JP3284951B2 - 車間距離制御装置 - Google Patents

車間距離制御装置

Info

Publication number
JP3284951B2
JP3284951B2 JP34160797A JP34160797A JP3284951B2 JP 3284951 B2 JP3284951 B2 JP 3284951B2 JP 34160797 A JP34160797 A JP 34160797A JP 34160797 A JP34160797 A JP 34160797A JP 3284951 B2 JP3284951 B2 JP 3284951B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
inter
vehicle
deceleration
vehicle distance
distance control
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP34160797A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11170889A (ja
Inventor
英司 寺村
隆雄 西村
晃 磯貝
佳江 笹谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp filed Critical Denso Corp
Priority to JP34160797A priority Critical patent/JP3284951B2/ja
Publication of JPH11170889A publication Critical patent/JPH11170889A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3284951B2 publication Critical patent/JP3284951B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車間距離制御装
置、車間距離制御方法、記録媒体に係り、詳しくは、自
車と前方を走行する先行車との適切な車間距離を維持す
る車間距離制御装置およびその車間距離制御方法、その
車間距離制御方法をコンピュータに実行させるためのプ
ログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録
媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、自車に先行して走行する先行車と
自車との車間距離および相対速度を検出すると共に、そ
の検出結果から両車両の接触の可能性を判断し、接触の
可能性があるときには各車輪のブレーキを自動的に作動
させて比較的大きな減速度を得るようにして、両車両の
適切な車間距離を維持することにより、両車両の接触を
回避するようにした車間距離制御装置が知られている。
このような従来技術として、例えば、特許公報第260
6218号に記載の車両の定速走行装置があげられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一般に、ブレーキを作
動させたときには、車両の後部に設けられたブレーキラ
ンプが点灯されるようになっている。これは、自車に後
続して走行する後続車の運転者に対して、自車がブレー
キを作動させて減速中であることを知らせることによ
り、後続車の運転者に減速操作の必要性を喚起するため
である。
【0004】ところで、先行車の減速時には、先行車と
自車との車間距離および相対速度が小さくなって両車両
の接触の可能性が増大するため、車間距離制御装置はブ
レーキを自動的に作動させる。従って、先行車が加減速
を頻繁に繰り返す場合には、その減速の度に両車両の接
触の可能性が増大するため、車間距離制御装置によるブ
レーキ作動が頻発することになる。
【0005】このように、車間距離制御装置によるブレ
ーキ作動が頻発すると、ブレーキランプの点灯も頻発す
ることになる。しかし、先行車が車間距離制御装置を用
いているためにブレーキ作動が頻発していることを、後
続車の運転者は知る由もない。運転者は、交通の流れ全
体を掴んでスムーズな運転を行うことを望んでいるた
め、先行車のブレーキランプの点灯が頻発しているのを
見た場合、先行車の挙動を不可解に感じて心理的動揺を
受けることが多い。そのため、車間距離制御装置による
ブレーキ作動の頻発は、後続車個々の運転者達に心理的
影響を与え、交通全体の流れを乱す原因となるおそれが
ある。
【0006】そして、車間距離制御装置によるブレーキ
作動が頻発している自車の運転者は、自車のブレーキラ
ンプの頻繁な点灯が、後続車の運転者に対して心理的影
響を与えているのではないかと推測し、後続車の運転者
の気持ちを慮るあまり、後続車の運転者に対して迷惑を
かけているとの自責の念から、不安感を抱くことがあ
る。
【0007】また、ブレーキ作動が頻発すると、ブレー
キアクチュエータの作動負荷が増大してブレーキアクチ
ュエータに過大な負担をかけることになるため、ブレー
キの劣化が早まって寿命が低下するおそれがあり、それ
を回避するとなるとブレーキ設計が複雑化して開発に手
間がかかることになる。
【0008】従って、車間距離制御装置によるブレーキ
作動はできるだけ頻発させないことが望ましい。しか
し、ブレーキ作動を頻発させないようにした場合、先行
車が極めて急激に減速したときや、先行車と自車との間
に急な割り込みをした車両があったときには、先行車や
割込車両に自車が接近し過ぎて両車両の車間距離を適切
に維持できなくなるおそれがある。
【0009】ところで、車間距離制御装置には、上記の
ようなブレーキを用いるもの以外に、必要な減速度を得
るために様々な方法(トランスミッションを高位のシフ
ト位置からシフトダウンさせる方法、内燃機関へ燃料が
供給されるのを阻止する方法、など)を用いるものが知
られているが、これらの方法はブレーキランプの作動を
伴わない。
【0010】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであって、その目的は、ブレーキ作動を頻発さ
せることなく適切な車間距離を維持することが可能な車
間距離制御を実現することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めになされた請求項1に記載の発明は、自車と追従すべ
き先行車との間の車間距離若しくは該車間距離に相当す
る物理量を検出する車間距離検出手段と、ブレーキラン
プの作動を伴い、自車に減速力を与える第1の減速手段
とを有し、該第1の減速手段を自動で作動させることに
より、前記車間距離若しくは前記車間距離に相当する物
理量を設定値に維持させる。そして、前記ブレーキラン
プの作動を伴わずに前記自車に減速力を与える第2の減
速手段と、前記第1の減速手段の作動に先立ち前記第2
の減速手段を作動させる減速実行手段とを備える。
【0012】従って、本発明によれば、第1の減速手段
を作動させる以前に、第2の減速手段を作動させること
によりある程度の減速が得られているため、ブレーキ作
動の頻発を防止することができる。そのため、車間距離
制御装置を備えた車両の運転者は、ブレーキ作動が頻発
してブレーキランプの点灯も頻発し、それにより後続車
両の運転者に対して迷惑をかけているとの無用な不安感
を抱くことはない。そして、車間距離制御装置によるオ
ートクルーズ制御が、交通全体の流れを乱す原因となる
おそれもない。また、本発明では、自車の加速度を検出
する加速度検出手段と、現在の車間状態に基づいて、前
記車間距離若しくは前記車間距離に相当する物理量を設
定値に維持するための目標加速度を求める目標加速度演
算手段とを備える。そして、前記減速実行手段は、前記
目標加速度演算手段にて求められた目標加速度から前記
加速度検出手段にて検出された自車の加速度を減算した
加速度偏差が、マイナスの値である第1の判定値より小
さい条件が満足された場合には、前記第2の減速手段に
先だって前記第1の減速手段を作動させる。 従って、本
発明によれば、加速度偏差が第1の判定値より小さくな
ったときには急減速が必要な事態が発生したとして、第
1の減速手段を作動させてブレーキ力による強力な減速
を行うため、先行車が急激に減速した場合や、先行車と
自車との間に急な割り込みをした車両があった場合で
も、適切な車間距離を安定して維持することができる。
【0013】ここで、請求項2に記載の発明のように、
請求項1に記載の車間距離制御装置において、自車を走
行させるための駆動力を発生する内燃機関と、当該内燃
機関に接続されたトランスミッションとを備える場合、
第2の減速手段は、例えば、前記内燃機関に燃料が供給
されるのを阻止するフューエルカット制御、前記トラン
スミッションがオーバードライブのシフト位置となるの
を禁止するオーバードライブカット制御、前記トランス
ミッションを高位のシフト位置からシフトダウンさせる
シフトダウン制御、前記内燃機関の点火時期を遅らせる
点火遅角制御、前記トランスミッションが備えたトルク
コンバータをロックアップ状態にするロックアップ制
御、前記内燃機関からの排気の流動抵抗を増加させる排
気ブレーキ制御およびリターダ制御、から成るグループ
から選択された少なくとも1つ以上の制御を実行するこ
とにより自車の速度を低下させる。
【0014】次に、請求項3に記載の発明は、請求項2
に記載の車間距離制御装置において、前記第2の減速手
段は、前記各制御が複数個選択された場合、選択された
各制御を車両に対する制動力が大きくなる順番に実行す
る。従って、本発明によれば、急激な減速によって車体
に発生する減速ショックを防止した上で、各制御を効率
的に行うことができる。すなわち、各制御を制動力が大
きくなる順番で実行すれば、最初に最も制動力の小さな
制御により減速が行われることから、急激な減速が行わ
れず減速ショックが発生しない上に、各制御が順次実行
される度に減速度が段階的に増大することから、各制御
を効率的に行うことができる。
【0015】
【0016】
【0017】次に、請求項に記載の発明は、請求項1
のいずれか1項に記載の車間距離制御装置におい
て、前記内燃機関のスロットル開度が全閉状態でない場
合に、前記第1の減速手段の作動を解除する減速解除手
段を備える。従って、本発明によれば、運転者がアクセ
ルペダルを踏み込んでスロットルバルブが開き、スロッ
トルバルブが全閉でなくなったときには、運転者は自車
の速度を維持するか又は加速させる意志をもっていると
判断されることから、その運転者の意志を第1の減速手
段のブレーキによる減速に優先することができる。
【0018】次に、請求項に記載の発明は、請求項
〜4のいずれか一項に記載の車間距離制御装置におい
て、前記減速実行手段は、前記加速度偏差が、前記第1
の判定値より大きいマイナスの値である第2の判定値よ
り小さい条件が満足された場合に、前記第1の減速手段
または前記第2の減速手段を作動させる。また、前記減
速解除手段は、前記減速実行手段の作動条件が不成立で
あり、前記目標加速度がマイナスの値である第3の判定
値より大きい条件が満足された場合に、前記第1の減速
手段または前記第2の減速手段の作動を解除する。
【0019】従って、本発明によれば、加速度偏差の減
少の程度に基づいて、各減速手段を作動させるタイミン
グを決定している。そのため、実際の車間距離が目標と
する車間距離より長い場合でも、先行車に向かって自車
が加速して接近するときには、自車の実加速度が加速度
偏差に反映されることから、各減速手段を早めに作動さ
せることが可能になり、両車両の接触を確実に回避する
ことができる。また、実際の車間距離が目標とする車間
距離とほぼ等しい場合でも、自車の実加速度が過度に大
きいときには、その実加速度が加速度偏差に反映される
ことから、各減速手段を作動させることが可能になり、
適切な車間距離を安定して維持することができる。さら
に、実際の車間距離が目標とする車間距離より短い場合
でも、先行車が加速して自車から遠ざかってゆくときに
は、目標加速度が増加するため、各減速手段の作動を早
めに解除することが可能になり、適切な車間距離を安定
して維持することができる。
【0020】さらに、本発明においては、単に減速実行
手段の作動条件が不成立であるだけでなく、目標加速度
が第3の判定値より大きい条件が満足された場合に、第
1の減速手段または第2の減速手段の作動を解除する。
これは、単に減速実行手段の作動条件が不成立である場
合に各減速手段の作動を解除すると、作動解除の直前ま
で釣り合っていた加速と減速とのバランスが、突然の解
除により崩れるためである。加速と減速とのバランスが
崩れると、すぐに加速度偏差が第2の判定値より小さく
なるため、再度、減速手段の作動がなされるという事態
を招き、この作動と解除とが繰り返されることから、制
御のハンチングを引き起こす。そこで、前記2つの条件
が満足された場合(すなわち、目標加速度が十分に高く
なった場合)に、各減速手段の作動を解除するのであ
る。すなわち、各減速手段の作動を解除しても、すぐに
は加速度偏差が第2の判定値より小さくならないほど
に、目標加速度が上昇した後に、各減速手段の作動を解
除するのである。
【0021】次に、請求項に記載の発明は、請求項
に記載の車間距離制御装置において、前記減速解除手段
は、請求項に記載の構成に代えて、前記減速実行手段
の作動条件が不成立であり、前記目標加速度がマイナス
の値である第3の判定値より大きい条件が満足され、且
つ、前記加速度偏差が前記第2の判定値より大きいマイ
ナスの値である第4の判定値より大きい条件が満足され
た場合に、前記第1の減速手段または前記第2の減速手
段の作動を解除する。
【0022】従って、本発明においては、第1の減速手
段または第2の減速手段の作動を解除するに際して、請
求項に記載の条件に加え、加速度偏差が第4の判定値
より大きい条件が満足される必要がある。勾配の大きな
下り坂では、請求項6に記載の条件だけを共に満足した
場合に各減速手段の作動を解除すると、解除後に再び大
きな加速を受けることになり、すぐに加速度偏差が第2
の判定値より小さくなって各減速手段の作動がなされ、
制御のハンチングを引き起こすことがある。つまり、勾
配の大きな下り坂において、車体は重力加速度の影響を
大きく受けるため、減速しようとしても実加速度が増大
するか又は高い状態に維持され、加速度偏差は大きく減
少する。ここで、加速度偏差が第4の判定値より大きい
条件は、勾配の大きな下り坂においては満足されない。
従って、勾配の大きな下り坂においては、請求項6に記
載の条件が満足された場合でも各減速手段の作動を解除
しないように、加速度偏差が第4の判定値より大きい条
件をAND条件として加えているわけである。このよう
にすれば、勾配の大きな下り坂において各減速手段の作
動と解除とが繰り返される制御のハンチングを防止する
ことができる。
【0023】次に、請求項に記載の発明は、請求項
に記載の車間距離制御装置において、前記減速解除手段
は、請求項に記載の構成に代えて、前記減速実行手段
の作動条件が不成立であり、前記目標加速度がマイナス
の値である第3の判定値より大きい条件が満足され、且
つ、前記加速度偏差が前記第2の判定値より大きいマイ
ナスの値である第4の判定値より大きい条件が満足され
た場合、あるいは、前記減速実行手段の作動条件が不成
立であり、前記第3の判定値より大きいマイナスの値ま
たはゼロ近傍の値である第5の判定値より、前記目標加
速度が大きい条件が満足された場合に、前記第1の減速
手段または前記第2の減速手段の作動を解除する。
【0024】従って、本発明においては、第1の減速手
段または第2の減速手段の作動を解除するに際して、請
求項に記載の条件だけでなく、請求項に記載の条件
に加えて、第5の判定値より目標加速度が大きい条件が
満足された場合にも、作動解除を許可するようにしてい
る。つまり、第5の判定値より目標加速度が大きい条件
は、加速したい状況の場合に満足される。これにより、
減速作動を過度に維持することにより、先行車との車間
距離が大きく離れすぎるのを防止する。
【0025】次に、請求項に記載の発明は、請求項
のいずれか1項に記載の車間距離制御装置におい
て、前記目標加速度演算手段は、自車と前記先行車との
間の速度関係および距離関係を前記車間状態とする。従
って、本発明によれば、自車と前記先行車との間の速度
関係および距離関係に基づいて、車間距離に相当する物
理量を設定値に維持するための目標加速度を求めること
になる。
【0026】ここで、速度関係とは、例えば、請求項
に記載の発明のように、自車と先行車との相対速度で表
す関係である。また、距離関係とは、例えば、請求項
に記載の発明のように、前記車間距離と前記設定値若
しくは前記車間距離に相当する物理量と前記設定値との
関係であり、具体的には、請求項11に記載の発明のよ
うに、前記車間距離と前記設定値との偏差若しくは前記
車間距離に相当する物理量と前記設定値との偏差であ
る。
【0027】次に、請求項12に記載の発明は、請求項
1〜11のいずれか1項に記載の車間距離制御装置にお
いて、前記車間距離に相当する物理量とは、前記先行車
と自車との車間距離を自車の車速にて走行するのに要す
る時間である車間時間で表される量である。
【0028】従って、本発明によれば、車間距離に相当
する物理量として車間時間を用いるため、運転者にとっ
ては、実際の距離を正確に認識するよりも当該距離を自
車が走行するのに要する時間を認識する方が容易であ
り、目標車間距離を実際の距離として設定するよりも車
間時間として設定する方が感覚的につかみやすいことか
ら、オートクルーズ制御に対する違和感を少なくするこ
とができる。
【0029】次に、請求項13に記載の発明は、請求項
12のいずれか1項に記載の車間距離制御装置にお
いて、前記車間距離若しくは前記車間距離に相当する物
理量が設定値に維持されるように、前記加速度偏差に基
づいて前記内燃機関の駆動力を調整する調整手段を備え
る。
【0030】そして、この調整手段は、請求項14に記
載の発明のように、スロットル開度の調整により前記内
燃機関の駆動力を調整するものである
【0031】
【0032】尚、以下に述べる発明の実施の形態におい
て、特許請求の範囲または課題を解決するための手段に
記載の「第2の減速手段」は車間距離制御ECU4にお
けるS19030,S20030,S21030の各処
理とエンジンECUにて行われる処理とトランスミッシ
ョン17およびインジェクタ25に該当し、同じく「第
1の減速手段」は車間距離制御ECU4におけるS22
070の処理とブレーキECU6にて行われる処理およ
びブレーキアクチュエータ21に該当し、同じく「減速
実行手段」は車間距離制御ECU4におけるS2202
0,S22030,S22050,S22060の各処
理に該当し、同じく「加速度検出手段」は車間距離制御
ECU4におけるS16000の処理に該当し、同じく
「目標加速度演算手段」は車間距離制御ECU4におけ
るS15000の処理に該当し、同じく「減速解除手
段」は車間距離制御ECU4におけるS19040,S
20040,S21040,S22040,S2208
0〜S22100の各処理に該当し、同じく「調整手
段」は車間距離制御ECU4におけるS18000の処
理とエンジンECU5およびスロットルアクチュエータ
16に該当し、「第1の判定値」は判定値ATref6
に該当し、「第2の判定値」は判定値ATref1,A
Tref2,ATref3,ATref5に該当し、
「第3の判定値」は判定値ATmcref1,ATmc
ref2,ATmcref3,ATmcref4に該当
し、「第4の判定値」は判定値ATref4に該当し、
「第5の判定値」は判定値ATmcref5に該当す
る。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した一実施
形態を図面と共に説明する。図1は、本実施形態の車間
距離制御装置2の概略構成を表すブロック図である。車
間距離制御装置2は、内燃機関としてガソリンエンジン
を備えた自動車に搭載されており、先行車と自車との実
際の車間距離(以下、実車間距離という)を目標とする
車間距離(以下、目標車間距離という)に一致させるよ
うに、自車の駆動力および制動力を制御するオートクル
ーズ制御を行う装置である。
【0034】車間距離制御装置2は、前方認識センサ
3,車間距離制御用電子制御装置(以下、車間距離制御
ECUという)4,エンジン制御用電子制御装置(以
下、エンジン制御ECUという)5,ブレーキ制御用電
子制御装置(以下、ブレーキ制御ECUという)6を中
心に構成されている。
【0035】前方認識センサ3は、超音波,電波,レー
ザ,赤外線などを利用した公知のレーダセンサまたは近
接センサから構成されている。例えば、レーダセンサ
は、スキャニング測距器およびマイクロコンピュータを
中心として構成されている。スキャニング測距器は、車
幅方向の所定角度範囲に超音波,電波,レーザ,赤外線
などをスキャン照射し、先行車からの反射波または反射
光に基づいて、自車に対する先行車の走行方向(走行角
度)や、先行車と自車との実車間距離および相対速度を
検出する。マイクロコンピュータは、スキャニング測距
器の検出した先行車の走行角度,実車間距離,相対速度
と、車間距離制御ECU4から入力された自車の現在の
速度(以下、現車速という)およびカーブ曲率半径とに
基づいて、先行車の自車線確率を演算する。そして、前
方認識センサ3は、先行車の走行角度,実車間距離,相
対速度,先行車の自車線確率などの情報から成る先行車
情報と、前方認識センサ3自体のダイアグノーシスと
を、車間距離制御ECU4へ出力する。
【0036】各ECU4〜6は、CPU,ROM,RA
M,I/O回路を有する公知のマイクロコンピュータか
ら構成され、イグニッションスイッチ(図示略)がオン
されることにより車載バッテリ(図示略)から電源が供
給される。各ECU4〜6は、制御系LAN(LOCAL AR
EA NETWORK)7を介して互いに接続されている。
【0037】制御系LAN7はゲートウエイ8を介して
ボディ系LAN9に接続されている。ボディ系LAN9
には、ワイパスイッチ10,テールスイッチ11,表示
装置12が接続されている。ワイパスイッチ10はワイ
パ(図示略)を作動させた際にオートクルーズ制御を停
止するためのスイッチである。すなわち、降雨時には前
方認識センサ3によって正確な先行車情報を得るのが難
しいため、降雨時にワイパを作動させた際にはオートク
ルーズ制御が行われないようにするわけである。特に、
前方認識センサ3としてレーザレーダセンサを用いた場
合、雨滴によってレーザの進行が妨げられるため正確な
先行車情報を得るのが難しい。
【0038】テールスイッチ11は、夜間や濃霧発生時
など道が暗いときに、後述するようにクルーズコントロ
ールスイッチ13にて運転者が設定した目標車間時間を
大きな値に補正することにより、先行車と自車との接触
の可能性をより低減させるためのスイッチである。
【0039】表示装置12はインスツルメンタルパネル
上に設けられており、後述する表示データ,ダイアグノ
ーシス,ブレーキ作動状態などの内容を表示する。車間
距離制御ECU4には、クルーズメインスイッチ23お
よびクルーズコントロールスイッチ13が接続されてい
る。クルーズメインスイッチ23は車間距離制御ECU
4を起動させるための電源スイッチである。クルーズコ
ントロールスイッチ13は、オートクルーズ制御におい
て、先行車と自車との目標車間距離に相当する距離を自
車が走行するのに要する時間(以下、目標車間時間とい
う)を運転者が設定するためのスイッチである。
【0040】車間距離制御ECU4は、クルーズコント
ロールスイッチ13から入力された目標車間時間と、前
方認識センサ3から入力された先行車情報およびダイア
グノーシスと、エンジンECU5から入力されたスロッ
トル開度,現車速,制御状態(アイドル制御状態,トラ
ンスミッションのシフト位置など)と、ブレーキECU
6から入力された操舵角およびヨーレートと、各LAN
7,9およびゲートウェイ8を介して入力されたワイパ
スイッチ10およびテールスイッチ11の操作状態とを
それぞれ表す各信号に基づいて、カーブ曲率半径および
目標加速度を演算すると共に、フューエルカット要求,
オーバードライブ(OD)カット要求,シフトダウン要
求,ブレーキ要求,警報要求,表示データを表す各信号
を生成する。
【0041】そして、車間距離制御ECU4は、目標加
速度,フューエルカット要求,オーバードライブカット
要求,シフトダウン要求を表す各信号をそれぞれエンジ
ンECU5へ出力し、目標加速度,ブレーキ要求,警報
要求を表す各信号をそれぞれブレーキECU6へ出力
し、表示データおよびダイアグノーシスを表す各信号を
それぞれ各LAN7,9およびゲートウェイ8を介して
表示装置12へ出力する。
【0042】エンジンECU5には、スロットル開度セ
ンサ24,車速センサ14,ブレーキスイッチ15が接
続されている。スロットル開度センサ24はガソリンエ
ンジンのスロットルバルブ(図示略)の実際の開度(以
下、実スロットル開度という)を検出する。車速センサ
14は、車両の各車輪(図示略)の回転速度に基づいて
車両の速度を検出する。ブレーキスイッチ15は、運転
者によるブレーキペダル(図示略)の踏み込みの有無を
検出する。
【0043】エンジンECU5は、スロットル開度セン
サ24,車速センサ14,ブレーキスイッチ15から入
力された各信号と、車間距離制御ECU4から入力され
た目標加速度,フューエルカット要求,オーバードライ
ブカット要求,シフトダウン要求を表す各信号とに基づ
いて、スロットルアクチュエータ16,トランスミッシ
ョン17,インジェクタ25を駆動制御する。
【0044】スロットルアクチュエータ16はスロット
ルバルブの開度を調整する。スロットルアクチュエータ
16のアクチュエータ駆動回路は、エンジンECU5か
らの駆動命令に基づいて、アクチュエータの内部に備え
られたモータおよびクラッチを制御するための駆動信号
を生成する。その駆動信号に従って、モータの正転・逆
転および回転速度が制御されると共にクラッチの開閉が
制御され、モータの回転がクラッチを介してエンジンの
スロットルバルブに伝達される。その結果、エンジンE
CU5はエンジンの駆動力を調節することが可能にな
り、車両の速度を制御することができる。尚、トランス
ミッション17は5速オートマチックトランスミッショ
ンであり、4速の減速比が「1」に設定され、5速の減
速比が4速よりも小さな値(例えば、0.7)に設定さ
れた、いわゆる、4速+オーバードライブ(OD)構成
になっている。
【0045】インジェクタ25はエンジンのインテーク
マニホールド(図示略)内に燃料を噴射する。また、エ
ンジンECU5は、上記各信号に基づいて、現車速を演
算すると共に、最適な制御状態(アイドル制御状態,ト
ランスミッションのシフト位置など)を設定し、実スロ
ットル開度,現車速,制御状態を表す各信号をそれぞれ
車間距離制御ECU4へ出力し、現車速を表す信号をブ
レーキECU6へ出力する。
【0046】ブレーキECU6には、マスタシリンダ
(M/C)圧センサ18,ステアリングセンサ19,ヨ
ーレートセンサ20が接続されている。マスタシリンダ
圧センサ18は、ブレーキ装置のマスタシリンダの油圧
(マスタシリンダ圧)を検出する。ステアリングセンサ
19は車両の操舵角を検出する。ヨーレートセンサ20
は車両のヨーレートを検出する。
【0047】ブレーキECU6は、マスタシリンダ圧セ
ンサ18,ステアリングセンサ19,ヨーレートセンサ
20から入力された各信号と、車間距離制御ECU4か
ら入力された目標加速度,ブレーキ要求,警報要求を表
す各信号と、エンジンECU5から入力された現車速を
表す信号とに基づいて、ブレーキアクチュエータ21お
よび警報ブザー22を駆動制御する。
【0048】ブレーキ装置(図示略)は、マスタシリン
ダ,ホイールシリンダ,増圧制御弁,減圧制御弁,リザ
ーバ,ブレーキアクチュエータ21などから構成されて
いる。車両の各車輪にはそれぞれホイールシリンダが配
設され、マスタシリンダからのマスタシリンダ圧が各増
圧制御弁を介して各ホイールシリンダへ送られる。尚、
マスタシリンダは、ブレーキペダルの踏み込み又はブレ
ーキアクチュエータ21によりマスタシリンダ圧を発生
する。また、各ホイールシリンダからの油圧は各減圧制
御弁を介してリザーバへ送られる。そして、ブレーキア
クチュエータ21は、ブレーキECU6の制御に基づ
き、大気圧およびエンジン負圧に対応してマスタシリン
ダ圧の増圧・減圧をデューティ制御することによりブレ
ーキ作動を制御する。
【0049】警報ブザー22は、車間距離制御ECU4
から入力された警報要求を表す信号に応じて鳴動され
る。また、ブレーキECU6は、操舵角およびヨーレー
トを表す各信号をそれぞれ車間距離制御ECU4へ出力
し、ブレーキアクチュエータ21に対して指令したブレ
ーキ作動状態を表す信号を各LAN7,9およびゲート
ウェイ8を介して表示装置12へ出力する。
【0050】尚、車間距離制御装置2における各ECU
4〜6以外の部材についても、電源が必要なものには、
イグニッションスイッチがオンされることにより車載バ
ッテリから電源が供給される。次に、車間距離制御装置
2の動作の詳細を、図2〜図6に示すフローチャートを
用いて説明する。
【0051】イグニッションスイッチおよびクルーズメ
インスイッチ23がオンされて各ECU4〜6および前
方認識センサ3が起動すると、各ECU4〜6および前
方認識センサ3は内蔵されたROMやRAMに予め記憶
されたプログラムに従い、コンピュータによる各種演算
処理によって、以下の各ステップの処理を実行する。
【0052】尚、前記プログラムは、コンピュータで読
み取り可能な記録媒体(フロッピーディスク、光磁気デ
ィスク、CD−ROM、ハードディスクなど)に記録し
ておき、必要に応じて各ECU4〜6および前方認識セ
ンサ3にロードして起動することにより用いるようにし
てもよい。
【0053】図2に示すように、まず、ステップ(以
下、Sという)10000において、車間距離制御4
は、運転者がクルーズコントロールスイッチ13によっ
て設定した目標車間時間を読み取り、目標車間距離に相
当する目標車間時間Tdを設定する。この目標車間時間
が本発明の設定値に該当する。尚、目標車間距離の設定
に目標車間時間を用いるのは、運転者にとっては、実際
の距離を正確に認識するよりも当該距離を自車が走行す
るのに要する時間を認識する方が容易であり、目標車間
距離を実際の距離として設定するよりも車間時間として
設定する方が感覚的につかみやすいことから、オートク
ルーズ制御に対する違和感が少なくなるためである。
【0054】次に、S11000において、前方認識セ
ンサ3は、車間距離制御ECU4から入力された自車の
カーブ曲率半径Rに基づいて、オートクルーズ制御の対
象となる先行車を決定し、その先行車と自車との実車間
距離Dを測定する。次に、S12000において、前方
認識センサ3は先行車と自車との相対速度Vrelを測
定する。
【0055】次に、S13000において、エンジンE
CU5は、車速センサ14から入力された信号に基づい
て現車速Vnを算出する。次に、S14000におい
て、車間距離制御ECU4は、式(1)に示すように、
実車間距離Dと現車速Vnとに基づいて測定車間時間T
n(sec)を算出する。この測定車間時間が本発明の
車間距離に相当する物理量に該当する。
【0056】 Tn=D×3.6/Vn ……(1) 次に、S15000において、車間距離制御ECU4は
目標加速度ATmcを算出する。すなわち、式(2)に
示すように、目標車間時間Tdと測定車間時間Tnとに
基づいて車間時間偏差Tdeを求める。そして、車間時
間偏差Tdeと、相対速度Vrelをなまし処理して得
られた値Vr−filterとに基づいて、予め設定さ
れた目標加速度のデータマップを参照することにより、
目標加速度ATmcを求める。
【0057】Tde=Tn−Td ……(2) 次に、S16000において、車間距離制御ECU4は
現車速Vnの時間変化から自車の実加速度ATjを算出
する。次に、S17000において、車間距離制御EC
U4は、式(3)に示すように、目標加速度ATmcと
実加速度ATjとに基づいて加速度偏差ATdeltを
算出する。
【0058】 ATdelt=ATmc−ATj ……(3) 次に、S18000において、式(4)に示すように、
エンジンECU5は、前回のルーチンにおいて算出され
た目標スロットル開度MA(n−1)と加速度偏差AT
deltと係数(ゲイン)Gとに基づいて、今回のルー
チンにおける目標スロットル開度MA(n)を算出す
る。 MA(n)=MA(n−1)+G×ATdelt ……(4) そして、エンジンECU5は、目標スロットル開度MA
に基づいてスロットルアクチュエータ16を駆動制御す
ることにより、ガソリンエンジンの出力を調整する。
【0059】次に、S19000において、車間距離制
御ECU4およびエンジンECU5は、フューエルカッ
トによる減速処理を実行する。このフューエルカットに
よる減速処理はブレーキランプの作動を伴わない。図3
に、S19000における処理の詳細を示す。
【0060】まず、S19010において、車間距離制
御ECU4は、以下のステップにて用いられる判定値A
Tref1,ATmcref1の設定を行う。尚、判定
値ATref1,ATmcref1は共にマイナスの値
である(ATref1<0)。
【0061】次に、S19020において、車間距離制
御ECU4は、加速度偏差ATdeltと判定値ATr
ef1との大小を判定する。そして、加速度偏差ATd
eltが判定値ATref1より小さい場合(ATde
lt<ATref1,S19020:YES)はS19
030へ移行し、加速度偏差ATdeltが判定値AT
ref1以上の場合(ATdelt≧ATref1,S
19020:NO)はS19035へ移行する。
【0062】S19030において、車間距離制御EC
U4は、フューエルカット要求を表す信号をエンジンE
CU5へ出力してフューエルカット作動指示を行う。そ
して、メインルーチンへ復帰してS20000へ移行す
る。すると、エンジンECU5は、フューエルカット要
求を表す信号に基づいて、インジェクタ25からの燃料
噴射を停止する。その結果、エンジンへ燃料が供給され
るのが阻止されてエンジンブレーキが生じ、そのエンジ
ンブレーキにより自車の減速が行われる。
【0063】S19035において、車間距離制御EC
U4は、目標加速度ATmcと判定値ATmcref1
と大小を判定する。そして、目標加速度ATmcが判定
値ATmcref1より大きい場合(ATmc>ATm
cref1,S19035:YES)はS19040へ
移行し、目標加速度ATmcが判定値ATmcref1
以下の場合(ATmc≦ATmcref1,S1903
5:NO)はメインルーチンへ復帰してS20000へ
移行する。
【0064】S19040において、車間距離制御EC
U4は、フューエルカット要求を表す信号の出力を停止
してフューエルカット作動解除指示を行う。すなわち、
フューエルカットによる減速処理により自車が減速し車
間距離が離れた結果、目標加速度ATmcが判定値AT
mcref1以上になると、フューエルカットによる減
速処理の実行が解除される。そして、メインルーチンへ
復帰してS20000へ移行する。
【0065】尚、エンジンECU5は、通常、エンジン
ECU5独自の判断により、車両走行時にスロットル開
度が全閉(=0°)になるとインジェクタ25からの燃
料噴射を停止するが、オートクルーズ制御を実行してい
る場合には、スロットル開度の最低値として、アイドル
時に適用されるオフセット開度(=2〜3°)を適用す
ることにより、インジェクタ25からの燃料噴射を停止
しないようにしている。そして、車間距離制御ECU4
からフューエルカット要求を表す信号が入力された場合
に、スロットル開度の最低値を0°まで引き下げること
により、前記したエンジンECU5独自の判断によって
も、フューエルカット要求を表す信号に応じてインジェ
クタ25からの燃料噴射を停止できるようにしている。
【0066】次に、S20000において、車間距離制
御ECU4およびエンジンECU5は、オーバードライ
ブカットによる減速処理を実行する。このオーバードラ
イブカットによる減速処理はブレーキランプの作動を伴
わない。図4に、S20000における処理の詳細を示
す。
【0067】まず、S20010において、車間距離制
御ECU4は、以下のステップにて用いられる判定値A
Tref2,ATmcref2の設定を行う。尚、各判
定値ATref2,ATmcref2は、マイナスの値
であり、それぞれ各判定値ATref1,ATmcre
f1よりも小さな値である(ATref2<ATref
1<0,ATmcref2<ATmcref1)。
【0068】次に、S20020において、車間距離制
御ECU4は、加速度偏差ATdeltと判定値ATr
ef2との大小を判定する。そして、加速度偏差ATd
eltが判定値ATref2より小さい場合(ATde
lt<ATref2,S20020:YES)はS20
030へ移行し、加速度偏差ATdeltが判定値AT
ref2以上の場合(ATdelt≧ATref2,S
20020:NO)はS20035へ移行する。
【0069】S20030において、車間距離制御EC
U4は、オーバードライブカット要求を表す信号をエン
ジンECU5へ出力してオーバードライブカット作動指
示を行う。そして、メインルーチンへ復帰してS210
00へ移行する。すると、エンジンECU5は、オーバ
ードライブカット要求を表す信号に基づいて、トランス
ミッション17が5速(すなわち、オーバードライブの
シフト位置)にシフトしていた場合には4速へシフトダ
ウンする。その結果、5速から4速へのシフトダウンに
よって大きなエンジンブレーキが生じ、そのエンジンブ
レーキにより自車の減速が行われる。
【0070】S20035において、車間距離制御EC
U4は、目標加速度ATmcと判定値ATmcref2
と大小を判定する。そして、目標加速度ATmcが判定
値ATmcref2より大きい場合(ATmc>ATm
cref2,S20035:YES)はS20040へ
移行し、目標加速度ATmcが判定値ATmcref2
以下の場合(ATmc≦ATmcref2,S2003
5:NO)はメインルーチンへ復帰してS21000へ
移行する。
【0071】S20040において、車間距離制御EC
U4は、オーバードライブカット要求を表す信号の出力
を停止してオーバードライブカット作動解除指示を行
う。そして、メインルーチンへ復帰してS21000へ
移行する。すなわち、オーバードライブカットによる減
速処理により自車が減速し車間距離が離れた結果、目標
加速度ATmcが判定値ATmcref2以上になる
と、オーバードライブカットによる減速処理の実行が解
除される。
【0072】次に、S21000において、車間距離制
御ECU4およびエンジンECU5は、シフトダウンに
よる減速処理を実行する。このシフトダウンによる減速
処理はブレーキランプの作動を伴わない。図5に、S2
1000における処理の詳細を示す。
【0073】まず、S21010において、車間距離制
御ECU4は、以下のステップにて用いられる判定値A
Tref3,ATmcref3の設定を行う。尚、判定
値ATref3は、マイナスの値であり且つ判定値AT
ref2よりも小さな値である(ATref3<ATr
ef2<ATref1<0)。また、判定値ATmcr
ef3も、マイナスの値であり且つ判定値ATmcre
f2よりも小さな値である(ATmcref3<ATm
cref2<ATmcref1<0)。
【0074】次に、S21020において、車間距離制
御ECU4は、加速度偏差ATdeltと判定値ATr
ef3との大小を判定する。そして、加速度偏差ATd
eltが判定値ATref3より小さい場合(ATde
lt<ATref3,S21020:YES)はS21
030へ移行し、加速度偏差ATdeltが判定値AT
ref3以上の場合(ATdelt≧ATref3,S
21020:NO)はS21035へ移行する。
【0075】S21030において、車間距離制御EC
U4は、シフトダウン要求を表す信号をエンジンECU
5へ出力してシフトダウン作動指示を行う。そして、メ
インルーチンへ復帰してS22000へ移行する。する
と、エンジンECU5は、シフトダウン要求を表す信号
に基づいて、トランスミッション17が4速にシフトし
ていた場合には3速へシフトダウンする。その結果、4
速から3速へのシフトダウンによって大きなエンジンブ
レーキが生じ、そのエンジンブレーキにより自車の減速
が行われる。
【0076】S21035において、車間距離制御EC
U4は、目標加速度ATmcと判定値ATmcref3
と大小を判定する。そして、目標加速度ATmcが判定
値ATmcref3より大きい場合(ATmc>ATm
cref3,S21035:YES)はS21040へ
移行し、目標加速度ATmcが判定値ATmcref3
以下の場合(ATmc≦ATmcref3,S2103
5:NO)はメインルーチンへ復帰してS22000へ
移行する。
【0077】S21040において、車間距離制御EC
U4は、シフトダウン要求を表す信号の出力を停止して
シフトダウン作動解除指示を行う。そして、メインルー
チンへ復帰してS22000へ移行する。すなわち、シ
フトダウンによる減速処理により自車が減速し車間距離
が離れた結果、目標加速度ATmcが判定値ATmcr
ef3以上になると、シフトダウンによる減速処理の実
行が解除される。
【0078】次に、S22000において、車間距離制
御ECU4およびブレーキECU6は、ブレーキによる
減速処理を実行する。このブレーキによる減速処理はブ
レーキランプの作動を伴う。図6に、S22000にお
ける処理の詳細を示す。まず、S22010において、
車間距離制御ECU4は、以下のステップにて用いられ
る各判定値ATref4〜ATref6,ATmcre
f4,ATmcref5の設定を行う。
【0079】尚、各判定値ATref5〜ATref6
はマイナスの値であり、判定値ATref4はプラスの
値であり、判定値ATref6は判定値ATref3よ
りも小さな値である(ATref6<ATref3<A
Tref2<ATref1<0)。また、判定値ATr
ef5は、シフトダウンによる減速効果が既に現れてい
るため、判定値ATref6より大きな値として(AT
ref6<ATref5)、ブレーキが作動し難くなる
のを防いでいる。
【0080】また、各判定値ATmcref4はマイナ
スの値であり、判定値ATmcref5はマイナスの値
または0近傍の値であり、判定値ATmcref4は判
定値ATmcref5よりも小さな値である(ATmc
ref4<ATmcref5<0(≒0))。同時に、
判定値ATmcref4は判定値ATmcref3より
も小さな値である(ATmcref4<ATmcref
3<ATmcref2<ATmcref1<0)。
【0081】次に、S22020において、車間距離制
御ECU4は、スロットル開度センサ24の検出した実
スロットル開度をエンジンECU5を介して入力し、実
スロットル開度が全閉(=0°)であるか否か判定す
る。そして、実スロットル開度が全閉の場合(S220
20:YES)はS22030へ移行し、実スロットル
開度が全閉でない場合(S22020:NO)はS22
040へ移行する。
【0082】S22030において、車間距離制御EC
U4は、エンジンECU5から入力されたトランスミッ
ション17のシフト位置の制御状態を表す信号が3速に
対応しているか否かを判定する。そして、トランスミッ
ション17のシフト位置が3速の場合(S22030:
YES)はS22050へ移行し、3速でない場合(S
22030:NO)はS22060へ移行する。
【0083】S22050において、車間距離制御EC
U4は、加速度偏差ATdeltと判定値ATref5
との大小を判定する。そして、加速度偏差ATdelt
が判定値ATref5より小さい場合(ATdelt<
ATref5,S22050:YES)はS22070
へ移行し、加速度偏差ATdeltが判定値ATref
5以上の場合(ATdelt≧ATref5,S220
50:NO)はS22080へ移行する。
【0084】S22060において、車間距離制御EC
U4は、加速度偏差ATdeltと判定値ATref6
との大小を判定する。そして、加速度偏差ATdelt
が判定値ATref6より小さい場合(ATdelt<
ATref6,S22060:YES)はS22070
へ移行し、加速度偏差ATdeltが判定値ATref
6以上の場合(ATdelt≧ATref6,S220
60:NO)はメインルーチンへ復帰してS10000
へ戻る。
【0085】S22070において、車間距離制御EC
U4は、ブレーキ要求を表す信号をブレーキECU6へ
出力してブレーキ作動指示を行う。そして、メインルー
チンへ復帰してS10000へ戻る。また、S2208
0において、車間距離制御ECU4は、目標加速度AT
mcと判定値ATmcref4との大小を判定する。そ
して、目標加速度ATmcが判定値ATmcref4よ
り大きい場合(ATmc>ATmcref4,S220
80:YES)はS22090へ移行し、目標加速度A
Tmcが判定値ATmcref4以下の場合(ATmc
≦ATmcref4,S22080:NO)はメインル
ーチンへ復帰してS10000へ戻る。
【0086】S22090において、車間距離制御EC
U4は、加速度偏差ATdeltと判定値ATref4
との大小を判定する。そして、加速度偏差ATdelt
が判定値ATref4より大きい場合(ATdelt>
ATref4,S22090:YES)はS22040
へ移行し、加速度偏差ATdeltが判定値ATref
4以下の場合(ATdelt≦ATref4,S220
90:NO)はS22100へ移行する。
【0087】S22100において、車間距離制御EC
U4は、目標加速度ATmcと判定値ATmcref5
との大小を判定する。そして、目標加速度ATmcが判
定値ATmcref5より大きい場合(ATmc>AT
mcref5,S22100:YES)はS22040
へ移行し、目標加速度ATmcが判定値ATmcref
5以下の場合(ATmc≦ATmcref5,S221
00:NO)はメインルーチンへ復帰してS10000
へ戻る。
【0088】S22040において、車間距離制御EC
U4は、ブレーキ要求を表す信号の出力を停止してブレ
ーキ作動解除指示を行う。そして、メインルーチンへ復
帰してS10000へ戻る。車間距離制御ECU4から
ブレーキ要求を表す信号が出力されてブレーキ作動指示
が行われると、ブレーキECU6は当該信号に基づいて
ブレーキアクチュエータ21を制御してブレーキ作動を
実行する。その結果、ブレーキアクチュエータ21によ
って制御されたブレーキ作動により自車の減速が行われ
る。
【0089】図7は、ブレーキECU6によるブレーキ
作動の制御系のブロック線図である。現車速Vnが疑似
微分されて実加速度ATjが算出される。その実加速度
ATjと目標加速度ATmcとの偏差である加速度偏差
ATdeltが積分されて積分項が算出される。また、
予め定められたデータマップが参照されて、加速度偏差
ATdeltに対応したマスタシリンダ圧が求められ
る。そして、前記積分項と前記マスタシリンダ圧とが加
算されて、目標とするマスタシリンダ圧(以下、目標マ
スタシリンダ圧という)が算出される。
【0090】目標マスタシリンダ圧と、マスタシリンダ
圧センサ18の検出した実際のマスタシリンダ圧(以
下、実マスタシリンダ圧という)との圧力偏差が算出さ
れる。その圧力偏差の比例項と微分項とが加算され、そ
の加算値がバンドパスフィルタを通されてノイズが除去
されることにより、ブレーキアクチュエータ21の増減
圧指令値が求められる。
【0091】ブレーキアクチュエータ21は、前記増減
圧指令値に基づき、大気圧およびエンジン負圧に対応し
てマスタシリンダ圧の増圧・減圧をデューティ制御する
ことにより車両のブレーキ作動を制御する。そのブレー
キ作動により低下した現車速Vnから実加速度ATde
ltが算出され、制御系の入力側へフィードバックされ
る。
【0092】このように、車間距離制御装置2において
は、加速度偏差ATdeltの減少の程度に基づいて、
各減速処理(フューエルカット,オーバードライブカッ
ト,シフトダウン,ブレーキ)を実行するタイミングを
決定している。すなわち、各減速処理(S19000,
S20000,S21000,S22000)における
各判定値ATref1〜ATref3,ATref6の
大きさが異なるため、各減速処理の作動指示(S190
30,S20030,S21030,S22070)の
開始タイミングが異なってくる。つまり、フューエルカ
ットによる減速処理(S19000)の判定値ATre
f1が最も大きいため、加速度偏差ATdeltが小さ
くなるに従って、まず最初に、フューエルカット作動指
示(S19030)が実行される。そして、オーバード
ライブカットによる減速処理(S20000)の判定値
ATref2が2番目に大きいため、フューエルカット
作動指示の次に、オーバードライブカット作動指示(S
20030)が実行される。そして、シフトダウンによ
る減速処理(S21000)の判定値ATref3が3
番目に大きいため、オーバードライブカット作動指示の
次に、シフトダウン作動指示(S21030)が実行さ
れる。そして、ブレーキによる減速処理(S2200
0)は、前記各減速処理の最終手段であるシフトダウン
作動が必要条件であるか、または、判定値ATref6
が最も小さいため、最後にブレーキ作動指示(S220
30)が実行される。
【0093】尚、このように各減速処理を実行する順番
を設定しているのは、急激な減速によって車体に発生す
る減速ショックを防止した上で、各減速処理を効率的に
行うためである。すなわち、各減速処理によって得られ
る制動力は、フューエルカット→オーバードライブカッ
ト→シフトダウン→ブレーキの順番で大きくなる。その
ため、各減速処理を制動力が大きくなる順番で実行すれ
ば、最初に最も制動力の小さなフューエルカットによる
減速処理が行われることから、急激な減速が行われず減
速ショックが発生しない上に、各減速処理が順次実行さ
れる度に減速度が段階的に増大することから、各減速処
理を効率的に行うことができる。
【0094】逆に、各減速処理を制動力が小さくなる順
番で実行した場合、最初に最も制動力が大きなブレーキ
による減速処理が行われることから、急激な減速が行わ
れて減速ショックが発生する上に、その後に制動力が小
さな減速処理を行っても、その減速処理による減速は最
初の急激な減速に隠れて効果を奏しないことになる。
【0095】このように、車間距離制御装置2において
は、加速度偏差ATdeltによって各減速処理の実行
を決定しているため、実車間距離が目標車間距離より長
い場合でも、先行車に向かって自車が加速して接近する
ときには、自車の実加速度ATjが加速度偏差ATde
ltに反映されることから、各減速処理を早めに実行す
ることが可能になり、両車両の接触を確実に回避するこ
とができる。
【0096】また、実車間距離が目標車間距離とほぼ等
しい場合でも、自車の実加速度ATjが過度に大きいと
きには、その実加速度ATjが加速度偏差ATdelt
に反映されることから、各減速処理を実行することが可
能になり、適切な車間距離を安定して維持することがで
きる。
【0097】そして、車間距離制御装置2においては、
目標加速度ATmcの増大の程度に基づいて、各減速処
理の実行を解除するタイミングを決定している。すなわ
ち、各減速処理(S19000,S20000,S21
000,S22000)における各判定値ATmcre
f1〜ATmcref4の大きさが異なるため、各減速
処理の作動解除指示(S19040,S20040,S
21040,S22040)の開始タイミングが異なっ
てくる。つまり、ブレーキによる減速処理(S2200
0)の判定値ATmcref4を最も小さく設定してい
るため、目標加速度ATmcが大きくなるに従って、ま
ず最初に、ブレーキ作動解除指示(S22040)が実
行され、次に、シフトダウン作動解除指示(S2104
0)が実行され、次に、オーバードライブ作動解除指示
(S20040)が実行され、最後にフューエルカット
作動解除指示(S19040)が実行される。
【0098】つまり、各減速処理は制動力が小さくなる
順番で実行が解除され、各減速処理を実行する順番と解
除する順番とは全く逆になっている。このように、車間
距離制御装置2においては、目標加速度ATmcによっ
て各減速処理の実行の解除を決定しているため、実車間
距離が目標車間距離より短い場合でも、先行車が加速し
て自車から遠ざかってゆくときには、目標加速度ATm
cが増加することから、各減速処理の実行を早めに解除
することが可能になり、適切な車間距離を安定して維持
することができる。
【0099】但し、後述するように、ブレーキによる減
速処理におけるブレーキ作動解除指示は、目標加速度A
Tmcが判定値ATmcref4以上になっただけで実
行されるわけではない。ところで、車間距離制御装置2
におけるブレーキによる減速処理(S22000)にお
いては、実スロットル開度が全閉の場合(S2202
0:YES)にのみブレーキ作動指示(S22070)
への移行を可能とし、実スロットル開度が全閉でない場
合(S22020:NO)にはブレーキ作動解除指示
(S22040)を行う。これは、運転者がアクセルペ
ダルを踏み込むことによりスロットルバルブが開くた
め、スロットルバルブが全閉でない場合、運転者は自車
の速度を維持するか又は加速させる意志をもっていると
判断されることから、その運転者の意志をブレーキによ
る減速処理に優先するためである。
【0100】また、トランスミッション17のシフト位
置が3速の場合(S22030:YES)で、且つ、加
速度偏差ATdeltが判定値ATref5より小さい
場合(S22050:YES)に、ブレーキ作動指示を
行う(S22070)。これは、シフトダウンによる減
速処理(S21000)が実行され、エンジンECU5
がトランスミッション17を4速から3速にシフトダウ
ンしている状態でブレーキによる減速処理(S2200
0)を実行することで、シフトダウンによる減速処理に
より制動力が得られた後にブレーキによる減速処理を行
うためである。
【0101】ところで、車間距離制御ECU4からシフ
トダウン要求を表す信号が出力されてシフトダウン指示
が行われてから、エンジンECU5がトランスミッショ
ン17を制御して実際に4速から3速へシフトダウンす
るまでには、僅かではあるが遅延時間が存在する。
【0102】そこで、エンジンECU5から入力された
トランスミッション17のシフト位置の制御状態を表す
信号に基づいてシフト位置を判定することにより、前記
遅延時間の影響を回避して、ブレーキによる減速処理が
シフトダウンによる減速処理よりも必ず後で行われるよ
うにすることができる。
【0103】また、トランスミッション17のシフト位
置が3速でない場合(S22030:NO)でも、加速
度偏差ATdeltが判定値ATref6より小さい場
合(S22060:YES)には、ブレーキ作動指示を
行う(S22070)。つまり、加速度偏差ATdel
tが判定値ATref6より小さければ、トランスミッ
ション17のシフト位置に関係なくブレーキ作動指示を
行う。これは、加速度偏差ATdeltが非常に小さな
値になったときには自車の急減速が必要であるため、前
記遅延時間の影響を受けることなく、速やかにブレーキ
作動指示を行うためである。例えば、先行車が極めて急
激に減速した場合や、先行車と自車との間に急な割り込
みをした車両があった場合には、自車の急減速が必要と
なる。
【0104】ところで、ブレーキ作動解除指示(S22
040)は、以下の各条件,,が全て満足される
か又は各条件,,が全て満足された場合にのみ実
行される。 条件:加速度偏差ATdeltが判定値ATref5
以上の場合(S22050:NO)。
【0105】条件:目標加速度ATmcが判定値AT
mcref4より大きい場合(S22080:YE
S)。 条件:加速度偏差ATdeltが判定値ATref4
より大きい場合(S22090:YES)。
【0106】条件:目標加速度ATmcが判定値AT
mcref5より大きい場合(S22100:YE
S)。 尚、条件の否定(加速度偏差ATdeltが判定値A
Tref5より小さい場合(S22050:YES))
は、ブレーキ作動指示(S22070)を実行する条件
である。
【0107】このように、各条件,が共に満足され
た場合にブレーキ作動解除指示を実行するのは、単に条
件だけを満足した場合にブレーキ作動を解除すると、
ブレーキ作動解除の直前まで釣り合っていた加速と減速
とのバランスが、ブレーキ作動の突然の解除により崩れ
るためである。加速と減速とのバランスが崩れると、す
ぐに加速度偏差ATdeltが判定値ATref5より
小さくなるため、再度、ブレーキ作動指示が実行される
という事態を招き、このブレーキ作動と解除とが繰り返
されることから、制御のハンチングを引き起こす。そこ
で、条件だけでなく条件が満足された場合(すなわ
ち、目標加速度ATmcが十分に高くなった場合)に、
ブレーキ作動解除指示を実行するのである。すなわち、
ブレーキ作動を解除しても、すぐには加速度偏差ATd
eltが判定値ATref5より小さくならないほど
に、実加速度ATjが低下した後、または、目標加速度
ATmcが上昇した後に、ブレーキ作動を解除するので
ある。
【0108】ところで、勾配の大きな下り坂では、各条
件,だけを共に満足した場合にブレーキ作動を解除
すると、ブレーキ作動の解除後に再び大きな加速を受け
ることになり、すぐに加速度偏差ATdeltが判定値
ATref5より小さくなってブレーキ作動指示が実行
され、制御のハンチングを引き起こすことがある。
【0109】つまり、勾配の大きな下り坂において、車
体は重力加速度の影響を大きく受けるため、減速しよう
としても実加速度ATjが増大するか又は高い状態に維
持され、加速度偏差ATdeltは大きく減少する。こ
こで、各条件,はそれぞれ、勾配の大きな下り坂に
おいては満足されない。従って、勾配の大きな下り坂に
おいては、条件,が共に満足された場合でもブレー
キ作動を解除しないように、各条件,に対して、各
条件,をそれぞれAND条件として加えているわけ
である。このようにすれば、勾配の大きな下り坂におい
てブレーキ作動と解除とが繰り返される制御のハンチン
グを防止することができる。これにより、ブレーキ作動
解除が、その他の各減速処理(フューエルカット,オー
バードライブカット,シフトダウン)の実行の解除より
遅くなることがある。また、各条件,を各減速処理
(フューエルカット,オーバードライブカット,シフト
ダウン)の実行の解除条件にすることもできる。
【0110】尚、条件は条件に含まれるため、各条
件,,が全て満足された場合とは各条件,だ
けが共に満足された場合にほかならない。また、条件
は条件に含まれるため、各条件,,が全て満足
された場合とは各条件,だけが共に満足された場合
にほかならない。
【0111】ところで、上記の車間距離制御装置2にお
けるトランスミッション17は5速オートマチックトラ
ンスミッションであり、4速の減速比が「1」に設定さ
れ、5速の減速比が4速よりも小さな値(例えば、0.
7)に設定された、4速+オーバードライブ(OD)構
成になっている。
【0112】しかし、本発明は、4速オートマチックト
ランスミッションを備えた車間距離制御装置32に実施
することも可能である。その場合、トランスミッション
17は、3速の減速比が「1」に設定され、4速の減速
比が3速よりも小さな値(例えば、0.7)に設定され
た、3速+オーバードライブ構成になる。尚、車間距離
制御装置32の概略構成は、図1に示した車間距離制御
装置2と同じである。車間距離制御装置32の動作に関
して、車間距離制御装置2の動作と異なるのは、以下の
点だけである。
【0113】(1) 図2に示すフローチャートにおいて、
シフトダウンによる減速処理(S21000)が省かれ
ている。そして、フューエルカットによる減速処理(S
19000)→オーバードライブカットによる減速処理
(S20000)→ブレーキによる減速処理(S220
00)の順番で各減速処理の実行が開始される。尚、各
減速処理を実行する順番と解除する順番とは全く逆にな
る。
【0114】(2) 図4に示すシフトダウンによる減速処
理のS20030において、車間距離制御ECU4がオ
ーバードライブカット要求を表す信号をエンジンECU
5へ出力してオーバードライブカット作動指示を行う
と、エンジンECU5は、オーバードライブカット要求
を表す信号に基づいて、トランスミッション17が4速
(すなわち、オーバードライブのシフト位置)にシフト
していた場合には3速へシフトダウンする。その結果、
4速から3速へのシフトダウンによって大きなエンジン
ブレーキが生じ、そのエンジンブレーキにより自車の減
速が行われる。
【0115】次に、車間距離制御装置32の動作を、図
8に示すタイミングチャートを用いて説明する。図8
は、自車の車両重量が1800kgで、目標車間時間T
dを1.6秒に設定し、目標加速度ATmcの下限値が
0.15Gで、道路勾配が0%の道路を走行している際
に、先行車が速度を80kmから50kmに0.1Gの
減速度で急減速した場合における、自車速(現車速V
n),先行車速,実車間距離D,目標スロットル開度M
A,マスタシリンダ(M/C)圧,目標加速度ATm
c,実加速度ATj,フューエルカット要求を表す信号
FSの有無,オーバードライブカット要求を表す信号O
Sの有無、についてそれぞれの時間変化を検証したシミ
ュレーション結果である。
【0116】尚、目標車間時間Tdが1.6秒の場合、
目標車間距離は約36mになる。先行車が減速して実車
間距離Dが短くなると、目標スロットル開度MAが急速
に減少して前記最低値(=0°)に達し、実加速度AT
jも急速に減少する。そして、フューエルカット要求を
表す信号FSが出力されてフューエルカットによる減速
処理が実行され、インジェクタ25からの燃料噴射が停
止されてエンジンブレーキが生じる。次に、オーバード
ライブカット要求を表す信号OSが出力されてオーバー
ドライブカットによる減速処理が実行され、トランスミ
ッション17が4速から3速へシフトダウンされてエン
ジンブレーキが生じる。続いて、先行車が減速を開始し
てから約6秒後に、ブレーキ要求を表す信号が出力され
てブレーキによる減速処理が実行され、マスタシリンダ
(M/C)圧が増大してブレーキが作動する。
【0117】このため、実加速度ATjは、目標スロッ
トル開度MAのみを減少させた場合に比べて、フューエ
ルカット,オーバードライブカット,ブレーキによる各
減速処理によりさらに減少することになる。その結果、
現車速Vnも減少し、実車間距離Dが短くなって両車両
は約10mまで近づくものの接触することはなく、先行
車が減速を開始してから約12秒後には、実車間距離D
が増大し始める。
【0118】図9は、車間距離制御装置32からブレー
キによる減速処理(S22000)を省いた場合におけ
るシミュレーション結果を示すタイミングチャートであ
る。尚、図9における検証条件は図8におけるそれと同
じである。図9に示すように、先行車が減速して実車間
距離Dが短くなると、目標スロットル開度MAが急速に
減少して前記最低値(=0°)に達し、実加速度ATj
も急速に減少する。そして、フューエルカット要求を表
す信号FSが出力されてフューエルカットによる減速処
理が実行され、インジェクタ25からの燃料噴射が停止
されてエンジンブレーキが生じる。次に、オーバードラ
イブカット要求を表す信号OSが出力されてオーバード
ライブカットによる減速処理が実行され、トランスミッ
ション17が4速から3速へシフトダウンされてエンジ
ンブレーキが生じる。
【0119】このため、実加速度ATjは、目標スロッ
トル開度MAのみを減少させた場合に比べて、フューエ
ルカット,オーバードライブカットによる各減速処理に
よりさらに減少することになる。従って、現車速Vnも
減少するが、ブレーキによる減速処理を行わないため、
現車速Vnは緩やかにしか減少しない。その結果、先行
車が減速を開始してから約12秒後には、実車間距離D
が0m以下になって両車両が接触することになる。この
両車両の接触を回避するには、オートクルーズ制御によ
らず、運転者自身がブレーキペダルを踏み込んでブレー
キを作動させる必要がある。
【0120】図10は、車間距離制御装置32からフュ
ーエルカットによる減速処理(S19000)およびオ
ーバードライブカットによる減速処理(S20000)
を省いた場合におけるシミュレーション結果を示すタイ
ミングチャートである。尚、図10における検証条件は
図8におけるそれと同じである。
【0121】図10に示すように、先行車が減速して実
車間距離Dが短くなると、目標スロットル開度MAが急
速に減少して前記最低値(=2〜3°)に達し、実加速
度ATjも急速に減少する。そして、先行車が減速を開
始してから約3秒後に、ブレーキ要求を表す信号が出力
されてブレーキによる減速処理が実行され、マスタシリ
ンダ(M/C)圧が増大してブレーキが作動する。尚、
図10に示す例では、フューエルカット要求を表す信号
が出力されないため、目標スロットル開度MAの最低値
は、図8および図9に示す例のように0°にはならず、
アイドル時に適用されるオフセット開度(=2〜3°)
となる。
【0122】このため、実加速度ATjは、目標スロッ
トル開度MAのみを減少させた場合に比べて、ブレーキ
による減速処理によりさらに減少することになる。その
結果、現車速Vnも減少し、実車間距離Dが短くなって
両車両は約5mまで近づくものの接触することはなく、
先行車が減速を開始してから約12秒後には、実車間距
離Dが増大し始める。
【0123】このように、ブレーキによる減速処理だけ
を実行した場合でも、両車両の接触を回避することがで
きる。しかし、図8に示す実施形態では実車間距離Dの
最低値が10mであるのに対し、図10に示す例では実
車間距離Dの最低値が5mになる。つまり、図10に示
す例では、図8に示す実施形態よりも実車間距離Dが短
くなり過ぎるため、オートクルーズ制御によらず運転者
自身がブレーキペダルを踏んでブレーキを作動させない
と、路面状態や天候によっては両車両が接触する可能性
がある。
【0124】さらに、図10に示す例では、図8に示す
実施形態よりも現車速Vnが急激に減少するため、車体
に減速ショックが発生するおそれがある。そして、図8
に示す実施形態では先行車が減速を開始してから約6秒
後にブレーキ要求を表す信号が出力されてブレーキによ
る減速処理が実行されるのに対し、図10に示す例では
先行車が減速を開始してから約3秒後にブレーキ要求を
表す信号が出力されてブレーキによる減速処理が実行さ
れる。つまり、図10に示す例では、図8に示す実施形
態よりもブレーキ作動が頻発することになる。
【0125】また、図8および図10において、マスタ
シリンダ(M/C)圧の斜線で示す部分の面積がマスタ
シリンダの仕事量となる。つまり、図10に示す例で
は、図8に示す実施形態よりもマスタシリンダの仕事量
が大幅に増大することになる。以上詳述したように、車
間距離制御装置2においては、フューエルカットによる
減速処理(S19000)→オーバードライブカットに
よる減速処理(S20000)→シフトダウンによる減
速処理(S21000)→ブレーキによる減速処理(S
22000)の順番で各減速処理の実行が開始される。
また、車間距離制御装置32においては、フューエルカ
ットによる減速処理→オーバードライブカットによる減
速処理→ブレーキによる減速処理の順番で各減速処理の
実行が開始される。つまり、各車間距離制御装置2,3
2は、ブレーキ以外の各減速処理を全て実行した後で、
ブレーキによる減速処理を実行している。ここで、ブレ
ーキによる減速処理はブレーキランプの作動を伴うが、
それ以外の各減速処理はブレーキランプの作動を伴わな
い。
【0126】従って、各車間距離制御装置2,32によ
れば、ブレーキによる減速処理を実行する以前に、それ
以外の各減速処理によりある程度の減速が得られている
ため、ブレーキ作動の頻発を防止することができる。そ
のため、各車間距離制御装置2,32を備えた車両の運
転者は、ブレーキ作動が頻発してブレーキランプの点灯
も頻発し、それにより後続車両の運転者に対して迷惑を
かけているとの無用な不安感を抱くことはない。そし
て、各車間距離制御装置2,32によるオートクルーズ
制御が、交通全体の流れを乱す原因となるおそれもな
い。
【0127】また、加速度偏差ATdeltが非常に小
さな値になったときには急減速が必要な事態が発生した
として、トランスミッション17のシフト位置に関係な
くブレーキ作動を行うため、先行車が急激に減速した場
合や、先行車と自車との間に急な割り込みをした車両が
あった場合でも、適切な車間距離を安定して維持するこ
とができる。
【0128】さらに、ブレーキ作動が頻発しないため、
ブレーキアクチュエータ21の作動負荷が増大してブレ
ーキアクチュエータ21に過大な負担をかけるのを防止
することが可能になり、ブレーキ設計が簡略化されて開
発に要する手間を低減することができる。
【0129】尚、本発明は上記実施形態に限定されるも
のではなく、以下のように具体化してもよく、その場合
でも、上記実施形態と同様の作用および効果を得ること
ができる。 (1)図3に示すS19020,図4に示すS2002
0,図5に示すS21020,図6に示すS2203
0,S22050,S22060,S22080,S2
2090,S22100のそれぞれの判定処理におい
て、各判定処理における条件が所定時間だけ連続して満
たされた場合にのみ、各ステップからYESの方向へ移
行させるようにする。
【0130】例えば、S19020において、加速度偏
差ATdeltが判定値ATref1より小さい状態が
所定時間(例えば、30msec)連続した場合にの
み、S19030へ移行させる。このようにすれば、何
らかの原因によって発生するノイズの影響を回避して、
車間距離制御装置2,32における上記効果を確実に得
ることができる。
【0131】(2)図6に示すフローチャートにおい
て、フューエルカット要求やオーバードライブカット要
求を表す各信号が車間距離制御ECU4から出力されて
いない場合でも、加速度偏差ATdeltが判定値AT
ref6より小さい場合(S22060:YES)に
は、ブレーキ作動指示(S22070)を行うようにす
る。つまり、加速度偏差ATdeltが判定値ATre
f6より小さい場合には、フューエルカット,オーバー
ドライブカット,シフトダウンの各減速処理に関係な
く、無条件にブレーキを作動させる。このようにすれ
ば、急減速が必要な場合に、より速やかな急減速が可能
になり、先行車と自車との接触を確実に回避することが
できる。
【0132】(3)図3に示すフューエルカットによる
減速処理,図4に示すオーバードライブカットによる減
速処理,図5に示すシフトダウンによる減速処理におい
ても、図6に示すブレーキによる減速処理におけるS2
2080〜S22100と同様の処理を追加して行うよ
うにする。
【0133】このようにすれば、ブレーキによる減速処
理と同様に、フューエルカットによる減速処理,オーバ
ードライブカットによる減速処理,シフトダウンによる
減速処理においても、作動指示と作動解除指示とが繰り
返される制御のハンチングを確実に防止することができ
る。但し、フューエルカットによる減速処理では、その
他の減速処理ほどの減速効果は得られないため、制御の
ハンチングが起こる可能性は少ない。
【0134】(4)上記実施形態の各減速処理(フュー
エルカットによる減速処理、オーバードライブカットに
よる減速処理、シフトダウンによる減速処理、ブレーキ
による減速処理)に加えて、必要な減速度を得るための
様々な減速処理(エンジンの点火時期を遅らせる点火遅
角による減速処理、トルクコンバータをロックアップ状
態にすることによる減速処理、エンジンからの排気の流
動抵抗を増加させる排気ブレーキおよびリターダによる
減速処理、など)を1つ又は任意の複数個組み合わせて
実施する。この場合も、各減速処理を制動力が大きくな
る順番で実行することが望ましい。
【0135】(5)図5に示すシフトダウンによる減速
処理のS21030において、車間距離制御ECU4が
シフトダウン要求を表す信号をエンジンECU5へ出力
してシフトダウン作動指示を行った際に、エンジンEC
U5は、シフトダウン要求を表す信号に基づいて、トラ
ンスミッション17が4速にシフトしていた場合には2
速または1速へシフトダウンする。その結果、4速から
2速または1速へのシフトダウンによって非常に大きな
エンジンブレーキが生じ、そのエンジンブレーキにより
自車の減速が行われる。
【0136】つまり、車間距離制御装置2におけるシフ
トダウンによる減速処理(S21000)において、シ
フトダウンさせる変速段数は1速に限らず、2速以上シ
フトダウンさせるようにしてもよく、そのシフトダウン
させる変速段数は、トランスミッション17の変速段数
や減速比に基づいて最適な値に設定すればよい。
【0137】(6)車間距離制御装置2における図4に
示すオーバードライブカットによる減速処理のS200
30において、車間距離制御ECU4がオーバードライ
ブカット要求を表す信号をエンジンECU5へ出力して
オーバードライブカット作動指示を行った際に、エンジ
ンECU5は、オーバードライブカット要求を表す信号
に基づいて、トランスミッション17が5速(すなわ
ち、オーバードライブのシフト位置)にシフトしていた
場合には3速へシフトダウンする。その結果、5速から
3速へのシフトダウンによって非常に大きなエンジンブ
レーキが生じ、そのエンジンブレーキにより自車の減速
が行われる。
【0138】尚、この場合には、図5に示すシフトダウ
ンによる減速処理のS20030において、車間距離制
御ECU4がシフトダウン要求を表す信号をエンジンE
CU5へ出力してシフトダウン作動指示を行った際に、
エンジンECU5は、シフトダウン要求を表す信号に基
づいて、トランスミッション17が3速にシフトしてい
た場合には2速または1速へシフトダウンする。
【0139】また、車間距離制御装置32における図4
に示すオーバードライブカットによる減速処理のS20
030において、車間距離制御ECU4がオーバードラ
イブカット要求を表す信号をエンジンECU5へ出力し
てオーバードライブカット作動指示を行った際に、エン
ジンECU5は、オーバードライブカット要求を表す信
号に基づいて、トランスミッション17が4速(すなわ
ち、オーバードライブのシフト位置)にシフトしていた
場合には2速または1速へシフトダウンする。その結
果、4速から2速または1速へのシフトダウンによって
非常に大きなエンジンブレーキが生じ、そのエンジンブ
レーキにより自車の減速が行われる。
【0140】つまり、各車間距離制御装置2,32にお
けるオーバードライブカットによる減速処理(S200
00)において、シフトダウンさせる変速段数は1速に
限らず、2速以上シフトダウンさせるようにしてもよ
く、そのシフトダウンさせる変速段数は、トランスミッ
ション17の変速段数や減速比に基づいて最適な値に設
定すればよい。
【0141】尚、本実施形態では、測定車間時間Tnを
目標車間時間に維持させるものについて説明したが、こ
れに限られることなく例えば測定車間距離を目標車間距
離に維持させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した一実施形態の概略構成を表
すブロック図。
【図2】一実施形態の動作を説明するためのフローチャ
ート。
【図3】図2のS19000の処理の詳細を説明するた
めのフローチャート。
【図4】図2のS20000の処理の詳細を説明するた
めのフローチャート。
【図5】図2のS21000の処理の詳細を説明するた
めのフローチャート。
【図6】図2のS22000の処理の詳細を説明するた
めのフローチャート。
【図7】一実施形態におけるブレーキ作動の制御系のブ
ロック線図。
【図8】一実施形態の動作を説明するためのタイミング
チャート。
【図9】一実施形態の効果を説明するために例示したタ
イミングチャート。
【図10】一実施形態の効果を説明するために例示した
タイミングチャート。
【符号の説明】
3…前方認識センサ 4…車間距離制御ECU 5
…エンジンECU6…ブレーキECU 16…スロッ
トルアクチュエータ17…トランスミッション 21
…ブレーキアクチュエータ24…スロットル開度センサ
25…インジェクタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F02D 29/02 301 F02D 29/02 301D 41/12 330 41/12 330J 43/00 301 43/00 301B 301H 301Z G01C 3/06 G01C 3/06 Z G08G 1/16 G08G 1/16 E (72)発明者 笹谷 佳江 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式 会社デンソー内 (56)参考文献 特開 平7−17296(JP,A) 特開 平7−17295(JP,A) 実開 平4−65624(JP,U)

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自車と追従すべき先行車との間の車間距
    離若しくは該車間距離に相当する物理量を検出する車間
    距離検出手段と、 ブレーキランプの作動を伴い、自車に減速力を与える第
    1の減速手段とを有し、 該第1の減速手段を自動で作動させることにより、前記
    車間距離若しくは前記車間距離に相当する物理量を設定
    値に維持させる車間距離制御装置において、 前記ブレーキランプの作動を伴わずに前記自車に減速力
    を与える第2の減速手段と、 前記第1の減速手段の作動に先立ち前記第2の減速手段
    を作動させる減速実行手段とを備えた車間距離制御装置
    であって、 自車の加速度を検出する加速度検出手段と、 現在の車間状態に基づいて、前記車間距離若しくは前記
    車間距離に相当する物理量を設定値に維持するための目
    標加速度を求める目標加速度演算手段とを備え、 前記減速実行手段は、前記目標加速度演算手段にて求め
    られた目標加速度から前記加速度検出手段にて検出され
    た自車の加速度を減算した加速度偏差が、マイナスの値
    である第1の判定値より小さい条件が満足された場合に
    は、前記第2の減速手段に先だって前記第1の減速手段
    を作動させる ことを特徴とする車間距離制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の車間距離制御装置にお
    いて、 自車を走行させるための駆動力を発生する内燃機関と、 当該内燃機関に接続されたトランスミッションとを備
    え、 前記第2の減速手段は、前記内燃機関に燃料が供給され
    るのを阻止するフューエルカット制御、前記トランスミ
    ッションがオーバードライブのシフト位置となるのを禁
    止するオーバードライブカット制御、前記トランスミッ
    ションを高位のシフト位置からシフトダウンさせるシフ
    トダウン制御、前記内燃機関の点火時期を遅らせる点火
    遅角制御、前記トランスミッションが備えたトルクコン
    バータをロックアップ状態にするロックアップ制御、前
    記内燃機関からの排気の流動抵抗を増加させる排気ブレ
    ーキ制御およびリターダ制御、から成るグループから選
    択された少なくとも1つ以上の制御を実行することによ
    り自車の速度を低下させることを特徴とする車間距離制
    御装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の車間距離制御装置にお
    いて、 前記第2の減速手段は、前記各制御が複数個選択された
    場合、選択された各制御を車両に対する制動力が大きく
    なる順番に実行することを特徴とする車間距離制御装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項1〜のいずれか1項に記載の車
    間距離制御装置において、 前記内燃機関のスロットル開度が全閉状態でない場合
    に、前記第1の減速手段の作動を解除する減速解除手段
    を備えたことを特徴とする車間距離制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の車
    間距離制御装置において、 前記減速実行手段は、前記加速度偏差が、前記第1の判
    定値より大きいマイナスの値である第2の判定値より小
    さい条件が満足された場合に、前記第1の減速手段また
    は前記第2の減速手段を作動させ、 前記減速解除手段は、前記減速実行手段の作動条件が不
    成立であり、前記目標加速度がマイナスの値である第3
    の判定値より大きい条件が満足された場合に、前記第1
    の減速手段または前記第2の減速手段の作動を解除する
    ことを特徴とする車間距離制御装置。
  6. 【請求項6】 請求項に記載の車間距離制御装置にお
    いて、 前記減速解除手段は、請求項に記載の構成に代えて、 前記減速実行手段の作動条件が不成立であり、前記目標
    加速度がマイナスの値である第3の判定値より大きい条
    件が満足され、且つ、前記加速度偏差が前記第2の判定
    値より大きいマイナスの値である第4の判定値より大き
    い条件が満足された場合に、前記第1の減速手段または
    前記第2の減速手段の作動を解除する構成にしたことを
    特徴とする車間距離制御装置。
  7. 【請求項7】 請求項に記載の車間距離制御装置にお
    いて、 前記減速解除手段は、請求項に記載の構成に代えて、 前記減速実行手段の作動条件が不成立であり、前記目標
    加速度がマイナスの値である第3の判定値より大きい条
    件が満足され、且つ、前記加速度偏差が前記第2の判定
    値より大きいマイナスの値である第4の判定値より大き
    い条件が満足された場合、 あるいは、 前記減速実行手段の作動条件が不成立であり、前記第3
    の判定値より大きいマイナスの値またはゼロ近傍の値で
    ある第5の判定値より、前記目標加速度が大きい条件が
    満足された場合に、 前記第1の減速手段または前記第2の減速手段の作動を
    解除する構成にしたことを特徴とする車間距離制御装
    置。
  8. 【請求項8】 請求項のいずれか1項に記載の車
    間距離制御装置において、 前記目標加速度演算手段は、 自車と前記先行車との間の速度関係および距離関係を前
    記車間状態とすることを特徴とする車間距離制御装置。
  9. 【請求項9】 請求項に記載の車間距離制御装置にお
    いて、 前記速度関係とは、自車と前記先行車との相対速度で表
    す関係であることを特徴とする車間距離制御装置。
  10. 【請求項10】 請求項または請求項に記載の車間
    距離制御装置において、 前記距離関係とは、前記車間距離と前記設定値若しくは
    前記車間距離に相当する物理量と前記設定値との関係で
    あることを特徴とする車間距離制御装置。
  11. 【請求項11】 請求項10のいずれか1項に記載
    の車間距離制御装置において、 前記距離関係とは、前記車間距離と前記設定値との偏差
    若しくは前記車間距離に相当する物理量と前記設定値と
    の偏差であることを特徴とする車間距離制御装置。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11のいずれか1項に記載
    の車間距離制御装置において、 前記車間距離に相当する物理量とは、前記先行車と自車
    との車間距離を自車の車速にて走行するのに要する時間
    である車間時間で表される量であることを特徴とする車
    間距離制御装置。
  13. 【請求項13】 請求項12のいずれか1項に記載
    の車間距離制御装置において、 前記車間距離若しくは前記車間距離に相当する物理量が
    設定値に維持されるように、前記加速度偏差に基づいて
    前記内燃機関の駆動力を調整する調整手段を備えたこと
    を特徴とする車間距離制御装置。
  14. 【請求項14】 請求項13に記載の車間距離制御装置
    において、 前記調整手段は、スロットル開度の調整により前記内燃
    機関の駆動力を調整することを特徴とする車間距離制御
    装置。
JP34160797A 1997-12-11 1997-12-11 車間距離制御装置 Expired - Fee Related JP3284951B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34160797A JP3284951B2 (ja) 1997-12-11 1997-12-11 車間距離制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34160797A JP3284951B2 (ja) 1997-12-11 1997-12-11 車間距離制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11170889A JPH11170889A (ja) 1999-06-29
JP3284951B2 true JP3284951B2 (ja) 2002-05-27

Family

ID=18347396

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34160797A Expired - Fee Related JP3284951B2 (ja) 1997-12-11 1997-12-11 車間距離制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3284951B2 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3557890B2 (ja) * 1998-03-03 2004-08-25 三菱ふそうトラック・バス株式会社 車間距離制御装置
JP4790522B2 (ja) * 2005-08-24 2011-10-12 日野自動車株式会社 自動制動制御装置
JP4998374B2 (ja) * 2008-05-30 2012-08-15 トヨタ自動車株式会社 車両の制御装置
JP5672494B2 (ja) * 2011-04-25 2015-02-18 トヨタ自動車株式会社 車両制御装置
JP5927717B2 (ja) * 2012-03-30 2016-06-01 本田技研工業株式会社 走行制御装置
JP5991220B2 (ja) * 2013-02-08 2016-09-14 トヨタ自動車株式会社 運転支援装置
JP2015123831A (ja) * 2013-12-26 2015-07-06 富士重工業株式会社 車両の制御装置及び制御方法
JP6379510B2 (ja) * 2014-02-18 2018-08-29 日産自動車株式会社 運転診断装置および保険料算定方法
JP2019090392A (ja) * 2017-11-16 2019-06-13 日立オートモティブシステムズ株式会社 車両制御装置
JP6608974B2 (ja) 2018-01-15 2019-11-20 本田技研工業株式会社 車両及び制御装置
JP2019123327A (ja) * 2018-01-15 2019-07-25 本田技研工業株式会社 車両用制御装置及び車載装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH11170889A (ja) 1999-06-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6418370B1 (en) Apparatus and method for controlling a target distance and a warning distance between traveling vehicles and a recording medium for storing the control method
US6769504B2 (en) Adaptive cruise control system for vehicle
US6687595B2 (en) Adaptive cruise control system for vehicle
US7447583B2 (en) Vehicle control apparatus
JP3022115B2 (ja) 車載制御システムの制御目標変更装置
JP3284951B2 (ja) 車間距離制御装置
JP2000293782A (ja) 自動走行制御装置
US6594574B2 (en) Inter-vehicle distance control apparatus and a recording medium for the same
JP3486083B2 (ja) 車間距離制御装置
US6272416B1 (en) Vehicle drive force control device
JP2004175148A (ja) 車速制御装置およびプログラム
JP3107004B2 (ja) 車間制御装置および記録媒体
JP2940174B2 (ja) 車両用走行制御装置
JP3375270B2 (ja) 車間距離制御装置
JP3728985B2 (ja) 車両走行制御装置
JP2910581B2 (ja) 車両用定速走行制御装置
JP3266081B2 (ja) 車間距離制御装置
JP3622533B2 (ja) 車間制御装置
JPH10162299A (ja) 車両の制御装置
JP3666345B2 (ja) 自動走行制御装置
JPH09323585A (ja) 車両用減速警告装置
JP2006071084A (ja) 車両用駆動力制御装置
JP2000142167A (ja) 車間制御装置及び記録媒体
JP3221379B2 (ja) 車間距離制御装置
JP2000118262A (ja) 車間制御装置及び記録媒体

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110308

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120308

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120308

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130308

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140308

Year of fee payment: 12

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees