JP3289317B2 - 立体規則性ポリオレフィンの製造方法 - Google Patents

立体規則性ポリオレフィンの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、立体規則性ポリオレフ
ィンの製造方法に関するものである。更に詳しくは、炭
素数3以上のα−オレフィンの(共)重合において、特
定の触媒を用いることにより粒子形状の良好で、かつ分
子量及び分子量分布が制御された高立体規則性重合体を
高収率で得ることができる製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、オレフィン重合用触媒としては、
四塩化チタンを水素で還元して得られるα型三塩化チタ
ンや、四塩化チタンをアルミニウムで還元して得られる
紫色のγ型三塩化チタン、あるいはこれらをボ−ルミル
で粉砕して得られるδ型三塩化チタン等が知られてい
る。また、これらの触媒改質方法として種々の改質剤と
共に混合粉砕処理する方法も知られている。しかしなが
ら、これらの触媒を用いて重合を行った場合、重合活性
が低く、得られる重合体中の触媒残渣が多く、いわゆる
脱灰工程が不可欠であった。
【0003】また、近年では、マグネシウム、チタン、
ハロゲンを主成分とする固体触媒成分の製造について数
多く提案がなされている。しかしながら、それらの多く
は、さらに触媒活性や重合体の立体規則性、粉体特性等
において一層の改良が望まれている。特に触媒活性が低
い場合、重合系中へ添加した電子供与体自体及びそれに
由来の副生成物に起因する発臭が問題となる場合があ
る。
【0004】本発明者らは、すでにMg、Ti、ハロゲ
ンを主成分とする特定の固体触媒成分を用いて立体規則
性ポリオレフィンを高収率で得る方法として、特開昭6
3−3007号公報、特開昭63−314210号公
報、特開昭63−317502号公報、特開昭64−1
05号公報及び特開平1−165608号公報に記載の
方法を提案した。これらの方法では、Mg、Ti,電子
供与性化合物を含む均一溶液とハロゲン化アルミニウム
化合物との反応生成物をハロゲン化チタン及び電子供与
性化合物と反応させることにより、触媒活性、重合体の
立体規則性及び粒子性状に優れた触媒成分を得ている。
しかしながら、これらの方法では、その触媒を用いた場
合、重合体粒子の粒径制御範囲が1500μm以下と限
られたものであった。
【0005】更に上記の触媒成分である電子供与性化合
物として、フェニルトリエトキシシラン,安息香酸エチ
ル等の芳香族化合物を重合系に添加した場合、芳香族基
に起因する生成パウダ−の発臭及び生成パウダ−中の芳
香族化合物の残存自体が問題となる場合があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、従来技
術の不十分な点を克服するために、更に生成する重合体
粒子の粒径制御範囲が広く、発臭がない重合体粒子を製
造するためのオレフィン用重合触媒を調製する方法を見
出すために鋭意検討を行った。
【0007】
【課題を解決するための手段】その結果、前述の特開昭
63−3007号公報等に示されている方法において、
Mg,Ti,電子供与体からなる均一溶液に更にアルミ
ニウムの酸素含有有機化合物を加えて、均一化した溶液
を用いて製造した固体触媒成分と、助触媒として有機金
属化合物、そして、下記に示す特定の電子供与性化合物
を用いることにより、上記課題を解決することができる
ことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち本発明は、遷移金属化合物及び有
機金属化合物からなる触媒の存在下、立体規則性ポリオ
レフィンを製造するにあたって、触媒の成分(A)とし
て、 (i)金属マグネシウムと水酸化有機化合物、及びマグ
ネシウムの酸素含有有機化合物からなる群より選ばれた
少なくとも一員と (ii)一般式Al(OR 3 m 3-m (該一般式におい
て、R 3 は炭素数1〜20の炭化水素基を示す。mは、
0<m≦3なる数を表し、Xはハロゲン原子を表す。)
で表されるアルミニウムの酸素含有有機化合物と (iii)一般式[O p Ti u (OR 4 q n (該一般式
において、R 4 は炭素数1〜20の炭化水素基を示す。
p,q及びuはp≧0、q>0、u≧1でTiの原子価
と相容れる数を表し、nは整数を表す。)で表される
タンの酸素含有有機化合物とを含有する均一溶液に (iv)一般式AlR 5 r 3-r (該一般式において、R 5
は1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、X
はハロゲン原子を表し、rは0<r≦2なる数を表
す。)で表される少なくとも一種のハロゲン化アルミニ
ウムを反応させて得られた固体生成物に更に、 (v)電子供与性化合物と (vi)一般式Ti(OR 6 f 4-f (該一般式におい
て、R 6 は1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基を
表し、Xはハロゲン原子を表し、fは0≦f<4なる数
を表す。)で表されるハロゲン化チタン化合物を反応さ
せて得られる固体触媒成分と成分(B)として周期律表
の第IA、IIA、IIB、IIIB、及びIVB族金
属の有機金属化合物からなる群より選ばれた少なくとも
一種と成分(C)として一般式R 9 10 s Si(OR 11
t 3-(s+t) (該一般式において、R 9 は炭素数3〜20
のSi原子に直結する2級、3級炭素を含む分岐鎖アル
キル基、炭素数3〜20のSi原子に直結する2級、3
級炭素を含む分岐鎖アルケニル基、炭素数4〜20のS
i原子に直結する2級、3級炭素を含む分岐鎖アルキニ
ル基、炭素数3〜20のSi原子に直結する2級、3級
炭素を含むシクロアルキル基、炭素数4〜20のSi原
子に直結する2級、3級炭素を含むシクロ アルケニル
基、炭素数4〜20のSi原子に直結する2級、3級炭
素を含むシクロアルキニル基を表す。R 10 は、R 9 に示
した炭化水素基及び/又は炭素数1〜20の直鎖アルキ
ル、炭素数1〜20のSi原子に直結する1級炭素を含
む分岐鎖アルキル、炭素数3〜20のSi原子に直結す
る1級炭素を有するシクロアルキル、炭素数2〜20の
直鎖アルケニル、炭素数2〜20の直鎖アルキニルを表
す。R 11 は、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖アルキル
基を示す。s及びtは0≦s≦3、1≦t≦3、1≦s
+t≦3なる数を表し、Xはハロゲン原子を表す。)で
表されるケイ素の酸素含有有機化合物(ただし、i−プ
ロピルトリメトキシシランを除く)を用いる立体規則性
ポリオレフィンの製造方法、及び成分(C)のケイ素の
酸素含有有機化合物が一般式、t−Bu(R1)Si
(OR22(t−Bu;タ−シャリ−ブチル基、R1
炭素数2〜20の直鎖状炭化水素基、R2;炭素数1〜
5の炭化水素基)で表される上述の立体規則性ポリオレ
フィンの製造方法である。
【0009】本発明において使用される触媒の成分
(A)である固体触媒成分は、(i)金属マグネシウム
と水酸化有機化合物、及びマグネシウムの酸素含有有機
化合物からなる群より選ばれた少なくとも一員と(i
i)アルミニウムの酸素含有有機化合物と(iii)チ
タンのアルコキシド等のチタンの酸素含有有機化合物を
反応させて得られた均一溶液に(iv)ハロゲン化アル
ミニウムを反応させて得られた固体生成物に(v)電子
供与性化合物、(vi)ハロゲン化チタン化合物を反応
させて得ることができる。
【0010】前記(i)において、金属マグネシウムと
水酸化有機化合物を用いる場合、金属マグネシウムとし
ては各種の形状、すなわち粉末、粒子、箔またはリボン
などいずれ形状のものも使用でき、また水酸化有機化合
物としては、アルコ−ル類、有機シラノ−ル類が適して
いる。
【0011】アルコ−ル類としては、1〜18個の炭素
原子を有する直鎖または分岐鎖脂肪族アルコ−ル、脂環
式アルコ−ルまたは芳香族アルコ−ルが使用できる。
【0012】例としては、メタノ−ル、エタノ−ル、n
−プロパノ−ル、i−プロパノ−ル、n−ブタノ−ル、
iso−ブタノ−ル、sec−ブタノ−ル、t−ブタノ
−ル、n−ヘキサノ−ル、2−エチルヘキサノ−ル、n
−オクタノ−ル、i−オクタノ−ル、n−ステアリルア
ルコ−ル、シクロペンタノ−ル、シクロヘキサノ−ル、
エチレングリコ−ルなどが挙げられる。更に、ベンジル
アルコ−ル、フェノ−ル類としては、フェノ−ル、クレ
ゾ−ル、キシレノ−ル、ハイドロキノンなども例示する
ことができる。
【0013】また、有機シラノ−ルとしては少なくとも
1個の水酸基を有し、かつ有機基は1〜12個の炭素原
子、好ましくは1〜6個の炭素原子を有するアルキル
基、シクロアルキル基、アリ−ルアルキル基、アリ−ル
基、アルキルアリ−ル基を有する化合物から選ばれる。
【0014】例えば、トリメチルシラノ−ル、トリエチ
ルシラノ−ル、トリフェニルシラノ−ル、t−ブチルジ
メチルシラノ−ルなどを挙げることができる。これらの
水酸化有機化合物は、単独又は2種以上の混合物として
使用される。
【0015】加うるに、金属マグネシウムを使用して本
発明で述べる成分(A)の固体触媒成分を得る場合、反
応を促進する目的から、金属マグネシウムと反応した
り、付加化合物を生成したりするような物質、例えばヨ
ウ素、塩化第2水銀、ハロゲン化アルキル及び有機酸な
どのような極性物質を単独または2種以上添加すること
が望ましい。
【0016】次に、マグネシウムの酸素含有有機化合物
に属する化合物としては、マグネシウムアルコキシド
類、例えばメチレ−ト、エチレ−ト、イソプロピレ−
ト、デカノレ−ト、メトキシエチレ−ト及びシクロヘキ
サノレ−ト、マグネシウムアルキルアルコキシド類、例
えばエチルエチレ−ト、マグネシウムヒドロアルコキシ
ド類、例えばヒドロキシメチレ−ト、マグネシウムフェ
ノキシド類、例えばフェネ−ト、ナフテネ−ト、フェナ
ンスレネ−ト及びクレゾレ−ト、マグネシウムカルボキ
シレ−ト類、例えばアセテ−ト、ステアレ−ト、ベンゾ
エ−ト、フェニルアセテ−ト、アジペ−ト、セバケ−
ト、フタレ−ト、アクリレ−ト、及びオレエ−ト、オキ
シメ−ト類、例えばブチルオキシメ−ト、ジメチルグリ
オキシメ−ト及びシクロヘキシルオキシメ−ト、ヒドロ
キサム酸塩類、ヒドロキシルアミン塩類、例えばN−ニ
トロソ−N−フェニル−ヒドロキシルアミン誘導体、エ
ノレ−ト類、例えばアセチルアセトネ−ト、マグネシウ
ムシラノレ−ト類、例えばトリフェニルシラノレ−トな
どが挙げられる。これらの酸素含有有機マグネシウム
は、単独又は2種以上の混合物として使用される。
【0017】前記(ii)の反応剤であるアルミニウム
の酸素含有有機化合物としては、一般式、Al(O
3−mで表される酸素含有有機化合物が使用
される。ただし、該一般式において、Rは炭素数1〜
20、好ましくは1〜10の炭化水素基を示す。このよ
うな炭化水素基としては、直鎖または分岐鎖アルキル
基、シクロアルキル基、アリ−ルアルキル基、アリ−ル
基及びアルキルアリ−ル基などを挙げることができる。
mは、0<m≦3なる数を表し、Xはハロゲン原子を表
す。
【0018】アルミニウムの酸素含有有機化合物の具体
例としては、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシ
アルミニウム、トリ−n−プロポキシアルミニウム、ト
リ−i−プロポキシアルミニウム、トリ−n−ブトキシ
アルミニウム、トリ−sec−ブトキシアルミニウム、
トリ−tert−ブトキシアルミニウム、トリ(2−エ
チルヘキソキシ)アルミニウム、トリフェノキシアルミ
ニウム、トリベンジルオキシアルミニウム、ジクロロメ
トキシアルミニウム、クロロジメトキシアルミニウム、
ジクロロ(2−エチルヘキソキシ)アルミニウム、クロ
ロジ(2−エチルヘキソキシ)アルミニウム、ジクロロ
フェノキシアルミニウム、クロロジフェノキシアルミニ
ウムなどがあげられる。いくつかの異なる炭化水素基を
有するアルミニウムの酸素含有有機化合物の使用も、本
発明の範囲に入る。これらのアルミニウムの酸素含有有
機化合物は、単独または2種以上の混合物として使用す
る。
【0019】前記(iii)の反応剤であるチタンの酸
素含有有機化合物としては、一般式[OTi(OR
で表される化合物が使用される。ただし、該
一般式において、Rは炭素数1〜20、好ましくは1
〜10の炭化水素基を示す。このような炭化水素基とし
ては、直鎖又は分岐鎖アルキル基、シクロアルキル基、
アリ−ルアルキル基、アリ−ル基及びアルキルアリ−ル
基などを挙げることができる。p、q及びuはp≧0、
q>0、u≧1でTiの原子価と相容れる数を表し、n
は整数を表す。なかんずく、0≦p≦1、1≦u≦2で
1≦n≦6であるようなチタンの酸素含有有機化合物を
使用することが望ましい。
【0020】具体例としては、チタンテトラメトキシ
ド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラ−n−プロ
ポキシド、チタンテトラ−i−プロポキシド、チタンテ
トラ−n−ブトキシド、チタンテトラ−i−ブトキシ
ド、テトラ(n−ノニル)チタネ−ト、テトラ(2−エ
チルヘキシル)チタネ−ト、テトラクレジルチタネ−
ト、ヘキサ−i−プロポキシジチタネ−トなどが挙げら
れる。いくつかの異なる炭化水素基を有するチタンの酸
素含有有機化合物の使用も本発明の範囲に入る。これら
チタンの酸素含有有機化合物は、単独で用いてもよく、
また2種以上を混合あるいは反応させてから使用するこ
ともできる。
【0021】前記(iv)の反応剤であるハロゲン化ア
ルミニウム化合物としては、一般式、AlR
3−rで示されるものが使用される。式中Rは1〜2
0個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、Xはハロゲ
ン原子を表し、rは0<r≦2なる数を表す。Rは直
鎖または分岐鎖アルキル基、アルコキシ基、シクロアル
キル基、アリ−ルアルキル基、アリ−ル基及びアルキル
アリ−ル基から選ばれることが好ましい。上記ハロゲン
化アルミニウム化合物は、単独又は2種以上の混合物と
して使用する。
【0022】ハロゲン化アルミニウムの具体例として
は、例えば、エチルアルミニウムジクロライド、n−プ
ロピルアルミニウムジクロライド、ブチルアルミニウム
ジクロライド、i−ブチルアルミニウムジクロライド、
セスキエチルアルミニウムクロライド、セスキ−i−ブ
チルアルミニウムクロライド、セスキ−i−プロピルア
ルミニウムクロライド、セスキ−n−プロピルアルミニ
ウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジ
−i−プロピルアルミニウムクロライド、ジ−n−プロ
ピルアルミニウムクロライド、ジ−i−ブチルアルミニ
ウムクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド、ジ
エチルアルミニウムアイオダイドなどが挙げられる。
【0023】前記(v)の反応剤である電子供与性化合
物としては、エ−テル、エステル、ケトン、フェノ−
ル、アミン、アミド、イミン、ニトリル、ホスフィン、
ホスファイト、スチビン、アルシン、ホスホリルアミド
及びアルコレ−トが挙げられる。なかでもエステル類が
好ましく、有機酸エステル類が最も好ましい。
【0024】有機酸エステル類としては、芳香族カルボ
ンのモノ又はジエステル、脂肪族カルボン酸のモノ又は
ジエステルなどが挙げられる。
【0025】その具体例としては、例えば、ギ酸ブチ
ル、酢酸エチル、酢酸ブチル、イソ酪酸イソブチル、ピ
バリン酸プロピル、ピバリン酸イソブチル、アクリル酸
エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メ
タクリル酸イソブチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジ
イソブチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジブチル、コ
ハク酸ジイソブチル、グルタル酸ジエチル、グルタル酸
ジブチル、グルタル酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソ
ブチル、セバシン酸ジブチル、マレイン酸ジエチル、マ
レイン酸ジブチル、マレイン酸ジイソブチル、フマル酸
モノメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジイソブチ
ル、酒石酸ジエチル、酒石酸ジブチル、酒石酸ジイソブ
チル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、p−トルイル
酸メチル、p−トルイル酸エチル、p−tert−ブチ
ル安息香酸エチル、p−アニス酸エチル、α−ナフトエ
酸イソブチル、ケイ皮酸エチル、フタル酸モノメチル、
フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジ
ヘキシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジ2−エチル
ヘキシル、フタル酸ジアリル、フタル酸ジフェニル、イ
ソフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジイソブチル、テレ
フタル酸ジエチル、テレフタル酸ジブチル、ナフタル酸
ジエチル、ナフタル酸ジブチル等が挙げられる。電子供
与性化合物(v)は、単独又は2種以上の混合物として
使用される。
【0026】前記(vi)の反応剤であるハロゲン化チ
タン化合物としては、一般式、Ti(OR
4−fで表されるチタン化合物が用いられる。式中R
は、1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、
Xはハロゲン原子を表し、fは0≦f<4なる数を表
す。Rは直鎖又は分岐鎖アルキル基、アルコキシ基、
シクロアルキル基、アリ−ルアルキル基、アリ−ル基及
びアルキルアリ−ル基から選ばれることが好ましい。上
記ハロゲン化チタン化合物は、単独又は2種以上の混合
物として使用することができる。
【0027】ハロゲン化チタン化合物の具体例として
は、例えば、四塩化チタン、三塩化エトキシチタン、三
塩化プロポキシチタン、三塩化ブトキシチタン、三塩化
フェノキシチタン、二塩化ジエトキシチタン、塩化トリ
エトキシチタン四臭化チタン、四沃化チタンなどが挙げ
られる。
【0028】本発明で得られる固体触媒成分は、上記の
反応剤(i)、(ii)及び(iii)を反応させて得
た均一溶液に、反応剤(iv)を反応させ、得られた固
体生成物に、次いで反応剤(v)、(vi)を反応させ
ることにより調製することができる。これらの反応は、
液体媒体中で行うことが好ましい。そのため特にこれら
の反応剤自体が操作条件で液体でない場合、または液状
反応剤の量が不十分な場合には、不活性有機溶媒の存在
下で行うべきである。
【0029】不活性有機溶媒としては、当該技術分野で
通常用いられるものはすべて使用できるが、脂肪族、脂
環族または芳香族炭化水素類もしくは、それらのハロゲ
ン誘導体もしくは、それらの混合物が挙げらる。例えば
イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプ
タン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,
3−ジクロロベンゼン、塩化ベンジル、二塩化メチレ
ン、1,2−ジクロロエタン、1,3−ジクロロプロパ
ン、1,4−ジクロロブタン、1,1,1,−トリクロ
ロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,
1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラ
クロロエタン、テトラクロロエチレン、四塩化炭素、ク
ロロホルムなどを挙げることができる。これらの有機溶
媒は、単独で使用しても、混合物として使用してもよ
い。因に、ハロゲン誘導体あるいは、その混合物を使用
した場合、重合活性、重合体の立体規則性に良好な結果
をもたらす場合がある。
【0030】成分(A)を得るために用いられる反応剤
(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、
(vi)の使用量に特に制限はないが、マグネシウム原
子(i)とアルミニウムの酸素含有有機化合物(ii)
のモル比は、1:0.01〜1:20、なかんずく30
00μm以上のペレット大の重合体粒子を得ることを意
図するのであれば、1:0.05〜10の範囲を選ぶこ
とが望ましい。また、マグネシウム原子(i)とチタン
の酸素含有有機化合物(iii)のモル比は1:0.0
1〜1:20、好ましくは、粉体特性が極めて良好なペ
レット大の重合体粒子を得るために1:0.1〜1:5
になるように使用量を選ぶことが好ましい。更に、マグ
ネシウム原子とハロゲン化アルミニウム(iv)中のア
ルミニウム原子の比は、1:0.1〜1:100、好ま
しくは1:0.1〜1:20の範囲になるように反応剤
の使用量を選ぶことが好ましい。この範囲をはずれてア
ルミニウム原子の比が大きすぎると触媒活性が低くなっ
たり、良好な粉体特性が得られなくなったり、また、小
さすぎても良好な粉体特性が得られなくなる場合があ
る。
【0031】マグネシウム原子(i)と電子供与性化合
物(v)のモル比は1:0.05〜1:5.0、好まし
くは1:0.1〜1:2.0になるように使用量を選ぶ
ことが好ましい。これらの範囲をはずれた場合、重合活
性が低かったり、重合体の立体規則性が低いといった問
題を生ずる場合がある。更にマグネシウム原子(i)と
ハロゲン化チタン化合物(vi)のモル比は、1:1〜
1:100、好ましくは1:3〜1:50の範囲になる
ように反応剤の使用量を選ぶことが好ましい。この範囲
を外れた場合、重合活性が低くなったり、製品が着色す
るなどの問題を生ずる場合がある。
【0032】反応剤(i)、(ii)、(iii)、に
より均一溶液を得る際の反応条件は−50〜300℃、
好ましくは、0〜200℃なる範囲の温度で、0.5〜
50時間、好ましくは、1〜6時間、不活性ガス雰囲気
中で常圧または加圧下で行われる。また、この際、前記
化合物(v)と同様の電子供与性化合物を添加すること
により、均一化をより短時間のうちに行うことができ
る。更に反応剤(iv)、(v)、(vi)の反応の際
には、−50〜200℃、好ましくは、−30〜150
℃なる範囲の温度で0.2〜50時間、好ましくは0.
5〜10時間、不活性ガス雰囲気中で常圧または加圧下
で行われる。
【0033】反応剤(iv)の反応条件は重要であり、
生成する固体生成物粒子、固体触媒成分粒子、それを用
いて得られる重合体粒子の粒子形状および粒径の制御に
決定的な役割を果たすため極めて重要である。
【0034】また、反応剤(vi)の反応は多段階に分
割して反応させてもよい。
【0035】更に反応剤(vi)の反応の際に、一般式
R−CH=CH(式中、Rは1〜10個、特に1〜8
個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の置換・非置換
アルキル基または水素原子を表す)で示されるエチレン
及び/又はα−オレフィン共存下、行ってもよい。これ
らの場合、結果的に重合活性及び重合体の立体規則性の
向上をもたらすなどの効果が認められる場合がある。
【0036】かくして、得られた固体触媒成分(A)
は、そのまま使用してもよいが、一般には濾過または傾
斜法により残存する未反応物及び副生成物を除去してか
ら、不活性有機溶媒で充分な洗浄後、不活性有機溶媒中
に懸濁して使用する。洗浄後単離し、常圧または減圧下
で加熱して不活性有機溶媒を除去したものも使用でき
る。
【0037】更に本重合に先立って、少量の有機金属化
合物成分を添加し、一般式R−CH=CH(式中、R
は1〜10個、特に1〜8個の炭素原子を有する直鎖ま
たは分岐鎖の置換・非置換アルキル基を表す)で示され
るα−オレフィン及び/又はエチレンを少量重合した予
備重合物とした後、使用することもできる。
【0038】以上のようにして得られた成分(A)の固
体触媒成分は、成分(B)の有機金属化合物、及び成分
(C)の電子供与性化合物と組み合わせることにより、
オレフィン重合に使用する。
【0039】成分(B)の有機金属化合物としては、リ
チウム、マグネシウム、亜鉛、スズまたはアルミニウム
等の金属と有機基とからなる有機金属化合物が挙げられ
る。上記の有機基としては、アルキル基を代表として挙
げることができる。このアルキル基としては、直鎖また
は分岐鎖の炭素数1〜20のアルキル基が用いられる。
具体的には、例えば、n−ブチルリチウム、ジエチルマ
グネシウム、ジエチル亜鉛、トリメチルアルミニウム、
トリエチルアルミニウム、トリ−i−ブチルアルミニウ
ム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリ−n−デシル
アルミニウム、テトラエチルスズあるいは、テトラブチ
ルスズなどが挙げられる。
【0040】なかんずく、一般式AlR で表される
トリアルキルアルミニウムが好ましい。ただし、該一般
式において、Rは炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖
のアルキル基を示す。
【0041】具体例としては、トリメチルアルミニウ
ム、トリエチルアルミニウム、トリn−プロピルアルミ
ニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリイソブチル
アルミニウム、トリイソプレニルアルミニウム、トリn
−ヘキシルアルミニウム、トリn−オクチルアルミニウ
ム、トリ(2−メチルペンチル)アルミニウムが挙げら
れる。
【0042】また、一般式R AlY3−bで表され
るアルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウ
ムハイドライド、アルキルアルミニウムアルコキシドも
使用できる。ただし、該一般式において、Rは炭素数
1〜10の直鎖または分岐鎖のアルキル基を示す。Yは
ハロゲンまたは水素またはアルコキシ基を示す。
【0043】具体例としては、ジメチルアルミニウムク
ロライド、メチルアルミニウムセスキクロライド、メチ
ルアルミニウムジクロライド、ジエチルアルミニウムク
ロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチ
ルアルミニウムジクロライド、ジn−プロピルアルミニ
ウムクロライド、ジn−ブチルアルミニウムクロライ
ド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、イソブチル
アルミニウムジクロライド、ヨウ化ジエチルアルミニウ
ム、フッ化ジエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウ
ムブロミド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジエ
チルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムメト
キシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチ
ルアルミニウムメトキシド、ジイソブチルアルミニウム
エトキシド、ジイソブチルアルミニウムイソプロポキシ
ドが挙げられる。これらの有機金属化合物は、単独また
は2種以上の混合物として使用される。
【0044】成分(C)のケイ素の酸素含有有機化合物
としては、一般式R910 sSi(OR11t3-(s+t)
表されるケイ素の酸素含有有機化合物(ただし、i−プ
ロピルトリメトキシシランを除く)が使用される。ただ
し、該一般式において、R9は炭素数3〜20、好まし
くは3〜10のSi原子に直結する2級、3級炭素を含
む分岐鎖アルキル基、炭素数3〜20のSi原子に直結
する2級、3級炭素を含む分岐鎖アルケニル基、炭素数
4〜20のSi原子に直結する2級、3級炭素を含む分
岐鎖アルキニル基、炭素数3〜20のSi原子に直結す
る2級、3級炭素を含むシクロアルキル基、炭素数4〜
20のSi原子に直結する2級、3級炭素を含むシクロ
アルケニル基、炭素数4〜20のSi原子に直結する2
級、3級炭素を含むシクロアルキニル基を表す
【0045】R10は、Rに示した炭化水素基及び/
又は炭素数1〜20、好ましくは1〜4の直鎖アルキ
ル、炭素数1〜20のSi原子に直結する1級炭素を含
む分岐鎖アルキル、炭素数3〜20のSi原子に直結す
る1級炭素を有するシクロアルキル、炭素数2〜20、
好ましくは2〜4の直鎖アルケニル、炭素数2〜20、
好ましくは2〜4の直鎖アルキニルを表す。
【0046】R11は、炭素数1〜6の直鎖または分岐
鎖アルキル基を示す。s及びtは0≦s≦3、1≦t≦
3、1≦s+t≦3なる数を表し、Xはハロゲン原子を
表す。
【0047】具体例としては、ノルボルニルトリメトキ
シシラン、ノルボルネニルトリメトキシシラン、シクロ
ヘキシルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリメト
キシシラン、シクロブチルトリメトキシシラン、シクロ
ペンタジエニルトリメトキシシラン、sec−ブチルト
リメトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、s
ec−アミルトリメトキシシラン、t−アミルトリメト
キシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シク
ロペンチルトリメトキシシラン、シクロブチルトリメト
キシシラン、ノルボルニルトリエトキシシラン、ノルボ
ルネニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリエト
キシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、シク
ロブチルトリエトキシシラン、シクロペンタジエニルト
リエトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、
sec−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリエ
トキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、シ
クロペンチルトリエトキシシラン、シクロブチルトリエ
トキシシラン、sec−アミルトリエトキシシラン、t
−アミルトリエトキシシラン、ジノルボルニルジメトキ
シシラン、ノルボルニルメチルジメトキシシラン、ジノ
ルボルネニルジメトキシシラン、ノルボルネニルメチル
ジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラ
ン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジシクロ
ペンチルジメトキシシラン、シクロペンチルメチルジメ
トキシシラン、ジシクロブチルジメトキシシラン、シク
ロブチルメチルジメトキシシラン、ジシクロペンタジエ
ニルジメトキシシラン、シクロペンタジエニルメチルジ
メトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、イ
ソプロピルメチルジメトキシシラン、イソプロピルエチ
ルジメトキシシラン、イソプロピル−n−プロピルジメ
トキシシラン、イソプロピル−n−ブチルジメトキシシ
ラン、イソプロピルイソブチルジメトキシシラン、イソ
プロピル−n−ペンチルジメトキシシラン、イソプロピ
ル−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ(sec−ブチ
ル)ジメトキシシラン、sec−ブチルメチルジメトキ
シシラン、sec−ブチルエチルジメトキシシラン、s
ec−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン、sec
−ブチル−イソプロピルジメトキシシラン、sec−ブ
チル−n−ブチルジメトキシシラン、sec−ブチル−
イソブチルジメトキシシラン、sec−ブチル−n−ペ
ンチルジメトキシシラン、sec−ブチル−n−ヘキシ
ルジメトキシシラン、ジ(t−ブチル)ジメトキシシラ
ン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチル−
イソプロピルジメトキシシラン、t−ブチルイソブチル
ジメトキシシラン、t−ブチル(sec−ブチル)ジメ
トキシシラン、ジ(t−アミル)ジメトキシシラン、
(t−アミル)メチルジメトキシシラン、t−アミル−
i−プロピルジメトキシシラン、t−ブチル−t−アミ
ルジメトキシシラン、ビス(1,1−ジエチルプロピ
ル)ジメトキシシラン、(1,1−ジエチルプロピル)
メチルジメトキシシラン、ビス(1,1−ジシクロヘキ
シルエチル)ジメトキシシラン、ビス(1−シクロヘキ
シル−1−メチルエチル)ジメトキシシラン、ビス(1
−シクロヘキシルエチル)ジメトキシシラン、ジ(se
c−アミル)ジメトキシシラン、(sec−アミル)メ
チルジメトキシシラン、ジイソアミルジメトキシシラ
ン、ジノルボルニルジエトキシシラン、ノルボルニルメ
チルジエトキシシラン、ジノルボルネニルジエトキシシ
ラン、ノルボルネニルメチルジエトキシシラン、ジシク
ロヘキシルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジ
エトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、
シクロペンチルメチルジエトキシシラン、ジシクロブチ
ルジエトキシシラン、シクロブチルメチルジエトキシシ
ラン、ジシクロペンタジエニルジエトキシシラン、シク
ロペンタジエニルメチルジエトキシシラン、ジシクロヘ
キセニルジメトキシシラン、シクロヘキセニルメチルジ
メトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、イ
ソプロピルメチルジエトキシシラン、イソプロピルエチ
ルジエトキシシラン、イソプロピル−n−プロピルジエ
トキシシラン、イソプロピル−n−ブチルジエトキシシ
ラン、イソプロピルイソブチルジエトキシシラン、ジ
(sec−ブチル)ジエトキシシラン、sec−ブチル
メチルジエトキシシラン、sec−ブチルエチルジエト
キシシラン、sec−ブチル−n−プロピルジエトキシ
シラン、sec−ブチル−イソプロピルジエトキシシラ
ン、sec−ブチル−n−ブチルジエトキシシラン、s
ec−ブチル−イソブチルジエトキシシラン、ジ(t−
ブチル)ジエトキシシラン、t−ブチルメチルジエトキ
シシラン、t−ブチル−イソプロピルジエトキシシラ
ン、t−ブチルイソブチルジエトキシシラン、t−ブチ
ル(sec−ブチル)ジエトキシシラン、ジ(t−アミ
ル)ジエトキシシラン、(t−アミル)メチルジエトキ
シシラン、t−アミル−i−プロピルジエトキシシラ
ン、t−ブチル−t−アミルジエトキシシラン、ビス
(1,1−ジエチルプロピル)ジエトキシシラン、
(1,1−ジエチルプロピル)メチルジエトキシシラ
ン、ビス(1,1−ジシクロヘキシルエチル)ジエトキ
シシラン、ビス(1−シクロヘキシル−1−メチルエチ
ル)ジエトキシシラン、ビス(1−シクロヘキシルエチ
ル)ジエトキシシラン、ジ(sec−アミル)ジエトキ
シシラン、(sec−アミル)メチルジエトキシシラ
ン、ジイソアミルジエトキシシラン、シクロヘキシルエ
チルジメトキシシラン、シクロヘキシル−n−プロピル
ジメトキシシラン、シクロヘキシル−イソプロピルジメ
トキシシラン、シクロヘキシルブチルジメトキシシラ
ン、シクロペンチルエチルジメトキシシラン、シクロペ
ンチルブチルジメトキシシラン、シクロペンチルイソブ
チルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジ−n−
プロポキシシシラン、シクロヘキシルメチルジイソプロ
ポキシシシラン、t−ブチルメチルジイソプロポキシシ
シラン、シクロヘキシルメチルジ(t−ブトキシ)シラ
ン、t−ブチルメチルジ(t−ブトキシ)シラン、シク
ロヘキシルビニルジメトキシシラン、シクロペンチルビ
ニルジメトキシシラン、シクロブチルビニルジメトキシ
シラン、イソプロピルビニルジメトキシシラン、イソブ
チルビニルジメトキシシラン、sec−ブチルビニルジ
メトキシシラン、t−ブチルビニルジメトキシシラン、
シクロヘキシルビニルジエトキシシラン、シクロペンチ
ルビニルジエトキシシラン、シクロブチルビニルジエト
キシシラン、イソプロピルビニルジエトキシシラン、イ
ソブチルビニルジエトキシシラン、sec−ブチルビニ
ルジエトキシシラン、t−ブチルビニルジエトキシシラ
ン、イソプロピル(1−メチルビニル)ジメトキシシラ
ン、イソブチル(1−メチルビニル)ジメトキシシラ
ン、sec−ブチル(1−メチルビニル)ジメトキシシ
ラン、t−ブチル(1−メチルビニル)ジメトキシシラ
ン、イソプロピル(1−メチル−2−プロペニル)ジメ
トキシシラン、イソブチル(1−メチル−2−プロペニ
ル)ジメトキシシラン、sec−ブチル(1−メチル−
2−プロペニル)ジメトキシシラン、t−ブチル(1−
メチル−2−プロペニル)ジメトキシシラン、イソプロ
ピル(1−メチル−1−プロペニル)ジメトキシシラ
ン、イソブチル(1−メチル−1−プロペニル)ジメト
キシシラン、sec−ブチル(1−メチル−1−プロペ
ニル)ジメトキシシラン、t−ブチル(1−メチル−1
−プロペニル)ジメトキシシラン、ビス(1−メチルビ
ニル)ジメトキシシラン、ビス(1−メチル−2−プロ
ペニル)ジメトキシシラン、ビス(1−メチル−1−プ
ロペニル)ジメトキシシラン、(1−メチル−2−ブテ
ニル)ジメトキシシラン、(1−メチル−1−ブテニ
ル)ジメトキシシランなどのアルコキシシランが挙げら
れる。
【0048】上記ケイ素の酸素含有有機化合物は、単独
で用いてもよく、また2種以上を混合あるいは反応させ
て使用することもできる。
【0049】しかしながら、従来のマグネシウムハライ
ド担持型触媒は三塩化チタン型触媒に比べ、高活性であ
り、重合体の立体規則性が高いという特徴を有している
ものの、得られる重合体の分子量が低く、一層の改良が
望まれている。
【0050】従来のマグネシウムハライド担持型触媒に
比べ、分子量の高い重合体を高収率で製造するために
は、本触媒系において、成分(C)として一般式、t−
Bu(R)Si(OR(t−Bu;タ−シャリ
−ブチル基、R;炭素数2〜20の直鎖状炭化水素
基、R;炭素数1〜5の炭化水素基)で表されるケイ
素の酸素含有有機化合物を使用することが好ましい。
【0051】具体的にはt−ブチルエチルジメトキシシ
ラン、t−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン、t
−ブチル−n−ブチルジメトキシシラン、t−ブチル−
n−ペンチルジメトキシシラン、t−ブチル−n−ヘキ
シルジメトキシシラン、t−ブチル−n−ヘプチルジメ
トキシシラン、t−ブチル−n−オクチルジメトキシシ
ラン、t−ブチル−n−ノニルジメトキシシラン、t−
ブチル−n−デシルジメトキシシラン、t−ブチル−n
−ウンデシルジメトキシシラン、t−ブチル−n−ドデ
シルジメトキシシラン、t−ブチル−n−トリデシルジ
メトキシシラン、t−ブチル−n−テトラデシルジメト
キシシラン、t−ブチル−n−ペンタデシルジメトキシ
シラン、t−ブチル−n−ヘキサデシルジメトキシシラ
ン、t−ブチル−n−ヘプタデシルジメトキシシラン、
t−ブチル−n−オクタデシルジメトキシシラン、t−
ブチル−n−ノナデシルジメトキシシラン、t−ブチル
−n−エイコシルジメトキシシラン、t−ブチルエチル
ジエトキシシラン、t−ブチル−n−プロピルジエトキ
シシラン、t−ブチル−n−ブチルジエトキシシラン、
t−ブチル−n−ペンチルジエトキシシラン、t−ブチ
ル−n−ヘキシルジエトキシシラン、t−ブチル−n−
ヘプチルジエトキシシラン、t−ブチル−n−オクチル
ジエトキシシラン、t−ブチル−n−ノニルジエトキシ
シラン、t−ブチル−n−デシルジエトキシシラン、t
−ブチル−n−ウンデシルジエトキシシラン、t−ブチ
ル−n−ドデシルジエトキシシラン、t−ブチル−n−
トリデシルジエトキシシラン、t−ブチル−n−テトラ
デシルジエトキシシラン、t−ブチル−n−ペンタデシ
ルジエトキシシラン、t−ブチル−n−ヘキサデシルジ
エトキシシラン、t−ブチル−n−ヘプタデシルジエト
キシシラン、t−ブチル−n−オクタデシルジエトキシ
シラン、t−ブチル−n−ノナデシルジエトキシシラ
ン、t−ブチル−n−エイコシルジエトキシシラン、t
−ブチルエチルメトキシエトキシシラン、t−ブチル−
n−プロピルメトキシエトキシシラン、t−ブチル−n
−ブチルメトキシエトキシシラン、t−ブチル−n−ペ
ンチルメトキシエトシシラン、t−ブチル−n−ヘキシ
ルメトキシエトキシシラン、t−ブチル−n−ヘプチル
メトキシエトキシシラン、t−ブチル−n−オクチルメ
トキシエトキシラン、t−ブチル−n−ノニルメトキシ
エトキシシラン、t−ブチル−n−デシルメトキシエト
キシシラン、t−ブチル−n−ウンデシルメトキシエト
キシシラン、t−ブチル−n−ドデシルメトキシエトキ
シシラン、t−ブチル−n−トリデシルメトキシエトキ
シシラン、t−ブチル−n−テトラデシルメトキシエト
キシシラン、t−ブチル−n−ペンタデシルメトキシエ
トキシシラン、t−ブチル−n−ヘキサデシルメトキシ
エトキシシラン、t−ブチル−n−ヘプタデシルメトキ
シエトキシシラン、t−ブチル−n−オクタデシルメト
キシエトキシシラン、t−ブチル−n−ノナデシルメト
キシエトキシシラン、t−ブチル−n−エイコシルメト
キシエトキシシラン、t−ブチルエチルジプロポキシシ
ラン、t−ブチル−n−プロピルジプロポキシシラン、
t−ブチル−n−ブチルジプロポキシシラン、t−ブチ
ルエチルジ−i−プロポキシシラン、t−ブチル−n−
プロピルジ−i−プロポキシシラン、t−ブチル−n−
ブチル−i−ジプロポキシシラン、t−ブチルエチルメ
トキシプロポキシシラン、t−ブチル−n−プロピルメ
トキシプロポキシシラン、t−ブチル−n−ブチルメト
キシプロポキシシラン、t−ブチルエチルエトキシプロ
ポキシシラン、t−ブチル−n−プロピルエトキシプロ
ポキシシラン、t−ブチル−n−ブチルエトキシプロポ
キシシラン、t−ブチルエチルジブトキシシラン、t−
ブチルエチルブトキシメトキシシラン、t−ブチルエチ
ルブトキシメトキシシラン、t−ブチルエチルジペント
キシシラン、t−ブチルエチルペントキシメトキシシラ
ン、t−ブチル−n−ブチルジ−t−ブトキシシラン、
t−ブチル−n−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、
t−ブチル−n−ブチル−i−ペントキシメトキシシラ
ン等が挙げられる。本ケイ素の酸素含有有機化合物は、
単独で用いてもよく、また2種以上の混合物として使用
してもよい。本ケイ素の酸素含有有機化合物を用いるこ
とにより、従来のマグネシウムハライド担持型触媒系に
比べ、分子量の高い重合体が製造できる。
【0052】成分(A)の固体触媒成分の使用量は、反
応器1リットル当たり、固体触媒成分中のチタン原子
0.001〜2.5ミリグラム原子に相当する量で使用
することが好ましい。
【0053】成分(B)の有機金属化合物は、固体触媒
成分中のチタン1グラム原子当り、り、1〜2000m
ol、好ましくは2〜500molに相当する量で使用
する。
【0054】成分(C)のケイ素の酸素含有有機化合物
は、成分(B)の有機金属化合物1mol当り、0.0
01〜50mol、好ましくは0.01〜5molに相
当する量で使用する。
【0055】本発明における三成分の送入態様は、特に
限定されるものではなく、例えば成分(A)、成分
(B)、成分(C)を各々別個に重合器へ送入する方
法、あるいは成分(A)と成分(B)を接触させた後に
成分(C)と接触させて重合する方法、成分(B)と成
分(C)を接触させた後に成分(A)と接触させて重合
する方法、予め成分(A)と成分(B)と成分(C)と
を接触させて重合する方法などを採用することができ
る。
【0056】オレフィンの重合は、重合体の融点未満の
反応温度で気相中または、液相中で行う。重合を液相中
で行う場合は、オレフィンそれ自身を反応媒体としても
よいが、不活性溶媒を反応媒体として用いることもでき
る。この不活性溶媒は、当該技術分野で通常用いられる
ものであればどれでも使用することができるが、特に4
〜20個の炭素原子を有するアルカン、シクロアルカ
ン、例えばイソブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘ
キサンなどが適当である。
【0057】本発明の立体規則性ポリオレフィンの製造
方法において重合させるオレフィンとしては、エチレン
及び/又は一般式、R−CH=CHのα−オレフィン
(式中、Rは1〜10個、特に1〜8個の炭素原子を有
する直鎖または分岐鎖の置換・非置換アルキル基を表
す)を挙げることができる。
【0058】このα−オレフィンとしては、具体的に
は、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチ
ル−1−ペンテン、1−オクテンなどが挙げられる。
【0059】これらは、単独重合のみならず、ランダム
共重合、ブロック共重合を行うことができるが、共重合
に際しては、上記α−オレフィンの2種以上もしくは、
α−オレフィンとブタジエン、イソプレンなどのジエン
類を用いて重合が行なわれる。このうち特にプロピレ
ン、プロピレンとエチレン、プロピレンとプロピレン以
外の上記のα−オレフイン、プロピレンとジエン類を用
いて重合を行うことが好ましい。
【0060】重合反応条件は、重合体の融点未満の反応
温度で行われる限り特に限定されないが、通常反応温度
20〜100℃、圧力2〜50kg/cmGに選ばれ
る。
【0061】重合工程において使用する反応器は、当該
技術分野で通常用いられるものであれば、適宜使用する
ことができる。攪拌槽型反応器、流動床型反応器、また
は循環式反応器を用いて、重合操作を連続方式、半回分
方式及び回分方式のいずれかの方式で行うことができ
る。更に異なる重合の反応条件で2段階以上に分けて行
うことも可能である。
【0062】
【実施例】以下に本発明を実施例により示すが、本発明
はこれらの実施例によってなんら限定されるものではな
い。
【0063】なお、実施例及び比較例において、メルト
フロ−レ−ト(以下MFRと略す)は、JIS K 7
210条件14により測定した。
【0064】立体規則性の指標であるキシレン可溶分
(以下Xと略す)は、以下のように測定する。重合体
4gをキシレン200mlに溶解させた後、25℃の恒
温槽に1時間放置し、析出部を濾別して濾液を回収し、
キシレンを蒸発させた後、更に真空乾燥してキシレン可
溶部とした。Xは、本キシレン可溶部重量を元の重合
体の重量4gに対する百分率で表した。
【0065】活性は、固体触媒成分(A)1g当たりの
重合体生成量(g)を表す。
【0066】重合体の極限粘度[η]は、140℃のオ
ルトジクロロベンゼン溶液で測定した。因に極限粘度
[η]と粘度平均分子量Mvとの間には [η]=1.88×10−4×Mv0.725 の関係がある.重合体粒子の粒径分布の広狭は、重合体
粒子を篩によって分級した結果を確立対数紙にプロット
し、近似した直線より公知の方法で幾何標準偏差を求
め、その常用対数(以下σという)で表した。また、平
均粒径は前記の近似直線の重量積算値50%に対応する
粒径を読み取った値である。微細粒子含量は、粒径が1
05μ以下の微細粒子の割合を重量百分率で示した。
【0067】実施例1 (イ)固体触媒成分(A)の調製 攪拌装置を備えた3lのフラスコに、金属マグネシウム
粉末15g(0.62mol)を入れ、これにヨウ素
0.75g、2−エチルヘキサノ−ル401.7g
(3.1mol)、チタンテトラ−n−ブトキシド21
0g(0.62mol)、トリ−i−プロポキシアルミ
ニウム252g(1.23mol)を加え、90℃まで
昇温し、窒素シ−ル下で1時間攪拌した。引き続き14
0℃まで昇温して2時間反応を行い、マグネシウムとチ
タンとアルミニウムを含む均一溶液(Mg−Ti−Al
溶液)を得た。
【0068】内容積500mlのフラスコにMg−Ti
−Al溶液をMg換算で0.066mol仕込み、0℃
に冷却した後、イソブチルアルミニウムジクロライド2
0.5g(0.13mol)をヘキサン157mlに希
釈した溶液を2時間かけて加えた。全量を加えた後、2
時間かけて70℃まで昇温したところ、白色の固体生成
物を含むスラリ−が得られ、その固体生成物を濾過分離
した後、ヘキサンで洗浄した。
【0069】かくして得られた白色固体生成物を含むス
ラリ−を1lのガラス製電磁攪拌式オ−トクレ−ブに仕
込み、それから、四塩化チタン125g(0.66mo
l)をクロロベンゼン125gで希釈した溶液を全量加
えた後、フタル酸ジイソブチル7.3g(0.026m
ol)を加え、100℃で3時間反応させた。生成物を
濾過することにより、固体部を採取し、再度、四塩化チ
タン125gをクロロベンゼン125gで希釈した溶液
に懸濁し、100℃で2時間攪拌した。生成物にヘキサ
ンを加え、遊離するチタン化合物が検出されなくなるま
で、充分に洗浄操作を行った。かくして、ヘキサンに懸
濁した固体触媒成分(A)のスラリ−を得た。上澄液を
除去して窒素雰囲気下で乾燥し、元素分析したところ、
Tiは2.8wt%であった。
【0070】(ロ)プロピレンの重合 内容積5lのステンレススチ−ル製電磁攪拌式オ−トク
レ−ブ内を充分窒素で置換し、触媒成分(B)としてト
リエチルアルミニウム1.2mmol、触媒成分(C)
として、イソプロピルトリメトキシシラン0.29mm
ol、及び固体触媒成分(A)10mgを順次添加し、
オ−トクレ−ブ内圧を0.1kg/cmGに調節し、
水素を0.2kg/cmG加え、液状プロピレン20
00mlを加え、攪拌を開始した後、70℃に昇温し、
90分間重合した。重合反応終了後、攪拌を止めると同
時に系内の未反応プロピレンを放出し、生成重合体を回
収した。その結果、生成重合体は154gであり、活性
15400g/gに相当した。重合体粒子の諸特性を調
べたところ、MFR2.5g/10min.、X1.
9%、嵩密度0.44g/cm、平均粒径4640
μ、σ0.15、微細粒子含量0重量%の結果を得た。
また、生成した重合体粒子は球状であり、刺激臭は無か
った。
【0071】実施例2〜8 実施例1の(イ)で調製した固体触媒成分(A)を用
い、実施例1で触媒成分(C)として用いたイソプロピ
ルトリメトキシシランに変えて、それぞれ表1に示すケ
イ素の酸素含有有機化合物を使用した以外は実施例1の
(ロ)と同様の条件でプロピレン重合を行った。活性及
び重合体粒子のMFR、X、嵩密度、平均粒径、σ、
微細粒子含有量、パウダ−発臭の有無を表1に示す。
【0072】比較例1 固体触媒成分(A)を調製する際、実施例1の(イ)に
おいて前記成分(iv)としてイソブチルアルミニウム
ジクロライドに変えて四塩化ケイ素737g(4.3m
ol)を使用したこと以外、実施例1の(イ)と同様の
方法により固体触媒成分を得た。得られた固体触媒成分
を用い、実施例2と同様に触媒成分(C)として、ジイ
ソプロピルジメトキシシラン0.29mmolを用い、
同様の条件でプロピレンの重合を行った。結果は、活性
5900g/gであった。重合体粒子の諸特性を測定し
たところ、MFR0.6g/10min.、X1.5
%、嵩密度0.28g/cm、平均粒径580μ、σ
0.65、微細粒子含量20重量%の結果を得た。ま
た、重合体粒子は不定形であり、ジイソプロピルジメト
キシシラン原液と同臭気のパウダ−発臭が認められた。
【0073】比較例2〜3 比較例1で得られた固体触媒成分(A)を用い、比較例
1において触媒成分(C)として、ジイソプロピルジメ
トキシシランに変えて表2に示すケイ素の酸素含有有機
化合物を使用した以外は比較例1と同様の条件でプロピ
レン重合を行った。活性及び重合体粒子のMFR、
、嵩密度、平均粒径、σ、微細粒子含有量、パウダ
−発臭の有無を表2に示す。
【0074】比較例4 固体触媒成分(A)を調製する際、実施例1の(イ)に
おいて前記成分(iv)としてイソブチルアルミニウム
ジクロライドに変えて四塩化チタン823g(4.3m
ol)を使用したこと以外、実施例1の(イ)と同様の
方法により固体触媒成分を得た。得られた固体触媒成分
を用い、実施例2と同様に触媒成分(C)として、ジイ
ソプロピルジメトキシシラン0.29mmolを用い、
同様の条件でプロピレンの重合を行った。結果は、活性
6200g/gであった。重合体粒子の諸特性を測定し
たところ、MFR0.8g/10min.、X1.7
%、嵩密度0.31g/cm、平均粒径950μ、σ
0.96、微細粒子含量25重量%の結果を得た。ま
た、重合体粒子は不定形であり、ジイソプロピルジメト
キシシラン原液のパウダ−発臭が認められた。
【0075】比較例5〜6 比較例4で得られた固体触媒成分(A)を用い、比較例
4において触媒成分(C)として用いたジイソプロピル
ジメトキシシランに変えて表2に示すケイ素の酸素含有
有機化合物を使用した以外は比較例4と同様の条件でプ
ロピレン重合を行った。活性及び重合体粒子のMFR、
、嵩密度、平均粒径、σ、微細粒子含有量、パウダ
−発臭の有無を表2に示す。
【0076】実施例9 (イ)触媒成分(A)の調製 攪拌装置を備えた3lのフラスコに、金属マグネシウム
粉末15g(0.62mol) を入れ、これにヨウ素
0.75g、2−エチルヘキサノ−ル401.7g
(3.1mol)、チタンテトラ−n−ブトキシド21
0g(0.62mol)、トリ−i−プロポキシアルミ
ニウム252g(1.23mol)を加え、90℃まで
昇温し、窒素シ−ル下で1時間攪拌した。引き続き14
0℃まで昇温して2時間反応を行い、マグネシウムとチ
タンとアルミニウムを含む均一溶液(Mg−Ti−Al
溶液)を得た。
【0077】内容積500mlのバッフル付きフラスコ
にMg−Ti−Al溶液をMg換算で0.066mol
仕込み、0℃に冷却した後、イソブチルアルミニウムジ
クロリド20.5g(0.13mol)をヘキサン12
0mlと1,2−ジクロロエタン50mlとの混合溶媒
に希釈した溶液を2時間かけて加えた。全量を加えた
後、2時間かけて70℃まで昇温したところ、白色の固
体生成物を含むスラリ−が得られ、その固体生成物を濾
過分離した後、ヘキサンで洗浄した。
【0078】かくして得られた白色固体生成物を含むス
ラリ−を1lのガラス製電磁攪拌式オ−トクレ−ブに仕
込み、それから、四塩化チタン125g(0.66mo
l)をクロロベンゼン125gで希釈した溶液を全量加
えた後、フタル酸ジイソブチル7.3g(0.026m
ol)を加え、100℃で3時間反応させた。生成物を
濾過することにより、固体部を採取し、再度、四塩化チ
タン125gをクロロベンゼン125gで希釈した溶液
に懸濁し、100℃で2時間攪拌した。生成物にヘキサ
ンを加え、遊離するチタン化合物が検出されなくなるま
で、充分に洗浄操作を行った。かくして、ヘキサンに懸
濁した固体触媒成分(A)のスラリ−を得た。上澄液を
除去して窒素雰囲気下で乾燥し、元素分析したところ、
Tiは2.8重量%であった。
【0079】(ロ)プロピレンの重合 内容積5lのステンレススチ−ル製電磁攪拌式オ−トク
レ−ブ内を充分窒素で置換し、触媒成分(B)としてト
リエチルアルミニウム1.2mmol、触媒成分(C)
として、t−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン
0.29mmol、及び固体触媒成分(A)10mgを
順次添加し、オ−トクレ−ブ内圧を0.1kg/cm
Gに調節し、水素を0.2kg/cmG加え、液状プ
ロピレン2000mlを加え、攪拌を開始した後、70
℃に昇温し、90分間重合した。重合反応終了後、攪拌
を止めると同時に系内の未反応プロピレンを放出し、生
成重合体を回収した。その結果、生成重合体は456g
であり、固体触媒成分1g当たりの活性が45600g
/gに相当した。重合体粒子の諸特性を調べたところ、
MFR1.1g/10min.X0.8%、嵩密度
0.48g/cm、平均粒径1680μ、σ0.1
1、微細粒子含量0重量%の結果を得た。また、生成し
た重合体粒子は球状であり、刺激臭は無かった。
【0080】実施例10 実施例9の(イ)で調製した固体触媒成分(A)を用
い、重合温度を80℃としたこと以外は、実施例9の
(ロ)と同様の条件でプロピレン重合を行った。活性及
び重合体粒子のMFR、X、嵩密度、平均粒径、σ、
微細粒子含有量、パウダ−発臭の有無を表3に示す。
【0081】実施例11〜12 実施例9の(イ)で調製した固体触媒成分(A)を用
い、実施例9で触媒成分(C)として用いたt−ブチル
−n−プロピルジメトキシシランに変えて、それぞれ表
3に示すケイ素の酸素含有有機化合物を使用したこと以
外は実施例9の(ロ)と同様の条件でプロピレン重合を
行った。活性及び重合体粒子のMFR、X、嵩密度、
平均粒径、σ、微細粒子含有量、パウダ−発臭の有無を
表3に示す。
【0082】実施例13〜17 実施例9の(イ)で調製した固体触媒成分(A)を用
い、実施例9で触媒成分(C)として用いたt−ブチル
−n−プロピルジメトキシシランに変えて(但し、実施
例13ではt−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン
を使用した。)、それぞれ表4に示すケイ素の酸素含有
有機化合物を使用し、水素を加えなかったこと以外は実
施例9の(ロ)と同様の条件でプロピレン重合を行っ
た。活性及び重合体粒子の[η]、X、嵩密度、平均
粒径、σ、微細粒子含有量、パウダ−発臭の有無を表4
に示す。
【0083】比較例7〜8 実施例9の(イ)で調製した固体触媒成分(A)を用
い、実施例9で触媒成分(C)として用いたt−ブチル
−n−プロピルジメトキシシランに変えて、それぞれジ
フェニルジメトキシシラン、タ−シャリ−ブチルフェニ
ルジメトキシシランを使用した以外は実施例13〜17
と同様の条件でプロピレン重合を行った。活性及び重合
体粒子の[η]、X、嵩密度、平均粒径、σ、微細粒
子含有量、パウダ−発臭の有無を表4に示す。
【0084】実施例18 (イ)固体触媒成分(A)の調製 実施例1と同様に調製した。
【0085】(ロ)プロピレンの重合 内容積5lのステンレススチ−ル製電磁攪拌式オ−トク
レ−ブ内を充分窒素で置換し、触媒成分(B)としてト
リエチルアルミニウム1.2mmol、触媒成分(C)
として、イソプロピル−n−プロピルジメトキシシラン
0.29mmol、及び固体触媒成分(A)10mgを
順次添加し、オ−トクレ−ブ内圧を0.1kg/cm
Gに調節し、水素を0.2kg/cmG加え、液状プ
ロピレン2000mlを加え、攪拌を開始した後、70
℃に昇温し、90分間重合した。重合反応終了後、攪拌
を止めると同時に系内の未反応プロピレンを放出し、生
成重合体を回収した。その結果、生成重合体は338g
であり、活性33800g/gに相当した。重合体粒子
の諸特性を調べたところ、MFR1.6g/10mi
n.、X0.9%、嵩密度0.44g/cm、平均
粒径6060μ、σ0.14、微細粒子含量0重量%の
結果を得た。また、生成した重合体粒子は球状であり、
刺激臭は無かった。
【0086】実施例19〜20 実施例1の(イ)で調製した固体触媒成分(A)を用
い、実施例18で触媒成分(C)として用いたイソプロ
ピル−n−プロピルジメトキシシランに変えて、それぞ
れイソプロピル−n−ヘキシルジメトキシシラン、Se
c−ブチルエチルジメトキシシランを使用した以外は実
施例18の(ロ)と同様の条件でプロピレン重合を行っ
た。活性及び重合体粒子のMFR、X、嵩密度、平均
粒径、σ、微細粒子含有量、パウダ−発臭の有無を表5
に示す。
【0087】なお、実施例1〜実施例8の重合結果を表
1に、比較例1〜比較例6の重合結果を表2に、実施例
9〜実施例12の重合結果を表3に、実施例13〜実施
例17及び比較例7〜比較例8の重合結果を表4に、実
施例18〜実施例20の重合結果を表5にまとめて示し
た。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】
【表3】
【0091】
【表4】
【0092】
【表5】
【0093】
【発明の効果】第一の効果は、重合体の分子量及び分子
量分布の制御が容易なことにある。殊に上記の一般式t
−Bu(R)Si(ORで表されるケイ素の酸
素含有有機化合物を使用した場合、従来のマグネシウム
ハライド担持型触媒に比べ、高い分子量を持った重合体
を高収率で製造することが可能であり、しかも、生成重
合体の立体規則性も極めて高いことから、高剛性な重合
体を製造できることである。
【0094】第二の効果は、微粒子が少なく、更に意図
する大きさの平均粒径を有する嵩密度の高い重合体粒子
を得る、特に粒径数mmに及ぶペレット大の重合体粒子
を得ることができるなど粉体特性が優れている点にあ
り、特に気相重合に適応した場合、効果的である。ま
た、粒度分布が極めて狭い重合体粒子を得ることが可能
である。そのため、重合工程においては、重合装置内で
の付着物の生成が阻止され、特にスラリ−重合法におい
ては、重合体の分離、乾燥工程で重合体スラリ−の分離
・濾過が容易となり、重合体の微細粒子の系外への飛散
が防止され、加えて流動性の向上により乾燥効率が向上
する。また、移送工程においては、サイロ内でブリッジ
などの発生がなく、移送上のトラブルが解消されること
にある。
【0095】第三の効果は、芳香族置換基を有しないケ
イ素の酸素含有有機化合物を使用するため、芳香族基に
起因する生成パウダ−の発臭及び生成パウダ−中の芳香
族化合物の残存が無いことである。
【0096】第四の効果は、重合活性が極めて高く、触
媒残渣除去を目的とする脱灰工程の不要な重合体が得ら
れることである。高活性であるため、製品の着色等の心
配がなく、ポリマ−の精製も不要となり、極めて経済的
なことである。
【0097】第五の効果は、重合体の立体規則性が極め
て良好な点にある。従って、反応媒体を使用しない気相
重合法による重合体製造に極めて有利なことである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる触媒の調製図(フロ−チャ−
ト)を示す。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】遷移金属化合物及び有機金属化合物からな
    る触媒の存在下、立体規則性ポリオレフィンを製造する
    にあたって、 成分(A)として、 (i)金属マグネシウムと水酸化有機化合物、及びマグ
    ネシウムの酸素含有有機化合物からなる群より選ばれた
    少なくとも一員と (ii)一般式Al(OR3m3-m(該一般式におい
    て、R3は炭素数1〜20の炭化水素基を示す。mは、
    0<m≦3なる数を表し、Xはハロゲン原子を表す。)
    で表されるアルミニウムの酸素含有有機化合物と (iii)一般式[OpTiu(OR4qn(該一般式
    において、R4は炭素数1〜20の炭化水素基を示す。
    p,q及びuはp≧0、q>0、u≧1でTiの原子価
    と相容れる数を表し、nは整数を表す。)で表されるチ
    タンの酸素含有有機化合物とを含有する均一溶液に (iv)一般式AlR5 r3-r(該一般式において、R5
    は1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、X
    はハロゲン原子を表し、rは0<r≦2なる数を表
    す。)で表される少なくとも一種のハロゲン化アルミニ
    ウムを反応させて得られた固体生成物に更に、 (v)電子供与性化合物と (vi)一般式Ti(OR6f4-f(該一般式におい
    て、R6は1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基を
    表し、Xはハロゲン原子を表し、fは0≦f<4なる数
    を表す。)で表されるハロゲン化チタン化合物を反応さ
    せて得られる固体触媒成分、 成分(B)として周期律表の第IA、IIA、IIB、
    IIIB、及びIVB族金属の有機金属化合物からなる
    群より選ばれた少なくとも一種、 成分(C)として一般式R910 sSi(OR11t
    3-(s+t)(該一般式において、R9は炭素数3〜20のS
    i原子に直結する2級、3級炭素を含む分岐鎖アルキル
    基、炭素数3〜20のSi原子に直結する2級、3級炭
    素を含む分岐鎖アルケニル基、炭素数4〜20のSi原
    子に直結する2級、3級炭素を含む分岐鎖アルキニル
    基、炭素数3〜20のSi原子に直結する2級、3級炭
    素を含むシクロアルキル基、炭素数4〜20のSi原子
    に直結する2級、3級炭素を含むシクロアルケニル基、
    炭素数4〜20のSi原子に直結する2級、3級炭素を
    含むシクロアルキニル基を表す。R10は、R9に示した
    炭化水素基及び/又は炭素数1〜20の直鎖アルキル、
    炭素数1〜20のSi原子に直結する1級炭素を含む分
    岐鎖アルキル、炭素数3〜20のSi原子に直結する1
    級炭素を有するシクロアルキル、炭素数2〜20の直鎖
    アルケニル、炭素数2〜20の直鎖アルキニルを表す。
    11は、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖アルキル基を
    示す。s及びtは0≦s≦3、1≦t≦3、1≦s+t
    ≦3なる数を表し、Xはハロゲン原子を表す。)で表さ
    れるケイ素の酸素含有有機化合物(ただし、i−プロピ
    ルトリメトキシシランを除く)を用いる立体規則性ポリ
    オレフィンの製造方法。
  2. 【請求項2】成分(C)のケイ素の酸素含有有機化合物
    が一般式、 t−Bu(R1)Si(OR22 (t−Bu;タ−シャリ−ブチル基、R1;炭素数2〜
    20の直鎖状炭化水素基、R2;炭素数1〜5の炭化水
    素基)で表される請求項1に記載の立体規則性ポリオレ
    フィンの製造方法。
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