JP3284620B2 - アンチスキッド制御装置 - Google Patents

アンチスキッド制御装置

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JP3284620B2 JP30486992A JP30486992A JP3284620B2 JP 3284620 B2 JP3284620 B2 JP 3284620B2 JP 30486992 A JP30486992 A JP 30486992A JP 30486992 A JP30486992 A JP 30486992A JP 3284620 B2 JP3284620 B2 JP 3284620B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電動モータを備えたア
ンチスキッド制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より電動モータを備えたアンチスキ
ッド制御装置が知られている。例えば、特開平4─16
6463号公報には、(1) 正・逆両方向に回転可能な電
動モータと、(2) その電動モータの正方向および逆方向
の回転によって後退および前進させられる可動部材と、
(3) その可動部材の後退および前進により容積が減少お
よび増大させられ、車輪の回転を抑制するブレーキシリ
ンダに連通させられた液室と、(4) 前記電動モータを正
方向に回転させてブレーキシリンダの液圧を増大させ、
あるいは逆方向に回転させてブレーキシリンダの液圧を
減少させるモータ制御装置とを備え、ブレーキシリンダ
圧を車輪のスリップ量,スリップ率等が適正範囲内にな
るよう制御するアンチスキッド制御装置が記載されてい
る。
【0003】また、特開平3─50059号公報には、
増圧位置,保持位置,減圧位置に切り換え可能な3位置
電磁弁を制御する電磁弁制御装置を備えたアンチスキッ
ド制御装置が記載されている。この公報に記載のアンチ
スキッド制御装置においては、電磁弁制御装置が3位置
電磁弁を、図8に示すグラフに基づいてスリップ状態量
に応じた大きさ(デューティ比)の電流を供給すること
によって制御するのである。スリップ状態量は、後述す
るようにブレーキシリンダ圧変更要求量であり、正の場
合には増圧制御の要求があることを、負の場合には減圧
制御の要求があることを示している。また、スリップ状
態量が正で、増加傾向にある場合には制動力不足の程度
が増していて、ブレーキシリンダ圧の増圧勾配を増す要
求があり、減少傾向にある場合には増圧勾配を緩める要
求があることを示している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の発明者等は、
特開平4─166463号公報に記載の電動モータに特
開平3─50059号公報に記載の電磁弁制御と同じ制
御を適用することを試みた。その結果、電動モータを電
磁弁と同様に制御する場合には増圧し過ぎが生じること
が明らかになった。電磁弁制御装置においては、スリッ
プ状態量が極大値から減少中であって、ブレーキシリン
ダの増圧勾配を緩める要求がある場合には、図8のテー
ブルに示すように、供給電流が徐々に小さくされるので
あるが、電動モータの回転速度はこの供給電流の減少に
対応しては小さくはならないのである。すなわち、電動
モータの回転速度は、電動モータの有する慣性のため、
電流の大きさの漸減に伴って直ちには小さくならず、遅
れて減少するのである。また、スリップ状態量が大きい
ほど多くの電流が供給されるため、電動モータの回転速
度が大きくなるとともに慣性が大きくなり、より減速し
難くなるのである。
【0005】本発明は、以上の事情を背景として、電動
モータによりブレーキシリンダ圧が制御されるアンチス
キッド制御装置において、増圧し過ぎを回避し、液圧制
御精度を向上させることを課題としてなされたものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、図11
に示すように、前記(1) 電動モータ1と、(2) 可動部材
2と、(3) 液室3と、(4) モータ制御装置4とを備えた
アンチスキッド制御装置において、モータ制御装置4
に、ブレーキシリンダの液圧の変更要求量であるブレー
キシリンダ圧変更要求量の極大値に予め定められた係数
を掛けたしきい値を決定するしきい値決定手段5と、
動モータが正方向に回転中であって、かつ、前記ブレー
キシリンダ圧変更要求量が前記極大値から前記しきい値
決定手段によって決定されたしきい値まで減少した場合
に、前記電動モータの電気的な回転抑制を開始する回転
抑制手段6とを設けたことにある。
【0007】
【作用】本発明のアンチスキッド制御装置においては、
電動モータが正方向に回転中であって、かつ、スリップ
状態量が極大値からその極大値と予め定められた係数と
の積だけ減少した場合に、電動モータの電気的な回転抑
制が回転抑制手段によって開始される。回転抑制手段と
しては、電動モータにそれまでとは反対の逆方向に回転
させる電圧を印加する所謂逆相制動手段や、電動モータ
を発電機として作用させる所謂発電制動手段等が採用可
能である。すなわち、電動モータの回転は、電磁弁のよ
うに供給電流を漸減させてもそれに対応して直ちには減
速せず、遅れて減速するのであるが、本発明のモータ制
御装置のように回転を積極的に抑制すれば、その遅れを
小さくし、あるいは無くすことができる。
【0008】「スリップ状態量が極大値からその極大値
と予め定められた係数との積だけ減少した場合」は、例
えば、スリップ状態量が極大値からその極大値の60%
の大きさだけ減少した場合である。言い換えれば、スリ
ップ状態量が増加傾向から減少傾向に転じ、その極大値
の40%の大きさ(以下、しきい値と称する)まで減少
した場合である。したがって、上記しきい値は、スリッ
プ状態量の極大値が大きい場合には大きく、小さい場合
には小さくなる。例えば、スリップ状態量が前述のよう
なブレーキシリンダ圧変更要求量であり、スリップ状態
量と供給電流の大きさとの間に図8に示すような関係が
ある場合には、スリップ状態量が正でその絶対値が大き
いほど電動モータに供給される電流が大きくされるた
め、電動モータの正方向の回転速度が大きくなり、慣性
が大きくなる。したがって、しきい値は、慣性が大きい
場合には大きく、慣性が小さい場合には小さくされるの
である。
【0009】
【発明の効果】本発明のアンチスキッド制御装置によれ
ば、電動モータの正方向の回転が良好に減速されるた
め、増圧勾配を適正に緩やかにすることができ、増圧し
過ぎを回避することができる。また、しきい値が慣性に
応じて決められるため、慣性に応じて減速を行うことが
でき、液圧制御精度を向上させることができる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の一実施例のアンチスキッド制
御装置を車両に搭載した場合を図面に基づいて詳細に説
明する。図5において10はマスタシリンダであり、こ
のマスタシリンダ10にバキュームブースタ(以下、単
にブースタという)12を介してブレーキペダル14が
連結されている。マスタシリンダ10は2個の加圧ピス
トン18,20を直列に備えたタンデム型であり、ブレ
ーキペダル14の踏込みに応じて2個の独立した加圧室
22,24にほぼ同じ高さの液圧を発生させる。符号2
6はブレーキ液を大気圧で収容するリザーバである。ブ
ースタ12はブレーキペダル14に加えられる踏力を倍
力し、その倍力した踏力をプッシュロッド28を介して
加圧ピストン20に伝達するものである。
【0011】マスタシリンダ10の一方の加圧室22に
発生した液圧は主液通路30,31,32および34に
より右前輪36,左後輪38の各ブレーキのブレーキシ
リンダ40,42に伝達され、他方の加圧室24に発生
した液圧は主液通路46,47,48および50により
左前輪52,右後輪54の各ブレーキのブレーキシリン
ダ56,58に伝達される。主液通路32と34との
間、48と50との間にはそれぞれプロポーショニング
バルブ60,62が設けられている。本ブレーキシステ
ムはX配管式なのである。
【0012】前記液通路30と液通路31との間には液
圧制御装置88が設けられており、液通路46と液通路
47との間には液圧制御装置90が設けられている。液
圧制御装置88と液圧制御装置90とは同じものである
ため、ここでは液圧制御装置90について説明する。図
6に示すように、液圧制御装置90のハウジング92内
には有底のシリンダボア94が形成されている。シリン
ダボア94には液圧制御ピストン96が液密かつ軸方向
に摺動可能に嵌合され、その液圧制御ピストン96の後
方に液室98が形成されている。液室98は、ポート1
00によって液通路46に接続されるとともにポート1
06によって液通路47に接続されている。上記ポート
100と液室98との間には開閉弁110が設けられて
いる。開閉弁110は弁子112,弁座114,スプリ
ング116等を備えており、弁子112はスプリング1
16により弁座114に着座する方向に付勢されてい
る。
【0013】液圧制御ピストン96が後退端に位置する
場合には、制御ピストン96の端面に設けられた突部1
20が弁子112をスプリング116の弾性力に抗して
弁座114から離間させることによって、液通路46と
液通路47とを連通させる。液圧制御ピストン96が僅
かに前進すれば、突部120が弁子112から離れ、開
閉弁110が閉じて液通路46と液通路47とを遮断す
る。
【0014】一方、ハウジング92には、スプライン孔
130が同心に形成され、ナット132がその外周面に
形成されたスプライン134において軸方向に移動可能
かつ回転不能に嵌合されている。このナット132には
ボールねじ136が螺合されている。
【0015】ボールねじ136の液圧制御ピストン96
側とは反対側の端部140は軸受142,144を介し
てハウジング92により回転可能かつ軸方向に移動不能
に支持されている。この端部140の軸受142と14
4との間の部分にはギヤ146が相対回転不能に取り付
けられるとともに、ピニオン148に噛み合わされてい
る。ピニオン148の軸部150はクラッチ152を介
して直流サーボモータ(以下、単にモータと称する)1
60に接続されている。クラッチ152は、モータ16
0の正・逆両方向の回転のピニオン148への伝達は許
容するが、ピニオン148の正,逆両方向の回転のモー
タ160への伝達は阻止するクラッチである。
【0016】ボールねじ136はギヤ146,ピニオン
148を介してモータ160により回転させられ、それ
によりナット132が前進,後退させられる。また、ナ
ット132が前進させられれば、それに伴って、液圧制
御ピストン96も液室98の液圧の作用によって前進さ
せられ、開閉弁110は閉じる。その後、液室98の容
積が増大し、液室98の液圧が減少させられるとともに
ホイールシリンダ56,58の液圧が減少させられる。
この場合には、ボールねじ136は、液圧制御ピストン
96に形成された有底孔162に収容される。ナット1
32が後退させられれば、液圧制御ピストン96もナッ
ト132の端面に押されて後退させられる。液室98の
容積が減少し、液室98の液圧が増大する。液圧制御ピ
ストン96が後退端に達すれば、開閉弁110が開かれ
る。
【0017】また、シリンダボア94の開口部に設けら
れた皿ばねから成るストッパ164と、ベアリング14
2と段部166との間に配設された皿ばねおよびワッシ
ャから成るストッパ168とによってナット132の後
退端および前進端がそれぞれ規定されており、ナット1
32が、これらストッパ164あるいは168に当接す
れば、モータ160の回転が強制的に阻止される。
【0018】モータ160は、図6に示すように、アン
チスキッド制御ユニット(以下、単にユニットという)
170により制御される。ユニット170は、図示しな
いCPU,ROM,RAM,入力部,出力部およびそれ
らを接続するバスを有するコンピュータを主体とするも
のである。ユニット170の入力部には、左右前輪5
2,36の回転速度をそれぞれ検出する回転速度センサ
172,174の出力信号,左右後輪38,54の回転
速度を検出する回転速度センサ176,177の出力信
号,ブレーキペダル14が踏み込まれているか否かを検
出するブレーキスイッチ179の検出結果が供給されて
いる。また、ROMには推定車体速度,スリップ率等を
演算するプログラム、図1〜4にフローチャートで示す
プログラム,図8,9に示すテーブル等が格納されてい
る。
【0019】ユニット170の出力部には、モータ制御
回路180を介してモータ160が、モータ制御回路1
81を介して図示しないモータがそれぞれ接続されてい
る。上記プログラムの演算結果に基づいてモータ160
等が制御され、車輪36,38,52,54のスリップ
率ができる限り適正値に近い値に制御される。
【0020】モータ制御回路180は図7に示すよう
に、主回路182,デューティ制御回路184,フィー
ドバック回路186等を備えている。モータ制御回路1
81はモータ制御回路180と同様の構造であるため、
図示および説明を省略する。主回路182は電流供給方
向切換用のMOS型FET188および電流量制御用の
MOS型FET190を直列に有する逆転用回路192
と、電流供給方向切換用のMOS型FET194および
電流量制御用のMOS型FET196を直列に有する正
転用回路198とを備えている。逆転用回路192およ
び正転用回路198は直流電源200,直流サーボモー
タ160,抵抗器202を共通に含む閉回路となってい
る。
【0021】逆転用回路192のFET188は、ユニ
ット170から出力された逆転指令信号LINが増幅器に
よって増幅された信号がハイレベル(以下、ユニット1
70が逆転指令信号H−LINを出力したと略記する)の
とき導通し、モータ160を逆方向に回転させる向きP
に電流が流れることを許容する。また、同様に、正転用
回路198のFET194は、正転指令信号RINが増幅
された信号がハイレベル(以下、ユニット170が正転
指令信号H−RINを出力したときと略記する)のとき導
通し、モータ160を正方向に回転させる方向Qに電流
が流れることを許容する。
【0022】デューティ制御回路184は、差動増幅器
204,PWM発生回路206,AND回路,増幅器等
を含んでおり、ユニット170から出力される電流値指
令信号RPWM ,LPWM が差動増幅器204,PWM発生
回路206,AND回路,増幅器等を経て電流量制御用
のMOS型FET190,196に供給される。直流電
源200の電流は、電流量制御用のMOS型FET19
0あるいは196を介してモータ160に供給され、そ
の回転速度が制御されるのである。
【0023】また、フィードバック回路186は抵抗器
202の両端子間の電圧差を検出する検出回路,差動増
幅器208等を備えており、検出回路によって検出され
た信号が差動増幅器208により増幅されて差動増幅器
204にフィードバック信号として供給されるようにな
っている。差動増幅器204はユニット170から出力
された電流値指令信号RPWM あるいはLPWM とフィード
バック信号との差に応じた信号をPWM発生回路206
に供給する。したがって、FET190,196には出
力信号RPWM ,LPWM がフィードバック信号により補正
された信号が供給されるのである。
【0024】ユニット170から出力される電流値指令
信号RPWM ,LPWM 、すなわち、デューティ制御比Dpw
m は図8に示すテーブルに基づいて求められる。図から
明らかなように、スリップ状態量Ws が0近傍の値であ
る場合には、デューティ制御比Dpwm は0であるが、ス
リップ状態量Ws が正あるいは負でその絶対値が大きく
なればデューティ制御比Dpwm は正あるいは負でその絶
対値が大きくなることがわかる。ここで、正のデューテ
ィ制御比Dpwm は増圧制御を示し、負のデューティ制御
比Dpwm は減圧制御を示しており、負の場合には、符号
を反転させて正の信号として出力するようになってい
る。
【0025】本実施例におけるスリップ状態量Ws は、
特開平3─50059号公報に記載の発明におけると同
様に次式から求められ、車輪のスリップ量と、車輪加速
度と推定車体加速度との差とによって決まる。 Ws =Ka ・(Vw −Vs )+Kb ・(Gw −Gs ) ただし、Vw は車輪速度,Vs は目標車輪速度,Gw は
車輪加速度,Gs は推定車体加速度,Ka ,Kb は定数
であって加速度1Gが速度差2km/hに相当するよう
に決定されている。制動時には、通常、推定車体速度V
soは一般的に直線的に減少するため推定車体加速度Gs
はほぼ一定の負の値となり、第2項のかっこ内は車輪加
速度Gw にほぼ一定値を加えた大きさとなる。そのた
め、スリップ状態量Ws は第1項のかっこ内のスリップ
量に車輪加速度を加味した値であると考えることがで
き、スリップ状態量の時間に対する減少,増加等変化は
第1項のそれとほぼ同じであるが、第1項より早い時点
で生じる。
【0026】スリップ状態量Ws が正であるということ
は、スリップ量あるいはスリップ率(目標車輪速度Vs
の決め方で変わる)自体とそれの増大の兆候との和が小
さいということで、ブレーキシリンダ圧が不足している
ことを示しており、負であるということは、上記和が大
きく、ブレーキシリンダ圧が過大であることを示してい
る。また、正負いずれの場合においてもスリップ状態量
Ws の絶対値が大きければ、ブレーキシリンダ圧を急激
に制御して変化速度を大きくする必要があることを示し
ている。また、スリップ状態量Ws が正で増加傾向にあ
るということは、ブレーキシリンダ圧の不足傾向が増し
つつあることを示しているため、増圧勾配を増す必要が
あり、減少傾向にあるということはブレーキシリンダ圧
の不足傾向が減少しつつあることを示しているため、増
圧勾配を減少させる必要がある。それに対して、スリッ
プ状態量Ws が負でその絶対値が増加傾向にあるという
ことは、ブレーキシリンダ圧の過大傾向が増しつつある
ことを示しているため、減圧勾配を増す必要があり、減
少傾向にあるということはブレーキシリンダ圧の過大傾
向が減少しつつあることを示しているため、減圧勾配を
減少させる必要がある。つまり、スリップ状態量Ws は
ブレーキシリンダ圧変更要求量であり、ブレーキシリン
ダ圧をスリップ状態量Ws の要求通りに制御できれば、
制動性能を向上させることができるのである。
【0027】モータ制御回路180におけるユニット1
70の制御は表1に基づいて行われる。
【0028】
【表1】
【0029】スリップ状態量Ws が正で絶対値が大きい
場合には、増圧モードが設定される。ユニット170が
正転指令信号H−RINを出力するとともに、図8のテー
ブルから求められたデューティ制御比Dpwm の絶対値
(この場合は、もともと正の値であるから求められたま
まの値)を電流値指令信号RPWM として出力する。その
結果、正転用回路198によって矢印Qの方向に電流が
流れさせられ、モータ160はFET196に制御され
た回転速度で正方向に回転させられる。液圧制御ピスト
ン96が後退させられて液室98の容積が減少させら
れ、ホイールシリンダ56,58の液圧が増加させられ
る。
【0030】スリップ状態量Ws が正で、減少中であっ
て、後述するしきい値Wsdになった場合には、増圧制動
保持モードが設定される。ユニット170によって、逆
転指令信号H−LINとデューティ制御比0%の電流値指
令信号LPWM とが出力されることによって発電制動が行
われ、モータ160の正方向の回転が抑制される。増圧
制動保持モードが設定されることによって、モータ16
0が電源200から切り離されて閉回路210が形成さ
れる。その結果、モータ160は発電機として作用する
ことになるため、閉回路210にはその逆起電力によっ
て矢印Rの方向に電流が流れさせられる。この方向R
は、モータ160を逆方向に回転させる場合に流れる電
流の方向Pと同じであり、発電によるエネルギは閉回路
210内で消費されて、モータ160の回転が抑制され
る。このように、モータ160の正方向の回転が抑制さ
れることによってホイールシリンダ56,58の増圧勾
配が緩やかにされる。いいかえれば、増圧勾配を緩やか
にするためには、電流値指令信号RPWM の値を小さくし
ても、モータ160の慣性のため、一旦速くなった回転
速度を小さくすることは直ちにはできないため、回転を
抑制することによって回転速度を小さくし、増圧勾配を
緩やかにするのである。
【0031】スリップ状態量Ws が負で、絶対値が大き
い場合には、ユニット170は逆転指令信号H−LINを
出力するとともに、図8のテーブルに基づいたデューテ
ィ制御比Dpwm の絶対値(負の符号を除いた値)を電流
値指令信号LPWM として出力する。その結果、逆転用回
路192には矢印Pの方向の電流が流れさせられ、モー
タ160は逆方向にFET190に制御された速度で回
転させられる。これにより液圧制御ピストン96が前進
させられてホイールシリンダ56,58の液圧は減少さ
せられる。
【0032】スリップ状態量Ws が負で、かつ、減少傾
向から増加傾向に転じた場合には、減圧制動モードが設
定され、それまでとは逆方向、すなわち正方向に回転さ
せる方向の電圧がモータ160に与えられる。ユニット
170は正転指令信号H−RIN,デューティ制御比10
0%の電流値指令信号RPWM を出力する。その結果、正
転用回路198に矢印Qの方向に電流を流れさせる向き
に電圧が印加され、モータ160の回転は抑制される。
すなわち、減圧勾配が緩められるのである。
【0033】減圧制動モードが設定されてから設定時間
経過後に、減圧制動保持モードが設定される。ユニット
170によって、正転指令信号H−RINとデューティ制
御比0%の電流値指令信号RPWM とが出力される。減圧
制動保持モードが設定されることによって閉回路210
が形成され、前述のように、モータ160の回転が抑制
される。
【0034】上記減圧制動モードの実行時間は、図9に
示すように、それまでモータ160が逆方向に連続して
回転していた時間に応じて設定される。図から明らかな
ように、減圧時間が長くモータ160が定常状態に達し
ていた場合には、減圧制動モードの実行時間が長く設定
され、減圧時間が短く定常状態に達していなかった場合
には短く設定される。
【0035】本実施例においては、モータ160が停止
したことを確認してから減圧制動モードから減圧制動保
持モードに切り換えるのではなく、上記設定時間経過後
に、モータ160の回転が停止していなくても減圧制動
保持モードに切り換えるのである。設定時間が長すぎる
とモータ160が正方向に回転してしまう恐れがあるた
め、設定時間は、モータ160の回転を停止させるのに
必要な時間よりやや短めに設定される。
【0036】アンチスキッド制御が終了した場合には、
制御終了モードが設定される。すなわち、液圧制御ピス
トン96を後退端位置に移動させる処理である。この際
には速度制御を行う必要はないが、液圧制御ピストン9
6のストッパ164への衝突を緩和するために、デュー
ティ制御比40%とした場合の増圧モードとされてい
る。アンチスキッド制御終了処理完了後、すなわち、制
御が終了し、上記液圧制御ピストン96が後退端位置に
戻された後には、非制御モードが設定され、ユニット1
70から信号は出力されない状態となる。
【0037】以上のように構成された液圧ブレーキ装置
においては、通常は、ブレーキペダル14が踏み込まれ
れば、加圧ピストン18,20が前進させられて加圧室
22,24に液圧が発生し、その液圧がそのままホイー
ルシリンダ40,42,56,58に伝達されて車輪の
回転が抑制される。
【0038】ブレーキペダル14の踏込み力が路面の摩
擦係数との関係で過大となり、車輪のスリップ率が適正
範囲を超えた場合には、アンチスキッド制御が行われ
る。ユニット170はモータ160を制御することによ
って液圧制御装置88,90の液圧制御ピストンを作動
させ、ブレーキシリンダ圧を適正なスリップ率が得られ
るように制御するのである。アンチスキッド制御は液圧
制御装置88,90それぞれに対して独立に行われる
が、以下、液圧制御装置90における制御について、図
1ないし4のフローチャートに基づいて説明する。液圧
制御装置88における制御についての説明は液圧制御装
置90における制御と同様であるため省略する。
【0039】図2のフローチャートに示すメインルーチ
ンは常時繰り返し実行される。このメインルーチンは液
圧制御装置88,90に共通のルーチンである。まず、
ステップ1(以下、S1と略称する。他のステップにつ
いても同じ)において、ユニット170のRAMに設け
られている各フラグ,カウンタ等をクリアする等の初期
化が行われる。S2において、回転速度センサ172〜
177の出力値Vw**(**:FL,FR,RL,RR )が読み
込まれ、推定車体速度Vsoが演算される。通常は最大車
輪速度が車体速度を表すとし、その最大車輪速度の減速
度が1.2Gを越えた場合は減速度を1.2Gに固定し
て車体速度を演算することが行われるのである。
【0040】S3において、式Vs =Vso−Kso・ΔV
から目標車輪速度Vs が求められ、S4において、推定
車体加速度Gs が式Gs =Kso(Vso(n) −Vso(n-1)
)/ΔTから求められ、車輪加速度Gw が式Gw =Kw
(Vw(n)−Vw(n-1))/ΔTから求められる。ここ
で、Kso,ΔV,Kw ,Ksoは定数,添字n,n−1は
今回演算値,前回演算値をそれぞれ示している。
【0041】S5において、予めROMに記憶されてい
る値Vso,Vs ,Gw ,Gs の妥当範囲が読み込まれ、
S6において、S2〜S4で求められたこれらの値Vs
o,Vs ,Gw ,Gs とS5において読み込まれた範囲
とが比較され、求められた値が妥当であるか否かが判定
される。異常であると判定された場合には、S7におい
て異常フラグがセットされ、運転者に警告が発せられ
る。S8において、液圧制御ピストン96を後退端に移
動させることによって、マスタシリンダ12の加圧室2
4とホイールシリンダ56,58とが連通させられ、非
制御モードが設定され、S2に戻される。異常であると
判定された場合には、割り込み信号が発せられても、割
り込みルーチンが実行されないようになっている。ま
た、異常でないと判定されれば、そのままS2に戻され
る。
【0042】メインルーチンの実行中に割り込み信号が
発せられれば、図3のフローチャートに示す割り込みル
ーチンが実行される。割り込み信号は、例えば5ms毎
に発せられ、1回の実行が終わる毎にメインルーチンに
戻される。液圧制御装置90は、左前輪52,右後輪5
4のスリップ率が適正範囲内になるよう制御されるもの
であるが、ここでは、左前輪52に対して制御される場
合について説明する。
【0043】S20において、スリップ状態量Ws が、
左前輪52の車輪速度VwFL ,目標車輪速度Vs ,車輪
加速度GwFL ,車体加速度Gs から前述の式Ws =Ka
・(VwFL −Vs )+Kb ・(GwFL −Gs )に基づい
て演算される。S21において、アンチスキッド制御フ
ラグFsta が1か否かが判定される。
【0044】本ルーチンが最初に実行される場合には、
アンチスキッド制御フラグFsta は0であるため、NO
と判定され、S22,23においてアンチスキッド制御
開始条件が満たされたか否かが判定される。S22にお
いて、ブレーキスイッチ179の出力信号が読み込ま
れ、S23において、ブレーキスイッチ179の出力信
号がONで、かつ、S20で演算されたスリップ状態量
Ws が負の値であってその絶対値が設定値より大きいか
否かが判定されるのである。上記条件が満たされる場合
には、アンチスキッド制御が開始され、S24において
アンチスキッド制御フラグFsta が1にセットされ、S
25以降が実行される。上記条件が満たされない場合に
は、アンチスキッド制御は開始されず、そのままメイン
ルーチンに戻される。
【0045】アンチスキッド制御中であり、S21にお
いてYESと判定された場合には、S26,27におい
て、アンチスキッド制御終了条件を満たすか否かが判定
される。S26において、ブレーキスイッチ179の出
力信号が読み込まれ、S27において、ブレーキスイッ
チ179の出力信号がOFFであるか否か、S2で演算
された推定車体速度Vsoが5km/h以下であるか否か
が判定されるのである。上記2条件の少なくとも一方が
満たされる場合には、S29以降が実行され、アンキス
キッド制御が終了させられる。いずれの条件も満たさな
い場合には、アンチスキッド制御が続けられ、S28に
おいて終了カウンタTend がクリアされ、S25以降が
実行される。
【0046】このように、本ルーチンの制御は上記非ア
ンチスキッド制御時,アンチスキッド制御終了時,アン
チスキッド制御中に分けられており、まず、アンチスキ
ッド制御終了時における制御について説明する。S29
において、制御終了モードが設定され、液圧制御ピスト
ン96が後退端位置に向かって移動させられる。モータ
160が正回転させられることによって、ナット132
が後退させられ、液圧制御ピストン96が液室98の液
圧に抗して後退させられるのである。S30において終
了カウンタのカウント値Tend がカウントアップされ、
S31において終了カウンタのカウント値Tend が設定
カウント値Tend0以上であるか否かが判定される。
【0047】最初にS31が実行される場合には、終了
カウンタのカウント値Tend は1であるためNOと判定
され、メインルーチンに戻される。終了カウンタのカウ
ント値Tend が設定カウント値Tend0以上になりYES
と判定されれば、S32,S33においてアンチスキッ
ド制御フラグFsta が0とされるとともに終了カウン
タ,増圧カウンタ,減圧カウンタ等すべてのカウンタの
カウント値が0にされる。S34において、非制御モー
ドに設定され、メインルーチンに戻される。
【0048】上記設定カウント値Tend0は制御ピストン
96が前進端位置から後退端位置に移動するまでに必要
なカウント数であり、50〜100msecに相当する
カウント数である。終了カウンタのカウント値Tend が
設定カウント値Tend0に達したときには、制御終了時に
液圧制御ピストン96がどの位置にあっても後退端への
復帰が保証される。制御終了時には、通常、液圧制御ピ
ストンが前進端と後退端との途中にあるため、終了カウ
ンタのカウント値Tend が設定カウント値Tend0に達す
る以前に液圧制御ピストン96が後退端に達し、ナット
132がストッパ164に当接することによって、モー
タ160の回転が強制的に停止させられる。液圧制御ピ
ストン96が後退端に戻されることによって液通路46
と液通路47とが連通させられ、通常の液圧ブレーキに
なる。
【0049】次に、アンチスキッド制御中あるいはアン
チスキッド制御開始時における制御について説明する。
S25において、スリップ状態量Wsに基づいて図8の
テーブルからデューティ制御比Dpwm が求められ、S3
5において、デューティ制御比Dpwm が負であるか否か
が判定される。デューティ制御比Dpwm が負であり、Y
ESと判定された場合には、S36において減圧処理が
行われ、0以上であり、NOと判定された場合にはS3
7において増圧処理が行われる。
【0050】アンチスキッド制御開始時には、スリップ
状態量Ws は負でその絶対値が大きいため、デューティ
制御比Dpwm が負の値となり、S35においてYESと
判定され、S36において減圧処理が行われる。この減
圧処理について図4のフローチャートに基づいて説明す
る。S50において、今回のスリップ状態量Ws(n)が前
回のスリップ状態量Ws(n-1)に設定値Vupを加えた大き
さより大きいか否かが判定される。設定値Vupは0.5
km/h以下の正の値である。振動等によってスリップ
状態量Ws が変化するため、単純にスリップ状態量Ws
(n)が前回のスリップ状態量Ws(n-1)より大きいか否か
を判定すると、判定を誤ってしまうことがある。これを
回避するために設定値Vupが加えられるのである。今回
のスリップ状態量Ws(n)が前回のスリップ状態量Ws(n-
1)より小さくて減少傾向にあるか、あるいはほぼ等しい
場合にはNOと判定され、S51以降において減圧制御
が実行される。今回のスリップ状態量Ws(n)が前回のス
リップ状態量Ws(n-1)より設定値Vup以上大きく、増加
傾向にある場合にはYESと判定され、S55以降にお
いて、制動制御が行われる。
【0051】アンチスキッド制御の開始時には、スリッ
プ状態量Ws が減少中であり、最初は前回のスリップ状
態量Ws(n-1)は0で、今回のスリップ状態量Ws(n)は負
である。そのため、S50の判定はNOとなり、S51
において、減圧モードが設定され、モータ160がFE
T190に制御された回転速度で逆方向に回転させられ
る。ナット132が前進させられ、液圧制御ピストン9
6が液室98の液圧によって前進させられる。開閉弁1
10が閉状態となり、液室98の容積の増大に伴って、
ホイールシリンダ56,58の液圧が低下させられる。
S52において減圧カウンタのカウント値Tdwn がアッ
プされ、S53において、減圧カウンタTdwn のカウン
ト値から図9に基づいて制動時間Tstp が求められる。
S54において、増圧カウンタ, 制動カウンタがクリア
され、メインルーチンに戻される。
【0052】スリップ状態量Ws が減少傾向にあるか、
あるいは変動しない間はS50の判定がNOとなって減
圧処理が行われるが、スリップ状態量Ws が増加傾向に
転じ、S50においてYESと判定された場合には、S
55において制動カウンタのカウント値Thld が制動時
間Tstp に相当する値より大きいか否かが判定される。
最初にこのステップが実行される場合には、制動カウン
タのカウント値Thldは0であるためNOと判定され、
S56において減圧制動モードが設定され、逆方向に回
転していたモータ160に正方向回転の電圧が印加され
る。S57,58において制動カウンタがカウントアッ
プされ、減圧カウンタがクリアされ、メインルーチンに
戻される。
【0053】制動カウンタのカウント値Thld が制動時
間Tstp に相当する値に達すれば、S55においてYE
Sと判定され、S59において減圧制動保持モードが設
定される。その結果、図7における破線に示す回路21
0が形成される。S56〜58の実行によってモータ1
60が停止させられれば、減圧制動保持モードが設定さ
れることによってモータ160は保持状態に保たれる。
モータ160が停止させられなければ、逆起電力によっ
て停止させられ、その後は保持状態に保たれる。S60
において制動カウンタがカウントアップされ、メインル
ーチンに戻される。
【0054】次に、図8によるデューティ制御比Dpwm
が0以上で、S37において増圧処理が行われる場合に
ついて、図1のフローチャートに基づいて説明する。通
常のアンチスキッド制御においては、減圧処理が行われ
ることによってスリップ状態量Ws が増加傾向に転じ、
負の設定値Aに達した時点において、デューティ制御比
Dpwm が0以上となり増圧処理が開始されるのである。
【0055】S70において、今回のスリップ状態量W
s(n)が前回のスリップ状態量Ws(n-1)に設定値Vdwn を
加えた大きさより大きいか否かが判定される。設定値V
dwnは0.5km/h以下の正の値であり、S50にお
ける設定値Vupと同様に、振動等によるスリップ状態量
Ws の変化による誤判定を回避するために加えられる値
である。今回のスリップ状態量Ws(n)が前回のスリップ
状態量Ws(n-1)より設定値Vdwn 以上大きく、増加傾向
にある場合にはYESと判定され、S71以降が実行さ
れる。今回のスリップ状態量Ws(n)が前回のスリップ状
態量Ws(n-1)より小さく減少傾向に転じたか、あるいは
ほぼ等しい場合にはNOと判定され、S76以降が実行
される。
【0056】最初にS70が実行される場合にはYES
と判定され、S71において増圧モードが設定される。
モータ160が正方向に回転させられ、ナット132が
後退させられ、液圧制御ピストン96が液室98の液圧
に抗して後退させられる。液室98の容積が減少させら
れ、ホイールシリンダ56,58の液圧が高められるの
である。前述のように、増圧処理は減圧処理が行われた
後に行われるのであるが、S36における減圧処理の終
了時には、モータ160の回転が抑制されているため、
S71において減圧制動保持モードから増圧モードに切
り換えられた際、モータ160が速やかにかつ常に同じ
傾向で正方向の回転を開始する。次に、S72,S73
において、増圧カウンタのカウント値Tupがアップさ
れ、減圧カウンタのカウント値Tdwn がクリアされる。
その後、S74において今回のスリップ状態量Ws が最
大スリップ状態量Wspとされ、S75において最大スリ
ップ状態量Wspに係数Kd を掛けることによってしきい
値Wsdが求められ、メインルーチンに戻される。本実施
例において、係数Kd は0.4である。
【0057】スリップ状態量Ws の増加中においては、
今回のスリップ状態量が順次、最大スリップ状態量Wsp
とされ、しきい値Wsdが順次求められる。したがって、
しきい値Wsdはスリップ状態量Ws の増加に伴って増加
することになる。一方、最大スリップ状態量Wspが大き
ければ、モータ160の正方向の回転速度も大きくされ
るため、しきい値Wsdは、モータ160の最大回転速
度、すなわち慣性が大きいほど大きい値とされるのであ
る。
【0058】スリップ状態量Ws が増加傾向から減少傾
向に転じれば、S70においてNOと判定され、S76
において今回のスリップ状態量Wsが前回S75におい
て求められたしきい値Wsdより大きいか否かが判定され
る。ここで、しきい値Wsdは、スリップ状態量Ws の極
大値Wspの40%の大きさとされている。S76が最初
に実行される場合には、YESと判定され、S77,S
78において引き続き増圧モードが設定され、増圧カウ
ンタのカウント値Tupがアップされる。
【0059】スリップ状態量Ws がしきい値Wsd以下と
なり、S76においてNOと判定されれば、S79にお
いて増圧制動保持モードが設定される。ユニット170
は信号H−LINを出力するのみとなり、モータ160に
は、正方向に回転させる電圧も、逆方向に回転させる電
圧も印加させられず、閉回路210が形成される。モー
タ160は発電機として作用することになるため、発電
制動によってモータ160の回転が抑制される。その
後、S80において増圧カウンタのカウント値Tupがア
ップされる。
【0060】スリップ状態量Ws がしきい値Wsd以下に
なったということは、近い将来にモータ160の正方向
の回転を停止させ、あるいは逆方向の回転を開始させる
必要が生じるということであるため、本実施例において
は、スリップ状態量Ws がしきい値Wsd以下になった時
点においてモータ160の回転が抑制されることによっ
て増圧勾配が積極的に緩められるのである。
【0061】一方、デューティ制御比Dpwm が0%の場
合には、S35においてNOと判定され、増圧モードが
設定されるが、その場合には、デューティ制御比0%の
電流値指令信号RPWM が出力されるため、モータ160
は保持状態に保たれることになる。本実施例において
は、デューティ制御比0%の場合も増圧モードに含まれ
る。
【0062】以下、実際の制御の一例を図10に基づい
て説明する。時間t0 において、アンチスキッド制御が
開始され、減圧モードが設定される。スリップ状態量W
s が減少傾向から増加傾向に転じると(時間t1 )、減
圧モードから減圧制動モードに切り換えられ、さらに設
定時間Tstp 経過後に減圧制動保持モードに切り換えら
れる。次に、スリップ状態量が負の設定値A以上になる
と(時間t2 )、増圧モードが設定される。スリップ状
態量Ws が増加傾向にあるため、スリップ状態量Wsが
順次最大スリップ状態量Wspとされ、しきい値Wsdが順
次求められ、極大値Wsp1 の40%の大きさがしきい値
Wsd1 とされる。スリップ状態量Ws が減少傾向に転
じ、スリップ状態量Ws がしきい値Wsd1まで低下する
と(時間t3 )、増圧制動保持モードに切り換えられ
る。さらに、スリップ状態量Ws が減少し、負の設定値
A以下になると(時間t4 )、減圧モードに切り換えら
れる。
【0063】すなわち、モータ160の正方向の回転が
時間t3 において抑制され、その後、時間t4 において
モータ160が逆方向に回転するように制御される。時
間t3 から増圧勾配が緩やかにされ、時間t4 において
モータ160が逆方向に回転させられるのである。時間
3 から時間t4 までの間にモータ160の回転が十分
に抑制されるため、モータ160を速やかに逆方向に回
転させることができる。
【0064】以下、同様の制御が行われるのであるが、
時間t6 において増圧モードから増圧制動保持モードに
切り換えられるのであるが、時間t7 付近のように、ス
リップ状態量Ws が負の設定値A以下にならない場合に
は、減圧モードに切り換えられることなく、再び、増圧
モードに切り換えられる。その場合においても、モータ
160の回転が抑制されているため、速やかに正方向に
回転させることができる。また、時間t9 付近のよう
に、スリップ状態量Ws が減少中であっても、しきい値
Wsd以下にならない場合には、増圧制動保持モードに切
り換えられない。
【0065】以上のように、スリップ状態量Ws が減少
中であって、しきい値Wsdまで低下した時点において増
圧モードから増圧制動保持モードに切り換えられるた
め、モータ160の正方向の回転の減速遅れを小さくす
ることができる。そのため、増圧勾配を緩やかにするこ
とができるとともに増圧し過ぎを良好に回避することが
できる。また、しきい値Wsdの大きさは、極大値Wspの
大きさに基づいて決められるため極大値Wspが大きく、
モータ160の最大回転速度が大きいほど大きくなる。
したがって、モータ160の回転を慣性に応じて良好に
抑制することができる。さらに、その後、減圧モード,
増圧モードのいずれが選択されても、モータ160を次
の制御指令に迅速に応答させることができる。制御指令
に忠実に追従した液圧波形が得られるのであり、それに
よってブレーキ液圧の制御精度、つまりアンチスキッド
制御精度が向上する効果が得られる。
【0066】なお、上記実施例において、増圧制動保持
モードが設定された場合には、モータ160を正方向に
回転させる電圧も逆方向に回転させる電圧も印加しない
非印加状態に保つことによって回転が抑制されるように
されていたが、モータ160に逆方向に回転させる電圧
を印加すること等によって回転が抑制されるようにして
もよい。
【0067】また、上記実施例においては、しきい値W
sdを求める場合の係数Kd の値が常に一定の0.4とさ
れていたが、この値に限ったことではなく、別の値とし
てもよい。さらに、常に一定ではなく、スリップ状態量
Ws の極大値の大きさ、増圧カウンタのカウント値Tup
の大きさ、スリップ状態量Ws の変化勾配等を加味して
決定されるようにしてもよい。
【0068】その他、いちいち例示することはしない
が、特許請求の範囲を逸脱することなく当業者の知識に
基づいて種々の変形,改良を施した態様で本発明を実施
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるアンチスキッド制御装
置のユニットに格納された増圧処理サブルーチンを示す
フローチャートである。
【図2】上記ユニットに格納されたメインプログラムを
示すフローチャートである。
【図3】上記ユニットに格納されたメインプログラムの
割り込みルーチンを示すフローチャートである。
【図4】上記ユニットに格納された減圧処理サブルーチ
ンを示すフローチャートである。
【図5】上記実施例のアンチスキッド制御装置の全体図
である。
【図6】上記実施例の液圧制御装置の断面図である。
【図7】上記実施例のモータ駆動回路の回路図である。
【図8】上記ユニットに記憶されているスリップ状態量
とデューティ制御比との関係を示すグラフである。
【図9】上記ユニットに格納されている減圧カウンタの
カウント値と制動時間との関係を示すグラフである。
【図10】上記実施例のアンチスキッド制御装置の制御
例を示すグラフである。
【図11】本発明の構成を概念的に示すブロック図であ
る。
【符号の説明】
10 マスタシリンダ 30,31,46,47 液通路 36,38,52,54 車輪 40,42,56,58 ホイールシリンダ 88,90 液圧制御装置 96 液圧制御ピストン 160 モータ(直流サーボモータ) 170 アンチスキッド制御ユニット 180 モータ制御回路 188,190,194,196 FET 200 電源 204 PWM発生回路
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−72312(JP,A) 特開 平6−72311(JP,A) 特開 平6−64520(JP,A) 特開 平5−213173(JP,A) 特開 平4−231243(JP,A) 特開 平2−231257(JP,A) 特開 昭64−85863(JP,A) 特開 平6−64517(JP,A) 特開 平4−271945(JP,A) 特開 平3−50059(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60T 8/00 B60T 8/32 - 8/96

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正・逆両方向に回転可能な電動モータ
    と、その電動モータの正方向および逆方向の回転によっ
    て後退および前進させられる可動部材と、その可動部材
    の後退および前進により容積が減少および増大させら
    れ、車輪の回転を抑制するブレーキシリンダに連通させ
    られた液室と、前記電動モータを正方向に回転させて前
    記ブレーキシリンダの液圧を増大させ、あるいは前記逆
    方向に回転させてブレーキシリンダの液圧を減少させる
    モータ制御装置とを備えたアンチスキッド制御装置にお
    いて、 前記モータ制御装置に、前記ブレーキシリンダの液圧の変更要求量であるブレー
    キシリンダ圧変更要求量の極大値に予め定められた係数
    を掛けたしきい値を決定するしきい値決定手段と、 前記電動モータが正方向に回転中であって、かつ、前記
    ブレーキシリンダ圧変更要求量が前記極大値から前記し
    きい値決定手段によって決定されたしきい値まで減少し
    た場合に、前記電動モータの電気的な回転抑制を開始す
    回転抑制手段とを設けたことを特徴とするアンチスキ
    ッド制御装置。
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