JP3286724B2 - 射出成形品 - Google Patents

射出成形品

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JP3286724B2 JP19858494A JP19858494A JP3286724B2 JP 3286724 B2 JP3286724 B2 JP 3286724B2 JP 19858494 A JP19858494 A JP 19858494A JP 19858494 A JP19858494 A JP 19858494A JP 3286724 B2 JP3286724 B2 JP 3286724B2
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常義 岡田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、射出成形に用いられる
樹脂組成物、及びそれによって形成される射出成形品に
関し、詳しくは、高い寸法精度の要求される精密部品の
成形に供することが可能な樹脂組成物、及びそれによっ
て形成される精密な射出成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶ポリマーは、強度、弾性率が高く、
成形後の温度変化に対する寸法安定性に優れ、しかも耐
熱性、耐薬品性が良好であることから、種々の射出成形
品の製造に利用されている。しかしながら、液晶ポリマ
ーは異方性の強い樹脂であるため、諸特性が方向によっ
て大きく異なるバランスの悪い成形品が形成されたり、
射出後の冷却工程において収縮挙動に異方性が生じて、
表面のうねった成形品が形成されたりすることが多かっ
た。このため、従来、液晶ポリマーを用いた射出成形に
おいては、樹脂中にガラス繊維等の繊維状フィラー、ガ
ラスフレーク等の板状フィラー、シリカ等の不定形フィ
ラーが充填され、特性の異方性の低減が図られている。
また、特開昭58−93759号公報には、射出成形品
の機械的特性の異方性を低減するために、微小中空球体
を分散させた液晶ポリマーを用いる技術が開示されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ガラス
繊維等の充填剤が添加された液晶ポリマーを用いて射出
成形する場合、樹脂特性の異方性は低減され、強度、寸
法安定性、耐薬品に優れた成形品が得られるが、その反
面、成形品の表面性が阻害されるという別の問題点が発
生してしまう。すなわち、板状の部品の成形において
は、表出した充填剤の影響で表面に凹凸を生じるため、
表面平滑性の良好な部品を得ることができないし、ま
た、円筒状の部品の成形においては、やはり表出した充
填剤の影響で表面平滑性が阻害され、内径や外径の真円
度や、円筒度が高い部品を得ることができなかった。近
年では、樹脂成形品の表面平滑度、真円度、円筒度等に
高い精度を要求されることが多く、例えば、フェルール
やスリーブと称される光ファイバー用のコネクタ(図3
参照)等を射出成形する場合には、光ファイバーの接続
損失の増大を防止するため、先端の約100μm程度の
微細円筒孔部分が数μm以下の真円度、円筒度を有する
ように成形しなければならないが、このような精密部品
の射出成形には、ガラス繊維等の充填剤が添加された液
晶ポリマーを使用することができなかった。一方、微小
中空球体を分散させた液晶ポリマーを用いる技術は、成
形品の機械的性質の異方性を低減できるものの、微小中
空球体が成形過程で割れてしまうことが多く、このため
成形品の比重をコントロールすることが困難であった
し、その上、微小中空球体の製造にコストがかかるとい
う問題点も有していた。
【0004】本発明の目的は、上記の問題点を解消し、
強度等の諸特性が優れていること、等方性が良好である
こと、表面がうねっていないこと、及び高い表面平滑
性、真円度を有していることを同時に要求される精密部
品の射出成形に供することが可能な射出成形用樹脂組成
物を提供することにある。また、その樹脂組成物によっ
て形成される、良好な特性ときわめて高い表面平滑度、
真円度を兼備した精密な成形品を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる本発明の構成は、
最大径が60μm以下でありかつアスペクト比が1.5
以下の実質的に球状な無機粒子を充填したポリエステル
系サーモトロピック液晶ポリマーを射出成形してなり、
光ファイバー用コネクタ、燃料ポンプインペラー、ハー
ドディスクドライブ用センタリングハブまたはレーザビ
ームプリンタ用ノズルである射出成型品にある。
【0006】本発明で用いる液晶ポリマーは、一般にサ
ーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるもので、溶融時
に光学的異方性を示す、すなわち異方性溶融相を形成す
るポリマーのことであり、それらの中でも、特に、機械
的特性、成形性、耐熱性、耐薬品性等に優れた成形品を
得ることが可能なポリエステル系のサーモトロピック液
晶ポリマーに限定される(以下の説明の中では単に液晶
ポリマーという)。異方性溶融相を形成するポリマー
は、溶融状態でポリマー分子鎖が規則的な平行配列をと
る性質を有している(分子がこのように配列した状態を
しばしば液晶状態または液晶性物質のネマチック相とい
う)。このようなポリマーは、一般に細長く、偏平で、
分子の長軸に沿ってかなり剛性が高く、普通は同軸また
は平行のいずれかの関係にある複数の連鎖伸長結合を有
しているようなモノマーから製造される。
【0007】異方性溶融相の性質は、直交偏光子を利用
した慣用の偏光検査法により確認することができる。よ
り具体的には、 Leitz偏光顕微鏡を使用し、 Leitzホッ
トステージにのせた試料を窒素雰囲気下で40倍の倍率
で観察することにより異方性溶融相を確認できる。上記
ポリマーは光学的に異方性である。すなわち、直交偏光
子の間で検査したときに光を透過させる。試料が光学的
に異方性であると、たとえ静止状態であっても偏光は透
過する。
【0008】上記の如き異方性溶融相を形成するポリマ
ーの構成成分としては、 芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸の1つ、ま
たはそれ以上からなるもの 芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオールの
1つ、またはそれ以上からなるもの 芳香族ヒドロキシカルボン酸の1つ、またはそれ以上
からなるもの 芳香族チオールカルボン酸の1つ、またはそれ以上か
らなるもの 芳香族ジチオール、芳香族チオールフェノールの1
つ、またはそれ以上からなるもの 芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミンの1つ、ま
たはそれ以上からなるもの 等が挙げられ、異方性溶融相を形成するポリマーは、 (a) とからなるポリエステル (b) だけからなるポリエステル (c) ととからなるポリエステル (d) だけからなるポリチオールエステル (e) とからなるポリチオールエステル (f) ととからなるポリチオールエステル (g) ととからなるポリエステルアミド (h) とととからなるポリエステルアミド 等の組み合わせから構成される。
【0009】また、上記の成分の組み合わせの範疇には
含まれないが、異方性溶融相を形成するポリマーには、
芳香族ポリアゾメチンが含まれ、かかるポリマーの具体
例としては、ポリ(ニトリロ−2−メチル−1,4−フ
ェニレンニトリロエチリジン−1,4−フェニレンエチ
リジン);ポリ(ニトリロ−2−メチル−1,4−フェ
ニレンニトリロメチリジン−1,4−フェニレンメチリ
ジン);及びポリ(ニトリロ−2−クロロ−1,4−フ
ェニレンニトリロメチリジン−1,4−フェニレンメチ
リジン)等を挙げることができる。
【0010】さらに、上記の成分の組み合わせの範疇に
は含まれないが、異方性溶融相を形成するポリマーとし
てポリエステルカーボネートが含まれる。これには、本
質的に、4−オキシベンゾイル単位、ジオキシフェニル
単位、ジオキシカルボニル単位及びテレフタロイル単位
からなるものがある。
【0011】以下、上記(a) 〜(h) の構成成分となる化
合物を列記する。芳香族ジカルボン酸としては、テレフ
タル酸、4,4′−ジフェニルカルボン酸、4,4′−
トリフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカル
ボン酸、ジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボン
酸、ジフェノキシエタン−4,4′−ジカルボン酸、ジ
フェノキシブタン−4,4´−ジカルボン酸、ジフェニ
ルエタン−4,4′−ジカルボン酸、イソフタル酸、ジ
フェニルエーテル−3,3′−ジカルボン酸、ジフェノ
キシエタン−3,3′−ジカルボン酸、ジフェニルエタ
ン−3,3′−ジカルボン酸、ナフタレン−1,6−ジ
カルボン酸の如き芳香族ジカルボン酸、または、クロロ
テレフタル酸、ジクロロテレフタル酸、ブロモテレフタ
ル酸、メチルテレフタル酸、ジメチルテレフタル酸、エ
チルテレフタル酸、メトキシテレフタル酸、エトキシテ
レフタル酸の如き前記芳香族ジカルボン酸のアルキル、
アルコキシまたはハロゲン置換体等を挙げることができ
る。
【0012】脂環族ジカルボン酸としては、トランス−
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シス−1,4−
シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサン
ジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸またはトランス−
1,4−(1−メチル)シクロヘキサンジカルボン酸、
トランス−1,4−(1−クロル)シクロヘキサンジカ
ルボン酸等、上記脂環族ジカルボン酸のアルキル、アル
コキシ、またはハロゲン置換体等を挙げることができ
る。
【0013】芳香族ジオールとしては、ハイドロキノ
ン、レゾルシン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル、
4,4′−ジヒドロキシトリフェニル、2,6−ナフタ
レンジオール、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエー
テル、ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)エタン、3,
3′−ジヒドロキシジフェニル、3,3′−ジヒドロキ
シジフェニルエーテル、1,6−ナフタレンジオール、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン等の芳
香族ジオールまたは、クロロハイドロキノン、メチルハ
イドロキノン、1−ブチルハイドロキノン、フェニルハ
イドロキノン、メトキシハイドロキノン、フェノキシハ
イドロキノン:4−クロルレゾルシン、4−メチルレゾ
ルシン等上記芳香族ジオールのアルキル、アルコキシま
たはハロゲン置換体等を挙げることができる。
【0014】脂環族ジオールとしては、トランス−1,
4−シクロヘキサンジオール、シス−1,4−シクロヘ
キサンジオール、トランス−1,4−シクロヘキサンジ
メタノール、シス−1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル、トランス−1,3−シクロヘキサンジオール、シス
−1,2−シクロヘキサンジオール、トランス−1,3
−シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオールま
たは、トランス−1,4(1−メチル)シクロヘキサン
ジオール、トランス−1,4−(1−クロロ)シクロヘ
キサンジオールの如き上記脂環族ジオールのアルキル、
アルコキシまたはハロゲン置換体等を挙げることができ
る。
【0015】脂環族ジオールとしては、エチレングリコ
ール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオ
ール、ネオペンチルグリコール等の直鎖状または分枝状
脂環族ジオール等を挙げることができる。
【0016】芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、4
−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、6−
ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−1−ナ
フトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸または、3−
メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジメチル−
4−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ジメチル−4−ヒド
ロキシ安息香酸、3−メトキシ−4−ヒドロキシ安息香
酸、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ安息香酸、6
−ヒドロキシ−5−メチル−2−ナフトエ酸、6−ヒド
ロキシ−5−メトキシ−2−ナフトエ酸、3−クロロ−
4−ヒドロキシ安息香酸、2−クロロ−4−ヒドロキシ
安息香酸、2,3−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香
酸、3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、2,
5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−ブロモ−
4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−5−クロロ
−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−7−クロロ−2−
ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−5,7−ジクロロ−2−
ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸のアルキ
ル、アルコキシまたはハロゲン置換体等を挙げることが
できる。
【0017】芳香族メルカプトカルボン酸としては、4
−メルカプト安息香酸、3−メルカプト安息香酸、6−
メルカプト−2−ナフトエ酸、7−メルカプト−2−ナ
フトエ酸等を挙げることができる。
【0018】芳香族ジオールとしては、ベンゼン−1,
4−ジチオール、ベンゼン−1,3−ジチオール、2,
6−ナフタレン−ジチオール、2,7−ナフタレン−ジ
チオール等を挙げることができる。芳香族メルカプトフ
ェノールとしては、4−メルカプトフェノール、3−メ
ルカプトフェノール、6−メルカプトフェノール、7−
メルカプトフェノール等を挙げることができる。
【0019】芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン
としては、4−アミノフェノール、N−メチル−4−ア
ミノフェノール、1,4−フェニレンジアミン、N−メ
チル−1,4−フェニレンジアミン、N,N´−ジメチ
ル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノフェノー
ル、3−メチル−4−アミノフェノール、2−クロロ−
4−アミノフェノール、4−アミノ−1−ナフトール、
4−アミノ−4´ヒドロキシジフェニル、4−アミノ−
4´−ヒドロキシジフェニルエーテル、4−アミノ−4
´−ヒドロキシジフェニルメタン、4−アミノ−4´−
ヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4´−ジアミノ
フェニルスルフィド(チオジアニリン)、4,4´−ジ
アミノジフェニルスルホン、2,5−ジアミノトルエ
ン、4,4´−エチレンジアニリン、4,4´−ジアミ
ノジフェノキシエタン、4,4´−ジアミノジフェニル
メタン(メチレンジアニリン)、4,4´−ジアミノジ
フェニルエーテル(オキシジアニリン)等を挙げること
ができる。
【0020】上記各成分からなる上記ポリマー(a) 〜
(h) は、構成成分及びポリマー中の組成比、シークエン
ス分布によっては、異方性溶融相を形成するものとしな
いものが存在するが、本発明で用いられるポリマーは、
上記のポリマーの中で異方性溶融相を形成するものに限
られる。
【0021】本発明で用いるのに好適な異方性溶融相を
形成するポリマーである上記(a) 、(b) 、(c) のポリエ
ステル及び(h) のポリエステルアミドは、縮合により所
要の反復単位を形成する官能基を有している有機モノマ
ー化合物同士を反応させることのできる多様なエステル
形成法により生成させることができる。例えば、これら
の有機モノマー化合物の官能基はカルボン酸基、ヒドロ
キシル基、エステル基、アシルオキシ基、酸ハロゲン化
物、アミン基等でよい。上記有機モノマー化合物は、溶
融アシドリシス法により熱交換流体を存在させずに反応
させることができる。この方法ではモノマーをまず一緒
に加熱して反応物質の溶融溶液を形成する。反応を続け
ていくと固体のポリマー粒子が液中に懸濁するようにな
る。縮合の最終段階で副生した揮発物、(例えば、酢酸
または水)の除去を容易にするために真空を適用しても
よい。
【0022】また、スラリー重合法も、本発明に用いる
のに好適な完全芳香族ポリエステルの形成に採用でき
る。この方法では、固体生成物は熱交換媒質中に懸濁し
た状態で得られる。
【0023】上記の溶融アシドリシス法及びスラリー重
合法のいずれを採用するにしても、完全芳香族ポリエス
テルを誘導する有機モノマー反応物質は、かかるモノマ
ーの常温でのヒドロキシル基をエステル化した変性形態
で(すなわち、低級アシルエステルとして)反応に供す
ることができる。低級アシル基は炭素数約2〜4のもの
が好ましい。好ましくは、かかる有機モノマー反応物質
の酢酸エステルを反応に供する。
【0024】さらに溶融アシドリシス法またはスラリー
法のいずれにも任意に使用しうる触媒の代表例として
は、ジアルキルスズオキシド(例、ジブチルスズオキシ
ド)、ジアリールスズオキシド、二酸化チタン、三酸化
アンチモン、アルコキシチタンシリケート、チタンアル
コキシド、カルボン酸のアルカリ及びアルカリ土類金属
塩(例、酢酸亜鉛)、ルイス酸(例、BF3 )、ハロゲ
ン化水素(例、HCl)などの気体状酸触媒等を挙げる
ことができる。触媒の使用量は、一般にはモノマーの全
重量に基づいて約0.001 〜1 重量%、特に約0.01〜0.2
重量%である。
【0025】本発明に使用するのに適した完全芳香族ポ
リマーは、一般溶剤には実質的に不溶である傾向を示
し、したがって溶液加工には不向きである。しかし、既
に述べたように、これらのポリマーは、普通の溶融加工
法により容易に加工することができる。特に好ましい完
全芳香族ポリマーは、ペンタフルオロフェノールにいく
らか可溶である。
【0026】本発明で用いるのに好適な完全芳香ポリエ
ステルは、一般に重量平均分子量が約2000〜200000、好
ましくは約10000 〜50000 、特に好ましくは約20000 〜
25000 である。一方、好適な完全芳香族ポリエステルア
ミドは、一般に分子量が約5000〜50000 、好ましくは約
10000 〜30000 、例えば15000 〜17000 である。かかる
分子量の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィーならびにその他のポリマーの溶液形成を伴わない標
準的測定法、例えば圧縮成形フィルムについて赤外分光
法により末端基を定量することにより実施できる。ま
た、ペンタフルオロフェノール溶液にして光散乱法を用
いて分子量を測定することもできる。
【0027】また、上記の完全芳香族ポリエステル及び
ポリエステルアミドは、60℃でペンタフルオロフェノー
ルに0.1 重量%濃度で溶解したときに、通常、少なくと
も約2.0 dl/g 、例えば約2.0 〜10.0dl/g の対数粘度
(IV)を示す。
【0028】本発明で用いられる異方性溶融相を形成す
るポリマーとしては、芳香族ポリエステル及び芳香族ポ
リエステルアミド、あるいは芳香族ポリエステル及び芳
香族ポリエステルアミドを同一分子鎖中に部分的に含む
ポリエステルが好ましい。それらを構成する化合物の好
ましい例は、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,6
−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフ
タレン及び6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等のナフタ
レン化合物、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、4,
4′−ジヒドロキシビフェニル等のビフェニル化合物、
下記の化1に示される一般式(A) 、(B) または(C) の化
合物、p−ヒドロキシ安息香酸、テレフタル酸、ハイド
ロキノン、p−アミノフェノール及びp−フェニレンジ
アミン等のパラ位置換のベンゼン化合物及びそれらの核
置換ベンゼン化合物(置換基は塩素、臭素、メチル、フ
ェニル、1−フェニルエチルより選ばれる)、イソフタ
ル酸、レゾルシン等のメタ位置換のベンゼン化合物であ
る。
【化1】 (但し、化1において、Xは、アルキレン(C1 〜C
4 )、アルキリデン、−O−、−SO−、−SO2 −、
−S−、−CO−より選ばれる基を示し、Yは、(CH
2n −(n=1〜4)、−O(CH2n O−(n=
1〜4)より選ばれる基を示す。)
【0029】上述の構成成分を同一分子鎖中に部分的に
含むポリエステルの好ましい例は、アルキル基の炭素数
が2〜4のポリアルキレンテレフタレートである。ま
た、上述の構成成分の内、ナフタレン化合物、ビフェニ
ル化合物、パラ位置換ベンゼン化合物より選ばれる1種
もしくは2種以上の化合物を必須の構成成分として含む
ものが、さらに好ましい例である。また、p−位置換ベ
ンゼン化合物の内、p−ヒドロキシ安息香酸、メチルハ
イドロキノン及び1−フェニルエチルハイドロキノン
は、特に好ましい例である。
【0030】構成成分の具体的な組み合わせとしては、
下記の化2〜化8に示されるものを挙げることができ
る。
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】 なお、化2〜化8において、Zは−Cl,−Br,−C
3 より選ばれる置換基を示し、Xはアルキレン(C1
〜C4 )、アルキリデン、−O−、−SO−、−SO2
−、−S−、−CO−より選ばれる置換基を示す。
【0031】本発明で用いられる異方性溶融相を形成す
るポリエステルの内、特に好ましいものは、6−ヒドロ
キシ、2−ナフトイル、2,6−ジヒドロキシナフタレ
ン及び2,6−ジカルボキシナフタレン等のナフタレン
部分含有反復単位を約10モル%以上の量で含有するもの
である。好ましいポリエステルアミドは、上述のナフタ
レン部分と4−アミノフェノールまたは1,4−フェニ
レンジアミンよりなる部分との反復単位を含有するもの
である。具体的には以下(1) 〜(6) に示す通りである。
【0032】(1) 本質的に下記の化9に示される反復単
位(A) 及び(B) からなるポリエステル。
【化9】 このポリエステルは、約10〜90モル%の単位(A) と約10
〜90モル%の単位(B)を含有する。(A) 態様において単
位(A) は約65〜85モル%、好ましくは、約70〜80モル%
(例えば、約75モル%)の量まで存在する。別の態様に
おいて、単位(B) は約15〜35モル%、好ましくは約20〜
30モル%というずっと低濃度の量で存在する。また、環
に結合している水素原子の少なくとも一部は、場合によ
り、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコ
キシ基、ハロゲン、フェニル、置換フェニル及びこれら
の組み合わせよりなる群から選ばれた置換基により置換
されていてもよい。
【0033】(2) 本質的に下記の化10に示される反復
単位(A) 、(B) 及び(C) からなるポリエステル。
【化10】 このポリエステルは、約30〜70モル%の単位(A) を含有
する。このポリエステルは、好ましくは、約40〜60モル
%の単位(A) 、約20〜30モル%の単位(B) 、そして約20
〜30モル%の単位(C) を含有する。また、環に結合して
いる水素原子の少なくとも一部は、場合により、炭素数
1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハ
ロゲン、フェニル、置換フェニル及びこれらの組み合わ
せよりなる群から選ばれた置換基により置換されていて
もよい。
【0034】(3) 本質的に下記の化11に示される反復
単位(A) 、(B) 、(C) 及び(D) からなり、かつ単位(A)
を約20〜60モル%、単位(B) を約5 〜18モル%、単位
(C) を約5 〜35モル%、そして単位(D) を約20〜40モル
%の量で含有するポリエステル。
【化11】 (但し、化11において、Rはメチル、クロロ、ブロモ
またはこれらの組み合わせを意味し、芳香環上の水素原
子に対する置換基である。) このポリエステルは、好ましくは、約35〜45モル%の単
位(A) 、約10〜15モル%の単位(B) 、約15〜25モル%の
単位(C) 、そして約25〜35モル%の単位(D) を含有す
る。但し、単位(B) と(C) の合計モル濃度は単位(D) の
モル濃度と実質的に等しい。また、環に結合している水
素原子の少なくとも一部は、場合により、炭素数1〜4
のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲ
ン、フェニル、置換フェニル及びこれらの組み合わせよ
りなる群から選ばれた置換基により置換されていてもよ
い。この完全芳香族ポリエステルは、60℃でペンタフル
オロフェノールに0.3 WV %濃度で溶解したときに、
通常、少なくとも2.0dl /g 以上(例えば、2.0 〜10.
0 dl/g )の対数粘度を示す。
【0035】(4) 本質的に下記の化12に示される反復
単位(A) 、(B) 、及び、(C) 一般式〔−O−Ar−O
−〕(Arは少なくとも1個の芳香環を含む2価基を意
味する)で示されるジオキシアリール単位、(D) 一般式
〔−CO−Ar′−CO−〕(Ar′は少なくとも1個
の芳香環を含む2価基を意味する)で示されるジカルボ
キシアリール単位からなり、かつ単位(A) を約20〜40モ
ル%、単位(B) を10モル%を超え、約50モル%以下、単
位(C) を5 モル%を超え、約30モル%以下、そして単位
(D) を5 モル%を超え、約30モル%以下の量で含有する
ポリエステル。
【化12】 このポリエステルは、好ましくは、約20〜30モル%(例
えば、約25モル%)の単位(A) 、約25〜40モル%(例え
ば、約35モル%)の単位(B) 、約15〜25モル%(例え
ば、約20モル%)の単位(C) 、そして約15〜25モル%
(例えば、約20モル%)の単位(D) を含有する。また、
環に結合している水素原子の少なくとも一部は、場合に
より、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアル
コキシ基、ハロゲン、フェニル、置換フェニル及びこれ
らの組み合わせよりなる群から選ばれた置換基により置
換されていてもよい。単位(C) と(D) は、ポリマー主鎖
内でこれらの単位を両側の単位につなげている2価の結
合が1または2以上の芳香環上で対称的配置にある(例
えば、ナフタレン環上に存在するときは互いにパラの位
置か、または対角環上に配置されている)という意味で
対称的であるのが好ましい。但し、レゾルシノール及び
イソフタル酸から誘導されるような非対称単位を使用で
きる。なお、好ましいジオキシアリール単位(C) は、下
記の化13の構造を有するものであり、好ましいジカル
ボキシアリール単位(D) は、下記の化14の構造を有す
るものである。
【化13】
【化14】
【0036】(5) 本質的に下記の化15に示される反復
単位(A) 、及び、(B) 一般式〔−O−Ar−O−〕(A
rは少なくとも1個の芳香環を含む2価基を意味する)
で示されるジオキシアリール単位、(C) 一般式〔−CO
−Ar′−CO−〕(Ar′は少なくとも1個の芳香環
を含む2価基を意味する)で示されるジカルボキシアリ
ール単位からなり、かつ単位(A) を約10〜90モル%、単
位(B) を5 〜45モル%、単位(C)を5 〜45モル%の量で
含有するポリエステル。
【化15】 このポリエステルは、好ましくは、約20〜80モル%の単
位(A) 、約10〜40モル%の単位(B) 、そして約10〜40モ
ル%の単位(C) を含有し、さらに好ましくは、約60〜80
モル%の単位(A) 、そして約10〜20モル%の単位(B) 、
そして約10〜20モル%の単位(C) を含有する。また、環
に結合している水素原子の少なくとも一部は、場合によ
り、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコ
キシ基、ハロゲン、フェニル、置換フェニル及びこれら
の組み合わせよりなる群から選ばれた置換基により置換
されていてもよい。なお、好ましいジオキシアリール単
位(B) は、下記の化16の構造を有するものであり、好
ましいジカルボキシアリール単位(C) は、下記の化17
の構造を有するものである。
【化16】
【化17】
【0037】(6) 本質的に下記の化18に示される反復
単位(A) 、及び、(B) 一般式〔−CO−A−CO−〕
(Aは少なくとも1個の芳香環を含む2価基または2価
トランス−シクロヘキサン基を意味する)で示されるジ
カルボキシアリール単位、(C) 一般式〔−Y−Ar −Z
−〕(Ar は少なくとも1個の芳香環を含む2価基、Y
はO,NHまたはNR、ZはNHまたはNRをそれぞれ
意味し、Rは炭素数1〜6のアルキル基か、またはアリ
ール基を意味する)で示される反復単位、(D) 一般式
〔−O−Ar ′−O−〕(Ar ′は少なくとも1個の芳
香環を含む2価基を意味する)で示されるジオキシアリ
ール単位からなり、かつ単位(A) を約10〜90モル%、単
位(B) を約5 〜45モル%、単位(C) を約5 〜45モル%、
そして単位(D) を約0 〜40モル%の量で含有するポリエ
ステルアミド。
【化18】 このポリエステルアミドにおいて、環に結合している水
素原子の少なくとも一部は、場合により、炭素数1〜4
のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲ
ン、フェニル、置換フェニル及びこれらの組み合わせよ
りなる群から選ばれた置換基により置換されていてもよ
い。なお、好ましいジカルボキシアリール単位(B) は、
下記の化19の構造を有するものであり、好ましい単位
(C) は、下記の化20あるいは化21の構造を有するも
のであり、好ましいジオキシアリール単位(D) は、下記
の化22の構造を有するものである。
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【0038】さらに、本発明の異方性溶融相を形成する
ポリマーには、一つの高分子鎖の一部が上記までに説明
した異方性溶融相を形成するポリマーのセグメントから
構成され、残りの部分が異方性溶融相を形成しない熱可
塑性樹脂のセグメントから構成されるポリマーも含まれ
る。
【0039】また、本発明の異方性溶融相を形成するポ
リマーは、単独で用いても良いし、2種以上を混合して
用いても良い。さらに、異方性溶融相を形成するポリマ
ーは、異方性溶融相を形成しない熱可塑性樹脂、熱硬化
性樹脂を、1種または2種以上含有していても良い。こ
のとき、異方性溶融相を形成するポリマーと異方性溶融
相を形成しない樹脂は、相溶であっても良いし、非相溶
であってもよい。
【0040】異方性溶融相を形成しない熱可塑性樹脂と
しては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブ
チレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ酢酸ビ
ニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチ
レン、アクリル系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、BS樹
脂、ポリウレタン、シリコーン樹脂、ポリアセタール、
ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート、芳香族ポリエステル、ポリア
ミド、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、
ポリビニルエーテル、ポリエーテルイミド、ポリアミド
イミド、ポリエーテルエーテルイミド、ポリエーテルエ
ーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォ
ン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシ
ド等を挙げることができ、液晶ポリマー以外の熱硬化性
樹脂としては、例えばフェノール樹脂、エポキシ樹脂、
メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、
アルキド樹脂等を挙げることができる。
【0041】また、液晶ポリマーに充填される無機粒子
としては、主として、ガラスビーズ、シリカ、炭酸カル
シウム等を挙げることができ、これらを単独で用いても
良いし、2種以上混合して用いても良い。本発明に用い
る無機粒子は、アスペクト比(粒子の長径の短径に対す
る比)が1.5以下で実質的に球状であること、及び最
大径が60μm以下であることが必要である。粒子が実
質的に球状であるということは、完全な球状(真球状)
の粒子以外に、外形が概ね球状あるいは楕球状の粒子も
含むということであるし、一方、最大径が60μm以下
であるということは、粒径の分布に関わりなく、直径が
60μmより大きい粒子を含有していないということで
あり、分級等の方法によって60μm以上の粒子が取り
除かれているということである。本発明においては、無
機粒子のアスペクト比は1.5以下であることが必要で
あるが、異方性を低減し、かつ、より高い表面平滑度、
真円度、円筒度を得るためには、1.2以下の真球状に
近い方が好ましい。また、最大径は、60μm以下であ
ることが必要であるが、同様に、異方性を低減し、か
つ、より高い表面平滑度、真円度、円筒度を得るために
は、40μm以下であることが好ましい。無機粒子の充
填量は、特に限定されないが、樹脂の強度や寸法安定性
等の特性を低下させることなく異方性を低減するために
は、樹脂を含む総重量の30〜70重量%を充填するこ
とが好ましい。30重量%以下であると異方性の低減効
果が発現されないし、反対に70重量%を越えると、樹
脂の流動性が低下して成形性が悪くなり、成形品の機械
的特性が低下するので好ましくない。良好な成形性を維
持しつつ、異方性を効果的に低減するという点から、よ
り好ましい充填量の範囲は、40〜60重量%である。
【0042】さらに、無機粒子の充填された液晶ポリマ
ーには、必要に応じて、例えば可塑剤、酸化防止剤や紫
外線吸収剤等の安定剤、難燃剤、染料や顔料等の着色
剤、発泡剤、ジビニル系化合物、過酸化物や加硫剤等の
架橋剤、流動性や離型性改善のための滑剤等としての低
分子有機化合物を添加することができる。
【0043】
【作用】樹脂中に充填された、最大径が60μm以下で
ありかつアスペクト比が1.5以下の実質的に球状な無
機粒子は、射出成形時に溶融した液晶ポリマー分子の周
囲に、高い比率で存在し、各分子鎖が互いに同一方向に
流動することを防止し、成形品の特性の異方性を低減す
る。このとき溶融した樹脂中の無機粒子は、その形状と
大きさの相互作用から、凝集して粗大突起を形成したり
せず、成形品の外周に大きく突出しないので、成形品の
金型に接する樹脂の表面性が阻害されない。従って成形
品には、高い表面平滑度(板状、円盤状部品等にあって
は凹凸の少ない表面、円筒、円柱状部品等にあっては高
い真円度、円筒度)が発現される。従って、かかる特殊
形状の無機粒子が充填された樹脂成形物を射出成形する
ことによって得られる光ファイバー用コネクタ、燃料ポ
ンプインペラー、ハードディスクドライブ用センタリン
グハブ、レーザビームプリンタ用ノズル等の精密部品
は、良好な特性(強度、耐熱性等)と、きわめて高い真
円度、円筒度を兼備したものとなる。
【0044】
【実施例】
[実施例1] <液晶ポリマーの製造>4−アセトキシ安息香酸108
1重量部、6−アセトキシ−2−ナフトエ酸460重量
部、イソフタル酸166重量部、1,4−ジアセトキシ
ベンゼン194重量部を攪拌後、窒素導入管及び留出管
を備えた反応器中に仕込み、窒素気流下でこの混合物を
260℃に加熱した。反応器から酢酸を留出させなが
ら、260℃で2.5時間、次に280℃で3時間激し
く攪拌した。さらに、温度を320℃に上昇し、窒素の
導入を停止した後、徐々に反応器中を減圧し、15分後
に圧力を0.1mmHgに下げ、この温度、圧力で1時間
攪拌することによって、実施例1の液晶ポリマーを得
た。得られた液晶ポリマーの構造と組成は、下記の化2
3の通りである。
【化23】 また、得られた液晶ポリマーを60℃のペンタフルオロ
フェノール0.1重量%溶液として固有粘度を測定した
結果、5.0であった。 <成形品の製造>得られた液晶ポリマーに、最大径が4
0μmで、アスペクト比が1.1のガラスビーズを50
wt%充填し、その樹脂組成物を、ニッセイ射出成形機F
S−75Nを用いて、シリンダー部300℃、ノズル3
00℃、金型温度120℃、射出圧力400kg/cm2
成形条件下で射出成形し、図1に示す円盤体、及び図2
に示す円筒体の2種類の、実施例1の成形品を得た。な
お、円盤体の射出成形においては、直径が20.0mm
φ、厚みが0.8mmになるように調整され、ゲートが円
盤の中心に位置した金型を使用した。一方、円筒体の射
出成形においては、外径が4.6mmφ、内径が3.0mm
φ、長さが10.0mmになるように調整されているとと
もに、円筒部分の片端の外部に円筒径より大きい径のデ
ィスク部分が隣接され、円筒内部に片端から円周に沿っ
て均一に樹脂が注入されるように調整された金型を使用
した。さらに、円盤体、円筒体の成形と同一条件にて、
図3に示す形状の実施例1の光ファイバー用コネクタ
(フェルール)を成形した。 <成形品の評価>得られた成形品を23℃、50%の恒
温室に48時間放置した後、円盤体については面振れ
を、円筒体については円筒度を、フェルールについては
接続特性を、それぞれ評価した。なお、面振れ(表面の
凹凸度)、円筒度、接続特性の各評価方法は、以下の通
りである。 「面振れの評価」ランクテーラーホブソン社製真円度測
定装置(タリロンド300)を用い、図1の円盤体の円
周端部から約2mm内側に入った部位における表面の凹凸
度(最大高さと最小高さの差)を、円周に沿って正確に
測定し、その値を面振れとした。 「円筒度の評価」ランクテーラーホブソン社製真円度測
定装置(タリロンド300)を用い、図2の円筒体の片
端から約2mm、5mm、8mmの部位において、最大内径と
最小内径の差を求め、その3つの値の平均値を算出して
円筒度とした。 「接続特性」0.85μmの波長のLEDを光源とし、
外径125μm、コア径50μm、1kmの長さのGI形
石英ファイバーをダミーファイバーとしたときの接続損
失の大きさを求めた。そして、接続損失が0.4db未満
のものを接続特性良とし、0.4db以上0.7db未満の
ものを可とし、0.7db以上のものを不良として評価し
た。なお、接続特性の評価において、接続面はシアノア
クリレート系瞬間接着剤によって接着し、突き合わせ端
面はダイヤモンド研磨を施した。面振れ、円筒度、及び
接続特性の各評価結果は、充填剤の特性とともに表1に
示した。
【0045】[実施例2] <液晶ポリマーの製造>実施例1と同じ液晶ポリマーを
使用した。 <成形品の製造>液晶ポリマーに充填する無機粒子を、
最大径が10μmで、アスペクト比が1.1のガラスビ
ーズに変更した以外は、実施例1と同様にして、円盤
体、円筒体、及びフェルールの3つの、実施例2の成形
品を得た。得られた成形品は実施例1と同様に評価し
た。評価結果は、充填剤の特性とともに表1に示した。
【0046】[実施例3] <液晶ポリマーの製造>実施例1と同じ液晶ポリマーを
使用した。 <成形品の製造>液晶ポリマーに充填する無機粒子を、
最大径が1μmで、アスペクト比が1.1のシリカ粒子
に変更した以外は、実施例1と同様にして、円盤体、円
筒体、及びフェルールの3つの、実施例3の成形品を得
た。得られた成形品は実施例1と同様に評価した。評価
結果は、充填剤の特性とともに表1に示した。
【0047】[比較例1] <液晶ポリマーの製造>実施例1と同じ液晶ポリマーを
使用した。 <成形品の製造>液晶ポリマーに充填する無機粒子を、
直径が9μm、長さ3mm(見掛けのアスペクト比(長さ
/直径)=333.3)のガラス繊維に変更した以外
は、実施例1と同様にして、円盤体、円筒体、及びフェ
ルールの3つの、比較例1の成形品を得た。得られた成
形品は実施例1と同様に評価した。評価結果は、充填剤
の特性とともに表1に示した。
【0048】[比較例2] <液晶ポリマーの製造>実施例1と同じ液晶ポリマーを
使用した。 <成形品の製造>液晶ポリマーに充填する無機粒子を、
最大径が80μmで、アスペクト比が1.1のガラスビ
ーズに変更した以外は、実施例1と同様にして、円盤
体、円筒体、及びフェルールの3つの、比較例2の成形
品を得た。得られた成形品は実施例1と同様に評価し
た。評価結果は、充填剤の特性とともに表1に示した。
【0049】[比較例3] <液晶ポリマーの製造>実施例1と同じ液晶ポリマーを
使用した。 <成形品の製造>液晶ポリマーに充填する無機粒子を、
最大径が100μmで、アスペクト比が1.2のガラス
ビーズに変更した以外は、実施例1と同様にして、円盤
体、円筒体、及びフェルールの3つの、比較例3の成形
品を得た。得られた成形品は実施例1と同様に評価し
た。評価結果は、充填剤の特性とともに表1に示した。
【0050】
【表1】
【0051】なお、本実施例においては、円盤体、円筒
体、及び光ファイバー用コネクタ(フェルール)の各部
品を射出成形した例について説明したが、本発明の射出
成形用樹脂組成物は、これらの部品のみならず、どんな
形状の部品を射出成形する場合でも同様に、高い表面平
滑度、真円度、円筒度を発現させることができる。従っ
て、光ファイバー用コネクタ(フェルール)の他に、自
動車等の燃料ポンプのインペラー、ハードディスクドラ
イブ用のセンタリングハブ、レーザビームプリンタのノ
ズル等、特に高い表面平滑度、真円度、円筒度を要求さ
れる部品の成形に、好適に用いることができる。
【0052】
【発明の効果】上述した通り、本発明によれば、液晶ポ
リマーの射出成形において、成形品の等方性を良好にす
ること、及び成形品に高い表面平滑性、真円度、円筒度
を発現させることという相反する2つの要求を同時に満
たすことができる。従って、高い強度や弾性率、及び良
好な寸法安定性、耐熱性、耐薬品性とともに特性の等方
性や高い表面平滑性、真円度、円筒度等が併せて要求さ
れる精密部品の射出成形も可能となる。それゆえ、本発
明によって得られる光ファイバー用コネクタ、燃料ポン
プインペラー、ハードディスクドライブ用センタリング
ハブ、レーザビームプリンタ用ノズル等の精密部品は、
良好な特性ときわめて高い真円度、円筒度を兼備してい
るため、成形後のさらなる仕上げ加工を必要としない
し、使用に供したときの信頼性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例、比較例において成形した円盤体の形状
を示す説明図である。
【図2】実施例、比較例において成形した円筒体の形状
を示す説明図である。
【図3】光ファイバー用コネクタ(フェルール)の形状
を示す説明図である。
【符号の説明】
1・・ファイバー挿入孔、2・・微細円筒孔。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 最大径が60μm以下でありかつアスペ
    クト比が1.5以下の実質的に球状な無機粒子を充填し
    たポリエステル系サーモトロピック液晶ポリマーを射出
    成形してなり、光ファイバー用コネクタ、燃料ポンプイ
    ンペラー、ハードディスクドライブ用センタリングハブ
    またはレーザビームプリンタ用ノズルであることを特徴
    とする射出成型品。
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