JPH068455A - インクジェット記録ヘッド、その製造方法及び該記録ヘッドを備えた記録装置 - Google Patents

インクジェット記録ヘッド、その製造方法及び該記録ヘッドを備えた記録装置

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JPH068455A
JPH068455A JP4171198A JP17119892A JPH068455A JP H068455 A JPH068455 A JP H068455A JP 4171198 A JP4171198 A JP 4171198A JP 17119892 A JP17119892 A JP 17119892A JP H068455 A JPH068455 A JP H068455A
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recording head
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Junichi Kobayashi
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 多量生産性に優れ、歩留りの良いインクジェ
ット記録ヘッドの製造方法を提供する。 【構成】 基板1上にエネルギー発生素子2、電極3及
び認識手段4を形成し、次いで、少なくとも液路手段を
有する固体層5を該基板上に形成し、更に、トランスフ
ァーモールド成形により外形を被覆樹脂層6で形成する
際に、前記認識手段の位置に対応して被覆樹脂層を局部
的に薄く成形する。 【効果】 外形形成後も認識手段を容易に確認すること
ができ、切断加工時の寸法再現性が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット記録方
式に用いる記録液小滴を発生するためのインクジェット
記録ヘッド、その製造方法及び該記録ヘッドを備えた記
録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式に適用されるイ
ンクジェット記録ヘッド(以下、「記録ヘッド」とい
う)には、一般に、インクが吐出されるためのインク吐
出口と、前記インク吐出口に供給するためのインクを貯
えるインク液室と、前記インク吐出口と前記インク液室
とを連通するインク液路と、前記インク液路の一部に設
けられたインクを吐出するためのエネルギーを発生する
エネルギー発生素子と、前記インク液室に外部からイン
クを供給するためのインク供給口が設けられている。
【0003】従来の記録ヘッドの製造方法としては次の
ようなものが知られている。
【0004】(1) エネルギー発生素子が設けられた
第1の基板を備え、ガラスや金属などからなる第2の基
板に切削やエッチングなどの加工手段によりインク吐出
口、インク液路及びインク液室を形成するための凹部な
らびに前記インク液室と外部とを連通するためのインク
供給口を設けたのち、前記第1の基板に前記第2の基板
をエネルギー発生素子とインク液路との位置を合わせて
接着剤により貼り合わせる方法。
【0005】(2) エネルギー発生素子が設けられた
ガラスなどからなる第1の基板にポジ型もしくはネガ型
の感光性ドライフィルムを貼り、前記感光性ドライフィ
ルムのうちインク吐出口、インク液路及びインク液室に
相当するパターンをマスクもしくは露出させて露光し、
現像して前記インク吐出口、インク液路及びインク液室
に相当するパターンの固体層を第1の基板上に設ける。
前記固体層および第1の基板の上に硬化剤が混合された
液状の硬化性材料を適宜厚さに塗布し、所定の温度で長
時間放置して前記硬化性材料を硬化させる。ついで、前
記硬化性材料が硬化した第1の基板をインク吐出口を形
成する位置で切断して前記固体層の端面を露出させたの
ち前記固体層を溶解する溶剤中に浸漬し、前記硬化性材
料が硬化した第1の基板から前記固体層を溶解除去して
内部にインク液路および液室を形成する空間を設ける方
法(特開昭61−15497号公報参照)。
【0006】(3) エネルギー発生素子が設けられた
第1の基板にポジ型もしくはネガ型の感光性ドライフィ
ルムを貼り、前記感光性ドライフィルムのうち吐出口、
インク液路及びインク液室に相当するパターンをマスク
もしくは露出させて露光し、現像して前記インク吐出
口、インク液路及びインク液室に相当するパターンの固
体層を第1の基板上に設ける。前記固体層および第1の
基板の上に活性エネルギー線により硬化する活性エネル
ギー線硬化性材料を適宜厚さに塗布し、インク液室の一
部を形成するための凹部およびインク供給口が設けられ
た活性エネルギー線透過性の第2の基板を前記活性エネ
ルギー線硬化性材料の上に前記凹部をインク液室が形成
される予定位置に合わせて貼り付け積層体を作る。つぎ
に、前記活性エネルギー線硬化性材料のうちインク液室
が形成される予定部分を隠すように第2の基板をマスク
して活性エネルギー線をその第2の基板を通して活性エ
ネルギー線硬化性材料に照射し硬化させる。ついで、前
記活性エネルギー線硬化性材料が硬化された積層体をイ
ンク吐出口を形成する位置で切断して前記固体層の端面
を露出させたのち前記固体層と未硬化の活性エネルギー
線硬化性材料とを溶解する溶剤中に浸漬し、前記積層体
から前記固体層および未硬化の活性エネルギー線硬化性
材料を溶解除去して内部にインク液路およびインク液室
を形成する空間を設ける方法(特開昭62−25345
7号公報参照)。
【0007】(4) インク吐出エネルギー発生素子が
設けられたガラス等からなる第1の基板上に除去可能な
材料からなる固体層によりインク吐出口、インク液路及
びインク液室に相当する部分を形成する。前記固体層及
び第1の基板上にトランスファーモールド成形により、
前記固体層の表面の内、少なくともインク液室の一部に
相当する部分の表面を除く他の部分をモールド樹脂によ
り被覆する。ついで、第1の基板を吐出口を形成する位
置で切断して前記固体層の端面を露出させた後、前記固
体層を溶解する溶剤中に浸漬し、モールド樹脂で被覆さ
れた第1の基板から前記固体層を溶解除去して、内部に
インク液路及びインク液室を形成する空間を設ける方法
が提案されている。
【0008】更に、上記(1)乃至(4)の従来例にお
いて、必要に応じて以下の工程が設けられる。即ち、イ
ンクジェット記録ヘッドの製造工程段階における、ある
いは完成後の品質管理や各種検査後の状態変化の観察等
を行なうために、各電極に固有の認識番号を表示できる
認識手段を基体に設けることが行なわれている。
【0009】前記手段としては、基板上にフォトリソグ
ラフィーにより数字を書きこむもの、ドットの配置によ
る認識パターン等がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の各記録ヘッ
ドの製造方法において、(1)の記録ヘッドの製造方法
では、第2の基板に設けられる液室を形成するための凹
部を大きくすることにより、高速記録に好適な大きな液
室を有する記録ヘッドを製造することができるという利
点はあるが、第1の基板と第2の基板とを接着剤により
貼り合わせる際、第1の基板の微細なエネルギー発生素
子と第2の基板の微細な液路とを精密に位置合わせする
必要があり、また接着剤で貼り合わせる際、微細な液路
に接着剤が流れ込まない工夫が必要であり、そのための
装置が複雑、高価なものとなり、また多量生産性に欠
け、製品のコストアップを引き起こすという問題点があ
る。
【0011】(2)の記録ヘッドの製造方法では、
(1)の記録ヘッドの製造方法にみられるような第1の
基板と第2の基板との貼り合わせに起因する問題点を解
決できる利点はあるが、液室の容積は第1の基板上に設
けられるパターン状の固体層の厚さと同じ高さに制限さ
れてしまうのであまり大きくすることができず、また、
工程が複雑で時間がかかり、工程数も多いのでやはり多
量生産性に欠け、製品のコストアップを引き起こすとい
う問題点がある。
【0012】(3)の記録ヘッドの製造方法では、第2
の基板に設ける液室の他の一部を形成するための凹部を
大きくすることにより、大きな液室を有する記録ヘッド
を製造することができるという利点と、(1)の記録ヘ
ッドの製造方法にみられるような第1の基板と第2の基
板との貼り合わせに起因する問題点を解決できる利点と
があるが、(2)の記録ヘッドの製造方法と同様に工程
が複雑で時間がかかり、工程数はさらに多いのでやはり
多量生産性に欠け、製品のコストアップを引き起こすと
いう問題点がある。
【0013】(4)の記録ヘッドの製造方法では、
(1)、(2)、(3)の問題点を解決し、多量生産性
に優れた、安価なインクジェット記録ヘッドを提供でき
る。しかしながら、モールド成形後、被覆樹脂層を介し
て基板上の認識パターンを確認することが困難であり、
品質管理上、問題があった。また樹脂層が厚くなる程、
前記認識パターンの観測位置と基板上の実際の位置との
間に位相ズレが生じ、切断加工時の寸法再現性が悪くな
る等の問題もあった。
【0014】従って、本発明は上記問題点に鑑み、簡便
な少数工程により多量生産性に優れ、かつ精度良い微細
加工を施すことが可能なインクジェット記録ヘッドの製
造方法を提供することを目的としている。
【0015】特に、トランスファーモールド成形法を用
いる製造方法において、被覆樹脂成形後においても基板
上の認識パターンの確認が容易な手法の確立を目的とし
ている。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明は、基板上にインクを吐出するためのエネルギ
ーを発生するエネルギー発生素子、該エネルギー発生素
子を作動させる電極及び該電極の位置を表示する認識手
段を形成し、次いで該基板上に少なくとも液路及び液室
パターンを有する固体層を前記エネルギー発生素子及び
前記認識手段を覆って形成し、次いで該固体層を覆っ
て、該基板上に透明又は半透明の被覆樹脂層を成形後、
前記固体層を除去して、インクを供給するインク供給口
を含むインク液室、インクを吐出するためのインク吐出
口及び前記インク液室と前記インク吐出口を連通するイ
ンク液路とを形成する工程を少なくとも含むインクジェ
ット記録ヘッドの製造方法において、前記認識手段の上
方かつ被覆樹脂層上表面に凹部を設けることにより、前
記凹部を通して基板上の認識手段を確認するようにした
インクジェット記録ヘッドの製造方法である。
【0017】また、本発明は、上記製造方法において、
ドットの配置による認識パターンを基板上の吐出口側に
電極より所定間隔離して形成し、前記認識パターンの検
出位置でインクジェット記録ヘッドを切断するものであ
る。
【0018】また、本発明は、上記製造方法で製造した
インクジェット記録ヘッドである。該記録ヘッドは、イ
ンク吐出エネルギー発生素子が電気エネルギーを与える
ことによって発熱し、インクに状態変化を生ぜしめて吐
出を行わせるための電気熱変換体であるもの、記録媒体
の記録領域の全幅にわたって吐出口が複数設けられてい
るフルラインタイプのものを含む。
【0019】更に、本発明は、記録媒体の被記録面に対
向してインク吐出口が設けられている上記記録ヘッド
と、該記録ヘッドを載置するための部材とを少なくとも
具備する記録装置である。
【0020】以下、図面を参照して本発明を詳細に説明
する。
【0021】図1から図4は、本発明の基本的な態様を
示すための模式図であり、図1から図4の夫々には、本
発明の方法に関わるインクジェット記録ヘッドの構成と
その製作手順の一例が示されている。尚、本例では、3
つの吐出口を有するインクジェット記録ヘッドが示され
ているが、勿論これ以上の吐出口を有する高密度マルチ
アレイインクジェット記録ヘッドの場合でも同様である
ことは、言うまでもない。
【0022】まず、本態様においては、例えば図1に示
されるような、ガラス、セラミックス、プラスチックあ
るいは金属等からなる基板1が用いられる。
【0023】このような基板1は、インク液路構成部材
の一部として機能し、又、後述するレジスト層の支持体
として機能し得るものであれば、その形状、材質等、特
に限定されることなく使用できる。上記基板1上には、
電気熱変換素子あるいは圧電素子等のインク吐出エネル
ギー発生素子2が所望の個数配置される(図3−2では
3個にて例示)。このような、インク吐出エネルギー発
生素子2によってインク小滴を吐出させるための吐出エ
ネルギーがインク液に与えられ、記録が行われる。因
に、例えば、上記インク吐出エネルギー発生素子2とし
て電気熱変換素子が用いられるときには、この素子が近
傍のインクを加熱することにより、吐出エネルギーを発
生する。又、例えば、圧電素子が用いられるときは、こ
の素子の機械的振動によって、吐出エネルギーが発生さ
れる。
【0024】尚、これらの素子2には、これら素子を動
作させるための制御信号入力用電極3が接続されてい
る。電極としてはAl、Al−Si−Cu、Au、Cu
等が使用でき、特にAlが加工性、コストの点から好ま
しい。
【0025】基板1上へのエネルギー発生素子2及び電
極3の形成は、蒸着、スパッタリング、エッチング等の
一般的な半導体プロセスにより行う。
【0026】本発明においては、更に、基板1上に認識
手段4を形成する。認識手段としては、目視、顕微鏡、
画像処理等により確認できるものであれば形状、大きさ
は制限されず、例えばドットの配置による認識パター
ン、デバイスナンバー、実装組立用のアライメントマー
ク、工程管理マーク等が使用できる。
【0027】例えば、電極パターンと認識パターンとを
併せて有するフォトマスクを用いて、電極3形成と同時
に基板1上に認識パターン4を形成すれば、認識手段を
設ける工程を特別に設ける必要はない。
【0028】又、一般にはこれら吐出エネルギー発生素
子2と前記電極3の一部の耐久性を向上させる目的で、
保護膜層等の各種機能層が設けられる場合があるが、勿
論本発明においてもこの様な各種機能層を設けることに
は一向に差し支えない。
【0029】ついで、上記インク吐出エネルギー発生素
子2を含む基板1上に、除去可能な、例えばレジストか
らなる固体層5を公知のフォトリソグラフィーにより形
成する。この固体層5は、例えばポジ型、ネガ型の液
状、あるいはドライフィルム状等除去可能なものであれ
ば、特にレジストに限らないが、好ましくはレジストを
使用し、特にポジ型レジストが好ましい。
【0030】次に、図2に示すようなインクジェット記
録ヘッドの外形、インク供給口、及び前記認識パターン
4の上方に対応する位置に凹部7を形成できる型を用い
て、被覆樹脂層6を成形する。
【0031】本発明においては、上記凹部の底面を介し
て基板上の認識手段の検出を行なうものである。従っ
て、凹部の深さは樹脂層の透明度にも関係するが、認識
手段を検出できる程度に深くすることが必要である。ま
た凹部は貫通口であっても構わないが、好ましくは被覆
樹脂層の厚さの1/2以下の深さにする。また、凹部の
平面形状は、認識手段を確認できる大きさがあればよ
く、平方形、丸形等任意のものが採用できる。
【0032】被覆樹脂層6の材料としては、例えば、エ
ポキシ樹脂、アリル系樹脂、ジアリルフタレート系樹
脂、シリコン系樹脂、ポリエステル、フェノール、メラ
ミン、成形手段によっては、液状であって、常温硬化、
熱硬化、紫外線硬化などの材料を用いることができ、例
えば、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウ
レタン樹脂、ポリイミド樹脂、尿素樹脂等が挙げられる
が、本発明には著しく透明性を害するものは不向きであ
る。
【0033】被覆樹脂層6の形成方法としては、トラン
スファーモールド成形法、ポッティング法、液状の樹脂
を用いた注型法、射出成形法、紫外線硬化型の樹脂を用
いた選択的露光による成形法等が使用可能であるが、量
産性、精度及びタクトを考えると、トランスファーモー
ルド成形法が本発明に最も適している。
【0034】ここで、トランスファーモールド成形方法
について説明すると、本実施例のトランスファーモール
ド成形を用いる工法として、固体層5が形成された基板
1を適切なランナー、ゲート、エア抜き構造を備えたキ
ャビティーからなる上型、下型のいずれかへ挿入したの
ち型締めを行う。モールド樹脂の材料として熱硬化性の
エポキシ樹脂を用い、樹脂の予備加熱温度60〜90
℃、注入圧力20〜140kgf/cm2 、成形型温度
100〜180℃、保圧硬化時間1〜10分及び成形後
のポストキュアという一般的な成形条件、工法に従って
行うことができる。前記する条件は、成形性(形状、樹
脂内の気泡、バリ、フラッシュなど)を確認し、それぞ
れ適切なポイントを設定すれば良い。一般に成形温度を
高くすれば、硬化時間は短くて済む。また注入圧力が高
いほど、形状の安定性、気泡の発生が無くなるが、過剰
な圧力は製品へのダメージ、樹脂のバリ、フラッシュの
問題を起こす。ここで、ポストキュアを行う時期として
は、必ずしも成形と連続して行う必要はなく、製品が完
成するまでのどの時点で行っても良い。従って、工程の
都合の良い段階で行うことができる。もちろん製品の使
用状態によっては、前記工程を除くことも可能である。
【0035】また、成形後に型から製品を離型する場合
の離型性を良くする目的で、成形型などに離型剤を用い
ることがある。
【0036】被覆樹脂層6の成形終了後、固体層5を除
去して図3に示すような被覆樹脂層の上表面に、基板上
の認識手段4に対応して凹部7をもつインクジェット記
録ヘッドを形成する。
【0037】ここで固体層5の除去方法としては、適当
な溶剤中に記録ヘッドを浸漬して、固体層を溶解除去す
る方法が特に好ましい。適当な溶剤としては、被覆樹脂
層を侵さない各種溶剤が使用可能であり、例えばポジ型
レジストの固体層に対しては、苛性ソーダ水溶液等のア
ルカリ水溶液、アセトン等の有機溶剤が使用できる。
【0038】インクの吐出性能はインク液路の長さによ
り変化することから、必要により吐出口部を所望のイン
ク液路長に切断する。切断はウェハー切断等に用いられ
る公知のダイシング法等により行なうが、この際、予め
認識パターンを切断位置に対応させて形成しておれば、
この認識手段を適当な手段で検出することにより、正確
な切断位置を決定できる。
【0039】認識手段を検出する検出手段としては、光
学系を介しての目視、あるいは画像処理装置による自動
観察等が挙げられるが、いずれの方法でも、被覆樹脂層
の層厚が大きい場合又は透明性の小さい場合は認識手段
の読みとりが困難となる。そこで、本発明においては、
認識手段の上方の被覆樹脂層を局部的に薄く成形するこ
とにより認識手段の読みとり精度を上げたものである。
【0040】また、本発明においては、吐出口切断後に
固体層を除去してもよい。この場合、インクジェットの
重要な役割を占めるインク液路内が、切断時に固体層で
充填されているため、切削粉、ゴミ等の侵入によるイン
ク液路内の詰まりを防止できる。加えて、液路長が短か
い程、固体層の除去性が向上する利点があり、好まし
い。
【0041】本発明は、特にインクジェット記録方式の
中でも、熱エネルギーを利用して飛翔液滴を形成し、記
録を行うインクジェット記録方式の記録ヘッド、記録装
置に於いて、優れた効果をもたらすものである。
【0042】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740
796号明細書に開示されており、本発明はこれらの基
本的な原理を用いて行うものが好ましい。この記録方式
は所謂オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれに
も適用可能である。
【0043】この記録方式を簡単に説明すると、液体
(インク)が保持されているシートや液路に対応して配
置されている電気熱変換体に、記録情報に対応して液体
(インク)に核沸騰現象を越え、膜沸騰現象を生じる様
な急速な温度上昇を与えるための少なくとも一つの駆動
信号を印加することによって、熱エネルギーを発生せし
め、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせる。この
様に液体(インク)から電気熱変換体に付与する駆動信
号に一対一対応した気泡を形成できるため、特にオンデ
マンド型の記録法には有効である。この気泡の成長、収
縮により吐出口を介して液体(インク)を吐出させて、
少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス
形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行なわれる
ので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成
でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号として
は、米国特許第4463359号明細書、同第4345
262号明細書に記載されているようなものが適してい
る。尚、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国
特許第4313124号明細書に記載されている条件を
採用すると、更に優れた記録を行なうことができる。
【0044】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液流路、電気熱変換
体を組み合わせた構成(直線状液流路又は直角液流路)
の他に、米国特許第4558333号明細書、米国特許
第4459600号明細書に開示されている様に、熱作
用部が屈曲する領域に配置された構成を持つものも本発
明に含まれる。
【0045】加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出口とする構成を開
示する特開昭59年第123670号公報や熱エネルギ
ーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を
開示する特開昭59年第138461号公報に基づいた
構成においても本発明は有効である。
【0046】さらに、本発明が有効に利用される記録ヘ
ッドとしては、記録装置が記録できる記録媒体の最大幅
に対応した長さのフルラインタイプの記録ヘッドがあ
る。このフルラインヘッドは、上述した明細書に開示さ
れているような記録ヘッドを複数組み合わせることによ
ってフルライン構成にしたものや、一体的に形成された
一個のフルライン記録ヘッドであっても良い。
【0047】加えて、装置本体に装着されることで、装
置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給
が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あ
るいは記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッ
ジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効で
ある。
【0048】又、本発明の記録装置に、記録ヘッドに対
する回復手段や、予備的な補助手段等を付加すること
は、本発明の記録装置を一層安定にすることができるの
で好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記
録ヘッドに対しての、キャッピング手段、クリーニング
手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別
の加熱素子、或はこれらの組み合わせによる予備加熱手
段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出モードを行なう
手段を付加することも安定した記録を行なうために有効
である。
【0049】更に、記録装置の記録モードとしては黒色
等の主流色のみを記録するモードだけではなく、記録ヘ
ッドを一体的に構成したものか、複数個の組み合わせて
構成したものかのいずれでも良いが、異なる色の複色カ
ラー又は、混色によるフルカラーの少なくとも一つを備
えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0050】以上説明した本発明実施例においては、液
体インクを用いて説明しているが、本発明では室温で固
体状であるインクであっても、室温で軟化状態となるイ
ンクであっても用いることができる。上述のインクジェ
ット装置ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲
内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあ
るように温度制御するものが一般的であるから、使用記
録信号付与時にインクが液状をなすものであれば良い。
【0051】加えて、熱エネルギーによるヘッドやイン
クの過剰な昇温をインクの固形状態から液体状態への状
態変化のエネルギーとして使用せしめることで積極的に
防止するか又は、インクの蒸発防止を目的として放置状
態で固化するインクを用いることも出来る。いずれにし
ても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってイン
クが液化してインク液状として吐出するものや記録媒体
に到達する時点ではすでに固化し始めるもの等のよう
な、熱エネルギーの付与によって初めて液化する性質を
持つインクの使用も本発明には適用可能である。
【0052】このようなインクは、特開昭54−568
47号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記
載されるような、多孔質シートの凹部又は貫通孔に液状
又は固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対
して対向するような形態としても良い。
【0053】本発明において、上述した各インクにたい
して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行する
ものである。
【0054】図5は本発明により得られた記録ヘッドを
インクジェットヘッドカートリッジ(IJC)として装
着したインクジェット記録装置(IJRA)の一例を示
す外観斜視図である。
【0055】図において、20はプラテン24上に送紙
されてきた記録紙の記録面に対向してインク吐出を行な
うノズル群を具えたインクジェットヘッドカートリッジ
(IJC)である。16はIJC20を保持するキャリ
ッジHCであり、駆動モータ17の駆動力を伝達する駆
動ベルト18の一部と連結し、互いに平行に配設された
2本のガイドシャフト19Aおよび19Bと摺動可能と
することにより、IJC20の記録紙の全幅にわたる往
復移動が可能となる。
【0056】26はヘッド回復装置であり、IJC20
の移動経路の一端、例えばホームポジションと対向する
位置に配設される。伝動機構23を介したモータ22の
駆動力によって、ヘッド回復装置26を動作せしめ、I
JC20のキャッピングを行なう。このヘッド回復装置
26のキャップ部26AによるIJC20へのキャッピ
ングに関連させて、ヘッド回復装置26内に設けた適宜
の吸引手段によるインク吸引もしくはIJC20へのイ
ンク供給経路に設けた適宜の加圧手段によるインク圧送
を行い、インクを吐出口より強制的に排出させることに
よりノズル内の増粘インクを除去する等の吐出回復処理
を行なう。また、記録終了時等にキャッピングを施すこ
とによりIJCが保護される。
【0057】30はヘッド回復装置26の側面に配設さ
れ、シリコンゴムで形成されるワイピング部材としての
ブレードである。ブレード31はブレード保持部材31
Aにカンチレバー形態で保持され、ヘッド回復装置26
と同様、モータ22および伝動機構23によって動作
し、IJC20の吐出面との係合が可能となる。これに
より、IJC20の記録動作における適切なタイミング
で、あるいはヘッド回復装置26を用いた吐出回復処理
後に、ブレード31をIJC20の移動経路中に突出さ
せ、IJC20の移動動作に伴なってIJC20の吐出
面における結露、濡れあるいは塵埃等をふきとるもので
ある。
【0058】
【実施例】以下、実施例により、本発明を更に具体的に
説明する。
【0059】まず、シリコンウェハー(厚さ0.625
mm)からなる基板上に、電気熱変換体としてHfB2
からなるヒーター及び前記電気熱変換体に対応する電極
としてAl電極を半導体プロセスにより図1に示すよう
に形成した。同時に0.1mm×0.3mm平方の認識
パターンを切断予定位置に形成した。
【0060】更に、上記素子面にSiO2 からなる保護
膜(2μm)を設けた。
【0061】次に、該基板上にポジレジストを厚さ40
μmにスピンナーコーティングし、各電気熱変換体に相
対するインク液路パターン及びインク液室パターンを有
するマスクを介して、露光、現像し固体層を得た。
【0062】次に、固体層が形成された基板をトランス
ファーモールド成形機に挿入し、被覆樹脂層をエポキシ
樹脂の硬化体で形成した。このとき成形条件は、予備加
熱温度80℃、注入圧力70kgf/cm2 、成形型温
度150℃、保圧硬化時間4分とした。尚、成形された
被覆樹脂層の層厚は1mm、凹部の層厚は基板上から
0.2mmであった。
【0063】モールド成形終了後、5wt%苛性ソーダ
水溶液でポジ型レジスト層を溶解除去し、液路及び液室
を完成した。
【0064】次に、基板上の認識パターンを、被覆樹脂
層を介して、画像処理装置により検知し、認識パターン
検知位置で吐出口面をダイシング法により切断した。
【0065】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明は、 1) ヘッド作製のための主要工程が、フォトレジスト
や、ドライフィルム等を用いたフォトリソグラフィー技
術による為、ヘッドの細密部を所望のパターンで、しか
も極めて容易に形成できる、 2) トランスファーモールド工法により、工程数を簡
略でき、更に同構成の記録ヘッドの複数を同時に成形す
ることができる、 3) 特別の工程を付加すること無く、加工用の認識パ
ターンを基板上に設けることが可能である、等の利点が
ある。特に被覆樹脂層の所定位置を局部的に薄く成形す
ることにより、認識パターンの位置を容易かつ正確に検
出できるようになった結果、切断位置等の加工位置精度
が向上し、寸法再現性に優れたインクジェット記録ヘッ
ドを供給することが容易になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る素子面を形成した基板の一構成例
を示す断面図である。
【図2】本発明に係る成形型と、被覆樹脂層が形成され
たインクジェット記録ヘッドの一構成例を示す断面図で
ある。
【図3】固体層を除去した本発明に係るインクジェット
記録ヘッドの(A)断面図、(B)斜視図である。
【図4】基板上の複数の認識パターンを結ぶ線上で切断
した本発明に係るインクジェット記録ヘッドの一構成例
を示す断面図である。
【図5】本発明に係るインクジェット記録ヘッドを備え
た記録装置の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 基板 2 エネルギー発生素子 3 電極 4 認識パターン 5 固体層 6 被覆樹脂層 7 凹部 8 トランスファーモールド成形用上金型 9 トランスファーモールド成形用下金型 10 インク吐出口 11 インク液路 12 インク供給口 116 キャリッジ 117 駆動モータ 118 駆動ベルト 119A,119B ガイドシャフト 120 インクジェットヘッドカートリッジ 122 クリーニング用モータ 123 伝動機構 124 プラテン 126 キャップ部材 130 ブレード 130A ブレード保持部材
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 9012−2C B41J 3/04 103 B

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上にインクを吐出するためのエネル
    ギーを発生するエネルギー発生素子、該エネルギー発生
    素子を作動させる電極及び該電極の位置を表示する認識
    手段を形成し、次いで該基板上に少なくとも液路及び液
    室パターンを有する固体層を前記エネルギー発生素子及
    び前記認識手段を覆って形成し、次いで該固体層を覆っ
    て、該基板上に透明又は半透明の被覆樹脂層を形成後、
    前記固体層を除去して、インクを供給するインク供給口
    を含むインク液室、インクを吐出するためのインク吐出
    口及び前記インク液室と前記インク吐出口とを連通する
    インク液路を形成する工程を少なくとも含むインクジェ
    ット記録ヘッドの製造方法において、前記認識手段の上
    方かつ被覆樹脂層上表面に凹部を設けることにより、前
    記凹部を通して基板上の認識手段を確認するようにした
    ことを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 ドットの配置による認識パターンを基板
    上の吐出口側に電極より所定間隔離して形成し、前記認
    識パターンの検出位置でインクジェット記録ヘッドを切
    断することを特徴とする請求項1記載のインクジェット
    記録ヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の製造方法で製造し
    たインクジェット記録ヘッド。
  4. 【請求項4】 インク吐出エネルギー発生素子が電気エ
    ネルギーを与えることによって発熱し、インクに状態変
    化を生ぜしめて吐出を行わせるための電気熱変換体であ
    る請求項3記載のインクジェット記録ヘッド。
  5. 【請求項5】 記録媒体の記録領域の全幅にわたって吐
    出口が複数設けられているフルラインタイプのものであ
    ることを特徴とする請求項3記載のインクジェット記録
    ヘッド。
  6. 【請求項6】 記録媒体の被記録面に対向してインク吐
    出口が設けられている請求項3記載の記録ヘッドと、該
    記録ヘッドを載置するための部材とを少なくとも具備す
    る記録装置。
JP4171198A 1992-06-29 1992-06-29 インクジェット記録ヘッド、その製造方法及び該記録ヘッドを備えた記録装置 Pending JPH068455A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6329074B1 (en) 1998-11-30 2001-12-11 Mitsui Mining & Smelting Co., Ltd. Copper foil for printed wiring board having excellent chemical resistance and heat resistance
US6579568B2 (en) 1999-11-29 2003-06-17 Mitsui Mining & Smelting Co., Ltd. Copper foil for printed wiring board having excellent chemical resistance and heat resistance

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6329074B1 (en) 1998-11-30 2001-12-11 Mitsui Mining & Smelting Co., Ltd. Copper foil for printed wiring board having excellent chemical resistance and heat resistance
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