JPH11217766A - 繊維製品の表面処理方法 - Google Patents

繊維製品の表面処理方法

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JPH11217766A
JPH11217766A JP24027798A JP24027798A JPH11217766A JP H11217766 A JPH11217766 A JP H11217766A JP 24027798 A JP24027798 A JP 24027798A JP 24027798 A JP24027798 A JP 24027798A JP H11217766 A JPH11217766 A JP H11217766A
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JP
Japan
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electric field
gas
processing
discharge
treatment
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JP24027798A
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English (en)
Inventor
Motokazu Yuasa
基和 湯浅
Takuya Yara
卓也 屋良
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡易なプロセスで安定して処理可能であり、
高速連続化にも適した、繊維製品の表面処理方法を提供
する。 【解決手段】 大気圧近傍の圧力下で、対向電極の少な
くとも一方の対向面に固体誘電体を設置し、上記対向電
極と固体誘電体の間又は固体誘電体同士の間に繊維製品
を配置し、当該対向電極間にパルス電界を印加すること
を特徴とする繊維製品の表面処理方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、織布、不織布、
糸、紐等の繊維製品の表面処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、吸水性、撥水性、制電性、防
汚性、染色性等の改善を目的として繊維製品の表面処理
が行われており、薬剤への浸漬、特定雰囲気中での熱処
理が実用化されている。しかし、処理工程が煩雑であ
る、付与できる機能に制限がある等の問題がある。この
ため、簡易な工程で自在な処理が可能なものとして、放
電プラズマ処理方法が提案されている。放電プラズマ処
理は低圧でなされるものが一般に知られており、例え
ば、特開平6−57660号公報には1Torrの酸素
雰囲気下で13.56MHzの高周波プラズマにより木
綿の染色性改善を行う方法が開示されている。しかし、
低圧下の処理は排気装置を要し、連続処理対応の面で不
利であり、水や可塑剤等の揮発性物質の存在により処理
が困難になるという問題があった。
【0003】このため、大気圧近傍の圧力下で放電プラ
ズマを発生させる試みがなされており、例えば、特開平
7−119021号公報に、セラミックで覆われた円筒
状電極を有する装置を用い、ヘリウムとアルゴンの混合
雰囲気下で繊維製品を処理する方法が開示されている。
しかし、この方法では放電の安定性が不充分であるた
め、プラズマ発生領域が狭い範囲に限定される、処理の
高速化が困難である等の問題があった。さらに繊維製品
のように表面が平滑でない被処理体の場合は特に放電が
ストリーマ状になりやすく、被処理体にダメージを与え
やすい。このため、処理雰囲気は限定されたものとな
り、機能付与のための反応性ガスも極少量にしなければ
ならず、適用範囲が限定されたものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題を
鑑み、簡易なプロセスで安定して処理可能であり、高速
連続化にも適した、繊維製品の表面処理方法を提供す
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の繊維製品の表面
処理方法は、大気圧近傍の圧力下で、対向電極の少なく
とも一方の対向面に固体誘電体を設置し、上記対向電極
と固体誘電体の間又は固体誘電体同士の間に繊維製品を
配置し、当該対向電極間にパルス電界を印加することを
特徴とする。
【0006】本発明の表面処理を施される繊維製品とし
ては、織布、不織布、編物、糸、紐等が挙げられ、これ
らを構成する繊維としては、天然繊維、合成繊維、無機
繊維、これらの複合材料等が挙げられる。上記合成繊維
としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレ
フィンが挙げられ、ポリオレフィンフィルムを延伸して
多孔性のフィルムを得て用いてもよい。
【0007】繊維製品はその構造上表面に凹凸を有して
いるため放電が不安定になりやすいが、本発明の表面処
理方法は、どのような凹凸を有する被処理体に対しても
ダメ−ジを与えずに安定して適用可能である点で従来の
放電処理と一線を画している。さらに、極微細孔を有し
た織布などは従来のアルカリ溶液等に浸漬する方法では
細孔を塞がれてしまう場合があったが、本発明は気体に
よる処理であるため、このような問題もない。
【0008】上記大気圧近傍の圧力下とは、100〜8
00Torrの圧力下を指す。圧力調整が容易で、装置
が簡便になる700〜780Torrの範囲が好まし
い。
【0009】本発明の表面処理方法は、一対の対向電極
を有し、当該電極の対向面の少なくとも一方に固体誘電
体が設置されている装置において行われる。プラズマが
発生する部位は、上記電極の一方に固体誘電体を設置し
た場合は、固体誘電体と電極の間、上記電極の双方に固
体誘電体を設置した場合は、固体誘電体同士の間の空間
である。この固体誘電体と電極の間又は固体誘電体同士
の間に被処理体である繊維製品を配置して処理を行う。
【0010】上記電極としては、銅、アルミニウム等の
金属単体、ステンレス、真鍮等の合金、金属間化合物等
からなるものが挙げられる。上記対向電極は、電界集中
によるアーク放電の発生を避けるために、対向電極間の
距離が略一定となる構造であることが好ましい。この条
件を満たす電極構造としては、平行平板型、円筒対向平
板型、球対向平板型、双曲面対向平板型、同軸円筒型構
造等が挙げられる。
【0011】上記固体誘電体は、上記電極の対向面の一
方又は双方に設置する。この際、固体誘電体と設置され
る側の電極が密着し、かつ、接する電極の対向面を完全
に覆うようにする。固体誘電体によって覆われずに電極
同士が直接対向する部位があると、そこからアーク放電
が生じるためである。
【0012】上記固体誘電体の形状は、シート状でもフ
ィルム状でもよいが、厚みが0.01〜4mmであるこ
とが好ましい。厚すぎると放電プラズマを発生するのに
高電圧を要し、薄すぎると電圧印加時に絶縁破壊が起こ
りアーク放電が発生するためである。
【0013】上記固体誘電体の材質としては、ポリテト
ラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の
プラスチック、ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウ
ム、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン等の金属酸化
物、チタン酸バリウム等の複酸化物等が挙げられる。
【0014】また、上記固体誘電体は、比誘電率が2以
上(25°C環境下、以下同)であることが好ましい。
比誘電率が2以上の誘電体の具体例としては、ポリテト
ラフルオロエチレン、ガラス、金属酸化膜等を挙げるこ
とができる。さらに高密度の放電プラズマを安定して発
生させるためには、比誘電率が10以上の固定誘電体を
用いことが好ましい。比誘電率の上限は特に限定される
ものではないが、現実の材料では18,500程度のも
のが知られている。比誘電率が10以上の固体誘電体と
しては、酸化チタニウム5〜50重量%、酸化アルミニ
ウム50〜95重量%で混合された金属酸化物皮膜、ま
たは、酸化ジルコニウムを含有する金属酸化物皮膜から
なり、その被膜の厚みが10〜1000μmであるもの
を用いることが好ましい。
【0015】上記電極間の距離は、固体誘電体の厚さ、
印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮し
て決定されるが、1〜50mmであることが好ましい。
1mm未満では、電極間の間隔を置いて設置するのに充
分でない。50mmを超えると、均一な放電プラズマを
発生させることが困難である。
【0016】上記電極間にパルス電界を印加することに
より放電プラズマを発生させる。図1にパルス波形の例
を示す。(a)(b)はインパルス型、(c)は方形波
型、(d)は変調型の波形である。また、図1には電圧
印加が正負の繰り返しである波形のみを挙げたが、正又
は負のいずれかの極性側に電圧が印加される片波状の波
形でもよい。
【0017】上記電極間に印加されるパルス電界は、電
圧立ち上がり時間が100μs以下、電界強度が1〜1
00kV/cmとなされていることが好ましい。このよ
うな高速のパルスを印加することは高密度のプラズマの
発生につながり、処理を高速連続化するうえで重要であ
る。ここで立ち上がり時間とは、電圧変化が連続して正
である時間を指す。
【0018】パルス電界の立ち上がり時間が短いほどプ
ラズマ発生の際のガスの電離が効率よく行われ、パルス
の立ち上がり時間が100μsを超えると放電状態がア
ークに移行しやすく不安定なものとなり、パルス電界に
よる高密度プラズマ状態を期待できなくなる。また、立
ち上がり時間は早いほうがよいが、常圧でプラズマが発
生する程度の大きさの電界強度を有し、かつ、立ち上が
り時間が早い電界を発生させる装置には制約があり、現
実的には40ns未満の立ち上がり時間のパルス電界を
実現することは困難である。より好ましくは立ち上がり
時間が50ns〜5μsである。
【0019】また、パルス電界の立ち下がり時間も急峻
であることが好ましく、立ち上がり時間と同様の100
μs以下のタイムスケールであることが好ましい。パル
ス電界発生技術によっても異なるが、例えば、本発明の
実施例で使用した電源装置では、立ち上がり時間と立ち
上がり時間を同じ時間に設定できる。
【0020】パルス電界の周波数は、0.5kHz〜1
00kHzであることが好ましい。0.5kHz未満で
あるとプラズマ密度が低いため処理に時間がかかりす
ぎ、100kHzを超えるとアーク放電が発生しやすく
なる。より好ましくは、1kHz以上であり、このよう
な高周波数のパルス電界を印加することにより、処理速
度を大きく向上させることが出来る。
【0021】また、上記パルス電界におけるパルス継続
時間は、1〜1000μsであることが好ましい。1μ
s未満であると放電が不安定なものとなり、1000μ
sを超えるとアーク放電に移行しやすくなる。より好ま
しくは、3μs〜200μsである。ここで、パルス継
続時間とは、図2中に例を示してあるが、ON、OFF
の繰り返しからなるパルス電界における、パルスが連続
する時間を言う。図2(a)のような間欠型のパルスで
は、パルス継続時間はパルス幅時間と等しいが、図2
(b)のような波形のパルスでは、パルス幅時間とは異
なり、一連の複数のパルスを含んだ時間を言う。
【0022】さらに、放電を安定させるためには、放電
時間1ms内に、少なくとも1μs継続するOFF時間
を有することが好ましい。
【0023】また、微細孔を有する被処理体や、低融点
の材質からなる被処理体に対しては、上記パルス電界
(基本パルス電界)に、周波数50〜500Hz、デュ
ーティ比20〜70%であるパルス電界(変調パルス電
界)により変調された波形を用いるとよい。本発明の方
法であれば安定した処理が可能であるが、被処理体によ
っては極わずかなストリ−マの発生も抑制したい場合が
ある。上記周波数及びデューティ比の範囲の変調を施す
ことによりこのようなデリケ−トな処理も可能である。
【0024】上記放電は電圧の印加によって行われる。
電圧の大きさは適宜決められるが、本発明においては、
電極間の電界強度が1〜100kV/cmとなる範囲に
する。1kV/cm未満であると処理に時間がかかりす
ぎ、100kV/cmを超えるとアーク放電が発生しや
すくなる。また、パルス電圧の印加において、直流を重
畳してもよい。
【0025】図3に、このようなパルス電界を印加可能
な電源の一例の等価回路図を示す。図3にSWと記され
ているのはスイッチとして機能する半導体素子である。
上記スイッチとして500ns以下のターンオン時間及
びターンオフ時間を有する半導体素子を用いることによ
り、上記のような電界強度が1〜100kV/cmであ
り、かつ、パルスの立ち上がり時間及び立ち下がり時間
が100μs以下であるような高電圧かつ高速のパルス
電界を実現することが出来る。+Eは、正極性の直流電
圧供給部、−Eは、負極性の直流電圧供給部である。S
W1〜4は、上記のような高速半導体素子から構成され
るスイッチ素子である。D1〜4はダイオードを示して
いる。I1 〜I4 は電流の流れ方向を表している。
【0026】本発明の表面処理においては、上記放電プ
ラズマ発生空間に存在する気体(以下、処理用ガスとい
う。)の選択により任意の処理が可能である。
【0027】上記処理用ガスとしてフッ素含有化合物ガ
スを用いることによって、被処理体表面にフッ素含有基
を形成させて表面エネルギーを低くし、撥水性表面を得
ることが出来る。
【0028】上記フッ素元素含有化合物としては、4フ
ッ化炭素(CF4 )、6フッ化炭素(C2 6 )、6フ
ッ化プロピレン(CF3 CFCF2 )、8フッ化シクロ
ブタン(C4 8 )等のフッ素−炭素化合物、1塩化3
フッ化炭素(CClF3 )等のハロゲン−炭素化合物、
6フッ化硫黄(SF6 )等のフッ素−硫黄化合物等が挙
げられる。安全上の観点から、有害ガスであるフッ化水
素を生成しない4フッ化炭素、6フッ化炭素、6フッ化
プロピレン、8フッ化シクロブタンを用いることが好ま
しい。
【0029】また、処理用ガスとして以下のような酸素
元素含有化合物、窒素元素含有化合物、硫黄元素含有化
合物を用いて、被処理体表面にカルボニル基、水酸基、
アミノ基等の親水性官能基を形成させて表面エネルギー
を高くし、親水性表面を得ることが出来る。また、空気
中で処理を行っても親水性表面を得ることが出来る。
【0030】上記酸素元素含有化合物としては、酸素、
オゾン、水、一酸化炭素、二酸化炭素、一酸化窒素、二
酸化窒素の他、メタノール、エタノール等のアルコール
類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタ
ナール、エタナール等のアルデヒド類等の酸素元素を含
有する有機化合物等が挙げられる。これらは単独でも2
種以上を混合して用いてもよい。さらに、上記酸素元素
含有化合物と、メタン、エタン等の炭化水素化合物のガ
スを混合して用いてもよい。また、上記酸素元素含有化
合物の50体積%以下でフッ素元素含有化合物を添加す
ることにより親水化が促進される。フッ素元素含有化合
物としては上記例示と同様のものを用いればよい。
【0031】上記窒素元素含有化合物としては、窒素、
アンモニア等が挙げられる。上記窒素元素含有化合物と
水素を混合して用いてもよい。
【0032】上記硫黄元素含有化合物としては、二酸化
硫黄、三酸化硫黄等が挙げられる。また、硫酸を気化さ
せて用いることも出来る。これらは単独でも2種以上を
混合して用いてもよい。
【0033】また、分子内に親水性基と重合性不飽和結
合を有するモノマーの雰囲気下で処理を行うことによ
り、親水性の重合膜を堆積させることも出来る。上記親
水性基としては、水酸基、スルホン酸基、スルホン酸塩
基、1級若しくは2級又は3級アミノ基、アミド基、4
級アンモニウム塩基、カルボン酸基、カルボン酸塩基等
の親水性基等が挙げられる。また、ポリエチレングリコ
ール鎖を有するモノマーを用いても同様に親水性重合膜
を堆積が可能である。
【0034】上記モノマーとしては、アクリル酸、メタ
クリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N
−ジメチルアクリルアミド、アクリル酸ナトリウム、メ
タクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリ
ル酸カリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、アリル
アルコール、アリルアミン、ポリエチレングリコールジ
メタクリル酸エステル、ポリエチレングリコールジアク
リル酸エステル等が挙げられる。これらのモノマーは、
単独または混合して用いられる。
【0035】上記親水性モノマーは一般に固体であるの
で、溶媒に溶解させたものを減圧等の手段により気化さ
せて用いる。上記溶媒としては、メタノール、エタノー
ル、アセトン等の有機溶媒、水、及び、これらの混合物
等が挙げられる。
【0036】経済性及び安全性の観点から、上記処理用
ガス単独雰囲気よりも、以下に挙げるような希釈ガスに
よって希釈された雰囲気中で処理を行うことが好まし
い。希釈ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、
キセノン等の希ガス、窒素気体等が挙げられる。これら
は単独でも2種以上を混合して用いてもよい。希釈ガス
を用いる場合、処理用ガスの割合が1〜10体積%とな
るようにすることが好ましい。また、上記希釈ガスから
なる雰囲気中でプラズマ放電を行って表面にラジカルを
発生させた後に処理用ガスに接触させてもよい。
【0037】なお、雰囲気ガスとしては電子を多く有す
る化合物のほうがプラズマ密度を高め高速処理を行う上
で有利である。よって入手の容易さと経済性、処理速度
を考慮した上で最も望ましい選択は、アルゴン及び/又
は窒素を希釈ガスとして含有する雰囲気である。
【0038】従来、大気圧近傍の圧力下においては、ヘ
リウムが大過剰に存在する雰囲気下で処理が行われてき
たが、本発明の方法によれば、ヘリウムに比較して安価
なアルゴン、窒素気体中における安定した処理が可能で
あり、さらに、これらの分子量の大きい、電子をより多
く有するガスの存在下で処理を行うことにより、高密度
プラズマ状態を実現し、処理速度を上げることが出来る
ため、工業上大きな優位性を有する。
【0039】本発明の表面処理は、被処理体を加熱また
は冷却して行ってもよいが、室温下で充分可能である。
上記処理に要する時間は、印加電圧、処理用ガスの種類
および混合気体中の割合等を考慮して適宜決定される。
【0040】本発明においては、上記対向電極間に固体
誘電体を設置し、かつ、パルス電界を印加することによ
り、ガス雰囲気にとらわれず安定した放電プラズマを継
続して発生させることが可能である。よって反応性ガス
や電極形状を自由に設計することが出来る。さらに高速
のパルス電界を用いることにより高密度のプラズマ状態
を実現し、高速で高いレベルの処理が可能である。
【0041】上記パルス電界の印加により、放電状態が
アーク移行する前に放電を止め、再び放電を開始すると
いうサイクルが実現されて全体として安定した放電状態
が維持されていると考えられる。さらに、急峻な立ち上
がりを有するパルス電界を印加することにより、空間中
に存在する気体分子を効率よく励起させることが出来、
空間中の電離した状態にある分子の絶対数が多い、すな
わちプラズマ密度が高いという状態が実現されていると
考えられる。
【0042】本発明の処理は繊維製品に損傷を与えずに
様々な処理を行うことが出来る。特に高容量・小型化電
池などのセパレ−タにおいては、極微細孔を有し、その
表面が自在に制御された不織布の要請があるが、本発明
の処理方法はこのような高付加価値用途に好適に用いる
ことが出来る。
【0043】また、本発明の表面処理によって、親水
性、吸水性、はっ水性、染色性、防汚性、特定物質との
親和性、密着性等を付与して、エアフィルタ、エアクリ
ーナー、防塵マスク、消臭用スパンボンド、土木用不織
布、電池用セパレータ、おむつ、生理用品、油吸着材、
人工皮革、手術用ガウン、医療用ガーゼ、ハウスラッピ
ング、テープ芯材、テープ離型紙、衣服芯材、遮水シー
ト等を作成することが出来る。
【0044】
【実施の形態】図4に、本発明の表面処理方法を行う装
置の一例を示す。この装置においては上部電極4と下部
電極5の電極対向面が固体誘電体によって被覆されてお
り、上部電極4と下部電極5の間の空間3に放電プラズ
マが発生する。容器2は、ガス導入管7、ガス排出口9
及びガス排気口10を備えており、上記処理用ガスはガ
ス導入管7から放電プラズマ発生空間3に供給される。
本発明においては、発生した放電プラズマに接触した部
位が処理されるので、図4の例では被処理体6の上面が
処理される。被処理体の両面に処理を施したい場合は放
電プラズマ発生空間3に被処理体を浮かせて設置すれば
よい。
【0045】処理用ガスはプラズマ発生空間に均一に供
給されることが好ましい。複数種の処理用ガスを用いる
場合又は処理用ガスと希釈ガスの混合気体中で処理を行
う場合、供給時に不均一になることを避けるような装置
の工夫がされていることが好ましく、特に面積の大きな
被処理体に適用する場合や比重差の大きい複数のガスを
用いる場合は、不均一になり易いので注意を要する。図
4の装置に示した例では、ガス導入管7が多孔構造をも
つ電極4に連結されてなり、処理用ガスは電極4の孔を
通して被処理体の上方からプラズマ発生空間3に供給さ
れる。希釈ガスは、これと別に希釈ガス導入管8を通っ
て供給される。気体を均一に供給可能であれば、このよ
うな構造に限定されず、気体を攪拌又は高速で吹き付け
る等の手段を用いてもよい。
【0046】実施例1 図4の装置は容器(パイレックスガラス製、容量:5
L)内に、上部電極4(ステンレス(SUS304)
製、大きさ:φ80×80mm、φ1mmの孔が10m
m間隔で配設)と下部電極5(ステンレス(SUS30
4)製、大きさ:φ80×80mm)が配置され、電極
間距離は2mmである。上部電極4及び下部電極5の電
極対向面は1.5mm厚のAl2 3 の溶射膜によって
被覆されている。下部電極5上にポリプロピレン不織布
6(東燃タピルス社製、平均繊維径3μm、60×60
mm、厚み150μm)を配置した。電源1としては図
4の等価回路図による電源(ハイデン研究所社製、半導
体素子:IXYS社製、型番TO−247ADを使用)
を用いた。油回転ポンプで装置内が1Torrになるま
で排気を行った。次に窒素ガスを希釈ガス導入管8か
ら、装置内が760Torrになるまで導入した。電極
間に立ち上がり時間5μs、印加電圧15kV、周波数
4kHz、パルス幅100μsの図1(a)の波形のパ
ルス電界の印加を5秒間行って放電プラズマを発生さ
せ、これをポリプロピレン不織布7に接触させて処理を
行った。発生したプラズマはグロー放電に特有の均一な
発光状態であった。処理品の接触角を測定するために水
滴を滴下したところ、直ちに水を吸水したことから高レ
ベルの親水処理が行われていることを確認した。なお、
未処理のポリプロピレン不織布の接触角は113度であ
った。
【0047】実施例2 窒素の代わりに1%SO2 /Arガスを用いたほかは、
実施例1と同様に処理を行った。処理品に水滴を滴下し
たところ、直ちに水を吸水したことから高レベルの親水
処理が行われていることを確認した。
【0048】実施例3 窒素の代わりに3%CF4 /Arガスを用い、電極間に
立ち上がり時間200ns、印加電圧7kV、周波数1
5kHz、パルス幅5μsのパルス電界の印加を5秒間
行って放電プラズマを発生させたほかは、実施例1と同
様に処理を行った。処理品の接触角を測定したところ、
132度であり、撥水処理が行われていることを確認し
た。測定時に処理品上に滴下された水滴は球状であり、
処理品を傾けることにより転がり落ちたことから、防汚
性が付与されていることが確認できた。
【0049】比較例1 パルス電界の代わりに、周波数2.4kHzのsin波
形の交流電圧による放電を試みた。放電発生までに10
kVを要し、放電発生と同時にストリ−マ状の発光が観
察された。すぐに印加を中止して被処理体を確認したと
ころ、ポリプロピレン不織布が溶融していた。
【0050】実施例4 窒素の代わりに2%SO2 /Arガスを用い、電極間に
立ち上がり時間5μs、印加電圧10kV、周波数5k
Hz、パルス幅100μsのパルス電界の印加を20秒
間行って放電プラズマを発生させたほかは、実施例1と
同様に処理を行った。処理品の接触角を測定したとこ
ろ、吸水により接触角は測定出来なかったが、高い親水
性をしめすことが分かった。1週間放置後、1ヶ月放置
後に接触角を測定したところ、同様に吸水のため測定不
能であり、高い親水性を維持していることが確認でき
た。また、ポリプロピレン不織布のMD方向に幅をと
り、幅25mm、長さ70mmの試験片を切り出し、測
定長50mm、引っ張り速度100mm/分で引張強度
を測定し、3回の平均をとったところ、処理前の値3.
0kgfに対して、処理後2.9kgfを示し、殆ど強
度を低下させずに親水性を付与していることが確認でき
た。さらに、50mm×50mmに切り出した試験片を
温度23℃、湿度50%の雰囲気中で水分平衡にした状
態で重量(W1 )を測定する。次に31%水酸化カリウ
ム水溶液に1時間浸漬後引き上げて試験片の一遍をクリ
ップで保持して下端から余分の液滴を濾紙に吸い取らせ
ながら10分間置き、重量(W2 )を測定して、以下の
式より保液率を求めたところ、438%であった。 保液率(%)=(W2 −W1 )/W1 ×100 この結果から本発明の方法によって処理を施されたポリ
プロピレン不織布は高親水性を示し、保液性に優れ、機
械強度を損なうこともないため、アルカリ電池のセパレ
ータとして好適に使用出来る。
【0051】比較例2 ポリプロピレン不織布を40℃に保った濃度20%の発
煙硫酸に20分間浸漬した後、遠心分離により硫酸を除
去、水洗して処理を行った。実施例4と同様に評価を行
ったところ、処理直後の接触角は89度、1週間後は9
3度、1ヶ月後は88度であった。また、引張強度は
2.1kgf、保液率は397%であった。
【0052】
【発明の効果】本発明においては、上記対向電極間に固
体誘電体を設置し、かつ、パルス電界を印加することに
より、ガス雰囲気にとらわれず安定した放電プラズマを
継続して発生させることが可能である。よって反応性ガ
スや電極形状を自由に設計することが出来る。さらに高
速のパルス電界を用いることにより高密度のプラズマ状
態を実現し、高速で高いレベルの処理が可能である。よ
って、簡易なプロセスで安定して処理可能であり、高速
連続化にも適した、繊維製品の表面処理が可能である。
【0053】
【図面の簡単な説明】
【図1】 パルス電界の例を示す電圧波形図
【図2】 パルス継続時間の説明図
【図3】 パルス電界を発生させる電源の等価回路図
【図4】 本発明のグロー放電プラズマ処理装置の一の
【符号の説明】
1 高電圧パルス電源 2 パイレックスガラス製容器 3 放電プラズマ発生空間 4 上部電極 5 下部電極 6 被処理体 7 ガス導入管 8 希釈ガス導入管 9 ガス排出口 10 ガス排気口

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大気圧近傍の圧力下で、対向電極の少な
    くとも一方の対向面に固体誘電体を設置し、上記対向電
    極と固体誘電体の間又は固体誘電体同士の間に繊維製品
    を配置し、当該対向電極間にパルス電界を印加すること
    を特徴とする繊維製品の表面処理方法。
  2. 【請求項2】 パルス電界における、電圧立ち上がり時
    間が100μs以下、電界強度が1〜100kV/c
    m、周波数が0.5〜100kHzとなされていること
    を特徴とする請求項1に記載の繊維製品の表面処理方
    法。
  3. 【請求項3】アルゴン及び/又は窒素からなる雰囲気中
    で行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の繊
    維製品の表面処理方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006022468A (ja) * 2004-07-09 2006-01-26 Carl Freudenberg Kg 機能化された不織布、その製造方法およびその使用方法
JP2006233354A (ja) * 2005-02-24 2006-09-07 Teijin Techno Products Ltd ゴム補強用繊維の製造方法
JP2008214491A (ja) * 2007-03-05 2008-09-18 Ulvac Japan Ltd 表面処理方法

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