JP3312474B2 - 酸素バリヤ性フィルム - Google Patents

酸素バリヤ性フィルム

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JP3312474B2 JP06188094A JP6188094A JP3312474B2 JP 3312474 B2 JP3312474 B2 JP 3312474B2 JP 06188094 A JP06188094 A JP 06188094A JP 6188094 A JP6188094 A JP 6188094A JP 3312474 B2 JP3312474 B2 JP 3312474B2
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徳政 関根
直己 増田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は包装用資材として供与さ
れる酸素バリヤ性の積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、包装用資材には、フィルム、シー
ト、ボトル、容器など種々の形状への加工が容易であ
り、同時に軽量であって輸送コストが安価となる、高分
子材料を主体としたものが使用されている。
【0003】特に食品などの酸化により変質劣化しやす
い内容物が被包装材料となる場合には、高い酸素バリヤ
性が要求される。この様な要望に対しては、従来エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(以下EVOHとす
る)やポリ塩化ビニリデンなどの高分子材料を用いた
り、フィルム上にアルミニウムや珪素酸化物を蒸着した
ものが使用に供せられていた。
【0004】しかしながら前記の酸素バリヤ性を有する
高分子材料は高価であるため、コスト上実用化が制限さ
れていた。また、EVOHにおいては吸湿によって酸素
バリヤ性が低下してしまうという欠点があった。
【0005】一方、フィルム上にアルミニウムや珪素酸
化物等の蒸着を行うには真空装置を使用するため、加工
性が悪いという欠点があった。さらにこれらの蒸着薄膜
の場合にはピンホールやクラックの発生により酸素バリ
ヤ性が不安定になるという欠点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこの様な問題
点を鑑みてなされたもので、その課題とするところは、
安価で加工性が良く、かつ薄膜で高い酸素バリヤ性を有
する積層体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明はこの課題を解決
するため、酸素透過度3cc/m2/day/atm 以下の基材フィ
ルムに、酸化触媒と、ポリオレフィン及び/又はエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体ケン化物とを含有する酸素バリ
ヤ性樹脂組成物を溶液コーティングで積層してなること
を特徴とする酸素バリヤ性フィルムである。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
用いられるポリオレフィンとしては、例えば低密度ポリ
エチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等
のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペ
ンテン、エチレンとプロピレンとの共重合体、エチレン
とブテンとの共重合体、エチレンとペンテンとの共重合
体が挙げられ、酸素バリヤ性の点からプロピレンモノマ
ーの単独重合体または共重合体が好ましく用いられ、溶
媒への溶解性を高めるためにこれらを塩素化させたもの
が好ましい。
【0009】本発明に用いられるEVOHとしては、ケ
ン化度75%以上、平均重合度300〜5000、エチ
レン含有量が40%以下であるのが好ましい。
【0010】本発明に用いられる酸化触媒としては、ス
テアリン酸やナフテン酸、リノール酸、ジメチルジチオ
カルバミン酸、アセチルアセトナートなどと、Co、N
i、Fe、Al、Mg、Mn、Cu、V、Crなどの金
属イオンとの有機酸塩が用いられ、特にポルフィリン、
フタロシアニン、キノリンなどを配位子とした有機金属
錯塩も好ましく用いられる。また、塩化鉄や塩化アルミ
ニウムやコバルトブルーなどの無機塩なども用いること
ができる。また、これらの金属化合物は単独あるいは2
種類以上の混合物として使用してもかまわない。これら
の酸化触媒はポリマーに対し、金属の原子濃度で10〜
1000ppmで含有すればよく、より好ましくは50
〜500ppmである。
【0011】これらの組成物を溶液状にするには以下の
2つの方法があるが、特に指定はなく、どちらでもかま
わない。
【0012】一つの方法は予めポリオレフィン或いはE
VOHを溶解させた溶媒に酸化触媒を溶解させる方法で
ある。もう一つの方法としては、予めポリオレフィンあ
るいはEVOHを加熱し溶融状態で酸化触媒を添加した
後溶媒へ溶解させる方法である。
【0013】本発明に係るポリオレフィン及び/又はE
VOHは酸化を受けやすく、一般にラジカル抑制剤とと
もに使用されている。しかし、本発明におけるこれら組
成物中にはラジカル抑制剤が添加されていないか、50
0ppm以下であればよい。この程度の添加量であれ
ば、ラジカル抑制剤は、ポリオレフィン或いはEVOH
の酸化進行をすべて妨げることは出来ず、酸素の取り込
みが行われるので、本発明を妨げるものではない。
【0014】本発明に係る基材フィルムは、酸素透過度
が3cc/m2/day/atm 以下のものを使用する。例えば、基
材フィルムとしては、ポリ塩化ビニリデンコートフィル
ム、アルミニウムや珪素酸化物等の蒸着したフィルムな
どが挙げられる。基材フィルムの酸素透過度が3cc/m2/
day/atm より大きいものであると、透過する酸素の量が
高くなり、特に初期の段階での、溶液コーティンクの層
で酸素バリヤー性が発現できない状態の時に酸素が透過
してしまう。
【0015】以上の様な層からなる本発明の酸素バリヤ
性フィルムは、周知の加工方法によって製造することが
できる。すなわち、例えば、酸化触媒を加熱溶融状態で
ポリオレフィンまたはEVOHへ含有させた後、溶媒へ
溶解させ、溶液状にしてから、基材フィルムへ溶液コー
ティングすることで構成できる。コーティング方法とし
てはワイヤーバー、グラビアコーター、スピンコーター
などがある。また、溶解手順として、予め溶媒へ溶解し
たポリオレフィン、またはEVOHの溶液へ酸化触媒を
添加してもかまわない。
【0016】コーティングする際は、基材フィルムとの
密着性を高めるため、予め基材フィルムのコーティング
する面をコロナ、ガスフレーム、オゾンなどで処理した
ものが良く、その方が酸素を取り込む反応は促進され
る。また、ウレタン系のアンカーコート剤をコーティン
グした基材フィルム面上に上記組成物を溶液コーティン
グしてもかまわない。アンカーコート剤の塗布量は、1
〜10g/m2 が好ましい。
【0017】溶媒としてはポリオレフィン、または、E
VOHが溶解するものであれば良く、例えばポリオレフ
ィン系では、TCB、THF、トルエン、ベンゼンなど
である。EVOH系ではDMF、DMSO、クレゾー
ル、フェノール、蟻酸、n−PrOHと水の混合溶媒な
どが挙げられる。さらに、このコーティングした面へ接
着剤を介して他の熱可塑性樹脂と積層してもかまわな
い。
【0018】
【作用】本発明に係るポリオレフィンやEVOHは、酸
素触媒の存在下で加工時または保存中に光や熱によって
ラジカルを形成しやすく、これと酸化触媒によりポリマ
ーラジカルが生成する。これがポリオレフィンやEVO
H中に溶解した酸素と反応して、パーオキシラジカルと
なる。さらに、このパーオキシラジカルはポリオレフィ
ンやEVOH中の水素を引き抜き、ハイドロパーオキサ
イドとポリマーラジカルを形成する。このハイドロパー
オキサイドは、アルコキシラジカルとハイドロキシラジ
カルに分解され、さらにポリオレフィンと反応して、ラ
ジカルを生成すると考えられる。
【0019】本発明に係る酸化触媒を含有するコーティ
ング層においては、いわゆる溶解、拡散による酸素の透
過を物理的に抑制する働きと、樹脂が酸化触媒の触媒作
用により酸化されて層内に酸素をトラップする働きとに
より酸素バリヤ性が発現される。
【0020】しかし、初期の酸素透過においては、酸素
バリヤー性はそれほど高くはないので、外層にある程度
酸素バリヤ性のある基材フィルムを設ける必要がある。
これらを設けることにより、基材フィルムを透過した少
量の酸素をコーティング層内において樹脂の酸化で消費
させ、以後発現する酸素バリヤー性とを含めてフィルム
全体の酸素透過度を小さくするものである。
【0021】
【実施例】以下、実施例に基づき具体的に説明を行う
が、本発明は以下の例に限定されるものではない。
【0022】<実施例1>ラジカル抑制剤の添加されて
いないポリプロピレンと、酸化触媒としてステアリン酸
コバルト(II)をコバルト原子濃度が200ppmとな
るよう混合し、これを135℃のTCB溶媒へ1重量%
の濃度で溶解せせ、コーティング液を作製した。このコ
ーティング液を珪素酸化物を400Å蒸着した二軸延伸
ポリエチレンテレフタレートフィルム厚さ12μm(酸
素透過度2.5cc/m2/day/atm )上に塗布量1g/m2
で溶液コーティングした後、さらにその基材上に厚さ3
0μmになる無延伸低密度ポリエチレンフィルムをウレ
タン系接着剤にてドライラミネートし、本発明の酸素バ
リヤ性フィルムを作製した。
【0023】<実施例2>ラジカル抑制剤の添加されて
いないEVOHと、酸化触媒としてステアリン酸コバル
ト(II)をコバルト原子濃度が200ppmになるよう
混合し、これを60℃のn−PrOHと水との混合溶媒
(50/50)へ20重量%の濃度で昇温させながら溶
解させ、コーティング液を作製した。このコーティング
液を珪素酸化物を400Å蒸着した二軸延伸ポリエチレ
ンテレフタレートフィルム厚さ12μm(酸素透過度
2.5cc/m2/day/atm )上に塗布量1g/m2 で溶液コ
ーティングした後、さらにその基材上に厚さ30μmに
なる無延伸低密度ポリエチレンフィルムをウレタン系接
着剤にてドライラミネートし、本発明の酸素バリヤ性フ
ィルムを作製した。
【0024】<比較例1>基材として、珪素酸化物20
0Å蒸着した二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィ
ルム厚さ12μm(酸素透過度が5cc/m2/day/atm )を
用い、実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。
【0025】<比較例2>基材として、珪素酸化物20
0Å蒸着した二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィ
ルム厚さ12μm(酸素透過度が5cc/m2/day/atm )を
用い、実施例2と同様にして積層フィルムを作製した。
【0026】<比較例3>実施例1のステアリン酸コバ
ルトを添加せずに、実施例1と同様にして積層フィルム
を作製した。
【0027】<比較例4>実施例2のステアリン酸コバ
ルトを添加せずに、実施例1と同様にして積層フィルム
を作製した。
【0028】<比較例5>実施例1の溶液コーティング
を行わず、実施例1と同様にして積層フィルムを作製し
た。
【0029】これらを酸素透過度測定装置「MOCON
OX−TRAN 100」(モダンコントロール社
製)にて25℃における酸素透過度を経時的に測定し
た。結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
【発明の効果】以上に示したように、本発明により、高
い酸素バリヤ性を有する積層フィルムを提供することが
できる。これにより、包装体内部の食品等が変質劣化す
ることなく、長期保存が可能となった。また、溶液コー
ティングで作製するため薄膜フィルムが可能であり、よ
って、安価で酸素バリヤ性の高いフィルムが得られる利
点がある。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−305973(JP,A) 特開 平4−211444(JP,A) 特開 平5−170980(JP,A) 特開 平6−286046(JP,A) 特開 昭59−213731(JP,A) 特開 平4−331246(JP,A) 特開 昭62−295931(JP,A) 実開 平3−72427(JP,U) 特公 昭63−25616(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B65D 81/24 B32B 27/28 B32B 27/32 C08J 7/04 C08K 5/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸素透過度3cc/m2/day/atm 以下の基材フ
    ィルムに、酸化触媒と、ポリオレフィン及び/又はエチ
    レン−酢酸ビニル共重合体ケン化物とを含有する酸素バ
    リヤ性樹脂組成物を溶液コーティングで積層してなるこ
    とを特徴とする酸素バリヤ性フィルム。
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