JP3311023B2 - インクジェット記録ヘッドの製造方法 - Google Patents

インクジェット記録ヘッドの製造方法

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JP3311023B2 JP16779792A JP16779792A JP3311023B2 JP 3311023 B2 JP3311023 B2 JP 3311023B2 JP 16779792 A JP16779792 A JP 16779792A JP 16779792 A JP16779792 A JP 16779792A JP 3311023 B2 JP3311023 B2 JP 3311023B2
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  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット記録ヘ
ッドの液路の形成方法に関し、とくに樹脂を用いた液路
形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式に適用されるイ
ンクジェット記録ヘッド(以下、「記録ヘッド」とい
う)には、一般に、インクが吐出されるためのインク吐
出口と、前記吐出口に供給するためのインクを貯える液
室と、前記吐出口と前記液室とを連通する液路と、前記
液路の一部に設けられたインクを吐出するためのエネル
ギーを発生するエネルギー発生素子と、前記液室に外部
からインクを供給するためのインク供給口が設けられて
いる。
【0003】従来の記録ヘッドの製造方法としては次の
ようなものが知られている。 (1)エネルギー発生素子が設けられた第1の基板を備
え、ガラスや金属などからなる第2の基板に切削やエッ
チングなどの加工手段によりインク吐出口、液路及び液
室を形成するための凹部ならびに前記液室と外部とを連
通するためのインク供給口を設けたのち、前記第1の基
板に前記第2の基板をエネルギー発生素子と液路との位
置を合わせて接着剤により貼り合わせる方法。 (2)エネルギー発生素子が設けられたガラスなどから
なる第1の基板にポジ型もしくはネガ型の感光性ドライ
フィルムを貼り、前記感光性ドライフィルムのうちイン
ク吐出口、液路及び液室に相当するパターンをマスクも
しくは露出させて露光し、現像して前記吐出口、液路及
び液室に相当するパターンの固体層を第1の基板上に設
ける。前記固体層および第1の基板の上に硬化剤が混合
された液状の硬化性材料を適宜厚さに塗布し、所定の温
度で長時間放置して前記硬化性材料を硬化させる。つい
で、前記硬化性材料が硬化した第1の基板をインク吐出
口を形成する位置で切断して前記固体層の端面を露出さ
せたのち前記固体層を溶解する溶剤中に浸漬し、前記硬
化性材料が硬化した第1の基板から前記固体層を溶解除
去して内部に液路および液室を形成する空間を設ける方
法(特開昭61−15497号公報参照)。 (3)エネルギー発生素子が設けられた第1の基板にポ
ジ型もしくはネガ型の感光性ドライフィルムを貼り、前
記感光性ドライフィルムのうちインク吐出口、液路及び
液室に相当するパターンをマスクもしくは露出させて露
光し、現像して前記吐出口、液路及び液室に相当するパ
ターンの固体層を第1の基板上に設ける。前記固体層お
よび第1の基板の上に活性エネルギー線により硬化する
活性エネルギー線硬化性材料を適宜厚さに塗布し、液室
の一部を形成するための凹部およびインク供給口が設け
られた活性エネルギー線透過性の第2の基板を前記活性
エネルギー線硬化性材料の上に前記凹部を液室が形成さ
れる予定位置に合わせて貼り付け積層体を作る。つぎ
に、前記活性エネルギー線硬化性材料のうち液室が形成
される予定部分を隠すように第2の基板をマスクして活
性エネルギー線をその第2の基板を通して活性エネルギ
ー線硬化性材料に照射し硬化させる。ついで、前記活性
エネルギー線硬化性材料が硬化された積層体をインク吐
出口を形成する位置で切断して前記固体層の端面を露出
させたのち前記固体層と未硬化の活性エネルギー線硬化
性材料とを溶解する溶剤中に浸漬し、前記積層体から前
記固体層および未硬化の活性エネルギー線硬化性材料を
溶解除去して内部に液路および液室を形成する空間を設
ける方法(特開昭62−253457号公報参照)。 (4)最近トランスファーモールドによる液路、液室、
インク供給口、天板を一括成形する製造方法が提案され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとしている課題】上記従来の各記録
ヘッドの製造方法において、(1)に示した記録ヘッド
の製造方法では、第2の基板に設けられる液室を形成す
るための凹部を大きくすることにより、高速記録に好適
な大きな液室を有する記録ヘッドを製造することができ
るという利点はあるが、第1の基板と第2の基板とを接
着剤により貼り合わせる際、第1の基板の微細なエネル
ギー発生素子と第2の基板の微細な液路とを精密に位置
合わせし、更に、微細な液路に接着剤が流れ込むのを防
止する工夫が必要である。そのため、製造装置が複雑、
高価なものとなり、また多量生産性に欠けるので、製品
コストアップを引き起こすという問題点がある。(2)
に示した記録ヘッドの製造方法では、(1)の記録ヘッ
ドの製造方法にみられるような第1の基板と第2の基板
との貼り合わせに起因する問題点を解決できる利点はあ
るが、液室の容積は、液室の高さが第1の基板上に設け
られるパターン状の固体層の厚さによって制限される
為、大容積化が困難となる。また、工程が複雑で時間が
かかり、工程数も多いのでやはり多量生産性に欠け、製
品のコストアップを引き起こすという問題点がある。
(3)に示した記録ヘッドの製造方法では、第2の基板
に設ける液室の他の一部を形成するための凹部を大きく
することにより、大きな液室を有する記録ヘッドを製造
することができるという利点と、(1)の記録ヘッドの
製造方法にみられるような第1の基板と第2の基板との
貼り合わせに起因する問題点を解決できる利点とがあ
る。しかしながら(2)の記録ヘッドの製造方法と同様
に、工程が複雑で時間がかかり、(2)の製造方法に比
べ工程数はさらに多いのでやはり多量生産性に欠け、製
品のコストアップを引き起こすという問題点がある。
(4)に示した記録ヘッドの製造方法では、2つの基板
を精密に位置合わせして貼り合わせる工程を必要としな
い。このため、簡単で、より少ない工程により精密、信
頼性の高い、多量生産に適した安価なインクジェット記
録ヘッドを製造することができるという利点がある。し
かしながら、トランスファー成形時、樹脂の硬化収縮及
び樹脂と基板の膨張係数の違いに起因する熱収縮による
応力が記録ヘッドに発生しているため、まれに、吐出口
を形成するために行う切断時に基板の割れ、樹脂と基板
との剥離が生じ、記録ヘッドに欠陥ができることがあ
る。又、高温高湿等に長時間おかれると、樹脂と基板の
界面に剥がれが生じインクの吐出に影響をおよぼすこと
がある。
【0005】本発明は特に上記(4)の記録ヘッドの製
造方法に関し上記問題点に鑑みてなされたものであり、
製造過程で欠陥が生じず、又長期にわたり高温高湿でも
インクの吐出に影響をおよぼさないインクジェット記録
ヘッドの製造方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高温高湿
で長時間保存しても樹脂と基板の界面に剥離の生じない
記録ヘッドを得るために研究を重ねた結果次の点が明ら
かになった。
【0007】すなわち、基板と樹脂の線膨張係数の違い
に起因する熱収縮による応力はトランスファーモールド
樹脂の線膨張係数を小さくして、すなわち基板の膨張係
数に近づけると減少する。具体的にはトランスファーモ
ールド樹脂に無機質の充填剤を混入するが、混入量が1
7%をこえると充填剤同士の摩擦により樹脂の弾性率が
飛躍的に増加して応力としては増加し始める。又、0.
5%を下回ると線膨張係数低下効果も実質的に無く、充
填剤を混入することで向上する耐インク性も実質的に効
果がなくなる。又、透明タイプエポキシ樹脂と屈折率が
該樹脂に近い充填剤とを組み合わせ、充填剤混入率を
0.5〜17.0wt.%にした場合モールド樹脂を透
して基板の欠陥、ノズル内の異物の確認ができることが
わかった。
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】また、本発明は、インクを吐出するために
利用されるエネルギーを発生するエネルギー発生素子を
設けた基板上に、前記エネルギー発生素子に一致させ
て、基板上に液路、液室及びインクを供給するインク供
給口の各相当部を有する固体層を形成する工程と、該固
体層を有する基板を成形型内に空間を設けて固定する工
程と、前記固体層及び基板を覆って樹脂硬化体からなる
外枠を、前記空間内に樹脂を充填してトランスファーモ
ールド成形法により形成する工程と、前記固体層を溶解
除去して、液路、液室及びインク供給口を形成する工
程、の各工程を含むインクジェット記録ヘッドの製造方
法において、樹脂硬化体を少なくともエポキシ樹脂、硬
化剤、硬化促進剤及び充填剤からなるトランスファーモ
ールド樹脂から製造する際、該トランスファーモールド
樹脂中に溶融破砕タイプシリカ、または球状シリカシリ
コーン樹脂フィラーから選ばれる充填剤を0.5〜1
7.0wt.%含有させることを特徴とするインクジェ
ット記録ヘッドの製造方法である。
【0012】
【0013】以下、図面を用いて、本発明を詳述する。
【0014】図1は、本発明のインクジェット記録ヘッ
ドの構成の一例を示す斜視図である。基板1上にエネル
ギー発生素子2a及び電極2が設置され素子面1aを構
成している。素子面上に樹脂硬化体によりインク吐出口
3a、液路3b、液室3c及びインク供給口3dを有す
る外枠3が成形されている。
【0015】基板としては、シリコンウェハー等の公知
のものが使用できる。
【0016】エネルギー発生素子としては電気熱変換体
等の公知のものが使用できる。
【0017】トランスファーモールド成形によって樹脂
硬化体となる樹脂組成物はエポキシ樹脂、硬化剤、硬化
促進剤及び充填剤からなるものである。
【0018】上記エポキシ樹脂としては従来公知のもの
で特に制限するものではない。例えば、ビスフェノール
A型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、
フェノールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ
樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エ
ポキシ樹脂等があげられ、単独でもしくは併せて用いら
れる。
【0019】上記硬化剤としては、例えば、酸無水物と
しては、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリ
ット酸、無水パイロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタ
ル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック
酸、無水ナジック酸、無水グルタル酸等があげられ、ア
ミン系硬化剤としては、メタフェニレンジアミン、ジメ
チルジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォ
ン、m−キシレンジアミン、テトラエチレンペンタミ
ン、ジエチルアミン、プロピルアミン等があげられ、い
ずれを用いても差し支えない。
【0020】上記硬化促進剤としては、三級アミン、イ
ミダゾール類、カルボン酸金属塩、リン化合物等があげ
られる。
【0021】充填剤としては溶融破砕タイプシリカ、球
状シリカシリコーン樹脂フィラー等が使用できる。
【0022】なお、本発明のトランスファーモールド用
エポキシ樹脂組成物には、上記各成分以外に必要に応じ
て着色防止剤、劣化防止剤、離型剤等の従来公知の添加
剤が用いられる。
【0023】本発明の樹脂組成物の好ましい配合比の1
例は例えば以下の如く示される。
【0024】エポキシ樹脂としてエピコート1001
(油化シェル社製)80部、トリグリシジルイソシアネ
ート(日産化学製)20部、硬化剤としてテトラヒドロ
無水フタル酸(日立化成社製)55部、硬化触媒2E4
MZ 1部さらに球状シリカ充填剤FB−35(電気化
学工業製 平均粒径12μm)が全体の重量の2.5%
である。
【0025】以下、本発明のインクジェット記録ヘッド
の製造方法について説明する。
【0026】まず前記材料からなる基板21上にエネル
ギー発生体として電気熱変換体22aを配設し、前記電
気熱変換体22aに対応して制御信号入力用電極22を
設置し、素子面21aを形成する(図2)。基板21上
への電気熱変換体22a及び制御信号入力用電極22の
形成は、蒸着法、スパッタ法、エッチング法等の半導体
プロセスにより行なう。
【0027】次に、前記電気熱変換体に対応して、素子
面21a上に液路26b及び液室26cからなる液路パ
ターンを有する固体層26を形成する(図3)。
【0028】ここで、固体層としては、高精度めっき用
ポジレジスト等が使用できる。
【0029】次に、液室予定部分が下方に突出したトラ
ンスファーモールド用成形上型27bとトランスファー
モールド用成形下型27aの間に、素子面2aを有する
基板21を載置し、キャビティー部27cに前記樹脂組
成物を注入し、外枠29をトランスファーモールド成形
する(図4)。
【0030】ここで、トランスファーモールド成形方法
について説明する。
【0031】本実施例のトランスファーモールド成形を
用いる工法として、固体層が形成された基板を適切なラ
ンナー、ゲート、エア抜き構造を備えたキャビティーか
らなる上型、下型のいずれかへ挿入したのち型締めを行
う。外枠の材料として本発明のトランスファーモールド
用樹脂組成物を用い、樹脂の予備加熱温度60〜90
℃、注入圧力20〜140Kgf/cm2 、成形型温度
100〜180℃、保圧硬化時間1〜10分及び成形後
のポストキュアという一般的な成形条件、工法に従って
行うことができる。前記する条件は、成形性(形状、樹
脂内の気泡、バリ、フラッシュなど)を確認し、それぞ
れ適切なポイントを設定すれば良い。一般に成形温度を
高くすれば、硬化時間は短くて済む。また注入圧力が高
いほど、形状の安定性、気泡の発生が無くなるが、過剰
な圧力は製品へのダメージ、樹脂のバリ、フラッシュの
問題を起こす。ここで、ポストキュアを行う時期として
は、必ずしも成形と連続して行う必要はなく、製品が完
成するまでのどの時点で行っても良い。従って、工程の
都合の良い段階で行うことができる。もちろん製品の使
用状態によっては、前記工程を除くことも可能である。
【0032】また、成形後に型から製品を離型する場合
の離型性を良くする目的で、成形型などに離型剤を用い
ることがある。
【0033】上述の成形法により、本発明の樹脂組成物
の硬化体よりなる外枠29が基板上に形成される(図
5)。
【0034】トランスファーモールド成形終了後は、固
体層を除去して本発明の記録ヘッドを完成させる(図
6)。尚、図中29aはインク吐出口、29bは液路、
29cは液室及び29dはインク供給口を示す。
【0035】固体層の除去手段としては、例えば、固体
層がポジ型レジストの場合は苛性ソーダ水溶液、個体層
が高精度めっき用ポジ型レジストの場合はアセトン等の
有機溶剤等の溶液により溶解除去する方法がある。前記
溶液は、外枠形成材料を浸さないものであれば上記のも
のに限らない。また、溶剤の撹拌、超音波等の促進手段
を併用することで、より効果的に固体層を除去できるこ
とは言うまでもない。
【0036】ここで、インクの吐出特性はインク液路の
長さにより変化することから、必要とあれば、最適な位
置を決めるために吐出口部を所定の位置で、切断して得
ることもある。
【0037】切断はウェハーを切断する公知のダイシン
グ法等により行なう。また、吐出口部の切断を行ってか
ら固体層を除去することも可能である。この方法は、吐
出口部を切断するときに、インクジェットの重要な役割
を占めるインク液路内等に固体層があることから、切削
粉、ゴミ等によるインク液路内の詰まりといった問題を
解決でき、また、インク液路が短かくなる為固体層の除
去性も向上する利点があり好ましい。
【0038】尚、実際のインクジェット記録ヘッドはこ
の後さまざまな洗浄、表面処理等を実施し、フィルター
等の補助部品を装着して最終製品を完成させるが、ここ
では本発明の目的と直接関係ないので省略する。
【0039】以下、本発明に係る記録ヘッドと、該記録
ヘッドを備えた記録装置について説明する。
【0040】本発明は、特にインクジェット記録方式の
中でも、熱エネルギーを利用して飛翔液滴を形成し、記
録を行うインクジェット記録方式の記録ヘッド、記録装
置に於いて、優れた効果をもたらすものである。
【0041】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740
796号明細書に開示されており、本発明はこれらの基
本的な原理を用いて行なうものが好ましい。この記録方
式は所謂オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれ
にも適用可能である。
【0042】この記録方式を簡単に説明すると、液体
(インク)が保持されているシートや液路に対応して配
置されている電気熱変換体に、記録情報に対応して液体
(インク)に該沸騰現象を越え、膜沸騰現象を生じる様
な急速な温度上昇を与えるための少なくとも一つの駆動
信号を印加することによって、熱エネルギーを発生せし
め、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせる。この
様に液体(インク)から電気熱変換体に付与する駆動信
号に一対一対応した気泡を形成出来るため、特にオンデ
マンド型の記録法には有効である。この気泡の成長、収
縮により吐出口を介して液体(インク)を吐出させて、
少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス
形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行なわれる
ので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成
でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号として
は、米国特許第4463359号明細書、同第4345
262号明細書に記載されているようなものが適してい
る。尚、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国
特許第4313124号明細書に記載されている条件を
採用すると、更に優れた記録を行なうことができる。
【0043】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体
を組み合わせた構成(直線状液流路又は直角液流路)の
他に、米国特許第4558333号明細書、米国特許第
4459600号明細書に開示されている様に、熱作用
部が屈曲する領域に配置された構成を持つものも本発明
に含まれる。
【0044】加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出口とする構成を開
示する特開昭59年第123670号公報や熱エネルギ
ーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を
開示する特開昭59年第138461号公報に基づいた
構成においても本発明は有効である。
【0045】更に、本発明が有効に利用される記録ヘッ
ドとしては、記録装置が記録できる記録媒体の最大幅に
対応した長さのフルラインタイプの記録ヘッドがある。
このフルラインヘッドは、上述した明細書に開示されて
いるような記録ヘッドを複数組み合わせることによって
フルライン構成にしたものや、一体的に形成された一個
のフルライン記録ヘッドであっても良い。
【0046】加えて、装置本体に装着されることで、装
置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給
が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あ
るいは記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッ
ジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効で
ある。
【0047】又、本発明の記録装置に、記録ヘッドに対
する回復手段や、予備的な補助手段等を付加すること
は、本発明の記録装置を一層安定にすることができるの
で好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記
録ヘッドに対しての、キャピング手段、クリーニング手
段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の
加熱素子、或はこれらの組み合わせによる予備加熱手
段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出モードを行なう
手段を付加することも安定した記録を行なうために有効
である。
【0048】更に、記録装置の記録モードとしては黒色
等の主流色のみを記録するモードだけではなく、記録ヘ
ッドを一体的に構成したものか、複数個の組み合わせて
構成したものかのいずれでも良いが、異なる色の複色カ
ラー又は、混色によるフルカラーの少なくとも一つを備
えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0049】以上説明した本発明実施例においては、液
体インクを用いて説明しているが、本発明では室温で固
体状であるインクであっても、室温で軟化状態となるイ
ンクであっても用いることができる。上述のインクジェ
ット装置ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲
内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあ
るように温度制御するものが一般的であるから、使用記
録信号付与時にインクが液状をなすものであれば良い。
【0050】加えて、熱エネルギーによるヘッドやイン
クの過剰な昇温をインクの固形状態から液体状態への状
態変化のエネルギーとして使用せしめることで積極的に
防止するか又は、インクの蒸発防止を目的として放置状
態で固化するインクを用いることも出来る。いずれにし
ても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってイン
クが液化してインク液状として吐出するものや記録媒体
に到達する時点ではすでに固化し始めるもの等のよう
な、熱エネルギーの付与によって初めて液化する性質を
持つインクの使用も本発明には適用可能である。
【0051】このようなインクは、特開昭54−568
47号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記
載されるような、多孔質シートの凹部又は貫通孔に液状
又は固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対
して対向するような形態としても良い。
【0052】本発明において、上述した各インクにたい
して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行する
ものである。
【0053】図7は本発明により得られた記録ヘッドを
インクジェットヘッドカートリッジ(IJC)として装
着したインクジェット記録装置(IJRA)の一例を示
す外観斜視図である。
【0054】図において、120はプラテン124上に
送紙されてきた記録紙の記録面に対向してインク吐出を
行なうノズル群を具えたインクジェットヘッドカートリ
ッジ(IJC)である。116はIJC120を保持す
るキャリッジHCであり、駆動モータ117の駆動力を
伝達する駆動ベルト118の一部と連結し、互いに平行
に配設された2本のガイドシャフト119Aおよび11
9Bと摺動可能とすることにより、IJC120の記録
紙の全幅にわたる往復移動が可能となる。
【0055】126はヘッド回復装置であり、IJC1
20の移動経路の一端、例えばホームポジションと対向
する位置に配設される。伝動機構23を介したモータ1
22の駆動力によって、ヘッド回復装置126を動作せ
しめ、IJC120のキャッピングを行なう。このヘッ
ド回復装置126のキャップ部126AによるIJC1
20へのキャッピングに関連させて、ヘッド回復装置1
26内に設けた適宜の吸引手段によるインク吸引もしく
はIJC120へのインク供給経路に設けた適宜の加圧
手段によるインク圧送を行ない、インクを吐出口より強
制的に排出させることによりノズル内の増粘インクを除
去する等の吐出回復処理を行なう。また、記録終了時等
にキャッピングを施すことによりIJCが保護される。
【0056】130はヘッド回復装置126の側面に配
設され、シリコンゴムで形成されるワイピング部材とし
てのブレードである。ブレード131はブレード保持部
材131Aにカンチレバー形態で保持され、ヘッド回復
装置126と同様、モータ122および伝動機構123
によって動作し、IJC120の吐出面との係合が可能
となる。これにより、IJC120の記録動作における
適切なタイミングで、あるいはヘッド回復装置126を
用いた吐出回復処理後に、ブレード131をIJC12
0の移動経路中に突出させ、IJC120の移動動作に
伴なってIJC120の吐出面における結露、漏れある
いは塵埃等をふきとるものである。
【0057】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明する。尚、実施例中、「部」は重量部を、百分率は重
量百分率を表わす。 実施例1 まず、エポキシ樹脂としてエピコート1001(油化シ
ェル社製)80部、トリグリシジルイソシアネート(日
産化学製)20部、硬化剤としてテトラヒドロ無水フタ
ル酸(日立化成社製)55部、硬化触媒2E4MZ 1
部さらに球状シリカ充填剤FB−35(電気化学工業製
平均粒径12μm)を全体の重量の2.5%加えた各
原料を加熱溶融し混合した後、冷却粉砕し打錠し、トラ
ンスファーモールド用のエポキシ樹脂組成物タブレット
を得た。
【0058】次に、予め素子面を形成した基板上に、上
記タブレットを用いて、樹脂硬化体からなる外枠をトラ
ンスファーモールド成形した。尚、成形条件は、予備加
熱温度85℃、注入圧力40Kgf/cm2 、成形温度
130℃及び保圧硬化時間8分であった。
【0059】成形終了後、インクジェット記録ヘッド工
程品をインク吐出口を形成する位置で切断し、次いで、
固体層を溶解除去して本発明の記録ヘッドを得た。
【0060】上記記録ヘッドを20個製造し、不良品の
発生率を調べた。更に60℃、90%湿度の高温高湿下
に720時間放置した後の不良品の発生率を調べた。こ
れらの結果を表1に示した。
【0061】また、樹脂硬化体を、インク(キャノンバ
ブルジェットプリンターBJ330、キャノン製)を満
たしたPCT中に、120℃で10時間浸漬した後の膨
潤量を測定し、耐インク性とした結果も表1に示した。 比較例1 球状シリカ充填剤の含有量を0.4%に変えた以外は、
実施例1と同様に記録ヘッドを作成し、不良品発生率及
び耐インク性を調べた。結果を表1に示した。 実施例2 球状シリカ充填剤の含有量を17.0%に変えた以外
は、実施例1と同様に記録ヘッドを作成し、不良品発生
率及び耐インク性を調べた。結果を表1に示した。 比較例2 球状シリカ充填剤の含有量を18.0%に変えた以外
は、実施例1と同様に記録ヘッドを作成し、不良品発生
率及び耐インク性を調べた。結果を表1に示した。 実施例3 球状シリカ充填剤の含有量を0.5%に変えた以外は、
実施例1と同様に記録ヘッドを作成し、不良品発生率及
び耐インク性を調べた。結果を表1に示した。
【0062】
【表1】
【0063】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明のイン
クジェット記録ヘッドはエポキシ樹脂、硬化剤、硬化促
進剤および0.5〜17.0%の充填剤を構成成分とす
るトランスファーモールド用樹脂組成物を用いて製造さ
れるので、樹脂の熱膨張係数が減少し、外枠を構成する
樹脂硬化体と基板との界面に生ずる応力による剥離を防
ぐことができる。更に、前記応力が減少することによ
り、高温高湿下においても前記剥離を生ずることなく、
安定したインク吐出を得られるものである。
【0064】更に、トランスファーモールド用樹脂組成
物が透明エポキシ樹脂組成物であって、その硬化体で記
録ヘッドの外枠が構成されている場合には、完成したヘ
ッドの基板検査ができるとともに液路内の異物が確認で
きるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェット記録ヘッドの構成
の一例を示す部分断面斜視図である。
【図2】本発明に係るインクジェット記録ヘッドの基板
の素子面の構成を示す斜視図である。
【図3】基板上に固体層を形成した本発明に係るインク
ジェット記録ヘッド工程品の斜視図である。
【図4】トランスファーモールド成形用の成形型に記録
ヘッドの基板を載置した様子を示す工程図である。
【図5】トランスファーモールド成形終了後のインクジ
ェット記録ヘッド工程品の構成を示す側面断面図であ
る。
【図6】固体層を除去して液路、液室及びインク供給口
を形成した本発明に係るインクジェット記録ヘッドの構
成を示す側面断面図である。
【図7】本発明に係るインクジェット記録ヘッドを備え
た記録装置の構成の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 基板 1a 素子面 2 制御信号入力用電極 2a 電気熱変換体 3 外枠 3a インク吐出口 3b 液路 3c 液室 3d インク供給口 21 基板 21a 素子面 22 制御信号入力用電極 22a 電気熱変換体 26 固体層 26b 液路部 26c 液室部 27a トランスファーモールド用成形下型 27b トランスファーモールド用成形上型 27c キャビティー部 29 外枠 29a インク吐出口 29b 液路 29c 液室 29d インク供給口 116 キャリッジ 117 駆動モータ 118 駆動ベルト 119A,119B ガイドシャフト 120 インクジェットヘッドカートリッジ 122 クリーニング用モータ 123 伝動機構 124 プラテン 126 キャップ部材 130 ブレード 130A ブレード保持部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−90355(JP,A) 特開 昭62−32015(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを吐出するために利用されるエネ
    ルギーを発生するエネルギー発生素子を設けた基板上
    に、前記エネルギー発生素子に一致させて、基板上に液
    路、液室及びインクを供給するインク供給口の各相当部
    を有する固体層を形成する工程と、該固体層を有する基
    板を成形型内に空間を設けて固定する工程と、前記固体
    層及び基板を覆って樹脂硬化体からなる外枠を、前記空
    間内に樹脂を充填してトランスファーモールド成形法に
    より形成する工程と、前記固体層を溶解除去して、液
    路、液室及びインク供給口を形成する工程、の各工程を
    含むインクジェット記録ヘッドの製造方法において、樹
    脂硬化体を少なくともエポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進
    剤及び充填剤からなるトランスファーモールド樹脂から
    製造する際、該トランスファーモールド樹脂中に溶融破
    砕タイプシリカ、または球状シリカシリコーン樹脂フィ
    ラーから選ばれる充填剤を0.5〜17.0wt.%含
    有させることを特徴とするインクジェット記録ヘッドの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 前記樹脂硬化体が透明エポキシ樹脂であ
    る請求項1に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記エネルギー発生素子が電気エネルギ
    ーを与えることによって発熱し、インクに状態変化を生
    ぜしめて吐出を行わせるための電気熱変換体である請求
    項1に記載の記録ヘッドの製造方法。
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