JP3297840B2 - 電解コンデンサ電極用アルミニウム箔 - Google Patents
電解コンデンサ電極用アルミニウム箔Info
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極に使用されるアルミニウム箔、特にエッチングにより
均一かつ多数のピットを形成し、高い静電容量を得るこ
とができる電解コンデンサ電極用アルミニウム箔に関す
る。
サ電極用アルミニウム箔について静電容量の一層の向
上、すなわち、エッチング後に十分な表面積の拡大が得
られるアルミニウム箔の開発が要望されている。通常、
電解コンデンサ電極用アルミニウム箔のエッチングは、
塩素イオンを含む溶液中で電気化学的あるいは化学的な
処理を施すことにより行われ、エッチングによりエッチ
ピットと呼ばれる多数の孔を形成して、エッチング面の
表面積を拡大させる。
るために、アルミニウム箔に含まれる微量成分をコント
ロールし、エッチピットの分布状態を均一かつ高密度に
する多くの試みがなされている。例えば、アルミニウム
箔の表面から0.1 μm 深さまでの表層部のMg含有量を
高濃度に規定することにより、多数のエッチピットを形
成して静電容量を増大させることが提案されている。
(特開平4-62821 号公報、特開平5-82397 号公報) ま
た、Mg、Pb、Bi、Inなどの元素の濃化層を箔基
体と表面酸化皮膜との界面部、および酸化皮膜の表層部
の2箇所に設けたアルミニウム箔も提案されている。
(特開平4-213810号公報)
び酸化皮膜中の水和率を規定して、静電容量を増大させ
ようとする試みもなされており(特開平7-150280号公
報)、アルミニウム純度を99.9%以上とし、Mgを50〜
500ppm含有させて製造時にMgの表面偏析を生ぜしめ、
特定されたエッチング条件を組合わせることによって、
エッチングピットを均一に分散させることも提案されて
いる。(特開平7-235457号公報)
したのみでは、十分に均一なピットは得られず、またM
gは熱処理によって酸化皮膜中に濃化するため、通常M
gの濃化層を箔基体と表面酸化皮膜との界面部、および
酸化皮膜の表層部の2箇所にもうけることは、非常に困
難である。すなわち、規定量のMgを添加したアルミニ
ウム箔を単純に加熱しMgを表層部に拡散させるだけで
は、ピット分布のコントロールが不十分となり、さら
に、熱処理後に酸化皮膜を除去したアルミニウム箔は、
静電容量が大きく低下してしまうのである。
ンサ電極用アルミニウム箔における上記従来の問題点を
解消するために、エッチング時のピット形成機構におけ
る酸化皮膜中の化合物の種類とサイズ、酸化皮膜中の欠
陥の発生およびこれらの分布、さらにアルミニウム箔に
生じる酸化皮膜の厚みなどとの関連性について多角的に
検討した結果としてなされたものであり、その目的は、
エッチングによりエッチピットの分布状態が均一且つ高
密度となり、高い静電容量を得ることができる電解コン
デンサ電極用アルミニウム箔を提供することにある。
めの本発明による電解コンデンサ電極用アルミニウム箔
は、表面に酸化皮膜を有するアルミニウム箔であって、
該酸化皮膜を除くアルミニウム合金箔基体の平均アルミ
ニウム純度が99.9%以上であり、酸化皮膜中に平均サイ
ズ0.01〜0.8 μm のAl−Mg系化合物が1 ×106 〜 9
×106 個/mm2分散していることを構成上の特徴とする。
但し、Al−Mg系化合物の平均サイズは、アルミニウ
ム箔の表面からみたときのサイズで、同じ面積を有する
真円に近似したときの平均直径をいう。
ニウム箔において、Al−Mg系化合物の80%以上が
スピネル構造のMgAl2 O4 であることを第2の特徴
とし、上記の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔にお
いて、表面酸化皮膜の平均厚さが0.002 〜0.01μm ので
あることを第3の特徴とする。
エッチング処理した場合、エッチングの初期に半球状の
ピットの核が形成される場所は、酸化皮膜中に存在する
化合物の周辺のクラックであり、特に特定サイズのAl
−Mg系化合物周辺に好適なピットの核が形成される。
アルミニウム純度および酸化皮膜中の化合物についての
限定理由を説明すると、Al純度が99.9%以上のアルミ
ニウム箔基体を用いるのは、エッチング時に不純物によ
り不均一なピットが発生するのを防止するためである。
不均一なピットが発生すると、ピット同士が合体し易く
なり高い静電容量が得難くなる。さらに好ましいアルミ
ニウム純度は99.98 %以上である。
中のAl−Mg系化合物の平均サイズ(アルミニウム箔
の表面からみたときのサイズで、そのサイズを面積が同
じ真円に近似したときの平均直径)を0.01〜0.8 μm 、
その分布を 1×106 〜 9×106 個/mm2とするのが好まし
い。酸化皮膜膜中のAl−Mg系化合物の平均サイズが
0.01μm 未満であると、化合物がピット開始点として作
用しなくなり、0.8 μm を越えると、その化合物に複数
のピットが集中して発生し、静電容量は低下し易くな
る。また、その分布が下限値未満であると、ピット開始
点が少なすぎるため、高い静電容量が得られない。一
方、上限値をを越えると、ピット発生数が多すぎるた
め、ピット同士の合体により高い静電容量が得難くな
る。
み存在し、箔基体や箔基体と酸化皮膜の界面には存在し
ないほうが、ピットの成長を妨げられないという観点か
ら好ましい。また、酸化皮膜を除く表面から0.1 μm ま
でを表層部とすると、該表層部におけるPb量を500ppm
以下、好ましくは300ppm以下とするのが好ましい。この
理由は箔表層部に鉛が高濃度に濃化した場合、Pbがピ
ット発生点として強く作用するため、スピネルMgAl
2 O4 がピット開始点として有効に作用しなくなり、そ
の結果、箔表面に対して垂直方向へのピットが極端に減
少するためである。エッチング性に対しては、表層部の
みの鉛含有量が影響するため、アルミニウム箔全体の鉛
含有量については特に限定されない。
を0.002 〜0.01μm と限定する理由は、0.002 μm 未満
であるとエッチング時のエッチング液により酸化皮膜が
溶解してしまうことがあり、均一なピットの核形成が阻
害される。上限を越えると、酸化皮膜膜中のAl−Mg
系化合物による欠陥がピット開始点として作用し難くな
るためである。
ウム箔は、上記のように表面酸化皮膜中にAl−Mg系
化合物を分散させることを特徴とするものであるが、こ
のアルミニウム箔を製造する方法としては、例えば、ア
ルミニウム箔の表面にMgを元素または化合物の状態で
付与し、酸素を含む雰囲気で表面を酸化させながら熱拡
散処理する方法、Mgをイオン注入し、陽極酸化処理に
より酸化皮膜を形成する方法、Mg:20〜80ppm 含有し
たアルミニウム箔を、酸素 2〜10ppm のAr雰囲気中で
560 〜570 ℃で 5〜30h熱処理する方法等がある。
を形成させた場合には、MgOは断面からみると不均一
な層状に分布し、エッチング時には層全体が溶解するこ
とにより、箔表面が過剰に溶解される結果、高い静電容
量は得難い。一方、酸化皮膜中にスピネル構造のMgA
l2 O4 を形成させた場合には、該スピネルは点状に分
散し、エッチング時、個々のスピネルは一部溶解すると
同時に、その周辺部も溶解して良好な表面積拡大の効果
を付与する。このため、酸化皮膜中に形成されるAl−
Mg系化合物の80%以上がスピネル、MgAl2 O4 あ
ることが望ましい。
明する。 実施例1 アルミニウム純度 99.98%、厚み 100μm のアルミニウ
ム箔の表面に、Mgを0.01〜0.02g/m2 熱拡散によって
付与したのち、酸素を含む雰囲気で560 〜570℃の範囲
内の各温度で表面を酸化処理し、表1に示すアルミニウ
ム箔を製造し、酸化皮膜の厚み、酸化皮膜中のAl−M
g系化合物の平均サイズ、分布、Al−Mg系化合物中
のスピネルMgAl2 O4 の存在比率を測定した。つい
で、このアルミニウム箔を70℃、1.5mol/lの塩酸中で、
電流密度25A/dm2 の条件で 8分間電解エッチングし、そ
の後200Vで化成して、静電容量を測定した。その結果を
表1に示す。表1から明らかなように、酸化皮膜中にM
gAl2 O4 をほとんど含まない従来材(試験材9)の
静電容量を100 %とした場合、本発明による電解コンデ
ンサ電極用合金箔は105 %以上の高い静電容量を示し
た。
平均サイズおよび分布は、ヨウ素−メタノール中でアル
ミニウム素地のみを溶解し、酸化皮膜を透過電子顕微鏡
で表面から観察することにより求めた。また、Al−M
g系化合物中のMgAl2 O4 スピネルの存在比率は、
透過電顕により観察された酸化皮膜中のAl−Mg系化
合物のうち無作為に50個を電子線回折により調査した。
での表層部の鉛含有量を測定して、300ppm以下であるこ
とを確認した。測定方法は、表面積が1000cm2 のアルミ
ニウム箔を、純水960ml に85%りん酸35mlと三酸化クロ
ム20gを加えた85℃の溶液に10分間浸漬し、酸化皮膜を
除去したのち、純水で水洗、乾燥後、60℃、1mol/lの塩
酸中で表層部から平均して0.1 μm に相当する部分まで
溶解させ、この溶液中の鉛量を誘導結合プラズマ質量分
析(ICP−MS)により定量し、この結果に基づき表
層部0.1 μm の鉛含有量を算出することにより行った。
00μm の箔を用い、この表面に、Mg0.005 〜3.0 g/m2
を熱拡散により付与し、これを酸素を含む雰囲気で 520
〜 575℃の範囲内の各温度で表面を酸化処理し、表2に
示すアルミニウム箔を製造し、この酸化皮膜厚み、酸化
皮膜中のAl−Mg系化合物の平均サイズおよび分布、
Al−Mg系化合物中のスピネルMgAl2 O4 の存在
比率を測定した。ついで、このアルミニウム箔を70℃、
1.5mol/lの塩酸中で、電流密度25A/dm2 で 8分間電解エ
ッチングし、その後200Vで化成し、静電容量を測定し
た。その結果を表2に示す。なお、表2において、本発
明の条件を外れたものには下線を付した。表層部のPb
量が300ppm以下であることは実施例1と同様にして確認
した。
平均サイズ、Al−Mg系化合物の平均分散個数が本発
明の条件をはずれる試験材No.10 〜13、Al−Mg系化
合物におけるスピネルの存在比率、酸化皮膜の厚さが本
発明の条件を外れる試験材No.14 〜16は、いずれも静電
容量が劣っている。
均一且つ多数のピットが形成され、拡面率が高く、優れ
た静電容量を有する電解コンデンサ電極用アルミニウム
箔が提供され、電子部品の小型化、高性能化を達成する
ことができる。
Claims (3)
- 【請求項1】 表面に酸化皮膜を有するアルミニウム箔
であって、該酸化皮膜を除くアルミニウム箔基体の平均
アルミニウム純度が99.9%(重量%、以下同じ)以
上であり、酸化皮膜中に平均サイズ0.01〜0.8 μm のA
l−Mg系化合物が1×106 〜9 ×106 個/mm2分散して
いることを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウ
ム箔。但し、Al−Mg系化合物の平均サイズはアルミ
ニウム箔の表面から見たときのサイズで、同じ面積を有
する真円に近似したときの平均直径をいう。 - 【請求項2】 Al−Mg系化合物の80%以上がスピネ
ル構造のMgAl2O4 であることを特徴とする請求項
1記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔 - 【請求項3】 表面酸化皮膜の平均厚さが0.002 〜0.01
μm であることを特徴とする請求項1または2記載の電
解コンデンサ電極用アルミニウム箔
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JP19981096A JP3297840B2 (ja) | 1996-07-10 | 1996-07-10 | 電解コンデンサ電極用アルミニウム箔 |
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