JP3304584B2 - ロジン系エマルション組成物、その製造方法、サイズ剤、サイジング方法 - Google Patents

ロジン系エマルション組成物、その製造方法、サイズ剤、サイジング方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ロジン系エマルション
組成物、その製造方法、サイズ剤、サイジング方法に係
わり、特にエマルション固形分中にアルケニルコハク酸
誘導体とロジン系物質と分散剤を含有したロジン系エマ
ルション組成物であって、酸性系はもちろん中性領域で
の抄紙系において優れたサイズ効果を発現し、特に抄紙
速度が高速で乾燥条件の穏やかな場合、すなわち湿紙に
付与される熱量が相対的に低い抄紙系、例えばヤンキー
ドライヤーを有する抄紙機の乾燥条件において製造され
た紙にも優れたサイズ効果を発揮し、しかもそれ自体の
機械的安定性及び保存安定性に優れたサイズ剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】製紙業界では、紙質の向上、抄紙系のク
ローズド化及び製紙原料として炭酸カルシウムを含んだ
古紙や損紙を使用することに伴う諸問題を抱えており、
一方生産性向上のために抄紙機はより高速化され、その
結果として乾燥を比較的低温条件下で急速に行うことが
多くなってきている。後者に関しては、従来のサイズ剤
では紙に十分なサイズ度が付与できない傾向が見られ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】例えばアニオン性ロジ
ン系サイズ剤、特に強化ロジンのアルカリ中和物である
溶液型ロジンサイズ剤を使用した場合、また、溶液型ロ
ジンサイズ剤よりもサイズ効果に優れ、抄紙適用pH範
囲の広い分散型ロジン系サイズ剤を使用した場合、高速
抄紙機による抄造の際には乾燥条件が十分とは言えず、
所定のサイズ度を得るためにはサイズ剤の添加量を増や
さなければならず、そのためにコストアップになるばか
りでなく、抄紙工程中で発泡が著しいという問題を生じ
る。このような事情から、抄紙速度が高速で、乾燥条件
が比較的穏やかな場合、例えばヤンキードライヤーを有
する抄紙機(例えは純白ロール紙用等の抄紙機)あるい
は超高速の新聞用紙用抄紙機の乾燥条件下において抄造
された紙にも優れたサイズ効果を発揮するロジン系エマ
ルションサイズ剤が強く求められている。
【0004】本発明の目的は、高速抄紙機で抄紙する場
合のように、乾燥条件が比較的穏やかな抄紙系で抄造さ
れる紙のみならず、酸性から中性までの幅広い抄紙pH
領域の抄紙系において抄造された紙に優れたサイズ効果
を発揮し、しかも機械的安定性及び保存安定性に優れた
ロジン系エマルション組成物、その製造方法、この組成
物を含有するサイズ剤、サイジング方法を提供すること
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、(A)アルケニルコハク酸誘導体と、
(B)ロジン系物質と、(C)合成高分子系乳化分散剤
を含有する分散質を水中に安定に分散させたロジン系エ
マルション組成物であって、(A)成分が1〜49重量
部、(B)成分が50〜98重量部及び(C)成分が1
〜20重量部の合計100重量部を水中に安定に分散さ
せ、固形分濃度20〜60重量%の分散液とするロジン
系エマルション組成物を提供するものである。
【0006】また、本発明は、これらのロジン系エマル
ション組成物の製造方法、この組成物を含有するサイズ
剤、サイジング方法を提供する。
【0007】以下に本発明を詳細に説明する。本発明を
構成する(A)のアルケニルコハク酸誘導体とは、
一級アミン類、二級アミン類、多価アミン類及びアミノ
アルコール類からなる群から選ばれた少なくとも1種
と、アルケニルコハク酸無水物及びアルケニルコハク酸
の少なくとも1種との反応生成物、 二級アミン類、
多価アミン類及びアミノアルコール類からなる群から選
ばれた少なくとも1種と、アルケニルコハク酸無水物及
びアルケニルコハク酸の少なくとも1種との反応生成物
にさらに一価アルコール類、多価アルコール類及び一級
カルボン酸類からなる群から選ばれた少なくとも1種を
反応させて得られた反応生成物、 一価アルコール
と、アルケニルコハク酸無水物及びアルケニルコハク酸
の少なくとも1種との反応生成物、 一価アルコール
と、アルケニルコハク酸無水物及びアルケニルコハク酸
の少なくとも1種との反応生成物に多価アルコール類を
反応させて得られた反応生成物、 多価アルコール類
と、アルケニルコハク酸無水物及びアルケニルコハク酸
の少なくとも1種との反応生成物、 多価アルコール
類と、アルケニルコハク酸無水物及びアルケニルコハク
酸の少なくとも1種との反応生成物に一価アルコール類
及び一級カルボン酸類の少なくとも1種を反応させて得
られた反応生成物であり、これらは各群内単独又は2種
以上併用しても良く、また任意の2以上の群の各群少な
くとも1種を併用してもよい。
【0008】ここで、アルケニルコハク酸無水物、アル
ケニルコハク酸とは、それぞれ炭素数6〜30のオレフ
ィンと無水マレイン酸、炭素数6〜30のオレフィンと
マレイン酸の反応生成物であり、両者は単独で用いられ
るが、混合して用いられても良い。オレフィンとして
は、炭素数が好ましくは8〜20、さらに好ましくは1
2〜18である。そのオレフィンの代表的なものとして
は、直鎖α─オレフィン、直鎖内部オレフィン、分岐オ
レフィンのいずれも使用でき、また、それらの任意の2
種以上の混合物でも良い。上記アルケニルコハク酸無水
物は、下記一般式で示され、上記アルケニルコハク酸は
その開環したものである。
【0009】
【化1】
【0010】式中、R8 〜 R12はそれぞれ水素原子又
は同一若しくは異なっても良い炭素数1〜27の直鎖若
しくは分岐のアルキル基を示す。
【0011】アルケニルコハク酸誘導体を製造するに当
たり、アルケニルコハク酸無水物とアルケニルコハク酸
とでは、反応の容易さの点で前者を使用することが好ま
しい。上記の反応生成物は、アミド化反応、イミド化
反応、エステル化反応あるいはこれらの反応が複数組み
合わさって起こることによって得られる化合物である。
実際には、上記のアミン類のそれぞれの物質と、アル
ケニルコハク酸無水物及びアルケニルコハク酸の少なく
とも1種を混合し、あるいは一方の成分に他方の成分を
滴下しながら、室温ないし200℃程度で30分〜24
時間程度付加付加及び/又は脱水反応を起こして製造さ
れる。一般的には、発熱反応であるため、一方の成分に
他方の成分を滴下する方法が好ましい。これらアミン類
は2種以上併用しても良く、この場合、2種以上のアミ
ン類を同時にアルケニルコハク酸無水物及びアルケニル
コハク酸の少なくとも1種と反応させても良いし、ある
いは1種類のアミンを反応させてから次のアミンを反応
させるように段階的に反応を行っても良い。
【0012】本発明で使用される一級アミン類として
は、一般式R1 NH2 で表され、二級アミン類として
は、一般式R2 3 NHで表され、R1 、R2 、R3
同一又は異なる炭素数1〜30の鎖状又は環状炭化水素
基を示す化合物が好ましい。R1、R2 、R3 のそれぞ
れの具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソ
プロピル、アリル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、
t─ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、2
─エチルヘキシル、ノニル、デシル、ラウリル、ミリス
チル、パルミチル、ステアリル、オレイル等の鎖状炭化
水素基、フェニル、ナフチル、デヒドロアビエチル等を
挙げることができる。
【0013】また、多価アミン類としては、一般式H2
N─R4 (NR5 ─R4 )n─NH2 で表され、R4
炭素数2〜13の鎖状又は環状アルキレン基、R5 が水
素又はメチル基であってnが0〜5の整数値で示される
化合物が好ましい。例えば、エチレンジアミン、ヘキサ
メチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレ
ンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イミノビス
プロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、ト
リメチルヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミ
ン、シクロペンタジエンジアミン、ビス(パラアミノシ
クロヘキシル)メタン、ビスアミノメチルシクロヘキサ
ン、N−アミノプロピルシクロヘキシルアミン、キシレ
ンジアミン、ジアミノジエチルジフェニルメタン、o−
トリジン、トルイレンジアミン、フェニレンジアミン、
ビスアミノプロピルピペラジン、ジアミノジフェニルエ
ーテル、ジアミノベンズアニリド、ジアニシジン等を挙
げることができる。また、アミノアルコール類として
は、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミ
ン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミ
ン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノール
アミン等を挙げることができる。
【0014】アルケニルコハク酸無水物及びアルケニル
コハク酸の少なくとも1種と、上記アミン類の反応を行
う際、使用したアミン類の種類及び仕込み比率によって
未反応のカルボキシル基、水酸基、アミノ基を1つ以上
もつアルケニルコハク酸誘導体が合成される。したがっ
てこれらの反応生成物にさらに一価アルコール類、多価
アルコール類、一級カルボン酸類を単独又は複数併用し
て、エステル化反応あるいはアミド化反応を行ったアル
ケニルコハク酸誘導体を合成することができ、本発明は
これらも使用できる。このようなアルコール類、一級カ
ルボン酸類は、アルケニルコハク酸無水物及びアルケニ
ルコハク酸の少なくとも1種とアミン類を反応させた
後、加えて反応させることが好ましいが、あるいはアル
ケニルコハク酸無水物及びアルケニルコハク酸の少なく
とも1種とアルコール類、一級カルボン酸類を混合して
反応させてからアミン類を加えてさらに反応させても良
いし、さらには全部を同時に混合して反応させても良
い。
【0015】上記一価アルコール類としては、一般式R
6 OHで表され、R6 は炭素数1〜30の鎖状又は環状
炭化水素基を示す化合物が好ましい。例えは、メチルア
ルコール、エチルアルコール、ブチルアルコール、オク
チルアルコール、ラウリルアルコール、パルミチルアル
コール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、
エイコシルアルコール等の脂肪族アルコール、シクロペ
ンタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール
あるいはロジンアルコール等の環状アルコールが代表的
なものであり、これらは単独又は2種以上併用して使用
できる。多価アルコールとしては、OH基を2〜10個
有する化合物からなり、代表的なものとしては、例えは
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレ
ングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、
ジグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロール
プロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリト
ール、ビスフェノール等が挙げられ、これらは単独又は
2種以上併用して使用できる。
【0016】一級カルボン酸類としては、一般式R7
OOHで表され、R7 は炭素数4〜24の鎖又は環状の
炭化水素基である化合物が好ましい。例えば、ラウリル
酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレ
イン酸、ベヘン酸等が挙げられ、これらは単独又は2種
以上併用して使用できる。なお、これら一級カルボン酸
類の代わりに対応する一級カルボン酸無水物も使用で
き、本発明の一級カルボン酸類にはこれも含む。
【0017】本発明において、アルケニルコハク酸無水
物及びアルケニルコハク酸の少なくとも1種と一価アル
コール類との反応生成物とは、これら物質の付加反応及
び/又は脱水反応により生成するモノエステル、ジエス
テル誘導体及びこれらの混合物である。一価アルコール
類は単独又は2種以上併用しても良いが、アルケニルコ
ハク酸無水物及びアルケニルコハク酸の少なくとも1種
と混合後、あるいは一方の成分に他方の成分を滴下しな
がら、室温ないし250℃程度で30分〜24時間程度
反応させるいずれの方法でも良い。その一価アルコール
類としては上記一般式R6 OHで表されるもの、その具
体的例示物はそのまま適用できる。上記アルケニルコハ
ク酸無水物及びアルケニルコハク酸の少なくとも1種と
一価アルコール類との反応生成物がモノエステル及び未
反応のカルボキシル基を含む場合、さらに多価アルコー
ルを加えてエステル化反応を行ってアルケニルコハク酸
誘導体を合成できる。この際の反応温度は120〜25
0℃、反応時間は2〜24時間が好ましい。その多価ア
ルコールとしては上記の多価アルコールについて述べた
ものが適用できる。
【0018】また、本発明において、アルケニルコハク
酸無水物及びアルケニルコハク酸の少なくとも1種と多
価アルコール類との反応生成物とは、これら物質の付加
反応及び/又は脱水反応により生成するエステル誘導体
である。多価アルコール類は単独又は2種以上併用して
も良いが、アルケニルコハク酸無水物及びアルケニルコ
ハク酸の少なくとも1種と混合後、あるいは一方の成分
に他方の成分を滴下しながら、室温ないし250℃程度
で30分〜24時間程度反応させるいずれの方法でも良
い。その多価アルコールとしては上記の多価アルコール
について述べたものが適用できる。上記アルケニルコハ
ク酸無水物及びアルケニルコハク酸の少なくとも1種と
多価アルコール類との反応を行う際、使用した多価アル
コールの種類及び仕込み比率によって、未反応のカルボ
キシル基、水酸基及びこれら官能基を複数持つアルケニ
ルコハク酸誘導体が合成される。したがってこれら反応
生成物に、一価アルコール類や一級カルボン酸類を単独
又は2種以上併用して、さらにエステル化反応を行った
アルケニルコハク酸誘導体を合成することができ、本発
明ではこれも使用できる。その一価アルコール類として
は上記一般式R6 OHで表されるもの、その具体的例示
物はそのまま適用できる。また、その一級カルボン酸類
としては上記一般式R7 COOHで表されるもの、その
例示物はそのまま使用できる。
【0019】本発明における(B)成分のロジン系物質
とは、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン及び
これらロジンの変性物であり、これらは単独あるいは2
種以上の混合物として用いられる。このロジンの変性物
としては、一部あるいは実質的に完全に水素化されたも
の、不均化されたもの、重合化されたもの、あるいはホ
ルムアルデヒドで変性されたものなどが挙げられる。ま
た、これらロジン系物質に、α,β─不飽和カルボン酸
を付加反応した強化ロジンもロジン系物質に含まれる。
ここで用いられるα,β─不飽和カルボン酸の代表的な
ものは、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタ
コン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコ
ン酸等の不飽和二塩基酸、アクリル酸、メタクリル酸等
の不飽和一塩基酸等が挙げられ、これらは1種又は2種
以上併用して用いられる。さらにロジンとグリセリン、
ペンタエリスリトール等の多価アルコールとのエステ
ル、ロジンとエポキシ化合物との反応生成物も上記ロジ
ン系物質に包含される。
【0020】本発明における(C)成分の合成高分子系
乳化分散剤は、乳化分散剤及び/又は保護コロイドから
なるものであり、特に限定されるものではなく、分散剤
としてこれだけを使用してもよいが、これとともに各種
低分子界面活性剤、天然高分子系乳化分散剤の少なくと
も1種の乳化分散剤、カゼイン、レシチン、ポリビニル
アルコール、変性澱粉などの保護コロイドも使用でき、
これらは単独あるいは2種以上組合わせて使用しても良
い。各種低分子界面活性剤としては、ロジンのアルカリ
金属塩、強化ロジンのアルカリ金属塩、アルキルベンゼ
ンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル
硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニル
エーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンモノ及び
ジスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩、アルキル
硫酸エステル塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナ
フタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物、ポリオ
キシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸モノエス
テル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル
スルホコハク酸モノエステル塩、ポリオキシエチレンモ
ノ及びジスチリルフェニルエーテルスルホコハク酸モノ
エステル塩、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプ
ロピルスルホン酸塩などのアニオン性界面活性剤、ポリ
オキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン
アルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノ及
びジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレン
ポリオキシエチレングリコールグリセリン脂肪酸エステ
ル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコー
ル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪
酸エステル、シ糖脂肪酸エステル、ペンタエリスリト
ール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エス
テル、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシプロピレ
ンポリオキシエチレングリコール等の非イオン性の界面
活性剤、さらにはテトラアルキルアンモニウムクロライ
ド、トリアルキルベンジルアンモニウムクロライド、ア
ルキルアミン、モノ及びポリオキシエチレンアルキルア
ミン等のカチオン性界面活性剤を例示することができ
る。
【0021】また、合成高分子系乳化分散剤としては、
特に限定しないが疎水性基、非イオン性基及び/又はイ
オン性基を持つ合成高分子が使用でき、一例を挙げれば
アニオン性スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体の
部分あるいは完全中和物、アニオン性あるいはカチオン
性の(メタ)アクリル酸エステル系共重合体あるいは
(メタ)アクリルアミド系共重合体、カチオン性のポリ
アミノポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂、アルキレ
ンポリアミン−エピクロルヒドリン樹脂、ポリ(ジアリ
ルアミン)−エピクロルヒドリン樹脂等を例示すること
ができる。また、これらの合成高分子系乳化分散剤は保
護コロイドとして単独あるいは2種以上組合わせて使用
しても良い。
【0022】本発明のエマルション組成物は、前記
(A)、(B)、(C)成分からなり、(B)成分のロ
ジン系物質を50〜98重量部、(A)成分のアルケニ
ルコハク酸誘導体を1〜49重量部、より好ましくは2
〜20重量部及び(C)成分の分散剤を1〜20重量
部、より好ましくは3〜10重量部含有することが好ま
しい。(A)成分が1重量部未満ではサイズ性能などに
及ぼす効果が上記範囲のものよりは低下し、また、50
重量部以上ではサイズ性能などへの影響が頭打ちになる
傾向が見られ、経済的には好ましくない。また、(C)
成分が1重量部より少ないと、(B)成分のロジン系物
質と(A)成分のアルケニルコハク酸誘導体との混合物
を乳化分散させる作用及び貯蔵安定性が上記範囲のもの
より低下し、20重量部より多くしても乳化分散作用が
格別に良くなることはなく、またサイズ性能及び発泡性
の点でも上記範囲のものよりは良くなることはない。
【0023】(A)成分をエマルション固形分中に上記
含有量含める方法としては、特に限定されないが、
(A)成分1〜49重量部と(B)成分、好ましくは
α,β─不飽和カルボン酸により強化したロジン系物質
98〜50重量部を熔融混合した後、(C)成分の分散
剤で水中に乳化分散するか、(B)成分、好ましくは
α,β─不飽和カルボン酸により強化したロジン系物質
を(C)成分で乳化分散させたものと、(A)成分を
(C)成分で乳化分散させたものを混合するか、いずれ
の方法で行うこともできる。前者はサイズ性能の点で好
ましい。乳化分散後のエマルションの全固形分は20〜
60重量%が好ましく、より好ましく30〜50重量%
である。
【0024】本発明のロジン系エマルション組成物の製
造法は、特に限定されるものではないが、例えば特公昭
54─36242号公報に記載されている方法に準じ
て、(B)及び(A)成分を溶剤に溶かし、(C)成分
を添加した後ホモジナイザーを通して水中油型エマルシ
ョンを製造する方法(溶剤法)、特開昭54─7720
9号公報に記載されている方法に準じて、熔融した
(B)成分に(A)成分を混合し、この混合物に(C)
成分を混合して油中水型エマルジョンを形成し、反転水
を添加し水中油型エマルジョンに相転移させる方法(転
相法)、特公昭53─32380号公報に記載されてい
る方法に準じて、(A)、(B)成分を熔融混合し、さ
らに(C)成分を混合した後、高圧下でホモジナイザー
を通して水中油型エマルジョンを製造する方法(メカニ
カル法)等が用いられる。
【0025】かくして得られたロジン系エマルション組
成物は、サイズ剤として用いると、保存安定性及び機械
的安定性に優れており、高速抄紙機で比較的温和な乾燥
条件下、すなわち湿紙に付与する熱量が比較的少ない、
例えばヤンキードライヤーを有する抄紙機あるいは超高
速の新聞用紙用抄紙機の場合に特に酸性ないし中性抄紙
系(pH4〜8)で従来のサイズ剤に比べて紙に付与す
るサイズ性能が優れているばかりでなく、弱サイズ度か
ら強サイズ度までの調節が可能であるという利点を有し
ている。また、本発明のサイズ剤は、プレスロール、ド
ライヤーキャンバスなどの抄紙用具の汚れが少ないこと
等の特徴がある。
【0026】本発明のサイジング方法は、本発明のロジ
ン径エマルション組成物を含有するサイズ剤を、紙や板
紙の製造工程において、例えばウェット・エンド部に添
加することにより実施される。具体的には、本発明のサ
イズ剤をパルプの水性分散液にその乾燥重量に対して
0.01〜5固形分重量%、好ましくは0.05〜2固
形分重量%添加する。また、(A)成分を(C)成分で
乳化分散させたものと、(B)成分を(C)成分で乳化
分散させたものを別々にパルプスラリーに添加すること
もできるが、本発明のサイズ剤を用いる方がサイズ効果
も良いし、取扱いも容易である。
【0027】本発明のサイズされた紙は、本発明のサイ
ズ剤を硫酸バン土の多い抄紙系で使用して得られたサイ
ズ紙において優れたサイズ効果を発揮し、さらに 硫
酸バン土を使用できないか、その使用量が少量に限定さ
れる抄紙系、例えは中性純白ロール紙、中性ライナー、
防錆ライナー及び金属合紙、 古紙原料から炭酸カル
シウムが混入する抄紙系,例えば石膏ボード原紙、白
板、コート原紙、中性紙、一般ライナー及び中芯、
填料として炭酸カルシウムを使用する抄紙系、例えば中
性印刷筆記用紙、中性コート原紙、中性PPC用紙、中
性感熱原紙、中性感圧原紙、中性インクジェット用紙及
び中性情報用紙、 定着剤の使用量が限定される抄紙
系、例えばクラフト紙などにおいて本発明のサイズ剤を
用いて得られ、従来のロジン系サイズ剤にはない優れた
サイズ性能を発揮する。
【0028】上記サイジング方法、サイズ剤は、表面サ
イジング方法、表面サイズ剤としても使用可能であり、
この場合、抄紙された湿紙に噴霧、浸漬、塗布などの慣
用的方法が適用される。
【0029】本発明のサイズされた紙は、少なくとも
(A)成分と、(B)成分を含有し、さらに(C)成分
を含有しても良いが、その含有量は紙の種類により異な
るが、0.01〜5固形重量%の範囲が挙げられる。そ
れぞれの成分は分析することにより特定される。その分
析法としては例えば熱分解GC−MS(ガスクロマトグ
ラフィー質量分析)が挙げられる。
【0030】紙あるいは板紙を製造するに当たって、パ
ルプ原料としては、クラフトパルプあるいはサルファイ
トパルプなどの晒あるいは未晒化学パルプ、砕木パル
プ、機械パルプあるいはサーモメカニカルパルプなどの
晒あるいは未晒高収率パルプ、新聞古紙、雑誌古紙、段
ボール古紙あるいは脱墨古紙などの古紙パルプのいずれ
も使用することができる。また、上記パルプ原料と石綿
などの無機物繊維、あるいはポリアミド、ポリイミド、
ポリエステル、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール
等の合成繊維との混合物も使用することができる。
【0031】填料、染料、乾燥紙力向上剤、湿潤紙力向
上剤、歩留り向上剤、濾水性向上剤などの添加物も、各
々紙種に要求される物性を発現するために、必要に応じ
て使用しても良い。填料としては、クレー、タルク、重
質又は軽質炭酸カルシウム等が挙げられ、これらは単独
で用いても良く、併用しても良い。 乾燥紙力向上剤と
しては、アニオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポ
リアクリルアミド、両性ポリアクリルアミド、カチオン
化澱粉等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、併
用しても良い。湿潤紙力向上剤としては、ポリアミド・
エピクロルヒドリン樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド
樹脂、尿素・ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられ、これ
らは単独で用いてもよく、アニオン性ポリアクリルアミ
ドと併用しても良い。歩留り向上剤としては、アニオン
性又はカチオン性高分子量ポリアクリルアミド、シリカ
ゾルとカチオン化澱粉の併用、ベントナイトとカチオン
性高分子量ポリアクリルアミドの併用等が挙げられる。
濾水性向上剤としては、ポリエチレンイミン、カチオン
性又はアニオン性ポリアクリルアミド等が挙げられる。
また、サイズプレス、ゲートロールコーター、ビルブレ
ードコーター、キャレンダーなどで、澱粉、ポリビニル
アルコール、染料、コーテイングカラー、表面サイズ
剤、防滑剤などを必要に応じて塗布しても良い。また、
硫酸バン土は本発明のサイズ剤を添加する前、添加した
後、あるいは同時に添加して使用しても良い。
【0032】
【実施例】以下、上記(A)、(B)、(C)成分の製
造例、これを用いた実施例及び比較例を挙げて本発明を
より具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定さ
れるものではない。なお、各例中、部及び%は特記しな
いかぎりすべて重量基準である。
【0033】 アルケニルコハク酸誘導体の製造 −1 ドデセニルコハク酸無水物─ステアリルアミン
反応物(A−1) 約100℃のドデセニルコハク酸無水物(三洋化成工業
(株)製商品名DDSA)51.4部にステアリルアミ
ン52.1部を滴下し、滴下後徐々に150℃まで昇温
した。150℃で5時間反応を行い、生成する水(3.
5部)を留去してアルケニルコハク酸誘導体であるイミ
ド化合物のドデセニルコハク酸無水物─ステアリルアミ
ン反応物(A−1)100部を得た。 −2 ドデセニルコハク酸無水物─ジエチルアミン反
応物(A−2) 約100℃のドデセニルコハク酸無水物(三洋化成工業
(株)製商品名DDSA)78.4部にジエチルアミン
21.6部を滴下し、滴下後徐々に150℃まで昇温し
た。150℃で1時間反応を行い、アルケニルコハク酸
モノアミド化合物であるドデセニルコハク酸無水物─ジ
エチルアミン反応物(A−2)100部を得た。
【0034】−3 ペンタデセニルコハク酸無水物−
ジエチレントリアミン反応物(A−3) ドデセニルコハク酸無水物、エチレンジアミンの代わり
に、ペンタデセニルコハク酸無水物(三洋化成工業
(株)製商品名PDSA−DA)93.5部、ジエチレ
ントリアミン10部を使用し、上記−1の製造例と同
様に反応を行った。留去した水は3.5部で、アルケニ
ルコハク酸誘導体のペンタデセニルコハク酸無水物−ジ
エチレントリアミン反応物(A−3)100部が得ら
れ、このものは酸価55を有する、アルケニルコハク酸
のモノアミド及びイミド誘導体であった。 −4 ドデセニルコハク酸無水物−エチレンジアミン
反応物(A−4) 約100℃のドデセニルコハク酸無水物(三洋化成工業
(株)製商品名DDSA)95.7部にエチレンジアミ
ン10.8部を滴下し、滴下後徐々に150℃まで昇温
した。150℃で5時間反応を行い、生成する水(6.
5部)を留去してアルケニルコハク酸誘導体であるイミ
ド化合物のドデセニルコハク酸無水物─エチレンジアミ
ン反応物(A−4)100部を得た。 −5 ドデセニルコハク酸無水物−モノイソプロパノ
ールアミン反応物(A−5) 約100℃のドデセニルコハク酸無水物(三洋化成工業
(株)製商品名DDSA)90.3部にモノイソプロパ
ノールアミン12.7部を滴下し、滴下後徐々に150
℃まで昇温した。150℃で5時間反応を行い、生成す
る水(3部)を留去してアルケニルコハク酸誘導体であ
るドデセニルコハク酸無水物─モノイソプロパノールア
ミン反応物(A−5)100部を得た。
【0035】−6 ドデセニルコハク酸無水物−ジエ
チルアミン−オレイルアルコール反応物(A−6) 上記−2により得られたドデセニルコハク酸無水物─
ジエチルアミン反応物(A−2)57.5部にオレイル
アルコール45.5部を加え、180℃で6時間脱水反
応を行い(留出した水は3部であった)、この(A−
2)のエステル化物であるドデセニルコハク酸無水物−
ジエチルアミン−オレイルアルコール反応物(A−6)
100部を得た。
【0036】−7 ペンタデセニルコハク酸無水物−
ジエチレントリアミン−ビスフェノールA反応物(A−
7) 上記−3により得られたペンタデセニルコハク酸無水
物−ジエチレントリアミン反応物(A−3)91.6部
にビスフェノールA10部を加え、200℃で12時間
脱水反応を行い(留出した水は1.6部であった)、こ
の(A−3)のエステル化物であるペンタデセニルコハ
ク酸無水物−ジエチレントリアミン−ビスフェノールA
反応物(A−7)100部を得た。 −8 ペンタデセニルコハク酸無水物−ジエチレント
リアミン−グリセリン反応物(A−8) 上記−3により得られたペンタデセニルコハク酸無水
物−ジエチレントリアミン反応物(A−3)98.8部
にグリセリン3部を加え、200℃で12時間脱水反応
を行い(留去した水は1.8部あった)、この(A−
3)のエステル化物であるペンタデセニルコハク酸無水
物−ジエチレントリアミン−グリセリン反応物(A−
8)100部を得た。
【0037】−9 オクタデセニルコハク酸無水物−
ロジンアルコール反応物(A−9) 約150℃のオクタデセニルコハク酸無水物(Dixi
e Chem.社製商品名ODSA)50部にロジンア
ルコール(理化ハーキュレス社製商品名アビトール)5
0部を加え、150℃で6時間反応を行い、アルケニル
コハク酸モノエステル化物(A−9)100を得た。 −10 オクテニルコハク酸無水物−エチルヘキシル
アルコール反応物(A−10) 約150℃のオクテニルコハク酸無水物(Dixie
Chem.社製商品名ODSA)62部にエチルヘキシ
ルアルコール38部を加え、150℃で6時間反応を行
い、アルケニルコハク酸モノエステル化合物であるオク
テニルコハク酸無水物−エチルヘキシルアルコール反応
物(A−10)100部を得た。 −11 オクタデセニルコハク酸無水物−エチルヘキ
シルアルコール−ビスフェノールA反応物(A−11) 上記−10に従い、オクタデセニルコハク酸無水物6
0.7部とエチルヘキシルアルコール22.6部から、
アルケニルコハク酸モノエステル誘導体83.3部を得
た。このものに、さらにビスフェノールA19.8部を
加え、200℃で8時間脱水反応を行い(留出した水は
3.1部であった)、オクタデセニルコハク酸無水物−
エチルヘキシルアルコール−ビスフェノールA反応物
(A−11)100部を得た。
【0038】−12 ペンタデセニルコハク酸無水物
−エチレングリコール反応物(A−12) 約150℃のペンタデセニルコハク酸無水物(三洋化成
工業(株)製商品名PDSA−DA)92.1部にエチ
レングリコール8.8部を加え、150℃で6時間反応
を行い、ペンタデセニルコハク酸無水物−エチレングリ
コール反応物(A−12)100部を得た。 −13 ペンタデセニルコハク酸無水物−エチレング
リコール−ステアリン酸反応物(A−13) 上記−12により得られたペンタデセニルコハク酸無
水物−エチレングリコール反応物(A−12)57.0
部にステアリン酸45.9部を加え、200℃で8時間
脱水反応を行い(留出した水は2.9部であった)、こ
の(A−12)のエステル化物であるペンタデセニルコ
ハク酸無水物−エチレングリコール−ステアリン酸反応
物(A−13)100部を得た。
【0039】 ロジン系物質(B)の製造 −1 フマル酸強化ロジンの製造 約200℃で熔融状態にあるガムロジン450部にフマ
ル酸80部を徐々に加えていき、ほとんど全部のフマル
酸が反応し終わった後、さらにホルムアルドヒド処理
(変性率3%)トール油ロジンを470部加え、熔融撹
拌して均質化し、その後に反応生成物を室温に冷却し
た。この反応生成物(強化ロジン)はロジンにフマル酸
が8%付加されたものであった。
【0040】 高分子系乳化分散剤の製造 以下のようにして、ロジン系物質を分散安定化するため
の実施例用高分子系乳化分散剤(C─1)及び(C−
2)を製造した。 ─1 実施例用アニオン性高分子系分散剤(C─1)
の製造 特開昭61─108796号公報の参考例10の製造方
法に従い、以下のようにしてスチレン─メタクリル酸系
共重合体中和物(C─1)を製造した。スチレン55
部、メタクリル酸30部、イタコン酸5部、アクリル酸
ラウリル10部、10%ナフタレンスルホン酸ナトリウ
ムホルムアルデヒド縮合物50部、過硫酸アンモニウム
1部及び水200部を混合撹拌し、加圧下、150℃で
30分間加熱した。ついで70℃まで冷却し、48.5
%水酸化ナトリウム35.5部と水7部を徐々に滴下
し、30分間撹拌した後室温まで冷却することにより、
固形分30%のアニオン性ポリマー分散液(C─1)を
得た。
【0041】─2 実施例用カチオン系高分子系分散
剤(C─2)の製造 特開平2─177534号公報の実施例1に記載の疎水
性基を有するカチオン性ポリ(メタ)アクリルアミドの
製造方法に従い、以下のようにして高分子系分散剤(C
−2)を製造した。撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒
素ガス導入管を備えた1リットル容の4つ口フラスコ
に、ジメチルアミノエチルメタクリレート31.4部、
50%アクリルアミド水溶液85.3部、スチレン2
0.8部、イオン交換水100.6部、イソプロピルア
ルコール143.3部、n−ドデシルメルカプタン0.
6部を仕込み、20%酢酸水溶液にてpHを4.5に調
節した。この混合液を撹拌しながら窒素ガス雰囲気下
で、60℃まで昇温した。重合開始剤として5%過硫酸
アンモニウム水溶液を2.3部を加え、80℃まで昇温
し、1.5時間保持した後、過硫酸アンモニウムの5%
水溶液0.7部を追加した。さらに1時間同温度に保持
した後、イオン交換水100部を加え、次いでイソプロ
ピルアルコールを留去し、さらにイオン交換水を加えて
固形分濃度20.4%のカチオン性ポリマー分散液(C
─2)を製造した。
【0042】 ロジン系エマルション組成物の製造 ─1 実施例1〜15 で得たフマル酸強化ロジンとで得たアルケニルコハ
ク酸誘導体を表1に示した割合で混合し、約150℃に
加熱溶融し、激しく撹拌しながら、で得た分散剤を同
表に記載のように添加混合して油中水型のエマルション
とした。これに熱水を徐々に加えて転相させ水中油型の
エマルションとし、これにさらに熱水を素早く添加して
安定な水中油型エマルションとした後、室温まで冷却し
た。かくして得られたエマルションの固形分は約45〜
50%であり、Master Sizer(マルバーン
社製)で測定した重量基準粒径分布における累積50%
径(以下、平均粒子径と称す)は0.2〜0.4μmで
あり、長期間安定なものであった。
【0043】─2 比較例1、2 アルケニルコハク酸誘導体を使用せず、表1に示した組
成にした以外は上記実施例と同様の方法でロジン系エマ
ルション組成物(サイズ剤)を得た。上記実施例、比較
例のロジン系エマルション組成物の組成及び性状を表1
に示す。
【0044】
【表1】
【0045】以上の実施例及び比較例で得られたロジン
系エマルション組成物をサイズ剤として用いて下記の試
験条件でサイズ効果試験を行った結果を表2に示す。添
加薬品はすべてパルプ絶乾重量に対する固形分重量比で
示した。
【0046】─1 サイズ効果試験1 晒クラフトパルプ(針葉樹対広葉樹のパルプ比が1対4
である混合パルプ)のパルプ濃度を2.5%になるよう
に硬度100ppmの希釈用水で希釈し、ビーターを用
いて350mlのカナディアンスタンダードフリーネス
まで叩解した。このパルプスラリー1.2リットルを離
解機に秤取し、上記実施例、比較例のサイズ剤を表2に
示す量(0.3%あるいは0.4%)と1.5%の硫酸
バン土を同時に添加し、その後30分間撹拌した。次い
でpH4.5の希釈水でこのパルプスラリーを濃度0.
25%まで希釈し、次いで定着剤としてカチオン性ポリ
アクリルアミド(日本PMC(株)製紙力剤DS41
0)を0.05%添加し、ノーブルアンドウッド抄紙機
で抄紙pH4.5で抄紙し、坪量65g/m2 の試験紙
を得た。湿紙の乾燥は、ドラムドライヤーを用いて所定
の乾燥条件で行った。得られた試験紙を恒温恒湿環境下
(20℃、65%相対湿度)で24時間調湿した後、サ
イズ度をステキヒト法で測定した。その結果を表2に示
した。表中、乾燥条件のうち、80℃、100秒の条件
が「乾燥条件が比較的穏やかな場合」に相当する。
【0047】
【表2】
【0048】─2 サイズ効果試験2 前項の─1の試験と同一条件で叩解したパルプスラリ
ー1.2リットルを離解機に秤取し、上記実施例、比較
例のサイズ剤を表2に示す量(0.4%あるいは0.8
%)と1.0%の硫酸バン土及び定着剤として上記DS
410を0.2%添加し、その後10分間撹拌した。次
いでpH8の希釈水でこのパルプスラリーを濃度0.2
5%まで希釈し、軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業
(株)製タマパール121S)を2%、及び歩留り剤と
して高分子量カチオン性ポリアクリルアミド(日本PM
C(株)歩留剤RD814)を0.01%添加し、ノー
ブルアンドウッド抄紙機で抄紙pH8で抄紙し、坪量6
5g/m2 の試験紙を得た。湿紙の乾燥は、ドラムドラ
イヤーを用いて所定の乾燥条件で行った。得られた試験
紙を恒温恒湿環境下(20℃、65%相対湿度)で24
時間調湿した後、サイズ度をステキヒト法で測定した。
その結果を表3に示した。
【0049】
【表3】
【0050】 静置安定性試験 長さ30cm、内径2.1cmの試験管に100mlの
上記実施例、比較例のサイズ剤を入れ、6ケ月静置後、
底部に沈澱した沈澱物の高さ(cm)を測定した。その
測定結果を表4に示す。
【0051】 機械的安定性試験 前記実施例、比較例の各サイズ剤50gをカップに入
れ、温度25℃、荷重20Kg、回転数800rpmに
て5分間マーロン式安定性試験を行った。生成した凝集
物を325メッシュの金網にて濾過して全固形分に対す
る析出量を測定し百分率で表した。その測定結果を表4
に示す。
【0052】
【表4】
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、アルケニルコハク酸誘
導体とロジン系物質と合成高分子系乳化分散剤を所定割
合で含有する分散質を水中に安定に分散させたロジン系
エマルション組成物、その製造方法、サイズ剤、サイジ
ング方法を提供できるので、このロジン系エマルション
組成物を含有するサイズ剤を用いてサイジングを行う
と、特に抄紙速度が高速で乾燥条件が穏やかな条件下に
おいても従来のアニオン性あるいはカチオン性ロシンエ
マルションには見られない優れたサイズ効果を発揮する
紙を提供できる。また、このサイズ剤は保存安定性及び
機械的安定性に優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−140891(JP,A) 特開 昭62−69899(JP,A) 特開 平1−162896(JP,A) 特開 昭57−56599(JP,A) 特開 昭63−227894(JP,A) 特開 昭52−81112(JP,A) 特開 平4−343791(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21H 17/62 D21H 17/14 D21H 21/16

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)アルケニルコハク酸誘導体と、
    (B)ロジン系物質と、(C)合成高分子系乳化分散剤
    を含有する分散質を水中に安定に分散させたロジン系エ
    マルション組成物であって、(A)成分が1〜49重量
    部、(B)成分が50〜98重量部及び(C)成分が1
    〜20重量部の合計100重量部を水中に安定に分散さ
    せ、固形分濃度20〜60重量%の分散液とするロジン
    系エマルション組成物。
  2. 【請求項2】(A)のアルケニルコハク酸誘導体が
    一級アミン類、二級アミン類、多価アミン類及びアミノ
    アルコール類からなる群から選ばれた少なくとも1種
    と、アルケニルコハク酸無水物及びアルケニルコハク酸
    の少なくとも1種との反応生成物、 二級アミン類、
    多価アミン類及びアミノアルコール類からなる群から選
    ばれた少なくとも1種と、アルケニルコハク酸無水物及
    びアルケニルコハク酸の少なくとも1種との反応生成物
    にさらに一価アルコール類、多価アルコール類及び一級
    カルボン酸類からなる群から選ばれた少なくとも1種を
    反応させて得られた反応生成物、 一価アルコール
    と、アルケニルコハク酸無水物及びアルケニルコハク酸
    の少なくとも1種との反応生成物、 一価アルコール
    類と、アルケニルコハク酸無水物及びアルケニルコハク
    酸の少なくとも1種との反応生成物にさらに多価アルコ
    ール類を反応させて得られた反応生成物、多価アルコ
    ール類と、アルケニルコハク酸無水物及びアルケニルコ
    ハク酸の少なくとも1種との反応生成物、又は 多価
    アルコール類と、アルケニルコハク酸無水物及びアルケ
    ニルコハク酸の少なくとも1種との反応生成物に一価ア
    ルコール類及び一級カルボン酸類の少なくとも1種を反
    応させて得られた反応生成物である請求項1記載のロジ
    ン系エマルション組成物。
  3. 【請求項3】 一級アミン類が一般式R1 NH2 (但
    し、R1 は炭素数1〜30の鎖状又は環状炭化水素基を
    示す)で表される化合物であり、二級アミン類がR 2
    3 NH(但し、R 2 、R 3 は同一又は異なる炭素数1〜
    30の鎖状又は環状炭化水素基を示す)で表される化合
    物であり、多価アミン類が一般式H2 N─R4 (NR5
    ─R4 )n─NH2 (但し、R4 が炭素数2〜13の鎖
    状又は環状アルキレン基、R5 が水素又はメチル基であ
    ってnが0〜5の整数値で示される)で表される化合物
    である請求項2に記載のロジン系エマルション組成物。
  4. 【請求項4】 アミノアルコール類がモノエタノールア
    ミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モ
    ノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミ
    ン、及びトリイソプロパノールアミンからなる群から選
    ばれた少なくとも1種である請求項2又は3に記載のロ
    ジン系エマルション組成物
  5. 【請求項5】 一価アルコール類がR6 OH(但し、R
    6 は炭素数1〜30の鎖状又は環状炭化水素基を示す)
    で表される化合物であり、多価アルコール類がOH基を
    2〜10個有する化合物である請求項ないしのいず
    かに記載のロジン系エマルション組成物。
  6. 【請求項6】 一級カルボン酸類が一般式R7 COOH
    (但し、R7 が炭素数4〜24の鎖状又は環状炭化水素
    基を示す)で表される請求項ないしのいずれかに
    載のロジン系エマルション組成物。
  7. 【請求項7】(A)のアルケニルコハク酸誘導体が請求
    項2ないしに記載されたアルケニルコハク酸誘導体の
    2種以上である請求項1記載のロジン系エマルション組
    成物。
  8. 【請求項8】(A)中のアルケニルコハク酸無水物、ア
    ルケニルコハク酸がそれぞれ炭素数6〜30のオレフィ
    ンと無水マレイン酸、炭素数6〜30のオレフィンとマ
    レイン酸との反応生成物である請求項2ないしのいず
    れかに記載のロジン系エマルション組成物。
  9. 【請求項9】(A)成分と(B)成分とは混合物粒子を
    形成して分散されている請求項1ないし8のいずれかに
    記載のロジン系エマルション組成物
  10. 【請求項10】(A)成分と(B)成分を混合し、該混
    合物を(C)成分を用いて水中に分散させる請求項1な
    いしのいずれかに記載のロジン系エマルション組成物
    の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1ないしのいずれかに記載の
    ロジン系エマルション組成物を含有するサイズ剤。
  12. 【請求項12】 請求項1ないしのいずれかに記載さ
    れたロジン系エマルション組成物をサイズ剤として用い
    るサイジング方法。
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