JP3285764B2 - 放電プラズマを利用した表面処理方法 - Google Patents

放電プラズマを利用した表面処理方法

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JP3285764B2
JP3285764B2 JP17393696A JP17393696A JP3285764B2 JP 3285764 B2 JP3285764 B2 JP 3285764B2 JP 17393696 A JP17393696 A JP 17393696A JP 17393696 A JP17393696 A JP 17393696A JP 3285764 B2 JP3285764 B2 JP 3285764B2
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discharge plasma
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材を親水化する
表面処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、基材の表面を親水化する方法は多
数提案されている。界面活性剤を含有する組成物を基材
に塗布する方法は広く知られているが、水と接触して界
面活性剤が流出するため、耐久性に問題がある。また、
コロナ放電処理を行い、表面を酸化する方法が実用化さ
れている。この方法は基材表面にカルボキシル基又は水
酸基を形成させ親水化するものであるが、同様に耐久性
に問題があった。
【0003】一方、0.01〜100Torrの低圧下
でグロー放電プラズマによって表面を活性化し、アクリ
ルアミド等のモノマー溶液中でモノマーをグラフト共重
合する方法が、Macromolecules,19,
1804(1986)に報告されている。また、低圧下
でアクリル酸カリウム等のモノマーをアルミニウム板上
に設置し、グロー放電プラズマを該固体モノマーに照射
して重合反応を行わせる方法が、高分子論文集,49,
133(1992)に報告されている。このような基材
表面に重合反応を行わせる方法によれば親水性能の耐久
性は向上するが、低圧下でグロー放電プラズマを発生さ
せるため、高価な装置を必要とする。面積の大きな基板
に処理を行おうとすれば、大出力の真空排気装置を必要
とするため、設備がきわめて高価となる。また、給水率
の高いプラスチック基板に処理を行う場合、このような
真空状態を実現するために長時間を要し、処理品のコス
トを上昇させることになる。
【0004】近年、低圧下又は大気圧下で発生するグロ
ー放電プラズマを用い、表面処理する方法が提案されて
いる。特開平6−41337号には、含フッ素化合物と
酸素の混合気体を用いてプラズマ処理を行い、該混合気
体の比率を調整して基材の表面を親水化する方法が挙げ
られている。しかし、この方法も親水性能の耐久性は不
充分であった。また、上記従来技術ではいずれもオレフ
ィン系樹脂およびフッ素系樹脂の改質は困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決し、耐久性に優れた親水性能を有する表面処理方
法を与えるものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
(以下、「本発明1」という。)は、一対の電極の少な
くとも一方に固体誘電体が設置され、他方の電極と該固
体誘電体又は該固体誘電体同志が対向して設けられた装
置の、当該他方の電極と該固体誘電体又は該固体誘電体
同志の間に基材を配置し、不活性ガスの存在下、大気圧
近傍の圧力で該基材処理面に放電プラズマ処理を行った
後に、酸素ガス存在下に、次いで硫黄酸化物ガス存在下
に順次放置することを特徴とする。
【0007】本発明の表面処理を施される基材として
は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポ
リカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリテ
トラフルオロエチレン、アクリル樹脂等のプラスチッ
ク、ガラス、セラミック、金属等が挙げられる。基材の
形状としては、板状、フィルム状等のものが挙げられる
が、特にこれらに限定されない。本発明の表面処理方法
によれば、様々な形状を有する基材の処理に容易に対応
することが出来る。
【0008】上記不活性ガスとしては、ヘリウム、ネオ
ン、アルゴン、キセノン等の希ガス又は窒素等が挙げら
れる。これらは単独でも混合して用いてもよい。
【0009】上記不活性ガスに、一酸化炭素、二酸化炭
素、水蒸気等の酸素元素を含有する化合物のガス、酸素
ガス、空気等を混合した雰囲気下でも処理を行うことが
出来る。これらのガスの混合割合は10体積%以下が好
ましく、より好ましくは5体積%以下である。
【0010】上記不活性ガス中で放電プラズマ処理を行
った後に、基材は酸素ガス存在下に放置される。上記
「酸素ガス存在下」とは、酸素(O2 )が存在する雰囲
気であればよく、酸素単独雰囲気以外に、酸素と不活性
ガスの混合気体、空気等でもよい。混合気体を用いる場
合は、酸素の含有量が大きいほうが放置時間が短くて済
む。好ましくは酸素含有量が20〜100体積%であ
り、より好ましくは50〜100体積%である。放置時
間は、例えば、酸素含有量が100体積%の雰囲気下で
5分間程度である。
【0011】上記酸素を含有するガス中に放置された後
に、基材は大気圧近傍の圧力下で硫黄酸化物ガス存在下
に放置される。上記硫黄酸化物としては、二酸化硫黄又
は三酸化硫黄が挙げられる。上記「硫黄酸化物ガス存在
下」とは、硫黄酸化物が存在する雰囲気であればよい。
操作の安全性のために、硫黄酸化物単独雰囲気は避け、
硫黄酸化物に不活性ガスを混合して用いることが好まし
い。不活性ガスは、上述したものと同様のものを用いる
ことが出来る。硫黄酸化物の含有量が多いほうが放置時
間は短くて済むが、多すぎると安全上の問題が生じる。
好ましくは硫黄酸化物含有量が0.1〜10体積%であ
る。放置時間は、例えば、硫黄酸化物含有量が1体積%
の雰囲気下で5分間程度である。
【0012】上記放置は、上記基材を放電プラズマ処理
に用いた装置から取り出し、他の容器中で行うことも出
来るが、上記放電プラズマ処理の行われた装置中のガス
雰囲気を制御することによって行うのが簡便である。
【0013】上記プラズマ処理時及び硫黄酸化物ガス存
在下に放置する時の大気圧近傍の圧力とは、100〜8
00Torrの圧力下を指す。圧力調整が容易で、装置
が簡便になる700〜780Torrの範囲が好まし
い。
【0014】上記プラズマ処理は、一対の電極、該電極
の少なくとも一方に設置された固体誘電体、他方の電極
と該固体誘電体又は該固体誘電体同志が対向して設けら
れた装置において、当該他方の電極と該固体誘電体又は
該固体誘電体同志の空間に基材を配置し、上記不活性ガ
ス又は上記不活性ガスに、一酸化炭素、二酸化炭素、水
蒸気等の酸素元素を含有する化合物のガス、酸素ガス、
空気等を混合した混合気体を当該空間に供給して行われ
る。
【0015】上記電極としては、銅、アルミニウム等の
金属単体、ステンレス、真鍮等の合金、金属間化合物等
からなるものが挙げられる。上記電極の構造は、平行平
板型、円筒対向平板型、球対向平板型、双曲面対向平板
型、同軸円筒型、複数の細線と平板からなる構造等が挙
げられる。
【0016】上記固体誘電体は、一対の電極の少なくと
も一方に接するように、固体誘電体を設置していない電
極又は該固体誘電体同志が対向するように設置される。
固体誘電体によって覆われずに電極同志が直接対向する
部位があると、そこからアーク放電が生じ、好ましくな
い結果を与える。
【0017】上記固体誘電体としては、ポリテトラフル
オロエチレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラス
チック、二酸化珪素、酸化アルミニウム、二酸化ジルコ
ニウム、二酸化チタン等の金属酸化物、チタン酸バリウ
ム等の複酸化物等が挙げられる。
【0018】上記固体誘電体の形状は、シート状でもフ
ィルム状でもよいが、厚みが0.05〜4mmであるこ
とが好ましい。厚すぎると放電プラズマを発生するのに
高電圧を要し、薄すぎると電圧印加時に絶縁破壊が起こ
りアーク放電が発生するためである。
【0019】上記基材は、固体誘電体の設置されていな
い電極と固体誘電体の間又は該固体誘電体同志の空間
(以下、表面処理部という。)に配置される。本発明に
おいては、発生した放電プラズマを基材表面に接触させ
ることによって目的を達成するため、基材の両面に処理
を施したい場合は表面処理部に当該基材を浮かせて設置
する必要がある。
【0020】上記電極間の距離は、固体誘電体の厚さ、
基材の厚さ、印加電圧の大きさ、混合気体の流量等によ
って適宜決定されるが、1〜30mmであることが好ま
しい。1mm未満では、基材を間隔を置いて電極間に設
置することに適当でない。30mmを超えると、均一な
放電プラズマを発生させることが困難である。
【0021】上記放電プラズマの発生は、上記電極間に
電圧を印加することによって行われる。電圧は適宜決め
られるが、印加した際に電界強度が1〜40kV/cm
となるようにすることが好ましい。1kV/cm未満で
あると処理に時間がかかりすぎ、40kV/cmを超え
るとアーク放電が発生するためである。上記電圧印加に
必要な電源部は特に限定されないが、耐熱性の低い基材
に上記処理を施す場合は、周波数が5〜30kHzであ
ることが好ましい。
【0022】上記放電プラズマ処理が行われる装置は
活性ガスおよび上記の必要に応じて添加されるガスの導
入管、過剰な気体の排出口を備えた容器中にある。上記
容器の材質は、ガラス、電極と絶縁のとれたステンレ
ス、アルミニウム等の金属等が挙げられる。
【0023】上記放電プラズマ処理は、基材を加熱また
は冷却して行ってもよいが、室温下で充分可能である。
上記放電プラズマ処理に要する時間は、印加電圧の大き
さおよび使用される混合気体によって適宜決定される。
【0024】請求項2に記載の発明(以下、「本発明
2」という。)は、本発明1の処理を行った後の基材処
理面を、アルカリ性水溶液に浸漬した後に乾燥させるこ
とを特徴とする。
【0025】上記アルカリ性水溶液とは、リチウム、ナ
トリウム等のアルカリ金属の水酸化物および炭酸塩、ア
ンモニア等の水溶液が挙げられる。水溶液の濃度は特に
限定されないが、濃度が高いほど本発明1の処理をされ
た基材が浸漬される時間は短縮される傾向にある。上記
浸漬した後の基材は、公知の方法で乾燥される。
【0026】請求項3に記載の発明(以下、「本発明
3」という。)は、一対の電極の少な くとも一方に固体
誘電体が設置され、他方の電極と該固体誘電体又は該固
体誘電体同志が対向して設けられた装置の、当該他方の
電極と該固体誘電体又は該固体誘電体同志の間に基材を
配置し、硫黄酸化物ガスの存在下、大気圧近傍の圧力
で、放電プラズマ処理を行った後の基材処理面を、アル
カリ性水溶液に浸漬した後に乾燥させることを特徴とす
る。
【0027】本発明3における放電プラズマ処理は、本
発明1における不活性ガス中で放電プラズマ処理を行う
代わりに、硫黄酸化物ガスの存在下で放電プラズマ処理
を行うこと以外は、本発明1の放電プラズマ処理と同様
である。
【0028】上記硫黄酸化物ガスとしては、二酸化硫黄
ガス、三酸化硫黄ガス等が挙げられる。安全性、経済性
の観点から、硫黄酸化物単独の雰囲気中で処理を行うこ
とは不利であるので、不活性ガス等によって硫黄酸化物
を希釈して用いることが好ましい。上記不活性ガスとし
ては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン等の希ガ
ス、窒素等が挙げられる。これらは単独でも混合して用
いてもよい。ヘリウムは、放電プラズマを安定して発生
させるために有利である。
【0029】上記硫黄酸化物と不活性ガスの混合割合は
使用するガスの種類によって決定されるが、硫黄酸化物
気体の濃度が10体積%を超えると、安全性、経済性の
観点から好ましくないため、0.01体積%未満である
と、充分な処理が出来ないため、0.01〜10体積%
が好ましく、より好ましくは0.01〜5体積%であ
る。
【0030】上記大気圧近傍の圧力とは、100〜80
0Torrの圧力下を指す。圧力調整が容易で、装置が
簡便になる700〜780Torrの範囲が好ましい。
【0031】上記プラズマ処理は、一対の電極、該電極
の少なくとも一方に設置された固体誘電体、他方の電極
と該固体誘電体又は該固体誘電体同志が対向して設けら
れた装置において、当該他方の電極と該固体誘電体又は
該固体誘電体同志の空間に基材を配置し、上記硫黄酸化
物ガスと不活性ガスの混合気体を当該空間に供給して行
われる。
【0032】上記放電プラズマ処理は、硫黄酸化物ガス
の存在する雰囲気中で行われる。上述のように、硫黄酸
化物ガスと不活性ガスの混合ガス中で処理を行うことが
好ましいが、不活性ガスは硫黄酸化物ガスに比較して軽
いので、これらの混合気体が表面処理部に均一に供給さ
れるような装置上の工夫がされていることが好ましい。
添付した図面に示した例では、硫黄酸化物ガスは導入管
から多孔構造をもつ電極を通って供給される。不活性ガ
スは、上記硫黄酸化物ガスとは別の導入管から表面処理
部に供給される。気体を均一に供給可能であれば、この
ような構造に限定されず、気体を攪拌又は高速で吹き付
ける等の手段を用いてもよい。
【0033】上記放電プラズマ処理が行われる装置は、
硫黄酸化物および不活性ガスの導入管、過剰な気体の排
出口を備えた容器中にある。上記容器の材質は、ガラ
ス、電極と絶縁のとれたステンレス、アルミニウム等の
金属等が挙げられる。
【0034】本発明3は、上記放電プラズマ処理を行っ
た後の基材処理面を、アルカリ性水溶液に浸漬した後に
乾燥させる。
【0035】上記アルカリ性水溶液とは、リチウム、ナ
トリウム等のアルカリ金属の水酸化物および炭酸塩、ア
ンモニア等の水溶液が挙げられる。水溶液の濃度は特に
限定されないが、濃度が高いほど放電プラズマ処理をさ
れた基材が浸漬される時間は短縮される傾向にある。上
記浸漬した後の基材は、公知の方法で乾燥される。
【0036】請求項4に記載の発明(以下、「本発明
4」という。)は、一対の電極の少なくとも一方に固体
誘電体が設置され、他方の電極と該固体誘電体又は該固
体誘電体同志が対向して設けられた装置の、当該他方の
電極と該固体誘電体又は該固体誘電体同志の間に基材を
配置し、硫黄酸化物ガスと不活性ガスの混合気体の(硫
黄酸化物ガス存在下、)大気圧近傍の圧力下で放電プラ
ズマ処理を行った後に当該基材処理面を親水性モノマー
の溶液に浸漬し、当該基材処理面に親水性高分子鎖をグ
ラフト共重合させることを特徴とする。
【0037】本発明4は、本発明と同様に、硫黄酸化
物と不活性ガスの混合気体中で放電プラズマ処理を行
い、当該放電プラズマ処理によって形成したチオール基
を反応開始点として、親水性高分子鎖をグラフト共重合
させるものである。
【0038】上記放電プラズマ処理によって、プラスチ
ック基材表面にはチオール基、スルホン酸基等の硫黄含
有基が形成される。本発明4においては、チオール基を
多く形成させるために放電プラズマ処理時間を長くする
ことが好ましい。
【0039】上記放電プラズマ処理を施された基材処理
面は、親水性モノマーの溶液に浸漬される。上記親水性
モノマーは、不飽和結合部位と親水性を有する部位を持
つものが好ましい。上記親水性を有する部位としては、
水酸基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、1級若しくは
2級又は3級アミノ基、アミド基、4級アンモニウム塩
基、カルボン酸基、カルボン酸塩基等の親水性基、ポリ
エチレングリコール鎖等が挙げられる。上記モノマーと
しては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、
メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、
アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アク
リル酸カリウム、メタクリル酸カリウム、スチレンスル
ホン酸ナトリウム、アリルアルコール、アリルアミン、
ポリエチレングリコールジメタクリル酸エステル、ポリ
エチレングリコールジアクリル酸エステル等が挙げられ
る。上記モノマーは、単独または混合して用いられる。
【0040】上記親水性モノマーは溶媒に溶解させて、
親水性モノマーの溶液として用いられる。上記溶媒とし
ては、メタノール、エタノール、アセトン等の有機溶
媒、水等が挙げられる。上記溶媒は、単独又は混合して
用いられる。
【0041】上記親水性モノマー溶液の濃度は、用いら
れる親水性モノマーの種類によって異なるが、効率のよ
い反応を行うという観点から、5〜30重量%が好まし
い。濃度が高すぎると未反応モノマーが溶液中に残存
し、濃度が低すぎると反応に要する時間が長くなるため
である。
【0042】上記基材処理面に親水性高分子鎖をグラフ
ト共重合させる方法は、特に限定されないが、該基材処
理面を浸漬した親水性モノマーのラジカル重合を開始さ
せ、成長鎖末端のラジカルと該基材処理面のチオール基
を反応させてグラフト共重合体を生成する方法、該基材
処理面を浸漬した親水性モノマー溶液にレドックス開始
剤を添加して該基材処理面のチオール基と反応させ、該
チオール基を開始点とするレドックス重合によって親水
性モノマーをグラフト共重合させる方法が挙げられる。
【0043】上記親水性高分子をグラフト共重合させた
後に、上記基材処理面に未反応の親水性モノマー、該親
水性モノマーのホモポリマー等が付着している場合、
水、有機溶媒等を用いて該プラスチック基材の洗浄を行
い、これらの付着物を除去することが好ましい。
【0044】請求項5に記載の発明(以下、「本発明
5」という。)は、一対の電極の少なくとも一方に固体
誘電体が設置され、他方の電極と該固体誘電体又は該固
体誘電体同志が対向して設けられた装置の、当該他方の
電極と該固体誘電体又は該固体誘電体同志の間に基材を
配置し、硫黄酸化物ガスの存在下、大気圧近傍の圧力
で、放電プラズマ処理を行う基材の表面処理方法であっ
て、一対の電極間に直流が重畳された交流電界を印加す
ることによって、放電プラズマを発生させることを特徴
とする。よって、本発明5においては、上記印加が行え
るように、電極と、直流電源部および交流電源部が接続
される。
【0045】図1に、上記直流が重畳された交流電界の
例として、ピーク−ピーク電圧(VP-P )が4kVであ
る交流に、−1.0kV、+1.0kVの直流を重畳し
た場合の電圧波形を示す。重畳する直流電圧の大きさ、
極性は、電極間距離、交流電圧の大きさ、処理用ガスの
種類および混合気体中に占める割合等を考慮して決めら
れるが、±0.1〜±5kVの範囲であることが好まし
い。本発明者らによって、負極性の直流を重畳させた方
が、処理表面の耐久性に有利な効果を与えることが確認
されている。この場合、−0.1〜−5kVの負極性の
直流が好ましい。交流電界は、本発明1の説明で述べた
通りである。
【0046】請求項6に記載の発明(以下、「本発明
6」という。)は、一対の電極間に直流が重畳された交
流電界を印加することによって、放電プラズマを発生さ
せることを特徴とする本発明1から4のいずれかに記載
の基材の表面処理方法である。一対の電極間に直流が重
畳された交流電界を印加することによって、放電プラズ
マを発生させることに関する説明は、本発明5の説明で
述べた通りである。
【0047】請求項7に記載の発明(以下、「本発明
7」という。)は、一対の電極の少なくとも一方に固体
誘電体が設置され、他方の電極と該固体誘電体又は該固
体誘電体同志が対向して設けられた装置の、当該他方の
電極と該固体誘電体又は該固体誘電体同志の間に基材を
配置し、硫黄酸化物ガスの存在下、大気圧近傍の圧力
で、放電プラズマ処理を行う基材の表面処理方法であっ
て、一対の電極間にパルス化された電界を印加すること
によって、放電プラズマを発生させることを特徴とす
る。
【0048】上記パルス化された電圧を印加することに
よって、大気圧下で安定した放電プラズマを発生させる
ことが可能となる。図2にパルス電圧波形の例を示す。
波形(a)、(b)はインパルス型、波形(c)はパル
ス型、波形(d)は変調型の波形である。図2には電圧
印加が正負の繰り返しであるものを挙げたが、正又は負
のいずれかの極性側に電圧を印加するタイプのパルスを
用いてもよい。図3に、このようなパルス電圧を印加す
る際の電源のブロック図を示す。
【0049】本発明におけるパルス電圧波形は、ここ
で挙げた波形に限定されないが、パルスの立ち上がり時
間が短いほどプラズマ発生の際のガスの電離が効率よく
行われる。好ましくは、立ち上がり時間が100μs以
下である。
【0050】さらに、パルス波形、立ち上がり時間、周
波数の異なるパルスを用いて変調を行ってもよい。この
ような変調は高速連続表面を行う上で有効である。ま
た、パルス周波数が高く、パルス幅は短い方が高速連続
表面に適している。
【0051】大気圧条件下での放電プラズマ処理におい
て、安定した放電プラズマを発生させるために、ヘリウ
ムを用いる技術が知られている。本発明1からで用い
る不活性ガスに関しても同様である。一方、工業生産プ
ロセスにおいてはヘリウムより安価なアルゴン、窒素等
を用いる方が好ましい。本発明においては、パルス化
された電界を印加する方法によって処理を行い、アルゴ
ン、窒素等の雰囲気下においても、ヘリウムを用いた場
合と同等以上の高いレベルで安定した処理を実現するも
のである。
【0052】従来、大気圧近傍の圧力下においては、ヘ
リウムの存在下の処理が行われてきたが、上記パルス化
された電界を印加する方法によれば、ヘリウムに比較し
て安価なアルゴン、窒素等の雰囲気中における安定した
処理が可能であり、工業上大きな優位性を有する。
【0053】請求項8に記載の発明(以下、「本発明
8」という。)は、一対の電極間にパルス化された電界
を印加することによって、放電プラズマを発生させるこ
とを特徴とする本発明1から6のいずれかに記載の基材
の表面処理方法である。一対の電極間にパルス化された
電界を印加することによって、放電プラズマを発生させ
ることに関する説明は、本発明7の説明で述べた通りで
ある。
【0054】
【作用】本発明においては、不活性ガスの存在下で放
電プラズマ処理を行うことにより、基材処理面にラジカ
ルが形成する。次に酸素を含有するガス中に該基材を放
置することにより、ラジカルと酸素が反応し基材処理面
に過酸化基が形成する。該基材を硫黄酸化物を含有する
気体中に放置することにより、該基材処理面に親水性を
有し耐久性に優れるスルホン酸基が形成される。また、
該基材処理面にラジカル次いで過酸化基を形成させる工
程を経ることにより、スルホン酸基が選択的に形成され
る。
【0055】本発明においては、本発明1の処理を行
ってスルホン酸基の形成した基材をアルカリ性水溶液に
浸漬することによって、スルホン酸基のプロトンがアル
カリ性水溶液中の陽イオンに置換されてスルホン酸塩基
となり、安定化される。
【0056】本発明3においては、硫黄酸化物ガスの存
在下、大気圧近傍の圧力で、放電プラズマ処理を行うこ
とにより、酸化力のきわめて強い硫黄酸化物の放電プラ
ズマを基材表面に接触させ、該基材表面に親水性を有し
耐久性に優れるスルホン酸基が形成される。次いで、ス
ルホン酸基の形成した基材をアルカリ性水溶液に浸漬す
ることによって、スルホン酸基のプロトンがアルカリ性
水溶液中の陽イオンに置換されてスルホン酸塩基とな
り、安定化される。
【0057】本発明4においては、硫黄酸化物ガス存在
下、大気圧近傍の圧力で放電プラズマ処理を行うことに
より、酸化力のきわめて強い硫黄酸化物の放電プラズマ
が基材処理面に接触し、チオール基が形成される。上記
チオール基の形成した基材処理面を親水性モノマーの溶
液に浸漬することにより、該チオール基を重合開始点と
して、該基材処理面に親水性高分子鎖のグラフト共重合
が行われる。
【0058】従来実用化されているプラスチック基材表
面にカルボキシル基又は水酸基を形成する方法では、こ
れら親水性を与える部位が材料内部に移動してしまい、
親水性能が持続しないという結果を与えるが、本発明に
より形成された親水性高分子鎖においては、親水性を与
える部位がグラフト共重合鎖に結合しているので、この
ような親水性基の移動は起こりにくく、耐久性に優れた
親水性能を与える。
【0059】本発明5及び6においては、直流が重畳さ
れた交流電界によってプラズマを発生させることによ
り、基材処理面に到達する荷電粒子、電子等の種類、数
が制御されるものと推測される。本発明者らによって、
はじめて、直流が重畳された交流電界による放電プラズ
マ処理が、処理表面の耐久性に有利な効果を与えること
が立証された。
【0060】本発明7及び8においては、パルス化され
た電界によってプラズマを発生させることにより、過度
に電界が印加されて不安定な放電状態に達する前に放電
を止め、再び放電を行うというサイクルが実現され、安
定した放電プラズマ状態が持続される。
【0061】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳し
く説明する。
【0062】実施例1、比較例1<プラズマ処理> 図4の装置(パイレックスガラス製、容量:5L)にお
いて、上部電極4(ステンレス(SUS304)製、大
きさ:φ80mm、φ1mmの孔が1cm間隔で配設)
と下部電極5(アルミニウム製、大きさ:100mm×
100mm)の電極間距離4mmの空間中の下部電極上
に、固体誘電体6としてポリフルオロエチレン(大き
さ:120mm×120mm、厚み:2mm)を設置
し、この上にポリエチレン基材7(積水化学工業(株)
製ポリ袋、商品名:NP−70、大きさ:100mm×
100mm、接触角:96.2度)を配置した。油回転
ポンプで装置内が1Torrになるまで排気を行った。
次に二酸化硫黄を流量10sccmでガス導入管8か
ら、ヘリウムを流量990sccmでガス導入管9から
装置内が757Torrになるまで導入した。電極に1
5kHz:3.8kVの電圧を10秒間印加してプラズ
マを発生させ、処理品を得た。得られた処理品を比較例
1の処理品とする。
【0063】<アルカリ処理> 比較例1の処理品を、10重量%炭酸ナトリウム水溶液
に30分間浸漬した後に、蒸留水を用いて洗浄を行い、
40℃のオーブン中で3時間乾燥させて、処理品を得
た。この処理品を実施例1の処理品とする。
【0064】実施例2〜4、比較例2〜4<プラズマ処理> 印加電圧および固体誘電体6(大きさ、厚みは実施例1
と同じ)を表1に示したようにした以外は、比較例1
同様にして処理品を得た。得られた処理品を比較例2〜
4の処理品とする。
【0065】<アルカリ処理> 比較例2〜4の処理品を、表1に示すように、10重量
%炭酸ナトリウム水溶液又は10重量%アンモニウム水
溶液に30分間浸漬した後に、蒸留水を用いて洗浄を行
い、40℃のオーブン中で3時間乾燥させて、処理品を
得た。この処理品を実施例2〜4の処理品とする。
【0066】実施例5 実施例1の装置において、固体誘電体6を8重量%の酸
化イットリウムで部分安定化された二酸化ジルコニウム
の溶射膜(大きさ:120mm×120mm、厚み:5
00μm)とし、この上にポリエチレン基材7(積水化
学工業(株)製ポリ袋、商品名:NP−70、大きさ:
100mm×100mm、接触角:96.2度)を配置
した。ガス導入管8からヘリウムを流量1000scc
mで10分間導入し、装置内をヘリウムで充填した。ヘ
リウムを流量1000sccmでガス導入管8から装置
内が757Torrになるまで導入した。電極に15k
Hz、2.5kVの電圧を30秒間印加してプラズマを
発生させた。
【0067】次いで、酸素を流量1000sccmでガ
ス導入管8から15分間導入し、装置内の酸素濃度を9
5〜98体積%にした後に、酸素の導入を止め、1体積
%の二酸化硫黄を含むヘリウムを流量1000sccm
で20分間導入し、装置内の二酸化硫黄濃度を0.8〜
1体積%にして処理品を得た。
【0068】実施例6、7 印加電圧および固体誘電体6(大きさ、厚みは実施例1
と同じ)を表1に示したようにした以外は、実施例5と
同様にして処理品を得た。
【0069】実施例8 印加電圧を表1に示したようにしたこと、及び、電圧印
加時に装置内に充填したヘリウムを酸素濃度1体積%の
ヘリウムと酸素の混合気体にしたこと以外は、実施例5
と同様にして処理品を得た。上記混合気体の充填は、ヘ
リウムをガス導入管9から、酸素をガス導入管8から供
給することにより行った。
【0070】実施例9 印加電圧を表1に示したようにしたことおよび電圧印加
時に装置内に充填したヘリウムをアルゴン濃度5体積%
のヘリウムとアルゴンの混合気体にしたこと以外は、実
施例5と同様にして処理品を得た。上記混合気体の充填
は、ヘリウムをガス導入管9から、アルゴンをガス導入
管8から供給することにより行った。
【0071】実施例10〜13 表2に示す値の直流電圧が重畳された交流電圧を印加し
たこと以外は、実施例1〜4のプラズマ処理と同様にし
て処理品を得た。
【0072】実施例14〜17 表2に示す条件のパルス電圧を印加したこと、及び、ヘ
リウムの代わりにアルゴンを用いたこと以外は、実施例
1〜4のプラズマ処理と同様にして処理品を得た表2
中の(a)〜(d)は図2に示す波形である。波形
(d)は、周波数1.0kHz、パルス幅800μsの
波形に、さらに周波数20kHz、パルス幅20μsの
変調を加えたものである。
【0073】実施例18〜21 表2に示す条件のパルス電圧を印加したこと、及び、ヘ
リウムの代わりにアルゴンを用いたこと以外は、実施例
〜8と同様にして処理品を得た。実施例21のみガス
雰囲気中の酸素濃度を10体積%に変えた。表2中の
(a)〜(d)は図2に示す波形である。波形(d)
は、周波数1.0kHz、パルス幅800μsの波形
に、さらに周波数20kHz、パルス幅20μsの変調
を加えたものである。
【0074】<アルカリ処理> 実施例5〜21で得た処理品を、表1に示すように、1
0重量%炭酸ナトリウム水溶液又は10重量%アンモニ
ウム水溶液に30分間浸漬した後に、蒸留水を用いて洗
浄を行い、40℃のオーブン中で3時間乾燥させて、処
理品を得た。
【0075】実施例22 電圧印加時間を2分間にしたこと以外は実施例1のプラ
ズマ処理と同様にして、ポリエチレン基材7(積水化学
工業(株)製ポリ袋、商品名:NP−70、大きさ:1
00mm×100mm、接触角:96度)に放電プラズ
マ処理を行った。流水によって1分間洗浄した後、上記
ポリエチレン基材を脱気した20重量%アクリルアミド
水溶液に浸漬して開始剤として硝酸二アンモニウムセリ
ウム(IV)を加え、30℃に保って4時間放置した。
次に、上記ポリエチレン基材を溶液から取り出し、温水
中で超音波洗浄を行って処理品を得た。処理品をX線光
電子分光法(XPS)で分析したところ、アクリルアミ
ドに由来するアミド基のピークがC1sのスペクトルに
確認された。
【0076】実施例23 電圧印加時間を15秒間にしたこと以外は、実施例22
と同様にして処理品を得た。
【0077】実施例24 実施例1と同様の装置において、固体誘電体6として石
英ガラス(大きさ:120mm×120mm、厚み:3
mm)に変更し、基材7としてポリエチレンフィルム
(旭化成工業(株)製、大きさ:100mm×100m
m、接触角:86度)を配置した。二酸化硫黄を流量5
sccm、ヘリウムを流量995sccmで装置内に導
入し、電極に15kHz:2.8kVの電圧を1分間印
加してプラズマを発生させ、上記ポリエチレンフィルム
基材に放電プラズマ処理を行った。
【0078】流水によって1分間洗浄した後、上記ポリ
エチレンフィルム基材を脱気した10重量%N,N−ジ
メチルアクリルアミド水溶液に浸漬して、開始剤として
硝酸二アンモニウムセリウム(IV)を加え、30℃に
保って4時間放置した。この後、溶液から取り出し、温
水中で超音波洗浄を行って処理品を得た。処理品をX線
光電子分光法(XPS)で分析したところ、N,N−ジ
メチルアクリルアミドに由来するアミド基のピークがC
1sのスペクトルに確認された。
【0079】実施例25 実施例1と同様の装置において、固体誘電体6として二
酸化チタン焼結体(大きさ:120mm×120mm、
厚み:2mm)に変更し、基材7としてポリエチレンテ
レフタレートフィルム基材(東レ(株)製、商品名:ル
ミラーT50、大きさ:100mm×100mm、初期
接触角:70度)を配置した。二酸化硫黄を流量30s
ccmで、ヘリウムを流量970sccmで装置内に導
入し、電極に15kHz、3.2kVの電圧を2分間印
加してプラズマを発生させ、上記ポリエチレンテレフタ
レートフィルム基材に放電プラズマ処理を行った。
【0080】流水によって1分間洗浄した後、上記ポリ
エチレンテレフタレートフィルム基材を脱気した30重
量%アクリル酸水溶液に浸漬して、70℃に保って3時
間放置した。この後、温水中で超音波洗浄を行って処理
品を得た。処理品をX線光電子分光法(XPS)で分析
したところ、アクリル酸に由来するカルボキシル基のピ
ークがC1sのスペクトルに確認された。
【0081】実施例26、27 表3に示す条件でパルス電圧を印加したこと、及び、ヘ
リウムの代わりにアルゴンを用いたこと以外は実施例2
3と同様にして、ポリエチレン基材に放電プラズマ処理
を行った。実施例26は実施例23と同様のアクリルア
ミド浸漬処理、実施例27は実施例23と同様のアクリ
ル酸浸漬処理を行って処理品を得た。
【0082】実施例28 固体誘電体6を石英ガラスに変更したこと以外は実施例
26と同様にして、ポリエチレン基材に放電プラズマ処
理を行った。上記ポリエチレン基材に、実施例24と同
様にしてN,N−ジメチルアクリルアミド水溶液に浸漬
処理を行って処理品を得た。
【0083】比較例 コロナ放電処理装置(春日電機社製、形式:HFSS−
103)を用いてポリエチレン基材(積水化学工業
(株)製ポリ袋、商品名:NP−70、大きさ:100
mm×100mm、接触角:96.2度)を30kVの
電圧を印加して15秒間コロナ放電処理を行い、処理品
を得た。
【0084】比較例 実施例1のプラズマ処理における二酸化硫黄気体流量1
0sccmの代わりに、四フッ化炭素を流量3sccm
および酸素を流量7sccm用いた以外は、実施例1
プラズマ処理と同様にして処理品を得た。
【0085】<接触角の測定> 実施例及び比較例で得られた処理品に2μlの水滴を滴
下し、接触角測定装置(協和界面科学社製、商品名:C
A−X150)を用いて静的接触角を測定した。また、
上記処理品を60℃に保ったオーブン中で7日間放置し
たものについて、同様に接触角を測定した。実施例
21については、放電プラズマ処理のみ行った場合と、
さらにアルカリ処理を行った場合の両方について測定を
行った。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
【0089】
【発明の効果】本発明において、一対の電極の少なくと
も一方に固体誘電体が設置され、他方の電極と該固体誘
電体又は該固体誘電体同志が対向して設けられた構成よ
りなる装置を用いることにより、大気圧近傍の圧力下で
放電プラズマを発生させることができる。
【0090】本発明において、不活性気体中で該基材
に放電プラズマ処理を行った後に、酸素ガス存在下に次
いで硫黄酸化物ガス存在下に該基材を放置することによ
り、該基材処理面にスルホン酸基が形成され、耐久性に
優れた親水性能与えることが出来る。
【0091】本発明において、上記スルホン酸基の形
成した基材をアルカリ性水溶液に浸漬することによっ
て、スルホン酸塩基となって安定化し、該基材の親水性
能の耐久性が向上する。
【0092】本発明3において、硫黄酸化物ガス存在下
で基材に放電プラズマ処理を行うことにより、該基材処
理面にスルホン酸基が形成され、次いで、スルホン酸基
の形成した基材をアルカリ性水溶液に浸漬することによ
って、スルホン酸塩基となって安定化し、該基材の親水
性能の耐久性が向上する。
【0093】本発明4において、硫黄酸化物ガス存在下
で基材に放電プラズマ処理を行った後の基材を親水性モ
ノマーの溶液に浸漬し、当該基材処理面に親水性高分子
鎖をグラフト共重合させることにより、該基材処理面に
耐久性に優れた親水性能与えることが出来る。
【0094】本発明において、直流が重畳された交流
電界によってプラズマを発生させることにより、さらに
耐久性に優れた表面を得ることが出来る。
【0095】本発明において、直流が重畳された交流
電界によってプラズマを発生させることにより、さらに
耐久性に優れた表面を得ることが出来る。
【0096】本発明において、パルス化された電界に
よってプラズマを発生させることにより、(過度に電界
が印加されて不安定な放電状態に達する前に放電を止
め、再び放電を行うというサイクルが実現され、)プラ
ズマ励起状態の寿命が短いとされているガスの存在下に
おいても、安定して放電プラズマを発生させることが出
来る。
【0097】本発明において、パルス化された電界に
よってプラズマを発生させることにより、(過度に電界
が印加されて不安定な放電状態に達する前に放電を止
め、再び放電を行うというサイクルが実現され、)プラ
ズマ励起状態の寿命が短いとされているガスの存在下に
おいても、安定して放電プラズマを発生させることが出
来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 直流が重畳された交流電界の例を示す電圧波
形図
【図2】 パルス化された電界の例を示す電圧波形図
【図3】 パルス化された電界を発生させる電源のブロ
ック図
【図4】 本発明の放電プラズマ処理装置の一例の断面
【符号の説明】
1−1 直流電源 1−2 交流電源又はパルス電源 2 パイレックスガラス製容器 3 表面処理部(放電プラズマ発生部) 4 上部電極 5 下部電極 6 固体誘電体 7 基板 8 ガス導入管 9 ガス導入管 10 ガス排出口 11 排気口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−236475(JP,A) 特開 平5−131132(JP,A) 特開 平5−311433(JP,A) 特開 昭62−195028(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 7/00 - 7/18

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一対の電極の少なくとも一方に固体誘電体
    が設置され、他方の電極と該固体誘電体又は該固体誘電
    体同志が対向して設けられた装置の、当該他方の電極と
    該固体誘電体又は該固体誘電体同志の間に基材を配置
    し、不活性ガスの存在下、大気圧近傍の圧力で該基材処
    理面に放電プラズマ処理を行った後に、酸素ガス存在下
    に、次いで硫黄酸化物ガス存在下に順次放置することを
    特徴とする基材の表面処理方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の処理を行った後の基材処
    理面を、アルカリ性水溶液に浸漬した後に乾燥させるこ
    とを特徴とする基材の表面処理方法。
  3. 【請求項3】一対の電極の少なくとも一方に固体誘電体
    が設置され、他方の電極と該固体誘電体又は該固体誘電
    体同志が対向して設けられた装置の、当該他方の電極と
    該固体誘電体又は該固体誘電体同志の間に基材を配置
    し、硫黄酸化物ガスの存在下、大気圧近傍の圧力で、放
    電プラズマ処理を行った後の基材処理面を、アルカリ性
    水溶液に浸漬した後に乾燥させることを特徴とする基材
    の表面処理方法。
  4. 【請求項4】一対の電極の少なくとも一方に固体誘電体
    が設置され、他方の電極と該固体誘電体又は該固体誘電
    体同志が対向して設けられた装置の、当該他方の電極と
    該固体誘電体又は該固体誘電体同志の間に基材を配置
    し、硫黄酸化物ガス存在下、大気圧近傍の圧力で放電プ
    ラズマ処理を行った後に当該基材処理面を親水性モノマ
    ーの溶液に浸漬し、当該基材処理面に親水性高分子鎖を
    グラフト共重合させることを特徴とする基材の表面処理
    方法。
  5. 【請求項5】一対の電極の少なくとも一方に固体誘電体
    が設置され、他方の電極と該固体誘電体又は該固体誘電
    体同志が対向して設けられた装置の、当該他方の電極と
    該固 体誘電体又は該固体誘電体同志の間に基材を配置
    し、硫黄酸化物ガスの存在下、大気圧近傍の圧力で、放
    電プラズマ処理を行う基材の表面処理方法であって、
    対の電極間に直流が重畳された交流電界を印加すること
    によって、放電プラズマを発生させることを特徴とす
    材の表面処理方法。
  6. 【請求項6】一対の電極間に直流が重畳された交流電界
    を印加することによって、放電プラズマを発生させるこ
    とを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の基材
    の表面処理方法。
  7. 【請求項7】一対の電極の少なくとも一方に固体誘電体
    が設置され、他方の電極と該固体誘電体又は該固体誘電
    体同志が対向して設けられた装置の、当該他方の電極と
    該固体誘電体又は該固体誘電体同志の間に基材を配置
    し、硫黄酸化物ガスの存在下、大気圧近傍の圧力で、放
    電プラズマ処理を行う基材の表面処理方法であって、
    対の電極間にパルス化された電界を印加することによっ
    て、放電プラズマを発生させることを特徴とする基材の
    表面処理方法。
  8. 【請求項8】一対の電極間にパルス化された電界を印加
    することによって、放電プラズマを発生させることを特
    徴とする請求項1から6のいずれかに記載の基材の表面
    処理方法。
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