JP3315702B2 - フェライト系鉄基合金の製造方法及びフェライト系耐熱鋼 - Google Patents

フェライト系鉄基合金の製造方法及びフェライト系耐熱鋼

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純教 村田
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Description

【発明の詳細な説明】 [技術分野] 本発明は、従来のように膨大な実験と試行錯誤の繰り
返しを必要とせず、理論的な手法でフェライト系鉄基合
金を製造する方法、および高強度のフェライト系耐熱
鋼、に関する。このフェライト系耐熱鋼は、高い高温強
度をはじめとして従来のフェライト系耐熱鋼を凌ぐ優れ
た特性を有し、例えばタービン材料、またはボイラ材料
として好適なものである。
[背景技術] 耐熱鋼の用途はきわめて広汎であるが、中でもボイラ
用およびタービン用の材料はその代表的なものである。
以下、これらを例にして説明する。
ボイラ材料およびタービン材料としてこれまでに開発
されたフェライト系耐熱鋼は、9〜12%のCrを含み、か
つC、Si、Mn、Ni、Mo、W、V、Nb、Ti、B(ボロ
ン)、N(窒素)、Cuをそれぞれ0.004〜2.0%の範囲で
選択し、組み合わせて含有させたものが殆どである。な
お、この明細書では、特に断らない限り合金元素の含有
量に関する%は質量%(mass%)を意味する。
図1および図2は、それぞれボイラ用とタービン用の
主な耐熱鋼の組成を示すものである(「耐熱鋼の組成、
組織とクリープ特性」日本金属学会、日本鉄鋼協会九州
支部、第78回講演討論会資料、平成4年9月25日…文献
1…参照)。これらの鋼種は各合金元素の添加量を少し
ずつ変化させた膨大な実験によって開発されてきた。そ
のような実験によって知られた各合金元素の作用効果は
概ね下記のようにまとめることができる。
Cr:耐食、耐酸化性を向上させる元素であり、鋼材の
使用温度の上昇とともにその添加量を増加させる必要が
ある。
W、Mo:固溶強化と析出強化により、高温強度を増大
させる。しかし、添加量が増大すると延性脆性遷移温度
(DBTT)が上昇する。脆化を抑制するためには、Mo当量
〔Mo+(1/2)W〕を1.5%以下にすることが必要であ
る。この方針に従って、従来の多くの合金のMo当量は1.
5%近傍にある。
V、Nb:炭、窒化物による析出強化が期待できる。105
0℃での焼なまし時の固溶限は、Vでは0.2%、Nbでは0.
03%である。これ以上添加量が増えると固溶できない元
素が焼なまし時に、炭・窒化物として析出する。これま
での実験結果によれば、クリープ破断強度から判断して
Vは0.2%、Nbは0.05%が最適とされている。このNbの
値は固溶限を超えているが、固溶できなかったNbはNbC
となり、焼なまし時のオーステナイト粒の粗大化を抑制
するのに効果がある。
Cu:オーステナイト安定化元素であるためδフェライ
ト相および炭化物の析出を抑制する。またAc1点を低下
させる作用が小さく、焼入れ性改善の効果を持つ。この
外、溶接熱影響部(heat affected zone、以下、HAZと
記す)の軟化層の生成を抑制する。しかし、1%以上入
れるとクリープ破断絞りが減少する。
C、N:鋼の組織および強度に影響する元素である。ク
リープ特性に関しては、V、Nb等の添加量により、クリ
ープ破断強度に最適なC含有量、N含有量は変化する。
B:0.005%程度の添加により鋼の焼入れ性が向上す
る。また組織が微細になり、強度と靱性の向上に効果が
あるといわれている。
Si、P、S、Mn:鋼の脆性抑制のため、いわゆるスー
パークリーン化が考えられており、これらの元素はでき
るだけ少ない方が良いとされている。ただし、Siには水
蒸気酸化を抑制する効果があり、ボイラ材ではある程度
の含有量を確保するのがよいと言われている。
上記のように、従来の合金開発の方法によって、各合
金元素の効果はある程度明らかにされてきた。しかし、
新たな鋼種を開発するためには、さらに膨大な実験が必
要となる。例えば5種の合金元素からなる鋼の各元素の
含有量を、それぞれ3種類づつ変えて調べるとすれば、
単純に計算して35(=243)もの鋼を溶製し、それぞれ
から各種の試験片を作製して実験を繰り返すことが必要
となる。
図1および図2に示すように、最近の耐熱鋼は10種類
に余る合金元素から成るものが多く、この種の新規な鋼
を従来の手法で開発するとすれば多大な労力、時間およ
び費用を必要とする。
本発明者らは、先に分子軌道理論に基づく新しい金属
材料の設計方法を開発した。その方法の概要は、「日本
金属学会会報」第31巻、第7号(1992)599〜603頁(文
献2)および「アルトピア」1991,9,23〜31頁(文献
3)等に開示している。また、本発明者らは、上記の方
法を用いて、ニッケル基合金およびオーステナイト系鉄
合金を製造する方法について特許出願を行った〔特許第
1831647号(特公平5−40806号公報)および米国特許第
4,824,637号明細書、参照)。
上記の文献および特許公報等に記載しているとおり、
アルミニウム合金、チタン合金、ニッケル基合金等の非
鉄金属合金、金属間化合物合金、およびオーステナイト
系鉄基合金については、上記の新しい合金設計方法が実
用合金の製造に利用できる目処がついている。しかし、
フェライト系の耐熱鋼に関しては、これまでのところ、
この方法が実用材料の製造に役立つかどうかの確認はで
きていなかった。
本発明は、前述のような試行錯誤を繰り返す古典的な
手法によらず、効率的に鉄基合金、特にフェライト系耐
熱鋼、の合金設計を行い、これを実用化することを課題
としてなされたものである。
本発明の一つの目的は、高強度フェライト系鉄基合金
を理論的な予測によって効率的に製造する方法を提供す
ることにある。
本発明のもう一つの目的は、耐熱材料に要求される高
温強度をはじめとする各種の特性において、従来のフェ
ライト系耐熱鋼よりはるかに優り、近年の厳しい使用条
件、例えば246〜351kgf/cm2gの圧力、538〜649℃の温度
という過酷な蒸気条件で使用できるタービン材料または
ボイラ材料として好適なフェライト系耐熱鋼を提供する
ことにある。
[発明の開示] 本発明は、下記(1)のフェライト系鉄基合金の製造
方法ならびに(2)から(4)までのフェライト系耐熱
鋼を要旨とする。
(1) 体心立方晶の鉄基合金中における各種合金元素
について、d電子軌道エネルギーレベル(Md)および鉄
(Fe)との結合次数(Bo)をDV−Xαクラスター法によ
って求め、下記式および式でそれぞれ表される平均
Bo値と平均Md値とが、それぞれ1.805〜1.817の範囲、0.
8520〜0.8628の範囲となるように化学組成を決定するこ
とを特徴とするフェライト系鉄基合金の製造方法。
平均Bo値=ΣXi・(Bo)i ・・ 平均Md値=ΣXi・(Md)i ・・ ただし、Xiは合金元素iのモル分率、(Bo)iおよび
(Md)iはそれぞれi元素のBo値およびMd値である。
(2)クロム(Cr)の含有量が9.0〜13.5質量%、炭素
(C)の含有量が0.02〜0.14質量%、コバルト(Co)の
含有量が0.5〜4.3質量%、タングステン(W)の含有量
が0.5〜2.6質量%であり、前記平均Bo値および平均Md値
が図9の点AとB、BとC、CとD、DとAを結ぶ直線
で囲まれる領域(線上を含む)にあるフェライト系耐熱
鋼。
(3)質量%で、 炭素(C):0.07〜0.14%、窒素(N):0.01〜0.10% 珪素(Si):0.10%以下、バナジウム(V):0.12〜0.
22% クロム(Cr):10.0〜13.5%、マンガン(Mn):0.45%
以下 コバルト(Co):0.5〜4.3%、ニオブ(Nb):0.02〜0.
10% モリブデン(Mo):0.02〜0.8%、タングステン
(W):0.5〜2.6% 硼素(B):0.001〜0.02%、レニウム(Re):0〜3.0
% を含み残部が鉄(Fe)および不可避的不純物からなり、
前記平均Bo値と平均Md値とが、それぞれ1.805〜1.817の
範囲、0.8520〜0.8628の範囲にあるフェライト系耐熱
鋼。
(4)質量%で、 炭素(C):0.02〜0.12%、窒素(N):0.01〜0.10% 珪素(Si):0.50%以下、バナジウム(V):0.15〜0.
25% クロム(Cr):9.0〜13.5%、マンガン(Mn):0.45%
以下 コバルト(Co):0.5〜4.3%、ニオブ(Nb):0.02〜0.
10% モリブデン(Mo):0.02〜0.8%、タングステン
(W):0.5〜2.6% 硼素(B):0.001〜0.02%、レニウム(Re):0〜3.0
% を含み残部が鉄(Fe)および不可避的不純物からなり、
前記平均Bo値と平均Md値とが、それぞれ1.805〜1.817の
範囲、0.8520〜0.8628の範囲にあるフェライト系耐熱
鋼。
上記(3)の耐熱鋼は、特にタービン材料として好適
なものであり、(4)の耐熱鋼はボイラ材料として好適
なものである。(2)から(4)までの耐熱鋼に不可避
的に混入する不純物元素の中で、特にNiは0.40質量%以
下に抑えるのが望ましい。また、上記(4)の耐熱鋼で
はPおよびSをそれぞれ0.01質量%以下に抑えるのが望
ましい。
[発明を実施する最良の形態] 本発明方法の最大の特徴は、分子軌道計算法の一つで
あるDV−Xαクラスター法を用いて体心立方晶(以下、
BCCと記す)の鉄基合金中の各種元素の合金パラメータ
を導出し、その合金パラメータにより、合金元素の特徴
を解明して、所望の特性を持つフェライト系鉄基合金に
ふさわしい合金元素およびその含有量の選定を行うこと
にある。また、上記の合金パラメータを用いれば、フェ
ライト系耐熱鋼の相安定性と高温クリープ特性が評価で
きる。従って、フェライト系耐熱鋼の理論的な評価が可
能であり、その評価結果を新しい耐熱鋼の開発に役立て
ることができる。
上記の本発明方法によって設計された新しい化学組成
のフェライト系耐熱鋼が前記(2)から(4)までの本
発明鋼である。
まず、本発明方法の基本原理について順次説明する。
[I]分子軌道法による合金パラメータの導出について 図3は、bcc Fe合金の電子構造の計算に用いたクラス
ターモデルを示す図である。このモデルでは、中心にあ
る合金元素Mがその第1および第2近接位置にある14個
のFe原子に取り囲まれた構造になっている。クラスター
内の原子間距離を純Feの格子定数0.2866nmを基に設定
し、中心の原子を各種合金元素Mに置き換えたときの電
子構造を、分子軌道計算法の一つであるDV−Xαクラス
ター法(Discrete−Variation−Xαクラスター法、詳
しくは、例えば、三共出版「量子材料化学入門」…文献
4、および前掲の特公平5−40806号公報、参照)によ
り計算した。
図4に計算によって得られた2つの合金パラメータの
値を示す。その1つは、Fe−M原子間の電子雲の重なり
度合を表す結合次数(Bond Order:Boと略記する)であ
る。このBoが大きいほど原子間の結合は強い。もう一つ
は、合金元素Mのd軌道エネルギーレベル(Mdと略記す
る)である。このMdは、電気陰性度や電子半径と相関の
あるパラメータである。Mdの単位はエレクトロン・ボル
ト(eV)であるが、簡単のため以下の説明では単位を省
略する。
図4に示した非遷移金属元素の炭素(C)、窒素
(N)、および珪素(Si)のMdの値は、状態図や実験デ
ータを基にして決定した。d電子を持たないこれらの元
素を遷移金属と同じ枠組みの中で議論するために、この
ような取り扱いを行った。
合金においては次式のように各元素の組成平均をと
り、平均のBoおよびMdを定義する。
平均Bo値=ΣXi・(Bo)i ・・ 平均Md値=ΣXi・(Md)i ・・ ここでXiは合金元素iのモル分率、(Bo)iおよび
(Md)iは、それぞれi元素のBo値およびMd値であり、
フェライト鋼では図4の値を使う。なお、図4中に記載
されていない元素のMdおよびBoはともに0とする。
[II]合金パラメータによる合金元素の特徴の解明と合
金元素の選択について 図5は、各元素(M)の合金パラメータを「平均Bo−
平均Mdマップ」上にまとめたものである。ここではFe−
1mol%M合金の位置を●印で示した。このように、合金
元素によってその位置は大きく変化する。○印で示すFe
の位置より右上方にある元素はMnを除いてすべてフェラ
イト形成元素である。一方、Mnと左下方にある元素はオ
ーステナイト形成元素である。
フェライト系耐熱鋼の合金元素としては、Boは高く、
Mdは低い方が良い。Boが高ければ原子間の結合力が強く
なるので、材料強化に有効である。一方、Mdは、後述す
るように合金の相安定性と関係しており、合金の平均Md
が高くなると第2相(δフェライト相など)が析出して
くる(例えば、鉄と鋼、第78巻(1992)p.1377…文献5
…参照)。高平均Bo、低平均Mdという観点から図5をみ
ると、Crが最もこの条件に合致している。合金ベクトル
の傾き、すなわち「平均Bo/平均Md」比は、Crが最も大
きいからである。Cr以下、この比は、Mo、W、Re、V、
Nb、Ta、Zr、Hf、Tiの順に小さくなる。
一方、オーステナイト形成元素について注目すると、
Mnを除き、「平均Bo/平均Md」比は負になり、その大き
さはCo、Ni、Cuの順に小さくなる。図1および図2に見
られるように、ボイラ用材料中にはNiを含まないものが
多いが、タービン用材料にはNiを積極的に添加すること
が多い。Cuは、ボイラ用材料のHCM12Aに含まれている。
しかし、Coはどの合金にも含まれていない。
上記の理論的な推定から、フェライト系耐熱鋼の添加
元素として好ましいと思われる元素であるにもかかわら
ず、これまで積極的に使われていない元素としてCoの外
にReがある。本発明のフェライト系耐熱鋼は、後述する
ように、CoまたはCoとReを必須成分として含むものであ
る。
フェライト系耐熱鋼は、焼もどし処理をして焼もどし
マルテンサイト単相の組織とする場合が多い。長時間の
高温クリープ破断強度を上昇させるためには、できるだ
け高い温度での焼もどしが必要である。従って、焼もど
し温度の上限となるAc1変態点を上昇させる必要があ
る。Ac1変態点は経験的に次式で与えられている。
Ac1点(℃)=760.1−23.6Mn−58.6Ni−8.7Co−6.0Cu +4.2Cr+25.7Mo+10.3W+84V ・・ なお、式の元素記号はそれぞれの元素の含有量(質
量%)を示す。
図6にbcc Feに各元素を1mol%添加したときの平均Md
とAc1点の変化(ΔAc1)の関係を示す。上述のように平
均Mdが小さくて、Ac1点を上昇させる元素が耐熱鋼の合
金元素として最も適している。この視点から図6をみる
と、「ΔAc1/平均Md」の比が比較的大きなVは有効な元
素であるといえる。また、CrはΔAc1の上昇にはほとん
ど寄与しない元素である。一方、オーステナイト形成元
素であるNiとCoを比べれば、Coの方がAc1点をあまり低
下させない元素である。この点から、NiよりもCoの方
が、合金元素としては適していると言える。
MnはAc1点を下げ、かつBoもあまり大きくないので、
できればその含有量を減少させた方がよい元素である。
また、CuのAc1点を下げる作用は、Coとほぼ同程度なの
で、図1のHCM12Aに見られるようにCu添加が実際に試み
られている。
[III]フェライト系耐熱鋼の相安定性の評価 フェライト系耐熱鋼ではクリープ特性および靱性向上
のため、δフェライト相の生成を抑える必要がある。本
発明方法ではかなりの精度でδフェライト相の生成が予
測できる。
図7は、1050℃で焼ならしをしたNi含有量の異なる材
料中に残留するδフェライト量を平均Mdパラメータによ
って整理した結果である。δフェライト相はNiが無添加
の場合、平均Mdが0.852を超えたあたりから生成し始
め、平均Mdが高くなるにしたがって、その量は比例的に
増加する。またオーステナイト形成元素であるNiの添加
によって、生成境界の平均Md値は若干高くなる傾向があ
る。
δフェライト量を合金組成から予測し、その生成を抑
えることができるため、この平均Mdによる予測は、フェ
ライト系耐熱鋼の合金設計にきわめて有用である。ま
た、Laves相(Fe2W、Fe2Moなど)の生成もNiを含まない
時は予測できる。Laves相はNi添加により生成しやすく
なる。
〔IV〕既存のフェライト系耐熱鋼の評価 (i)ボイラ材料 図8は、図1に示したボイラ用9〜12Cr鋼の組成から
平均Boと平均Mdの値を求め、それを「平均Bo−平均Mdマ
ップ」の上にプロットしたものである。なお、これらの
鋼とよく比較される2・1/4Cr−1Mo鋼(JIS STBA24)の
平均Boの値は1.7567、平均Mdの値は0.8310であり、図8
の中に示した材料の値に比べて遥に小さく、同図中には
表示できない。
前掲の文献1に紹介されているように、9Cr鋼ではT9
→T91→NF616の順に改良が進んでいる。T9(9Cr−1Mo)
に炭(窒)化物形成元素であるV、Nbを添加し、かつ、
その添加量を最適化することによって開発された材料が
T91(Mod.9Cr−1Mo)である。NF616は、T91のMo量を減
少させ、その代わりにWを添加して作られた材料で、こ
れは現在、最高のクリープ破断強度を示す9Cr鋼であ
る。
上記の9Cr鋼の発展経過は「平均Bo−平均Mdマップ」
の上では矢印で示すように高平均Md、高平均Bo化への変
化として理解できる。NF616の平均Md値は0.8519であ
り、上述のNiを含まないときのδフェライト相の生成の
境界平均Md値に一致している。このようにNF616はδフ
ェライト相が生成しない、ぎりぎりの範囲まで合金元素
を添加して強化を図った材料であるといえる。NiやCoの
ようなオーステナイト安定化元素を含まない合金系で
は、これ以上優れた鋼は今後も現れないと考えられる。
12Cr鋼は、HT9→HCM12→HCM12Aのように発展してきて
おり、HCM12はHT9からC量を減じ、WおよびNbを添加し
てできた材料である。HCM12AはHCM12からMo量を減じ、
代わりにW量を増やした材料である。よく言われている
ように、Mo当量〔=Mo+(1/2)W〕が1.5%以下になる
ように成分が調合されている。また前述のようにCuを1
%加えてδフェライト相の生成を抑えている。
上記の12Cr鋼の発展経過を図8の「平均Bo−平均Mdマ
ップ」上で追ってみると、矢印で示すようにジグザグに
なっている。HCM12Aの平均Md値は0.8536であり、δフェ
ライト相の生成境界値にほぼ一致しているが、若干高め
である。前述のNiやCo同様にオーステナイト生成元素の
Cuが1%入っているので境界平均Md値は若干高くなって
いる。1%のCuが入っている場合、境界平均Md値は、ほ
ぼ0.853〜0.854と予想される。従ってHCM12Aはδフェラ
イト相の生成しない限界をぎりぎりに狙った材料といえ
る。熱処理を少し違えれば、δフェライト相が出現する
ことも予想される。
平均Md値が0.8606と高く、オーステナイト生成元素を
含んでいないHCM12中には、δフェライト相が体積率で
約30%も出現する。TB12については不明であるが、この
高い平均Md値(0.8594)から判断すると、δフェライト
相が現れているものと思われる。9 Cr系鋼でも平均Md値
が高い材料であるEM12、Tempaloy F−9、HCM9Mなどで
もδフェライト相が出現することは良く知られている。
以上をまとめてみると、NF616、HCM12A等の最近開発
された材料はδフェライト相の無いマルテンサイト単相
の組織をもち、かつ大きな結合次数をもつことが分か
る。なお、図8中に□で示すB1〜B5は、後述する実施例
の本発明鋼であり、太字の平行四辺形で囲った領域が本
発明のフェライト系耐熱鋼(前記(2)の耐熱鋼)の平
均Md値と平均Bo値の範囲である。
上記の平行四辺形の領域を拡大して示したのが図9で
ある。同図において、A、B、CおよびDの各点の座標
点は下記のとおりである。
A点・・・平均Md値=0.8563、平均Bo値=1.817 B点・・・平均Md値=0.8520、平均Bo値=1.805 C点・・・平均Md値=0.8585、平均Bo値=1.805 D点・・・平均Md値=0.8628、平均Bo値=1.817 図10は、600℃での許容応力を縦軸にとり、横軸の平
均Boとの関係を示したものである。図中の□印の合金は
δフェライト相が現れる材料である。一方、●印で示し
た合金は、δフェライト相の現れない材料である。δフ
ェライト相が現れない材料の許容応力は、平均Boととも
に直線的に増加していることがわかる。一方δフェライ
ト相が現れる材料の許容応力はどれも小さく、直線より
下にくる。δフェライト相の存在は溶接性を高めるため
に有効であるかも知れないが、許容応力を上げるには、
その生成を抑制することが必要である。
(ii)タービン材料 ii−1ロータ材 タービン用9〜12Cr鋼(図2参照)の発展過程も文献
1に紹介されている。まず、ロータ材料に注目すれば、
(小型部材用のH46)→GE→TMK1→TMK2のように推移し
ている。GE材はH46を大形ロータ材として改良したもの
で、改善の要点は、凝固時の大型鋳塊中の異常偏析(δ
フェライト相、Mn S、粗大NbCなどの偏析)を防止する
ために、Nb量を0.1%以下、Cr当量を10%以下にした点
である。このGE材からC量を減じ、またMo当量を高める
ことによってTMK1ができた。さらにTMK1よりMo量を減
じ、W量を増やして、クリープ破断強度を高めた材料が
TMK2である。
図11は、この12Cr鋼の発展過程を「平均Bo−平均Mdマ
ップ」上で整理したものである。なお、この図にも後述
する実施例の本発明鋼(T1〜T5)の位置を□で示し、本
発明のフェライト系耐熱鋼(前記(2)の耐熱鋼)の平
均Md値と平均Bo値の範囲を太字の平行四辺形で示した。
H46からGEの変化は大幅な低平均Md化、低平均Bo化へ
の変化である。このことから、大型ロータを作るため
に、いかに偏析を恐れたかがわかる。しかし、GE→TMK1
→TMK2への変化は、高平均Md化、高平均Bo化への変化で
あり、これはボイラ材のT9→T91→NF616の変化と同じ傾
向である。徐々にではあるが、性能の向上を目指して、
結果的には平均Md値をH46に近づけようとしていたと言
える。
上記のようにしてH46より平均Bo値が大きなTMK1、TMK
2が開発された。TMK2の平均Bo値は1.8048、平均Md値は
0.8520であり、これは図8のNF616の平均Bo値の1.802
6、平均Md値の0.8519と大変近い。すなわちボイラ材、
タービン材にかかわらず、その平均Bo、平均Mdの位置は
ほぼ同じところに集まっている。TMK1およびTMK2にはNi
が0.5〜0.6%入っているので、δフェライト相の生成境
界平均Md値は約0.855である(図7参照)。
現在、若松発電所で実施されている超高温タービン実
証試験において593℃用として開発された材料の593℃、
100,000時間クリープ破断強度は12.4kgf/mm2(122MPa)
であり、TMK1のそれに近い。実際、その「平均Bo−平均
Mdマップ」上の位置(Wakamatsu rotorと表示)もTMK1
に極めて近い。これはTAFを基にしてC、Nを最適化し
て開発された材料である。また、最近GE材を基にして59
3℃用の12Cr系耐熱鋼が開発されている。この材料の593
℃、100,000時間クリープ破断強度は15.3kgf/mm2(150M
Pa)であり、上記のWakamatsu rotorより若干上回って
いる。しかし、この耐熱鋼の「平均Bo−平均Mdマップ」
の上の位置(記号Aで示す)はTMK2よりも低Md側にあ
る。
ii−2鋳鋼材 タービン部品において車室や翼環などには鋳鋼品が適
しているが、従来の2・1/4 Cr−1Mo鋼では高温強度が
不十分であり、593℃以上の蒸気条件では使用できな
い。図12に各メーカで開発された9〜12Cr鋳鋼材の組成
を示す。これら鋳鋼の「平均Bo−平均Mdマップ」上の位
置は、図11から明らかなように、ロータ材に比べて低平
均Bo、低平均Md側にある。これは鋳鋼材であるために、
偏析によりδフェライト相が生成しないような安全サイ
ドの成分調整が行われているからである。この中でTSB1
2CrはMJC12やT91鋳鋼の近くに位置している材料であ
り、すでに川越1、2号機で実用化されている。またMH
I12Crは、前記の若松超高温タービン実証試験に使われ
ている材料であるが、平均Mdが低く、偏析を避ける設計
が行われていることがわかる。一方、HITACHI 12Crは
鋳鋼の中では高平均Md、高平均Boの位置にある。
以上のように、「平均Bo−平均Mdマップ」を用いるこ
とにより、材料の特徴がかなり明確に浮かび上がってく
る。これまでの材料の開発過程をこのマップで整理でき
るのみならず、このマップを使用して、既存のものを凌
ぐ特性を持つ新しいフェライト系耐熱鋼を開発すること
が可能であることがわかる。
〔V〕「平均Bo−平均Mdマップ」上での最適範囲 図8、図11に示し、さらに拡大して図9に示した平行
四辺形で囲まれる範囲が耐熱鋼の「平均Bo−平均Mdマッ
プ」上での最適範囲である。ここで、直線BCは平均Bo値
が1.805の直線であり、これより平均Bo値を下げるとク
リープ特性が劣化する(図10参照)。直線ADは平均Bo値
が1.817の直線であり、相安定性を保ったままで、これ
より平均Bo値を上げることは実際上不可能である。
図9のD点は、平均Md値が0.8628の点であり、これは
材料の実際の製造時にδフェライトを生成させないため
の安全上限値である。B点(平均Bo値が1.805、平均Md
値が0.8520)の値よりも更に平均Bo値と平均Md値を下げ
るのは、合金の高温特性上、好ましくない。
従って、高温クリープ特性に優れたフェライト系耐熱
鋼の製造に当たっては、平均Bo値が1.805から1.817の範
囲で、かつ平均Md値が0.8520から0.8628の範囲になるよ
うに成分設計を行えばよい。
図9のABおよびCDの直線の方向は、図5に示したよう
に、Cr、V、Mo、W、Nb、Ta、Re、Mn、Coの合金ベクト
ルの方向に近く、平均Bo値を上げると平均Md値がこの方
向に沿って上がることを示している。即ち、平均Bo値と
平均Md値が図9の直線AB、BC、CDおよびDAで囲まれる範
囲にある耐熱鋼(前記(3)の本発明の鋼)は、最も理
想的なフェライト系耐熱鋼である。なお、この鋼におけ
るCrとCの含有量の範囲は、高クロムフェライト系耐熱
鋼の基本的な特性を確保する範囲である。Coの0.5%
は、δフェライト相の出現を避けるための最小限の量で
ある。一方、Coを4.3%を超えて含有させても、クリー
プ特性の大きな改善はない。CoはAc1変態点を低下させ
る元素であるから、その含有量は4.3%までにとどめる
べきである。また、WはBo値の大きな元素であり、高温
クリープ特性を改善するには必須の合金元素で、最少で
も0.5%は必要である。しかし、過剰に添加すれば耐酸
化性を損ない、また、ラーベス相も出やすくなって脆化
を招き、クリープ特性にも悪影響を及ぼすおそれがあ
る。そのため、W含有量の上限は2.6%とした。
これらの基本成分の外の合金元素の種類およびそれら
の含有量は、平均Boと平均Mdとが、前記図9の最適範囲
(平行四辺形で囲まれる範囲)に入るように選定すれば
よい。不可避的な不純物であるNiはできるだけ少ないこ
とが望ましいが、製造時にスクラップを使用することを
考慮して、0.40%までは許容することとした。
〔VI〕本発明方法の具体的実施の指針 これまでに述べた理論および経験則を基にして、本発
明方法では、次のような指針に沿ってフェライト系耐熱
鋼の成分設計を行う。
1)高温クリープ特性に有害なδフェライト相の析出
を抑え、靱性ならびにクリープ特性を改善する。
2)Ac1変態点をできるだけ高温にしてクリープ特性
を改善する。Niはクリープ特性を劣化させるので、その
使用を避け、不純物として混入する量も0.40%以下に抑
える。
3)上記1)および2)の観点から平均Md値の適正範
囲を選ぶ。図7に示したように、δフェライトの生成を
抑えるには、Niが0.40%以下の場合、平均Md値を0.8540
以下とすることが必要であるが、Coを4%程度まで高め
に含有させることにより、平均Md値は0.8628まで高める
ことができる。
4)クリープ特性と結合次数(平均Bo)との間には図
10に示したような相関がある。結合次数が高くなるほ
ど、材料の融点も上がるため、クリープ特性も向上する
と考えてよい。そこで、δフェライト相が生成しない範
囲、即ち、平均Md値が0.8628以下である範囲で、できる
だけ結合次数が高くなるように化学組成を選択する。
5)上記の1)〜4)から、平均Bo値が1.805〜1.817
の範囲、平均Md値が0.8520〜0.8628の範囲にそれぞれ収
まるように、化学組成を選定することを基本的な成分設
計指針とする。
さらに、タービン用またはボイラ用を主用途とする耐
熱鋼の成分設計では、 6)オーステナイト安定化元素であるCoを必須成分と
し、さらに高温強度と相安定性の向上が必要な場合には
Reの添加を行う。
7)W、Mo、V、Nb、ReおよびCoの含有量について
は、平均Bo値と平均Md値を基に最適化を図る。
上記の指針に沿って製造された鋼が、図13に示す本発
明のNo.1およびNo.2の耐熱鋼である。No.1は、従来の材
料に比べてはるかに高温強度が高く、特にタービン用材
料として好適なものであり、ここではTシリーズと呼
ぶ。No.2は高温クリープ強度が高くて溶接性にすぐれ、
特にボイラ用として好適なものであり、ここではBシリ
ーズと呼ぶ。
〔VII〕本発明の高強度フェライト系耐熱鋼について 図13に、本発明のフェライト系耐熱鋼(上記のNo.1と
No.2の耐熱鋼)の組成を示す。タービン用材料およびボ
イラ用材料としてそれぞれ現在もっとも高性能なもので
ある前記TMK2とNF616を凌ぐ特性を得ることを目標とし
て成分設計を行った。
タービン用のTMK2はNiを含むが、本発明鋼ではNiの代
わりにCoを添加している。そのため、Coの量が少なすぎ
るとδフェライト相が出やすくなる。そこで、先に
〔V〕で述べたように、Coの含有量を0.5〜4.3%の範囲
とした。
Reは、図5に示したように(平均Bo/平均Md)の比が
大きく、相安定性を損なわずに、鋼の強度を向上させる
元素である。0.01%程度の微量でも効果はあるが、上記
の効果を確実にするには、その含有量は0.1%以上とす
るのがよい。しかしながら、Reの含有量が3.0%を超え
ると、合金の相安定性が悪くなる。また、Reは高価な元
素であるから、3.0%を超えて含有させるのは経済的に
も好ましくない。
Cr量は、δフェライト相を出さない範囲で、鋼の平均
Mdと平均Boの値をできるだけ高くするよう調整した。
以下、No.1の鋼(主用途はタービン用)およびNo.2の
鋼(主用途はボイラ用)のそれぞれの具体的な合金組成
について説明する。
(i)No.1の鋼(Tシリーズ) この鋼はタービン用材料(ロータ材、ブレード材およ
び鋳鋼部品用材料。ただし、鋳鋼として使用する場合に
は、平均Boと平均Mdがいずれも小さい値となるように成
分調整を行うのが望ましい。)を代表的な用途とする
が、その外に自動車、航空機等のエンジンまわりの部品
等の材料としても好適である。
1)この鋼には0.5〜4.3%のCoを含有させた。Niに比
べて、Coのオーステナイト安定化能は、約1/2である。
従って、δフェライト相の出現境界の平均Md値は、3.0
%Coの場合は約0.860と推定される。これらの平均Md値
は、図7において、1.5%Niのときのδ相出現境界値に
対応している。
前記式から明らかなように、CoはNiに較べてAc1
を低下させる作用がはるかに小さい。従って、Niに代え
てCoを添加すれば、Ac1点を高く維持することができ、
焼もどしを高温で行うことができるという大きな利点が
ある。
前記のとおり、Niは鋼のクリープ特性を劣化させるの
で本発明鋼ではNiをCoで置換することを原則とする。従
って、Niの含有量は低い程望ましいのであるが、この種
の鋼の製造にはスクラップを使用するので、製造コスト
の面からある程度のNiの混入は許容せざるを得ない。こ
の実生産上の都合と図7に示したδフェライトの生成条
件を考慮して本発明ではNiの許容上限を0.40%とする。
なお、Niは0.25%以下とするのが更に望ましい。
2)平均Md値を調整するために、Md値が負であるN
(窒素)の含有量の範囲を0.01〜0.10%とした。
3)Mnの含有量の許容上限値は0.45%とした。低Mn化
は、低Si化とともに、不純物元素の粒界偏析に起因する
脆化と炭化物の析出に起因する脆化を抑制する効果を持
ち、鋼の脆化感受性を著しく小さくする。従って、Mnは
可及的に少ない方がよい。即ち、Mn含有量の下限値は実
質的に0である。
4)Reは、図5に示したとおり、フェライト系耐熱鋼
の合金成分として好ましい元素である。ただし、高価な
成分であるから、必要に応じて添加する。添加するとき
は、その破壊靱性改善の効果を確保するため、その含有
量は0.01%以上、望ましくは0.1%以上とする。上限は
前記の理由で3.0%とする。なお、後述する理由によりR
eの添加による成分の調整はMoとWで行うのが望まし
い。そこで、Moの下限値を0.02%とした。
Wの望ましい含有量は、1.0%から2.0%未満である。
先に〔V〕で述べたように、Wが過剰になれば、鋼に種
々の悪影響を及ぼすおそれがある。Wの一部をこのよう
な弊害のないReで補うのが望ましい。
5)Bは、前述のように、焼入れ性の向上と組織の微
細化を狙ってフェライト系耐熱鋼にも添加することが多
い。本発明鋼でも、強度と靱性を一層高めるためにBを
添加し、高温クリープ強度の向上のために含有量は0.00
1%以上とする。但し、Bが0.02%を超えると加工性が
損なわれるので、その含有量は0.02%以下とする。
6)Crの含有量は、上述の方針に従って、合金の平均
Bo値および平均Md値をできるだけ高くなるように変化さ
せた。
7)脱酸剤としては、Siを用いる。ただし、Siは鋼の
靱性を劣化させるので、その鋼中残留量は少ない方がよ
く、実質的に0であってもよい。Siの含有量の許容上限
は0.10%とする。Alも脱酸剤として使用されることがあ
るが、AlNを生成してNの効果を減じるので、その含有
量はsol.Alとして0.02%以下にするのがよい。P(り
ん)およびS(硫黄)は不可避的不純物であり、それぞ
れ0.01%以下とし、極力少なくして鋼を高清浄化するの
が望ましい。
(ii)No.2の鋼(Bシリーズ) この鋼の主たる用途は高温・高圧蒸気条件で使用され
るボイラ用である。しかし、化学工業用その他の熱交換
器管用としても広く使用できるものである。以下に、そ
の設計思想を説明する。
1) オーステナイトを安定化させるために、Coを0.
5〜4.3%含有させた。δフェライト相の出現境界の平均
Md値は、1.5%Coの場合は約0.856、2.5%Coの場合は約
0.858、3.0%Coの場合は約0.860(No.1の鋼のときと同
じ値)と想定される。これらの平均Md値は図7において
それぞれ0.75%Ni、1.25%Ni、1.5%Niのときの生成境
界値に対応している。この鋼でも、Niの積極的な添加は
行わない。不純物として混入する場合の許容上限値は、
Tシリーズと同じく0.40%、望ましくは0.25%である。
2) Reを必要に応じて添加することもNo.1の鋼の場
合と同じである。即ち、添加する場合は、同じ理由で0.
01%以上の含有量とするのが望ましい。一層望ましいの
は0.1%以上である。含有量の上限は3.0%である。Reの
添加による成分の調整もNo.1の鋼と同じくMoとWで行
う。図5の「平均Bo−平均Mdマップ」上では、ReとMoと
Wの合金ベクトルはほぼ同じ向きをもつので、Reの添加
の影響にはMoおよび/またはWの添加量の減少で対応で
きる。Reの合金ベクトルの大きさはMoとWのそれよりも
小さい。従って、平均Boと平均Mdを元の値に保つ場合で
も、Moまたは/およびWを少し減らして、Reを多く添加
することができる。なお、Wの望ましい含有量はNo.1の
鋼と同様である。
3)Crの含有量はタービン用鋼と同じく、平均Bo値と
平均Md値をできるだけ高くなるように変化させた。Crの
含有量が増えればAc1点も高くなり、クリープ特性が向
上する。
4)Bシリーズの耐熱鋼でもSiを脱酸剤として使用す
る。ボイラ材料では高温水蒸気酸化が大きな問題となる
が、Siにはそれを防止する効果がある。この効果とSiが
鋼の靱性および高温クリープ強度を劣化させることとを
考慮して、No.2の鋼ではSiの許容上限を0.50%とした。
5)Mn、Al、N、B等の元素および不可避的不純物に
ついての考え方もNo.1の鋼と同じである。ただし、C
は、溶接性向上を意図してNo.1の鋼よりも低めにした。
〔実施例〕
1.試験材の製作 (1)Tシリーズについて 図14に示す化学組成の合計6チャージを真空高周波誘
導溶解炉で溶解し、50kgのインゴットを製作した。この
インゴットを1170℃に加熱し、厚さ130×巾35(mm)に
熱間鍛造して冷却した後、結晶粒調整のために1100℃×
5hr−空冷の焼準と、720℃×20hr−空冷の焼鈍を行っ
た。
上記の処理の後、実機タービンロータの中心部を模擬
した下記の熱処理を施した。
1070℃×5hrの加熱−油冷(焼入れ) 570℃×20hr−空冷(一次焼戻し) T℃×20hr−空冷(二次焼戻し) 図14のT0は標準材として試験した前記の既存のタービ
ンロータ用耐熱鋼TMK2である。T1からT5までは、本発明
方法で設計されたNo.1の耐熱鋼である。これらタービン
材料を主用途とする鋼を前記のように「Tシリーズ」と
いう。
図14に示すとおり、本発明鋼は、Coを約3%含有す
る。このうちT1とT3はReを約0.9%、T5は約1.7%含む鋼
である。これらの鋼の平均Mdと平均Boを図15に示す。ま
た、図11の「平均Bo−平均Mdマップ」上にその位置を□
で示した。T1〜T5のすべてがTMK2より高平均Bo、高平均
Md側にある。
図15には、TMK2およびT1〜T5のAc1点およびAc3点も併
記した。本発明のT1〜T5のAc1点はTMK2のそれより14〜3
2℃高いため、優れた高温特性を持つことが予想され
る。
(2)Bシリーズ 図14に示す化学組成の合計6チャージを真空高周波誘
導溶解炉で溶解し、50kgのインゴットを製作した。この
インゴットを1150℃に加熱し熱間鍛造して、厚さ50×巾
110(mm)の厚板を製造した。この厚板を約300mm長さに
切断した後、1150℃に加熱して熱間圧延により厚さ15×
巾120(mm)の板を製作した。その後「1050℃×1Hr保持
−空冷」の焼ならしを施して試験材とした。
図14のBOは標準材で、前記の既存のボイラ用鋼NF616
である。B1からB5までが本発明方法で設計した本発明の
No.2の耐熱鋼である。これは主にボイラ用を意図したも
のであり、これらの材料を「Bシリーズ」という。
BシリーズではCoは約1.5%(B1、B2)、約2.5%(B
3、B4)および約3%(B5)の3水準とした。B2、B4お
よびB5はReを含有する。これらの鋼の平均Md、平均Bo、
Ac1点およびAc3点を図15に示す。
図8の「平均Bo−平均Mdマップ」上に、本発明鋼の位
置を□で示した。図示のとおり、B1〜B5のすべてがNF61
6より高平均Bo、高平均Md側にあり、NF616以上の高温特
性をもつことが期待される。
図10の「許容応力−平均Bo図」上に、本発明のNo.2の
鋼の平均Boの位置を矢印で示した。前記の成分設計指針
から、B1〜B5中にはδフェライト相は生成しないと思わ
れるので、図中に引かれた直線から、その許容応力が推
定できる。B3、B4およびB5は600℃において約98MPa(10
kgf/mm2)程度の許容応力を有すると予想される。
2.試験方法 上記の試験材を用いて各種の試験を行った。試験方法
は下記のとおりである。
(1)常温引張試験(Tシリーズ、Bシリーズ共通) TシリーズではJIS 4号試験片を使い、Bシリーズで
はJIS 14号試験片を使用して引張試験を実施した。
(2)ミクロ組織観察(Tシリーズ、Bシリーズ共通) ビレラ液(塩酸ピクリン酸アルコール)でエッチング
し、100倍と500倍の顕微鏡で観察した。
(3)高温引張試験(Tシリーズ、Bシリーズ共通) JIS G 0567I形試験片を使い、JIS G 0567に従って高
温引張試験を実施した。
(4)シャルピー衝撃試験 JIS 4号衝撃試験片を用い、シャルピー衝撃試験を実
施した。
(5)クリープ破断試験(Tシリーズ、Bシリーズ共
通) JIS Z 2272に従って、φ6×30GL(mm)の丸棒試験片
にてクリープ破断試験を実施した。
(6)溶接熱影響部の最高硬さ試験(Bシリーズのみ) JIS Z 3101(2号試験片による)に従い、試験片中央
部に溶接ビードをおき溶接熱影響部の最高硬さを測定し
た。溶接条件は下記のとおりである。
溶接材料:NF616(日鉄溶接(株)製)4.0mmφ 予熱温度:150℃ 溶接電流:170A 溶接電圧:25V 溶接速度:15cm/min 入 熱 :17KJ/cm (7)バレストレイン試験(Bシリーズのみ) 厚さ15mm、幅50mm、長さ300mmの試験片を用いてロン
ジ式バレストレイン試験を実施した。この試験は、TIG
溶接によってビード溶接を行い、ビードの途中に衝撃的
に曲げ荷重をかけ、高温割れを発生させる試験方法で、
試験条件は下記のとおりである。
使用電極:3.2mmφTh−W電極(TIG溶接) 溶接電圧:18〜19V 溶接電流:300A 溶接速度:100mm/min アルゴン流量:15リットル/min 表面ひずみ:ε=4% 3.試験結果 (1)焼もどし試験および標準焼もどし条件の決定 (i)Tシリーズについて 前記1(1)の二次焼戻しの温度Tを630℃、660
℃、690℃および720℃とする熱処理を施した後、常温引
張試験を実施した。試験結果を図16に示す。
図16に示すとおり、Tシリーズにおいては焼もどし温
度が630〜660℃と低い場合、T3、T4、T5の0.2%耐力とT
4の引張強さはT0とほぼ同等であるが、690℃以上の焼も
どし温度ではT3、T4、T5の引張強さおよび0.2%耐力
は、ともに標準材のT0(TMK2)の値を大きく上回る。T
1、T2の0.2%耐力と引張強さは、いずれの焼もどし温度
においてもT0(TMK2)の値より大きい。最も大きな0.2
%耐力を持つのはT1である。図16からも明らかなよう
に、標準材であるT0より本発明のT1〜T4は焼もどし軟化
抵抗が大きく、CrとCoの効果が明白である。
(ii)Bシリーズについて 前記1の(2)の焼ならし材に670℃、700℃、730
℃、760℃、780℃および800℃の各温度で3hr加熱し、空
冷する焼戻し処理を施し、常温引張試験に供した。試験
結果を図17に示す。
図17に示すとおり、Bシリーズの引張強さおよび0.2
%耐力も、いずれの焼もどし温度においても標準材B0
(NF616)の値が最も低く、B1およびB2、B5、B3およびB
4の順に大きくなる。ここでも、標準材(B0)に比べて
本発明のB1〜B5の鋼は焼もどし軟化抵抗が大きく、Cr、
Coの効果が認められた。また、図17にはReの効果も現れ
ている。
図16および図17の結果を考慮し、各種の調査を行うた
めの試験材の標準焼もどし条件を次のように決定した。
標準焼もどし処理 Tシリーズ:680℃×20hr−空冷 Bシリーズ:770℃×1hr−空冷 (2)標準焼もどし処理材の調査 上記TシリーズおよびBシリーズそれぞれの上記の条
件での標準焼もどし処理材について、前述の各種調査を
行った。
(i)常温引張試験 常温引張試験結果を図18に示す。Tシリーズ、Bシリ
ーズとも、本発明鋼は標準材のT0、B0を上回る引張強さ
を持つ。破断伸びはいずれの材料も約20%であり、良好
な性質を示した。
(ii)高温引張試験 高温引張試験の結果を図19に示す。各材料間の600℃
での引張強さおよび0.2%耐力は、常温でのそれと同一
傾向を示し、Tシリーズ、Bシリーズとも本発明鋼は標
準材のT0、B0以上の引張強さを示した。また、Tシリー
ズ、Bシリーズとも、破断伸び、破断絞りにおいて良好
な性質を示した。
Coを添加することにより、耐食性を向上させるCrの添
加量を増やすことが可能になり、かつ、上記のように強
度特性の改善効果が得られている。また、Reは、強度に
関してMoおよびWと補完的な作用を有し、後述するよう
に、靱性向上にも有効な元素であることが確認された。
CoとReの複合添加により、標準材に較べて耐食性に優
れ、かつ、強度、靱性でも勝る鋼が得られる。
(iii)シャルピー衝撃試験 Tシリーズの延性−脆性遷移温度(FATT)を図20に示
す。後述する高温クリープ強度が高いものほどFATTの上
昇が見られるが、実用上は何ら問題のない範囲におさま
っている。
Bシリーズについては0℃の吸収エネルギーを図21に
示した。いずれも10kgf・m以上であり、ボイラ材とし
てまったく問題のない靱性である。
(iv)ミクロ組織観察 TシリーズおよびBシリーズとも、すべての試験材が
焼もどしマルテンサイト組織であった。なお、どの試験
材にもδ−フェライトは殆ど見られなかった。
(v)クリープ破断試験結果 TシリーズおよびBシリーズの650℃でのクリープ破
断試験結果の一例を図22および図23にそれぞれ示す。両
シリーズとも、標準材(T0、BO)と比較して、本発明鋼
のクリープ破断特性が優れていることが明らかである。
特に、Tシリーズの本発明鋼は、国内外でこれまでに開
発された材料のいずれをも凌ぐ優れたクリープ破断特性
を示した。
各鋼種について7条件のクリープ破断試験を実施し、
それらの結果を基にして種々の温度での100,000時間の
クリープ破断強度をラルソン−ミラー(Larson−Mille
r)パラメータを用いて内挿で求めた。温度は、Tシリ
ーズについては580℃、600℃、625℃および650℃の4
種、Bシリーズについては、600℃および625℃の2種と
した。結果を図24と図25に示す。Tシリーズ、Bシリー
ズとも、本発明鋼の破断強度は、標準材(TO1,B01)の
それに較べて著しく高い。
(vi)溶接熱影響部の最高硬さ試験結果 Bシリーズについて、溶接時に低温割れ感受性を調べ
るためにこの試験を行った。結果を図26に示す。いずれ
も410〜420Hvで、通常の12Cr鋼なみの低温割れ感受性で
あると推定される。
(vii)バレストレイン試験結果 同じくBシリーズについて、溶接時の高温割れ感受性
を調べるために、前述のロンジ式バレストレイン試験を
行った。トータル割れ長さを図27に示す。本発明鋼のト
ータル割れ長さは、標準材B0に比較して同等かやや大き
い値を示すが、参考として示したT91材よりは小さく、
通常の12Cr鋼なみの高温割れ感受性であると推定され
る。
上記(vi)および(vii)の試験結果から、Bシリー
ズは、優れた溶接性を必須とするボイラ材料として好適
であると言える。
[産業上の利用可能性] 本発明方法によれば、従来のように膨大な時間、費
用、労力を要する実験を行うことなく、理論的予測によ
りフェライト系鉄基合金の設計を行うことができる。こ
の方法を使用すれば、優れた特性を持つフェライト系耐
熱鋼をきわめて効率よく製造できる。この方法によれ
ば、実施例に示したような、既存の最高レベルの材料を
凌ぐ優れた特性を有するフェライト系耐熱鋼も理論的に
容易に設計できる。
本発明のフェライト系耐熱鋼は、Crを主合金成分とす
る組成からも伺えるように、優れた耐食、耐酸化性も備
えている。従って、本発明の鋼は、耐熱材料、耐食材料
として広汎な用途を有するが、特に苛酷な蒸気条件にさ
らされる火力発電等のエネルギープラント用材料として
きわめて有用である。近年、地球規模の環境問題に対応
するために高効率の超々臨界圧発電プラントの実用化が
進められているが、本発明の耐熱鋼はそのようなプラン
トの機器材料として十分な特性を備えるものである。
図面の簡単な説明 図1は、従来の代表的なボイラ用9〜12Cr鋼の化学組
成を示す図である。
図2は、従来の代表的なタービン用9〜12Cr鋼の化学
組成を示す図である。
図3は、bcc FeのMdとBoの計算に用いたクラスターモ
デルである。
図4は、元素のMd値とBo値を示す図である。
図5は、Feに1mol%の各種元素を添加した合金の平均
Boと平均Mdの位置と合金ベクトルを示す図である。
図6は、Feに各元素を1mol%を添加したときの平均Md
とAc1点の変化を示す図である。
図7は、平均Mdとδフェライト相の量との関係を示す
図である。
図8は、ボイラ用9〜12Cr鋼の発展過程を「平均Md−
平均Boマップ」に示した図である。
図9は、本発明の耐熱鋼の平均Md値と平均Bo値の領域
を示す図である。
図10は、ボイラ用9〜12Cr鋼の許容応力と平均Boとの
関係を示す図である。
図11は、タービン用9〜12Cr鋼の発展過程を「平均Md
−平均Boマップ」に示した図である。
図12は、従来の代表的なタービン用9〜12Cr鋳鋼の化
学組成を示す図である。
図13は、本発明のフェライト系耐熱鋼の化学組成の範
囲を示す図である。
図14は、実施例で用いた試験材の化学組成を示す図で
ある。
図15は、実施例で用いた試験材の平均Md値、平均Bo
値、および変態点を示す図である。
図16は、実施例の試験材中、Tシリーズ材料の焼もど
し温度と常温引張特性との関係を示す図である。
図17は、実施例の試験材中、Bシリーズ材料の焼もど
し温度と常温引張特性との関係を示す図である。
図18は、実施例の標準熱処理試験材の常温引張試験結
果を示す図である。
図19は、実施例の標準熱処理試験材の高温引張試験結
果を示す図である。
図20は、実施例の試験材中、Tシリーズのシャルピー
衝撃試験結果を示す図である。
図21は、実施例の試験材中、Bシリーズのシャルピー
衝撃試験結果を示す図である。
図22は、実施例の試験材中、Tシリーズのクリープ破
断試験結果の一例を示す図である。
図23は、実施例の試験材中、Bシリーズのクリープ破
断試験結果の一例を示す図である。
図24は、実施例の試験材中、Tシリーズの各種温度に
おける100,000時間のクリープ破断強度を示す図であ
る。
図25は、実施例の試験材中、Bシリーズの各種温度に
おける100,000時間のクリープ破断強度の推定値を示す
図である。
図26は、実施例の試験材中、Bシリーズの溶接熱影響
部の最高硬さ試験結果を示す図である。
図27は、実施例の試験材中、Bシリーズのバレストレ
イン試験結果を示す図である。
フロントページの続き (72)発明者 村田 純教 愛知県豊橋市飯村北5丁目12番地の6 (72)発明者 橋詰 良吉 大阪府大阪市北区中之島3丁目3番22号 関西電力株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−197550(JP,A) 特開 平3−53047(JP,A) 特開 平7−34202(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】体心立方晶の鉄基合金中における各種合金
    元素について、d電子軌道エネルギーレベル(Md)およ
    び鉄(Fe)との結合次数(Bo)をDV−Xαクラスター法
    によって求め、下記式および式でそれぞれ表される
    平均Bo値と平均Md値が、それぞれ1.805〜1.817の範囲、
    および0.8520〜0.8628の範囲となるように化学組成を決
    定することを特徴とすることを特徴とするフェライト系
    鉄基合金の製造方法。 平均Bo値=ΣXi・(Bo)i ・・ 平均Md値=ΣXi・(Md)i ・・ ただし、Xiは合金元素iのモル分率、(Bo)iおよび
    (Md)iはそれぞれi元素のBo値およびMd値である。
  2. 【請求項2】クロム(Cr)の含有量が9.0〜13.5質量
    %、炭素(C)の含有量が0.02〜0.14質量%、コバルト
    (Co)の含有量が0.5〜4.3質量%、タングステン(W)
    の含有量が0.5〜2.6質量%で、前記平均Bo値および平均
    Md値が図9の点AとB、BとC、CとD、DとAを結ぶ
    直線で囲まれる領域(線上を含む)にあるフェライト系
    耐熱鋼。
  3. 【請求項3】不純物であるニッケル(Ni)の含有量が0.
    40質量%以下である請求の範囲2項に記載のフェライト
    系耐熱鋼。
  4. 【請求項4】質量%で、 炭素(C):0.07〜0.14%、窒素(N):0.01〜0.10% 珪素(Si):0.10%以下、バナジウム(V):0.12〜0.22
    % クロム(Cr):10.0〜13.5%、マンガン(Mn):0.45%以
    下 コバルト(Co):0.5〜4.3%、ニオブ(Nb):0.02〜0.10
    % モリブデン(Mo):0.02〜0.8%、タングステン(W):
    0.5〜2.6% 硼素(B):0.001〜0.02%、レニウム(Re):0〜3.0% を含み残部が鉄(Fe)および不可避的不純物からなり、
    前記平均Bo値と平均Md値が、それぞれ1.805〜1.817の範
    囲、および0.8520〜0.8628の範囲にあることを特徴とす
    るフェライト系耐熱鋼。
  5. 【請求項5】不純物であるニッケル(Ni)の含有量が0.
    40質量%以下である請求の範囲4項に記載のフェライト
    系耐熱鋼。
  6. 【請求項6】質量%で、 炭素(C):0.02〜0.12%、窒素(N):0.01〜0.10% 珪素(Si):0.50%以下、バナジウム(V):0.15〜0.25
    % クロム(Cr):9.0〜13.5%、マンガン(Mn):0.45%以
    下 コバルト(Co):0.5〜4.3%、ニオブ(Nb):0.02〜0.10
    % モリブデン(Mo):0.02〜0.8%、タングステン(W):
    0.5〜2.6% 硼素(B):0.001〜0.02%、レニウム(Re):0〜3.0% を含み残部が鉄(Fe)および不可避的不純物からなり、
    前記平均Bo値と平均Md値が、それぞれ1.805〜1.817の範
    囲、および0.8520〜0.8628の範囲にあることを特徴とす
    るフェライト系耐熱鋼。
  7. 【請求項7】不純物であるニッケル(Ni)の含有量が0.
    40質量%以下である請求の範囲6項に記載のフェライト
    系耐熱鋼。
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