JP2001068087A - 親水化処理方法及びアルカリ2次電池用セパレータ - Google Patents

親水化処理方法及びアルカリ2次電池用セパレータ

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JP2001068087A
JP2001068087A JP25910499A JP25910499A JP2001068087A JP 2001068087 A JP2001068087 A JP 2001068087A JP 25910499 A JP25910499 A JP 25910499A JP 25910499 A JP25910499 A JP 25910499A JP 2001068087 A JP2001068087 A JP 2001068087A
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gas
treatment
electrodes
electric field
sulfur dioxide
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JP25910499A
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Minoru Suezaki
穣 末崎
Motokazu Yuasa
基和 湯浅
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】布のような内部構造を有する素材、あるいはポ
リオレフィンのような疎水性の高い素材に対し、高度で
かつ耐久性に優れた親水化処理を施す。 【解決手段】互いに対向する一対の電極で構成され、そ
の一方または双方の電極の対向面が固体誘電体で被覆さ
れてなる対向電極2,3を、酸素ガスと二酸化硫黄ガス
(または不活性ガス)との混合ガス雰囲気、あるいは、
不活性ガス、酸素ガス、二酸化硫黄ガスの混合ガス雰囲
気の大気圧近傍下に配置し、電極と固体誘電体との間ま
たは固体誘電体同士の間に被処理物(例えばポリプロピ
レン不織布)Fを配置するとともに、対向電極2,3間
に電界を印加することによりプラズマ放電を発生させて
被処理物Fに親水性を付与する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大気圧近傍の圧力
下で発生させた放電プラズマを用いて処理を行う親水化
処理方法と、そのような親水化処理によって得られるア
ルカリ2次電池用セパレータに関する。
【0002】
【従来の技術】疎水性材料の親水化処理は重要な技術で
あり、特にポリオレフィンのような汎用素材に対しての
親水化処理の要求は高い。最も一般的な親水化処理方法
としてコロナ放電による処理が挙げられ、ポリオレフィ
ンに対しても印刷適性の改善等で重要な手段となってい
る。しかしながら、コロナ放電による親水化処理は処理
効果の寿命が短く、また、布のような内部構造を有する
ものに対しては内部にまで処理が及ばないため、吸水性
・保水性を付与するといった高度な親水化処理はできな
い。
【0003】そこで、布のようなものを対象とした親水
化処理方法として、従来、硫酸による湿式処理、あるい
は発煙硫酸による乾式処理が行われているが、これらの
処理は繊維の強度低下が大きいという問題点がある。
【0004】一方、特開平8−311765号公報に
は、プラズマ放電による親水化処理方法が開示されてい
る。プラズマ処理による親水化は、布のようなものに対
しても内部の繊維にまで親水化が及び、親水化により吸
水性・保水性を向上できることが知られている。また、
繊維の表層のみが処理されるため、布の強度低下がほと
んど起こらないという利点がある。しかしながら、コロ
ナ処理と同様に、親水性の耐久性が低くて処理効果が短
時間で失われてしまうという問題がある。
【0005】一方、アルカリ電池には、正極と負極の短
絡を防止と電解液の保持を目的としてセパレータが使用
されている。アルカリ2次電池用セパレータとしては、
アルカリ電解液に対する耐久性および電気化学反応下で
の耐酸化性に優れることからポリオレフィン系樹脂から
なる多孔体が主に使用されている。しかしながら、ポリ
オレフィン系樹脂は通常疎水性であるため、多孔体中に
電解液を保持させるには親水化処理を施すことが必要と
なる。
【0006】なお、親水化処理の方法としては、特開平
1−132044号公報に記載のような発煙硫酸や硫酸
に浸漬するスルホン化処理や、特開平5−129012
号公報に記載のような界面活性剤を付着させる親水化方
法などが挙げられる。
【0007】しかしながら、発煙硫酸や硫酸を使用する
スルホン化処理による親水化では、樹脂へのダメージが
大きく、強度低下をきたすという問題がある。
【0008】また、界面活性剤による親水化処理では、
電解液中での界面活性剤の溶出により親水性の低下が大
きく、さらに溶出した界面活性剤が電池性能を低下させ
るといった問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記したよう
な実情に鑑みてなされたもので、布のような内部構造を
有する素材、あるいはポリオレフィンのような疎水性の
高い素材に対し、高度でかつ耐久性に優れた強度低下を
伴わない親水化処理を施すことが可能な親水化処理方法
の提供と、そのような方法によって親水化処理が施され
たアルカリ2次電池用セパレータの提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、常圧プラズ
マ放電処理において、酸素ガスと、二酸化硫黄ガスもし
くは不活性ガスとの混合ガス、あるいは、不活性ガス、
酸素ガス、二酸化硫黄ガスの混合ガスを雰囲気ガスとし
てプラズマ放電処理を行うことにより、高度に親水化さ
れ、かつ高耐久に優れた親水化処理が発現することを見
出した。
【0011】本発明は、そのような点を利用したもので
あり、具体的には、互いに対向する一対の電極で構成さ
れ、その一方または双方の電極の対向面が固体誘電体で
被覆されてなる対向電極を、大気圧近傍の圧力雰囲気下
に配置し、電極と固体誘電体との間または固体誘電体同
士の間に被処理物を配置するとともに、当該対向電極間
に電界を印加することによりプラズマ放電を発生させて
被処理物を親水化処理する方法において、酸素ガスと、
二酸化硫黄ガスもしくは不活性ガスとの混合ガス雰囲気
中、あるいは、不活性ガス、酸素ガス、二酸化硫黄ガス
の混合ガス雰囲気中でプラズマ放電処理を行うことによ
って、被処理物(例えばポリプロピレン不織布)の表面
に親水性を付与することによって特徴づけられる。
【0012】なお、本発明において、大気圧近傍の圧力
とは、100〜800Torrの圧力を言い、中でも、
圧力調整が容易で装置構成が簡単となる700〜780
Torrの圧力範囲とすることが好ましい。
【0013】本発明のプラズマ親水化処理方法は、一対
の対向電極を有し、その一方または双方の電極の対向面
に固体誘電体が設置されてなるプラズマ処理装置におい
て実施される。このプラズマ処理装置において、放電プ
ラズマが発生する部位は、対向電極の一方に固体誘電体
を設置した場合は、固体誘電体と電極との間の空間であ
り、対向電極の双方に固体誘電体を設置した場合は、固
体誘電体同士の間の空間である。そして、それら固体誘
電体と電極の間または固体誘電体同士の間に、親水化処
理を行う被処理物を配置してプラズマ放電処理を行う。
【0014】本発明のプラズマ親水化処理方法に用いる
対向電極としては、銅、アルミニウム等の金属単体、ス
テンレス、真鍮等の合金、金属間化合物等からなるもの
が挙げられる。
【0015】対向電極は、電界集中によるアーク放電の
発生を避けるために、対向電極間の距離が略一定となる
構造であることが好ましい。この条件を満たす電極構造
としては、例えば、平行平板型、円筒対向平板型、球対
向平板型、双曲面対向平板型、同軸円筒型構造等が挙げ
られる。
【0016】対向電極には、前記したように、電極の対
向面の一方または双方に固体誘電体を設けておくが、こ
の際、固体誘電体によって覆われずに電極同士が直接対
向する部分があると、そこからアーク放電が生じやすく
なるため、固体誘電体はこれを設置する側の電極に密着
し、かつ、接する電極の対向面を完全に覆うようにす
る。
【0017】固体誘電体の形状は、シート状でもフィル
ム状でもよいが、厚みが0.01〜4mmであることが
好ましい。厚すぎると放電プラズマを発生するのに高電
圧を要し、薄すぎると電圧印加時に絶縁破壊が起こりア
ーク放電が発生する。
【0018】固体誘電体の材質としては、ポリテトラフ
ルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラ
スチック、ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウム、二
酸化ジルコニウム、二酸化チタン等の金属酸化物、チタ
ン酸バリウム等の複酸化物等が挙げられる。
【0019】また、固体誘電体は、比誘電率が2以上
(25℃環境下、以下同じとする)であることが好まし
い。比誘電率が2以上の誘電体の具体例としては、ポリ
テトラフルオロエチレン、ガラス、金属酸化膜等を挙げ
ることができる。さらに高密度の放電プラズマを安定し
て発生させるためには、比誘電率が10以上の固定誘電
体を用いることが好ましい。
【0020】比誘電率の上限は特に限定されるものでは
ないが、現実の材料では18500程度のものが知られ
ている。比誘電率が10以上の固体誘電体としては、酸
化チタニウム5〜50重量%と、酸化アルミニウム50
〜95重量%とを混合した金属酸化物被膜、あるいは酸
化ジルコニウムを含有する金属酸化物被膜からなり、そ
の被膜の厚みが10〜1000μmであるものを用いる
ことが好ましい。
【0021】対向電極間の距離は、雰囲気ガスの圧力・
酸素濃度、固体誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、放電
プラズマを利用する目的等を考慮して決定される。
【0022】対向電極間距離は小さいほど安定した放電
プラズマが得られる傾向にあるが、0.5〜50mmの
範囲であることが好ましい。0.5mm未満では、対向
電極間における雰囲気ガス中の酸素濃度の変動が大きく
なって親水化処理が不均一になりやすく、また、対向電
極間に設置する被処理物の厚さが限定されてしまう。一
方、対向電極間の距離が50mmを超えると、均−な放
電プラズマを発生させることが困難となる。
【0023】本発明において対向電極間に印加する電界
はパルス電界が好ましい。パルス波形は、インパルス
型、方形波型、変調型の波形のいずれでもよく、さらに
印加電圧が正負の繰り返しであっても、正または負のい
ずれかの極性側に電圧が印加される片波状の波形でもよ
い。
【0024】パルス電界の電圧立ち上がり時間は100
μs以下であることが好ましい。このような高速のパル
スを印加することは高密度のプラズマの発生につなが
り、処理を高速連続化するうえで重要である。ここで立
ち上がり時間とは、電圧変化が連続して正である時間を
指す。
【0025】パルス電界は、立ち上がり時間が短いほど
プラズマ発生の際のガス電離が効率よく行われる。パル
スの立ち上がり時間が100μsを超えると放電状態が
アークに移行しやすく不安定なものとなり、パルス電界
による高密度プラズマ状態を期待できなくなる。また、
立ち上がり時間は早い方がよいが、常圧でプラズマが発
生する程度の大きさの電界強度を有し、かつ、立ち上が
り時間が早い電界を発生させる装置には制約があり、実
際には、40ns未満の立ち上がり時間のパルス電界を
実現することは困難であることを考慮すると、立ち上が
り時間は50ns〜5μsの範囲とすることが適当であ
る。
【0026】また、パルス電界の立ち下がり時間も急峻
であることが好ましく、立ち上がり時間と同様の100
μs以下のタイムスケールであることが好ましい。な
お、パルス電界発生技術によっても異なるが、例えば、
本発明の実施例で使用するパルス電源(ハイデン研究所
製、半導体素子=IXYS社製、型式TO−247A
D)では、立ち上がり時間と立ち上がり時間を同じ時間
に設定できる。
【0027】パルス電界の周波数は、0.5〜100k
Hzであることが好ましい。0.5kHz未満であると
プラズマ密度が低いため処理に時間がかかりすぎ、10
0kHzを超えるとアーク放電が発生しやすくなる。パ
ルス電界の周波数は、より好ましくは、1kHz以上で
あり、このような高周波数のパルス電界を印加すること
により、処理速度を大きく向上させることができる。
【0028】また、パルス電界におけるパルス継続時間
は、1 〜1000μsであることが好ましい。1 μs未
満であると放電が不安定なものとなり、1000μsを
超えるとアーク放電に移行しやすくなる。パルス継続時
間は、より好ましくは、3μs〜200μsである。さ
らに、放電を安定させるためには、放電時間1ms内
に、少なくとも1μs継続するOFF時間を有すること
が好ましい。なお、パルス継続時間とは、ON・OFF
の繰り返しからなるパルス電界における、パルスが連続
する時間を言う。
【0029】本発明の親水化処理方法において、微細孔
を有する被処理物や、低融点の材質からなる被処理物に
対して親水化処理を施す場合、上記パルス電界(基本パ
ルス電界)に、周波数50〜500Hz、デューティ比
20〜70%であるパルス電界(変調パルス電界)によ
り変調された波形を用いるとよい。また、被処理物によ
っては極わずかなストリーマの発生も抑制したい場合が
あるが、このようなデリケートな処理も、周波数及びデ
ューティ比の範囲の変調を行うことによって実現可能に
なる。
【0030】なお、本発明の親水化処理方法において、
対向電極に印加するパルス電圧に直流を重畳してもよ
い。
【0031】本発明の親水化処理方法において、プラズ
マの発生に用いる雰囲気ガスは、酸素ガスと、二酸化硫
黄ガスもしくは不活性ガスとの混合ガスとする。二酸化
硫黄ガスを含む場合、二酸化硫黄ガスの濃度は0.1〜
10体積%、好ましくは1〜3体積%である。0.1%
体積未満では、後述する硫黄酸化物系の官能基の導入が
不十分となり、10体積%より高濃度では被処理物表面
への硫黄酸化物系の官能基としての付加反応よりも、二
酸化硫黄同士が遊離性の重合物として生成し、被処理物
の汚染が著しくなる。
【0032】また、不活性ガスを含む場合、酸素ガスと
不活性ガスとの体積比率は1:99〜99:1である。
酸素ガスが少なすぎると親水化処理が十分に行われず、
また、酸素ガスが多すぎると放電プラズマが不安定にな
り、アーク放電が発生し、被処理物にダメージが生じる
場合がある。
【0033】本発明の親水化処理方法において、プラズ
マの発生に用いる雰囲気ガスは、不活性ガス、酸素ガ
ス、二酸化硫黄ガスの混合ガスとする。このように、酸
素ガスと二酸化硫黄ガスとの混合ガスに不活性ガスを加
えることにより、プラズマ放電を安定化させ、被処理物
へのダメージ、処理効率を改善することができる。この
場合、不活性ガスは酸素ガスとの体積比率で1:99〜
99:1のほぼ任意の体積比率で混合することができる
が、混合ガス中の酸素ガスの濃度が、0.5体積%以下
となると、親水化処理の処理速度が著しく低下するため
不適当である。
【0034】不活性ガス、酸素ガスおよび二酸化硫黄ガ
スの混合ガス中における二酸化硫黄の濃度は、上記した
酸素ガス、二酸化硫黄ガス(もしくは不活性ガス)の混
合ガス系における場合と同様の理由により、0.1〜1
0体積%とすることが好ましい。ここで、不活性ガスと
しては、アルゴン、窒素、ヘリウム等のガスが使用でき
る。また、これらのガスを単独あるいは2種以上混合し
て使用してもよい。なお、それら不活性ガスのうち、コ
スト面を考慮すると、安価な窒素、アルゴンを用いるこ
とが好ましい。 <作用>本発明の親水化処理方法によれば、被処理物に
高度の親水性を付与することができるとともに、付与し
た親水性が長期期間にわたって持続する。その理由は、
本発明によるプラズマ親水化処理では、被処理物の表面
に、カルボキシル基や水酸基といった炭化水素の酸化に
よる官能基と、硫黄酸化物系の官能基が同時に生成し、
これらの官能基が混在することにより、高度な親水性と
親水性の耐久性が得られると考えられる。
【0035】本発明の親水化処理方法によれば、布のよ
うな内部構造を有する素材に対しても、内部にまで親水
化処理が及ぶような処理を、被処理物の強度を損なうこ
となく乾式(ドライプロセス)で施すことができる。さ
らに、ポリオレフィンのような疎水性が高い素材に対し
て、高度でかつ耐久性に優れる親水化処理を施すことも
可能である。
【0036】しかも、親水化処理をドライプロセスによ
り付加することが可能であることから、親水化処理物を
効率よく生産できるとともに、従来のウエットプロセス
に対して、薬液等の排出物を大幅に軽減できる。
【0037】そして、以上のような特徴をもつ本発明の
親水化処理方法によって処理されたポリオレフィン系樹
脂不織布は、水酸化カリウム水溶液に対する親和性が高
く、アルカリ2次電池用セパレータとして使用すること
ができる。
【0038】
【実施例】本発明の具体的な実施例を比較例とともに以
下に説明する。
【0039】まず、本発明の実施例(比較例)に用いた
プラズマ処理装置を図1に模式的に示す。
【0040】図1に示すプラズマ処理装置は、主とし
て、金属製チャンバ1、対向電極(上部電極2と下部電
極3)、パルス電源4、ガス供給装置5、油回転ポンプ
6等によって構成されている。
【0041】金属製チャンバ1には、ガス導入口11及
びガス排出口12が設けられており、そのガス導入口1
1にガス供給装置5が接続され、ガス排出口12に減圧
用の油回転ポンプ6が接続されている。
【0042】金属製チャンバ1の内部には、一定の間隔
を隔てて対向する上部電極2と下部電極3が、金属製チ
ャンバ1と絶縁された状態で配置されている。上部電極
2及び下部電極3にはパルス電源4が接続されており、
これら上部電極2と下部電極3との間にパルス電界を印
加することができる。上部電極2及び下部電極3の各対
向面は、それぞれ固体誘電体21、31(例えばAl2
O3 の溶射膜:1.5mm)によって被覆されている。
【0043】そして、以上の構造の放電プラズマ処理装
置において、ガス供給装置5及び油回転ポンプ6の操作
により、金属製チャンバ1内のガスをガス排出口12か
ら排出し、次いで、ガス供給装置5からプラズマ雰囲気
ガス(例えばアルゴンガス、酸素ガス、二酸化硫黄ガス
の混合ガス)を、ガス導入口11を通じて金属製チャン
バ1内に導入して、金属製チャンバ1内を大気圧近傍の
圧力下の混合ガス雰囲気とし、この状態で、上部電極2
と下部電極3との間(固体誘電体間)にポリオレフィン
系樹脂不織布(例えばポリプロピレン不織布F)を配置
し、上部電極2と下部電極3との間にパルス電源4から
パルス電圧を印加することによりグロー放電プラズマを
発生させることによって、そのポリオレフィン系樹脂不
織布の表面に親水化処理を施すことができる。 <実施例1>図1に示す処理装置において、Al2 O3
の溶射膜21、31が1.5mmコートしてある上部電
極2(ステンレス(SUS304)製、大きさ=150
mm×100mm)と、下部電極3(ステンレス(SU
S304)製、大きさ=150mm×100mm)との
電極間距離を2mmとし、その下部電極3上にポリプロ
ピレン不織布Fを配置した。次いで、油回転ポンプ6に
より金属製チャンバ1の内圧が1Torrになるまで排
気を行った後、アルゴンガスと酸素ガスとを70:30
の体積比で混合したガスを、ガス導入口11から金属製
チャンバ1内に、内圧が760Torrになるまで導入
した。
【0044】そして、パルス電源4(ハイデン研究所
製、半導体素子=IXYS社製、型式TO−247A
D)より、上部電極2と下部電極3との間に、立ち上が
り時間5μs、パルス幅100μs、周波数10kH
z、電圧±5kVの交流パルス電界を印加して大気圧放
電プラズマを発生させ、ポリプロピレン不織布Fにプラ
ズマ処理を行った。 <実施例2>実施例1において、アルゴンガスと酸素ガ
スとの体積比を80:20としたこと以外は、実施例1
を同じとして、ポリプロピレン不織布にプラズマ放電処
理を行った。 <実施例3>実施例1において、プラズマ雰囲気ガス
を、窒素ガスと酸素ガスとを96.9:3.1の体積比
で混合した混合ガスとしたこと以外は、実施例1と同じ
として、ポリプロピレン不織布にプラズマ放電処理を行
った。 <実施例4>実施例3において、窒素ガスと酸素ガスと
の体積比を99.5:0.5としたこと以外は、実施例
3と同じとして、ポリプロピレン不織布にプラズマ放電
処理を行った。 <実施例5>実施例3において、窒素ガスと酸素ガスと
の体積比を94.0:6.0としたこと以外は、実施例
3と同じとして、ポリプロピレン不織布にプラズマ放電
処理を行った。 <実施例6>実施例3において、窒素ガスと酸素ガスと
の体積比を90.0:10.0としたこと以外は、実施
例3と同じとして、ポリプロピレン不織布にプラズマ放
電処理を行った。 <実施例7>実施例1において、プラズマ雰囲気ガス
を、アルゴンガス、酸素ガス、二酸化硫黄ガスを70:
30:1の体積比で混合した混合ガスとしたこと以外
は、実施例1を同じとして、ポリプロピレン不織布にプ
ラズマ放電処理を行った。 <実施例8>実施例7において、アルゴンガス、酸素ガ
ス、二酸化硫黄ガスの体積比を70:30:3としたこ
と以外は、実施例7と同じとして、ポリプロピレン不織
布にプラズマ放電処理を行った。 <実施例9>実施例7において、アルゴンガス、酸素ガ
ス、二酸化硫黄ガスの体積比を80:20:3としたこ
と以外は、実施例7と同じとして、ポリプロピレン不織
布にプラズマ放電処理を行った。 <実施例10>実施例7において、アルゴンガスを窒素
ガスに変更し、その窒素ガス、酸素ガス、二酸化硫黄ガ
スの体積比を90:10:1とし、さらに、パルス電源
4(ハイデン研究所製、半導体素子=IXYS社製、型
式TO−247AD)より、上部電極2と下部電極3と
の間に、立ち上がり時間5μs、パルス幅100μs、
周波数5kHz 、電圧±10kVの交流パルス電界を印加
してプラズマ放電を発生させて、ポリプロピレン不織布
に30秒間のプラズマ放電処理を行った。 <比較例1>実施例1において、プラズマ雰囲気ガスに
酸素ガスを混合せず、アルゴンガス単独の雰囲気ガスと
したこと以外は、実施例1と同じとして、ポリプロピレ
ン不織布にプラズマ放電処理を行った。 <比較例2>実施例10において、プラズマ雰囲気ガス
に、酸素ガス及び二酸化硫黄ガスを混合せず、窒素ガス
単独の雰囲気ガスとしたこと以外は、実施例10と同じ
として、ポリプロピレン不織布にプラズマ処理を行っ
た。
【0045】以上の実施例1〜10、及び、比較例1、
2の各例でプラズマ放電処理を行ったポリプロピレン不
織布について、未処理、処理直後、1週間後、1 ケ月後
の対水接触角及び30%水酸化カリウム水溶液に対する
吸液速度を測定した。その結果を下記の表1に示す。
【0046】ただし、対水接触角は、接触角計(協和界
面科学社製:CA−X150型)を用いて、ポリプロピ
レン不織布上の5点を測定し、その平均値を求めた。
【0047】吸液速度は、未処理のポリプロピレン不織
布と、プラズマ放電処理を施したポリプロピレン不織布
から、それぞれ巾1cm、長さ10cmのサンプルを切
り出し、図2に示す吸液速度測定系により、サンプルS
の片端(下端)5mmを30%水酸化カリウム水溶液L
に浸して吸液させ、上下2つのマーキング(幅2cm)
M1 、M2 の間を浸透するのに要した時間を測定し、そ
の測定値を吸液速度に換算して求めた。なお、表1に
は、サンプル数3の平均値を示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の親水化処
理方法によれば、被処理物に高度の親水性を付与するこ
とができ、しかも付与した親水性が長期期間にわたって
持続する。さらに、親水化処理をドライプロセスにより
付加することが可能であることから、親水化処理物を効
率よく生産できるとともに、従来のウエットプロセスに
対して、薬液等の排出物を大幅に軽減できる。従って、
本発明の親水化処理方法は、各種分野に有効に利用する
ことができ、産業上寄与するところが大である。
【0050】また、本発明の親水化処理方法に処理され
たポリオレフィン系樹脂不織布は水酸化カリウム水溶液
に対する親和性が高くなるので、アルカリ2次電池用セ
パレータに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で用いたプラズマ処理装置の構
成を模式的に示す図である。
【図2】吸液速度測定系を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 金属製チャンバ 11 ガス導入口 12 ガス排出口 2 上部電極 3 下部電極 21、31 溶射膜 4 パルス電源 5 ガス供給装置 6 油回転ポンプ F ポリプロピレン不織布

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに対向する一対の電極で構成され、
    その一方または双方の電極の対向面が固体誘電体で被覆
    されてなる対向電極を、大気圧近傍の圧力雰囲気下に配
    置し、電極と固体誘電体との間または固体誘電体同士の
    間に被処理物を配置するとともに、当該対向電極間に電
    界を印加することによりプラズマ放電を発生させて被処
    理物を親水化処理する方法において、酸素ガスと、二酸
    化硫黄ガスもしくは不活性ガスとの混合ガス雰囲気中で
    プラズマ放電処理を行うことを特徴とする親水化処理方
    法。
  2. 【請求項2】 互いに対向する一対の電極で構成され、
    その一方または双方の電極の対向面が固体誘電体で被覆
    されてなる対向電極を、大気圧近傍の圧力雰囲気下に配
    置し、電極と固体誘電体との間または固体誘電体同士の
    間に被処理物を配置するとともに、当該対向電極間に電
    界を印加することによりプラズマ放電を発生させて被処
    理物を親水化処理する方法において、不活性ガス、酸素
    ガス、二酸化硫黄ガスの混合ガス雰囲気中でプラズマ放
    電処理を行うことを特徴とする親水化処理方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の親水化処理方法におい
    て、酸素ガスと不活性ガスとの体積比率が1:99〜9
    9:1であることを特徴する親水化処理方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の親水化処理方法におい
    て、酸素ガス、二酸化硫黄ガスの混合ガスにおける二酸
    化硫黄ガスの濃度が0.1〜10体積%であることを特
    徴とする親水化処理方法。
  5. 【請求項5】 請求項2記載の親水化処理方法におい
    て、不活性ガス、酸素ガス、二酸化硫黄ガスの混合ガス
    における不活性ガスと酸素ガスとの体積比率が1:99
    〜99:1であり、かつ、混合ガス中の二酸化硫黄の濃
    度が0.1〜10体積%であることを特徴とする親水化
    処理方法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の親水化処理方法におい
    て、不活性ガスが、アルゴン、窒素、ヘリウムの単独ガ
    ス、あるいは、これらのガスを2種以上混合した混合ガ
    スであることを特徴とする親水化処理方法。
  7. 【請求項7】 対向電極間に印加する電界がパルス電界
    であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5また
    は6記載の親水化処理方法。
  8. 【請求項8】 対向電極間に印加するパルス電界は、電
    圧立ち上がり時間が100μs以下、パルス電界の周波
    数が0.5〜100kHzであることを特徴とする請求
    項7記載の親水化処理方法。
  9. 【請求項9】 被処理物がポリオレフィン系樹脂である
    ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7ま
    たは8に記載の親水化処理方法。
  10. 【請求項10】 アルカリ2次電池に用いられるセパレ
    ータであって、ポリオレフィン系樹脂からなる不織布を
    基材として形成され、そのポリオレフィン系樹脂不織布
    の表面が、請求項1、2、3、4、5、6、7、8また
    は9記載の親水化処理方法により親水化されていること
    を特徴とするアルカリ2次電池用セパレータ。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004158247A (ja) * 2002-11-05 2004-06-03 Sharp Corp プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法
WO2013186892A1 (ja) 2012-06-14 2013-12-19 ニッポン高度紙工業株式会社 オレフィン系樹脂を用いた繊維、および該繊維を用いた不織布、アルカリ蓄電池用セパレータ
WO2020213741A1 (ja) * 2019-04-18 2020-10-22 マクセルホールディングス株式会社 水系電解液電池およびパッチ
KR20200140455A (ko) * 2019-06-06 2020-12-16 박봄이 유수 분리 기재의 표면 처리 장치

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