施形態は、本発明の
ディスク成形装置を製造するにあたって、製造コストが
極力抑えられる形態である。前記ポリフッ化炭化水素層
の硬度は、前記ポリフッ化炭化水素層が被覆されるスタ
ンパーや金型の取付面の硬度よりも低いことが望まし
い。第 6実施形態は、ディスク成形装置の寿命を最長に
延ばすことが可能な形態である。
【0045】第 7実施形態は、従来から使用されている
スタンパーを使用しても十分な耐久性を得ることのでき
るディスク成形装置の形態である。ポリフッ化炭化水素
層の硬度は、DLC 層の硬度及び従来から使用されている
スタンパー側の取付面の硬度よりも低いことが好まし
い。金型側取付面を被覆する硬質なDLC 層の上に軟質の
ポリフッ化炭化水素層が積層され被覆され、スタンパー
側の取付面は比較的前記ポリフッ化炭化水素層よりも硬
質であるので、従来から使用されているスタンパーであ
ってもスタンパー側取付面と金型側取付面との接触部分
における摩擦力が低減される。その結果、従来のディス
ク成形装置に比べて十分な耐久性を有することができ
る。
【0046】第 8実施形態は、従来から使用されている
金型を使用しても十分な耐久性を得ることのできるディ
スク成形装置の形態である。ポリフッ化炭化水素層の硬
度は、DLC 層の硬度及び従来から使用されている金型側
の取付面の硬度よりも低いことが好ましい。スタンパー
側の取付面がDLC 層の硬質膜とポリフッ化炭化水素層の
軟質膜とで積層されて被覆され、金型側の取付面は比較
的前記ポリフッ化炭化水素層よりも硬質であるので、従
来から使用されている金型であってもスタンパー側取付
面と金型側取付面との接触部分における摩擦力が低減さ
れる。その結果、従来のディスク成形装置に比べて十分
な耐久性を有することができる。
【0047】
【表1】
【0048】
【実施例】[実施例1] (DLC 層を有する金型の作成)図3 の真空成膜室5 内に設
置されたサンプルホルダー7 に金型を置き、真空成膜室
5 内を排気後、ガス導入口6 からアルゴンイオンを導入
し、金型の表面をイオン洗浄した。次に第 2ターゲット
台9 にチタンを、第 1ターゲット台8 にカーボンを配置
した。まず、第 2ターゲット用スパッタリング電源10を
入れ、チタン層を成膜した。ついで、第 1ターゲット用
パルススパッタリング電源12のパルス周波数を20 Hz と
してパルスアークスパッタリングを行った。最後にガス
導入口6 から酸素照射を行って表面を平滑化した。この
パルスアークスパッタリングと酸素照射のプロセスを2
回反復した。得られたDLC 層のラマンスペクトルを測定
した結果、炭素のsp3 結合含有率は75% であった。また
その表面のビッカース硬度は8000 kgf/mm2(78.453 ×10
3 N/mm2 ) であった。
【0049】(DLC 層を有するスタンパーの作成)真空成
膜室5 内に設置されたサンプルホルダー7 にCD複写用ス
タンパーを置き、スパッタリング電源のパルス周波数を
2 Hzとして、上記と同様な方法にって成膜を行った。得
られたDLC 層のラマンスペクトルを測定した結果、炭素
のsp3 結合含有率は70% であった。またその表面のビッ
カース硬度は6500 kgf/mm2(63.743 ×103 N/mm2 ) であ
った。上記金型とスタンパーを備えたディスク成形装置
によってコンパクトディスクの製造を行った。ディスク
成形装置のスタンパー耐用ショット数によって寿命を測
定した。その結果を表 2に示す。
【0050】[実施例2] (DLC 層を有する金型の作成)実施例1 と同様な方法によ
って金型側の取付面にDLC 層を生成した。 (ポリフッ化炭化水素層を有するスタンパーの作成)マグ
ネトロンスパッタリング装置内にスタンパーを置き、高
周波電圧4kV 、周波数13.65MHz、アルゴン圧力0.8 Paの
条件でポリフッ化炭化水素の一つであるポリテトラフル
オロエチレン(du Pont社商品名テフロン) をターゲット
としてマグネトロン照射した。スタンパー側の取付面に
気孔のないポリフッ化炭化水素層を生成した。上記金型
とスタンパーを備えたディスク成形装置によってコンパ
クトディスクの製造を行った。ディスク成形装置のスタ
ンパー耐用ショット数によって寿命を測定した。その結
果を表 2に示す。
【0051】[実施例3] (DLC 層を有する金型の作成)実施例1 と同様な方法によ
って金型側の取付面にDLC 層を生成した。(DLC 層及び
ポリフッ化炭化水素層を有するスタンパーの作成)実施
例1 と同様な方法によって成膜されたDLC 層を有するス
タンパーをマグネトロンスパッタリング装置内に置き、
高周波電圧4kV 、周波数13.65MHz、アルゴン圧力0.8 Pa
の条件でポリフッ化炭化水素の一つであるポリテトラフ
ルオロエチレン(du Pont社商品名テフロン) をターゲッ
トとしてマグネトロン照射した。表面にポリフッ化炭化
水素層を有するDLC 被覆スタンパーが得られた。その表
面硬度は50kgf/mm2 (490N/mm2 ) であった。上記金型と
スタンパーを備えたディスク成形装置によってコンパク
トディスクの製造を行った。ディスク成形装置のスタン
パー耐用ショット数によって寿命を測定した。その結果
を表 2に示す。
【0052】[実施例4] (DLC 層及びポリフッ化炭化水素層を有する金型の作成)
実施例1 と同様な方法によって成膜されたDLC 層を有す
る金型をマグネトロンスパッタリング装置内に置き、高
周波電圧4kV 、周波数13.65MHz、アルゴン圧力0.8 Paの
条件でポリフッ化炭化水素の一つであるポリテトラフル
オロエチレン(du Pont社商品名テフロン) をターゲット
としてマグネトロン照射した。表面にポリフッ化炭化水
素層を有するDLC 被覆金型が得られた。その表面硬度は
30kgf/mm 2 (294N/mm2 ) であった。 (DLC 層有するスタンパーの作成)実施例1 と同様な方法
によってスタンパー側の取付面にDLC 層を生成した。得
られたDLC 層のラマンスペクトルを測定した結果、炭素
のsp3 結合含有率は70% であった。またその表面のビッ
カース硬度は6500 kgf/mm2(63.743 ×103 N/mm2 ) であ
った。上記金型とスタンパーを備えたディスク成形装置
によってコンパクトディスクの製造を行った。ディスク
成形装置のスタンパー耐用ショット数によって寿命を測
定した。その結果を表 2に示す。
【0053】[実施例5] (DLC 層及びポリフッ化炭化水素層を有する金型の作成)
実施例1 と同様な方法によって成膜されたDLC 層を有す
る金型をマグネトロンスパッタリング装置内に置き、高
周波電圧4kV 、周波数13.65MHz、アルゴン圧力0.8 Paの
条件でポリフッ化炭化水素の一つであるポリテトラフル
オロエチレン(du Pont社商品名テフロン) をターゲット
としてマグネトロン照射した。表面にポリフッ化炭化水
素層を有するDLC 被覆金型が得られた。その表面硬度は
30kgf/mm 2 (294N/mm2 ) であった。(DLC 層及びポリフ
ッ化炭化水素層を有するスタンパーの作成)実施例3 と
同様な方法によって表面にポリフッ化炭化水素層を有す
るDLC 被覆スタンパーが得られた。その表面硬度は50kg
f/mm2 (490 N/mm2 )であった。上記金型とスタンパーを
備えたディスク成形装置によってコンパクトディスクの
製造を行った。ディスク成形装置のスタンパー耐用ショ
ット数によって寿命を測定した。その結果を表 2に示
す。
【0054】[比較例1]金型及びスタンパーの両方が、D
LC 層もポリフッ化炭化水素層も有しない従来のディス
ク成形装置について、コンパクトディスクの製造を行っ
た。ディスク成形装置のスタンパー耐用ショット数によ
って寿命を測定した。その結果を表 2に示す。
【0055】[比較例2]金型側の取付面のみにCVD 法に
よってDLC 層が生成された従来の金型と、DLC層もポリ
フッ化炭化水素層を有しない従来のスタンパーを備えた
従来のディスク成形装置によってコンパクトディスクの
製造を行った。ディスク成形装置のスタンパー耐用ショ
ット数によって寿命を測定した。その結果を表 2に示
す。
【0056】[比較例3]スタンパー側の取付面のみにCVD
法によってDLC 層が生成された従来のスタンパーと、D
LC 層もポリフッ化炭化水素層を有しない従来の金型を
備えた従来のディスク成形装置によってコンパクトディ
スクの製造を行った。ディスク成形装置のスタンパー耐
用ショット数によって寿命を測定した。その結果を表 2
に示す。
【0057】[比較例4]金型側の取付面のみ及びスタン
パー側の取付面のみにCVD 法によってDLC 層を生成し
た。これらの従来の金型とスタンパーを備えた従来のデ
ィスク成形装置によってコンパクトディスクの製造を行
った。ディスク成形装置のスタンパー耐用ショット数に
よって寿命を測定した。その結果を表 2に示す。
【0058】
【表2】
【0059】表 2から明らかなように、本発明によれ
ば、150 万回以上のショットが可能であり、比較例に比
べ寿命が延びていることが判る。
【0060】[実施例6]DLC 層の表面粗さは被覆される
基材 (金型或いはスタンパー) の表面粗さに依存してい
るが、酸素照射によってDLC 層の表面粗さを低下させる
ことが可能である。DLC 層の厚みがおよそ2 μm の場
合、0.1 〜10keV のエネルギーをもつ酸素イオンを照射
した結果を図 4に示す。前記DLC 層の表面粗さが0.6 μ
m 以下の範囲まで低減されると、金型側の取付面及びス
タンパー側の取付面の双方が硬質のDLC 層で被覆された
場合であっても摩擦力が十分に低減され、耐久性が良く
なる。
【0061】
【発明の効果】請求項1に記載の本発明のディスク成形
装置は、前記スタンパー側の金型への取付面及び前記金
型側の取付面の双方がDLC 層により被覆されており、前
記DLC層中の炭素の占めるsp3 結合の比率は30% 以上85%
以下であるので、DLC 層の剥離や亀裂が生じにくく、
前記DLC 層の表面のビッカース硬度は3000kgf/mm2 (29.
419 ×103 N/mm2 ) 以上9000 kgf/mm2(88.260 ×103 N/
mm2 ) 以下であるので金型やスタンパーは十分な耐久性
有することとなる。その結果、ディスク成形装置全体の
寿命が長くなる。
【0062】請求項2に記載の本発明のディスク成形装
置は、スタンパー側取付面と金型側取付面を被覆する硬
質なDLC 層の何れか一方若しくは両方に軟質のポリフッ
化炭化水素層が積層されるので、スタンパー側取付面と
金型側取付面が接触する部分の摩擦力が小さくなる。そ
の結果、スタンパー及び金型の耐久性が向上し、ディス
ク成形装置全体の寿命も延びる。
【0063】請求項3に記載の本発明のディスク成形装
置は、スタンパー側の金型への取付面及び金型側の取付
面のいずれか一方が硬質のDLC 層により被覆され、前記
一方に対する他方が軟質のポリフッ化炭化水素層によっ
て被覆され、前記他方は前記ポリフッ化炭化水素層に比
べて硬質であるので、スタンパー側取付面と金型側取付
面が接触する部分の摩擦力が小さくなる。その結果、ス
タンパー及び金型の耐久性が向上し、ディスク成形装置
全体の寿命も延びる。
【0064】請求項4に記載の本発明のディスク成形装
置は、金型側取付面を被覆する硬質なDLC 層の上に軟質
のポリフッ化炭化水素層が積層され、スタンパー側の取
付面は比較的前記ポリフッ化炭化水素層よりも硬質であ
るので、スタンパー側取付面と金型側取付面との接触部
分における摩擦力が小さくなる。その結果、スタンパー
及び金型の耐久性が向上し、ディスク成形装置全体の寿
命も延びる。
【0065】請求項5に記載の本発明のディスク成形装
置は、スタンパー側の取付面を被覆する硬質なDLC 層の
上に軟質のポリフッ化炭化水素層が積層され、金型側の
取付面は比較的前記ポリフッ化炭化水素層よりも硬質で
あるので、スタンパー側取付面と金型側取付面との接触
部分における摩擦力が小さくなる。その結果、スタンパ
ー及び金型の耐久性が向上し、ディスク成形装置全体の
寿命も延びる。
【0066】請求項6に記載の本発明のディスク成形装
置は、前記請求項1乃至5に記載のいずれかの効果に加
えて、前記DLC 層の表面粗さが0.6 μm 以下と小さく、
表面が滑らかであるので剪断応力s が小さくなり、スタ
ンパー側取付面と金型側取付面との接触部分における摩
擦力が小さくなるという効果を有する。その結果、スタ
ンパー及び金型の耐久性が向上し、ディスク成形装置全
体の寿命も延びる。
【0067】請求項7に記載の本発明のディスク成形装
置は、前記請求項2乃至6に記載のいずれかの効果に加
えて、前記スタンパー側の金型への取付面及び前記金型
側の取付面の双方がDLC 層により被覆されており、前記
DLC 層中の炭素の占めるsp3結合の比率は30% 以上85%
以下であるので、DLC 層の剥離や亀裂が生じにくく、前
記DLC 層の表面のビッカース硬度は3000kgf/mm2 (29.41
9 ×103 N/mm2 ) 以上9000 kgf/mm2(88.260 ×103 N/mm
2 ) 以下であるので金型やスタンパーは十分な耐久性有
するという効果を奏する。その結果、ディスク成形装置
全体の寿命が長くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第 1の実施形態を示す図である。
【図2】本発明の第 2若しくは第 3の実施形態を示す図
である。
【図3】本発明において使用したスパッタリング装置の
概略を示す図である。
【図4】本発明において用いた酸素照射による表面粗さ
の低減の現象を示したグラフである。
【図5】コンパクトディスク等のディスク成形装置の金
型周辺の要部を示す断面図である。
【符号の説明】
1,2 ダイヤモンドライクカーボン層 50b 移動側金型 50c 金型側取付面 52 スタンパー 52a スタンパー側取付面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F202 AG19 AH38 AH79 AJ08 CA11 CB01 CD30 5D121 CA07 CB01 CB08

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンパクトディスクなどのディスクの成
    形母型であるスタンパーと、キャビティ内に前記スタン
    パーを固定するための取付面を有する金型とを備え、コ
    ンパクトディスクなどのディスクとなる溶融樹脂材料が
    前記キャビティ内に圧入されることによってスタンパー
    の表面形状が転写されたディスクを成形するディスク成
    形装置において、 前記スタンパー側の金型への取付面及び前記金型側の取
    付面の双方がダイヤモンドライクカーボン層により被覆
    されており、 前記ダイヤモンドライクカーボン層中の炭素の占めるsp
    3 結合の比率は30% 以上85% 以下であり、 前記ダイヤモンドライクカーボン層の表面のビッカース
    硬度は3000kgf/mm2 (29.419 ×103 N/mm2 ) 以上9000 k
    gf/mm2(88.260 ×103 N/mm2 ) 以下であるディスク成形
    装置。
  2. 【請求項2】 コンパクトディスクなどのディスクの成
    形母型であるスタンパーと、キャビティ内に前記スタン
    パーを固定するための取付面を有する金型とを備え、コ
    ンパクトディスクなどのディスクとなる溶融樹脂材料が
    前記キャビティ内に圧入されることによってスタンパー
    の表面形状が転写されたディスクを成形するディスク成
    形装置において、 前記スタンパー側の金型への取付面及び前記金型側の取
    付面の双方がダイヤモンドライクカーボン層により被覆
    されており、 前記スタンパー側の取付面及び前記金型側の取付面に成
    膜されたダイヤモンドライクカーボン層の何れか一方若
    しくは両方が、更に、ポリフッ化炭化水素層によって被
    覆されているディスク成形装置。
  3. 【請求項3】 コンパクトディスクなどのディスクの成
    形母型であるスタンパーと、キャビティ内に前記スタン
    パーを固定するための取付面を有する金型とを備え、コ
    ンパクトディスクなどのディスクとなる溶融樹脂材料が
    前記キャビティ内に圧入されることによってスタンパー
    の表面形状が転写されたディスクを成形するディスク成
    形装置において、 前記スタンパー側の金型への取付面及び前記金型側の取
    付面のいずれか一方がダイヤモンドライクカーボン層に
    より被覆されており、 前記一方に対する他方がポリフッ化炭化水素層によって
    被覆されているディスク成形装置。
  4. 【請求項4】 コンパクトディスクなどのディスクの成
    形母型であるスタンパーと、キャビティ内に前記スタン
    パーを固定するための取付面を有する金型とを備え、コ
    ンパクトディスクなどのディスクとなる溶融樹脂材料が
    前記キャビティ内に圧入されることによってスタンパー
    の表面形状が転写されたディスクを成形するディスク成
    形装置において、 前記金型側の取付面がダイヤモンドライクカーボン層に
    より被覆されており、 前記金型側の取付面に成膜されたダイヤモンドライクカ
    ーボン層が、更に、ポリフッ化炭化水素層によって被覆
    されているディスク成形装置。
  5. 【請求項5】 コンパクトディスクなどのディスクの成
    形母型であるスタンパーと、キャビティ内に前記スタン
    パーを固定するための取付面を有する金型とを備え、コ
    ンパクトディスクなどのディスクとなる溶融樹脂材料が
    前記キャビティ内に圧入されることによってスタンパー
    の表面形状が転写されたディスクを成形するディスク成
    形装置において、 前記スタンパー側の金型への取付面がダイヤモンドライ
    クカーボン層により被覆されており、 前記スタンパー側の取付面に成膜されたダイヤモンドラ
    イクカーボン層が、更に、ポリフッ化炭化水素層によっ
    て被覆されているディスク成形装置。
  6. 【請求項6】 前記ダイヤモンドライクカーボン層の表
    面粗さが0.6 μm 以下の範囲である請求項1乃至5に記
    載のいずれかのディスク成形装置。
  7. 【請求項7】 前記ダイヤモンドライクカーボン層中の
    炭素の占めるsp3 結合の比率は30% 以上85% 以下であ
    り、 前記ダイヤモンドライクカーボン層の表面のビッカース
    硬度は3000kgf/mm2 (29.419 ×103 N/mm2 ) 以上9000 k
    gf/mm2(88.260 ×103 N/mm2 ) 以下である請求項2乃至
    6に記載のいずれかのディスク成形装置。
JP2000134244A 2000-04-28 2000-04-28 コンパクトディスクなどのディスク成形装置 Pending JP2001312844A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000134244A JP2001312844A (ja) 2000-04-28 2000-04-28 コンパクトディスクなどのディスク成形装置
AU52666/01A AU5266601A (en) 2000-04-28 2001-05-01 Disc molding apparatus for compact disc
PCT/JP2001/003766 WO2001084547A1 (fr) 2000-04-28 2001-05-01 Appareil de moulage pour disques compacts

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000134244A JP2001312844A (ja) 2000-04-28 2000-04-28 コンパクトディスクなどのディスク成形装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001312844A true JP2001312844A (ja) 2001-11-09

Family

ID=18642556

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000134244A Pending JP2001312844A (ja) 2000-04-28 2000-04-28 コンパクトディスクなどのディスク成形装置

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP2001312844A (ja)
AU (1) AU5266601A (ja)
WO (1) WO2001084547A1 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004538175A (ja) * 2001-05-31 2004-12-24 エシロル アンテルナシヨナル コンパーニュ ジェネラル ドプテーク 成形用インサート
US7296514B2 (en) * 2003-08-26 2007-11-20 Tdk Corporation Convex/concave pattern-forming stamp, convex/concave pattern-forming method and magnetic recording medium

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62267937A (ja) * 1986-05-16 1987-11-20 Hitachi Maxell Ltd 光記録媒体製造用成形機
JPH0222012A (ja) * 1988-07-11 1990-01-24 Tdk Corp 成形用スタンパーとその製造方法
JPH06187673A (ja) * 1992-12-16 1994-07-08 Ricoh Co Ltd 光ディスク製造用スタンパ及びその製造方法
JPH07232354A (ja) * 1993-12-28 1995-09-05 Tdk Corp ディスク基板成形用ディスク原盤、金型、及びこれらの組み合わせ
JPH08238630A (ja) * 1995-03-03 1996-09-17 Teijin Ltd 光ディスク基板成形装置
JPH08301625A (ja) * 1995-05-08 1996-11-19 Minolta Co Ltd 光学レンズ用金型およびその製造方法
JPH1064127A (ja) * 1996-08-19 1998-03-06 Matsushita Electric Ind Co Ltd 光ディスクの成形方法および成形装置

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62267937A (ja) * 1986-05-16 1987-11-20 Hitachi Maxell Ltd 光記録媒体製造用成形機
JPH0222012A (ja) * 1988-07-11 1990-01-24 Tdk Corp 成形用スタンパーとその製造方法
JPH06187673A (ja) * 1992-12-16 1994-07-08 Ricoh Co Ltd 光ディスク製造用スタンパ及びその製造方法
JPH07232354A (ja) * 1993-12-28 1995-09-05 Tdk Corp ディスク基板成形用ディスク原盤、金型、及びこれらの組み合わせ
JPH08238630A (ja) * 1995-03-03 1996-09-17 Teijin Ltd 光ディスク基板成形装置
JPH08301625A (ja) * 1995-05-08 1996-11-19 Minolta Co Ltd 光学レンズ用金型およびその製造方法
JPH1064127A (ja) * 1996-08-19 1998-03-06 Matsushita Electric Ind Co Ltd 光ディスクの成形方法および成形装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004538175A (ja) * 2001-05-31 2004-12-24 エシロル アンテルナシヨナル コンパーニュ ジェネラル ドプテーク 成形用インサート
US7722788B2 (en) 2001-05-31 2010-05-25 Essilor International Mold inserts
US7296514B2 (en) * 2003-08-26 2007-11-20 Tdk Corporation Convex/concave pattern-forming stamp, convex/concave pattern-forming method and magnetic recording medium

Also Published As

Publication number Publication date
AU5266601A (en) 2001-11-12
WO2001084547A1 (fr) 2001-11-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5393108B2 (ja) 硬質多層膜成形体の製造方法
KR100383750B1 (ko) 수지 성형용 금형 및 수지 성형용 금형에의 경질 피막형성 방법
JP2007070667A (ja) ダイヤモンドライクカーボン硬質多層膜成形体およびその製造方法
CN100507082C (zh) 不锈钢金属表面镀制类金刚石薄膜的方法
WO2004076710A1 (ja) 非晶質炭素膜、その製造方法および非晶質炭素膜被覆部材
US20070071993A1 (en) Carbon film-coated article and method of producing the same
CN100525948C (zh) 冲头
US20120228131A1 (en) Method for consolidating and diffusion-bonding powder metallurgy sputtering target
EP1483426A1 (en) Apparatus and method for applying diamond-like carbon coatings
JP2001312844A (ja) コンパクトディスクなどのディスク成形装置
JP2009161813A (ja) 硬質皮膜被覆部材及びその製造方法
CN1919568A (zh) 成型模具及其制造方法
JP5418917B2 (ja) 皮膜密着性に優れた表面被覆部品の製造方法
US6314764B1 (en) Method of manufacturing a 1-inch diameter glass substrate for a magnetic disk
JPH10237627A (ja) 硬質炭素膜被覆部材
US6314763B1 (en) Method of manufacturing a 2-5 inch diameter glass substrate for a magnetic disk
JP2011068941A (ja) 硬質膜の成膜方法および硬質膜
JP5226826B2 (ja) ダイヤモンドライクカーボン硬質多層膜成形体の製造方法
JP2001329360A (ja) 硬質皮膜ワーク及びその加工方法
JP2003320552A (ja) 光ディスク成形用金型装置
JPH10226874A (ja) 硬質炭素膜及びその被覆部材
JP5530751B2 (ja) 積層皮膜被覆部材およびその製造方法
JP5676854B2 (ja) 硬質皮膜被覆部材およびその製造方法
JP3837928B2 (ja) 樹脂成形装置用部材及びその製造方法
GB2304736A (en) ion injected mold for pressing a molded glass substrate

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070426

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100302

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100629