JP3301221B2 - ポリ乳酸の製造法 - Google Patents

ポリ乳酸の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、固形の高分子量ポリ乳
酸の製造法に関する。本発明の製造法にて得られたポリ
乳酸は高分子量であり、粒状、ペレット状、板状など種
々の形態をなす。
【0002】
【従来技術】ポリ乳酸は生体安全性が高く、しかも分解
物である乳酸は生体内で吸収される。このようにポリ乳
酸は生体安全性の高い高分子化合物であり、手術用縫合
糸、ドラッグデリバリー(徐放性カプセル)、骨折時の
補強材など医療用にも用いられ、自然環境下で分解する
ため分解性プラスチックとしても注目されている。ま
た、一軸、二軸延伸フィルムや繊維、射出成形品などと
して種々の用途にも用いられている。
【0003】このようなポリ乳酸の製造法には、乳酸を
直接脱水縮合して目的物を得る直接法と、乳酸から一旦
環状ラクチド(二量体)を合成し、晶析法などにより精
製を行い、ついで開環重合を行う方法がある。例えば、
特公昭56−14688号公報には2分子の環状ジエス
テルを中間体とし、これをオクチル酸錫、ラウリルアル
コールを触媒として重合し、ポリ乳酸を製造することが
開示されている。このようにして得られたポリ乳酸は、
成型加工の工程における取り扱い性を容易にするため、
あらかじめ米粒大から豆粒程度の大きさの球状、立方
体、円柱状、破砕状等のペレット状の製品とされる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、分子量
10万〜50万の高分子量のポリ乳酸の融点は170〜
200℃と高く、従来このようなポリ乳酸の最終重合物
を溶融状態で反応器から取り出し、これを融点以上に加
熱すると、ポリ乳酸の分解や着色を生じた。
【0005】そこで、かかる課題を解決するため、本件
発明者は、ポリ乳酸の重合において、最終重合物を得る
前に融点より低い温度で第1段の重合を行い、ポリ乳酸
をペレット状に成型し、それをさらに第2段の重合で最
終重合物とする方法を提案している(特願平6−221
65号)。
【0006】本発明は、更に上記発明に改良を加え、着
色や分解物、融着がなく、かつ成型に適した形態を有す
る高分子量のポリ乳酸を製造することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本件発明者は、鋭意検討
した結果、ポリ乳酸の製造において、第2段目の重合を
行う際、溶媒中で加熱し重合を進めれば、融着を防ぐこ
とができることを見出だし、本発明をなすに至った。
【0008】すなわち、本発明は、ポリ乳酸の融点より
低い温度で加熱重合を行う第1段階と、得られた固形ポ
リ乳酸を溶媒中で加熱重合を行う第2段階とからなるポ
リ乳酸の製造法を提供する。
【0009】本発明のポリ乳酸の製造法では、まず分解
や着色の伴わない比較的低温で1段目の重合反応を行い
ペレットなど固形のポリ乳酸に成型する。1段目の反応
温度は100〜165℃、好ましくは110〜150℃
であり、平均分子量5万〜20万のポリ乳酸を得る。1
段目で得られるポリ乳酸は粘度が10〜10,000 pois、
好ましくは50〜1,000 poisである。このようなポリ乳
酸はペレットなどへの成型が容易となる。
【0010】重合に用いる触媒としては、オクチル酸ス
ズなどのスズ系化合物、テトライソプロピルチタネート
などのチタン系化合物、ジルコニウムイソプロポキシド
などのジルコニウム系化合物、三酸化アンチモンなどの
アンチモン系化合物等、いずれも乳酸の重合に従来公知
の触媒が挙げられる。また、添加する触媒量によって、
最終ポリマーの分子量を調整することもできる。触媒量
が少ないほど反応速度は遅くなるが、分子量は高くな
る。
【0011】重合反応は乳酸のモノマー重量に対して
0.001〜1重量%、好ましくは0.01〜0.5重
量%の触媒を用い、通常3〜60分間加熱重合する。反
応は窒素など不活性ガス雰囲気にて行うのが好ましい。
【0012】このようにして得られたポリ乳酸を成型器
により粒状、ペレット状など所望の形状に成型する。つ
ぎに成型されたポリ乳酸を、その形状を保ったまま成型
物どうしの融着を防ぐため溶媒中で2段目の重合を進め
る。使う溶媒としては、ラクチドと反応するヒドロキシ
ル基、カルボキシル基、エステル基、チオール基、SH
基などを含まない溶媒でなければならない。例えば、ト
ルエン、ベンゼン等の芳香族系、キシレン、ヘキサン等
パラフィン系脂肪族炭化水素などが挙げられる。使う溶
媒の量はポリ乳酸ペレットの0.5〜10倍量、好まし
くは、1〜3倍量がよい。
【0013】2段目の重合反応の温度はラクチドの融点
以上で、反応温度は95〜160℃、好ましくは100
〜140℃である。反応時間は3〜48時間、好ましく
は7〜12時間である。また、反応時間を短縮するた
め、2段目の重合の進行に伴い、反応温度を上昇させて
もよい。
【0014】
【作用】本発明では、2段目の重合反応を溶媒中で行う
ことにより、成型物の融着をなくすことができる。
【0015】
【実施例】以下の工程によりポリ乳酸を製造した。 (第1段階)L−ラクチド( Purac製)100gに触媒
(オクチル酸スズ)を0.1%添加した。ビーカーにL
−ラクチドを入れN2 置換を行った後、オイルバスに侵
し135℃にて40分間加熱した。L−ラクチドが全て
融解して温度が設定温度に達してから、反応時間を計測
する。反応熱によって加熱しすぎないようにオイルバス
設定温度を調整し、粘度が十分高くなるまで重合を進め
た。得られたポリ乳酸は平均分子量12.5万である
が、未反応のラクチドがかなり残っていた。粘度は10
0poisであった。
【0016】(第2段階)1段目の重合で得られた分子
量12.5万のペレット500gをトルエン1000m
l中に入れ、105℃で15時間反応を行った。その結
果、分子量50万で着色や低分子の無いポリ乳酸ペレッ
トができた。
【0017】
【発明の効果】本発明によれば、重合の第2段階で融着
を起こさず、着色、分解物のない分子量20万〜50万
の高分子量のポリ乳酸を製造することができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特公 昭41−17675(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/00 - 63/91

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリ乳酸の融点より低い温度で加熱重合
    を行う第1段階と、得られた固形ポリ乳酸を溶媒中で加
    熱重合を行う第2段階とからなるポリ乳酸の製造法。
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