JP3308741B2 - 画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置

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JP3308741B2
JP3308741B2 JP30185194A JP30185194A JP3308741B2 JP 3308741 B2 JP3308741 B2 JP 3308741B2 JP 30185194 A JP30185194 A JP 30185194A JP 30185194 A JP30185194 A JP 30185194A JP 3308741 B2 JP3308741 B2 JP 3308741B2
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明彦 仲沢
篤志 田中
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子写真方式を用いた画
像形成装置に関し、特に第1の画像担持体上に形成され
たトナー像を、一旦中間転写体上に転写させた後に第2
の画像担持体上に更に転写させ画像形成物を得る複写
機、プリンター、ファックス等の画像形成装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】中間転写体を使用した画像形成装置は、
カラー画像情報や多色画像情報の複数の成分色画像を順
次積層転写してカラー画像や多色画像を合成再現した画
像形成物を出力するカラー画像形成装置や多色画像形成
装置、またはカラー画像形成機能や多色画像形成機能を
具備させた画像形成装置として有効であり、各成分色画
像の重ね合わせズレ(色ズレ)のない画像を得ることが
可能である。
【0003】ローラ形状を有する中間転写体を用いた転
写装置である画像形成装置の1例の概略図を図1に示
す。
【0004】図1は電子写真プロセスを利用したカラー
画像形成装置(複写機あるいはレーザービームプリンタ
ー)である。中間転写体として中抵抗の弾性ローラ20
を使用している。
【0005】1は第1の画像担持体として繰り返し使用
される回転ドラム型の電子写真感光体(以下感光ドラム
と記す)であり、矢示の時計方向に所定の周速度(プロ
セススピード)をもって回転駆動される。
【0006】感光ドラム1は回転過程で、1次帯電器
(コロナ放電器)2により所定の極性・電位に一様に帯
電処理され、次いで矢図示の画像露光手段(カラー原稿
画像の色分解・結像露光光学系、画像情報の時系列電気
デジタル画素信号に対応して変調されたレーザービーム
を出力するレーザースキャナによる走査露光系等)によ
る画像露光3を受けることにより目的のカラー画像の第
1の色成分像(例えばマゼンタ成分像)に対応した静電
潜像が形成される。
【0007】次いで、その静電潜像が第1現像器41
(マゼンタ現像器)により第1色であるマゼンタトナー
Mにより現像される。この時第2〜第4の現像器42,
43,44(シアン、イエロー、ブラックの各現像器)
は作動−オフになっていて感光ドラム1には作用せず、
上記第1色のマゼンタトナー画像は上記第2〜第4の現
像器42〜44により影響を受けない。
【0008】中間転写体20は矢示の反時計方向に感光
ドラム1と同じ周速度をもって回転駆動されている。
【0009】本実施例の中間転写体20は、パイプ状の
芯金21と、その外周面に形成された弾性層22からな
る。
【0010】感光ドラム1上に形成担持された上記第1
色のマゼンタトナー画像が、感光ドラム1と中間転写体
20とのニップ部を通過する過程で、中間転写体20に
印加される転写バイアスにより形成される電界により、
中間転写体20の外周面に順次中間転写されていく。こ
の感光ドラムから中間転写体への転写工程を一次転写工
程、転写バイアスを一次転写バイアスという。
【0011】中間転写体20に対応する第1色のマゼン
タトナー画像の転写を終えた感光ドラム1の表面は、ク
リーニング装置14により清掃される。
【0012】以下同様に第2色のシアントナー画像、第
3色のイエロートナー画像、第4色のブラックトナー画
像が順次中間転写体20上に重畳転写され、目的のカラ
ー画像に対応した合成カラートナー画像が形成される。
【0013】25は転写ローラで、中間転写体20に対
応し平行に軸受させて下面部に接触させて配設してあ
る。
【0014】感光ドラム1から中間転写体20への第1
〜第4色のトナー画像の順次重畳転写のための一次転写
バイアスは、トナーとは逆極性(+)でバイアス電源6
1から印加される。その印加電圧は例えば+2kV〜+
7kVの範囲である。
【0015】感光ドラム1から中間転写体20への第1
〜第4色のトナー画像の順次転写実行工程において、転
写ローラ25及び中間転写体クリーナ35は中間転写体
20から離間することも可能である。
【0016】中間転写体20上に重畳転写された合成カ
ラートナー画像の第2の画像担持体である転写材24へ
の転写は、転写ローラ25が中間転写体20に当接され
ると共に、給紙カセット9から中間転写体20と転写ロ
ーラ25との当接ニップに所定のタイミングで転写材2
4が給送され、同時に二次転写バイアスがバイアス電源
29から転写ローラ25に印加される。この転写バイア
スにより中間転写体20から第2の画像担持体である転
写材24へ合成カラートナー画像が転写される。この工
程を二次転写工程、転写バイアスを二次転写バイアスと
いう。トナー画像転写を受けた転写材24は定着器15
へ導入され加熱定着される。
【0017】転写材24への画像転写終了後、中間転写
体20上の転写残トナーは中間転写体クリーナ35が当
接されクリーニングされる。
【0018】前述の中間転写体を用いた画像形成装置を
有するカラー電子写真装置は、従来の技術である転写ド
ラム上に第2の画像担持体を張り付けまたは吸着せし
め、そこへ第1の画像担持体上から画像を転写する画像
形成装置を有したカラー電子写真装置、例えば特開昭6
3−301960号公報中で述べられたごとくの転写方
法よりは以下の点で優れている。すなわち、各色のトナ
ー画像の重ね合わせ時の色ズレが少ない。次に、図1で
示されるごとく、第2の画像担持体になんら加工、制御
(例えばグリッパーに把持する、吸着する、曲率をもた
せる等)を必要とせずに中間転写体から画像を転写する
ことができるため、第2の画像担持体を多種多様に選択
することができる。
【0019】例えば、薄い紙(40g/m2 紙)から厚
い紙(200g/m2 紙)までの選択が可能である。第
2の画像担持体の幅の広狭あるいは長さの長短によらず
転写可能である。さらには封筒、ハガキ、ラベル紙等ま
でに対応が可能である。
【0020】また、中間転写体の剛性が優れているた
め、繰り返しの使用によるへこみ、ひずみ、変形等の寸
法精度の狂いが生じにくいため、当該中間転写体の交換
頻度を少なくすることができる。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】このように、中間転写
体を用いることによる利点のため、すでに市場において
はこの画像形成装置を用いたカラー複写機、カラープリ
ンター等が稼働し始めているが、この中間転写体を用い
た画像形成装置を実際に種々の環境でかつ繰り返し使用
する場合、次のような問題点を未だ有している。
【0022】(1)第1の画像担持体、例えば感光ドラ
ムから中間転写体への転写効率、及び中間転写体から第
2の画像担持体、例えば紙やOHPシートへの転写効率
が十分に高いものとなっていない。そのため、感光ドラ
ムや中間転写体に具備すべきクリーニング装置が不可欠
となりかつ、多量の転写残トナーをクリーニングするた
めに装置への負荷が大きくなり、当該クリーニング装置
が構成上かなり複雑となり、かつ高価なものとなってし
まう。
【0023】(2)中間転写体に転写された画像、及び
第2の画像担持体に転写された画像の一部が図6のごと
く転写されず、抜けたような画像(以後中抜け画像と称
す)となる場合がある。これは、(1)で述べたごとく
転写効率が100%達成してないことにより生ずるもの
である。この原因としては、中間転写体に使用する材
質、表面性、抵抗、または転写時の印加バイアスの大き
さ、そのタイミングまたは画像形成装置の機械構成等が
複合的に作用するものと思われるが、主たる原因は判明
していない。しかし、中間転写体の耐久が進むにつれ、
または低温低湿環境になるほど悪化することは解ってい
る。
【0024】(3)中間転写体を繰り返し使用し、耐久
が進むに連れ、当前記中間転写体の表面性や抵抗が変化
することがある。はなはだしい場合は中間転写体の表面
で削れが生じ、初期に得られた良好な転写効率や、均質
な画像が維持できなくなってしまう。
【0025】(4)図1に示されるように、中間転写体
20には中間転写体クリーナ35が具備されている。こ
れは転写されなかったトナーを、次の一連の転写工程が
始まるまでに中間転写体から除去するための装置であ
る。このクリーニング方法としては、ブレードクリーニ
ング、ファーブラシクリーニング、またはその併用と種
々あるが、中間転写体20の表面でトナーを転写−付着
−離型というサイクルを数千回、または数万回繰り返す
と、前記のクリーナ35では除去しきれなかったトナー
が中間転写体20の表面に徐々に堆積し、いわゆるフィ
ルミングが形成されるようになる。このようになると第
1の画像担持体からのトナーの転写性が悪くなりフィル
ミングした部分の転写不良による斑点状の白く抜けたよ
うな画像となり画像品質を下げたり、または全体の転写
効率の低下を招く。
【0026】(5)中間転写体は安定した転写性を得る
ためにある程度の弾性を有し、感光体に当接して使用さ
れ、転写時以外は感光体と離間するような制御を行う場
合が多い。しかし、このような離間制御機構は装置の小
型化や低コスト化の妨げとなるためできれば設けない方
が望ましい。しかし、中間転写体に感光体を押し当てた
まま長時間放置すると中間転写体の弾性層が歪み、その
部分に対応する画像が薄くなったり抜けてしまうような
画像欠陥が発生する問題があった。
【0027】本発明は、前述の問題を解決した中間転写
体を用いた画像形成装置を提案するものである。
【0028】本発明の目的は、第1の画像担持体から中
間転写体への転写効率、及び中間転写体から第2の画像
担持体への転写効率が非常に高い画像形成装置を提供す
るものである。別の目的は、画像の微小部分の転写不良
の発生しない、いわゆる中抜け画像のない、均一、均質
の画像品質が第2の画像担持体である紙やOHPシート
の種類に依存せず得られる画像形成装置を提供するもの
である。また別の目的は、中間転写体の繰り返し使用に
よる苛酷な耐久使用を行っても変化がなく、初期と同様
な特性を維持し得る画像形成装置を提供するものであ
る。また別の目的は、中間転写体表面へのトナー付着に
よるフィルミングの発生しない画像形成装置を提供する
ものである。また別の目的は、感光体と当接したまま長
期間放置しても中間転写体の歪みによる画像不良の発生
しない画像形成装置を提供するものである。
【0029】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、第
1の画像担持体上に形成された画像を中間転写体上に転
写した後、第2の画像担持体上に更に転写する画像形成
装置において、前記中間転写体が弾性層及び少なくとも
一層の被覆層を有し、該被覆層が樹脂充填剤を含有し、
前記弾性層のJIS−A硬度が10°〜70°の範囲で
あり、かつ前記被覆層のマイクロゴム硬度計による硬度
の測定値が10°〜75°の範囲であることを特徴とす
る画像形成装置である。
【0030】また、本発明は、第1の画像担持体上に形
成された画像を中間転写体上に転写した後、第2の画像
担持体上に更に転写する画像形成装置において、前記中
間転写体がスポンジ層及び少なくとも一層の被覆層を有
し、該被覆層が樹脂充填剤を含有し、前記スポンジ層の
ASKER−C硬度計による硬度が10°〜70°の範
囲であり、前記被覆層のマイクロゴム硬度計による硬度
の測定値が10°〜75°の範囲であることを特徴とす
る画像形成装置である。
【0031】以下、本発明を詳細に説明する。
【0032】本発明が上記のような性能を発揮する理由
は次のように考えられる。高い転写効率とレジずれのな
い画像を得るためには、感光体と安定したニップを持っ
て当接することが望ましい。そのためには弾性層のJI
S−A硬度が10°〜70°の範囲、また弾性層がスポ
ンジ層である場合にはASKER−C硬度計による硬度
が10°〜70°の範囲にあることが必要である。それ
ぞれの硬度がこの値より低い場合は中間転写体と感光体
の極くわずかな周速差でもレジずれを生じ易くなり、さ
らに感光体との長期の当接によって弾性層が歪み、画像
欠陥を生じる。また、この値より高い場合は、ニップ幅
が不均一になり、均質な画像が得られなくなったり、ト
ナーが強く押しつけられ、フィルミングの原因となる。
【0033】一方、被覆層は耐久性や転写効率、画質を
向上させるためにマイクロゴム硬度計による硬度が10
°以上必要である。この値より低い場合はトナーが付着
し易くなり、二次転写効率が低下し、さらに長期の使用
において表面が摩耗して画質の低下を招く。また、この
硬度が75°を越える場合は弾性層の場合と同じくフィ
ルミングの原因となる。
【0034】本発明の硬度を得るためには公知の方法が
用いられる。すなわち、弾性層がソリッドである場合は
ゴム、エラストマー等のバンダー成分と各種充填剤の種
類や添加量等によって調整でき、スポンジの場合も材料
の選択と発砲倍率の調整等により所望の硬度に調整する
ればよい。被覆層も同様、樹脂の充填剤の選択と適正な
配合比によって制御できる。これらの材料は特に制限は
なく、必要に応じて選択でき、充填剤は使用しなくても
よい。
【0035】本発明の硬度は次のような方法で測定す
る。弾性層が剛体のシリンダー上に形成され、その厚さ
が5mm以上である中間転写体の場合はJIS−Aまた
はASKER−C硬度計(高分子計器株式会社製)を中
間転写体に1kgの荷重で押し当てた時の測定値であ
る。厚さが5mm未満の場合は弾性層を切り出し、5m
mになるまで弾性層の切片を重ね合わせた上で測定物を
十分に剛性のある金属板の上に置き、1kgの荷重で硬
度計を押し当てた時の値である。中間転写体がベルト等
の場合も一部を切り出した後上記と同ようにして測定す
る。また、被覆層の測定は弾性層ごと切り出しマイクロ
ゴム硬度計(高分子計器株式会社製)で計測する。この
ときの弾性層を含めた厚さは0.5mm以上が好まし
い。
【0036】また、本発明の中間転写体は保護層を有す
る有機感光体を使用したときにも好適である。保護層は
PTFE粒子等を分散した電荷輸送層(CT層)の外側
に設けたもので感光体から中間転写体への一次転写効率
が向上し転写中抜け等の画像欠陥のない良好な画質と高
い一次転写効率が得られる、しかし、中間転写体の二次
転写効率が十分でないと中間転写体上の転写残トナーが
増加し、実質的な転写効率は向上できず、同時に二次転
写中抜け等の画像欠陥が発生してしまう。本発明の中間
転写体によればこのような問題は発生せず、保護層を用
いた感光体との組み合わせにより実質的な転写効率と画
像品位向上が達成できる。
【0037】本発明に用いる中間転写体は、例えば、円
筒状の導電性支持体上に少なくともゴム、エラストマ
ー、樹脂よりなる弾性層を有するローラ形状、さらには
その弾性層の上層に一層以上の被覆層を有するローラ形
状、または、図5に示されるごとくのベルト形状と、種
々の態様を目的、必要に応じて選択することができる。
その例を図2〜図5に示す。画像の重ね合わせの色ズ
レ、繰り返しの使用による耐久性を考慮すると、より好
ましい本発明の態様としてはローラ形状である。各図に
おいて、100は剛体である円筒状導電性支持体、10
1は弾性層、102及び103は被覆層、また104は
中間転写ベルトを示す。
【0038】円筒状導電性支持体としては、アルミニウ
ム、鉄、銅及びステンレス等の金属や合金、カーボンや
金属粒子等を分散した導電性樹脂等を用いることがで
き、その形状としては、上述したような円筒状や、円筒
の中心に軸を貫通したもの、円筒の内部に補強を施した
もの等が挙げられる。
【0039】本発明に用いる中間転写体の弾性層及び被
覆層に使用されるゴム、エラストマー、樹脂としては、
例えば、エラストマーやゴムとしては、スチレン−ブタ
ジエンゴム、ハイスチレンゴム、ブタジエンゴム、イソ
プレンゴム、エチレン−プロピレン共重合体、ニトリル
ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、シリ
コーンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴ
ム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム及びノルボ
ルネンゴム等が挙げられる。また、樹脂類としてはポリ
スチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチ
レン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化
ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチ
レン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エス
テル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、
スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アク
リル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル
共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体
等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチ
レン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタク
リル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニ
ル共重合体等)、スチレン−α−クロロアクリル酸メチ
ル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸
エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたは
スチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、塩化
ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、ロジン変
性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポ
リエステル樹脂、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリ
プロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シ
リコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレ
ート共重合体、キシレン樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボ
ネート、ポリアミド樹脂及びポリビニルブチラール樹脂
及びこれらの共重合体や混合物が挙げられる。
【0040】弾性層の膜厚は0.5mm以上、さらには
1mm以上、特には1mm〜10mmであることが好ま
しい。また、被覆層の膜厚は、下層の弾性層の柔軟性を
さらにその上の上層あるいは感光体表面に伝えるための
薄層にすることが好ましく、具体的には3mm以下、さ
らには2mm以下、特には20μm〜1mmであること
が好ましい。
【0041】本発明に用いる中間転写体の体積抵抗は、
101 〜1013Ω・cmであることが好ましく、特に
は、102 〜1010Ω・cmであることが好ましい。ま
た、少なくとも表面層の体積抵抗はこれらの範囲内であ
ることが好ましい。
【0042】上記のごとく抵抗を制御するために、本発
明の目的を妨げない範囲で導電剤を適時添加することが
できる。例えば、各種の導電性無機粒子及びカーボンブ
ラック、イオン系導電剤、導電性樹脂、導電性粒子分散
樹脂等が挙げられる。具体的には、導電性無機粒子とし
て酸化チタン、酸化スズ、酸化バリウム、酸化アルミニ
ウム、チタン酸ストロンチウム、酸化マグネシウム、酸
化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素等の粒子に必要に応
じて酸化スズス、酸化アンチモン、カーボン等で表面処
理を行ったものでこれらの形状も球状、繊維状、板状、
不定型等どのような形状でもよい。イオン系導電剤はア
ンモニウム塩やアルキルスルホン酸塩、リン酸エステル
塩、過塩素酸塩等であり、導電性樹脂としては、4級ア
ンモニウム塩含有ポリメタクリル酸メチル、ポリビニル
アニリン、ポリビニルピロール、ポリジアセチレン及び
ポリエチレンイミン等が挙げられる。また、導電性粒子
分散樹脂としてはカーボン、アルミニウム、ニッケル等
の導電性粒子をウレタン、ポリエステル、酢酸ビニル−
塩化ビニル共重合体及びポリメタクリル酸メチル等の樹
脂中に分散したものが挙げられるが、必ずしもこれらに
限定されるものではなく、これらの中で導電性のコント
ロールの点からは、被覆層の導電剤には導電性無機粒子
が好ましい。
【0043】本発明の中間転写体は、例えば以下のよう
にして製造される。まず、円筒状導電性支持体としての
金属ロールを用意する。ゴム、エラストマー、樹脂等を
金属ロール上に溶融成形、注入成形、浸漬塗工あるいは
スプレー塗工等により成形することによって弾性層を設
ける。次に、被覆層の材料を弾性層の上に溶融成形、注
入成形、浸漬塗工あるいはスプレー塗工等により成形す
ることによって被覆層を設ける。
【0044】
【実施例】以下、実施例をもって本発明を詳細に説明す
る。なお、実施例中部は重量部を示す。 (実施例1)直径182mm、長さ320mm、厚み5
mmのアルミニウム製円筒状ローラ表面に下記配合のゴ
ムコンパウンドを金型を用いてトランスファー成形する
ことにより、5mmのソリッド弾性層を有するローラを
得た。
【0045】 次に、その上層に下記の処方の被覆層用塗料を作製し
た。
【0046】 被覆層用塗料配合 ポリエステルウレタンプレポリマー(溶媒含む) 100部 硬化剤(溶媒含む) 60部 導電性金属酸化物 50部 樹脂充填剤 80部 分散助剤 5部 キシレン 80部 この塗料をスプレー塗布により、前記のローラ表面へ厚
み100μmの被覆層を形成し、その後、80℃で1時
間加熱することにより残存溶剤を除去し、かつ被覆層に
架橋を施し、強靭な表面層を有する中間転写体を得た。
この中間転写体の弾性層のJIS−A硬度計による測定
硬度は28°であり、被覆層のマイクロゴム硬度計によ
る測定硬度は45°であった。
【0047】この中間転写体を23℃/65%環境下で
350mm×200mmのアルミ板上に転写面を接触さ
せて置き、中間転写体内面のアルミシリンダーとアルミ
板の間に高圧電源で1KVの電圧を印加し、電源と直列
につないだ1KΩの抵抗前後の電位差を測定して、電流
値に換算して、さらに、印加電圧とこの電流値から中間
転写体の抵抗を求めたところ3.5×107 Ωであっ
た。
【0048】この中間転写体(1)を図1に示されるフ
ルカラー電子写真装置に装着し、感光体として保護層を
有する有機感光ドラムを用いて、シアン単色で転写効率
を測定した。第1の画像担持体である感光ドラムから中
間転写体への一次転写効率は96%、中間転写体から第
2の画像担持体である80g/cm2 紙への二次転写効
率は95%であった。その後繰り返し、フルカラー画像
プリント試験を行った。また、そのフルカラープリント
画像は中抜けのない文字、細線が得られ、ベタ画像も均
質な画質が得られた。1万枚の耐久試験後も初期と同よ
うな画質が得られ、同様の方法で測定した二次転写効率
も92%とほとんど低下が見られなかった。2万枚耐久
後の中間転写体表面を顕微鏡観察しても、トナーによる
フィルミングは全く存在せず良好な結果であった。
【0049】また、この中間転写体に直径60mmのア
ルミシリンダーを1kgの力で当接し、70℃の環境に
22時間放置し同様にしてプリント試験を行ったが、画
像に中間転写体の歪みによる画像欠陥は認められず良好
な結果であった。
【0050】以下に本実施例の作像条件を示す。
【0051】感光体:PTFE粒子を分散した保護層を
有する有機感光ドラム 表面電位:−750V カラー現像剤(4色共):非磁性一成分トナー プロセススピード:120mm/sec 現像バイアス:−550V 一次転写バイアス:1KV 二次転写バイアス:5KV
【0052】(実施例2)実施例1において弾性層の充
填剤量を25部にした以外は同様にして試験を行った。
この中間転写体の弾性層のJIS−A硬度計による測定
硬度は65°であり、被覆層のマイクロゴム硬度計によ
る測定硬度は52°で、中間転写体の抵抗は4.8×1
7 Ωであった。耐久試験による画質は実施例1と同
様、良好なフルカラー画像が得られた。その結果を表1
に示す。
【0053】(実施例3)実施例1において充填剤を添
加しなかった以外は同様にして試験を行った。この中間
転写体の弾性層のJIS−A硬度計による測定硬度は1
5°であり、被覆層のマイクロゴム硬度計による測定硬
度は41°で、中間転写体の抵抗は3.2×107 Ωで
あった。耐久試験による画質は実施例1と同様、良好な
フルカラーが像が得られた。その結果を表1に示す。
【0054】(実施例4)実施例1において被覆層の塗
料配合を下記のように変更した。
【0055】 被覆層用塗料配合 アクリル変性ポリウレタン(溶媒含む)100部 硬化剤(溶媒含む) 30部 導電性金属酸化物 50部 樹脂充填剤 50部 分散助剤 5部 キシレン 80部 実施例1においてこの塗料を使用した以外は同様にして
試験を行った。この中間転写体の弾性層のJIS−A硬
度計による測定硬度は28°であり、被覆層のマイクロ
ゴム硬度計による測定硬度は73°で、中間転写体の抵
抗は2.8×107 Ωであった。耐久試験による画質は
実施例1と同様、良好なフルカラーが像が得られた。そ
の結果を表1に示す。
【0056】(実施例5)実施例1において弾性層を下
記のスポンジ配合にして、アルミシリンダーを予めセッ
トしておいた金型中に注入した後、120℃で1時間加
熱しスキン層を有するスポンジ状の弾性層を得た。
【0057】 スポンジ配合 ポリウレタンプレポリマー(溶媒含む)100部 硬化剤(溶媒含む) 15部 カーボンブラック 8部 発泡剤 5部 このスポンジ層に実施例1の被覆層用塗料を同様に塗布
し中間転写体を得た。この中間転写体について実施例1
と同様にして試験を行った。この中間転写体の弾性層の
ASKER−C硬度計による測定硬度は45°であり、
被覆層のマイクロゴム硬度計による測定硬度は41°
で、中間転写体の抵抗は1.8×107 Ωであった。耐
久試験による画質は実施例1と同様、良好なフルカラー
が像が得られた。その結果を表1に示す。
【0058】(実施例6)実施例1で用いたゴム配合で
厚さ2mmの無端状のベルトを成形し、表面に実施例1
と同様の被覆層用塗料を塗布し、ベルト状の中間転写体
を得た。このベルトのJIS−A硬度計による測定硬度
は25°であり、被覆層のマイクロゴム硬度計による測
定硬度は44°で、中間転写体の抵抗は2.2×107
Ωであった。このベルトを図5で示されるフルカラー電
子写真装置に装着し、1万枚の耐久試験を行った。その
結果を表1に示す。
【0059】(比較例1)実施例1の製造過程で得られ
た弾性層のみを有する中間転写体を用いた以外は、実施
例1と同様にして耐久試験を行ったが、初期より転写効
率が劣り、約4000枚から徐々に中間転写体の表面に
フィルミングが発生し、1万枚後では画像上に雨を降ら
したような細いスジとなってフィルミングの悪影響生じ
たために試験を中止した。その結果を表1に示す。
【0060】(比較例2)実施例1において弾性層のオ
イル量を50部とし、充填剤を使用しなかった以外は同
様にして試験を行った。この中間転写体の弾性層のJI
S−A硬度計による測定硬度は5°であり、被覆層のマ
イクロゴム硬度計による測定硬度は43°で、中間転写
体の抵抗は4.5×107 Ωであった。この中間転写体
は歪み試験においてシリンダー当接部に対応した画像濃
度のムラを生じ、初期のプリント試験でレジずれが認め
られたため耐久試験は行わなかった。
【0061】(比較例3)実施例1において弾性層にオ
イルを添加せず充填剤量を50部とした以外は同様にし
て試験を行った。この中間転写体の弾性層のJIS−A
硬度計による測定硬度は78°であり、被覆層のマイク
ロゴム硬度計による測定硬度は48°で、中間転写体の
抵抗は5.5×107 Ωであった。この中間転写体は初
期のプリント試験においてわずかであるが、当接の不均
一に関係すると思われるハーフトーン画像の濃度のムラ
を生じ、7000枚付近から中間転写体上にフィルミン
グが発生し始め、耐久試験終了時の画質にはフィルミン
グによる欠陥が認められた。その結果を表1に示す。
【0062】(比較例4)実施例1において被覆層用塗
料の配合を下記のように変更した以外、他は同様にして
試験を行った。
【0063】 被覆層用塗料配合 ポリエーテルポリウレタンプレポリマー(溶媒含む) 100部 硬化剤(溶媒含む) 60部 カーボンブラック 5部 キシレン 80部 この中間転写体の弾性層のJIS−A硬度計による測定
硬度は28°であり、被覆層のマイクロゴム硬度計によ
る測定硬度は9°で、この中間転写体の抵抗は3.8×
107 Ωであった。この中間転写体は初期より転写効率
が劣り、耐久試験5000枚付近からフィルミングの発
生が始まり、1万枚目には顕著な筋状の画像となった。
その結果を表1に示す。
【0064】(比較例5)実施例4において樹脂充填剤
の代わりに金属酸化物充填剤を使用し、添加量を100
部とした以外は同様にして試験を行った。この中間転写
体の弾性層のJIS−A硬度計による測定硬度は28°
であり、被覆層のマイクロゴム硬度計による測定硬度は
81°で、中間転写体の抵抗は3.8×107 Ωであっ
た。この中間転写体は耐久試験6000枚付近からフィ
ルミングの発生が始まり、1万枚目には顕著な筋状の画
像となった。その結果を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【発明の効果】以上のように、第1の画像担持体上に形
成された画像を中間転写体上に転写した後、第2の画像
担持体上に更に転写する画像形成装置において、前記中
間転写体が弾性層及び少なくとも一層の被覆層を有し、
該被覆層が樹脂充填剤を含有し、前記弾性層のJIS−
A硬度が10°〜70°の範囲であり、かつ前記被覆層
のマイクロゴム硬度計による硬度の測定値が10°〜7
5°の範囲であること、または、第1の画像担持体上に
形成された画像を中間転写体上に転写した後、第2の画
像担持体上に更に転写する画像形成装置において、前記
中間転写体がスポンジ層及び少なくとも一層の被覆層を
有し、該被覆層が樹脂充填剤を含有し、前記スポンジ層
のASKER−C硬度計による硬度が10°〜70°の
範囲であり、前記被覆層のマイクロゴム硬度計による硬
度の測定値が10°〜75°の範囲であることにより、
転写効率、画質、耐久性が共に良好で、中間転写体のフ
ィルミングを低減し、長期の感光体との当接においても
中間転写体の歪みに起因する画像欠陥のない画像形成装
置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ローラ形状の中間転写体を用いたカラー画像出
力装置の概略図である。
【図2】弾性層を有する本発明のローラ形状の中間転写
体の断面図である。
【図3】弾性層の上に被覆層を有する本発明のローラ形
状の中間転写体の断面図である。
【図4】弾性層の上に複数の被覆層を有する本発明のロ
ーラ形状の中間転写体の断面図である。
【図5】中間転写ベルトを用いたカラー画像出力装置の
概略図である。
【図6】中抜け画像を例示する図である。
【符号の説明】
1 感光ドラム 2 一次帯電器 3 像露光手段 9 給紙カセット 14 感光ドラムのクリーニング装置 15 定着器 20 中間転写体 21 芯金 22 弾性体層 24 転写材 25 転写ローラ 35 中間転写体クリーナ 41 マゼンタ色現像装置 42 シアン色現像装置 43 イエロー色現像装置 44 ブラック色現像装置 61 バイアス電源 100 芯金 101 弾性層 102 被覆層 103 被覆層 104 ベルト状中間転写体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 芦邊 恒徳 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 小林 廣行 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−281485(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 15/16

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の画像担持体上に形成された画像を
    中間転写体上に転写した後、第2の画像担持体上に更に
    転写する画像形成装置において、前記中間転写体が弾性
    層及び少なくとも一層の被覆層を有し、該被覆層が樹脂
    充填剤を含有し、前記弾性層のJIS−A硬度が10°
    〜70°の範囲であり、かつ前記被覆層のマイクロゴム
    硬度計による硬度の測定値が10°〜75°の範囲であ
    ることを特徴とする画像形成装置。
  2. 【請求項2】 第1の画像担持体上に形成された画像を
    中間転写体上に転写した後、第2の画像担持体上に更に
    転写する画像形成装置において、前記中間転写体がスポ
    ンジ層及び少なくとも一層の被覆層を有し、該被覆層が
    樹脂充填剤を含有し、前記スポンジ層のASKER−C
    硬度計による硬度が10°〜70°の範囲であり、前記
    被覆層のマイクロゴム硬度計による硬度の測定値が10
    °〜75°の範囲であることを特徴とする画像形成装
    置。
  3. 【請求項3】 中間転写体が弾性層を有するローラであ
    る請求項1記載の画像形成装置。
  4. 【請求項4】 中間転写体がスポンジ層を有するローラ
    である請求項2記載の画像形成装置。
  5. 【請求項5】 第1の画像担持体が、導電性剛体ローラ
    上に感光層を有する感光ドラムであり、中間転写体が弾
    性層を有する剛体ローラである請求項1記載の画像形成
    装置。
  6. 【請求項6】 第1の画像担持体が、導電性剛体ローラ
    上に感光層を有する感光ドラムであり、中間転写体がス
    ポンジ層を有する剛体ローラである請求項2記載の画像
    形成装置。
  7. 【請求項7】 感光体が保護層を有する有機感光体であ
    る請求項1または請求項2記載の画像形成装置。
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